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特開2024-87279電子機器、充電制御方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087279
(43)【公開日】2024-07-01
(54)【発明の名称】電子機器、充電制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/10 20160101AFI20240624BHJP
   H02J 7/35 20060101ALI20240624BHJP
   H02J 7/04 20060101ALI20240624BHJP
   H02J 7/10 20060101ALI20240624BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240624BHJP
   H02J 50/80 20160101ALI20240624BHJP
   G06K 19/07 20060101ALI20240624BHJP
   G04G 19/00 20060101ALI20240624BHJP
   G04R 20/26 20130101ALI20240624BHJP
   G04G 21/04 20130101ALI20240624BHJP
【FI】
H02J50/10
H02J7/35 B
H02J7/04 A
H02J7/10 A
H02J7/00 301D
H02J50/80
G06K19/07 090
G06K19/07 040
G06K19/07 230
G04G19/00 X
G04G19/00 A
G04R20/26
G04G21/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022202022
(22)【出願日】2022-12-19
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096699
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿嶋 英實
(74)【代理人】
【識別番号】100171882
【弁理士】
【氏名又は名称】北庄 麗絵子
(72)【発明者】
【氏名】内田 修平
(72)【発明者】
【氏名】伊東 孝司
【テーマコード(参考)】
2F002
5G503
【Fターム(参考)】
2F002AA12
2F002AE00
2F002BB04
2F002GA06
5G503AA06
5G503BA01
5G503BB01
5G503CA08
5G503CA11
5G503CC02
5G503EA02
5G503EA05
5G503GB08
5G503GD03
5G503GD06
(57)【要約】
【課題】バッテリに負担をかけることなく、効率的に充電可能とする。
【解決手段】電子腕時計10は、文字盤にソーラーパネル11を備えており、外部光(太陽光)を受けたソーラーパネル11による発電電力でバッテリを充電するソーラー充電機能を備えている。また、電子腕時計10は、NFCタグ12を有し、リーダ/ライタ装置20のNFCタグ21との間で通信を行うとともに、NFCによる通信時に取り出した電力の一部でバッテリを充電するワイヤレス充電機能も備えている。電子腕時計10は、ソーラーパネル11による発電電力の有無及び/又はバッテリの電池残量に基づいて、NFCによる通信時に取り出した電力の一部(余剰電力)でバッテリを充電するか否かを制御する。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部機器と近距離無線通信を行った際に発生した磁界を電力に変換する変換部と、
前記電力のうち少なくとも一部の電力で充電可能な電池と、
所定の条件を満たしているか否かを判定し、当該判定の結果に基づいて前記少なくとも一部の電力による前記電池への充電を制御する制御部と、
を備えたことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記制御部は、
前記所定の条件として、前記電池の残量が第1閾値より大であると判定した場合には、前記少なくとも一部の電力による前記電池への充電を実行しないように制御する、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記制御部は、
前記所定の条件として、前記電池の残量が前記第1閾値より小さい第2閾値以下であると判定した場合には、前記少なくとも一部の電力による前記電池への充電を実行するように制御する、
