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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087299
(43)【公開日】2024-07-01
(54)【発明の名称】椅子式マッサージ機
(51)【国際特許分類】
   A61H 7/00 20060101AFI20240624BHJP
【FI】
A61H7/00 323J
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022202051
(22)【出願日】2022-12-19
(71)【出願人】
【識別番号】000136491
【氏名又は名称】株式会社フジ医療器
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古谷 毅
(72)【発明者】
【氏名】吉田 敏久
(72)【発明者】
【氏名】大出 健太郎
【テーマコード(参考)】
4C100
【Fターム(参考)】
4C100AD01
4C100AF02
4C100BB03
4C100BB05
4C100CA07
4C100CA08
4C100CA09
(57)【要約】
【課題】床面などに接触させることなく、座部よりも下方の空間に対してオットマンを容易に収納及び取り出す。
【解決手段】椅子式マッサージ機100は、座部101と、オットマン106と、支柱部3と、制御部108と、を備える。座部101は、被施療者の臀部及び大腿部を支持する。オットマン106は、左右方向に延びる軸Jc回りに回動可能に座部101の前端部と接続され、被施療者の少なくとも下腿部を収容する。支柱部3は、上下方向に延び、座部101を上下方向に移動可能に支持する。制御部108は、支柱部3の上下動とオットマン106の回動とを制御する。制御部108は、座部101よりも下方においてオットマン106を前方及び後方のどちらかに回動させる際、座部101を上方に移動させる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被施療者の臀部及び大腿部を支持する座部と、
左右方向に延びる軸回りに回動可能に前記座部の前端部と接続され、被施療者の少なくとも下腿部を収容するオットマンと、
上下方向に延び、前記座部を上下方向に移動可能に支持する支柱部と、
前記支柱部の上下動と前記オットマンの回動とを制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記座部よりも下方において前記オットマンを前方及び後方のどちらかに回動させる際、前記座部を上方に移動させる、椅子式マッサージ機。
【請求項2】
前記制御部は、前記座部を上方に移動させて前記オットマンを前方及び後方のどちらかに回動させた後、前記座部を下方に移動させる、請求項1に記載の椅子式マッサージ機。
【請求項3】
前記支柱部は、
上下方向に延びるロッド部と、
前記ロッド部を上下動可能に前記ロッド部の一方端部を収納するシリンダ部と、
を有し、
前記ロッド部の他方端部及び前記シリンダ部のうちの一方は、座部に接続され、
他方は、床面上、又は該床面に配置される部材上に配置される、請求項1に記載の椅子式マッサージ機。
【請求項4】
前記座部の側方に配置され、前記座部に対して前記オットマンを回動させる駆動部をさらに備え、
前記オットマンが前記駆動部の駆動により回動して前記座部の下方に収納される、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の椅子式マッサージ機。
【請求項5】
前記駆動部は、前記オットマンの回動軸にモータ軸を連結したモータを有する、請求項4に記載の椅子式マッサージ機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、椅子式マッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、座部に対してオットマンを左右方向に延びる軸回りに回動可能な椅子式マッサージ機が知られている。たとえば、特許文献1では、座部よりも下方の空間にオットマンを収納可能である。
【0003】
