IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ルネサスエレクトロニクス株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087303
(43)【公開日】2024-07-01
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 25/04 20230101AFI20240624BHJP
   H01L 21/60 20060101ALI20240624BHJP
   H01L 21/822 20060101ALN20240624BHJP
【FI】
H01L25/04 Z
H01L21/60 301A
H01L27/04 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022202056
(22)【出願日】2022-12-19
(71)【出願人】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】細川 嵩道
(72)【発明者】
【氏名】佃 龍明
(72)【発明者】
【氏名】桝村 好博
【テーマコード(参考)】
5F038
5F044
【Fターム(参考)】
5F038AZ04
5F038BE07
5F038EZ07
5F038EZ20
5F044AA01
5F044AA12
5F044AA20
(57)【要約】      (修正有)
【課題】半導体装置の性能を向上させる。
【解決手段】半導体装置は、Y方向に隣り合う2つのダイパッドDPL,DPHと、一方のダイパッドDPH上に配置され、かつ、X方向に隣り合う第1の半導体チップCPLおよび第3の半導体チップCPCと、他方のダイパッドDPL上に配置された第2の半導体チップCPHとを有する。第3の半導体チップCPCは、第1の半導体チップCPLから第2の半導体チップCPHに信号を伝達するための1つ以上の送信用トランスTR1と、第2の半導体チップCPHから第1の半導体チップCPLに信号を伝達するための1つ以上の受信用トランスTR2、TR3とを有する。複数のトランスTR1、TR2、TR3は、平面視において第2の半導体チップCPHに対向する辺CPCbに沿って配置され、かつ、送信用トランスTR1は、受信用トランスTR2,TR3よりも第1の半導体チップCPLの近くに配置されている。
【選択図】図17
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1チップ搭載部と、
第2チップ搭載部と、
前記第1チップ搭載部上に搭載された第1半導体チップと、
前記第2チップ搭載部上に搭載された第2半導体チップと、
前記第1チップ搭載部上に搭載され、かつ、複数のトランスを有する第3半導体チップと、
前記第1半導体チップ、前記第2半導体チップ、前記第3半導体チップ、前記第1チップ搭載部および前記第2チップ搭載部を封止する封止体と、
を備え、
前記複数のトランスのそれぞれは、互いに磁気的に結合された一次コイルおよび二次コイルを有し、
前記第1チップ搭載部と前記第2チップ搭載部とは、第1方向において互いに隣り合い、
前記第1半導体チップと前記第3半導体チップとは、前記第1方向と直交する第2方向において互いに隣り合い、
平面視において、前記第3半導体チップは、前記第1半導体チップの第1辺と対向する第3辺と、前記第2半導体チップの第2辺と対向する第4辺とを有し、
前記複数のトランスは、平面視において、前記第3半導体チップの前記第4辺に沿って配置され、
前記第1半導体チップは、
前記第1半導体チップ内に形成された第1送信回路と電気的に接続された複数の第1送信用パッドと、
前記第1半導体チップ内に形成された第1受信回路と電気的に接続された複数の第1受信用パッドと、
を有し、
前記第2半導体チップは、
前記第2半導体チップ内に形成された第2送信回路と電気的に接続された複数の第2送信用パッドと、
前記第2半導体チップ内に形成された第2受信回路と電気的に接続された複数の第2受信用パッドと、
を有し、
前記第3半導体チップの前記複数のトランスは、
前記第1半導体チップから前記第2半導体チップへの信号の伝達に用いられる1つ以上の第1トランスと、
前記第2半導体チップから前記第1半導体チップへの信号の伝達に用いられる1つ以上の第2トランスと、
を有し、
前記1つ以上の第1トランスの一次コイルは、前記第1半導体チップの前記複数の第1送信用パッドと電気的に接続され、
前記1つ以上の第1トランスの二次コイルは、前記第2半導体チップの前記複数の第2受信用パッドと電気的に接続され、
前記1つ以上の第2トランスの一次コイルは、前記第2半導体チップの前記複数の第2送信用パッドと電気的に接続され、
前記1つ以上の第2トランスの二次コイルは、前記第1半導体チップの前記複数の第1受信用パッドと電気的に接続され、
前記1つ以上の第1トランスは、平面視において、前記1つ以上の第2トランスよりも前記第1半導体チップの近くに配置され、
前記複数の第1送信用パッドは、平面視において、前記複数の第1受信用パッドよりも前記第2半導体チップの近くに配置されている、半導体装置。
【請求項2】
請求項1記載の半導体装置において、
前記第1半導体チップにおいて、前記複数の第1送信用パッドおよび前記複数の第1受信用パッドは、平面視において前記第1半導体チップの前記第1辺に沿って配置されている、半導体装置。
【請求項3】
請求項2記載の半導体装置において、
前記第2半導体チップにおいて、前記複数の第2送信用パッドおよび前記複数の第2受信用パッドは、平面視において前記第2半導体チップの前記第2辺に沿って配置されている、半導体装置。
【請求項4】
請求項3記載の半導体装置において、
前記第2半導体チップにおいて、前記複数の第2受信用パッドは、平面視において前記複数の第2送信用パッドよりも前記第1半導体チップの近くに配置されている、半導体装置。
【請求項5】
請求項1記載の半導体装置において、
前記複数のトランスを構成する前記第2トランスの数は、前記複数のトランスを構成する前記第1トランスの数よりも多い、半導体装置。
【請求項6】
請求項1記載の半導体装置において、
複数のリードと、
複数のワイヤと、
を更に備え、
前記封止体は、前記複数のリードのそれぞれの一部と、前記複数のワイヤとを封止している、半導体装置。
【請求項7】
請求項6記載の半導体装置において、
前記第3半導体チップは、前記1つ以上の第1トランスの一次コイルと電気的に接続された複数の第1パッドと、前記1つ以上の第1トランスの二次コイルと電気的に接続された複数の第2パッドと、前記1つ以上の第2トランスの一次コイルと電気的に接続された複数の第3パッドと、前記1つ以上の第2トランスの二次コイルと電気的に接続された複数の第4パッドと、を含み、
前記複数のワイヤは、前記第1半導体チップの前記複数の第1送信用パッドと前記第3半導体チップの前記複数の第1パッドとを電気的に接続する複数の第1ワイヤと、前記第2半導体チップの前記複数の第2受信用パッドと前記第3半導体チップの前記複数の第2パッドとを電気的に接続する複数の第2ワイヤと、前記第2半導体チップの前記複数の第2送信用パッドと前記第3半導体チップの前記複数の第3パッドとを電気的に接続する複数の第3ワイヤと、前記第1半導体チップの前記複数の第1受信用パッドと前記第3半導体チップの前記複数の第4パッドとを電気的に接続する複数の第4ワイヤと、を含む、半導体装置。
【請求項8】
請求項7記載の半導体装置において、
前記第1半導体チップは、複数の第5パッドを更に有し、
前記第2半導体チップは、複数の第6パッドを更に有し、
前記複数のワイヤは、前記第1半導体チップの前記複数の第5パッドと前記複数のリードのうちの複数の第1リードとを電気的に接続する複数の第5ワイヤと、前記第2半導体チップの前記複数の第6パッドと前記複数のリードのうちの複数の第2リードとを電気的に接続する複数の第6ワイヤと、を更に含む、半導体装置。
【請求項9】
請求項1記載の半導体装置において、
前記複数の第2送信用パッドは、前記複数の第2トランスの各一次コイルとそれぞれ電気的に接続され、
前記複数の第1受信用パッドは、前記複数の第2トランスの各二次コイルとそれぞれ電気的に接続されている、半導体装置。
【請求項10】
第1チップ搭載部と、
第2チップ搭載部と、
前記第1チップ搭載部上に搭載された第1半導体チップと、
前記第2チップ搭載部上に搭載された第2半導体チップと、
前記第1チップ搭載部上に搭載され、かつ、複数のトランスを有する第3半導体チップと、
前記第1半導体チップ、前記第2半導体チップ、前記第3半導体チップ、前記第1チップ搭載部および前記第2チップ搭載部を封止する封止体と、
を備え、
前記複数のトランスのそれぞれは、互いに磁気的に結合された一次コイルおよび二次コイルを有し、
前記第1チップ搭載部と前記第2チップ搭載部とは、第1方向において互いに隣り合い、
前記第1半導体チップと前記第3半導体チップとは、前記第1方向と直交する第2方向において互いに隣り合い、
平面視において、前記第3半導体チップは、前記第1半導体チップの第1辺と対向する第3辺と、前記第2半導体チップの第2辺と対向する第4辺とを有し、
前記複数のトランスは、平面視において、前記第3半導体チップの前記第3辺に沿って配置され、
前記第1半導体チップは、
前記第1半導体チップ内に形成された第1送信回路と電気的に接続された複数の第1送信用パッドと、
前記第1半導体チップ内に形成された第1受信回路と電気的に接続された複数の第1受信用パッドと、
を有し、
前記第2半導体チップは、
前記第2半導体チップ内に形成された第2送信回路と電気的に接続された複数の第2送信用パッドと、
前記第2半導体チップ内に形成された第2受信回路と電気的に接続された複数の第2受信用パッドと、
を有し、
前記第3半導体チップの前記複数のトランスは、
前記第1半導体チップから前記第2半導体チップへの信号の伝達に用いられる1つ以上の第1トランスと、
前記第2半導体チップから前記第1半導体チップへの信号の伝達に用いられる1つ以上の第2トランスと、
を有し、
前記1つ以上の第1トランスの一次コイルは、前記第1半導体チップの前記複数の第1送信用パッドと電気的に接続され、
前記1つ以上の第1トランスの二次コイルは、前記第2半導体チップの前記複数の第2受信用パッドと電気的に接続され、
前記1つ以上の第2トランスの一次コイルは、前記第2半導体チップの前記複数の第2送信用パッドと電気的に接続され、
前記1つ以上の第2トランスの二次コイルは、前記第1半導体チップの前記複数の第1受信用パッドと電気的に接続され、
前記1つ以上の第2トランスは、平面視において、前記1つ以上の第1トランスよりも前記第2半導体チップの近くに配置され、
前記複数の第2送信用パッドは、平面視において、前記複数の第2受信用パッドよりも前記第1半導体チップの近くに配置されている、半導体装置。
【請求項11】
請求項10記載の半導体装置において、
前記第2半導体チップにおいて、前記複数の第2送信用パッドおよび前記複数の第2受信用パッドは、平面視において前記第2半導体チップの前記第2辺に沿って配置されている、半導体装置。
【請求項12】
請求項11記載の半導体装置において、
前記第1半導体チップにおいて、前記複数の第1送信用パッドおよび前記複数の第1受信用パッドは、平面視において前記第1半導体チップの前記第1辺に沿って配置されている、半導体装置。
【請求項13】
請求項12記載の半導体装置において、
前記第1半導体チップにおいて、前記複数の第1受信用パッドは、平面視において前記複数の第1送信用パッドよりも前記第2半導体チップの近くに配置されている、半導体装置。
【請求項14】
請求項10記載の半導体装置において、
前記複数のトランスを構成する前記第1トランスの数は、前記複数のトランスを構成する前記第2トランスの数よりも多い、半導体装置。
【請求項15】
請求項10記載の半導体装置において、
複数のリードと、
複数のワイヤと、
を更に備え、
前記封止体は、前記複数のリードのそれぞれの一部と、前記複数のワイヤとを封止している、半導体装置。
【請求項16】
請求項15記載の半導体装置において、
前記第3半導体チップは、前記1つ以上の第1トランスの一次コイルと電気的に接続された複数の第1パッドと、前記1つ以上の第1トランスの二次コイルと電気的に接続された複数の第2パッドと、前記1つ以上の第2トランスの一次コイルと電気的に接続された複数の第3パッドと、前記1つ以上の第2トランスの二次コイルと電気的に接続された複数の第4パッドと、を含み、
前記複数のワイヤは、前記第1半導体チップの前記複数の第1送信用パッドと前記第3半導体チップの前記複数の第1パッドとを電気的に接続する複数の第1ワイヤと、前記第2半導体チップの前記複数の第2受信用パッドと前記第3半導体チップの前記複数の第2パッドとを電気的に接続する複数の第2ワイヤと、前記第2半導体チップの前記複数の第2送信用パッドと前記第3半導体チップの前記複数の第3パッドとを電気的に接続する複数の第3ワイヤと、前記第1半導体チップの前記複数の第1受信用パッドと前記第3半導体チップの前記複数の第4パッドとを電気的に接続する複数の第4ワイヤと、を含む、半導体装置。
【請求項17】
請求項16記載の半導体装置において、
前記第1半導体チップは、複数の第5パッドを更に有し、
前記第2半導体チップは、複数の第6パッドを更に有し、
前記複数のワイヤは、前記第1半導体チップの前記複数の第5パッドと前記複数のリードのうちの複数の第1リードとを電気的に接続する複数の第5ワイヤと、前記第2半導体チップの前記複数の第6パッドと前記複数のリードのうちの複数の第2リードとを電気的に接続する複数の第6ワイヤと、を更に含む、半導体装置。
【請求項18】
請求項10記載の半導体装置において、
前記複数の第1送信用パッドは、前記複数の第1トランスの各一次コイルとそれぞれ電気的に接続され、
前記複数の第2受信用パッドは、前記複数の第1トランスの各二次コイルとそれぞれ電気的に接続されている、半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関し、例えば、複数の半導体チップを内蔵する半導体装置に好適に利用できるものである。
【背景技術】
【0002】
ダイパッド上に半導体チップを搭載し、半導体チップのパッド電極とリードとをワイヤを介して電気的に接続し、それらを樹脂封止することにより、半導体パッケージ形態の半導体装置を製造することができる。