ことを特徴とする請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記制御部は、
前記所定の条件として、前記電池の残量が前記第1閾値以下で、かつ前記第2閾値より大であると判定した場合には、前記少なくとも一部の電力による前記電池への充電を実行するように制御する、
ことを特徴とする請求項3に記載の電子機器。
【請求項5】
外部光によって発電するソーラー発電部を更に備え、
前記制御部は、
前記所定の条件として、前記ソーラー発電部によって発電される電力が前記電池に充電されている場合には、前記少なくとも一部の電力による前記電池への充電を実行しないよう制御する、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項6】
外部光によって発電するソーラー発電部を更に備え、
前記制御部は、
前記所定の条件として、前記電池の残量が第1閾値より大であると判定した場合であって、
前記ソーラー発電部によって発電される電力が前記電池に充電されていない場合には、前記電池への充電を実行しない、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項7】
前記制御部は、
前記所定の条件として、前記電池の残量が前記第1閾値より小さい第2閾値以下であると判定した場合であって、
前記ソーラー発電部によって発電される電力が前記電池に充電されていない場合には、前記少なくとも一部の電力による前記電池への充電を実行し、
前記ソーラー発電部によって発電される電力が前記電池に充電されている場合には、前記ソーラー発電部による発電電力及び前記少なくとも一部の電力の双方による前記電池への充電を実行する、
ことを特徴とする請求項6に記載の電子機器。
【請求項8】
前記制御部は、
前記所定の条件として、前記電池の残量が前記第1閾値以下で、かつ前記第2閾値より大であると判定された場合であって、
前記ソーラー発電部によって発電される電力が前記電池に充電されていない場合には、前記少なくとも一部の電力による前記電池への充電を実行し、
前記ソーラー発電部によって発電される電力が前記電池に充電されている場合には、前記少なくとも一部の電力による前記電池への充電は実行しない、
ことを特徴とする請求項7に記載の電子機器。
【請求項9】
前記制御部は、
前記ソーラー発電部によって発電される電力が前記電池に充電されているか否かを、前記ソーラー発電部の出力電圧が所定の基準値以上であるか否かに基づいて判断する、
ことを特徴とする請求項5乃至8のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項10】
前記少なくとも一部の電力は、前記変換部によって変換された電力のうち、当該電子機器が前記外部機器と近距離無線通信を行うことで、前記外部機器に所定の処理を実行させた場合に当該電子機器で使用された電力を差し引いた余剰電力である、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項11】
前記少なくとも一部の電力は、前記変換部によって変換された電力のうち、当該電子機器が前記外部機器と近距離無線通信を行った際に、前記外部機器に決済処理を実行させた場合に当該電子機器で使用された電力を差し引いた余剰電力である、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項12】
電子機器の制御部による充電制御方法であって、
外部機器と近距離無線通信を行った際に発生した磁界を電力に変換するステップと、
前記電力のうち少なくとも一部の電力で電池を充電するステップと、
所定の条件を満たしているか否かを判定し、当該判定の結果に基づいて前記少なくとも一部の電力による前記電池への充電を制御するステップと、
を含むことを特徴とする充電制御方法。
【請求項13】
近距離無線通信を行う無線部と制御部とを備える電子機器のコンピュータに、
外部機器と近距離無線通信を行った際に発生した磁界を電力に変換する変換機能、
前記電力のうち少なくとも一部の電力で電池を充電する充電機能、
所定の条件を満たしているか否かを判定し、当該判定の結果に基づいて前記少なくとも一部の電力による前記電池への充電を制御する充電制御機能、