ところで、被施療者の体格によって下腿部の長さは異なる。従って、左右方向から見たオットマンの大きさは、体格の大きい(たとえば高身長の)被施療者にも対応できるように設計される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-067355号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、オットマンの大きさによっては、座部よりも下方の空間にオットマンを収納する際、床面などに接触する虞がある。一方、オットマンの上端部を支持する座部を高くすれば、接触を防止できるが、座面が高くなるため被施療者が着座し難くなる虞がある。
【0006】
本発明は、上記の状況を鑑みて、床面などに接触させることなく、オットマンを容易に収納及び取り出すことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明の一の態様による椅子式マッサージ機は、座部と、オットマンと、支柱部と、制御部と、を備える。前記座部は、被施療者の臀部及び大腿部を支持する。前記オットマンは、左右方向に延びる軸回りに回動可能に前記座部の前端部と接続され、被施療者の少なくとも下腿部を収容する。前記支柱部は、上下方向に延び、前記座部を上下方向に移動可能に支持する。前記制御部は、前記支柱部の上下動と前記オットマンの回動とを制御する。前記制御部は、前記座部よりも下方において前記オットマンを前方及び後方のどちらかに回動させる際、前記座部を上方に移動させる。
【0008】
本発明の更なる特徴や利点は、以下に示す実施形態によって一層明らかにされる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、床面などに接触させることなく、オットマンを容易に収納及び取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】椅子式マッサージ機の構成例を示す概略的な斜視図
図2】第1実施形態における椅子式マッサージ機の要部を概略的に示す斜視図
図3】第1実施形態においてオットマンを座部よりも下方に収納した状態を概略的に示す斜視図
図4】椅子式マッサージ機の動作を制御する制御系を示すブロック図
図5】第2実施形態における椅子式マッサージ機の要部を概略的に示す斜視図
図6】第2実施形態においてオットマンを座部よりも下方に収納した状態を概略的に示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の実施形態を説明する。図1は、椅子式マッサージ機100の構成例を示す概略的な斜視図である。また、以下では、椅子式マッサージ機100を「マッサージ機100」と称することがある。
【0012】
以下の説明において、後述する背凭れ部102が起立した状態のマッサージ機100に着座した被施療者から見て前側(正面側)を「前方」といい、後側(背面側)を「後方」という。なお、背凭れ部102、及び、背凭れ部102に凭れる被施療者に関して、背凭れ部102が傾倒した状態においても、背凭れ部102の被施療者側、及び、被施療者の正面側を「前方」ということがある。また、背凭れ部102の被施療者とは反対側、及び、被施療者の背面側を「後方」ということがある。また、背凭れ部102が起立した状態のマッサージ機100に着座した被施療者から見て上側(頭側)を「上方」といい、下側(脚側)を「下方」という。また、背凭れ部102が起立した状態のマッサージ機100に着座した被施療者から見て右側を「右方」といい、左側を「左方」という。
【0013】
また、以下の説明において、「足部」は、踝から先の部分(つまり爪先)までを指す。「脚部」は、股関節よりも下側(つまり足部の爪先)までを指す。「下腿部」は、膝関節から踝までの部分を指す。「大腿部」は、股関節から膝までの部分を指す。
【0014】
<1.第1実施形態>
<1-1.マッサージ機100>
マッサージ機100は、座部101と、背凭れ部102と、施療ユニット103と、左右一対の立設部104と、左右一対の肘掛け部105と、オットマン106と、を備える。
【0015】
座部101には、被施療者が着座する。座部101は、被施療者の臀部及び太腿部を支持する。
【0016】
背凭れ部102は、座部101の後端部と接続され、被施療者の頭、胴部(たとえば肩部、腰部、及び背中)などを支持する。背凭れ部102は、左右方向に延びる背凭れ回動軸Jaを中心にして座部101に対して回動可能である。背凭れ部102は、背凭れ回動軸Jaを中心とする回動により、起立状態から後方に回動して傾倒したり、後傾状態から前方に回動したりすることが可能である。背凭れ部102は、図1に示すように、枕部1021を有する。枕部1021は、背凭れ部102の上端部に配置され、被施療者の頭部、首部などを支持する。
【0017】
