(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087289
(43)【公開日】2024-07-01
(54)【発明の名称】温風暖房装置
(51)【国際特許分類】
F24H 3/04 20220101AFI20240624BHJP
F24H 15/429 20220101ALI20240624BHJP
F24H 15/10 20220101ALI20240624BHJP
F24H 15/254 20220101ALI20240624BHJP
F24H 15/30 20220101ALI20240624BHJP
【FI】
F24H3/04 301
F24H15/429
F24H15/10
F24H15/254
F24H15/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022202032
(22)【出願日】2022-12-19
(71)【出願人】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100089004
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】石山 景大
【テーマコード(参考)】
3L028
【Fターム(参考)】
3L028EB03
3L028EB04
3L028EC02
(57)【要約】
【課題】衣類を乾燥させる乾燥運転を効率的に不具合なく実行可能な換気扇連動制御を行うようにした温風暖房装置を提供する。
【解決手段】換気扇を無線通信によりON、OFF切換え可能で、居室の暖房を行う通常暖房モードと衣類乾燥を行う衣類乾燥モードを制御する制御手段(10)を備えた温風暖房装置(1)において、制御手段は、通常運転モードでは、暖房開始から一定時間毎に前記換気扇に対して所定時間換気運転を行うように運転開始信号と停止信号を発信するとともに、温風暖房装置の燃焼運転をON、OFFすることで室温が設定温度となるように調整し、衣類乾燥モードでは、温風暖房装置の燃焼運転を停止することなく継続するとともに、換気扇をON、OFFすることで室温が所定温度範囲を維持するように調整する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
換気扇に対して運転開始信号・停止信号を発信する機能を備えた温風暖房装置であって、居室の暖房を行う通常暖房モードと衣類乾燥を行う衣類乾燥モードを制御する制御手段を備えた温風暖房装置において、
前記制御手段は、通常運転モードでは、暖房開始から一定時間毎に前記換気扇に対して所定時間換気運転を行うように運転開始信号と停止信号を発信するとともに、前記温風暖房装置の燃焼運転をON、OFFすることで室温が設定温度となるように調整し、
前記衣類乾燥モードでは、前記温風暖房装置の燃焼運転を停止することなく継続するとともに、前記換気扇をON、OFFすることで室温が所定温度範囲を維持するように調整することを特徴とする温風暖房装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記衣類乾燥モードでは、前記温風暖房装置内に装備された温度検出手段の検知温度が前記所定温度範囲の上限温度を超えた場合に換気扇に対して運転開始信号を発信することを特徴とする請求項1に記載の温風暖房装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記衣類乾燥モードでは、前記温風暖房装置内に装備された温度検出手段の検知温度が前記所定温度範囲の下限温度を下回った場合に換気扇に対して運転停止信号を発信することを特徴とする請求項2に記載の温風暖房装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温風暖房装置に関し、特に衣類乾燥を行うときの燃焼部と換気扇に対する制御を改善したものに関する。
【背景技術】
【0002】
温風暖房装置を利用して居室内で衣類乾燥を行う場合、衣類の水分が蒸発することによって居室内の湿度が上昇し、ユーザーが不快に感じてしまう。そこで、温風暖房装置から換気扇に信号を送信して換気を行うことが考えられる。
【0003】
特許文献1に記載の温風暖房機においては、温風暖房機の加湿皿設置部に、取入口と温風出口を備えた箱体を装着し、温風暖房機の吹出口をカバーで覆い、温風出口から延びるホースを乾燥機本体の接続口に接続して、温風暖房機で発生した温風を乾燥機本体にホースを介して供給するように構成している。