を実現させるためのプログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器、充電制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子腕時計(電子機器)では、ソーラー充電システムが一部に採用されているが、曇った状態では充電量も少なく、また長期間放置した時計で電池切れが発生した場合には、ユーザが、わざわざ日の当たる場所を見つけて充電するといった煩わしさがあった。また、ソーラー充電システムに加えて、リーダ/ライタ装置との間でNFC(Near Field Communication;近距離無線通信)によるデータ通信時に取り出せる余剰電力から充電するワイヤレス充電システムも採用されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-66756号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の場合、リーダ/ライタ装置との間でNFCによるデータ通信を行う度に、充電を繰り返してしまう可能性があり、バッテリの持ちが悪くなってしまうという問題がある。
【0005】
そこで本発明は、バッテリに負担をかけることなく、効率的に充電可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る電子機器は、外部機器と近距離無線通信を行った際に発生した磁界を電力に変換する変換部と、前記電力のうち少なくとも一部の電力で充電可能な電池と、所定の条件を満たしているか否かを判定し、当該判定の結果に基づいて前記少なくとも一部の電力による前記電池への充電を制御する制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
この発明に係る充電制御方法は、電子機器の制御部による充電制御方法であって、外部機器と近距離無線通信を行った際に発生した磁界を電力に変換するステップと、前記電力のうち少なくとも一部の電力で電池を充電するステップと、所定の条件を満たしているか否かを判定し、当該判定の結果に基づいて前記少なくとも一部の電力による前記電池への充電を制御するステップと、を含むことを特徴とする。
【0008】
この発明に係るプログラムは、近距離無線通信を行う無線部と制御部とを備える電子機器のコンピュータに、外部機器と近距離無線通信を行った際に発生した磁界を電力に変換する変換機能、前記電力のうち少なくとも一部の電力で電池を充電する充電機能、所定の条件を満たしているか否かを判定し、当該判定の結果に基づいて前記少なくとも一部の電力による前記電池への充電を制御する充電制御機能、を実現させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、バッテリに負担をかけることなく、効率的に充電することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態による充電制御システム1の構成を示す模式図である。
図2】本発明の実施形態による電子腕時計(電子機器)10及びリーダ/ライタ装置20の構成を示すブロック図である。
図3】本実施形態による電子腕時計(電子機器)10の充電制御動作を説明するためのフローチャートである。
図4】本実施形態による電子腕時計(電子機器)10の充電制御動作を説明するための概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施形態による充電制御システム1の構成を示す模式図である。図において、充電制御システム1は、電子腕時計(電子機器)10とリーダ/ライタ装置20とからなる。電子腕時計10は、文字盤にソーラーパネル11を備えており、外部光(太陽光)を受けたソーラーパネル11による発電電力でバッテリ(不図示;電池)を充電するソーラー充電機能を備えている。また、電子腕時計10は、NFCタグ12を有し、リーダ/ライタ装置20のNFCタグ21との間で通信を行うとともに、NFCによる通信時に取り出した電力の一部でバッテリ(不図示)を充電するワイヤレス充電機能も備えている。リーダ/ライタ装置20は、NFCタグ21を有する電子機器であり、特に、自動改札機、店舗等の決済装置、施設等における個人認証装置、スマートフォン、タブレット端末などからなる。
【0013】