施療ユニット103は、被施療者の胴部及び首部などを施療可能である。施療ユニット103は、背凭れ部102に配置される。施療ユニット103は、背凭れ部102に沿って左右方向と垂直な方向に移動可能である。たとえば、施療ユニット103は、背凭れ部102に設けられる左右一対のガイドレール1031によって案内される。施療ユニット103は、背凭れ部102の長手方向に昇降可能である。長手方向は、たとえば背凭れ部102に凭れ掛かる被施療者の臀部(又は腰部)から頭部に向かう方向である。
【0018】
立設部104は、座部101の左右方向の両側に立設して設けられ、肘掛け部105を支持する。
【0019】
肘掛け部105は、立設部104の上部に配置される。一対の肘掛け部105は、座部101の左右方向における両側に配置され、被施療者の前腕部及び手を支持する。左右一対の肘掛け部105は、互いに左右対称の形状である。
【0020】
オットマン106は、左右方向に延びるオットマン回動軸Jc回りに回動可能に、座部101の前端部に接続される。なお、オットマン回動軸Jcは、本発明の「軸」の一例である。オットマン106は、被施療者の少なくとも下腿部を収容する。
【0021】
次に、図2は、第1実施形態における椅子式マッサージ機100の要部を概略的に示す斜視図である。図3は、第1実施形態においてオットマン106を座部101よりも下方に収納した状態を概略的に示す斜視図である。なお、図2及び図3では、表面に配置される布製又は革製のカバー、緩衝材などの外装を省略している。また、要部の構成を見易くするため、立設部104及び肘掛け部105も省略している。
【0022】
図2に示すように、マッサージ機100は、支柱部3と、載置部30と、をさらに備える。支柱部3は、上下方向に延び、座部101を上下方向に移動可能に支持する。支柱部3の上端部は座部101に接続され、下端部は載置部30に固定される。載置部30は、前後方向に延び、床面上に載置される。
【0023】
たとえば、支柱部3は、座部101を上下動させるアクチュエータである。支柱部3は、ロッド部31と、シリンダ部32と、を有する。ロッド部31は、上下方向に延びる。シリンダ部32は、ロッド部31の一方端部を収納する。ロッド部31は、シリンダ部32に対して上下動可能である。ロッド部31の他方端部及びシリンダ部32のうちの一方は、座部101に接続される。他方は、床面上、又は床面に配置される部材(たとえば載置部30)上に配置される。
【0024】
たとえば、ロッド部31の上端部は座部101に接続され、下端部はシリンダ部32内に収容される。シリンダ部32は、載置部30に固定され、ロッド部31を上下動させる。但し、この例示に限定されず、ロッド部31とシリンダ部32の位置関係は、上下に逆であってもよい。
【0025】
こうすれば、ロッド部31の上下動により、座部101を上下動させることができる。
【0026】
なお、支柱部3は、本実施形態では、左右一対(つまり2本)である。但し、この例示に限定されず、支柱部3は、3本以上であってもよい。たとえば、左右一対の支柱部3が前後方向に複数配置されてもよい。
【0027】
また、図2に示すように、マッサージ機100は、軸部材41をさらに備える。軸部材41は、棒状の部材であって、オットマン回動軸Jcに沿って左右方向に延びる。軸部材41は、座部101に対してオットマン106をオットマン回動軸Jc回りに回動可能に接続す
る。
【0028】
また、マッサージ機100は、駆動部42をさらに備える。駆動部42は、座部101の側方に配置される。本実施形態では、駆動部42は、座部101及びオットマン106の左側の接続部分よりも左側と、右側の接続部分よりも右側と、に配置される。但し、この例示に限定されず、駆動部42は、両者の内のどちらかのみに配置されてもよい。駆動部42は、軸部材41をオットマン回動軸Jc回りに回動させることで、座部101に対してオットマン106を回動させる。不使用時などにオットマン106が駆動部42の駆動により回動して座部101の下方に収納される。
【0029】
こうすれば、オットマン106を回動させる駆動部42は、座部101よりも下方の空間に配置されない。たとえば、オットマン106を回動させるアクチュエータなどを座部101よりも下方の空間に配置しなくてもよい。そのため、図3に示すように、座部101よりも下方の空間に収納スペースを設けることができる。従って、オットマン106を後方に回動して、座部101よりも下方の収納スペースにオットマン106を収納できる。よって、収納時のマッサージ機100を小型化できる。
【0030】