【0004】
特許文献2に記載の燃焼器の安全装置においては、燃焼器の燃焼状態の異常を検知するセンサが燃焼異常を検知した場合に、送信部から換気扇の制御部の受信部に信号を送信して換気扇を作動させるように構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5-203264号公報
【特許文献2】特公平3-23816号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
温風暖房装置では、室温の調整のため燃焼をON、OFFさせることが一般的に行われているが、温風暖房装置の燃焼開始、停止時には不完全燃焼や未燃による臭気が多少排出されるため、乾燥対象である衣類に臭いが付着するおそれがある。
【0007】
本発明の目的は、衣類を乾燥させる乾燥運転を効率的に不具合なく実行可能な換気扇連動制御を行うようにした温風暖房装置を提供することである
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の温風暖房装置は、換気扇に対して運転開始信号・停止信号を発信する機能を備えた温風暖房装置であって、居室の暖房を行う通常暖房モードと衣類乾燥を行う衣類乾燥モードを制御する制御手段を備えた温風暖房装置において、前記制御手段は、通常運転モードでは、暖房開始から一定時間毎に前記換気扇に対して所定時間換気運転を行うように運転開始信号と停止信号を発信するとともに、前記温風暖房装置の燃焼運転をON、OFFすることで室温が設定温度となるように調整し、前記衣類乾燥モードでは、前記温風暖房装置の燃焼運転を停止することなく継続するとともに、前記換気扇をON、OFFすることで室温が所定温度範囲を維持するように調整することを特徴としている。
【0009】
上記の構成によれば、衣類乾燥モードでは、前記温風暖房装置の燃焼運転を停止することなく継続するとともに、前記換気扇をON、OFFすることで室温が所定温度範囲を維持するように調整するため、燃焼開始、停止時に不完全燃焼や未燃による臭気の発生がなくなり、乾燥対象である衣類に臭いが付着するおそれがない。
【0010】
請求項2の温風暖房装置は、請求項1の発明において、前記制御手段は、前記衣類乾燥モードでは、前記温風暖房装置内に装備された温度検出手段の検知温度が前記所定温度範囲の上限温度を超えた場合に換気扇に対して運転開始信号を発信することを特徴としている。
上記の構成によれば、室温の検知温度が上限温度を超えた場合に換気扇に対して運転開始信号を発信するため、室温を上限温度以下に維持することができる。
【0011】
請求項3の温風暖房装置は、請求項2の発明において、前記制御手段は、前記衣類乾燥モードでは、前記温風暖房装置内に装備された温度検出手段の検知温度が前記所定温度範囲の下限温度を下回った場合に換気扇に対して運転停止信号を発信することを特徴としている。
上記の構成によれば、室温の検知温度が下限温度を下回った場合に換気扇に対して運転停止信号を発信するため、室温を下限温度以上に維持することができる。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、本発明は種々の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の温風暖房装置からのCO,CO
2の発生や衣類からの水蒸気の発生等を説明する説明図である。
【
図3】温風暖房装置の制御系と換気扇の制御系を示すブロック図である。
【
図4】通常暖房モードにおける燃焼運転と換気扇作動のタイムチャートと、衣類乾燥モードにおける燃焼運転と換気扇作動のタイムチャートとを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明を実施するための形態について、
図1~
図4に基づいて説明する。
図1に示すように、居室内で温風暖房装置を作動させると、CO
2や不完全燃焼ガスであるCOが発生するため、換気扇を作動させて換気する必要がある。また、居室内で温風暖房装置を作動させて衣類乾燥を行うと、COやCO
2 の他に水蒸気が発生するため、レンジフードに設けられた換気扇を作動させて換気する必要がある。
【0015】
次に、温風暖房装置について簡単に説明する。
