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特開2024-87259包材発注管理装置及び包材発注システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087259
(43)【公開日】2024-07-01
(54)【発明の名称】包材発注管理装置及び包材発注システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0601 20230101AFI20240624BHJP
   G06Q 50/04 20120101ALI20240624BHJP
【FI】
G06Q30/0601 320
G06Q50/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022201985
(22)【出願日】2022-12-19
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100169063
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100212026
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真生
(72)【発明者】
【氏名】南 浩紀
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 徹
(72)【発明者】
【氏名】八城 順平
【テーマコード(参考)】
5L030
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L030BB58
5L049BB58
5L049CC03
5L050CC03
(57)【要約】
【課題】包材の注文に応じて、製造部門への適切な作業の振り分けを行う。
【解決手段】発注者からの包材の製造に係る注文を受け付ける包材発注管理装置であって、発注者からの注文の内容を示す注文情報と、注文情報により特定される包材に対して印刷するデザインが含まれたデザインデータと、を取得する注文関連情報取得部と、注文情報の少なくとも一部と、デザインデータとを含む包材作成指示を、印刷機が含まれる複数の製造部門に含まれる1以上の製造部門に対して送信する包材作成指示部と、を有する。包材作成指示部は、注文情報と、複数の製造部門に係る情報と、に基づいて、複数の製造部門のうち包材作成指示を送信する製造部門を決定する。注文情報は、包材の種類を特定する情報を含み、複数の製造部門に係る情報は、各製造部門において製造可能な包材の種類を特定する情報を含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発注者からの包材の製造に係る注文を受け付ける包材発注管理装置であって、
前記発注者からの前記注文の内容を示す注文情報と、前記注文情報により特定される包材に対して印刷するデザインが含まれたデザインデータと、を取得する注文関連情報取得部と、
前記注文情報の少なくとも一部と、前記デザインデータとを含む包材作成指示を、印刷機が含まれる複数の製造部門に含まれる1以上の製造部門に対して送信する包材作成指示部と、を有し、
前記包材作成指示部は、前記注文情報と、前記複数の製造部門に係る情報と、に基づいて、前記複数の製造部門のうち前記包材作成指示を送信する製造部門を決定し、
前記注文情報は、前記包材の種類を特定する情報を含み、
前記複数の製造部門に係る情報は、各製造部門において製造可能な包材の種類を特定する情報を含む、包材発注管理装置。
【請求項2】
前記注文情報は、作成された前記包材の納品先を指定する情報を含み、
前記包材作成指示部は、前記納品先の位置情報と前記複数の製造部門のそれぞれの位置情報とに基づいて算出される前記包材の輸送コストにも基づいて、前記包材作成指示を送信する製造部門を決定する、請求項1に記載の包材発注管理装置。
【請求項3】
前記包材作成指示部は、前記注文情報により特定される包材に係る、前記複数の製造部門それぞれでの製造コストにも基づいて、前記包材作成指示を送信する製造部門を決定する、請求項1に記載の包材発注管理装置。
【請求項4】
前記包材作成指示部は、
前記複数の製造部門それぞれのうち、前記注文情報により特定される包材を製造可能な製造部門について、前記包材作成指示を優先して送信するための優先順位を付与し、
前記優先順位が高い前記製造部門から、前記注文情報により特定される包材を製造可能かどうか判定することによって、前記包材作成指示を送信する製造部門を決定する、請求項1~3のいずれか一項に記載の包材発注管理装置。
【請求項5】
前記包材作成指示部は、前記注文情報により特定される包材を前記複数の製造部門に含まれる2以上の製造部門で分担して製造することを決定し、分担することが決定された前記2以上の製造部門に対して前記包材の製造量を含む前記包材作成指示を送信する、請求項1~3のいずれか一項に記載の包材発注管理装置。
【請求項6】
発注者からの包材の製造に係る注文を受け付ける包材発注管理装置と、印刷機が含まれる複数の製造部門のそれぞれに設けられて、前記包材発注管理装置からの指示に基づいた包材の作成を管理する複数の包材製造管理装置と、を備える包材発注システムであって、
前記包材発注管理装置は、
前記発注者による操作に基づいて、前記注文の内容を示す注文情報と、前記注文情報により特定される包材に対して印刷するデザインが含まれたデザインデータと、を取得する注文関連情報取得部と、
前記注文情報の少なくとも一部と、前記デザインデータとを含む包材作成指示を、前記複数の包材製造管理装置に含まれる1以上の包材製造管理装置に対して送信する包材作成指示部と、
を有し、
前記複数の包材製造管理装置のうち、前記包材作成指示を受信した包材製造管理装置は、前記包材作成指示に基づいて、自装置が管理する製造部門での前記包材の作成を管理し、
前記包材発注管理装置の前記包材作成指示部は、前記注文情報と、前記複数の製造部門に係る情報と、に基づいて、前記複数の製造部門のうち前記包材作成指示を送信する製造部門を決定し、決定された製造部門に対応する前記包材製造管理装置に対して前記包材作成指示を送信し、
前記注文情報は、前記包材の種類を特定する情報を含み、
前記複数の製造部門に係る情報は、各製造部門において製造可能な包材の種類を特定する情報を含む、包材発注システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、包材発注管理装置及び包材発注システムに関する。
【背景技術】
【0002】
インターネットを介した発注者端末からの発注信号に基づいて、受注、印刷、納品手配を行うオンラインプリントシステムが知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-9506号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、ECサイト等を利用したオンラインによる商取引(オンライン取引)が広がっており、多種多様な包材が、受注、印刷、納品手配を行うオンライン注文の対象となり得る。この場合、多種類の包材の作成に係る取引量が拡大すると、包材の種類などに応じて製造部門への作業の振り分け等が必要になる。
【0005】
本開示は、包材の注文に応じて、製造部門への適切な作業の振り分けを行うことが可能な技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一形態に係る包材発注管理装置は、発注者からの包材の製造に係る注文を受け付ける包材発注管理装置であって、前記発注者からの前記注文の内容を示す注文情報と、前記注文情報により特定される包材に対して印刷するデザインが含まれたデザインデータと、を取得する注文関連情報取得部と、前記注文情報の少なくとも一部と、前記デザインデータとを含む包材作成指示を、印刷機が含まれる複数の製造部門に含まれる1以上の製造部門に対して送信する包材作成指示部と、を有し、前記包材作成指示部は、前記注文情報と、前記複数の製造部門に係る情報と、に基づいて、前記複数の製造部門のうち前記包材作成指示を送信する製造部門を決定し、前記注文情報は、前記包材の種類を特定する情報を含み、前記複数の製造部門に係る情報は、各製造部門において製造可能な包材の種類を特定する情報を含む。
【0007】
上記の包材発注管理装置によれば、包材作成指示部において、発注者からの注文情報に含まれる、包材の種類を特定する情報と、複数の製造部門に係る情報に含まれる、各製造部門において製造可能な包材の種類を特定する情報と、に基づいて、複数の製造部門のうち包材作成指示を送信する1以上の製造部門が決定され、包材作成指示が送信される。このため、注文された包材の作成に適した製造部門を選択して、包材発注管理装置から包材作成指示を送信することができ、製造部門に対して包材の作成の作業を適切に振り分けることができる。
【0008】
ここで、前記注文情報は、作成された前記包材の納品先を指定する情報を含み、前記包材作成指示部は、前記納品先の位置情報と前記複数の製造部門のそれぞれの位置情報とに基づいて算出される前記包材の輸送コストにも基づいて、前記包材作成指示を送信する製造部門を決定する態様であってもよい。
【0009】
上記の構成とすることで、例えば、注文された包材の作成に適した製造部門の中から、包材の輸送コストが小さくなるように、包材作成指示を送信する1以上の製造部門を決定し、包材作成指示を送信することができる。このため、輸送コストを考慮して、製造部門に対して包材の作成の作業を適切に振り分けることができる。
【0010】
前記包材作成指示部は、前記注文情報により特定される包材に係る、前記複数の製造部門それぞれでの製造コストにも基づいて、前記包材作成指示を送信する製造部門を決定する態様であってもよい。
【0011】
上記の構成とすることで、例えば、注文された包材の作成に適した製造部門の中から、包材の製造コストが小さくなるように、包材作成指示を送信する1以上の製造部門を決定し、包材作成指示が送信される。このため、製造コストを考慮して、製造部門に対して包材の作成の作業を適切に振り分けることができる。
【0012】
前記包材作成指示部は、前記複数の製造部門それぞれのうち、前記注文情報により特定される包材を製造可能な製造部門について、前記包材作成指示を優先して送信するための優先順位を付与し、前記優先順位が高い前記製造部門から、前記注文情報により特定される包材を製造可能かどうか判定することによって、前記包材作成指示を送信する製造部門を決定する態様であってもよい。
【0013】
上記の構成とすることで、包材作成に適した製造部門に対して高い優先順位を付与することで、当該製造部門に対して包材作成指示を送信することができる。したがって、優先順位を利用して、包材の製造に適した製造部門に対してより適切に作業を振り分けることができる。
【0014】
前記包材作成指示部は、前記注文情報により特定される包材を前記複数の製造部門に含まれる2以上の製造部門で分担して製造することを決定し、分担することが決定された前記2以上の製造部門に対して前記包材の製造量を含む前記包材作成指示を送信する態様であってもよい。
【0015】
上記の構成とすることで、例えば、1つの製造部門では製造することができない注文数の包材も2以上の製造部門で分担して製造することが可能となり、より柔軟な作業の振り分けができる。
【0016】