自動改札機では、ユーザが改札を通り抜ける際に、電子腕時計10を自動改札機の所定のパッド上にかざすことで、NFCによるデータ通信が実行され、乗車駅、乗車時刻、降車駅、降車時刻などの記録、運賃の支払などが行われる。また、店舗棟の決済装置では、決済用の端末機にユーザが電子腕時計10をかざすことで、NFCによるデータ通信が実行され、電子マネーなどによる支払が行われる。また、施設等における個人認証装置では、ユーザが個人認証を必要とされる施設に入る場合において、入口に設置されているリーダ装置にユーザが電子腕時計10をかざすことで、NFCによるデータ通信が実行され、個人認証が行われる。さらに、スマートフォンや、タブレット端末などでは、電子腕時計10がかざされた際に起動すべきアプリケーション(例えば、地図アプリケーションなど)を予め設定しておき、ユーザが電子腕時計10をかざすことでNFCによるデータ通信が実行されたことをトリガーにして、予め設定されていたアプリケーションを自動的に起動させる(リーダ/ライタ装置20(外部機器)に所定の処理を実行させる)というような利用方法がある。
【0014】
このように、上述したリーダ/ライタ装置20と電子腕時計10とのNFCによるデータ通信は、比較的短時間(秒単位)である。本実施形態では、この短時間のNFCによるデータ通信時に取り出した電力の一部でバッテリ(不図示)を充電するようになっている。しかしながら、状況によっては、短時間に充電を繰り返してしまう可能性があり、バッテリの持ちが悪くなってしまうという問題がある。そこで、本実施形態では、短時間のNFCによるデータ通信時に取り出した電力の一部による充電を適切に制御し、バッテリに負担をかけることなく、効率的に充電することを可能とする。
【0015】
本発明の実施形態による電子腕時計(電子機器)10及びリーダ/ライタ装置20の構成を示すブロック図である。図2に示すように、電子腕時計10は、ソーラー電圧発生部(ソーラー発電部)101、バッテリ(電池)102、制御部103、NFCモジュール104、NFCアンテナ105などを備えている。ソーラー電圧発生部101は、ソーラーパネル11による発電電力を出力する。該発電電力(出力電圧)は、逆流防止ダイオードD1を介してバッテリ102に充電される。制御部103は、ソーラー電圧発生部101の出力電圧及び/又はバッテリ102の電池残量に基づいて、NFCモジュール104に対して、NFCによるデータ通信で発生した電力のうち少なくとも一部の電力(余剰電力)を出力するか否かを指示するON/OFF制御信号を出力する。
【0016】
少なくとも一部の電力(余剰電力)は、NFCモジュール104によって変換された電力のうち、電子腕時計(電子機器)10がリーダ/ライタ装置20とNFCによるデータ通信を行うことで、リーダ/ライタ装置20に所定の処理を実行させるために電子腕時計(電子機器)10で使用された電力を差し引いた電力である。例えば、上述した施設等における個人認証装置や、スマートフォンや、タブレット端末などとのNFCによるデータ通信では、少なくとも一部の電力は、NFCモジュール104によって変換された電力のうち、リーダ/ライタ装置20に所定の処理(アプリケーションの起動等)を実行させるために電子腕時計(電子機器)10で使用された電力を差し引いた余剰電力である。また、上述した自動改札機や、店舗棟の決済装置などとのNFCによるデータ通信では、少なくとも一部の電力は、NFCモジュール104によって変換された電力のうち、電子腕時計(電子機器)10で決済処理を実行した場合に使用された電力を差し引いた余剰電力である、
【0017】
NFCモジュール104は、リーダ/ライタ装置20との間でNFCアンテナ105を用いたNFCによるデータ通信を制御する。リーダ/ライタ装置20との間でNFCによるデータ通信が開始されると、NFCアンテナ105とリーダ/ライタ装置20のNFCアンテナ203との間で電磁誘導が発生する。NFCアンテナ105では、上記電磁誘導により電力が発生する。該発生電力は、NFCモジュール104を駆動するためのNFCモジュール動作電力を上回る余剰電力を含む。NFCモジュール104は、制御部103からON制御信号が供給されると、NFCアンテナ105で発生した発生電力のうち、余剰電力を余剰電力出力端から出力する。余剰電力は、逆流防止ダイオードD1を介してバッテリ102に供給される。ゆえに、バッテリ102は、ソーラー電圧発生部101の出力電圧と余剰電力とによって充電される。一方、NFCモジュール104は、制御部103からOFF制御信号が供給されると、NFCアンテナ105で発生した発生電力を余剰電力出力端から出力しない。ゆえに、バッテリ102は、ソーラー電圧発生部101の出力電圧のみによって充電される。
【0018】
