(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087288
(43)【公開日】2024-07-01
(54)【発明の名称】濾過システム
(51)【国際特許分類】
B01D 35/027 20060101AFI20240624BHJP
B01D 35/14 20060101ALI20240624BHJP
F24H 15/196 20220101ALN20240624BHJP
【FI】
B01D35/02 J
B01D35/14
F24H15/196 301L
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022202031
(22)【出願日】2022-12-19
(71)【出願人】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100089004
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】須藤 大樹
【テーマコード(参考)】
3L024
4D116
【Fターム(参考)】
3L024CC21
3L024DD27
3L024DD32
3L024FF18
3L024GG45
3L024HH42
4D116AA02
4D116BA05
4D116BB01
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4D116QA44E
4D116QA44G
4D116QC03A
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4D116QC08
4D116QC08A
4D116QC22A
4D116RR01
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4D116RR15
4D116TT04
4D116TT07
4D116UU15
4D116VV07
(57)【要約】
【課題】濾過運転中に発生した湯水の循環を継続可能な異常についてのアラートを、気付かれ易いタイミングで報知することができる濾過システムを提供すること。
【解決手段】浴槽(1)の湯水を流通させる濾過通路(11)と、濾過通路(11)に装備された循環ポンプ(12)とフィルタ(13)と濾過手段(14)と、濾過通路(11)に接続された薬剤注入手段(18)と、循環ポンプ(12)を駆動して行う濾過運転を制御する制御手段(20)と、濾過運転の開始及び停止の操作を行うために制御手段(20)に接続された操作手段(21)を備えた濾過システム(10)において、制御手段(20)は、濾過運転中に湯水の循環を継続可能な異常を検知した場合には、異常についてのアラートを直ちに報知せず、操作手段(21)の操作が行われたときにそのアラートを報知する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽の湯水を流通させる濾過通路と、前記濾過通路に装備された循環ポンプとフィルタと濾過手段と、前記濾過通路に接続された薬剤注入手段と、前記循環ポンプを駆動して行う濾過運転を制御する制御手段と、前記濾過運転の開始及び停止の操作を行うために前記制御手段に接続された操作手段を備えた濾過システムにおいて、
前記制御手段は、前記濾過運転中に湯水の循環を継続可能な異常を検知した場合には、前記異常についてのアラートを直ちに報知せず、前記操作手段の操作が行われたときに前記アラートを報知することを特徴とする濾過システム。
【請求項2】
浴槽の湯水を流通させる濾過通路と、前記濾過通路に装備された循環ポンプとフィルタと濾過手段と、前記濾過通路に接続された薬剤注入手段と、前記循環ポンプを駆動して行う濾過運転を制御する制御手段と、前記濾過運転の開始及び停止の操作を行うために前記制御手段に接続された操作手段を備えた濾過システムにおいて、
前記制御手段は、前記濾過運転中に湯水の循環を継続可能な異常を検知した場合には、前記異常についてのアラートを直ちに報知せず、前記フィルタを清掃可能な状態になったときに前記アラートの報知を開始することを特徴とする濾過システム。
【請求項3】
前記異常は、予め設定された前記循環ポンプの寿命時間に対する前記循環ポンプの累積駆動時間の超過であることを特徴とする請求項1又は2に記載の濾過システム。
【請求項4】
前記異常は、前記薬剤注入手段で発生した異常であることを特徴とする請求項1又は2に記載の濾過システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大型の浴場に設置される浴槽の湯水の濾過システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から銭湯や宿泊施設の浴場のような大型の浴場には、浴槽の湯水の衛生状態を維持するために、異物や不純物を除去して殺菌する濾過運転を行う濾過システムが設置されている。濾過システムは、浴槽の湯水を導入して髪の毛等の異物をフィルタで捕集し、フィルタを通過する湯水に含まれる濁りの原因となる不純物を、例えば濾過材として細かい粒状物を収容した濾過槽で除去する。殺菌は、浴槽に戻す湯水に例えば次亜塩素酸ナトリウム水溶液等の塩素系の薬剤を混合して行う。