本開示の一形態に係る包材発注システムは、発注者からの包材の製造に係る注文を受け付ける包材発注管理装置と、印刷機が含まれる複数の製造部門のそれぞれに設けられて、前記包材発注管理装置からの指示に基づいた包材の作成を管理する複数の包材製造管理装置と、を備える包材発注システムであって、前記包材発注管理装置は、前記発注者による操作に基づいて、前記注文の内容を示す注文情報と、前記注文情報により特定される包材に対して印刷するデザインが含まれたデザインデータと、を取得する注文関連情報取得部と、前記注文情報の少なくとも一部と、前記デザインデータとを含む包材作成指示を、前記複数の包材製造管理装置に含まれる1以上の包材製造管理装置に対して送信する包材作成指示部と、を有し、前記複数の包材製造管理装置のうち、前記包材作成指示を受信した包材製造管理装置は、前記包材作成指示に基づいて、自装置が管理する製造部門での前記包材の作成を管理し、前記包材発注管理装置の前記包材作成指示部は、前記注文情報と、前記複数の製造部門に係る情報と、に基づいて、前記複数の製造部門のうち前記包材作成指示を送信する製造部門を決定し、決定された製造部門に対応する前記包材製造管理装置に対して前記包材作成指示を送信し、前記注文情報は、前記包材の種類を特定する情報を含み、前記複数の製造部門に係る情報は、各製造部門において製造可能な包材の種類を特定する情報を含む。
【0017】
上記の包材発注システムによれば、包材発注管理装置の包材作成指示部において、発注者からの注文情報に含まれる、包材の種類を特定する情報と、複数の製造部門に係る情報に含まれる、各製造部門において製造可能な包材の種類を特定する情報と、に基づいて、複数の製造部門のうち包材作成指示を送信する1以上の製造部門が決定され、決定された製造部門に対応する包材製造管理装置に対して包材作成指示が送信される。また、包材作成指示を受信した包材製造管理装置は、包材作成指示に基づいて、自装置が管理する製造部門での包材の作成を管理する。このため、包材の作成に適した製造部門を選択して、包材発注管理装置から包材作成指示を送信することができるため、製造部門に対して包材の作成の作業を適切に振り分けることができる。
【発明の効果】
【0018】
本開示によれば、包材の注文に応じて、製造部門への適切な作業の振り分けを行うことが可能な技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、包材発注システムの機能の概要の一例を示す図である。
図2図2は、包材発注システムの概略構成の一例を示す図である。
図3図3は、資材情報保持部によって保持される情報の一例を示す図である。
図4図4(a)は、軟包材の材質構成の一例を示す模式図である。図4(b)は、軟包材の仕様に関する情報の一例を示す図である。
図5図5は、包材製造情報保持部で保持される包材製造部門に係る情報の一例を示す図である。
図6図6は、販売情報保持部によって保持される情報の一例を示す図である。
図7図7は、包材発注管理装置及び包材製造管理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図8図8は、包材発注システムによる発注方法及び納品方法の一例を示すフロー図である。
図9図9は、包材発注システムによる発注方法及び納品方法の一例を示すフロー図である。
図10図10は、包材発注管理装置による包材を製造する部門を決定する方法の一例を示すフロー図である。
図11図11は、包材発注管理装置による包材を製造する部門を決定する方法の他の例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して一実施形態について説明する。説明において、同一要素または同一機能を有する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0021】
[包材発注システム]
図1は、一実施形態に係る包材発注システム1の機能の概要を説明する図である。包材発注システム1は、発注者U1によって操作される発注者端末90との間で通信を行い、発注者端末90からの注文指示に基づいて包材を製造し提供するシステムである。また、包材発注システム1は、発注者端末90からの注文指示に限定されず、発注者U1からの指示に基づいて、発注受付者U2が入力した注文指示に基づいても包材を製造し提供する機能を有する。包材発注システム1が、発注者端末90または発注者からの注文指示に基づいて包材を製造及び提供することで、発注者に対する包材の販売が行われる。
【0022】
包材発注システム1は、包材発注管理装置10と、包材製造管理装置30(図2参照)と、を備える。包材製造管理装置30は、包材の製造を行う製造部門である、包材製造部門3ごとに設置され得る。包材製造部門3とは、例えば、包材の製造工場等であり、1つの包材を製造する部門の単位をいう。図1では、3つの包材製造部門3A,3B,3Cが設けられている例を示している。このうち、包材製造部門3A,3Bはデジタル印刷による包材製造が可能な部門であり、包材製造部門3Cはグラビア印刷による包材製造が可能な部門であるとする。包材発注管理装置10は、注文指示に基づいて、包材製造部門3A~3Cの1以上の部門に包材の作成を指示する。包材製造部門3A~3Cで作成された包材(製品)は、包材発注管理装置10が受け付けた注文指示において指定された納品先80へ納品される。
【0023】
図1に示すように、包材製造部門3A~3Bは、それぞれ製造可能な包材の種類及びその生産能力が異なる。この場合、包材発注管理装置10は、注文指示で指定される包材の数量等に基づいて、包材の製造部門を決定することが必要となる。以下の実施形態では、包材発注システム1において包材製造部門の能力やその稼働状況等をふまえて、適切な包材製造部門へ包材の作成指示を行うための構成について説明する。
【0024】
図2は、一実施形態に係る包材発注システム1を模式的に示す図である。包材発注システム1は、包材発注管理装置10において発注者U1が操作する発注者端末90からの注文を受け付けて、包材製造部門3と連携して動作する包材製造管理装置30に対して注文に基づく製品の製造及び納品を指示する機能を有する。または、包材発注システム1は、発注者U1からの指示を受けて、発注受付者U2が包材発注管理装置10に注文内容を入力することによって、包材製造管理装置30に対して注文に基づく製品の製造及び納品を指示する機能を有する。
【0025】
包材発注システム1で取り扱う製品とは「包材」である。包材は、内容物(商品)を包むための部材である。包材は、内容物を包むものであれば、その種類は限定されず、例えば、軟包材、鮮度保持剤(脱酸素剤)に用いられる包装材、プラスチック容器、及び、紙器が挙げられる。本開示において、包材には、商品のパッケージに使用される袋または容器だけでなく、容器等に装着されるラベルも含まれ得る。
【0026】
包材の一例である軟包材は、紙、プラスチックフィルム、アルミニウム箔、布などの柔軟性に富む材料で構成した包装に使用される包材である。このなかでもプラスチックフィルムが主材料として用いられることが多い。また、軟包材は、複数の素材を組み合わせた複合材料を用いることで、バリア性、耐熱性等の所望の性能を発揮するための工夫が行われる。軟包材等の包材は、商品のパッケージ等に使用されることが多いため、包材の印刷面への印刷内容は、注文に応じて異なる場合が想定される。このように、包材を発注者から受注する場合、包材に使用する材料を指定する情報、印刷するためのデザインデータ等を発注毎に準備する必要があり、さらにこれらの情報を製造部門へ適切に提供することが求められる。
【0027】
軟包材に使用される材料としては、単層フィルムと、多層フィルムと、が挙げられる。このうち、多層フィルムは、一般的には基材、中間層、及びシーラント層を、接着剤を用いて貼り合わせる(ラミネートする)ことによって作成される。デザインデータの印刷は基材に対して行われる。また、中間層は、軟包材の用途によっては省略される場合もあるが、例えば、バリア材として機能する材料が選択される場合もある。特定の用途に使用する軟包材を作成する場合、当該用途に適した資材を組み合わせることで材料(多層フィルム)が作成される。軟包材は用途に応じてその材料(フィルム、インク等)が異なるため、その製造に用いられる資材も多種多様となる。紙器、及び、ラベルについても、用途に応じてその材料が異なるものになり得るので、その製造に用いられる資材も多種多様となる場合がある。一方、発注者U1は、発注する包材の用途に基づいて、多種類の包材の中から選択して注文を行うことになる。上記の包材発注システム1では、上記のように多様な資材を用いて作成される多種類の包材の作成に係る発注者U1からの注文を一元的に管理すると共に、注文を受けた包材の製造を管理する。
【0028】
包材発注システム1において、包材発注管理装置10は、発注者端末90からの注文を取得する装置である。あるいは、包材発注管理装置10は、発注受付者U2の入力によって、発注者U1からの注文を取得する装置である。包材発注管理装置10は、インターネットを介して発注者端末90からの注文を取得する、所謂オンラインによる受注を行う装置であってもよい。この場合、発注者端末90からの注文を包材発注管理装置10において取得することができる。また、包材発注管理装置10は、発注者端末90が閲覧可能なWebサイト等を有していて、このWebサイトに対して発注者が入力した情報を取得することとしてもよい。さらに、包材発注管理装置10は、発注者U1または発注者端末90からの注文を受け付けるとその情報を管理すると共に、包材製造管理装置30に対して製品の製造に係る情報を提供する。
【0029】
包材製造管理装置30は、包材製造部門3A,3B,3C毎に設けられる装置であり、包材製造工場等の包材の製造に係る部門において、製造に関する各種機器の管理を行う機能を有する。図2では、包材製造管理装置30として、包材製造部門3Aに設けられる包材製造管理装置30Aと、包材製造部門3Bに設けられる包材製造管理装置30Bと、を示している。
【0030】
包材製造管理装置30は、包材発注管理装置10からの指示に基づいて、自装置が設けられている製造部門における印刷機31、ラミネート機32及び製袋機33等の包材の製造に係る機器を制御する機能を有していてもよい。さらに、包材製造管理装置30は、資材の発注や在庫管理等を行う機能を有していてもよい。包材発注管理装置10と包材製造管理装置30とは、例えば、有線または無線による通信が可能な構成とされていて、包材発注管理装置10において受注した包材の作成が包材製造管理装置30に対して適宜指示される。包材製造管理装置30は、この指示に基づいて、包材製造部門における各機器について、注文を受けた包材の作成に関する工程の管理を開始する。なお、包材製造管理装置30による包材の作成の工程に関する管理には、例えば、注文を受けた包材に応じた製造工程(例えば、資材の貼り合わせ、印刷等)の把握、この製造工程を進めるための各機器における作業のスケジューリング、包材に使用する資材の調達(発注)等の一部が含まれていてもよい。
【0031】
発注者端末90は、例えば、発注者U1であるユーザによって使用される端末装置であり、スマートフォン、タブレット、パーソナルコンピュータ等の装置が挙げられる。発注者端末90は、インターネットに対して接続可能である。インターネットへの接続に際して、例えばインターネット以外の通信網を経由してもよい。なお、特定のユーザが使用する発注者端末90は、1つには限定されない。すなわち、一のユーザが複数の発注者端末90を利用してもよい。したがって、例えば、ユーザが注文情報の送信に利用する発注者端末90と、デザインデータの送信に利用する発注者端末90とが互いに異なっていてもよい。複数の発注者端末90がそれぞれインターネットに接続して情報の送受信を行うことができる場合、ユーザは各発注者端末90を個別に取り扱うことができる。ユーザ(発注者)は、個人であってもよく、会社等の法人であってもよい。