本実施形態では、駆動部42は、軸部材41にモータ軸を連結したモータ420を有する。なお、軸部材41は、本発明の「オットマンの回動軸」の一例である。たとえば、駆動部42は、座部101の側方(たとえば、軸部材41の少なくとも左右どちらかの方向)に配置される。モータ軸は、オットマン回動軸Jcに沿って延び、軸部材41の左右方向端部に直結される。或いは、モータ軸は、変速機などを介して軸部材41の左右方向端部と間接的に連結されてもよい。軸部材41を回動させるモータ420を駆動部42に採用することにより、駆動部42をコンパクトに配置できる。よって、マッサージ機100を小型化できる。
【0031】
但し、上述の例示は、駆動部42にモータ420が採用されない構成を排除しない。たとえば、駆動部42は、オットマン106よりも左側及び右側にそれぞれ配置されるアクチュエータであってもよい。オットマン106の左側面には、左方に突出する接続部材が配置される。オットマン106の右側面には、右方に突出する接続部材が配置される。左側のアクチュエータの一端は、左側の接続部材に接続される。右側のアクチュエータの一端は、右側の接続部材に接続される。左側及び右側のアクチュエータの他端はそれぞれ、支柱部3又は載置部30に固定される。このようにしても、座部101よりも下方の空間にオットマン106の収納スペースを設けることができる。
【0032】
<1-2,マッサージ機100の制御系>
次に、図4を参照して、マッサージ機100の制御系の構成例を説明する。図4は、マッサージ機100の動作を制御する制御系を示すブロック図である。
【0033】
図4に示すように、マッサージ機100は、操作部1071と、記憶部1072と、制御部108と、アクチュエータ群109と、をさらに備える。
【0034】
操作部1071は、被施療者などの入力操作を受け付け、入力操作に基づく信号を制御部108に出力する。入力操作は、施療パターンの選択、施療の強弱調整などを含む。操作部1071はコード線を介して制御部108に接続される。操作部1071は、スタンド(符号省略)に対して装着及び取り外しが可能である。スタンドは、座部101の左側に配置された肘掛け部105に固定される。
【0035】
記憶部1072は、電力供給が停止しても記憶した情報を保持する非一過性の記憶媒体である。記憶部1072は、たとえば、制御部108がマッサージ機100の動作を制御するために必要なプログラム及びデータを記憶している。
【0036】
制御部108は、たとえば座部101の下側に配置され、操作部1071から出力される信号などに基づいて、マッサージ機100の各部を制御する。たとえば、制御部108は、施療ユニット103の駆動及び昇降及びアクチュエータ群109などを制御する。
【0037】
また、制御部108は、支柱部3(特にその上下動)と、オットマン106の回動(つまり駆動部42)と、を制御する。たとえば、制御部108は、座部101よりも下方においてオットマン106を前方及び後方のどちらかに回動させる際、支柱部3により、座部101を上方に移動させる。たとえば支柱部3を上方に移動し、一時的に座部101を上方に移動させることで、座部101よりも下方の空間を上下方向に広げることができる。従って、左右方向から見たオットマン106の最大幅が広くても、床面などに接触させることなく、前後に回動するオットマン106を該空間に対して容易に収納及び取り出すことができる。
【0038】
また、制御部108は、座部101を上方に移動させてオットマン106を前方及び後方のどちらかに回動させた後、座部101を下方に移動させる。たとえば、オットマン106を後方に回動させて座部101よりも下側の空間に収納した後に座部101を下げることにより、マッサージ機100の全高を小さくできる。従って、マッサージ機100を小型化した状態で、オットマン106を収納できる。また、オットマン106を前方に回動させて座部101よりも下側の空間から取り出した後に座部101を下げることにより、座部101の上下方向における位置を被施療者が着座可能な高さに調整できる。
【0039】
アクチュエータ群109は、複数のアクチュエータを含む。たとえば、アクチュエータ群109は、背凭れ部102を回動させる背凭れ部用のアクチュエータ(図示省略)、支柱部3が有するアクチュエータ(図2参照)などを含む。また、アクチュエータ群109は、オットマン106を回動させるオットマン用のアクチュエータを含んでいてもよい。
【0040】
<2.第2実施形態>