【0003】
浴槽と濾過システムの間で湯水を循環させる循環ポンプは、浴槽に湯水が有るときには常に濾過運転を行うために駆動される。この循環ポンプのシール部分は、循環ポンプの累積駆動時間に応じて消耗が進み、微量の漏水が発生し易くなる。そのため、循環ポンプには予め寿命時間が設定されており、累積駆動時間が寿命時間を超えた循環ポンプについては、メンテナンス又は交換を行うことが推奨されている。
【0004】
しかし、循環ポンプは、累積駆動時間が寿命時間を超えても直ちに故障するものではなく、駆動可能なので漏水に気付かずに使用し続ける場合がある。その結果、限界まで消耗が進んで循環ポンプを駆動できない状態になり、循環ポンプを交換するまで営業できない事態になる虞がある。
【0005】
例えば特許文献1には、累計出湯回数に基づいてメンテナンスの必要性を報知する給湯器が記載されている。そこで、この給湯器のように濾過システムにおいても、循環ポンプの寿命時間超過のような湯水の循環を継続可能な軽微な異常について、アラートとして報知することが要求されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、濾過システムは、普段は管理者等がいない例えば機械室のような環境に設置される場合が多く、循環ポンプの寿命時間超過のような湯水の循環を継続可能な軽微な異常が気付かれ難い。同様に、薬剤の注入に関して軽微な異常が発生した場合にも湯水の循環を継続可能である。そして、湯水の循環を継続可能なアラートを報知しても、このアラートが直ちに気付かれることは稀であり、軽微な異常なので直ちに報知する必要もないが、確実に伝わるように報知することが要求されている。
【0008】
そこで、本発明は、濾過運転中に発生した湯水の循環を継続可能な異常についてのアラートを、気付かれ易いタイミングで報知することができる濾過システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明の濾過システムは、浴槽の湯水を流通させる濾過通路と、前記濾過通路に装備された循環ポンプとフィルタと濾過手段と、前記濾過通路に接続された薬剤注入手段と、前記循環ポンプを駆動して行う濾過運転を制御する制御手段と、前記濾過運転の開始及び停止の操作を行うために前記制御手段に接続された操作手段を備えた濾過システムにおいて、前記制御手段は、前記濾過運転中に湯水の循環を継続可能な異常を検知した場合には、前記異常についてのアラートを直ちに報知せず、前記操作手段の操作が行われたときに前記アラートを報知することを特徴としている。
【0010】
上記構成によれば、制御手段は、濾過運転中に湯水の循環を中断又は中止する必要がない軽微な異常が検知された場合に、この異常についてのアラートを直ちに報知せず、操作手段の操作が行なわれたときに報知する。これにより、操作手段の操作を行うためこの操作手段に注意が向けられているタイミングで、アラートを報知することができる。従って、気付かれ易いタイミングで、湯水の循環を継続可能な異常についてのアラートを報知することができる。
【0011】
請求項2の発明の濾過システムは、浴槽の湯水を流通させる濾過通路と、前記濾過通路に装備された循環ポンプとフィルタと濾過手段と、前記濾過通路に接続された薬剤注入手段と、前記循環ポンプを駆動して行う濾過運転を制御する制御手段と、前記濾過運転の開始及び停止の操作を行うために前記制御手段に接続された操作手段を備えた濾過システムにおいて、前記制御手段は、前記濾過運転中に湯水の循環を継続可能な異常を検知した場合には、前記異常についてのアラートを直ちに報知せず、前記フィルタを清掃可能な状態になったときに前記アラートの報知を開始することを特徴としている。
【0012】
上記構成によれば、制御手段は、濾過運転中に湯水の循環を中断又は中止する必要がない軽微な異常が検知された場合に、この異常についてのアラートを直ちに報知せず、濾過システムに装備されているフィルタを清掃可能な状態になったときにアラートの報知を開始する。これにより、フィルタの清掃のために濾過システムの傍に作業者が来るタイミングに合わせるようにアラートを報知することができる。従って、気付かれ易いタイミングで、湯水の循環を継続可能な異常についてのアラートを報知することができる。
【0013】
請求項3の発明の濾過システムは、請求項1又は2の発明において、前記異常は、予め設定された前記循環ポンプの寿命時間に対する前記循環ポンプの累積駆動時間の超過であることを特徴としている。