【0032】
なお、上述したように、発注者U1が発注者端末90を使用せずに発注受付者U2を介して包材製造に係る注文を行ってもよい。この場合、発注者U1は発注者端末90を使用しない構成であってもよい。
【0033】
以下、包材発注管理装置10及び包材製造管理装置30について、包材発注システム1が包材の一例である軟包材を取り扱う場合を例に説明する。また、包材発注管理装置10が、発注者端末90を経由した注文も受付が可能な場合について説明する。
【0034】
[包材発注管理装置]
図2に示すように、包材発注管理装置10は、機能上の構成(以下、「機能モジュール」という。)として、情報提供部12、注文受付部14、印刷データ取得部15、包材作成指示部16、納品管理部17、決済処理部18、発注者情報保持部21、受注情報保持部22、包材製造情報保持部23、販売情報保持部25、及び、販売情報管理部27を有する。これらの機能モジュールが実行する処理は、包材発注管理装置10が実行する処理に相当する。また、包材発注管理装置10は、発注者端末90及び包材製造管理装置30との間で通信を行い情報の送受信を行う。包材発注管理装置10と発注者端末90または包材製造管理装置30との通信は、有線または無線で行われ得る。
【0035】
情報提供部12は、発注者端末90に対して所定の情報を提供する機能を有する。情報提供部12によって提供される情報には、発注者が包材を注文する際に必要となる各種の情報が含まれる。情報提供部12は、例えば、発注者端末90において閲覧可能なWebサイトを準備する。これにより、発注者端末90からのリクエスト(例えばURLの指定)によって、発注者端末90においてWebサイトが閲覧可能となる。なお、発注者端末90への情報の提供に代えて、発注者U1へ紙製のカタログ等によって情報を提供することも想定される。この場合、情報提供部12は、紙製のカタログに記載された情報をWebカタログの形式で保持しておき、例えば、発注受付者U2に対して、当該情報をWebカタログ等の形式で提供可能な構成とされていてもよい。
【0036】
注文受付部14は、発注者端末90からの包材の注文を受け付ける機能を有する。例えば、発注者のリクエストに応じて、情報提供部12によって注文用の入力フォームが発注者端末90の画面上に表示される。発注者は、入力フォームへ情報を入力すること等によって、注文に必要な情報を入力する。入力された情報が、インターネットを介してWebサイトを提供する包材発注管理装置10に対して送信されることで、注文受付部14が注文に必要な情報を取得する。これにより、注文受付部14は注文を受け付けることができる。
【0037】
注文受付部14が注文を受け付ける際に取得する注文内容を示す情報(以下、「注文情報」という。)とは、注文者を特定する情報(氏名、住所等)、注文する製品に関する情報、納品先を特定する情報(氏名、住所等)、費用の支払いに関する情報等が挙げられる。このうち、注文する製品に関する情報としては、軟包材の場合、例えば、包材の種類(例えば、使用する資材)を特定する情報及び注文数が挙げられる。包材を指定する情報には、包材に使用される資材を特定する情報(複数種類の資材を積層したフィルムである場合、各層の情報等)と、包材の形状(形状とは、例えば、三方平袋、スタンディングパウチ等)、大きさを特定する情報と、が挙げられる。本実施形態の包材発注管理装置10では、上記の包材を構成する材料(資材)を特定する情報と、包材の形状及び大きさを特定する情報に対応付けて、型番が割り当てられている。そのため、発注者は、型番を指定することで、包材の材料を特定する情報と、包材の形状及び大きさを特定する情報と、を包材発注管理装置10に対して送信することが可能となる。
【0038】
発注者(ユーザ)が発注者端末90を操作して特定の包材を選択して注文を行うことが可能となるように、情報提供部12によって、発注者端末90においてユーザに対して提示される情報が調整され得る。例えば、ユーザが購入可能な軟包材のそれぞれについて、包材の種類(例えば、使用する資材)、大きさ、形状、収容可能な容量の目安等を示すことは、ユーザが軟包材を選択する際に重要な情報となり得る。また、軟包材の用途(レトルト対応、ボイル対応、電子レンジ対応、収容可能な内容物の例等)、特性(遮光性、帯電防止性、透明性等)などの情報は、包材の種類を直接表示する場合と比較して、ユーザによる包材の選択において重要な情報となる可能性がある。したがって、ユーザの利便性を高めること等を目的として、ユーザが使用する注文画面にこれらの情報を組み合わせて表示してもよい。
【0039】
なお、発注受付者U2が包材発注管理装置10に対して直接注文内容を入力する場合、注文受付部14は、発注受付者U2が入力した情報を注文内容として取得する。この場合に、注文受付部14が取得する情報は、上述の注文内容を示す情報と同様に、注文者を特定する情報(氏名、住所等)、注文する製品に関する情報、納品先を特定する情報(氏名、住所等)、費用の支払いに関する情報等となる。
【0040】
印刷データ取得部15は、発注者U1による操作に基づいて、印刷に使用するデザインデータを取得する機能を有する。印刷データ取得部15は、例えば、発注者U1により作成されたデザインデータを、発注者U1による送信指示に基づいて発注者端末90から取得する。印刷に使用するデザインデータとは、注文情報で特定される包材に対して印刷するデザインが含まれたデータである。なお、軟包材に対する印刷の種類としては、基本的にデザインデータから直接印刷を行うデジタル印刷と、製版及び色合わせを行った上で印刷を行う非デジタル印刷と、が挙げられる。非デジタル印刷としては、例えば、グラビア印刷、フレキソ印刷、EBオフセット印刷等が挙げられる。ただし、これらの印刷方法とは異なる非デジタル印刷方法が用いられてもよい。包材発注管理装置10は、いずれの印刷にも対応可能である。ただし、デジタル印刷の場合には、製版を行わず発注者から取得した印刷データをそのまま印刷に使用してもよい。そのため、包材発注管理装置10では、フォーマットデータを発注者に対して提供することによって、発注者から所定の包材に適したデザインデータ(印刷用データ)を取得する構成としてもよい。なお、フォーマットデータを使用する場合には、例えば、フォーマットデータのほかに、フォーマットデータを使用する際の設定ファイル等が添付されていてもよい。
【0041】
なお、発注受付者U2が包材発注管理装置10に対して直接注文内容を入力する場合、印刷に使用するデザインデータは、発注受付者U2が包材発注管理装置10に対して直接受け渡されることが想定される。この場合、発注受付者U2は、例えば、記憶媒体等を介して外部装置で作成されたデザインデータを包材発注管理装置10に対して受け渡す場合がある。この場合、印刷データ取得部15は、有線または無線の通信による他の装置との受け渡しとは別の手法で、デザインデータを取得してもよい。
【0042】
注文受付部14が取得した情報及び印刷データ取得部15が取得した情報は、受注情報保持部22において保持される。注文受付部14及び印刷データ取得部15は、発注者からの注文の内容を示す情報(注文情報)とデザインデータとを取得する注文関連情報取得部としての機能を有する。
【0043】
印刷データ取得部15は、発注者U1または発注受付者U2から取得したデザインデータがPDFデータである場合、予め設定したチェック項目に基づいてデータチェックを行う、プリフライトチェックを行ってもよい。また、印刷データ取得部15は、プリフライトチェックの結果と、最終的に印刷に使用する予定のデザインデータとを、発注者U1に対して通知する構成としてもよい。この場合、発注者U1は、例えばメール等で通知されたURLに基づいて所定サイトにアクセスすることで、通知内容を確認する構成としてもよい。なお、プリフライトチェックはPDFデータに対して行われるものであるが、デザインデータとしてPDFデータ以外のデータを取り扱う場合にも、同種のチェックを行う構成としてもよい。最終的に印刷に使用する予定のデザインデータは、発注者から送信された当初のデザインデータに対して校正が行われた後のデータであってもよい。校正後のデザインデータに対する発注者U1の承認が得られた後、承認が得られた校正後のデザインデータが、最終的に印刷に使用するデータとして受注情報保持部22において保持されてもよい。なお、発注者U1(発注者端末90)からのデザインデータの送信に代えて、第三者が作成したデザインデータの候補を発注者端末90の操作により発注者U1が承認することで、印刷データ取得部15が、そのデザインデータの候補をデザインデータとして取得してもよい。第三者が作成したデザインデータの候補は、包材発注管理装置10に保持されていてもよい。デザインデータの候補は、包材発注管理装置10において作成されたデータであってもよく、他のコンピュータ装置において作成された後に、包材発注管理装置10に送信されたデータであってもよい。
【0044】
包材作成指示部16は、注文受付部14が受け付けた注文及び印刷データ取得部15によって取得されたデータに基づいて、包材製造管理装置30に対して包材作成指示を行う機能を有する。このとき、包材作成指示部16は、包材発注管理装置10と連携し得る包材製造部門3のうちどの包材製造部門3の包材製造管理装置30に対して包材作成指示を送信するかを決定する。どの包材製造部門3に対して包材作成指示を送信するかを決定するための情報は、包材製造情報保持部23において保持される。
【0045】
さらに、包材作成指示部16は、注文受付部14及び印刷データ取得部15によって取得した情報と、自装置(包材発注管理装置10)で保持している情報とに基づいて、包材作成指示を送信する対象の包材製造管理装置30への指示に必要な情報を準備する。準備した情報を包材製造管理装置30(印刷機31が含まれる製造部門)に対して送信することで、包材発注管理装置10から包材製造管理装置30への包材作成の指示が行われる。包材発注管理装置10から包材製造管理装置30への包材作成の指示には、注文情報の少なくとも一部と、デザインデータとが含まれる。また、包材作成の指示を行う先が複数の包材製造管理装置30(製造部門)である場合には、各製造部門での包材の製造数量を特定する情報が包材作成の指示に含まれ得る。
【0046】
納品管理部17は、包材作成指示部16によって作成を指示した包材についての納品等の管理を行う機能を有する。包材作成指示部16によって作成が指示された包材は、完成すると包材製造部門3(例えば、工場等)から納品先へ送付され得る。納品管理部17は、包材製造管理装置30から送信される納期情報や納品の通知等に基づいて、発注者に対して注文を受け付けた製品に関する制作状況や納品状況を通知する機能を有する。
【0047】
決済処理部18は、注文受付部14が受け付けた注文に関する決済を行う機能を有する。決済を行うための仕組みは特に限定されず、既存の決済手法を組み合わせて使用することができる。決済に関する履歴(決済を行ったことを示す情報等)は、注文に関する情報等と対応付けて、受注情報保持部22において保持されてもよい。決済に関する情報は、受注情報保持部22に保持される情報とは別に保持されてもよい。この場合、注文毎に決済が行われたことを確認できるように、例えば注文番号を利用した対応付け等が行われていてもよい。