次に、図5及び図6を参照して、第2実施形態を説明する。図5は、第2実施形態における椅子式マッサージ機100の要部を概略的に示す斜視図である。図6は、第2実施形態においてオットマン106を座部101よりも下方に収納した状態を概略的に示す斜視図である。なお、図5及び図6では、表面に配置される布製又は革製のカバー、緩衝材などの外装を省略している。また、要部の構成を見易くするため、立設部104及び肘掛け部105も省略している。
【0041】
なお、第2実施形態では、第1実施形態とは異なる構成を説明する。また、第1実施形態と同様の構成部には同じ符号を付し、その説明を省略することがある。
【0042】
図5などに示すように、第2実施形態において、座部101は、後側座部1と、前側座部2と、を有する。後側座部1は、被施療者の臀部を支持する。前側座部2は、第2軸部材51を介して、左右方向に延びる前側座部回動軸Jb回りに回動可能に後側座部1の前端部と接続され、被施療者の大腿部を支持する。第2軸部材51は、左右一対の棒状の部材であって、左右方向と平行な前側座部回動軸Jbに沿って延びる。
【0043】
こうすれば、前側座部2とともに被施療者の大腿部を上下に回動できるので、股関節を効果的に施療できる。たとえば座部101上に設けたエアバッグ又は座部101全体を上下動させる機構を有するマッサージ機よりも、股関節を大きく曲げ伸ばしできる。さらに、前側座部2を下方に回動させることにより、股関節を前方に下方に引っ張ることができる。また、前側座部2の上方への回動により大腿部の下部を大きく伸ばしたり、前側座部2の下方への回動により大腿部の上部を大きく伸ばしたりすることもできる。
【0044】
後側座部1は、後台部11と、左右一対の後側外壁部12と、を有する。後台部11は、緩衝材などを載置する支持体であり、たとえば前後方向及び左右方向に広がる板状である。後側座部1の後台部11は、支柱部3に支持される。後側外壁部12は、後側座部1の左右方向両側に立設される。詳細には、後側外壁部12は、後台部11の左右方向両側に立設され、被施療者の臀部よりも左側と右側とにそれぞれ配置されて前後方向に延びる。
【0045】
前側座部2は、前台部21と、左右一対の前側外壁部22と、を有する。前台部21は、緩衝材などを載置する支持体であり、たとえば前後方向及び左右方向に広がる板状である。前側外壁部22は、前側座部2の左右方向両側に立設される。詳細には、前側外壁部22は、前台部21の左右方向両側に立設され、被施療者の左の大腿部の左側と右の大腿部の右側とに配置されて前後方向に延びる。
【0046】
このほか、前側座部2は、前側座部2(詳細には、前台部21)の左右方向中央部に立設される内壁部(図示省略)を有してもよい。内壁部は、施療者の左右一対の大腿部間に配置されて、前後方向に延びる。なお、この例示は、前側座部2が内壁部を有さない構成を排除しない。
【0047】
好ましくは、前側座部2の前側外壁部22の上端部における後端部は、第2軸部材51を介して前側座部回動軸Jb回りに回動可能に後側座部1の後側外壁部12の上端部における前端部と接続される。つまり、第2軸部材51は、後側外壁部12及び前側外壁部22の接続部分に配置される。前側座部回動軸Jbは、後側外壁部12及び前側外壁部22の接続部分を通る。
【0048】
こうすれば、第2軸部材51の上下方向における位置を被施療者の股関節と同じ高さに近付けることができる。従って、安定した姿勢で股関節をさらに大きく曲げ伸ばしできる。また、第2軸部材51が前側座部2の座面の後端部よりも上方に位置するので、第2軸部材51の上下方向における位置が座部101の座面と同じ高さにある構成と比べて、前側座部回動軸Jb回りに前側座部2全体を上下により大きく回動させることができる。従って、股関節を曲げ伸ばしする角度範囲をより広くすることができる。また、前側座部2全体を下方に回動させる際に、股関節をより大きく下方に引っ張ることができる。また、大腿部の上部及び下部も大きく延ばすことができる。
【0049】
また、さらに好ましくは、前側座部2の前台部21は、後側座部1の後台部11と平行に並ぶ際、前後方向において後台部11との間に隙間を空けて前方に配置される。こうすれば、前側座部2を下方に回動させる際、後台部11に対する前台部21の当接を防止できる。従って、後台部11に干渉されることなく、前側座部2を下方に回動できる。
【0050】
但し、上述の例示は、前側座部2の前側外壁部22の上端部における前端部が後側座部1の後側外壁部12の上端部における後端部と接続されない構成を排除しない。たとえば、前側座部2の前側外壁部22の下端部における後端部が後側座部1の後側外壁部12の下端部における前端部と接続されてもよい。或いは、前台部21の後端部が、後台部11の前端部と回動可能に接続されてもよい。