特に、本実施形態では、制御部103は、リーダ/ライタ装置20との間でNFCによるデータ通信が開始されると、バッテリ102の電池残量が極めて少ない場合には、ソーラー発電による充電の有無によらず、NFCによる余剰電力でバッテリ102を充電するように制御する。また、バッテリ102の電池残量がやや少ない場合には、ソーラー発電による充電がなければ、NFCによる余剰電力で充電するように制御し、ソーラー発電による充電があれば、NFCによる余剰電力では充電しないように制御する。さらに、バッテリ102の電池残量が比較的残っている場合には、ソーラー発電による充電の有無によらず、NFCによる余剰電力でバッテリ102を充電しないように制御する。なお、ソーラー発電による充電の有無は、ソーラー電圧発生部101の出力電圧に基づいて判断され、ソーラー電圧発生部101の出力電圧が所定の基準値より小であれば、ソーラー発電による充電が行われていないと判断され、出力電圧が所定の基準値以上であれば、ソーラー発電による充電が行われていると判断される。
【0019】
このように、リーダ/ライタ装置20との間でNFCによるデータ通信が開始されると、ソーラー電圧発生部101の出力電圧(ソーラー発電による充電の有無)及び/又はバッテリ102の電池残量に基づいて、NFCによるデータ通信時に取り出せる余剰電力でバッテリ102を充電するか否かを制御することで、バッテリ102に負担をかけることなく、効率的に充電することが可能となっている。
【0020】
リーダ/ライタ装置20は、制御部201、NFCモジュール202、及びNFCアンテナ203を備えている。制御部201は、電子腕時計10とのNFCによる通信に際して、NFCモジュール202の動作を制御する。NFCモジュール202は、電子腕時計10との間でNFCアンテナ203を用いたNFCによるデータ通信を制御する。
【0021】
図3は、本実施形態による電子腕時計(電子機器)10の充電制御動作を説明するためのフローチャートである。また、図4は、本実施形態による電子腕時計(電子機器)10の充電制御動作を説明するための概念図である。なお、本実施形態では、電子腕時計(電子機器)10の制御部103は、バッテリ102の電池残量を、閾値TH1と閾値TH2とを用いて判断している。閾値TH1と閾値TH2とは、TH1>TH2の関係を有する。バッテリ102の満充電を100%、空を0%とすると、閾値TH1は、例えば70~80%程度、閾値TH2は、例えば10~20%程度を想定するが、これに限定されない。
【0022】
制御部103は、リーダ/ライタ装置20との間でNFCによるデータ通信が開始されたことをトリガーにして、電池残量が閾値TH2以下であるか否かを判断する(ステップS10)。そして、図4(a)に示すように、電池残量が閾値TH2以下である場合には(ステップS10のYES)、制御部103は、NFCモジュール104にON制御信号を出力する(ステップS16)。この場合、NFCモジュール104は、制御部103からのON制御信号に従って、NFCアンテナ105で発生した発生電力のうち、余剰電力を余剰電力出力端から出力する。余剰電力は、逆流防止ダイオードD1を介してバッテリ102に供給される。この場合、バッテリ102は、ソーラー発電の有無に拘わらず、NFCによる余剰電力によって充電される。つまり、図4(a)に示すように、ソーラー発電がなければ、NFCの余剰電力のみでバッテリ102を充電し、ソーラー発電があれば、ソーラー発電による発電電力とNFCの余剰電力の双方でバッテリ102を充電する。このように、バッテリ102の電池残量が極めて少ない(例えば、10~20%以下)場合には、ソーラー発電の有無によらず、常にNFCによる余剰電力でバッテリ102を充電する。
【0023】
一方、電池残量が閾値TH2以下でない場合には(ステップS10のNO)、制御部103は、電池残量が閾値TH1以下であるか否かを判断する(ステップS12)。そして、図4(b)に示すように、閾値TH2より大で、かつ電池残量が閾値TH1以下である場合には(ステップS12のYES)、制御部103は、ソーラー電圧発生部101の出力電圧に従って、ソーラー発電があるか否かを判断する(ステップS14)。そして、ソーラー発電がない場合には(ステップS14のNO)、制御部103は、NFCモジュール104にON制御信号を出力する(ステップS16)。
【0024】
NFCモジュール104は、制御部103からのON制御信号に従って、NFCアンテナ105で発生した発生電力のうち、余剰電力を余剰電力出力端から出力する。余剰電力は、逆流防止ダイオードD1を介してバッテリ102に供給される。ゆえに、ソーラー発電がない場合には、図4(b)に示すように、NFCの余剰電力のみでバッテリ102を充電する。このように、バッテリ102の電池残量がやや少ない(例えば、10~20%より大で70~80%以下)場合に、ソーラー発電がなければ、NFCによる余剰電力のみでバッテリ102を充電する。