【0048】
発注者情報保持部21は、包材発注管理装置10を使用する発注者U1に関する情報をユーザ情報として保持する機能を有する。一例として、ユーザは、事前にまたは初回の注文時に、包材発注管理装置10に対して登録に必要な情報を提供することで、包材発注管理装置10を利用するユーザとしてユーザ登録をする構成とすることができる。発注者情報保持部21には、発注を行った者だけではなく、発注を検討している者の情報も保持していてもよい。
【0049】
ユーザ登録の際に発注者U1から提供された情報は、発注者情報保持部21に保持される。また、ユーザ毎にユーザを特定する情報(例えば、ユーザID)が割り振られ、この情報を用いて特定のユーザに係る情報を取得することができる。このように、発注者情報保持部21にユーザの情報を登録しておくことで、ユーザが再び注文を行うときには、ユーザとして登録した情報を利用することができる。さらに、包材発注システム1側としては、マーケティング等に登録された情報を利用することもできる。
【0050】
なお、ユーザ登録自体は包材発注管理装置10において必須の構成ではない。例えば、ユーザ管理を行わない場合には、包材発注管理装置10は発注者情報保持部21を有していなくてもよい。また、後述の受注情報保持部22との対応付けを行わない構成としてもよい。また、発注者情報保持部21は、包材発注管理装置10を利用するユーザの一部のみを管理してもよい。すなわち、全ての発注者U1ではなく、一部の発注者U1のみをユーザ登録の対象とする構成としてもよい。つまり、ユーザ登録を行わずに包材の注文を行うことも可能な構成としてもよい。
【0051】
受注情報保持部22は、発注者から受け付けた注文の情報を保持する機能を有する。受注情報保持部22では、発注者からの一度の注文に対応付けて、注文受付部14が取得した情報と、印刷データ取得部15が取得したデザイン(印刷用データ)とが、保持され得る。さらに、受注情報保持部22では、各注文に対して、発注者情報保持部21において保持されているユーザの情報を対応付けて保持しておくことで、ユーザが過去の注文履歴の探索をすることが可能となる。ユーザ登録をしているユーザが発注者となる場合には、ユーザ登録された情報が発注者の情報になるので、ログインした状態で注文を行うことで、紐付けが可能となる。また、初回の注文時にユーザ登録を行う場合には、初回注文時に発注者として入力した情報がユーザ情報として使用され得る。そしてユーザを特定する情報として割り振られたユーザID等を利用して注文後でもデータの紐付けを行うことができる。
【0052】
包材製造情報保持部23は、包材製造に係る情報として、型番と資材との対応関係に係る情報と、包材製造を行う製造部門に係る情報と、を保持する機能を有する。
【0053】
包材製造情報保持部23において保持される型番と資材との対応関係に係る情報の例を図3に示す。図3では、注文時に使用される型番に、仕様書(例えば、製造部門で使用される仕様書を特定する情報)、材質構成が対応付けられている。材質構成とは、各型番に対応する包材を構成する各層の構成を示している。この情報を用いて、1つの型番から、当該型番の包材に使用される資材を特定することができる。図3に示す例では、「材質構成」として軟包材に使用する、基材、中間層、シーラント層、及びこれらの層に使用する資材の厚さを指定する情報が含まれている。また、「材質構成」には、層間で使用する接着剤や、印刷に使用するインク等を指定する情報が含まれていてもよい。「材質構成」に含まれる情報は、軟包材の種類に応じて適宜変更され得る。
【0054】
また、図3に示すように、包材製造情報保持部23において保持される情報には、型番に対応付けて、形状、サイズ、容量の目安、特徴(各軟包材の素材の特徴、用途などを説明する情報)等の情報が含まれていてもよい。包材製造情報保持部23において保持される種々の情報は、例えば、発注者が包材の注文を行う際に使用してもよい。具体的には、例えば、情報提供部12が、形状、サイズ、容量の目安、特徴等の情報を、Webサイト等においてユーザに対して提示し、当該情報に基づいて注文する包材の型番をユーザが選択する態様としてもよい。
【0055】
図4(a)及び図4(b)を参照しながら、図3に示す情報に含まれる、軟包材の構成例について説明する。図4(a)は、軟包材に使用される包材フィルム200を模式的に示す図であり、第1基材フィルム201、接着剤層204、第2基材フィルム202、接着剤層206及び第3基材フィルム203がこの順に積層されている。第1基材フィルム201の一対の主面のうち第2基材フィルム202寄りの一主面にはプライマー層(図示せず)が設けられていてもよい。また、接着剤層204の第1基材フィルム201寄りの一主面に静電インク層205が設けられる。プライマー層が設けられている場合、プライマー層の一対の主面のうち第2基材フィルム202寄りの一主面に静電インク層205が設けられる。この包材フィルム200は、例えば、電子レンジによって加熱される食品等の軟包材に使用されるフィルムである。
【0056】
図4(a)に示すように、第1基材フィルム201は蒸着層がアルミナの透明無機酸化物蒸着2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム12μm(凸版印刷株式会社製:GLARH)であり、第2基材フィルム202はナイロンフィルム15μmであり、第3基材フィルム203は無延伸ポリプロピレンフィルム60μmであるとする。この場合、図4(b)に示すように、材質構成は例えば、「GLARH12/NY15/CPP60」と、材質の略号と厚さ(数字)との組み合わせによって記述され得る。さらに、図4(b)では、蒸着層がアルミナの透明無機酸化物蒸着2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(GLARH)に代えて、メカニカルリサイクルPETを使用したフィルム(GLARNF)を採用可能であることが記載されている。このように、「材質構成」は軟包材に求められる機能を実現するための包材フィルムを構成する材質の構成を規定したものであり、図3に示す例でも同様に材質が略語によって記載されている。
【0057】
なお、図4(b)では、材質構成の他、用途及び袋の形状の指定(電子レンジ用スクエア型スタンディングパウチ)、接着剤層の指定、サイズ、容量の目安、絵柄(絵柄を追加可能な場所の指定)、及び、底テープの指定に係る情報も示されている。図4(b)に示す情報の一部は、図3に示す情報に含まれていてもよいし、図4(b)に示すように、本システムで取り扱う軟包材毎に個別にデータ管理されてもよい。
【0058】
次に、包材製造情報保持部23において保持される、包材製造を行う製造部門に係る情報の例を図5に示す。図5では、包材製造部門毎に、包材製造部門を特定する情報(例えば、製造部門番号)に、その住所、当該製造部門における機器稼働状況、及び、原反在庫が対応付けられている。機器稼働状況には、当該製造部門に設置されている機器の機種(例えば、印刷機、ラミネート機、製袋機等)、機器の型式、生産能力、及び、稼働状況が含まれ得る。稼働状況には、機器ごとの稼働状況に係る情報が含まれる。また、複数の機器が同一の包材の製造に使用される場合には、図5に示されるように複数の機器の稼働状況を1つの情報として示してもよい。機器の稼働状況に係る情報として、機器がメンテナンス中または稼働中のいずれであるかを示す情報が含まれてもよく、機器の稼働スケジュール(例えば、既に発注を受けた包材に対する印刷作業を行うスケジュール)を示す情報が含まれてもよい。また、図5に示されるように、稼働スケジュールが入っていない日時を特定する情報が、機器の稼働状況に係る情報として用いられていてもよい。
【0059】
製造部門に設置されている機器の機種及び型式を特定する情報は、当該製造部門において製造可能な包材を特定する情報に対応する。つまり、包材作成指示部16では、機器の機種及び型式から、当該製造部門においてどのような包材を製造可能か特定することができる。ただし、製造可能な包材を特定する情報についても、包材製造部門を特定する情報に対応付けて保持する構成としてもよい。
【0060】
原反とは、軟包材の使用されるフィルムである。製造部門に係る情報における原反在庫状況とは、当該製造部門における原反の在庫状況を示す情報であり、原反を特定する情報に、在庫量を示す情報が対応付けられていてもよい。また、図5に示されるように、原反を特定する情報に当該原反のコスト(単価)を特定する情報が対応付けられていてもよい。このような情報は、例えば、原反の入荷時期等によってその価格が変動する場合のように、原反のコストが変動し得る場合に有用となり得る。なお、原反以外の資材(例えば、印刷機に使用されるインク、そのほか包材の製造に使用される材料等)についても原反と同様に在庫状況を管理してもよい。
【0061】
包材製造情報保持部23では、図5に示されるような製造部門のデータD1を、包材製造部門ごとに保持していてもよい。これらの情報は、包材作成指示部16によって包材作成指示を送信する対象となる製造部門を決定する際に使用される。
【0062】
図2に戻り、販売情報保持部25は、発注者U1が注文可能な包材の販売に関連する情報(以下、「販売情報」という。)を保持する。販売情報は、発注者まで包材を納品することが可能な期間を示す情報、包材の販売価格を示す情報、及び、包材の注文単位を示す情報のうちの少なくとも1つを含んでもよい。図6には、販売情報の一例が示されている。販売情報には、例えば、型番に対応付けて、販売価格、注文単位である1ロットあたりの個数が含まれてもよい。一例では、1ロットが100個である場合、発注者は、100個単位で包材を注文することが可能であり、最小注文数は100個となる。販売価格は、ロット数に応じて変動するように設定されていてもよい。この場合、ロット数が多くなるに従い、1枚あたりの単価が安くなるように、販売価格が設定されてもよい。ロット数に関係なく、1枚あたりの単価が定められることで、販売価格が設定されてもよい。販売情報保持部25が保持する販売情報には、型番に対応付けて、発注者まで包材を納品することが可能な期間(以下、「納品可能な期間」という。)が含まれてもよい。納品可能な期間は、時間的な幅を持たせた期間(例えば、4~6日のような期間)であってもよく、注文の受け付けから、包材製造部門が出荷できると予測される日までの期間(日数)であってもよい。販売情報保持部25によって保持される販売情報で示される価格等は、包材製造部門の状況を考慮せずに定められた標準の値であってもよい。販売情報は、後述するように、発注者端末90において閲覧可能な情報(例えば、Webサイト)を情報提供部12が準備する際に用いられる。また、販売情報は、発注受付者U2が確認可能となっていてもよく、発注者U1からの注文を受け付ける際に、発注受付者U2が発注者U1に対して提示可能となっていてもよい。
【0063】
販売情報管理部27は、包材の販売に関連する販売情報を管理する機能を有する。販売情報の管理とは、情報提供部12が発注者端末90に対して提供する情報、または、発注者U1に対して発注受付者U2が提示する販売情報に関して、その内容を決定することを意味する。なお、販売情報管理部27は、包材製造部門における包材の作成に係る状況を示す情報に基づいて、発注者端末90に対して送信される販売情報を変更する機能を有していてもよい。販売情報を変更するとは、送信する情報の種類を変更することなく、その情報が示す数値等の内容を変更することを意味する。また、包材製造部門における包材の作成に係る状況を示す情報は、包材製造管理装置30から得られてもよく、また、包材製造情報保持部23に保持されている情報を用いてもよい。