【0051】
また、マッサージ機100は、第2駆動部52をさらに有する。第2駆動部52は、座部101の側方に配置される。第2駆動部52は、第2軸部材51を前側座部回動軸Jb回りに回動させることで、後側座部1に対して前側座部2を第2軸部材51回りに回動させる。
【0052】
こうすれば、前側座部2を回動させる第2駆動部52は、座部101よりも下方の空間に配置されない。たとえば、前側座部2を回動させるアクチュエータなどを座部101よりも下方の空間に配置しなくてもよい。そのため、前側座部2が回動可能な構成であっても、座部101よりも下方の空間にオットマン106の収納スペースを設けることができる。
【0053】
好ましくは、座部101よりも下方においてオットマン106が前記第1駆動部の駆動により前方及び後方のどちらかに回動する際、支柱部3が座部101を上方に移動させるとともに、第2駆動部52は、前側座部2を上方に回動させる。なお、オットマン106の回動の終了後、第2駆動部52は、前側座部2を下方に回動させて、たとえば元の位置に戻してもよい。また、支柱部3は、座部101を下方に移動させてもよい。
【0054】
前側座部2を上方に回動させることで、座部101よりも下方の空間の前側の開口高さをさらに広げることができる。従って、左右方向から見たオットマン106の最大幅が広くても、前後に回動するオットマン106は、床面などに接触することなく、該空間の前側の開口を通過できる。よって、図6に示すようにマッサージ機100は、オットマン106を座部101よりも下方の空間に収納できる。また、マッサージ機100は、該空間に収納されたオットマン106を座部101よりも下方の空間から取り出して使うことができる。但し、上述の例示は、座部101よりも下方においてオットマン106が前後に回動する際に前側座部2が上方に回動しない構成を排除しない。
【0055】
第2実施形態では、第2駆動部52は、第2軸部材51とモータ軸とを直結した第2モータ520を有する。たとえば、第2駆動部52は、後側座部1及び前側座部2の接続部分の側方(たとえば、第2軸部材51の少なくとも左右どちらかの端部)に配置される。第2実施形態では、第2駆動部52は、後側座部1及び前側座部2の左側の接続部分よりも左側と、右側の接続部分よりも右側と、に配置される。但し、この例示に限定されず、第2駆動部52は、両者の内のどちらかのみに配置されてもよい。
【0056】
第2モータ520のモータ軸は、左右方向に沿って延び、第2軸部材51の左右方向端部に直結される。或いは、モータ軸は、変速機などを介して第2軸部材51の左右方向端部と間接的に連結されてもよい。第2軸部材51を回動させる第2モータ520を第2駆動部52に採用することにより、第2駆動部52をコンパクトに配置できる。よって、マッサージ機100を小型化できる。
【0057】
但し、上述の例示は、第2駆動部52に第2モータ520が採用されない構成を排除しない。たとえば、第2駆動部52は、前側座部2及びオットマン106よりも左側及び右側にそれぞれ配置されるアクチュエータであってもよい。たとえば、前側座部2の左側面には、オットマン106の左端部よりも左方に突出する接続部材が配置される。前側座部2の右側面には、オットマン106の右端部よりも右方に突出する接続部材が配置される。左側のアクチュエータの一端は、左側の接続部材に接続される。右側のアクチュエータの一端は、右側の接続部材に接続される。左側及び右側のアクチュエータの他端はそれぞれ、支柱部3又は載置部30に固定される。このようにしても、座部101よりも下方の空間にオットマン106の収納スペースを設けることができる。
【0058】
次に、前側座部2の前端部には、第1軸部材41を介して、オットマン106が接続される。オットマン106は、前側座部2に対して、オットマン回動軸Jc回りに回動可能である。すなわち、第1軸部材41は、前側座部2及びオットマン106の接続部分に配置される。オットマン回動軸Jcは、前側座部2及びオットマン106の接続部分を通る。
【0059】
前側座部2の回動とオットマン106の回動とを組み合わせることにより、股関節の施療効果を高めることができる。たとえば、オットマン106を上方に回動させた状態で前側座部2を上方に回動させることにより、脚部を伸ばした状態で股関節を大きく曲げることができる。また、この際、前側座部2を上方に大きく回動させることにより、臀部もストレッチできる。
【0060】
また、膝関節の施療効果を高めることもできる。たとえば、前側座部2を上方に回動させた状態でオットマン106を下方に回動させることにより、膝関節を大きく曲げることができる。さらに、脚部の膝下部分(つまり、下腿部及び足部)の自重により、膝関節を引っ張ることもできる。