【0003】
国際公開第2015-114758号(特許文献1)には、半導体チップ内の2つのコイルを誘導結合させて電気信号を伝達する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2015-114758号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
3つの半導体チップを内蔵し、そのうちの2つの半導体チップ間で信号を伝達するために、他の1つの半導体チップ内の磁気的に結合されたコイルを利用する半導体装置において、性能を向上させることが望まれる。
【0006】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施の形態によれば、半導体装置は、第1チップ搭載部と、第2チップ搭載部と、前記第1チップ搭載部上に搭載された第1半導体チップと、前記第2チップ搭載部上に搭載された第2半導体チップと、前記第1チップ搭載部上に搭載され、かつ、複数のトランスを有する第3半導体チップと、それらを封止する封止体と、を備えている。前記第1チップ搭載部と前記第2チップ搭載部とは、第1方向において互いに隣り合い、かつ、前記第1半導体チップと前記第3半導体チップとは、前記第1方向と直交する第2方向において互いに隣り合っている。前記複数のトランスは、平面視において前記第2半導体チップと対向する辺に沿って配置されている。前記第1半導体チップは、前記第1半導体チップ内に形成された第1送信回路と電気的に接続された複数の第1送信用パッドと、前記第1半導体チップ内に形成された第1受信回路と電気的に接続された複数の第1受信用パッドと、を有する。前記第2半導体チップは、前記第2半導体チップ内に形成された第2送信回路と電気的に接続された複数の第2送信用パッドと、前記第2半導体チップ内に形成された第2受信回路と電気的に接続された複数の第2受信用パッドと、を含む。前記第3半導体チップの前記複数のトランスは、前記第1半導体チップから前記第2半導体チップへの信号の伝達に用いられる1つ以上の第1トランスと、前記第2半導体チップから前記第1半導体チップへの信号の伝達に用いられる1つ以上の第2トランスとを有する。前記1つ以上の第1トランスの一次コイルは、前記第1半導体チップの前記複数の第1送信用パッドと電気的に接続され、かつ、前記1つ以上の第1トランスの二次コイルは、前記第2半導体チップの前記複数の第2受信用パッドと電気的に接続されている。前記1つ以上の第2トランスの一次コイルは、前記第2半導体チップの前記複数の第2送信用パッドと電気的に接続され、かつ、前記1つ以上の第2トランスの二次コイルは、前記第1半導体チップの前記複数の第1受信用パッドと電気的に接続されている。前記1つ以上の第1トランスは、平面視において、前記1つ以上の第2トランスよりも前記第1半導体チップの近くに配置されている。前記複数の第1送信用パッドは、平面視において、前記複数の第1受信用パッドよりも前記第2半導体チップの近くに配置されている。
【発明の効果】
【0008】
一実施の形態によれば、半導体装置の性能を向上させることができる。また、半導体装置の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施の形態の半導体装置を用いたインバータ回路を示す回路図である。
図2】一実施の形態の半導体装置の上面図である。
図3】一実施の形態の半導体装置の平面透視図である。
図4】一実施の形態の半導体装置の平面透視図である。
図5】一実施の形態の半導体装置の平面透視図である。
図6】一実施の形態の半導体装置の下面図である。
図7】一実施の形態の半導体装置の断面図である。
図8】一実施の形態の半導体装置の断面図である。
図9】一実施の形態の半導体装置の断面図である。
図10】一実施の形態の半導体装置の製造工程中の平面図である。
図11図10に続く半導体装置の製造工程中の平面図である。
図12図11に続く半導体装置の製造工程中の平面図である。
図13図12に続く半導体装置の製造工程中の平面図である。
図14図13と同じ半導体装置の製造工程中の断面図である。
図15図13と同じ半導体装置の製造工程中の断面図である。
図16】一実施の形態の半導体装置の一部を拡大した平面透視図である。
図17】一実施の形態の半導体装置の一部を拡大した平面透視図である。
図18】一実施の形態の半導体装置内の半導体チップを模式的に示す断面図である。
図19】一実施の形態の半導体装置内の半導体チップを模式的に示す断面図である。
図20】一実施の形態の半導体装置内の半導体チップを模式的に示す断面図である。
図21】検討例の半導体装置の平面透視図である。
図22】第1変形例の半導体装置の説明図である。
図23】第2変形例の半導体装置の説明図である。
図24】第2変形例の半導体装置の説明図である。
図25】第2変形例の半導体装置の説明図である。
図26】他の実施の形態の半導体装置を用いたインバータ回路を示す回路図である。
図27】他の実施の形態の半導体装置の一部を拡大した平面透視図である。
図28】他の実施の形態の半導体装置の一部を拡大した平面透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0011】
以下、実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0012】
また、実施の形態で用いる図面においては、断面図であっても図面を見易くするためにハッチングを省略する場合もある。また、平面図であっても図面を見易くするためにハッチングを付す場合もある。
【0013】
(実施の形態1)
<回路構成について>
図1は、本実施の形態の半導体装置PKGを用いたインバータ回路を示す回路図である。なお、図1において、符号CPHを付した点線で囲まれた部分が、半導体チップCPH内に形成され、符号CPLを付した点線で囲まれた部分が、半導体チップCPL内に形成され、符号CPCを付した点線で囲まれた部分が、半導体チップCPC内に形成され、符号PKGを付した一点鎖線で囲まれた部分が、半導体装置PKG内に形成されている。図1に示されるインバータ回路では、半導体装置PKGは2つ用いられている。図1においては、図面の簡略化のために、パワートランジスタTS2に接続された半導体装置PKGの回路構成は省略してあるが、パワートランジスタTS2に接続された半導体装置PKGの回路構成は、パワートランジスタTS1に接続された半導体装置PKGの回路構成と基本的には同じである。
【0014】
図1に示されるインバータ回路に用いられている半導体装置PKGは、半導体チップCPC,CPL,CPHを備えている。半導体チップCPL内には、送信回路TX1と受信回路RX2と受信回路RX3とが形成されている。半導体チップCPH内には、受信回路RX1と送信回路TX2と送信回路TX3と駆動回路(制御回路)DRとが形成されている。半導体チップCPC内には、互いに磁気的に結合されたコイルL1a,L1bからなるトランスTR1と、互いに磁気的に結合されたコイルL2a,L2bからなるトランスTR2と、互いに磁気的に結合されたコイルL3a,L3bからなるトランスTR3とが形成されている。受信回路RX2と受信回路RX3とは、同じ半導体チップCPLに形成されているため、受信回路RX2と受信回路RX3とを合わせたもの全体を、受信回路とみなすこともできる。また、送信回路TX2と送信回路TX3とは、同じ半導体チップCPHに形成されているため、送信回路TX2と送信回路TX3とを合わせたもの全体を、送信回路とみなすこともできる。また、図1に示されるインバータ回路は、制御回路CCも有しており、この制御回路CCは、半導体パッケージPKGの外部に設けられた別の半導体チップ内に形成されている。
【0015】
送信回路TX1および受信回路RX1は、制御回路CCからの信号を駆動回路DRに伝達するための回路である。送信回路TX1は、制御回路CCから送信回路TX1に送られた信号を変換して、トランスTR1を介して受信回路RX1に送信する。受信回路RX1は、送信回路TX1からトランスTR1を介して受信した信号を変換して、駆動回路DRに伝達する。また、送信回路TX2および受信回路RX2は、駆動回路DRからの信号を制御回路CCに伝達するための回路である。送信回路TX2は、駆動回路DRから送信回路TX2に送られた信号を変換して、トランスTR2を介して受信回路RX2に送信する。受信回路RX2は、送信回路TX2からトランスTR2を介して受信した信号を変換して、制御回路CCに伝達する。また、送信回路TX3および受信回路RX3は、駆動回路DRからの信号を制御回路CCに伝達するための回路である。送信回路TX3は、駆動回路DRから送信回路TX3に送られた信号を変換して、トランスTR3を介して受信回路RX3に送信する。受信回路RX3は、送信回路TX3からトランスTR3を介して受信した信号を変換して、制御回路CCに伝達する。
【0016】
図1に示されるインバータ回路は、パワートランジスタTS1,TS2を有している。パワートランジスタTS1は、ハイサイドスイッチ(高電位側スイッチ)用のトランジスタであり、パワートランジスタTS2は、ロウサイドスイッチ(低電位側スイッチ)用のトランジスタである。パワートランジスタTS1とパワートランジスタTS2とは、それぞれ、半導体パッケージPKGの外部に設けられた別々の半導体チップ内に形成されている。
【0017】
以下では、パワートランジスタTS1,TS2がパワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)である場合について説明する。パワートランジスタTS1,TS2として、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)を適用することもでき、その場合は、以下のパワートランジスタTS1,TS2に関する説明において、「ソース」を「エミッタ」と読み替え、「ドレイン」を「コレクタ」と読み替えればよい。
【0018】
また、本願において、MOSFETというときは、ゲート絶縁膜に酸化膜(酸化シリコン膜)を用いたMISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor:MIS型電界効果トランジスタ)だけでなく、酸化膜以外の絶縁膜をゲート絶縁膜に用いたMISFETも含むものとする。
【0019】
パワートランジスタTS1とパワートランジスタTS2は直列に接続されており、パワートランジスタTS1のソース(S1)がパワートランジスタTS2のドレイン(D2)に接続されている。パワートランジスタTS1のドレイン(D1)には、電源(バッテリ)BT1から電源電位(電源電圧)V1が供給される。また、制御回路CCには、電源(バッテリ)BT2から電源電位(電源電圧)V2が供給される。パワートランジスタTS1のドレイン(D1)に供給される電源電位V1は、制御回路CCに供給される電源電位V2(例えば数V~数十V)よりもかなり高く、例えば100V以上(数百V)である。パワートランジスタTS2のソース(S2)には、電源電位V1よりも低い基準電位、例えばグランド電位(GND)が供給される。パワートランジスタTS1のゲート(G1)とパワートランジスタTS2のゲート(G2)は、それぞれ、駆動回路DRに接続されている。
【0020】
なお、本実施の形態では、パワートランジスタTS1,TS2の数と同じ数の半導体装置PKGを使用している。この場合、パワートランジスタTS1に対して設けた半導体装置PKGが有する駆動回路DRが、パワートランジスタTS1のゲート(G1)の電圧を制御し、パワートランジスタTS2に対して設けた半導体装置PKGが有する駆動回路DRが、パワートランジスタTS2のゲート(G2)の電圧を制御する。他の形態として、2つのパワートランジスタTS1,TS2に対して1つの半導体装置PKGを使用する場合もあり得るが、その場合は、共通の半導体装置PKGが有する駆動回路DRが、2つのパワートランジスタTS1,TS2のゲート(G1,G2)の電圧を制御する。
【0021】
制御回路CCから送信回路TX1とトランスTR1と受信回路RX1とを介して駆動回路に供給された信号(制御信号)に応じて、駆動電圧DRから各パワートランジスタTS1,TS2のゲート(G1,G2)に供給されるゲート電圧を制御することで、パワートランジスタTR1,TR2の動作を制御することができる。
【0022】
パワートランジスタTS1のソース(S1)とパワートランジスタTS2のドレイン(D2)との間に設けられた端子T1は、インバータ回路の出力用の端子である。端子T1は、負荷LODに接続される。負荷LODは、例えばモータのコイルである。インバータ回路に供給された直流電力は、インバータ回路で交流電力に変換されて、負荷LODに供給される。
【0023】
送信回路TX1と受信回路RX1との間にはトランスTR1が介在し、送信回路TX2と受信回路RX2との間にはトランスTR2が介在し、送信回路TX3と受信回路RX3との間にはトランスTR3が介在している。制御回路CCは、送信回路TX1、トランスTR1および受信回路RX1を経由して、駆動回路DRに信号(制御信号)を伝達することができる。また、駆動回路DRは、送信回路TX2、トランスTR2および受信回路RX2を経由して、制御回路CCに信号を伝達することができ、また、駆動回路DRは、送信回路TX3、トランスTR3および受信回路RX3を経由して、制御回路CCに信号を伝達することができる。コイルL1a,L1b,L2a,L2b,L3a,L3bは、それぞれインダクタとみなすこともできる。
【0024】
トランスTR1は、半導体チップCPC内に形成されたコイルL1a,L1bにより形成されているが、コイルL1aとコイルL1bとは、導体によっては繋がっておらず、互いに磁気的に結合している。このため、コイルL1aに電流が流れると、その電流の変化に応じてコイルL1bに誘導起電力が発生して誘導電流が流れる。コイルL1aが一次コイルで、コイルL1bが二次コイルである。これを利用して、送信回路TX1からトランスTR1のコイルL1a(一次コイル)に信号を送って電流を流し、それに応じてトランスTR1のコイルL1b(二次コイル)に生じた誘導電流(または誘導起電力)を受信回路RX1で検知(受信)することで、送信回路TX1が送った信号に応じた信号を、受信回路RX1で受け取ることができる。
【0025】