【0064】
なお、販売情報管理部27は、製造部門に設置されている機器の稼働状況等に基づいて、発注者U1または発注者端末90に対して提示する包材の販売価格を変更してもよい。例えば、販売情報管理部27は、製造部門が通常期または閑散期と判断される場合に、発注者U1または発注者端末90に対して提示する価格を、図6に示す価格から変更してもよい。一例では、販売情報管理部27は、製造部門が通常期または閑散期と判断される場合に、注文型番「X0101」に関する100枚の販売価格を10,000円に減額してもよく、200枚の販売価格を15,000円に減額してもよい。販売情報管理部27は、製造部門が繁忙期と判断される場合に、発注者端末90に対して提示する価格を、図6に示す価格から変更してもよい。一例では、販売情報管理部27は、製造部門が繁忙期と判断される場合に、注文型番「X0101」に関する100枚の販売価格を15,000円に増額してもよく、200枚の販売価格を20,000円に増額してもよい。このように販売価格を変更する場合において、販売情報管理部27は、変更後の価格を発注者U1または発注者端末90に対して提示する価格に決定してもよい。
【0065】
また、販売情報管理部27は、製造部門に設置されている機器の稼働状況等に基づいて、発注者U1または発注者端末90に対して送信される納品可能な期間を変更してもよい。例えば、販売情報管理部27は、製造部門が通常期または閑散期と判断される場合に、発注者U1または発注者端末90に対して提示する納期を、図6に示す納期から変更してもよい。一例では、販売情報管理部27は、製造部門が通常期または閑散期と判断される場合に、注文型番「X0101」に関する納品可能期間を3~5日とするように納期を短縮してもよい。販売情報管理部27は、製造部門が繁忙期と判断される場合に、発注者端末90に対して提示する納期を、図6に示す納期から変更してもよい。一例では、販売情報管理部27は、製造部門が繁忙期と判断される場合に、注文型番「X0101」に関する納品可能期間を7~9日とするように納期を延長してもよい。また、販売情報管理部27によって、包材の販売価格または納期が変更される場合、情報提供部12によって、発注者端末90に対して変更後の販売価格が送信される構成としてもよい。
【0066】
包材発注管理装置10では、注文の受け付けによって発生する決済処理を管理する機能をさらに有していてもよい。包材発注管理装置10は、発注者U1または発注者端末90からの注文指示に基づいて注文が確定した際に、注文した時点で販売情報管理部27が設定していた販売価格に従って、決済処理を管理してもよい。決済処理の管理については、既存の処理を適用することが可能となるため、詳細な説明は省略する。
【0067】
[包材製造管理装置]
包材製造管理装置30は、包材発注管理装置10と連携して動作可能な装置である。また、包材製造管理装置30は、自装置が管理する包材製造部門における包材製造に関係する各装置を管理する機能を有する。図2では、包材製造管理装置30Aが設置される包材製造部門3Aにおける包材製造に関係する装置の一例として、印刷機31、ラミネート機32及び製袋機33を示している。印刷機31としては、印刷の種類に応じた印刷機として、デジタル印刷機または非デジタル印刷機(グラビア印刷機、EBオフセット印刷機、フレキソ印刷機等)が選択され得る。ラミネート機32としては、ドライラミネート機、エクストルージョンラミネート機等が挙げられる。なお、図2に示すこれらの機械は一例であって、包材製造管理装置30による管理対象は、これらに限定されない。また、包材製造管理装置30は、管理対象の機器(印刷機31等)を個別に制御可能であってもよいし、動作状況または運転予定(稼働スケジュール)のみを管理する構成であってもよい。包材製造管理装置30は、製造部門における包材の製造に関係する状況を示す状況情報を、包材発注管理装置10に対して送信してもよい。包材製造管理装置30は、所定のタイミングにて(例えば、1日1回)、または、包材発注管理装置10からの要求に応じて、包材発注管理装置10に対して状況情報を送信してもよい。包材製造管理装置30は、他の装置を介して、包材発注管理装置10に対して状況情報を送信(提供)してもよい。
【0068】
さらに、包材製造管理装置30は、自装置が管理する部門において製造する各製品の資材管理、工程管理等を一括して行う構成であってもよい。このように、包材製造管理装置30における管理対象は、管理対象の部門における包材の製造に関する全般の業務とすることができる。ただし、包材製造管理装置30は、これらの業務に係る管理を全て行っていなくてもよく、その一部のみを管理する構成であってもよい。一例として、本実施形態では、包材製造管理装置30は、包材発注管理装置10からの指示に基づいた包材の製造に係る管理の一部として、少なくとも、包材発注管理装置10からの包材の作成指示の受信と、受信したデータの管理と、作成指示を受けた包材の作成状況の管理(工程管理)を行う。なお、これらの管理は、1つの包材製造管理装置30において行う必要はなく、複数の装置で分散して管理する構成であってもよい。
【0069】
[包材発注管理装置及び包材製造管理装置のハードウェア構成]
図7は、包材発注管理装置10または包材製造管理装置30に用いられるコンピュータ110のハードウェア構成の一例を示す図である。例えば、コンピュータ110は制御回路100を有する。一例では、制御回路100は、1つまたは複数のプロセッサ101と、メモリ102と、ストレージ103と、通信ポート104と、入出力ポート105とを有する。プロセッサ101はオペレーティングシステムおよびアプリケーションプログラムを実行する。ストレージ103はハードディスク、不揮発性の半導体メモリ、または取り出し可能な媒体(例えば、磁気ディスク、光ディスクなど)の記憶媒体で構成され、オペレーティングシステムおよびアプリケーションプログラムを記憶する。メモリ102は、ストレージ103からロードされたプログラム、またはプロセッサ101による演算結果を一時的に記憶する。プロセッサ101は、メモリ102と協働してプログラムを実行することで、個々の機能モジュールとして機能する。通信ポート104は、プロセッサ101からの指令に従って、通信ネットワークNWを介して他の装置との間でデータ通信を行う。入出力ポート105は、プロセッサ101からの指令に従って、キーボード、マウス、モニタ、タッチパネルなどの入出力装置(ユーザインタフェース)との間で電気信号の入出力を実行する。
【0070】
なお、包材発注管理装置10及び包材製造管理装置30は、それぞれ複数のコンピュータ110によって構成されていてもよい。また、包材発注管理装置10及び包材製造管理装置30のいずれかが複数のコンピュータ110から構成されている場合、複数のコンピュータ110は、分散配置していてもよく、これらが相互に通信ネットワークNWを介して接続されていてもよい。
【0071】
[包材発注管理方法]
次に、図8図11を参照しながら、包材発注管理装置10及び包材製造管理装置30を含む包材発注システム1による包材発注管理方法について説明する。
【0072】
図8及び図9は、包材発注システム1による発注方法及び納品方法を示すフロー図である。このうち、図8は、発注者U1の注文に係る情報を発注受付者U2が包材発注管理装置10に入力する場合のフロー図である。また、図9は、発注者U1が発注者端末90を利用して自ら包材発注管理装置10に対して注文指示を行う場合のフロー図である。
【0073】
図8に示されるように、発注者U1と発注受付者U2との間で、最初に、ステップS01を実行する。ステップS01では、発注者U1と発注受付者U2との間で、注文内容の検討が行われる。発注者U1が注文する包材を決めきれていないような場合、発注受付者U2が発注者U1から包材のイメージや用途等を聞き出し、その結果に基づいて使用する包材(すなわち、製造する包材)を提案する場合がある。このような場合、発注者U1と発注受付者U2との間で注文内容を検討してもよい。このとき、発注受付者U2は、発注者U1に包材のデザインも提案することとしてもよい。このような手順を経る場合、図8に示されるように、包材発注管理装置10への情報の入力は、発注者U1ではなく発注受付者U2によって行われる場合がある。
【0074】
発注者U1からの注文を発注受付者U2が登録する場合、発注受付者U2が包材発注管理装置10を操作することで、ステップS02が行われる。ステップS02では、発注受付者U2が、包材発注管理装置10に対して発注者U1の情報を入力することで、包材発注管理装置10の発注者情報保持部21にユーザの情報を登録する。これにより、発注者端末90のユーザが発注者となることが可能となる。なお、包材発注管理装置10においてユーザ管理を行わない場合には、この処理は省略され得る。
【0075】
また、ステップS02では、ユーザの登録に続いて、発注受付者U2が、包材発注管理装置10に対して発注者U1の情報を入力することで注文情報を入力する。発注受付者U2は、発注者U1に係る包材の注文に必要な各種情報の少なくとも一部を入力する。このとき、発注受付者U2が入力する情報には、包材の型番を指定する情報が含まれてもよい。また、注文情報には、包材の材質、形状及び大きさを指定する型番情報、製品の納品先に係る情報等が含まれ得る。包材発注管理装置10の注文受付部14では、注文を受け付ける処理を開始するプロセスとして、発注受付者U2によって入力される注文情報を取得し、受注情報保持部22に保持する。また、必要に応じて発注者情報保持部21との対応付け(例えばユーザIDを利用した情報の紐付け)を行う。包材発注管理装置10においてユーザ管理を行わない場合には、注文情報の取得のみが行われる。
【0076】
次に、包材発注管理装置10の印刷データ取得部15では、ステップS03を実行する。ステップS03では、印刷データ取得部15は注文情報に含まれる包材に対応した印刷用のデザインデータを準備する。例えば、発注受付者U2が、印刷用のデザインデータを作成し、包材発注管理装置10に保存する構成としてもよい。また、発注受付者U2とは異なる者(例えば、発注者U1、または第三者等)が、デザインデータを包材発注管理装置10に保存させる構成としてもよい。印刷データ取得部15によって取得されたデザインデータは、受注情報保持部22において、注文情報に対応付けて保持される。
【0077】
このとき、包材発注管理装置10では、注文する包材の形状等に応じて、印刷可能な領域等を指定したフォーマットデータを事前に準備しておいてもよい。この場合、印刷用のデータを作成する者(例えば、発注受付者U2)が、注文する包材に対応したフォーマットデータを取得し、当該データを用いて印刷用のデザインデータを作成してもよい。
【0078】
なお、包材発注管理装置10に送信された当初のデザインデータに対して校正が行われてもよい。この場合、校正後のデザインデータに対する発注者U1の承認が得られた後、印刷データ取得部15は、承認が得られた校正後のデザインデータを、最終的に印刷に使用するデータとして取得してもよい。承認プロセスは、例えば発注受付者U2が代行することとしてもよい。
【0079】