【0061】
好ましくは、マッサージ機100は、臀部保持部1011をさらに備える(図1参照)。臀部保持部1011は、被施療者の臀部を左右方向両側から保持する。臀部保持部1011は、たとえば、座部101の左右方向両側、又は、肘掛け部105の内側面の後端部に配置されるエアバッグであり、膨脹により臀部を左右方向内方に押圧する。臀部保持部1011は、臀部を保持することで、座部101に対する臀部の(特に前後方向の)移動を抑制できる。従って、股関節の施療効果を向上できる。但し、この例示は、マッサージ機100が臀部保持部1011を備えない構成を排除しない。
【0062】
このほか、マッサージ機100は、前側座部2の回動により、被施療者の股関節、大腿部、及び膝関節の施療以外も実施できる。たとえば、マッサージ機100は、背凭れ部102を後方に傾倒(リクライニング)させた際に、前側座部2が連動して前端部を下げるように回動する動作モードを設けられてもよい。こうすれば、大腿部を下方に回動させた状態で、被施療者の胴部を後方に傾倒させることができる。従って、被施療者を仰向けにした状態で腰部を反らしつつ、胴部及び大腿部をストレッチすることができる。
【0063】
以上に説明した第2実施形態の座部101では、被施療者の両脚は同じ前側座部2及びオットマン106により支持される。但し、この例示に限定されず、被施療者の脚は、左右で別々に支持されてもよい。たとえば、前側座部2及びオットマン106はそれぞれ、左脚用と右脚用に分割されていてもよい。
【0064】
<3.備考>
上記実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。
【0065】
<4.総括>
以下では、これまでに説明してきた実施形態について総括的に述べる。
【0066】
例えば、本明細書中に開示されている椅子式マッサージ機は、
被施療者の臀部及び大腿部を支持する座部と、
左右方向に延びる軸回りに回動可能に前記座部の前端部と接続され、被施療者の少なくとも下腿部を収容するオットマンと、
上下方向に延び、前記座部を上下方向に移動可能に支持する支柱部と、
前記支柱部の上下動と前記オットマンの回動とを制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記座部よりも下方において前記オットマンを前方及び後方のどちらかに回動させる際、前記座部を上方に移動させる構成(第1の構成)とされる。
【0067】
上記第1の構成の椅子式マッサージ機は、前記制御部は、前記座部を上方に移動させて前記オットマンを前方及び後方のどちらかに回動させた後、前記座部を下方に移動させる構成(第2の構成)であってもよい。
【0068】
上記第1又は第2の構成の椅子式マッサージ機は、
前記支柱部は、
上下方向に延びるロッド部と、
前記ロッド部を上下動可能に前記ロッド部の一方端部を収納するシリンダ部と、
を有し、
前記ロッド部の他方端部及び前記シリンダ部のうちの一方は、座部に接続され、
他方は、床面上、又は該床面に配置される部材上に配置される構成(第3の構成)であってもよい。
【0069】
上記第1~第3のいずれかの構成の椅子式マッサージ機は、
前記座部の側方に配置され、前記座部に対して前記オットマンを回動させる駆動部をさらに備え、
前記オットマンが前記駆動部の駆動により回動して前記座部の下方に収納される構成(第4の構成)であってもよい。
【0070】
上記第1の構成の椅子式マッサージ機は、前記駆動部は、前記オットマンの回動軸にモータ軸を連結したモータを有する構成(第5の構成)であってもよい。
【符号の説明】
【0071】
100 (椅子式)マッサージ機
101 座部
1011 臀部保持部
102 背凭れ部
1021 枕部
103 施療ユニット
1030 施療子
1031 ガイドレール
104 立設部
105 肘掛け部
106 オットマン
1071 操作部
1072 記憶部
108 制御部
109 アクチュエータ群
1 後側座部
11 後台部
12 後側外壁部
2 前側座部
21 前台部
22 前側外壁部
3 支柱部
30 載置部
31 ロッド部
32 シリンダ部
41 軸部材
42 駆動部
420 モータ
51 第2軸部材
52 第2駆動部
520 第2モータ
Ja 背凭れ回動軸
Jb 前側座部回動軸
Jc オットマン回動軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6