【0025】
また、図4(b)に示すように、電池残量が、閾値TH2より大で、かつ閾値TH1以下であるが、ソーラー発電がある場合には(ステップS14のYES)、制御部103は、NFCモジュール104にOFF制御信号を出力する(ステップS18)。NFCモジュール104は、制御部103からのOFF制御信号に従って、NFCアンテナ105で発生した余剰電力を出力しない。この場合、バッテリ102は、図4(b)に示すように、ソーラー電力のみでバッテリ102を充電する。このように、バッテリ102の電池残量がやや少ない(例えば、10~20%より大で70~80%以下)場合に、ソーラー発電があれば、NFCによる余剰電力を用いず、ソーラー電力のみでバッテリ102を充電する。
【0026】
また、図4(c)に示すように、電池残量が閾値TH2以下でも、閾値TH1以下でもない場合には(ステップS10、S12ともにNO)、制御部103は、NFCモジュール104にOFF制御信号を出力する(ステップS18)。NFCモジュール104は、制御部103からのOFF制御信号に従って、NFCアンテナ105で発生した余剰電力を出力しない。この場合、バッテリ102は、図4(c)に示すように、ソーラー発電があれば、ソーラー電力のみでバッテリ102を充電し、ソーラー発電がない場合には、バッテリ102を充電しない。すなわち、バッテリ102の電池残量が比較的残っている(例えば、70~80%より大)場合には、NFCによる余剰電力を利用することなく、従来通り、ソーラー発電があれば、ソーラー電力でバッテリ102を充電し、ソーラー発電がなければ充電しない。
【0027】
なお、上述した実施形態では、NFCモジュール104へのON、OFF制御信号の出力については、ソーラー発電による充電の有無に関係なく、バッテリ102の電池残量の判定を必須としているが、バッテリ102の電池残量の判定を行う前に、ソーラー発電による充電の有無を判定し、ソーラー発電によるバッテリ102への充電がなされている場合には、NFCモジュール104へOFF制御信号を出力するようにしてもよい。
【0028】
また、上述した実施形態では、ソーラー発電による充電の有無をソーラー電圧発生部101の出力電圧が所定の基準値以上であるか否かにより判断したが、これに限らず、照度センサによって閾値以上の照度を検出した場合にはソーラー発電があると判断するようにしてもよい。
【0029】
また、上述した実施形態では、ソーラー発電による出力電圧でバッテリ102を充電するとしたが、ソーラー発電以外に、その他の非接触充電や、USB充電が用意されていてもよい。
【0030】
また、上述した実施形態において、NFC又はソーラー発電からの出力電圧が低く、バッテリ102に充電できる電圧に足りない場合には、必要に応じて昇圧手段を備えていてもよいし、上記出力電圧が充電電圧よりも高すぎる場合には、降圧手段を備えるようにしてもよい。
【0031】
また、上述した実施形態では、電子腕時計10とリーダ/ライタ装置20とが比較的短時間のNFCによるデータ通信における充電制御としたが、これに限らず、スマートフォンや、タブレット、パーソナルコンピュータなどとの比較的長時間のNFCによるデータ通信を行う際に上述した本実施形態による充電制御方法を採用してよい。このような比較的長時間のNFCによるデータ通信における充電制御であっても、同様の効果、すなわち、バッテリに負担をかけることなく、効率的に充電することができる。この場合、NFCによるデータ通信を比較的長時間、行うことになるので、スマートフォンや、タブレット、パーソナルコンピュータなど側で、NFCによる通信が実行されていることをトリガーに、電子腕時計10への充電中であることを表示するようにしてもよい。
【0032】
上述した実施形態によれば、所定の条件を満たしているか否かに基づいて、NFCによる通信で発生した余剰電力によるバッテリ102への充電を制御するようにしたので、適切なタイミングで短時間充電することができ、充電切れを起こしにくくしつつ、かつ頻繁に充電を繰り返すのを防止してバッテリの持ちが低下するのを防止することができる。
【0033】
また、上述した実施形態によれば、バッテリ102の電池残量が閾値TH1より大である場合には、NFCによる通信で発生した余剰電力によってバッテリ102への充電を実行しないようにしたので、頻繁に充電を繰り返すのを防止してバッテリの持ちが低下するのを防止することができる。
【0034】