また、トランスTR2は、半導体チップCPC内に形成されたコイルL2a,L2bにより形成されているが、コイルL2bとコイルL2aとは、導体によっては繋がっておらず、互いに磁気的に結合している。このため、コイルL2bに電流が流れると、その電流の変化に応じてコイルL2aに誘導起電力が発生して誘導電流が流れる。コイルL2bが一次コイルで、コイルL2aが二次コイルである。これを利用して、送信回路TX2からトランスTR2のコイルL2b(一次コイル)に信号を送って電流を流し、それに応じてトランスTR2のコイルL2a(二次コイル)に生じた誘導電流(または誘導起電力)を受信回路RX2で検知(受信)することで、送信回路TX2が送った信号に応じた信号を、受信回路RX2で受け取ることができる。
【0026】
また、トランスTR3は、半導体チップCPC内に形成されたコイルL3a,L3bにより形成されているが、コイルL3bとコイルL3aとは、導体によっては繋がっておらず、互いに磁気的に結合している。このため、コイルL3bに電流が流れると、その電流の変化に応じてコイルL3aに誘導起電力が発生して誘導電流が流れる。コイルL3bが一次コイルで、コイルL3aが二次コイルである。これを利用して、送信回路TX3からトランスTR3のコイルL3b(一次コイル)に信号を送って電流を流し、それに応じてトランスTR3のコイルL3a(二次コイル)に生じた誘導電流(または誘導起電力)を受信回路RX3で検知(受信)することで、送信回路TX3が送った信号に応じた信号を、受信回路RX3で受け取ることができる。
【0027】
送信回路TX1からトランスTR1を経由して受信回路RX1に至る経路と、送信回路TX2からトランスTR2を経由して受信回路RX2に至る経路と、送信回路TX3からトランスTR3を経由して受信回路RX3に至る経路により、半導体チップCPLと半導体チップCPHとの間で信号の伝達を行うことができる。
【0028】
半導体チップCPLと半導体チップCPHとは、電圧レベルが異なっている。例えば、半導体チップCPLは、低電圧(例えば数V~数十V)で動作または駆動される回路(例えば制御回路CC)を有する低電圧領域に、後述のワイヤBWおよびリードLD(具体的にはリードLD2)などを介して電気的に接続される。また、半導体チップCPHは、前記低電圧よりも高電圧(例えば100V以上)で動作または駆動される回路(例えばパワートランジスタTS1,TS2)を有する高電圧領域に、後述のワイヤBWおよびリードLD(具体的にはリードLD1)などを介して電気的に接続される。しかしながら、半導体チップCPL,CPH間での信号の伝達はトランスTR1,TR2,TR3を介在しているため、異電圧回路間での信号の伝達が可能である。
【0029】
なお、図1では、制御回路CCを半導体チップCPC,CPH,CPL以外の半導体チップに内蔵させる場合について示しているが、他の形態として、制御回路CCを半導体チップCPL内に内蔵させることもできる。
【0030】
<半導体装置の構造について>
図2は、本実施の形態の半導体装置PKGの上面図であり、図3図5は、半導体装置PKGの平面透視図であり、図6は、半導体装置PKGの下面図(裏面図)であり、図7図9は、半導体装置PKGの断面図である。図3には、封止部MRを透視したときの半導体装置PKGの上面側の平面透視図が示されている。また、図4は、図3において、更にワイヤBWを透視(省略)したときの半導体装置PKGの上面側の平面透視図が示されている。また、図5は、図4において、更に半導体チップCPC,CPH,CPLを透視(省略)したときの半導体装置PKGの上面側の平面透視図が示されている。図3図5では、封止部MRの外周の位置を点線で示してある。また、図2および図3のA1-A1線の位置での半導体装置PKGの断面図が、図7にほぼ対応し、図2および図3のA2-A2線の位置での半導体装置PKGの断面図が、図8にほぼ対応し、図2および図3のA3-A3線の位置での半導体装置PKGの断面図が、図9にほぼ対応している。また、図2図6には、X方向およびY方向が示されている。ここで、X方向とY方向とは、互いに交差する方向であり、より特定的には、互いに直交する方向である。
【0031】
図2図9に示される本実施の形態の半導体装置(半導体パッケージ)PKGは、樹脂封止型の半導体パッケージ形態の半導体装置であり、ここではSOP(Small Outline Package)形態の半導体装置である。以下、図2図9を参照しながら、半導体装置PKGの構成について説明する。
【0032】
図2図9に示される本実施の形態の半導体装置PKGは、3つの半導体チップCPC,CPH,CPLと、その上に2つの半導体チップCPC,CPLを搭載するダイパッドDPLと、その上に1つの半導体チップCPHを搭載するダイパッドDPHと、複数のワイヤ(ボンディングワイヤ)BWと、複数のリードLDと、これらを封止する封止部MRと、を有している。
【0033】
封止体としての封止部MRは、例えば熱硬化性樹脂材料などの樹脂材料などからなり、フィラーなどを含むこともできる。例えば、フィラーを含むエポキシ樹脂などを用いて封止部MRを形成することができる。
【0034】
封止部MRは、一方の主面である上面MRaと、上面MRaの反対側の主面である下面(裏面、底面)MRbと、上面MRaおよび下面MRbに交差する側面MRc1,MRc2,MRc3,MRc4と、を有している。側面MRc1,MRc3は、X方向に略平行であり、側面MRc2,MRc4は、Y方向に略平行である。封止部MRにおいて、側面MRc1と側面MRc3とは互いに反対側に位置し、側面MRc2と側面MRc4とは互いに反対側に位置し、側面MRc1は側面MRc2,MRc4と交差し、側面MRc3は側面MRc2,MRc4と交差している。また、上面MRaおよび下面MRbのそれぞれは、X方向およびY方向の両方に平行な面である。封止部MRの平面形状、すなわち、封止部MRの上面MRaおよび下面MRbの平面形状は、例えば矩形状(長方形状)である。封止部MRは、封止部MRの側面MRc1と側面MRc2とが交差する角部KD1と、封止部MRの側面MRc2と側面MRc3とが交差する角部KD2と、封止部MRの側面MRc3と側面MRc4とが交差する角部KD3と、封止部MRの側面MRc4と側面MRc1とが交差する角部KD4と、を有している。
【0035】
半導体装置PKGが有する複数のリードLDのそれぞれは、一部が封止部MR内に封止され、他の一部が封止部MRの側面から封止部MRの外部に突出している。以下では、リードLDのうちの封止部MR内に位置する部分をインナリード部と呼び、リードLDのうちの封止部MR外に位置する部分をアウタリード部と呼ぶものとする。リードLDのアウタリード部には、半田メッキ層などのメッキ層(図示せず)を形成することもできる。
【0036】
なお、本実施の形態の半導体装置PKGは、各リードLDの一部(アウタリード部)が封止部MRの側面から突出した構造であり、以下ではこの構造に基づいて説明するが、この構造に限定されるものではない。例えば、封止部MRの側面から各リードLDがほとんど突出せず、かつ封止部MRの下面MRbで各リードLDの一部が露出した構成(SON(Small Outline Nonleaded Package)型の構成)などを採用することもできる。
【0037】
半導体装置PKGが有する複数のリードLDは、封止部MRの側面MRc1側に配置された複数のリードLDと、封止部MRの側面MRc3側に配置された複数のリードLDとで構成されている。図2図9の場合は、封止部MRの側面MRc2,MRc4側には、リードLDは配置されていない。以下では、封止部MRの側面MRc1側に配置されたリードLDを、符号LD1を付してリードLD1と称することとする。また、封止部MRの側面MRc3側に配置されたリードLDを、符号LD2を付してリードLD2と称することとする。
【0038】
封止部MRの側面MRc1側に配置された複数のリードLDの各アウタリード部は、封止部MRの側面MRc1から封止部MR外に突出している。また、封止部MRの側面MRc3側に配置された複数のリードLDの各アウタリード部は、封止部MRの側面MRc3から封止部MR外に突出している。各リードLDのアウタリード部は、アウタリード部の端部近傍の下面が封止部MRの下面MRbとほぼ同一平面上に位置するように、折り曲げ加工されている。リードLDのアウタリード部は、半導体装置PKGの外部接続用端子部(外部端子)として機能する。
【0039】
ダイパッドDPLは、その上に2つの半導体チップCPC,CPLを搭載するチップ搭載部であり、ダイパッドDPHは、その上に半導体チップCPHを搭載するチップ搭載部である。ダイパッドDPHとダイパッドDPLとはY方向に離間しており、ダイパッドDPHとダイパッドDPLとの間には封止部MRの一部が介在している。ダイパッドDPH,DPLのうち、ダイパッドDPHが封止部MRの側面MRc1に近い側に配置され、ダイパッドDPLが封止部MRの側面MRc3に近い側に配置されている。すなわち、Y方向において、ダイパッドDPLと封止部MRの側面MRc1との間にダイパッドDPHが配置され、ダイパッドDPHと封止部MRの側面MRc3との間にダイパッドDPLが配置されている。各ダイパッドDPH,DPLは、封止部MR内に封止されており、封止部MRから露出されない。すなわち、封止部MRの上面MRaおよび下面MRbにおいて、各ダイパッドDPH,DPLは露出していない。
【0040】
ダイパッドDPH,DPLおよび複数のリードLDは、導電体で構成されており、好ましくは銅(Cu)または銅合金などの金属材料からなる。また、ダイパッドDPH,DPLと複数のリードLDとは、同じ材料(同じ金属材料)で形成されていることが好ましく、これにより、ダイパッドDPH,DPLおよび複数のリードLDが連結された後述のリードフレームLFを作製しやすくなり、リードフレームLFを用いた半導体装置PKGの製造が容易になる。
【0041】
ダイパッドDPHは、半導体チップCPC,CPHを搭載する側の主面である上面DPHaと、それとは反対側の主面である下面(裏面)DPHbと、上面DPHaおよび下面DPHbに交差する側面DPHc1,DPHc2,DPHc3,DPHc4と、を有している。ダイパッドDPHにおいて、側面DPHc1は、封止部MRの側面MRc1側に位置する側面であり、側面DPHc2は、封止部MRの側面MRc2側に位置する側面であり、側面DPHc3は、封止部MRの側面MRc3側に位置する側面であり、側面DPHc4は、封止部MRの側面MRc4側に位置する側面である。ダイパッドDPHにおいて、側面DPHc1と側面DPHc3とは互いに反対側に位置し、側面DPHc2と側面DPHc4とは互いに反対側に位置し、側面DPHc1は側面DPHc2,DPHc4と交差し、側面DPHc3は側面DPHc2,DPHc4と交差している。
【0042】
また、ダイパッドDPLは、半導体チップCPLを搭載する側の主面である上面DPLaと、それとは反対側の主面である下面(裏面)DPLbと、上面DPLaおよび下面DPLbに交差する側面DPLc1,DPLc2,DPLc3,DPLc4と、を有している。ダイパッドDPLにおいて、側面DPLc1は、封止部MRの側面MRc1側に位置する側面であり、側面DPLc2は、封止部MRの側面MRc2側に位置する側面であり、側面DPLc3は、封止部MRの側面MRc3側に位置する側面であり、側面DPLc4は、封止部MRの側面MRc4側に位置する側面である。ダイパッドDPLにおいて、側面DPLc1と側面DPLc3とは互いに反対側に位置し、側面DPLc2と側面DPLc4とは互いに反対側に位置し、側面DPLc1は側面DPLc2,DPLc4と交差し、側面DPLc3は側面DPLc2,DPLc4と交差している。ダイパッドDPHの側面DPHc3とダイパッドDPLの側面DPLc1とが、封止部MRの一部を介して互いに対向している。
【0043】
ダイパッドDPHの側面DPHc1,DPHc3とダイパッドDPLの側面DPLc1,DPLc3はX方向に略平行であり、ダイパッドDPHの側面DPHc2,DPHc4とダイパッドDPLの側面DPLc2,DPLc4はY方向に略平行である。ダイパッドDPHの上面DPHaおよび下面DPHbとダイパッドDPLの上面DPLaおよび下面DPLbのそれぞれは、X方向およびY方向の両方に略平行な面である。ダイパッドDPH,DPLのそれぞれの平面形状は、例えば矩形状である。
【0044】
封止部MRの側面MRc1側に配置された複数のリードLDのうち、リードLD1aのインナリード部は、ダイパッドDPHの側面DPHc2に一体的に連結され、リードLD1bのインナリード部は、ダイパッドDPHの側面DPHc4に一体的に連結されている。リードLD1a,LD1bは、半導体装置PKGの製造時にダイパッドDPHをリードフレームのフレーム枠に支持する吊りリードとして機能する。また、封止部MRの側面MRc3側に配置された複数のリードLDのうち、リードLD2aのインナリード部は、ダイパッドDPLの側面DPLc2に一体的に連結され、リードLD2bのインナリード部は、ダイパッドDPLの側面DPLc4に一体的に連結されている。リードLD2a,LD2bは、半導体装置PKGの製造時にダイパッドDPLをリードフレームのフレーム枠に支持する吊りリードとして機能する。封止部MRの側面MRc1側では、複数のリードLD(LD1)がX方向に並んでいるが、それらの配列において、リードLD1aとリードLD1bとが両端に位置している。また、封止部MRの側面MRc3側では、複数のリードLD(LD2)がX方向に並んでいるが、それらの配列において、リードLD2aとリードLD2bとが両端に位置している。
【0045】
半導体チップCPC,CPH,CPLのそれぞれは、一方の主面である表面と、それとは反対側の主面である裏面とを有している。半導体チップCPHは、半導体チップCPHの裏面をダイパッドDPHに向けた状態で、ダイパッドDPHの上面DPHa上に接合材BDHを介して搭載されている。また、半導体チップCPCは、半導体チップCPCの裏面をダイパッドDPLに向けた状態で、ダイパッドDPLの上面DPLa上に接合材BDCを介して搭載されている。また、半導体チップCPLは、半導体チップCPLの裏面をダイパッドDPLに向けた状態で、ダイパッドDPLの上面DPLa上に接合材BDLを介して搭載されている。すなわち、半導体チップCPC,CPH,CPLのうち、半導体チップCPHはダイパッドDPH上に搭載され、半導体チップCPC,CPLはダイパッドDPL上に搭載されている。
【0046】