上記構成によれば、循環ポンプの累積駆動時間が、メンテナンス又は交換が推奨される予め設定された循環ポンプの寿命時間を超えたことが、気付かれ易いタイミングでアラートとして報知される。循環ポンプの累積駆動時間が寿命時間を超えても直ちに故障することはなく、湯水の循環を継続することができるが、気付かれ易いタイミングでアラートを報知することができるので、この循環ポンプが駆動できなくなる前に対応を促すことができる。
【0014】
請求項4の発明の濾過システムは、請求項1又は2の発明において、前記異常は、前記薬剤注入手段で発生した異常であることを特徴としている。
上記構成によれば、薬剤注入手段の異常発生が、気付かれ易いタイミングでアラートとして報知される。薬剤注入手段に異常が発生しても、湯水の循環に影響がないので湯水の循環を継続することができるが、気付かれ易いタイミングでアラートを報知して対応を促すことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の濾過システムによれば、気付かれ易いタイミングで湯水の循環を継続可能なアラートについて報知して、アラートへの対応を促すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施例1、2に係る濾過システムの説明図である。
【
図2】実施例1に係る濾過運転のフローチャートである。
【
図3】実施例2に係る濾過運転のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態について実施例に基づいて説明する。
【実施例0018】
図1に示すように、大型の浴場には、浴槽1と、矢印HWで示すように給湯して浴槽1に湯張りするための湯張り通路2が設置されている。また、浴槽1の湯水の衛生状態を維持するために、異物と不純物の除去及び殺菌を行う濾過システム10が設置されている。そして、浴槽1と濾過システム10の間で湯水を循環させるために、浴槽1の底部から濾過システム10に湯水を送る循環往き通路4aと、濾過システム10から浴槽1に湯水を戻す循環戻り通路4bが配設されている。
【0019】
濾過システム10は、循環往き通路4aと循環戻り通路4bを接続する濾過通路11を有し、これら循環往き通路4aと循環戻り通路4bと濾過通路11によって浴槽1と濾過システム10の間で湯水を循環させる循環通路が形成されている。濾過通路11は、循環ポンプ12と、フィルタ13と、濾過槽14(濾過手段)と、熱交換器15と、流路切替弁16と、浴槽温度センサ17を備えている。また、濾過通路11を流通する湯水に薬剤を注入可能なように、薬剤注入装置18(薬剤注入手段)が薬剤注入通路18aを介して濾過通路11に接続されている。
【0020】
循環ポンプ12は、浴槽1の湯水の衛生状態を維持する濾過運転のために駆動され、浴槽1と濾過システム10の間で湯水を循環させる。フィルタ13は、例えば複数の細かい穴を有する籠状に形成され、循環ポンプ12の駆動によって循環往き通路4aから流入する湯水を通過させると共に、この湯水と一緒に流入する異物(例えば髪の毛やごみ)を捕集する。このフィルタ13は、異物が詰まって湯水が流れなくならないように、毎日清掃することとされている。
【0021】
濾過槽14には、濾過材として例えばセラミックの細かい粒状物が収容されている。この濾過槽14は、フィルタ13を通過した湯水を流通させることによって、この湯水に含まれる濁りの原因となる不純物を除去する。
【0022】
熱交換器15は、浴槽1の湯水の温度を維持するために、濾過槽14を通過した湯水を加熱して浴槽1に戻す。濾過運転中に濾過通路11を流通する湯水の温度(浴槽温度センサ17の検知温度)が例えば浴槽設定温度未満である場合に、加熱ポンプ30aと熱源機30を作動させて加熱された熱媒との熱交換によって、濾過通路11を流通する湯水が熱交換器15で加熱され、浴槽1に戻される。
【0023】
薬剤注入装置18は、浴槽1の湯水に含まれている環境や人体に由来する細菌の増殖を防ぐために、濾過通路11を流通する湯水に、薬剤注入通路18aを介して薬剤を注入、混合する。この薬剤注入装置18は、殺菌するための例えば次亜塩素酸ナトリウム水溶液等の塩素系の薬剤をためておく薬剤容器18bと、薬剤注入時に作動させる薬剤ポンプ18cと、不図示の塩素濃度測定装置を有する。薬剤は、濾過通路11を流通する湯水の残留塩素濃度が条例等で定められた濃度範囲内に維持されるように、時々注入される。薬剤容器18b内の薬剤残量は、薬剤の液面の高さ又は薬剤の重量によって管理される。
【0024】
流路切替弁16は、濾過運転時にはフィルタ13、循環ポンプ12、濾過槽14、熱交換器15の順に湯水が流通するように切換えられ、排水時には矢印Dで示すように排水通路19から排水するように切替えられる。また、流路切替弁16は、濾過槽14に濾過運転時と逆方向に湯水を流通させることによって、濾過材を洗浄して排水通路19から排水するように流路を切換え可能である。尚、浴槽1の排水のために、浴槽1には不図示の排水栓が装備されていてもよい。