図2に示すように、温風暖房装置1は、燃料を燃焼させて温風を発生させる一般的な温風暖房装置で居室内に設置されたものであるが、居室の換気を行う換気扇に対して赤外線通信による換気扇連動制御を行うように構成されている。
【0016】
外装ケース2は、正面視で正方形の直方体形状の外装ケースであり、この外装ケース2 内には燃焼ケース3と、燃焼部4と、送風ファン5と、室温検知用のサーミスタ11と、制御ユニット10等が設けられている。燃焼部4には、バーナーに点火する点火プラグや
バーナーの火炎の温度を検知するための熱電対12(
図3参照)が設けられている。
外装ケース2の前面には風向板6と吹出口7が設けられている。外装ケース2の上面板 には操作パネル8や表示パネル9が設けられている。
【0017】
この温風暖房装置1では、操作パネル8の運転スイッチがオンされ、暖房運転が開始されると、制御ユニット10からの信号により送風ファン5が起動される。そして、燃料供給管の電磁弁が開かれて燃焼部4に燃料が供給され、点火プラグが作動して燃焼部4 に火炎が形成される。燃焼部4への燃料の供給量は、燃料供給系の弁を制御することで調整される。その結果、燃焼部4による燃焼量が室温と暖房設定温度との温度差に応じた目標燃焼量となるように調整される。
【0018】
次に、温風暖房装置1の制御系と、換気扇の制御系について、
図3に基づいて説明する。制御ユニット10は、CPUとROMとRAMを含むマイクロコンピュータと、入出力インターフェイスとを備えており、ROMには
図5、
図6のフローチャートに示す通常暖房モード運転と衣類乾燥モード運転の制御プログラムが予め格納されている。
【0019】
制御ユニット10には、操作パネル8と、室温を検知するサーミスタ11と、燃焼部4 の火炎温度を検知する熱電対12と、燃焼部4と、送風ファン5と、赤外線通信の送信部 13とが接続されている。送信部13は換気扇制御部20との間で赤外線通信を行う為の赤外線通信モジュールを有する。
換気扇制御部20には、赤外線通信の受信部21と、ファンモータ22とが接続されている。前記受信部21は、赤外線通信を行う為の赤外線通信モジュールを有する。
【0020】
前記温風暖房装置1は、換気扇に対して運転開始信号・停止信号を発信する機能を備えており、制御ユニット10は居室の暖房を行う通常暖房モードと衣類乾燥を行う衣類乾燥モードを制御する。
【0021】
制御ユニット10は、通常暖房モードでは、暖房開始から一定時間毎に前記換気扇に対して所定時間換気運転を行うように運転開始信号と停止信号を発信するとともに、温風暖房装置1の燃焼運転をON、OFFすることで室温が設定温度となるように調整する。
また、制御ユニット10は、衣類乾燥モードでは、温風暖房装置1の燃焼運転を停止することなく継続するとともに、換気扇をON、OFFすることで室温が所定温度範囲を維持するように調整する。
【0022】
次に、通常暖房モードにおける燃焼運転と換気扇作動のタイムチャートと、衣類乾燥モードにおける燃焼運転と換気扇作動のタイムチャートについて、
図4に基づいて説明する。
通常暖房モードにおける設定温度Ts1は例えば25℃であり、上限温度は25℃+2℃であり、下限温度は25℃-1℃である。
【0023】
燃焼運転は、例えば25~30分間のON(燃焼)を実行しながら、室温Tpが上限温度に達する毎にOFF(燃焼停止)に切り換え、室温Tpが下限温度に低下する毎に燃焼を開始することを繰り返していく。
【0024】
その間、一定時間(例えば、60分)毎に所定時間(例えば、約6分)の換気扇作動(ON)を繰り返していく。なお、換気扇作動は室温に多少の影響を及ぼすけれども、換気扇作動時間が短いため、室温への影響は僅かであるため、
図4では室温への影響を無視して室温の変化を示した。
【0025】
この通常暖房モード運転について、
図5のフローチャートに基づいて簡単に説明する。
尚、図中Si(i=1,2,・・・)は各ステップを示す。
この通常暖房モード運転が開始されると、S1において燃焼部4の燃焼が開始され、次にS24おいて換気タイミングタイマーTmがスタートされる。
S3では、サーミスタ11の検出信号から室温Tpが読込まれ、S4においては、室温Tpと暖房の設定温度Ts1との温度差に応じた目標燃焼量となるように燃焼量が調整される。
【0026】