ダイパッドDPLの上面DPLaにおいて、半導体チップCPCが搭載された領域と半導体チップCPLが搭載された領域とは、互いに離間(具体的にはX方向に離間)している。つまり、半導体チップCPCと半導体チップCPLとは、互いに積み重ねられてはおらず、ダイパッドDPLの上面DPLa上に互いに離間してX方向に並んで配置されている。すなわち、ダイパッドDPLの上面DPLa上に配置された半導体チップCPCと半導体チップCPLとは、X方向において互いに隣り合っている。
【0047】
平面視において、ダイパッドDPLとダイパッドDPHとは、Y方向において互いに隣り合っている。このため、平面視において、半導体チップCPLと半導体チップCPHとは、Y方向において互いに隣り合っている。また、平面視において、半導体チップCPCと半導体チップCPHとは、Y方向において互いに隣り合っている。平面視において、半導体チップCPCおよび半導体チップCPLは、ダイパッドDPLの上面DPLaに内包されている。また、平面視において、半導体チップCPHは、ダイパッドDPHの上面DPHaに内包されている。半導体チップCPC,CPH,CPLのそれぞれの平面形状は、例えば矩形状である。半導体チップCPC,CPH,CPLの平面形状を構成する矩形は、X方向に略平行な二辺と、Y方向に略平行な二辺を有している。
【0048】
接合材BDC,BDH,BDLとしては、銀ペーストなどの導電性接合材を用いることができる。半導体チップCPHの裏面が接合材BDHを介してダイパッドDPHに接合されて固定され、半導体チップCPCの裏面が接合材BDCを介してダイパッドDPHに接合されて固定され、半導体チップCPLの裏面が接合材BDLを介してダイパッドDPLに接合されて固定されている。半導体チップCPC,CPH,CPLは、封止部MR内に封止されており、封止部MRから露出されない。
【0049】
接合材BDC,BDH,BDLとして、絶縁性の接合材を用いることもできる。但し、接合材BDC,BDH,BDLとして導電性の接合材を用いた場合は、半導体チップCPC,CPH,CPLで生じた熱を接合材BDC,BDH,BDLを介してダイパッドDPH,DPLに伝導させやすくなるという利点を得られる。
【0050】
半導体チップCPHの表面には、複数のパッドPH1,PH2,PH3,PH4が形成されている。半導体チップCPLの表面には、複数のパッドPL1,PL2,PL3,PL4が形成されている。半導体チップCPCの表面には、複数のパッドPC1,PC2,PC3,PC4,PC5,PC6が形成されている。なお、「ボンディングパッド」、「ボンディングパッド電極」、「パッド電極」あるいは「電極」を、単に「パッド」と称することとする。
【0051】
半導体チップCPLの各パッドPL1,PL2,PL3,PL4は、半導体チップCPLの内部配線を通じて、半導体チップCPL内に形成された回路(上記送信回路TX1、受信回路RX2、受信回路RX3など)に電気的に接続されている。
【0052】
ここで、半導体チップCPLのパッドPL1は、ワイヤBWを介して半導体チップCPCのパッドPC1と電気的に接続されるパッドである。半導体チップCPLのパッドPL1は、半導体チップCPLの内部配線を通じて半導体チップCPL内の送信回路TX1に電気的に接続されている。また、半導体チップCPLのパッドPL2は、ワイヤBWを介して半導体チップCPCのパッドPC2と電気的に接続されるパッドである。半導体チップCPLのパッドPL2は、半導体チップCPLの内部配線を通じて半導体チップCPL内の受信回路RX2に電気的に接続されている。また、半導体チップCPLのパッドPL3は、ワイヤBWを介して半導体チップCPCのパッドPC3と電気的に接続されるパッドである。半導体チップCPLのパッドPL3は、半導体チップCPLの内部配線を通じて半導体チップCPL内の受信回路RX3に電気的に接続されている。また、半導体チップCPLのパッドPL4は、ワイヤBWを介してリードLD2と電気的に接続されるパッドである。
【0053】
半導体チップCPHの各パッドPH1,PH2,PH3,PH4は、半導体チップCPHの内部配線を通じて、半導体チップCPH内に形成された回路(上記受信回路RX1、送信回路TX2、送信回路TX3、駆動回路DRなど)に電気的に接続されている。
【0054】
ここで、半導体チップCPHのパッドPH1は、ワイヤBWを介して半導体チップCPCのパッドPC4と電気的に接続されるパッドである。半導体チップCPHのパッドPH1は、半導体チップCPHの内部配線を通じて半導体チップCPH内の受信回路RX1に電気的に接続されている。また、半導体チップCPHのパッドPH2は、ワイヤBWを介して半導体チップCPCのパッドPC5と電気的に接続されるパッドである。半導体チップCPHのパッドPH2は、半導体チップCPHの内部配線を通じて半導体チップCPH内の送信回路TX2に電気的に接続されている。また、半導体チップCPHのパッドPH3は、ワイヤBWを介して半導体チップCPCのパッドPC6と電気的に接続されるパッドである。半導体チップCPHのパッドPH3は、半導体チップCPHの内部配線を通じて半導体チップCPH内の送信回路TX3に電気的に接続されている。また、半導体チップCPHのパッドPH4は、ワイヤBWを介してリードLD1と電気的に接続されるパッドである。
【0055】
半導体チップCPCのパッドPC1は、半導体チップCPC内に形成された上記コイルL1aに電気的に接続されたパッドである。また、半導体チップCPCのパッドPC2は、半導体チップCPC内に形成された上記コイルL2aに電気的に接続されたパッドである。また、半導体チップCPCのパッドPC3は、半導体チップCPC内に形成された上記コイルL3aに電気的に接続されたパッドである。また、半導体チップCPCのパッドPC4は、半導体チップCPC内に形成された上記コイルL1bに電気的に接続されたパッドである。また、半導体チップCPCのパッドPC5は、半導体チップCPC内に形成された上記コイルL2bに電気的に接続されたパッドである。また、半導体チップCPCのパッドPC6は、半導体チップCPC内に形成された上記コイルL3bに電気的に接続されたパッドである。
【0056】
半導体チップCPLの複数(ここでは2つ)のパッドPL1と半導体チップCPCの複数(ここでは2つ)のパッドPC1とが、それぞれ、ワイヤBWを介して電気的に接続されている。すなわち、半導体チップCPLのパッドPL1のそれぞれにワイヤBWの一端が接続され、そのワイヤBWの他端は、半導体チップCPCのパッドPC1に接続されている。また、半導体チップCPLの複数(ここでは2つ)のパッドPL2と半導体チップCPCの複数(ここでは2つ)のパッドPC2とが、それぞれ、ワイヤBWを介して電気的に接続されている。すなわち、半導体チップCPLのパッドPL2のそれぞれにワイヤBWの一端が接続され、そのワイヤBWの他端は、半導体チップCPCのパッドPC2に接続されている。また、半導体チップCPLの複数(ここでは2つ)のパッドPL3と半導体チップCPCの複数(ここでは2つ)のパッドPC3とが、それぞれ、ワイヤBWを介して電気的に接続されている。すなわち、半導体チップCPLのパッドPL3のそれぞれにワイヤBWの一端が接続され、そのワイヤBWの他端は、半導体チップCPCのパッドPC3に接続されている。
【0057】
半導体チップCPHの複数(ここでは2つ)のパッドPH1と半導体チップCPCの複数(ここでは2つ)のパッドPC4とが、それぞれ、ワイヤBWを介して電気的に接続されている。すなわち、半導体チップCPHのパッドPH1のそれぞれにワイヤBWの一端が接続され、そのワイヤBWの他端は、半導体チップCPCのパッドPC4に接続されている。また、半導体チップCPHの複数(ここでは2つ)のパッドPH2と半導体チップCPCの複数(ここでは2つ)のパッドPC5とが、それぞれ、ワイヤBWを介して電気的に接続されている。すなわち、半導体チップCPHのパッドPH2のそれぞれにワイヤBWの一端が接続され、そのワイヤBWの他端は、半導体チップCPCのパッドPC5に接続されている。また、半導体チップCPHの複数(ここでは2つ)のパッドPH3と半導体チップCPCの複数(ここでは2つ)のパッドPC6とが、それぞれ、ワイヤBWを介して電気的に接続されている。すなわち、半導体チップCPHのパッドPH3のそれぞれにワイヤBWの一端が接続され、そのワイヤBWの他端は、半導体チップCPCのパッドPC6に接続されている。
【0058】
また、半導体チップCPLの複数のパッドPL4と複数のリードLD2とが、それぞれ、ワイヤBWを介して電気的に接続されている。すなわち、半導体チップCPLのパッドPL4のそれぞれにワイヤBWの一端が接続され、そのワイヤBWの他端は、リードLD2のインナリード部に接続されている。
【0059】
また、半導体チップCPHの複数のパッドPH4と複数のリードLD1とが、それぞれ、ワイヤBWを介して電気的に接続されている。すなわち、半導体チップCPHのパッドPH4のそれぞれにワイヤBWの一端が接続され、そのワイヤBWの他端は、リードLD1のインナリード部に接続されている。
【0060】
ワイヤ(ボンディングワイヤ)BWは、導電性のワイヤである。ワイヤBWは、具体的には金属からなるが、金(Au)ワイヤ、銅(Cu)ワイヤ、あるいはアルミニウム(Al)ワイヤなどを好適に用いることができる。ワイヤBWは、封止部MR内に封止されており、封止部MRから露出されない。各リードLDにおいて、ワイヤBWの接続箇所は、封止部MR内に位置するインナリード部である。
【0061】
半導体装置PKGの使用時には、半導体装置PKG内の半導体チップCPLは、ワイヤBW(具体的にはパッドPL4とリードLD2とを電気的に接続するワイヤBW)およびリードLD2などを介して、半導体装置PKGの外部の回路(具体的には上記制御回路CC)と電気的に接続される。また、半導体装置PKGの使用時には、半導体装置PKG内の半導体チップCPHは、ワイヤBW(具体的にはパッドPH4とリードLD1とを電気的に接続するワイヤBW)およびリードLD1などを介して、半導体装置PKGの外部の回路(具体的にはパワートランジスタTS1,TS2で構成されるインバータ回路)と電気的に接続される。半導体チップCPH内に形成された上記駆動回路DRは、半導体チップCPHの内部配線などを介して、半導体チップCPH内に形成された上記受信回路RX1、送信回路TX2および送信回路TX3と電気的に接続されている。また、半導体装置PKGの使用時には、半導体チップCPH内に形成された上記駆動回路DRは、ワイヤBW(具体的にはパッドPH4とリードLD1とを電気的に接続するワイヤBW)およびリードLD1などを介して、半導体装置PKGの外部の回路(具体的にはパワートランジスタTS1,TS2で構成されるインバータ回路)と電気的に接続される。パワートランジスタTS1,TS2で構成されるインバータ回路に供給される電源電位V1は、制御回路CCに供給される電源電位V2よりも高い。
【0062】
<半導体装置の製造工程について>
次に、本実施の形態の半導体装置PKGの製造工程(組立工程)について図10図15を参照して説明する。図10図15は、本実施の形態の半導体装置PKGの製造工程中の平面図または断面図である。このうち、図10図13は平面図であり、図14は上記図7に対応する断面図であり、図15は上記図8に対応する断面図である。
【0063】
半導体装置PKGを製造するには、まず、リードフレームLFを準備(用意)し、また、半導体チップCPC,CPH,CPLを準備(用意)する。リードフレームLFと半導体チップCPC,CPH,CPLとは、どちらを先に準備してもよく、また、同時に準備してもよい。
【0064】
図10に示されるように、リードフレームLFは、フレーム枠LF1と、ダイパッドDPH,DPLと、複数のリードLDと、を一体的に有している。リードフレームLFは、例えば、銅(Cu)を主成分とする金属材料からなり、具体的には、銅(Cu)または銅(Cu)合金からなる。図10には、リードフレームLFのうち、そこから1つの半導体装置PKGが製造される領域が示されている。各リードLDの一方の端部は、フレーム枠LF1と一体的に連結されている。ダイパッドDPHは、リードLD1a,LD1bを介してフレーム枠LF1に連結され、ダイパッドDPLは、リードLD2a,LD2bを介してフレーム枠LF1に連結されている。
【0065】
次に、図11に示されるように、リードフレームLFのダイパッドDPHの上面DPHa上に接合材BDH(図14および図15参照)を介して半導体チップCPHを搭載し、ダイパッドDPLの上面DPLa上に接合材BDC(図15参照)を介して半導体チップCPCを搭載し、ダイパッドDPLの上面DPLa上に接合材BDL(図14参照)を介して半導体チップCPLを搭載する。この際、半導体チップCPC,CPH,CPLのそれぞれは、裏面がダイパッドに対向する向きで、搭載される。その後、熱処理などにより、接合材BDC,BDH,BDLを硬化させる。
【0066】
次に、図12に示されるように、ワイヤボンディング工程を行う。ワイヤボンディング工程では、半導体チップCPLのパッドPL1と半導体チップCPCのパッドPC1との間、半導体チップCPLのパッドPL2と半導体チップCPCのパッドPC2との間、および、半導体チップCPLのパッドPL3と半導体チップCPCのパッドPC3との間を、それぞれワイヤBWを介して電気的に接続する。また、半導体チップCPHのパッドPH1と半導体チップCPCのパッドPC4との間、半導体チップCPHのパッドPH2と半導体チップCPCのパッドPC5との間、および、半導体チップCPHのパッドPH3と半導体チップCPCのパッドPC6との間を、それぞれワイヤBWを介して電気的に接続する。また、半導体チップCPHのパッドPH4とリードLD1との間、および、半導体チップCPLのパッドPL4とリードLD2との間を、それぞれワイヤBWを介して電気的に接続する。
【0067】
次に、モールド工程(樹脂成形工程)による樹脂封止を行って、図13図15に示されるように、ダイパッドDPH,DPLと半導体チップCPC,CPH,CPLと複数のワイヤBWと複数のリードLDのインナリード部とを封止する封止部MRを形成する。
【0068】
次に、封止部MRから露出しているリードLDのアウタリード部に必要に応じてめっき層(図示せず)を形成する。その後、封止部MRの外部において、リードLDを所定の位置で切断して、リードフレームLFのフレーム枠LF1から分離する。