【0025】
濾過システム10は、循環ポンプ12の駆動と薬剤注入装置18による湯水への薬剤の混合と熱源機30による加熱を制御して濾過運転を行うために、濾過システム制御部20(制御手段)を有する。濾過システム制御部20には、濾過運転の開始及び停止の操作を行うための操作端末21が接続されている。この操作端末21は表示部21aを備え、濾過運転に関する情報を表示することができ、エラー及びアラートを表示して報知することができる。また、操作端末21は、音声及びランプの点灯、点滅によって報知可能である。
【0026】
循環ポンプ12は、累積駆動時間が長くなると、例えばシール部の消耗が進行して漏水が発生し易くなるが、駆動可能である。それ故、そのまま使用し続けて、消耗が限界に達して駆動できなってしまう場合がある。そこで、循環ポンプ12には予め寿命時間が設定され、累積駆動時間が寿命時間を超過した場合には、循環ポンプ12のメンテナンス又は交換を促すようにしている。例えば、濾過システム制御部20は、循環ポンプ12の累積駆動時間を監視し、この累積駆動時間が寿命時間を超過した場合にその旨を例えば操作端末21の表示部21aに表示することによって報知する。
【0027】
通常、寿命時間はある程度余裕をもって設定されるので、循環ポンプ12の累積駆動時間が寿命時間を超過すると直ちに駆動不能になるわけではないので、濾過運転中に寿命時間を超過しても湯水の循環を継続することができる。また、浴場の管理者が濾過システム10をその傍で常時監視しているわけではないので、循環ポンプ12の累積駆動時間が寿命時間を超過したときに寿命時間超過の旨を報知しても伝わらず、直ちに伝える必要もないが、確実に伝わることが要求される。
【0028】
そこで、濾過システム制御部20は、操作端末21の操作が行われたときに、循環ポンプ12の累積駆動時間が寿命時間を超過したことを、表示部21aの表示等により報知する。操作端末21の操作は、例えば濾過運転の停止操作、濾過システム10の設定操作である。操作端末21の操作時には操作端末21に注意が向けられているので、気付かれ易いタイミングで湯水の循環を継続可能なアラートとして報知することができる。以下では、濾過システム制御部20による濾過運転中に湯水の循環を継続可能な軽微な異常を検知した場合のアラートの報知について、
図2のフローチャートに基づいて説明する。図中のSi(i=1,2,・・・)はステップを表す。
【0029】
浴槽1に湯張りされた状態で、操作端末21において濾過運転開始操作が行われると、循環ポンプ12が駆動されて湯水の循環が開始され、S1において濾過運転の運転データを取得してS2に進む。取得する運転データは、例えば浴槽1の湯水に関するものとしては水位、温度、残留塩素濃度であり、濾過システム10に関するものとしては薬剤残量、循環ポンプ12の累積駆動時間等である。この湯水の残留塩素濃度が定められた濃度範囲に維持されるように、薬剤の注入が行われる。
【0030】
次にS2において、運転データから何らかの異常が発生したか否か判定する。例えば薬剤残量が基準量よりも少なくなっていること、薬剤ポンプ18cの異常発生、循環ポンプ12の累積駆動時間が寿命時間を超過したことは、湯水の循環を停止させる必要がない軽微な異常である。また、例えば浴槽1に湯水がないこと、循環ポンプ12を駆動できないこと等は、濾過運転を中止させるべき重大な異常である。
【0031】
異常発生によりS2の判定がYesの場合はS3に進み、S3において異常が循環ポンプ12の累積駆動時間が寿命時間を超過したことか否か判定する。S3の判定がNoの場合はS4に進み、S4において薬剤残量低下等の薬剤注入に関する異常か否か判定する。S3及びS4は、循環を継続可能な軽微な異常であるか否か判定するステップである。
【0032】
S3の判定がYes又はS4の判定がYesの場合はS5に進み、S5において操作端末21から例えば濾過システム10に関する設定操作があったか否か判定する。S5の判定がYesの場合はS6に進み、S6において軽微な異常についてのアラートを、操作端末21の表示部21aに表示等することにより設定操作をした者に対して報知して、S7に進む。設定操作がなくS5の判定がNoの場合、又は異常がなくS2の判定がNoの場合はS7に進む。
【0033】
S7において、濾過運転の停止操作があったか否か判定する。異常がない場合又は軽微な異常の場合には濾過運転の停止操作が行われるまで湯水の循環を継続して濾過運転を継続するので、S7の判定がNoの場合はS1に戻る。S7の判定がYesの場合はS8に進み、S8において循環ポンプ12を停止してS9に進む。
【0034】
次にS9において、軽微な異常があったか否か判定する。S9の判定がYesの場合はS10に進み、S10において軽微な異常についてのアラートを、操作端末21の表示部21aに表示等することにより濾過運転停止操作をした者に対して報知して、濾過運転を終了する。S6において既にアラートの報知を行っている場合でも、濾過運転停止操作時に再度アラートの報知を行って確実に伝わるようにすることもできる。S9の判定がNoの場合は、報知するアラートが無いのでそのまま濾過運転を終了する。