次に、S5では、室温Tpが上限温度(Ts1+2℃)以上になったか否か判定され、 その判定がYesのときはS6において燃焼が停止され、S5の判定がNoのときはS7へ進む。S7では室温Tpが下限温度(Ts1-1℃)以下になったか否か判定され、その判定がYesのときはS8において燃焼が開始され、S7の判定がNoのときはS9へ進む。S9では換気タイミングタイマーTmの計時時刻が換気タイミングか否か判定され、その判定がYesのときはS10において換気扇へON指令が送信される。
【0027】
S9の判定がNoのときはS11へ進む。S11では換気タイミングタイマーTmの計時時刻が換気終了タイミングか否か判定され、その判定がYesのときはS12において換気扇へOFF指令が送信されてからS3へリターンする。また、S11の判定がNoのときはそのままS3へリターンする。
【0028】
衣類乾燥モードにおいては、温風暖房装置1の燃焼運転を停止することなく継続する。これは、温風暖房装置1の燃焼開始、停止時には不完全燃焼や未燃による臭気が多少排出され、乾燥対象である衣類にガスの臭いが付着するおそれがあるため、それを防止するために、燃焼運転を停止することなく継続し、室温の調整は換気扇の作動により行う。
【0029】
この衣類乾燥モードにおける設定温度Ts2は、例えば26℃であり、上限温度は例えば26℃+2℃であり、下限温度は例えば26℃-2℃であり、下限温度から上限温度までの温度範囲が「所定温度範囲」に相当する。
この衣類乾燥モードにおいては、室温が上限温度に達する毎に換気扇作動(ON)させ、室温が下限温度に低下する毎に換気扇作動停止(OFF)させることで、室温を所定温度範囲に維持する。
【0030】
衣類の乾燥度合いが低いうちは、衣類からの水分の蒸発に伴って気化熱が奪われるため、
室温の上昇は緩慢であり、衣類の乾燥が進行するのに応じて室温の上昇速度が大きくなる。
そのため、換気扇停止期間が、例えば、40分、35分、30分、25分のように、徐々に短くなっていく。
【0031】
この衣類乾燥モード運転について、
図6のフローチャートに基づいて簡単に説明する。
この衣類乾燥モード運転が開始されると、S20において燃焼部4の燃焼が開始され、
次にS21においてサーミスタ11の検出信号から室温Tpが読込まれる。
次にS22においては、室温Tpと衣類乾燥運転の設定温度Ts2との温度差に応じた目標燃焼量となるように燃焼量が調整される。
【0032】
次に、S23においては、室温Tpが上限温度(Ts2+2℃)以上になったか否か判定され、その判定がYesのときはS24において換気扇へON指令が送信される。
S23の判定がNoのときはS25へ進む。
S25では室温Tpが下限温度(Ts2-2℃)以下になったか否か判定させれ、その判定がYesのときはS25において換気扇へOFF指令が送信され、その後S21へリターンする。S25の判定がNoのときもS25をスキップしてS21へリターンする。
【0033】
次に、前記温風暖房装置1の作用、効果について説明する。
以上説明したように、通常暖房モードでは、所定時間おきに換気扇を作動させる一方、燃焼運転をON、OFFすることで、室温を調整するため、制御が簡単になる。
【0034】
衣類乾燥モードでは、燃焼運転を連続的に継続する一方、換気扇をON、OFFすることで、室温を所定温度範囲に維持する。そのため、燃焼開始、停止時に不完全燃焼や未燃による臭気の発生がなくなり、乾燥対象である衣類に臭いが付着するおそれがない。
尚、前記実施形態は、一例を示すものに過ぎず、当業者ならば本発明の趣旨を逸脱することなく、前記の実施形態に種々の変更を付加して実施可能である。
前記換気扇との間の通信には、赤外線通信に限らず、Bluetooth(登録商標)や 無線LAN(Wi-Fi)(登録商標)等を採用してもよい。
【符号の説明】
【0035】
1 温風暖房装置
10 制御ユニット
11 サーミスタ
【手続補正書】
【提出日】2022-12-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
【
図1】本発明の温風暖房装置からのCO,CO2の発生や衣類からの水蒸気の発生等を説明する説明図である。
【
図3】温風暖房装置の制御系と換気扇の制御系を示すブロック図である。
【
図4】通常暖房モードにおける燃焼運転と換気扇作動のタイムチャートと、衣類乾燥モードにおける燃焼運転と換気扇作動のタイムチャートとを示す図である。
【
図5】
通常暖房モードの制御のフローチャートである。
【
図6】
衣類乾燥モードの制御のフローチャートである。