【0069】
次に、封止部MRから突出するリードLDのアウタリード部を折り曲げ加工(リード加工、リード成形)する。
【0070】
このようにして、上記図2図9に示される半導体装置PKGが製造される。
【0071】
<半導体チップについて>
図16および図17は、図3に示す半導体装置PKGの一部を拡大した平面透視図である。図16には、封止部MRを透視したときの半導体装置PKG内の半導体チップCPCと、半導体チップCPHの一部と、半導体チップCPLの一部が示されている。また、図17は、図16において更にワイヤBWを透視(省略)したときの半導体装置PKG内の半導体チップCPCと、半導体チップCPHの一部と、半導体チップCPLの一部が示されている。
【0072】
図18図20は、半導体装置PKG内の半導体チップCPC,CPH,CPLを模式的に示す断面図である。図18は、図16におけるパッドPL1、パッドPC1、パッドPC4およびパッドPH1を通過する断面図に対応し、図19は、図17におけるパッドPL2、パッドPC2、パッドPC5およびパッドPH2を通過する断面図に対応し、図20は、図16におけるパッドPL3、パッドPC3、パッドPC6およびパッドPH3を通過する断面図に対応している。図18図20においては、各ダイパッドDPH,DPLと各半導体チップCPC,CPH,CPLと各ワイヤBWとが示されているが、封止部MRについては、図示を省略している。
【0073】
図18図20に示されるように、半導体チップCPCは、半導体基板SB1と、その上に形成された多層配線構造MW1と、その上に形成された保護膜PA1とを有している。多層配線構造MW1は、複数の層間絶縁膜と複数の配線層とを含んでいる。保護膜PA1は、半導体チップCPCの最上層に位置する保護膜である。
【0074】
半導体チップCPCは、コイルL1a,L1b,L2a,L2b,L3a,L3bも含んでおり、多層配線構造MW1を構成する配線層によりコイルL1a,L1b,L2a,L2b,L3a,L3bが形成されている。コイルL1a,L1bは図18に示され、コイルL2a,L2bは図19に示され、コイルL3a,L3bは図20に示されている。なお、図16および図17には、半導体チップCPC内の各トランスTR1,TR2,TR3の形成位置(形成領域)を一点鎖線で示してある。図16および図17において、トランスTR1として示された位置(領域)には、トランスTR1を構成するコイルL1a,L1bが形成され、トランスTR2として示された位置(領域)には、トランスTR2を構成するコイルL2a,L2bが形成され、トランスTR3として示された位置(領域)には、トランスTR3を構成するコイルL3a,L3bが形成されている。また、図16および図17には、半導体チップCPC内の配線WR1,WR2,WE3を透視して模式的に示してある。
【0075】
トランスTR1を構成するコイルL1a,L1bのうち、コイルL1aは、半導体チップCPCのパッドPC1とワイヤBWとを介して、半導体チップCPLのパッドPL1に電気的に接続され、コイルL1bは、半導体チップCPCのパッドPC4とワイヤBWとを介して、半導体チップCPHのパッドPH1に電気的に接続される(図18参照)。また、トランスTR2を構成するコイルL2a,L2bのうち、コイルL2aは、半導体チップCPCのパッドPC2とワイヤBWとを介して、半導体チップCPLのパッドPL2に電気的に接続され、コイルL2bは、半導体チップCPCのパッドPC5とワイヤBWとを介して、半導体チップCPHのパッドPH2に電気的に接続される(図19参照)。また、トランスTR3を構成するコイルL3a,L3bのうち、コイルL3aは、半導体チップCPCのパッドPC3とワイヤBWとを介して、半導体チップCPLのパッドPL3に電気的に接続され、コイルL3bは、半導体チップCPCのパッドPC6とワイヤBWとを介して、半導体チップCPHのパッドPH3に電気的に接続される(図20参照)。
【0076】
半導体チップCPCにおいて、コイルL1aとコイルL1bとは平面視で重なる位置に形成されており、コイルL1aはコイルL1bの下方に形成されている。また、半導体チップCPCにおいて、コイルL2aとコイルL2bとは平面視で重なる位置に形成されており、コイルL2aはコイルL2bの下方に形成されている。また、半導体チップCPCにおいて、コイルL3aとコイルL3bとは平面視で重なる位置に形成されており、コイルL3aはコイルL3bの下方に形成されている。また、半導体チップCPC内において、コイルL1aとコイルL2aとコイルL3aとは、同層に形成されていることが好ましく、また、コイルL1bとコイルL2bとコイルL3bとは、同層に形成されていることが好ましい。コイルL1a,L1b,L2a,L2b,L3a,L3bのそれぞれは、渦巻き状の導体パターン(配線パターン)により形成されている。
【0077】
コイルL1b,L2b,L3bは、多層配線構造MW1を構成する複数の配線層のうち、最上層の配線層に形成されていることが好ましい。この場合、多層配線構造MW1を構成する複数の層間絶縁膜のうちの最上層の層間絶縁膜上にコイルL1b,L2b,L3bが形成されることになる。コイルL1b,L2b,L3bは保護膜PA1で覆われるが、コイルL1bの両端部にはそれぞれパッドPC1が接続され、また、コイルL2bの両端部にはそれぞれパッドPC2が接続され、また、コイルL3bの両端部にはそれぞれパッドPC3が接続されている。
【0078】
コイルL1a,L2a,L3aは、多層配線構造MW1を構成する複数の配線層のうち、コイルL1b,L2b,L3bが形成された配線層よりも下層の配線層に形成されている。コイルL1aの両端部は、それぞれ、多層配線構造MW1が有する配線(例えば図16図17および図18の配線WR1)を通じてパッドPC1に接続されている。また、コイルL2aの両端部は、それぞれ、多層配線構造MW1が有する配線(例えば図16図17および図19の配線WR2)を通じてパッドPC2に接続されている。また、コイルL3aの両端部は、それぞれ、多層配線構造MW1が有する配線(例えば図16図17および図20の配線WR3)を通じてパッドPC3に接続されている。
【0079】
半導体チップCPCのパッドPC1,PC2,PC3,PC4,PC5,PC6は、多層配線構造MW1を構成する複数の配線層のうち、最上層の配線層に形成されており、それぞれ保護膜PA1の開口部から露出されている。保護膜PA1の開口部から露出するパッドPC1,PC2,PC3,PC4,PC5,PC6に、それぞれワイヤBWが接続される。
【0080】
半導体チップCPC内に半導体素子(すなわち、前述したMOSFETのようなトランジスタ)は形成されていない。つまり、半導体チップCPCを構成する半導体基板SB1には、半導体素子(すなわち、前述したMOSFETのようなトランジスタ)は形成されていない。
【0081】
半導体チップCPHは、半導体基板SB2と、その上に形成された多層配線構造MW2と、その上に形成された保護膜PA2とを有している。多層配線構造MW2は、複数の層間絶縁膜と複数の配線層とを含んでいる。保護膜PA2は、半導体チップCPHの最上層に位置する保護膜である。
【0082】
半導体チップCPHを構成する半導体基板SB2には、トランジスタなどの半導体素子(図示せず)が複数形成されている。半導体チップCPHのパッドPH1,PH2,PH3,PH4は、多層配線構造MW2を構成する複数の配線層のうち、最上層の配線層に形成されており、それぞれ保護膜PA2の開口部から露出されている。保護膜PA2の開口部から露出するパッドPH1,PH2,PH3,PH4に、それぞれワイヤBWが接続される。
【0083】
半導体チップCPLは、半導体基板SB3と、その上に形成された多層配線構造MW3と、その上に形成された保護膜PA3とを有している。多層配線構造MW3は、複数の層間絶縁膜と複数の配線層とを含んでいる。保護膜PA3は、半導体チップCPLの最上層に位置する保護膜である。
【0084】
半導体チップCPLを構成する半導体基板SB3には、トランジスタなどの半導体素子(図示せず)が複数形成されている。半導体チップCPLのパッドPL1,PL2,PL3,PL4は、多層配線構造MW3を構成する複数の配線層のうち、最上層の配線層に形成されており、それぞれ保護膜PA3の開口部から露出されている。保護膜PA3の開口部から露出するパッドPL1,PL2,PL3,PL4に、それぞれワイヤBWが接続される。
【0085】
次に、半導体装置PKG内におけるダイパッドDPH,DPLと半導体チップCPC,CPL,CPHの平面視における位置関係について説明する。
【0086】
上記図3図5からも分かるように、ダイパッドDPHとダイパッドDPLとは、Y方向において互いに隣り合っている。すなわち、ダイパッドDPLは、Y方向においてダイパッドDPHの隣に位置している。そして、ダイパッドDPH上に半導体チップCPHが配置され、ダイパッドDPL上に半導体チップCPC,CPLが配置されている。上記図3図5図16および図17からも分かるように、半導体チップCPCと半導体チップCPLとは、X方向において互いに隣り合っている。すなわち、半導体チップCPCは、X方向において半導体チップCPLの隣に位置している。ダイパッドDPHとダイパッドDPLとがY方向において互いに隣り合っていることを反映して、半導体チップCPLと半導体チップCPHとは、X方向において互いに隣り合っており、また、半導体チップCPCと半導体チップCPHとは、X方向において互いに隣り合っている。
【0087】
平面視において、半導体チップCPCは、半導体チップCPLの辺CPLaと対向する辺CPCaと、半導体チップCPHの辺CPHaと対向する辺CPCbとを有している。すなわち、半導体チップCPLの辺CPLaと半導体チップCPCの辺CPCaとは、X方向において互いに対向しており、また、半導体チップCPCの辺CPCbと半導体チップCPHの辺CPHaとは、Y方向において互いに対向している。また、半導体チップCPLの辺CPLbと半導体チップCPHの辺CPHaとは、Y方向において互いに対向している。半導体チップCPLの辺CPLaと半導体チップCPCの辺CPCaは、Y方向に略平行であり、半導体チップCPHの辺CPHaと半導体チップCPCの辺CPCbと半導体チップCPLの辺CPLbは、X方向に略平行である。
【0088】
ここで、半導体チップCPL,CPHのそれぞれにおいて、その半導体チップ内の送信回路に電気的に接続されたパッドを送信用パッドと称し、また、その半導体チップ内の受信回路に電気的に接続されたパッドを受信用パッドと称することとする。半導体チップCPLのパッドPL1は送信用パッドであり、半導体チップCPLのパッドPL2は受信用パッドであり、半導体チップCPLのパッドPL3は受信用パッドである。また、半導体チップCPHのパッドPH1は受信用パッドであり、半導体チップCPHのパッドPH2は送信用パッドであり、半導体チップCPHのパッドPH3は送信用パッドである。このため、以下では、パッドPL1を送信用パッドPL1と称し、パッドPL2を受信用パッドPL2と称し、パッドPL3を受信用パッドPL3と称し、パッドPH1を受信用パッドPH1と称し、パッドPH2を送信用パッドPH2と称し、パッドPH3を送信用パッドPH3と称する場合がある。
【0089】
また、半導体チップCPLが送信した信号を半導体チップCPHへ伝達するために用いられるトランスを、送信用トランスと称し、また、半導体チップCPHが送信した信号を半導体チップCPLへ伝達するために用いられるトランスを、受信用トランスと称することとする。本実施の形態では、半導体チップCPC内のトランスTR1は、半導体チップCPLが送信した信号を半導体チップCPHへ伝達するために用いられるため、以下では、送信用トランスTR1と称する場合がある。また、本実施の形態では、半導体チップCPC内のトランスTR2およびトランスTR3は、半導体チップCPHが送信した信号を半導体チップCPLへ伝達して半導体チップCPLで受信するために用いられるため、以下では、受信用トランスTR2および受信用トランスTR3とそれぞれ称する場合がある。
【0090】
送信用トランスの一次コイルは、半導体チップCPLの複数の送信用パッドと電気的に接続され、かつ、送信用トランスの二次コイルは、半導体チップCPHの複数の受信用パッドと電気的に接続される。また、受信用トランスの一次コイルは、半導体チップCPHの複数の送信用パッドと電気的に接続され、かつ、受信用トランスの二次コイルは、半導体チップCPLの複数の受信用パッドと電気的に接続される。
【0091】
また、半導体チップCPCのパッドPC1と半導体チップCPLのパッドPL1とを電気的に接続するワイヤBWをワイヤBW1と称する。また、半導体チップCPCのパッドPC2と半導体チップCPLのパッドPL2とを電気的に接続するワイヤBWをワイヤBW2と称する。また、半導体チップCPCのパッドPC3と半導体チップCPLのパッドPL3とを電気的に接続するワイヤBWをワイヤBW3と称する。また、半導体チップCPCのパッドPC4と半導体チップCPHのパッドPH1とを電気的に接続するワイヤBWをワイヤBW4と称する。また、半導体チップCPCのパッドPC5と半導体チップCPHのパッドPH2とを電気的に接続するワイヤBWをワイヤBW5と称する。また、半導体チップCPCのパッドPC6と半導体チップCPHのパッドPH3とを電気的に接続するワイヤBWをワイヤBW6と称する。
【0092】
図16および図17からも分かるように、半導体チップCPCにおいて、トランスTR1,TR2,TR3は、平面視において半導体チップCPCの辺CPCbに沿って配置(配列)されている。トランスTR1,TR2,TR3同士は、平面視において重なっておらず、平面視において互いに離間している。
【0093】
図16および図17からも分かるように、半導体チップCPCにおいて、送信用トランスTR1は、平面視において受信用トランスTR2,TR3よりも半導体チップCPLの近くに配置されている。すなわち、X方向における送信用トランスTR1と半導体チップCPLとの間の距離(間隔)は、X方向における受信用トランスTR2と半導体チップCPLとの間の距離(間隔)よりも小さく、かつ、X方向における受信用トランスTR3と半導体チップCPLとの間の距離(間隔)よりも小さい。図16および図17の場合は、トランスTR1,TR2,TR3のうち、送信用トランスTR1が半導体チップCPLの最も近くに位置し、受信用トランスTR3が半導体チップCPLから最も遠くに位置し、送信用トランスTR1と受信用トランスTR3との間に受信用トランスTR2が位置している。他の形態として、半導体チップCPCにおいて、受信用トランスTR2の位置と受信用トランスTR3の位置とを入れ替えることもできることもできるが、その場合でも、トランスTR1,TR2,TR3のうち、送信用トランスTR1が半導体チップCPLの最も近くに位置する。