【0035】
一方、S4の判定がNoの場合は、発生した異常が軽微な異常ではなく、濾過運転を中止するべき重大な異常なのでS11に進み、S11において濾過運転を中止してS12に進む。そしてS12において、濾過運転不能な重大な異常をエラーとして操作端末21の表示部21aに表示等することにより報知を開始して、濾過運転を終了する。
浴槽1に湯張りされた状態で、操作端末21において濾過運転開始操作が行われると、循環ポンプ12を駆動して湯水の循環が開始され、S1において運転データを取得してS2に進む。取得する運転データは、例えば浴槽1の湯水の水位、温度、残留塩素濃度、濾過システム10の薬剤残量、循環ポンプ12の累積駆動時間等である。また、浴槽1の湯水の残留塩素濃度が定められた濃度範囲に維持されるように、薬剤の注入が行われる。
次にS2において、運転データから異常が発生したか否か判定する。S2の判定がYesの場合はS3に進み、S3において異常が循環ポンプ12の累積の駆動時間が寿命時間を超過したことか否か判定する。S3の判定がNoの場合はS4に進み、S4において薬剤残量低下等の薬剤注入に関する異常か否か判定する。S3及びS4は、循環を継続可能な軽微な異常であるか否か判定するステップである。
S3の判定がYes又はS4の判定がYesの場合、又は異常がなくS2の判定がNoの場合はS21に進み、S21において操作端末21から濾過運転の停止操作があったか否か判定する。異常がない場合又は軽微な異常の場合には濾過運転の停止操作が行われるまで濾過運転を継続するので、S21の判定がNoの場合はS1に戻る。S21の判定がYesの場合はS22に進み、S22において循環ポンプ12を停止してS23に進む。
次にS23において、濾過運転中に軽微な異常があったか否か判定する。S23の判定がYesの場合はS24に進み、S24において濾過運転停止後に排水されて浴槽1が空になったか否か判定する。通常、大型の浴場では、この浴場を清潔に保つために毎日浴槽1の湯水を排水して清掃を行い、毎日清掃することとされているフィルタ13も清掃されるので、この清掃のタイミング(フィルタ13を清掃可能な状態)になったか否か判定するステップである。
S24の判定がNoの場合はS24に戻る。S24の判定がYesの場合はS25に進み、S25において操作端末21から軽微な異常についてのアラートの報知を開始して、濾過運転を終了する。アラートの報知は、表示部21aの表示、音声、ランプの点灯、点滅によって行われる。浴槽1が空になったときにアラートの報知を開始して、フィルタ13の清掃のために濾過システム10の傍に来た作業者に確実に伝わるようにすることができる。
一方、S4の判定がNoの場合は、発生した異常が濾過運転を中止するべき重大な異常なのでS11に進み、S11において濾過運転を中止してS12に進む。そしてS12において、濾過運転不能な重大な異常についてエラーとして報知を開始して、濾過運転を終了する。エラーの報知は、操作端末21の表示部21aの表示、音声、ランプの点灯、点滅によって行う。
また、濾過システム制御部20は、濾過運転中に湯水の循環を継続可能な軽微な異常が検知された場合に、この異常についてのアラートを直ちに報知せず、フィルタ13を清掃可能な状態になったときに報知を開始することもできる。これにより、フィルタ13の清掃のために濾過システム10の傍に作業者が来るタイミングに合わせるようにアラートを報知することができる。従って、気付かれ易いタイミングで、湯水の循環を継続可能な異常についてのアラートを報知することができ、対応を促すことができる。
湯水の循環を継続可能な軽微な異常についてのアラートは、予め設定された循環ポンプ12の寿命時間に対する循環ポンプ12の累積駆動時間の超過、又は薬剤注入装置18(薬剤注入手段)の異常発生についてのアラートである。循環ポンプ12の累積駆動時間が寿命時間を超えても直ちに故障することはなく、湯水の循環を継続することができるが、気付かれ易いタイミングでその旨報知することができるので、この循環ポンプ12が駆動できなくなる前に対応を促すことができる。また、薬剤注入装置18において異常が発生しても、湯水の循環には影響がないので湯水の循環を継続することができるが、気付かれ易いタイミングでその旨報知して対応を促すことができる。
アラート及びエラーの報知は、例えば操作端末21から所定の操作が行われるまで継続されることが好ましい。その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく上記実施例に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態を包含するものである。