上述した実施形態によれば、バッテリ102の電池残量が閾値TH1より小さい閾値TH2以下である場合には、NFCによる通信で発生した余剰電力によってバッテリ102への充電を実行するようにしたので、充電切れを起こしにくくしつつ、かつ頻繁に充電を繰り返すのを防止してバッテリの持ちが低下するのを防止することができる。
【0035】
上述した実施形態によれば、バッテリ102の電池残量が閾値TH1以下で、かつ閾値TH2より大である場合には、NFCによる通信で発生した余剰電力によってバッテリ102への充電を実行するようにしたので、充電切れを起こしにくくしつつ、かつ頻繁に充電を繰り返すのを防止してバッテリの持ちが低下するのを防止することができる。
【0036】
上述した実施形態によれば、ソーラー電圧発生部101による発電電力がバッテリ102に充電されている場合には、NFCによる通信で発生した余剰電力によるバッテリ102への充電を実行しないよう制御するようにしたので、充電切れを起こしにくくしつつ、かつ頻繁に充電を繰り返すのを防止してバッテリの持ちが低下するのを防止することができる。
【0037】
上述した実施形態によれば、バッテリ102の電池残量が閾値TH1より大である場合に、ソーラー電圧発生部101による発電電力がバッテリ102に充電されていない場合には、バッテリ102への充電を実行しないようにしたので、適切な充電方式で、かつ充電切れを起こしにくくしつつ、頻繁に充電を繰り返すのを防止してバッテリの持ちが低下するのを防止することができる。
【0038】
上述した実施形態によれば、バッテリ102の電池残量が閾値TH1より小さい閾値TH2以下である場合には、バッテリ102の持ちが低下しない仕様を実現しながら、ソーラー電圧発生部101による発電電力及びNFCによる通信で発生した余剰電力の双方によってバッテリ102への充電を実行するようにしたので、電池残量が著しく低くなった場合でも、迅速にバッテリ102を充電することができる。
【0039】
上述した実施形態によれば、バッテリ102の電池残量が閾値TH1以下で、かつ閾値TH2より大である場合に、ソーラー電圧発生部101による発電電力がバッテリ102に充電されていなければ、NFCによる通信で発生した余剰電力によってバッテリ102への充電を実行し、前記ソーラー発電部による発電電力がバッテリ102に充電されていれば、NFCによる通信で発生した余剰電力によるバッテリ102への充電を実行しないようにしたので、適切な充電方式で、かつ充電切れを起こしにくくしつつ、頻繁に充電を繰り返すのを防止してバッテリの持ちが低下するのを防止することができる。
【0040】
上述した実施形態によれば、ソーラー電圧発生部101による発電電力がバッテリ102に充電されているか否かを、ソーラー電圧発生部101の出力電圧が所定の基準値以上であるか否かに基づいて判断するようにしたので、適切な充電方式で、かつ充電切れを起こしにくくしつつ、頻繁に充電を繰り返すのを防止してバッテリの持ちが低下するのを防止することができる。
【0041】
上述した実施形態によれば、NFCモジュール104によって変換された電力のうち、リーダ/ライタ装置20とNFCによるデータ通信を行うことで、前記外部機器に所定の処理を実行させた場合に電子腕時計10で使用された電力を差し引いた電力を、NFCによる通信で発生した余剰電力としたので、電子腕時計10での本来の動作に支障を来すことなく、バッテリ102の持ちが低下しない仕様を実現しながら、バッテリ102を充電することができる。
【0042】
上述した実施形態によれば、NFCモジュール104によって変換された電力のうち、リーダ/ライタ装置20とNFCによるデータ通信を行うことで、前記外部機器に決済処理を実行させた場合に電子腕時計10で使用された電力を差し引いた電力を、NFCによる通信で発生した余剰電力としたので、電子腕時計10での本来の決済処理に支障を来すことなく、バッテリ102の持ちが低下しない仕様を実現しながら、バッテリ102を充電することができる。
【0043】
また、上記実施形態における充電制御システム1の各構成要素の細部構成及び細部動作に関しては、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能であることは勿論である。
本発明の実施の形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
【符号の説明】
【0044】
1…充電制御システム、10…電子腕時計(電子機器)、11…ソーラーパネル、12、21…NFCタグ、20…リーダ/ライタ装置、101…ソーラー電圧発生部、102…バッテリ、103、201…制御部、104、202…NFCモジュール、105、203…NFCアンテナ
図1
図2
図3
図4