【0094】
図16および図17からも分かるように、半導体チップCPCにおいて、パッドPC4,PC5,PC6は、平面視において半導体チップCPCの辺CPCbに沿って配置(配列)されている。半導体チップCPCにおいて、パッドPC4は、平面視においてパッドPC5,PC6よりも半導体チップCPLの近くに配置されている。すなわち、X方向におけるパッドPC4と半導体チップCPLとの間の距離(間隔)は、X方向におけるパッドPC5と半導体チップCPLとの間の距離(間隔)よりも小さく、かつ、X方向におけるパッドPC6と半導体チップCPLとの間の距離(間隔)よりも小さい。図16および図17の場合は、パッドPC4,PC5,PC6のうち、パッドPC4が半導体チップCPLの最も近くに位置し、パッドPC6が半導体チップCPLから最も遠くに位置し、パッドPC4とパッドPC6との間にパッドPC5が位置している。他の形態として、半導体チップCPCにおいて、受信用トランスTR2の位置と受信用トランスTR3の位置とを入れ替えた場合には、半導体チップCPCにおいて、パッドPC5の位置とパッドPC6の位置とを入れ替えることが好ましい。
【0095】
図16および図17からも分かるように、半導体チップCPLにおいて、パッドPL1,PL2,PL3は、平面視において半導体チップCPLの辺CPLaに沿って配置(配列)されている。半導体チップCPLにおいて、送信用パッドPL1は、平面視において受信用パッドPL2,PL3よりも半導体チップCPHの近くに配置されている。すなわち、Y方向における送信用パッドPL1と半導体チップCPHとの間の距離(間隔)は、Y方向における受信用パッドPL2と半導体チップCPHとの間の距離(間隔)よりも小さく、かつ、Y方向における受信用パッドPL3と半導体チップCPHとの間の距離(間隔)よりも小さい。図16および図17の場合は、パッドPL1,PL2,PL3のうち、送信用パッドPL1が半導体チップCPHの最も近くに位置し、受信用パッドPL3が半導体チップCPHから最も遠くに位置し、送信用パッドPL1と受信用パッドPL3との間に受信用パッドPL2が位置している。他の形態として、半導体チップCPCにおいて、受信用トランスTR2の位置と受信用トランスTR3の位置とを入れ替えた場合には、半導体チップCPLにおいて、受信用パッドPL2の位置と受信用パッドPL3の位置とを入れ替えることが好ましい。
【0096】
図16および図17からも分かるように、半導体チップCPHにおいて、パッドPH1,PH2,PH3は、平面視において半導体チップCPHの辺CPHaに沿って配置(配列)されている。半導体チップCPHにおいて、受信用パッドPH1は、平面視において送信用パッドPH2,PH3よりも半導体チップCPLの近くに配置されている。すなわち、平面視において、X方向における受信用パッドPH1と半導体チップCPLとの間の距離(間隔)は、X方向における送信用パッドPH2と半導体チップCPLとの間の距離(間隔)よりも小さく、かつ、X方向における送信用パッドPH3と半導体チップCPLとの間の距離(間隔)よりも小さい。図16および図17の場合は、パッドPH1,PH2,PH3のうち、受信用パッドPH1が半導体チップCPLの最も近くに位置し、送信用パッドPH3が半導体チップCPLから最も遠くに位置し、受信用パッドPH1と送信用パッドPH3との間に送信用パッドPH2が位置している。他の形態として、半導体チップCPCにおいて、受信用トランスTR2の位置と受信用トランスTR3の位置とを入れ替えた場合には、半導体チップCPHにおいて、送信用パッドPH2の位置と送信用パッドPH3の位置とを入れ替えることが好ましい。
【0097】
<検討の経緯について>
図21は、本発明者が検討した検討例の半導体装置PKG101の平面透視図であり、上記図2に相当するものである。
【0098】
図21に示される検討例の半導体装置PKG101は、上記ダイパッドDPH,DPLの代わりに、ダイパッドDPH101,DPL101を有している。そして、ダイパッドDPH101上に上記半導体チップCPHに相当する半導体チップCPH101が搭載され、かつ、ダイパッドDPL101上に上記半導体チップCPLに相当する半導体チップCPL101と上記半導体チップCPCに相当する半導体チップCPC101とが搭載されている。
【0099】
図21に示される検討例の半導体装置PKG101の場合は、3つの半導体チップCPL101,CPC101,CPH101がY方向に並んでいる。この場合、次のような課題が生じる虞があることが、本発明者の検討により分かった。
【0100】
近年、半導体装置の高機能化や、使用する回路(インバータ回路など)に流れる電流の増大などに伴い、低電圧用の半導体チップCPL,CPL101の平面寸法(平面積)に比べて、高電圧用の半導体チップCPH,CPH101の平面寸法(平面積)は増大する傾向にある。
【0101】
図21に示される検討例の半導体装置PKG101のように、3つの半導体チップCPL101,CPC101,CPH101がY方向に並んでいる場合には、半導体装置PKG101のY方向の寸法が大きくなる。これは、半導体装置PKG101の大型化を招いてしまう。半導体装置PKG101のY方向の寸法を小さくするには、各半導体チップCPL101,CPC101,CPH101のY方向の寸法を小さくすることが有効である。しかしながら、各半導体チップCPL101,CPC101,CPH101のY方向の寸法を小さくすると、それに伴い各半導体チップCPL101,CPC101,CPH101のX方向の寸法を大きくする必要があるため、各半導体チップCPL101,CPC101,CPH101の縦横比(Y方向の寸法に対するX方向の寸法の比)が大きくなる。半導体チップの縦横比が大きくなると、例えば半導体ウエハを切断して半導体チップを取得する際や、半導体チップの搬送時などになどに、半導体チップにクラックが発生しやすくなる。これは、半導体チップの製造歩留まりや、半導体チップを内蔵する半導体装置の製造歩留まりを低下させる。
【0102】
また、半導体チップCPH101の平面寸法に比べて半導体チップCPL101,CPC101のそれぞれの平面寸法が小さいことから、半導体チップCPL101,CPC101,CPH101のそれぞれのX方向の寸法を同じにした場合には、半導体チップCPH101の縦横比に比べて、半導体チップCPL101,CPC101のそれぞれの縦横比はかなり大きくなる。このため、縦横比が大きな半導体チップCPL101,CPC101について、上記クラックの問題が特に懸念される。かといって、半導体装置PKG101において、半導体チップCPL101,CPC101のそれぞれのX方向の寸法を半導体チップCPH101のX方向の寸法よりも小さくすると、半導体チップCPH101の周囲に位置する封止樹脂の量(体積)と、半導体チップCPL101の周囲に位置する封止樹脂の量(体積)との差が大きくなる。その結果、半導体装置PKG101の平坦性が低下する(すなわち半導体装置PKG101が反る)虞がある。
【0103】
<主要な特徴と効果について>
本実施の形態の半導体装置PKGの主要な特徴のうちの一つは、ダイパッドDPH上に半導体チップCPHを配置し、Y方向においてダイパッドDPHの隣に位置するダイパッドDPL上に半導体チップCPC,CPLを配置するとともに、半導体チップCPCと半導体チップCPLとがY方向と直交するX方向において互いに隣り合うようにしたことである。これにより、半導体チップCPC,CPLのそれぞれの縦横比(Y方向の寸法に対するX方向の寸法の比)を大きくしなくとも、本実施の形態の半導体装置PKGのY方向の寸法を小さくすることができる。このため、半導体装置の小型化を図ることができる。また、半導体チップCPC,CPLのそれぞれの縦横比を抑制できるため、例えば半導体ウエハを切断して半導体チップを取得する際や、半導体チップの搬送時などになどに、半導体チップCPL,CPCにクラックが発生するリスクを抑制できる。このため、半導体チップCPL,CPCの製造歩留まりや、半導体装置PKGの製造歩留まりを向上させることができる。また、半導体装置PKGにおいては、封止部MR内に半導体チップCPH,CPL,CPCをバランスよく配置することができるため、半導体チップCPHの周囲に位置する封止樹脂の量(体積)と、半導体チップCPLの周囲に位置する封止樹脂の量(体積)と、半導体チップCPCの周囲に位置する封止樹脂の量(体積)との差を小さくすることができる。その結果、半導体装置PKGの反りを抑制または防止することができ、半導体装置PKGの平坦性を向上させることができる。
【0104】
このような半導体チップCPL,CPC,CPHのレイアウトを採用した場合、半導体チップCPC内の複数のトランス(TR1,TR2,TR3)を半導体チップCPLから等距離に配置することと、半導体チップCPC内の複数のトランス(TR1,TR2,TR3)を半導体チップCPHから等距離に配置することとを両立させることはできない。このため、半導体チップCPC内の複数のトランス(TR1,TR2,TR3)の配置位置と、半導体チップCPLにおけるパッドPL1,PL2,PL3の配置位置と、半導体チップCPHにおけるパッドPH1,PH2,PH3の配置位置とを工夫することが、半導体装置PKGの性能を向上させるためには重要であることが、本発明者の検討により分かった。
【0105】
すなわち、送信回路からトランスの一次コイルに信号を送ってその一次コイルに電流を流し、それに応じてトランスの二次コイルに生じた誘導電流(または誘導起電力)を受信回路で検知(受信)することで、送信回路からトランスを経由して受信回路に信号を伝達することができる。ここで、送信回路からトランスの一次コイルに至る導電経路の電気抵抗と、トランスの二次コイルから受信回路に至る導電経路の電気抵抗のうち、送信回路からトランスを経由して受信回路に信号を伝達する際の信号の品質に影響を与えやすいのは、送信回路からトランスの一次コイルに至る導電経路の電気抵抗である。すなわち、送信回路からトランスの一次コイルに至るまでの抵抗損失が大きいと、トランスの二次コイルに誘導電流が上手く流れなくなり、その結果、送信回路からトランスを経由して受信回路に的確に信号を伝達できなくなる。このため、送信回路からトランスを経由して受信回路に信号を伝達する際に、信号の劣化をできるだけ防ぐためには、送信回路からトランスの一次コイルに至る導電経路の電気抵抗を低くし、送信回路からトランスの一次コイルに至るまでの抵抗損失を抑制することが重要である。送信回路からトランスの一次コイルに至る導電経路の電気抵抗を低くことの重要さに比べれば、トランスの二次コイルから受信回路に至る導電経路の電気抵抗がある程度高くなることは許容できる。
【0106】
そこで、送信回路からトランスの一次コイルに至る導電経路の電気抵抗を低くするために、以下のように工夫している。
【0107】
本実施の形態の半導体装置PKGは、半導体チップCPC,CPL,CPHを内蔵しており、半導体チップCPCは、1つ以上の送信用トランス(ここではトランスTR1)と、1つ以上の受信用トランス(ここではトランスTR2,TR3)とを有している。上述のように、送信用トランスは、半導体チップCPLから半導体チップCPHへの信号の伝達に用いられ、また、受信用トランスは、半導体チップCPHから半導体チップCPLへの信号の伝達に用いられる。そして、半導体チップCPLは、複数の送信用パッドPL1と複数の受信用パッドPL2,PL3とを含み、半導体チップCPHは、複数の送信用パッドPH2,PH3と複数の受信用パッドPH1とを含んでいる。なお、半導体チップCPL,CPHのそれぞれにおいて、送信用パッドは、その半導体チップ内の送信回路に電気的に接続され、また、受信用パッドは、その半導体チップ内の受信回路に電気的に接続されている。
【0108】
本実施の形態の半導体装置PKGの主要な特徴のうちの他の一つは、半導体チップCPCにおいて、複数のトランスTR1,TR2,TR3は、平面視において半導体チップCPCの辺CPCb(半導体チップCPHの辺CPHaに対向する辺CPCb)に沿って配置され、かつ、送信用トランスTR1は、平面視において受信用トランスTR2,TR3よりも半導体チップCPLの近くに配置されていることである。そして、半導体チップCPLにおいて、複数の送信用パッドPL1は、平面視において複数の受信用パッドPL2,PL3よりも半導体チップCPHの近くに配置されている。
【0109】
これにより、平面視において、半導体チップCPCの送信用トランスTR1と半導体チップCPLの複数の送信用パッドPL1との間の距離を小さくすることができる。このため、半導体チップCPLの複数の送信用パッドPL1と半導体チップCPCの送信用トランスTR1の一次コイル(L1a)とを接続する導電経路の電気抵抗を小さくすることができる。具体的には、半導体チップCPLの送信用パッドPL1と半導体チップCPCの送信用トランスTR1の一次コイル(L1a)とを接続する導電経路は、ワイヤBW1と配線WR1とを含むが、半導体チップCPCの送信用トランスTR1と半導体チップCPLの複数の送信用パッドPL1との間の距離を小さくすることにより、ワイヤBW1の長さと配線WR1の長さを小さくすることができる。これにより、半導体チップCPLの送信回路TX1から半導体チップCPCのトランスTR1を経由して半導体チップCPHの受信回路RX1に信号を伝達する場合に、信号の劣化を抑制することができ、信号を的確に伝達することができる。
【0110】
また、半導体チップCPCの送信用トランスTR1と半導体チップCPLの送信用パッドPL1との間の距離に比べると、半導体チップCPCの受信用トランスTR2と半導体チップCPLの受信用パッドPL2との間の距離や、半導体チップCPCの受信用トランスTR3と半導体チップCPLの受信用パッドPL2との間の距離は大きい。このため、ワイヤBW1および配線WR1の各長さに比べると、ワイヤBW2および配線WR2の一方または両方の長さが大きくなり、また、ワイヤBW3および配線WR3の一方または両方の長さが大きくなる。このため、送信用パッドPL1と送信用トランスTR1の一次コイル(L1a)とを接続する導電経路の電気抵抗に比べると、受信用パッドPL2と受信用トランスTR2の二次コイル(L2a)とを接続する導電経路の電気抵抗や、受信用パッドPL3と受信用トランスTR3の二次コイル(L3a)とを接続する導電経路の電気抵抗は大きくなるが、それが信号伝達の品質に及ぼす影響は少ない。