包材発注管理装置10でのデザインデータの取得が行われた後に、発注受付者U2によって、注文に必要な各種情報の一部を入力されてもよい。注文情報の取得、及び、デザインデータの取得は、どのような順で行われてもよい。ここまでの手順が終わると、包材発注管理装置10の決済処理部18はステップS04を実行する。ステップS04では、決済処理部18は、発注者からの注文を確定させて、決済処理を行う。決済処理部18により決済が行われたことを示す情報は、例えば、上述のように受注情報保持部22に記録される。ここまでの処理により、注文の受付に係る一連の処理が完了する。
【0080】
次に、包材発注管理装置10の包材作成指示部16では、ステップS05を実行する。
ステップS05では、包材作成指示部16は、注文情報に含まれる型番を参照し、包材製造情報保持部23に保存される資材に関する情報を参照して、包材製造管理装置30への送信が必要な情報が準備される。すなわち、型番で指定される包材で使用される資材を特定する情報(資材指定情報)が準備される。包材作成指示部16では、包材製造情報保持部23に保存されている情報から、型番に対応する資材の情報を取得する。これにより、包材製造管理装置30へ送信するデータが整うことになる。
【0081】
次に、包材発注管理装置10の包材作成指示部16では、ステップS06を実行する。ステップS06では、包材作成指示部16は、注文情報に含まれる型番と、納品先に係る情報を参照し、包材製造情報保持部23を参照して、製造を担当する包材製造部門(担当部門)を決定する。担当部門の決定手順について詳細は後述するが、製造する包材の種類、包材の製造数量、納期等に基づいて、担当部門が決定される。
【0082】
次に、包材発注管理装置10の包材作成指示部16は、ステップS07を実行する。ステップS07では、包材作成指示部16から包材製造管理装置30に対して包材の作成指示が送信される。作成指示には、注文情報の少なくとも一部(例えば、包材を特定する情報、包材の納品先に係る情報)と、当該包材の作成に使用される資材を指定する情報と、包材への印刷に使用されるデザインデータとが含まれてもよい。
【0083】
次に、包材の作成指示を受けた包材製造管理装置30は、ステップS08を実行する。ステップS08では、包材製造管理装置30は、作成指示に基づいて、包材の作成に係る工程の管理及び作成を開始する。包材製造管理装置30における工程管理の対象とは、例えば、資材の調達、印刷機31、ラミネート機32及び製袋機33等の包材の作成に使用する各装置の使用時間帯の確保等が挙げられる。ステップS08において、デザインデータに対して、印刷機31での使用を可能にするための調整(データの校正等)が行われてもよい。
【0084】
製品の作成と並行して、包材製造管理装置30がステップS09を実行し、これに対応して包材発注管理装置10がステップS10を実行する。ステップS09では、包材製造管理装置30は、包材の納期の予定を包材発注管理装置10に対して通知する。納期の予定は、例えば工程管理(ステップS08)の結果特定され得る。包材製造管理装置30は、納期が見込めた段階で包材発注管理装置10に対して通知する。通知される包材の納期の予定は、販売情報に含まれ得る納品可能な期間に対応するものであってもよく、販売情報を提供した時点からの状況の変化等により、納品可能な期間に対してずれていてもよい。ステップS10では、包材製造管理装置30から納期予定の情報を受信した包材発注管理装置10が、納品管理部17によって納期の情報を発注者U1に対して通知する。発注者U1への通知の方法は特に限定されず、発注者端末90へのメールでの通知等であってもよい。また、発注受付者U2が包材発注管理装置10に対して注文情報を入力した場合、例えば、包材発注管理装置10は、発注受付者U2に対して発注者U1への納期予定の通知を促すように、発注受付者U2に対して通知を行う構成としてもよい。このとき、納品管理部17では、受注情報保持部22に保持されている受注情報において納期の情報を更新することとしてもよい。
【0085】
製品が完成すると、包材製造管理装置30がステップS11を実行する。また、ステップS11の実行に伴い、ステップS12~ステップS14が実行される。ステップS11では、包材製造管理装置30は、完成した製品を作成指示に含まれる納品先に対して製品を発送する。製品の発送と共に、ステップS12として発送通知が包材製造管理装置30から包材発注管理装置10へ送信される。また、ステップS13では、発送通知を受信した包材発注管理装置10は、発送が完了した旨の報告を発注者U1または発注者端末90に対して行う。発注者端末90への通知の方法は、納期の情報の通知と同様、特に限定されない。また、ステップS14に示すように、商品は別途、包材製造管理装置30(製造部門)から納品先へ送付される。なお、図8では納品先が発注者U1である例として、発注者U1に対して商品が送られる状態を示している。納品先は、注文情報に基づいて設定されるので、発注者U1がいる場所とは異なる場所に納品される場合もある。
【0086】
上記によって、1つの包材の作成に係る一連の処理が終了する。なお、同一のユーザが2回目以降に包材の注文を行う場合には、図8に示す手順の一部を省略することができる。例えば、包材発注管理装置10において、ユーザ管理を行っている場合には、2回目以降はユーザ登録が完了しているため、ユーザ登録に係る手順(S02の一部)は省略され、これに対してユーザID等を利用したログイン処理が行われる。また、上述のように、包材発注管理装置10においてユーザ管理を行っている場合には、ユーザ登録に使用された情報を利用して注文情報を作成することができるため、例えば、注文情報の入力(S02の一部)における情報の入力等を簡略化することができる。包材が軽包材以外の部材(例えば、紙器等)である場合、または、包材発注システム1が取り扱う包材の種類に軟包材以外の部材が含まれる場合であっても、図8に示す手順が実行され得る。
【0087】
次に、図9を参照しながら、発注者端末90から包材発注管理装置10に対して包材に係る注文がなされる場合について説明する。図8に示す手順と相違する部分は、注文情報及びデザインデータ等が発注者端末90から送信される点である。
【0088】
この場合、発注者端末90と包材発注管理装置10の間で、まず、ステップS21及びステップS22が行われる。ステップS21では、発注者が発注者端末90を操作することで、包材発注管理装置10が提供するWebサイトを参照し、当該Webサイトに必要情報を入力して、ユーザ登録要求を送信する。一方、ステップS22では、包材発注管理装置10が発注者端末90からのユーザ登録要求を受信し、包材発注管理装置10の発注者情報保持部21にユーザの情報を登録すると共に、発注者端末90に対してユーザ登録が完了したことを通知する。これにより、発注者端末90のユーザが発注者となることが可能となる。なお、ステップS21及びステップS22は、事前にユーザ登録を行う場合の例であり、ユーザ登録を行うタイミングに応じてこの処理は変更され得る。また、包材発注管理装置10においてユーザ管理を行わない場合には、この処理は省略され得る。
【0089】
次に、包材発注管理装置10は、発注者端末90からの要求に基づいてステップS23を実行する。ステップS23では、発注者端末90のユーザが包材発注管理装置10に対して包材の発注を行おうとする場合、ユーザは発注者端末90を操作して注文用のフォームの提示を要求する。この要求に対応して、情報提供部12は注文用フォームを提示する。注文用フォームの形式は特に限定されず、例えば、Webサイトにおいて提供可能な包材を複数表示することでユーザがその中から選択可能であってもよいし、ユーザが型番を入力する構成であってもよい。また、Webサイトにおいて提供可能な包材を複数表示する際に、各包材に関する販売情報(例えば、販売価格、注文単位、納品までの期間の目安)が表示されてもよい。情報提供部12は、注文用フォーム、または、他の画面において、販売情報管理部27によって管理されている販売情報(販売価格、納期等)を表示させてもよい。
【0090】
次に、注文用フォームを取得した発注者端末90では、ステップS24を実行する。ステップS24では、発注者端末90のユーザが注文に必要な各種情報の少なくとも一部を入力する。このとき、ユーザが入力する情報には、包材の型番を指定する情報が含まれてもよい。なお、ユーザは包材の型番を直接指定してもよいが、例えば、Webサイトに掲載されている包材の中から1つの包材を選択した場合に、当該包材に対応する型番が自動的に選択される構成であってもよい。
【0091】
次に、発注者端末90では、ステップS25を実行する。ステップS25では、入力後の注文フォームに記載された情報、すなわち注文情報が発注者端末90から包材発注管理装置10へ送信される。この注文情報には、包材の材質、形状及び大きさを指定する型番情報が含まれ得る。また、注文情報には、製品の納品先に係る情報も含まれ得る。発注者端末90から注文情報が送信されると、包材発注管理装置10の注文受付部14では、ステップS26を実行する。ステップS26では、注文受付部14は、注文を受け付ける処理を開始するプロセスとして、注文情報を取得し、受注情報保持部22に保持する。また、必要に応じて発注者情報保持部21との対応付け(例えばユーザIDを利用した情報の紐付け)を行う。
【0092】
なお、上記の例では、注文用フォームを利用して発注者端末90において注文情報が入力され、入力された注文情報が包材発注管理装置10に対して送信されているが、注文用フォーム等は必須ではない。例えば、発注者端末90から包材発注管理装置10へ、包材の注文に必要な情報が入力されたメールを送信することとしてもよい。このとき、包材発注管理装置10では、当該メールから注文情報に含めるべき情報を取得して、受注情報保持部22に保持する構成としてもよい。
【0093】
次に、包材発注管理装置10の印刷データ取得部15では、ステップS27を実行する。ステップS17では、印刷データ取得部15は、注文情報に含まれる型番に対応したフォーマットデータ(及び必要に応じて設定ファイル)を準備する。次に、包材発注管理装置10の印刷データ取得部15では、ステップS28を実行する。ステップS28では、印刷データ取得部15が準備したフォーマットデータを発注者端末90に対して送信する。一例として、印刷データ取得部15は、フォーマットデータを、発注者端末90からの操作によってデータをダウンロード可能なWebサイト等にアップロードしてもよい。この場合、発注者端末90の操作によって当該データをダウンロードすることで、フォーマットデータを取得する構成としてもよい。各型番に対応したフォーマットデータが、それぞれ特定のWebサイトにおいてダウンロード可能な状態で設けられていてもよく、発注者端末90が特定の型番に対応したフォーマットデータをダウンロードすることによって、フォーマットデータを取得してもよい。
【0094】
これに対して、発注者端末90は、ステップS29を実行する。ステップS29では、フォーマットデータを取得した発注者端末90において、データD1を加工することで、印刷用のデザインデータを作成する。なお、包材発注管理装置10においてフォーマットデータを準備せずに、発注者端末90において印刷用のデザインデータを作成する場合、ステップS27,S28の手順は省略される。
【0095】