【0111】
従って、本実施の形態では、半導体チップCPCの送信用トランスTR1と半導体チップCPLの複数の送信用パッドPL1との間の距離を小さくすることにより、半導体チップCPLと半導体チップCPHとの間で、より的確に信号を伝達することができるため、半導体装置の性能を向上させることができる。
【0112】
また、半導体チップCPLにおいて、パッドPL1,PL2,PL3は、平面視において半導体チップCPLの辺CPLa(半導体チップCPCの辺CPCaに対向する辺CPLa)に沿って配置されていることが好ましい。これにより、半導体チップCPLの各パッドPL1,PL2,PL3を、半導体チップCPCの各パッドPC1,PC2,PC3とワイヤBWで接続しやすくなり、また、半導体チップCPLの各パッドPL1,PL2,PL3と半導体チップCPCの各パッドPC1,PC2,PC3とを接続するワイヤBW(BW1,BW2,BW3)の長さを抑制することができる。このため、半導体装置PKGの製造工程の管理が容易となる。また、半導体装置の性能を、より向上させることができる。
【0113】
また、半導体チップCPHにおいて、パッドPH1,PH2,PH3は、平面視において半導体チップCPHの辺CPHa(半導体チップCPCの辺CPCbに対向する辺CPHa)に沿って配置されていることが好ましい。これにより、半導体チップCPHの各パッドPH1,PH2,PH3を、半導体チップCPCの各パッドPC4,PC5,PC6とワイヤBWで接続しやすくなり、また、半導体チップCPHの各パッドPH1,PH2,PH3と半導体チップCPCの各パッドPC4,PC5,PC6とを接続するワイヤBW(BW4,BW5,BW6)の長さを抑制することができる。このため、半導体装置PKGの製造工程の管理が容易となる。また、半導体装置の性能を、より向上させることができる。
【0114】
また、半導体チップCPHにおいて、複数の受信用パッドPH1は、平面視において複数の送信用パッドPH2,PH3よりも半導体チップCPLの近くに配置されていることが好ましい。これにより、半導体チップCPHの受信用パッドPH1と半導体チップCPCのトランスTR1との間の距離と、半導体チップCPHの送信用パッドPH2と半導体チップCPCのトランスTR2との間の距離と、半導体チップCPHの送信用パッドPH3と半導体チップCPCのトランスTR3との間の距離とを、それぞれ小さくすることができる。このため、半導体チップCPHの各パッドPH1,PH2,PH3と半導体チップCPCの各パッドPC4,PC5,PC6とを接続するワイヤBW(BW4,BW5,BW6)の長さを抑制することができる。これにより、半導体装置の性能を、より向上させることができる。
【0115】
本実施の形態では、半導体チップCPLの各パッドPL1,PL2,PL3と半導体チップCPCの各トランスTR1,TR2,TR3との接続経路については、半導体チップCPLのパッドPL1と半導体チップCPCのトランスTR1との距離を優先的に小さくすることにより、半導体チップCPLのパッドPL1と半導体チップCPCのトランスTR1とを接続する導電経路の電気抵抗を優先的に低減している。
【0116】
一方、半導体チップCPHのパッドPH1と半導体チップCPCのトランスTR1とを接続する導電経路の電気抵抗と、半導体チップCPHのパッドPH2と半導体チップCPCのトランスTR2とを接続する導電経路の電気抵抗と、半導体チップCPHのパッドPH3と半導体チップCPCのトランスTR3とを接続する導電経路の電気抵抗とは、同程度とすることができる。その理由は、以下のようなものである。すなわち、半導体チップCPCにおいて、トランスTR1,TR2,TR3は、平面視において半導体チップCPCの辺CPCbに沿って配置され、かつ、半導体チップCPHにおいて、パッドPH1,PH2,PH3は、平面視において半導体チップCPHの辺CPHaに沿って配置されている。これにより、パッドPH1とトランスTR1との間の距離と、パッドPH2とトランスTR2との間の距離と、パッドPH3とトランスTR3との間の距離を、同程度することができるからである。
【0117】
従って、半導体チップCPLの送信用パッドPL1とトランスTR1の一次コイル(L1aを接続する導電経路の電気抵抗と、半導体チップCPHの送信用パッドPH2とトランスTR2の一次コイル(L2b)を接続する導電経路の電気抵抗と、半導体チップCPHの送信用パッドPH3とトランスTR3の一次コイル(L3b)を接続する導電経路の電気抵抗とを、抑制することができる。その結果、半導体チップCPLの送信回路TX1とトランスTR1の一次コイル(L1a)とを接続する導電経路の電気抵抗と、半導体チップCPHの送信回路TX2とトランスTR2の一次コイル(L2b)とを接続する導電経路の電気抵抗と、半導体チップCPHの送信回路TX3とトランスTR3の一次コイル(L3b)とを接続する導電経路の電気抵抗とを、抑制することができる。これにより、半導体チップCPLと半導体チップCPHとの間でトランスTR1,TR2,TR3を介して、的確に信号を伝達することができるため、半導体装置の性能を向上させることができる。
【0118】
<第1変形例>
次に、本実施の形態の半導体装置PKGの第1変形例について説明する。
【0119】
図22は、第1変形例の半導体装置PKGを示す説明図であり、上記図18に相当する断面図が示されている。以下では、第1変形例の半導体装置PKGを半導体装置PKG1と称する。
【0120】
図22に示される第1変形例の半導体装置PKG1においては、半導体チップCPCをダイパッドDPLに搭載するための接合材BDCとして、接着材(接着層)だけでなく基材(テープ層)も有するダイアタッチフィルム(Die Attach Film:DAF)BDC1のような、絶縁性の接合材を用いている。ダイパッドDPLと半導体チップCPCとの間にダイアタッチフィルムBDC1のような絶縁性の接合材が介在することにより、基材を有さない銀ペーストなどの導電性接合材と比較して、ダイパッドDPLと半導体チップCPCとの間の耐圧を高めることができる。
【0121】
<第2変形例>
次に、本実施の形態の半導体装置PKGの第2変形例について説明する。
【0122】
図23図25は、第2変形例の半導体装置PKGを示す説明図である。図23には、上記図18に相当する断面図が示され、図24には、上記図19に相当する断面図が示され、図25には、上記図20に相当する断面図が示されている。以下では、第2変形例の半導体装置PKGを半導体装置PKG2と称する。
【0123】
図23図25に示される第2変形例の半導体装置PKG2は、半導体チップCPC内のトランスTR1,TR2,TR3の構成が、上記図18図20に示される半導体装置PKGと相違している。以下、図23図25に示される第2変形例の半導体装置PKG2が上記図18図20の半導体装置PKGと相違している点について、具体的に説明する。
【0124】
第2変形例の半導体装置PKG2の場合は、半導体チップCPCの多層配線構造MW1において、トランスTR1を構成するコイルL1aとコイルL1bとは、平面視において重なっておらず、同じ配線層に形成されている(図23参照)。そして、半導体チップCPCの多層配線構造MW1において、コイルL1aの下方にコイルL1cが設けられ、かつ、コイルL1aの下方にコイルL1dが設けられている(図23参照)。コイルL1aとその下のコイルL1cとは、導体によっては繋がっておらず、互いに磁気的に結合されている。また、コイルL1bとその下のコイルL1dとは、導体によっては繋がっておらず、互いに磁気的に結合されている。一方、コイルL1cとコイルL1dとは、導体によっては繋がっているため、電気的に接続されている。このため、コイルL1aとコイルL1dとは互いに磁気的に結合される。
【0125】
また、半導体チップCPCの多層配線構造MW1において、トランスTR2を構成するコイルL2aとコイルL2bとは、平面視において重なっておらず、同じ配線層に形成されている(図24参照)。そして、半導体チップCPCの多層配線構造MW1において、コイルL2aの下方にコイルL2cが設けられ、かつ、コイルL2aの下方にコイルL2dが設けられている(図24参照)。コイルL2aとその下のコイルL2cとは、導体によっては繋がっておらず、互いに磁気的に結合されている。また、コイルL2bとその下のコイルL2dとは、導体によっては繋がっておらず、互いに磁気的に結合されている。一方、コイルL2cとコイルL2dとは、導体によっては繋がっているため、電気的に接続されている。このため、コイルL2aとコイルL2dとは互いに磁気的に結合される。
【0126】
また、半導体チップCPCの多層配線構造MW1において、トランスTR3を構成するコイルL3aとコイルL3bとは、平面視において重なっておらず、同じ配線層に形成されている(図25参照)。そして、半導体チップCPCの多層配線構造MW1において、コイルL3aの下方にコイルL3cが設けられ、かつ、コイルL3aの下方にコイルL3dが設けられている(図25参照)。コイルL3aとその下のコイルL3cとは、導体によっては繋がっておらず、互いに磁気的に結合されている。また、コイルL3bとその下のコイルL3dとは、導体によっては繋がっておらず、互いに磁気的に結合されている。一方、コイルL3cとコイルL3dとは、導体によっては繋がっているため、電気的に接続されている。このため、コイルL3aとコイルL3dとは互いに磁気的に結合される。
【0127】
トランスTR1は、半導体チップCPC内に形成されたコイルL1a,L1b,L1c,L1dにより形成され、トランスTR2は、半導体チップCPC内に形成されたコイルL2a,L2b,L2c,L2dにより形成され、トランスTR3は、半導体チップCPC内に形成されたコイルL3a,L3b,L3c,L3dにより形成される。コイルL1a,L1b,L1c,L1d,L2a,L2b,L2c,L2d,L3a,L3b,L3c,L3dのそれぞれは、渦巻き状の導体パターン(配線パターン)により形成されている。
【0128】
送信回路TX1からトランスTR1のコイルL1aに信号を送ってコイルL1aに電流が流れると、その電流の変化に応じてコイルL1cに誘導起電力が発生して誘導電流が流れる。コイルL1cとコイルL1dとが電気的に接続されていることから、コイルL1cに誘導電流が流れると、必然的にコイルL1dにも電流が流れる。コイルL1dに電流が流れると、その電流の変化に応じてコイルL1bに誘導起電力が発生して誘導電流が流れる。つまり、コイルL1a(一次コイル)に電流が流れると、その電流の変化に応じてコイルL1b(二次コイル)に誘導起電力が発生して誘導電流が流れる。このため、第2変形例の半導体装置PKG2の場合も、コイルL1aが一次コイルとして機能し、コイルL1bが二次コイルとして機能する。トランスTR2,TR3についても同様であるが、トランスTR2の場合は、コイルL2bが一次コイルとして機能し、コイルL2aが二次コイルとして機能し、また、トランスTR3の場合は、コイルL3bが一次コイルとして機能し、コイルL3aが二次コイルとして機能する。なお、半導体チップCPCの多層配線構造MW1において、コイルL1aとコイルL1bとコイルL2aとコイルL2bとコイルL3aとコイルL3bとは、同層に形成されていることが好ましい。また、半導体チップCPCの多層配線構造MW1において、コイルL1cとコイルL1dとコイルL2cとコイルL2dとコイルL3cとコイルL3dとは、同層に形成されていることが好ましい。
【0129】
従って、第2変形例の半導体装置PKG2の場合も、送信回路TX1からトランスTR1のコイルL1a(一次コイル)に信号を送って電流を流し、それに応じてトランスTR1のコイルL1b(二次コイル)に生じた誘導電流(または誘導起電力)を受信回路RX1で検知(受信)することで、送信回路TX1からトランスTR1を経由して受信回路RX1に信号を伝達することができる。また、送信回路TX2からトランスTR2を経由して受信回路RX2に信号を伝達することができる。また、送信回路TX3からトランスTR3を経由して受信回路RX3に信号を伝達することができる。
【0130】
また、図23図25に示される第2変形例の半導体装置PKG2においては、半導体チップCPCをダイパッドDPLに搭載するための接合材BDCとして、ダイアタッチフィルムBDC1のような絶縁性の接合材を用いている。これにより、ダイパッドDPLと半導体チップCPCとの間の耐圧を高めることができる。
【0131】
また、図23図25に示される第2変形例の半導体装置PKG2の場合は、図18図20に示される半導体装置PKGの場合に比べて、半導体チップCPCの多層配線構造MW1を構成する層間絶縁膜の厚さ(従って多層配線構造MW1の厚さ)を薄くすることが可能である。その理由は、次のようなものである。すなわち、図18図20に示される半導体装置PKGの場合は、半導体チップCPC内の各コイルL1b,L2b,L3bと各コイルL1a,L2a,L3aとの間に介在する層間絶縁膜の厚さを厚くして、半導体チップCPHに接続される各コイルL1b,L2b,L3bと半導体チップCPLに接続される各コイルL1a,L2a,L3aとの間の耐圧を確保する必要がある。それに比べて、図23図25に示される半導体装置PKGの場合は、半導体チップCPC内の各コイルL1a,L1b,L2a,L2b,L3a,L3bと各コイルL1c,L1d,L2c,L2d,L3c,L3dとの間に介在する層間絶縁膜の厚さをそれほど厚くしなくとも、半導体チップCPHに接続される各コイルL1b,L2b,L3bと半導体チップCPLに接続される各コイルL1a,L2a,L3aとの間の耐圧を確保することができる。このため、図23図25に示される第2変形例の半導体装置PKG2の場合は、半導体チップCPCの多層配線構造MW1を構成する層間絶縁膜の厚さ(従って多層配線構造MW1の厚さ)を薄くすることが可能となる。半導体チップCPCとダイパッドDPLとの間の耐圧は、ダイアタッチフィルムBDC1によって確保することができる。
【0132】