作成後のデータについて、発注者端末90は、ステップS30を実行する。ステップS30では、発注者端末90から包材発注管理装置10に対して、加工後の印刷用のデザインデータが送信される。送信されたデータは包材発注管理装置10の印刷データ取得部15において取得される。発注者端末90から包材発注管理装置10へのデザインデータの送付は、例えば、特定のWebサイトへのデータのアップロードによって行われてもよい。包材発注管理装置10に送信された当初のデザインデータに対して校正が行われてもよい。この場合、校正後のデザインデータに対する発注者の承認が得られた後、印刷データ取得部15は、承認が得られた校正後のデザインデータを、最終的に印刷に使用するデータとして取得してもよい。
【0096】
包材発注管理装置10でのデザインデータの取得が行われた後に、ユーザが、注文に必要な各種情報の一部を発注者端末90に更に入力してもよい。注文情報の取得、及び、デザインデータの取得は、どのような順で行われてもよい。ここまでの手順が終わると、包材発注管理装置10の決済処理部18はステップS31を実行する。ステップS31では、決済処理部18は、発注者からの注文を確定させて、決済処理を行う。決済処理部18により決済が行われたことを示す情報は、例えば、上述のように受注情報保持部22に記録される。ここまでの処理により、注文の受付に係る一連の処理が完了する。
【0097】
以降の手順は、図8に示すステップS05以降の手順と同様である。つまり、包材発注管理装置10において包材製造管理装置30への指示に係る準備が行われた後(S05,S06)、包材製造管理装置30に対して製造指示が行われる(S07)。以降は、包材製造管理装置30において工程を管理しながら包材の製造が行われ(S08)、納期の通知(S09,S10)及び発送(S11~S14)に係る処理が行われ、商品が納品先(例えば、発注者U1)へ届けられる。
【0098】
このように、発注者端末90が包材発注管理装置10に対して直接注文情報を送信する場合も想定される。この場合には、包材発注管理装置10は発注者端末90から取得される情報に基づいて、受注情報保持部22において必要な情報を保持する。
【0099】
(製造担当部門の決定手順)
図10を参照しながら、図8のステップS06において包材作成指示部16において行われる、担当部門の決定方法の一例について説明する。
【0100】
まず、ステップS41として、包材作成指示部16は、包材発注管理装置10から包材作成指示を送信する可能性のある包材製造部門について、当該注文情報に基づいた包材を作成する際の製造部門としての優先順序を付与する。この優先順序とは、複数の包材製造部門の中から注文情報で指定された包材の製造を割り当てる際の優先順序である。図1に示す3つの製造部門の例の場合、デジタル印刷の包材は、包材製造部門3A,3Bが製造可能であるが、包材製造部門3Cでは不可能である。また、包材製造部門3A,3Bで比較すると、包材製造部門3Bと比べて、包材製造部門3Aの製造能力が高いとされている。ここで、包材の注文の数量が多いため、製造能力が高い包材製造部門を担当部門としたいとする。この場合、包材製造部門3Aを優先順位1位とし、包材製造部門3Bを優先順位2位と設定する。また、包材製造部門3Cは、そもそも注文されているデジタル印刷の包材が製造できないので、優先順位を割り振る対象から除外する。このように、ステップS41では、注文された包材の製造が可能な製造部門について、何らかの基準に基づいて優先順位を割り当てる。
【0101】
なお、優先順位を割り当てる際の基準は、上記の製造能力に限定されない。他の要素として、包材の輸送コスト、原反コストなどに由来する製造コストが挙げられる。包材作成指示部16は、納品先80へ納品する場合の輸送コストが包材製造部門によって変化する場合、輸送コストをより抑制可能な包材製造部門に対して高い優先順位を割り当ててもよい。輸送コストをより抑制可能な包材製造部門は、例えば、複数の包装製造部門のうち納品先80に至るまでの移動距離がより短い製造部門であってもよく、複数の包装製造部門のうち納品先80に至るまでの移動時間がより短い製造部門であってもよく、複数の包装製造部門のうち納品先80に至るまでの移動に係る有料道路料金がより少ない製造部門であってもよい。
【0102】
以上のように、包材作成指示部16は、納品先の位置情報と複数の製造部門のそれぞれの位置情報とに基づいて算出される包材の輸送コストに基づいて、包材作成指示を送信する製造部門を決定してもよい。輸送コストの算出では、例えば、包材作成指示部16は、納品先の位置情報と複数の製造部門のそれぞれの位置情報とを参照し、複数の製造部門のそれぞれの位置情報(出発地)から納品先の位置情報(目的地)に至る経路をダイクストラ法等の公知の手法により経路探索する。そして、包材作成指示部16は、経路探索の結果に応じて、納品先と複数の製造部門のそれぞれとの間の移動距離、移動時間、移動料金の少なくとも1つを算出した後、1種類以上の算出結果に基づいて輸送コストが最も少ない製造部門を選択する。また、別の要素として、包材製造部門の機器の稼働状況をふまえて、決定済みの稼働スケジュールが少ない包材製造部門(すなわち、稼働スケジュールに余裕のある包材製造部門)に対して高い優先順位を付与する等、包材製造部門の稼働状況に基づいてもよい。
【0103】
次に、ステップS42として、包材作成指示部16は、優先順位を割り当てた包材製造部門の中から、最上位の包材製造部門を選択する。次に、ステップS43として、包材作成指示部16は、選択した最上位の包材製造部門において、注文情報で指定された条件で包材を製造することが可能かを確認する。例えば、包材発注管理装置10では、情報提供部12が提示した納期通りに、発注者が入力した注文数量の包材を納品先に納品することが可能となるように、包材製造部門に対して包材作成指示を行う必要がある。そこで、包材作成指示部16は、最上位の包材製造部門において包材を製造した場合に、注文条件通りに、すなわち、指定された数量の指定された包材を指定された納品先に対して指定された納期までに納品が可能かを確認する。この確認は、包材作成指示部16が、包材製造情報保持部23において保持される情報を参照することによって行われる。例えば、図5に示されるデータD1に含まれる、機器稼働状況に含まれる機種の生産能力及び稼働状況から、包材を指定された納期に間に合うように製造するか否かを確認することができる。包材作成指示部16は、このように包材製造部門ごとのデータから、注文通りに包材を作成することが可能かを確認する。
【0104】
確認の結果、優先順位が最上位の包材製造部門において注文条件通りに包材が製造できると判断される場合(S43-YES)には、包材作成指示部16は、ステップS44として、現在選択している包材製造部門において注文された包材の製造を担当すると決定する。一方、優先順位が最上位の包材製造部門において、納期または生産能力等の事情によって注文条件通りに包材が製造できないと判断される場合(S43-NO)には、包材作成指示部16は、ステップS45として、当該包材製造部門での包材の製造は行わないと決定する。その上で、ステップS46として、包材作成指示部16は、優先順位が付与され、且つ、担当製造部門にするか否かの判定が行われていない包材製造部門が他にあるかを確認する。担当製造部門にするか否かの判定が行われていない包材製造部門が残っている場合(S46-NO)、包材作成指示部16は、その中から最上位の包材製造部門を選択し(S42)、以降の処理を繰り返す。一方、担当製造部門にするか否かの判定が行われていない包材製造部門が残っていない、すなわち、直前に判定をした包材製造部門が最後の部門である場合(S46-YES)、優先順位が付与された包材製造部門の中から担当製造部門の決定ができなかったことになる。したがって、ステップS47として、包材作成指示部16は、注文情報によって特定される包材の製造を担当する包材製造部門を割り当てることができなかったことを通知する。この通知を発出することにより、包材発注管理装置10の操作者が、担当製造部門の割り当てができていないことを検知することができるため、操作者によって、包材製造部門との調整、または発注者との納期の調整等、種々の調整を行うことが可能となる。
【0105】
図10に示す手順の変形例について、図11を参照しながら説明する。図10に示した例は、1つの注文情報における包材の製造を1つの包材製造部門が担当することを前提としたものであった。これに対して、図11に示す例は1つの包材の製造を複数の包材製造部門で分担することを想定したものである。1回の注文量が多い場合、または、包材製造部門の稼働可能な期間(製造スケジュールが空いている期間)が少なく、ある程度の数量の包材を1箇所で製造できない場合等に、複数の包材製造部門で製造することが想定される。
【0106】
まず、ステップS51として、包材作成指示部16は、包材発注管理装置10から包材作成指示を送信する可能性のある包材製造部門について、当該注文情報に基づいた包材を作成する際の製造部門としての優先順序を付与する。この優先順序とは、複数の包材製造部門の中から注文情報で指定された包材の製造を割り当てる際の優先順序である。優先順序を付与するための方法は図10で示した場合と同様である。例えば、包材作成指示部16では、包材製造情報保持部23において保持される、包材製造部門に係る情報と、注文情報に含まれる納品先の情報等を用いて、包材の製造を割り当てる際の優先順位を各包材製造部門に対して付与する。優先順位を割り当てる基準は上記の例に限定されず、例えば、包材製造部門の機器の稼働状況をふまえて、決定済みの稼働スケジュールが少ない包材製造部門に対して高い優先順位を付与する等、包材製造部門の稼働状況に基づいてもよい。
【0107】
ステップS52として、包材作成指示部16は、優先順位を割り当てた包材製造部門の中から、最上位の包材製造部門を選択する。その上で、ステップS53として、包材作成指示部16は、選択した最上位の包材製造部門において、注文情報で指定された条件で包材を製造することが可能かを確認する。このとき、包材作成指示部16では、選択した最上位の包材製造部門において、注文情報に含まれる包材の作成数(注文数)を予め設定された納期までに製造可能かを判断する。ここで、生産可能数が注文数以上である場合には、当該包材製造部門において全包材を製造することができる。したがって、最上位の包材製造部門において注文条件通りに包材が製造できると判断される場合(S53-YES)には、包材作成指示部16は、ステップS54として、現在選択している包材製造部門において注文された包材のすべてを製造すると決定する。一方、優先順位が最上位の包材製造部門において、注文された包材の一部は製造できるものの、全ては製造できないと判断される場合(S53-NO)には、包材作成指示部16は、ステップS55として、当該包材製造部門において、製造可能な一部の包材について製造すると決定する。その上で、ステップS56として、最上位の包材製造部門では製造できない残数の包材について、優先順位が次点にある包材製造部門において製造できるかを確認する。すなわち、包材作成指示部16は、優先順位が付与され、且つ、担当製造部門にするか否かの判定が行われていない次点の包材製造部門があるかを確認する。次点の包材製造部門が残っている場合(S56-YES)、包材作成指示部16は、次点、すなわち、その段階で最上位の包材製造部門を選択し(S52)、以降の処理を繰り返す。一方、担当製造部門にするか否かの判定が行われていない包材製造部門が残っていない、すなわち、直前に判定をした包材製造部門が最後の部門である場合(S56-NO)、優先順位が付与された包材製造部門の中から担当製造部門の決定ができなかったことになる。したがって、ステップS57として、包材作成指示部16は、注文情報によって特定される包材の製造を担当する包材製造部門を割り当てることができなかったことを通知する。この通知を発出することにより、包材発注管理装置10の操作者が、担当製造部門の割り当てができていないことを検知することができるため、操作者によって、包材製造部門との調整、または発注者との納期の調整等、種々の調整を行うことが可能となる。
【0108】
図11に示す例では、全ての包材の製造を一箇所の包材製造部門で行うのではなく、複数の包材製造部門で分散して製造することが可能である。ただし、複数の包材製造部門で製造する場合、納品先への輸送コストが増大する可能性もある。したがって、優先順位を付与する(S51)際の基準として、例えば、包材製造部門での生産能力をふまえて優先順位を付与する(例えば、生産能力が高い部門に高い優先順位を付与する)こととしてもよい。また、図11に示す例では、1つの注文情報に含まれる1種類の包材を複数の包材製造部門において製造する場合が発生する。この場合、包材作成指示部16から包材製造管理装置30へ送信される包材作成指示には、製造部門毎に製造する包材の製造数量を特定する情報が含まれる。
【0109】
[実施形態の効果]
以上に説明した包材発注システム1において、包材発注管理装置10は、発注者からの包材の製造に係る注文を受け付ける装置である。包材発注管理装置10は、発注者からの注文の内容を示す注文情報と、注文情報により特定される包材に対して印刷するデザインが含まれたデザインデータと、を取得する注文関連情報取得部としての注文受付部14及び印刷データ取得部15と、注文情報の少なくとも一部と、デザインデータとを含む包材作成指示を、印刷機31が含まれる製造部門の包材製造管理装置30に対して送信する包材作成指示部16とを有する。包材作成指示部16は、発注者からの注文情報に含まれる、包材の種類を特定する情報と、複数の製造部門に係る情報に含まれる、各製造部門において製造可能な包材の種類を特定する情報と、に基づいて、複数の製造部門のうち前記包材作成指示を送信する製造部門を決定する。
【0110】
上記の構成によれば、包材発注管理装置10において包材の種類に応じて、包材の作成に適した製造部門を選択して、包材発注管理装置10から包材製造管理装置30に対して包材作成指示を送信することができる。そのため、製造部門に対して包材の作成の作業を適切に振り分けることができる。従来から包材の製造に係る注文を受けた場合、製造部門に対して包材の作成指示を送信することが検討されていたが、製造部門への作業の振り分け及びその指示等は人によって行われることが一般的であった。この場合、人による判断が入るため、製造不可能な包材の作成に係る指示を行ってしまう可能性があり、作業の振り分けの精度の点において改善の余地があった。これに対して、上記の構成であれば、包材の種類が多い場合であっても、注文情報及び製造部門の情報に基づいて、作業の振り分けを包材発注管理装置10において適切に行うことができる。
【0111】
注文情報は、作成された包材の納品先を指定する情報を含んでいてもよい。また、包材作成指示部16は、納品先の位置情報と複数の製造部門のそれぞれの位置情報とに基づいて算出される包材の輸送コストにも基づいて、包材作成指示を送信する製造部門を決定してもよい。このような構成とすることで、例えば、包材の輸送コストが小さくなるように、複数の製造部門のうち包材作成指示を送信する1以上の製造部門を決定することができるため、輸送コストを考慮して、製造部門に対して包材の作成の作業を適切に振り分けることができる。
【0112】
包材作成指示部16は、注文情報により特定される包材に係る、複数の製造部門それぞれでの製造コストにも基づいて、包材作成指示を送信する製造部門を決定してもよい。このような構成とすることで、例えば、包材の製造コストが小さくなるように、複数の製造部門のうち包材作成指示を送信する1以上の製造部門を決定することができる。この場合、製造コストを考慮して、製造部門に対して包材の作成の作業を適切に振り分けることができる。
【0113】
包材作成指示部16は、複数の製造部門それぞれのうち、注文情報により特定される包材を製造可能な製造部門について、包材作成指示を優先して送信するための優先順位を付与してもよい。このとき、優先順位が高い製造部門から、注文情報により特定される包材を製造可能かどうか判定することによって、包材作成指示を送信する製造部門を決定してもよい。このような構成とすることで、包材作成に適した製造部門に対して高い優先順位を付与することで、当該製造部門に対して包材作成指示を送信することができる。したがって、優先順位を利用して、包材の製造に適した製造部門に対してより適切に作業を振り分けることができる。
【0114】
包材作成指示部16は、注文情報により特定される包材を前記複数の製造部門に含まれる2以上の製造部門で分担して製造することを決定してもよい。このとき、包材作成指示部16から分担することが決定された2以上の製造部門のそれぞれに対して、各該製造部門での包材の製造量を含む包材作成指示を送信してもよい。このような構成とすることで、例えば、1つの製造部門では製造することができない注文数の包材も2以上の製造部門で分担して製造することが可能となり、より柔軟な作業の振り分けができる。
【0115】
[変形例]
以上、本開示は必ずしも上述した例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0116】
包材発注管理装置10の一部の機能は、包材発注管理装置10とは別の装置で管理する構成としてもよい。例えば、ユーザ情報等、包材発注管理装置10が保持する情報の一部の管理は、包材発注管理装置10とは別の装置で行う構成であってもよい。また、決済関係についても、包材発注管理装置10とは別の装置で管理する構成であってもよい。また、注文情報または販売情報に含まれる情報は、上記実施形態で説明したものには限定されず、種々の情報を組み合わせることができる。また、注文用の入力フォーム、デザインデータの構成等も適宜変更され得る。以上に説明した種々の例のうちのいずれかの例で説明した内容の少なくとも一部が、他の例に適用されてもよい。
【0117】
また、包材発注管理装置10または包材製造管理装置30において保持される情報の形式及びその内容は、上記実施形態で説明した構成とは異なっていてもよい。
【0118】
また、図8及び図9で説明した、包材発注システムによる発注方法及び納品方法は組み合わせることができる。例えば、発注者U1からの注文は、発注受付者U2が包材発注管理装置10に入力するが、その後の印刷用のデザインデータの送信などは発注者端末90から発注者U1が直接行う、というような処理の流れにしてもよい。また、納品通知、発送通知についてのみ、発注者端末90に対して送信する、というような流れにしてもよい。
【0119】
また、上記実施形態では、デジタル印刷による軟包材を製造する場合を例に説明したが、当然ながらその他の包材にも適用することができる。デジタル印刷機を使用した包材に係る注文を受けて、その包材に係る作成指示を包材製造部門に対して送信する場合、作業者によるデザインデータの加工等のプロセスを少なくしながら作業の振り分けを自動的に行うことができるのに対して、他の包材については印刷用の版作成等が必要になる。そのため、印刷の方法によって、適宜必要な工程が追加され得る。
【0120】
[付記]
本開示は以下の構成を含む。
[1]発注者からの包材の製造に係る注文を受け付ける包材発注管理装置であって、
前記発注者からの前記注文の内容を示す注文情報と、前記注文情報により特定される包材に対して印刷するデザインが含まれたデザインデータと、を取得する注文関連情報取得部と、
前記注文情報の少なくとも一部と、前記デザインデータとを含む包材作成指示を、印刷機が含まれる複数の製造部門に含まれる1以上の製造部門に対して送信する包材作成指示部と、を有し、
前記包材作成指示部は、前記注文情報と、前記複数の製造部門に係る情報と、に基づいて、前記複数の製造部門のうち前記包材作成指示を送信する製造部門を決定し、
前記注文情報は、前記包材の種類を特定する情報を含み、
前記複数の製造部門に係る情報は、各製造部門において製造可能な包材の種類を特定する情報を含む、包材発注管理装置。
[2]前記注文情報は、作成された前記包材の納品先を指定する情報を含み、
前記包材作成指示部は、前記納品先の位置情報と前記複数の製造部門のそれぞれの位置情報とに基づいて算出される前記包材の輸送コストにも基づいて、前記包材作成指示を送信する製造部門を決定する、[1]に記載の包材発注管理装置。
[3]前記包材作成指示部は、前記注文情報により特定される包材に係る、前記複数の製造部門それぞれでの製造コストにも基づいて、前記包材作成指示を送信する製造部門を決定する、[1]に記載の包材発注管理装置。
[4]前記包材作成指示部は、
前記複数の製造部門それぞれのうち、前記注文情報により特定される包材を製造可能な製造部門について、前記包材作成指示を優先して送信するための優先順位を付与し、
前記優先順位が高い前記製造部門から、前記注文情報により特定される包材を製造可能かどうか判定することによって、前記包材作成指示を送信する製造部門を決定する、[1]~[3]のいずれかに記載の包材発注管理装置。
[5]前記包材作成指示部は、前記注文情報により特定される包材を前記複数の製造部門に含まれる2以上の製造部門で分担して製造することを決定し、分担することが決定された前記2以上の製造部門に対して前記包材の製造量を含む前記包材作成指示を送信する、[1]~[4]のいずれかに記載の包材発注管理装置。
[6]発注者からの包材の製造に係る注文を受け付ける包材発注管理装置と、印刷機が含まれる複数の製造部門のそれぞれに設けられて、前記包材発注管理装置からの指示に基づいた包材の作成を管理する複数の包材製造管理装置と、を備える包材発注システムであって、
前記包材発注管理装置は、
前記発注者による操作に基づいて、前記注文の内容を示す注文情報と、前記注文情報により特定される包材に対して印刷するデザインが含まれたデザインデータと、を取得する注文関連情報取得部と、
前記注文情報の少なくとも一部と、前記デザインデータとを含む包材作成指示を、前記複数の包材製造管理装置に含まれる1以上の包材製造管理装置に対して送信する包材作成指示部と、
を有し、
前記複数の包材製造管理装置のうち、前記包材作成指示を受信した包材製造管理装置は、前記包材作成指示に基づいて、自装置が管理する製造部門での前記包材の作成を管理し、
前記包材発注管理装置の前記包材作成指示部は、前記注文情報と、前記複数の製造部門に係る情報と、に基づいて、前記複数の製造部門のうち前記包材作成指示を送信する製造部門を決定し、決定された製造部門に対応する前記包材製造管理装置に対して前記包材作成指示を送信し、
前記注文情報は、前記包材の種類を特定する情報を含み、
前記複数の製造部門に係る情報は、各製造部門において製造可能な包材の種類を特定する情報を含む、包材発注システム。
【符号の説明】
【0121】
1…包材発注システム、3,3A,3B,3C…包材製造部門、10…包材発注管理装置、12…情報提供部、14…注文受付部、15…印刷データ取得部、16…包材作成指示部、17…納品管理部、18…決済処理部、21…発注者情報保持部、22…受注情報保持部、23…包材製造情報保持部、25…販売情報保持部、27…販売情報管理部、30,30A,30B,30C…包材製造管理装置、31…印刷機、90…発注者端末。
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