このため、図18図20に示される半導体装置PKGの場合に比べて、図23図25に示される第2変形例の半導体装置PKG2の場合は、半導体チップCPCの厚さを薄くすることが可能である。また、半導体チップCPCの厚さを薄くしたことに合わせて、半導体チップCPL,CPHの各厚さを薄くすることもできる。従って、図23図25に示される第2変形例の半導体装置PKG2の場合は、半導体装置PKG2の厚さを薄くすることができる。
【0133】
また、図23図25に示される第2変形例の半導体装置PKG2の場合は、半導体チップCPCの多層配線構造MW1を構成する層間絶縁膜の厚さを薄くすることができるため、半導体チップCPCを製造しやすくなり、また、半導体チップCPCの製造歩留まりを向上させることができる。なぜなら、半導体ウエハ上に形成された層間絶縁膜が厚いと、半導体ウエハが反りやすくなるが、層間絶縁膜を薄くすることができれば、半導体ウエハの反りを抑制できるからである。
【0134】
(実施の形態2)
図26は、本実施の形態2の半導体装置PKGを用いたインバータ回路を示す回路図であり、上記図1に相当するものである。以下では、本実施の形態2の半導体装置PKGを半導体装置PKG3と称する。また、以下では、本実施の形態2の半導体装置PKG3が上記実施の形態1の半導体装置PKGと相違する点を主として説明し、本実施の形態2の半導体装置PKG3が上記実施の形態1の半導体装置PKGと共通する点については、その繰り返しの説明は省略している。
【0135】
図26に示される本実施の形態2の半導体装置PKG3の回路構成が、上記図1に示される上記実施の形態1の半導体装置PKGの回路構成と相違しているのは、以下の点である。すなわち、上記実施の形態1の半導体装置PKGの場合は、図1からも分かるように、受信回路RX2は半導体チップCPLに形成され、かつ、送信回路TX2は半導体チップCPHに形成されていた。それに対して、本実施の形態2の半導体装置PKG3の場合は、図26からも分かるように、受信回路RX2は、半導体チップCPLではなく半導体チップCPHに形成され、かつ、送信回路TX2は、半導体チップCPHではなく半導体チップCPLに形成されている。このため、本実施の形態2の半導体装置PKG3の場合は、半導体チップCPLのパッドPL2は、半導体チップCPLの内部配線を通じて半導体チップCPL内の送信回路TX1に電気的に接続され、また、半導体チップCPHのパッドPH2は、半導体チップCPHの内部配線を通じて半導体チップCPH内の受信回路RX2に電気的に接続されている。
【0136】
このため、上記実施の形態1では、トランスTR2は、半導体チップCPHが送信した信号を半導体チップCPLへ伝達して半導体チップCPLで受信するために用いられる受信用トランスであったが、本実施の形態2では、トランスTR2は、半導体チップCPLが送信した信号を半導体チップCPHへ伝達するために用いられる送信用トランスである。また、上記実施の形態1では、トランスTR2のコイルL2bが一次コイルであり、かつ、トランスTR2のコイルL2aが二次コイルであったが、本実施の形態2では、トランスTR2のコイルL2aが一次コイルであり、かつ、トランスTR2のコイルL2bが二次コイルである。また、上記実施の形態1では、半導体チップCPLのパッドPL2は受信用パッドであり、かつ、半導体チップCPHのパッドPH2は送信用パッドであったが、本実施の形態2では、半導体チップCPLのパッドPL2は、送信回路TX2に接続された送信用パッドであり、かつ、半導体チップCPHのパッドPH2は、受信回路RX2に接続された受信用パッドである。
【0137】
図27および図28は、本実施の形態2の半導体装置PKG3の一部を拡大した平面透視図である。図27は、上記図16に相当するものであり、封止部MRを透視したときの半導体装置PKG3内の半導体チップCPCと、半導体チップCPHの一部と、半導体チップCPLの一部が示されている。また、図28は、上記図17に相当するものであり、図27において更にワイヤBWを透視(省略)したときの半導体装置PKG3内の半導体チップCPCと、半導体チップCPHの一部と、半導体チップCPLの一部が示されている。
【0138】
図27および図28に示される配線WR1a,WR2a,WR3aは、半導体チップCPCの多層配線構造MW1が有する配線である。トランスTR1を構成するコイルL1bの両端部は、それぞれ、配線WR1aを通じてパッドPC4に接続され、また、トランスTR2を構成するコイルL2bの両端部は、それぞれ、配線WR2aを通じてパッドPC5に接続され、また、トランスTR3を構成するコイルL3bの両端部は、それぞれ、配線WR3aを通じてパッドPC6に接続されている。
【0139】
本実施の形態2では、図27および図28からも分かるように、半導体チップCPCにおいて、トランスTR1,TR2,TR3は、平面視において半導体チップCPCの辺CPCa(半導体チップCPLの辺CPLaに対向する辺CPCa)に沿って配置(配列)されている。トランスTR1,TR2,TR3同士は、平面視において重なっておらず、平面視において互いに離間している。
【0140】
また、本実施の形態2では、図27および図28からも分かるように、半導体チップCPCにおいて、受信用トランスTR3は、平面視において送信用トランスTR1,TR2よりも半導体チップCPHの近くに配置されている。すなわち、Y方向における受信用トランスTR3と半導体チップCPHとの間の距離(間隔)は、Y方向における送信用トランスTR1と半導体チップCPHとの間の距離(間隔)よりも小さく、かつ、Y方向における受信用トランスTR2と半導体チップCPHとの間の距離(間隔)よりも小さい。図27および図28の場合は、トランスTR1,TR2,TR3のうち、受信用トランスTR3が半導体チップCPHの最も近くに位置し、送信用トランスTR1が半導体チップCPHから最も遠くに位置し、送信用トランスTR1と受信用トランスTR3との間に送信用トランスTR2が位置している。他の形態として、半導体チップCPCにおいて、送信用トランスTR2の位置と送信用トランスTR1の位置とを入れ替えることもできることもできるが、その場合でも、トランスTR1,TR2,TR3のうち、受信用トランスTR3が半導体チップCPHの最も近くに位置する。
【0141】
また、本実施の形態2では、図27および図28からも分かるように、半導体チップCPCにおいて、パッドPC1,PC2,PC3は、平面視において半導体チップCPCの辺CPCaに沿って配置(配列)されている。半導体チップCPCにおいて、パッドPC3は、平面視においてパッドPC1,PC2よりも半導体チップCPHの近くに配置されている。すなわち、Y方向におけるパッドPC3と半導体チップCPHとの間の距離(間隔)は、Y方向におけるパッドPC2と半導体チップCPHとの間の距離(間隔)よりも小さく、かつ、Y方向におけるパッドPC1と半導体チップCPHとの間の距離(間隔)よりも小さい。図27および図28の場合は、パッドPC1,PC2,PC3のうち、パッドPC3が半導体チップCPHの最も近くに位置し、パッドPC1が半導体チップCPHから最も遠くに位置し、パッドPC1とパッドPC3との間にパッドPC2が位置している。他の形態として、半導体チップCPCにおいて、送信用トランスTR1の位置と送信用トランスTR2の位置とを入れ替えた場合には、半導体チップCPCにおいて、パッドPC1の位置とパッドPC2の位置とを入れ替えることが好ましい。
【0142】
また、本実施の形態2では、図27および図28からも分かるように、半導体チップCPHにおいて、パッドPH1,PH2,PH3は、平面視において半導体チップCPHの辺CPHaに沿って配置(配列)されている。そして、半導体チップCPHにおいて、送信用パッドPH3は、平面視において受信用パッドPH1,PH2よりも半導体チップCPLの近くに配置されている。すなわち、X方向における送信用パッドPH3と半導体チップCPLとの間の距離(間隔)は、X方向における受信用パッドPH1と半導体チップCPLとの間の距離(間隔)よりも小さく、かつ、X方向における受信用パッドPL2と半導体チップCPLとの間の距離(間隔)よりも小さい。図27および図28の場合は、パッドPH1,PH2,PH3のうち、送信用パッドPH3が半導体チップCPLの最も近くに位置し、受信用パッドPH1が半導体チップCPLから最も遠くに位置し、送信用パッドPH3と受信用パッドPH1との間に受信用パッドPH2が位置している。他の形態として、半導体チップCPCにおいて、送信用トランスTR1の位置と送信用トランスTR2の位置とを入れ替えた場合には、半導体チップCPHにおいて、受信用パッドPH1の位置と受信用パッドPH2の位置とを入れ替えることが好ましい。
【0143】
また、本実施の形態2では、図27および図28からも分かるように、半導体チップCPLにおいて、パッドPL1,PL2,PL3は、平面視において半導体チップCPLの辺CPLaに沿って配置(配列)されている。半導体チップCPLにおいて、受信用パッドPL3は、平面視において送信用パッドPL1,PL2よりも半導体チップCPHの近くに配置されている。すなわち、平面視において、Y方向における受信用パッドPL3と半導体チップCPHとの間の距離(間隔)は、Y方向における送信用パッドPL1と半導体チップCPHとの間の距離(間隔)よりも小さく、かつ、Y方向における送信用パッドPL2と半導体チップCPHとの間の距離(間隔)よりも小さい。図27および図28の場合は、パッドPL1,PL2,PL3のうち、受信用パッドPL3が半導体チップCPHの最も近くに位置し、送信用パッドPL1が半導体チップCPHから最も遠くに位置し、受信用パッドPL3と送信用パッドPL1との間に送信用パッドPL2が位置している。他の形態として、半導体チップCPCにおいて、送信用トランスTR1の位置と送信用トランスTR2の位置とを入れ替えた場合には、半導体チップCPLにおいて、送信用パッドPL1の位置と送信用パッドPL2の位置とを入れ替えることが好ましい。
【0144】
次に、本実施の形態2の主要な特徴と効果について説明する。
【0145】
ダイパッドDPL,DPHおよび半導体チップCPC,CPL,CPHの配置状況については、本実施の形態2の半導体装置PKG3も上記実施の形態1の半導体装置PKGと同様である。
【0146】
このため、上記実施の形態1と同様に、本実施の形態2においても、半導体チップCPC,CPLのそれぞれの縦横比(Y方向の寸法に対するX方向の寸法の比)を大きくしなくとも、半導体装置PKG3のY方向の寸法を小さくすることができる。このため、半導体装置の小型化を図ることができる。また、半導体チップCPC,CPLのそれぞれの縦横比を抑制できるため、例えば半導体ウエハを切断して半導体チップを取得する際や、半導体チップの搬送時などになどに、半導体チップCPL,CPCにクラックが発生するリスクを抑制できる。このため、半導体チップCPL,CPCの製造歩留まりや、半導体装置PKG3の製造歩留まりを向上させることができる。また、半導体装置PKG3においても、封止部MR内に半導体チップCPH,CPL,CPCをバランスよく配置することができるため、半導体チップCPHの周囲に位置する封止樹脂の量(体積)と、半導体チップCPLの周囲に位置する封止樹脂の量(体積)と、半導体チップCPCの周囲に位置する封止樹脂の量(体積)との差を小さくすることができる。その結果、半導体装置PKG3の反りを抑制または防止することができ、半導体装置PKG3の平坦性を向上させることができる。
【0147】
本実施の形態2の半導体装置PKG3は、半導体チップCPC,CPL,CPHを内蔵しており、半導体チップCPCは、1つ以上の送信用トランス(ここではトランスTR1,TR2)と、1つ以上の受信用トランス(ここではトランスTR3)とを有している。そして、半導体チップCPLは、複数の送信用パッドPL1,PL2と複数の受信用パッドPL3とを含み、半導体チップCPHは、複数の送信用パッドPH3と複数の受信用パッドPH1,PH2とを含んでいる。
【0148】
本実施の形態2の半導体装置PKG3では、半導体チップCPCにおいて、複数のトランスTR1,TR2,TR3は、平面視において半導体チップCPCの辺CPCa(半導体チップCPLの辺CPLaに対向する辺CPCa)に沿って配置され、かつ、受信用トランスTR3は、平面視において送信用トランスTR1,TR2よりも半導体チップCPHの近くに配置されている。そして、半導体チップCPHにおいて、複数の送信用パッドPL3は、平面視において複数の受信用パッドPL1,PL2よりも半導体チップCPLの近くに配置されている。
【0149】
これにより、平面視において、半導体チップCPCの受信用トランスTR3と半導体チップCPHの複数の送信用パッドPH3との間の距離を小さくすることができる。このため、半導体チップCPHの複数の送信用パッドPH3と半導体チップCPCの受信用トランスTR3の一次コイル(L3b)とを接続する導電経路の電気抵抗を小さくすることができる。具体的には、半導体チップCPHの送信用パッドPH3と半導体チップCPCの受信用トランスTR3の一次コイル(L3b)を接続する導電経路は、ワイヤBW6と配線WR3aを含むが、半導体チップCPCの受信用トランスTR3と半導体チップCPHの複数の送信用パッドPH3との間の距離を小さくすることにより、ワイヤBW6の長さと配線WR3aの長さを小さくすることができる。これにより、半導体チップCPHの送信回路TX3から半導体チップCPCのトランスTR3を経由して半導体チップCPLの受信回路RX3に信号を伝達する場合に、信号の劣化を抑制することができ、信号を的確に伝達することができる。
【0150】
また、半導体チップCPCの受信用トランスTR3と半導体チップCPHの送信用パッドPL3との間の距離に比べると、半導体チップCPCの送信用トランスTR2と半導体チップCPHの受信用パッドPL2との間の距離や、半導体チップCPCの送信用トランスTR1と半導体チップCPLの受信用パッドPL1との間の距離は大きい。このため、ワイヤBW6および配線WR3aの各長さに比べると、ワイヤBW5および配線WR2aの一方または両方の長さが大きくなり、また、ワイヤBW4および配線WR1aの一方または両方の長さが大きくなる。このため、送信用パッドPH3と受信用トランスTR3の一次コイル(L3b)とを接続する導電経路の電気抵抗に比べると、受信用パッドPH2と送信用トランスTR2の二次コイル(L2b)とを接続する導電経路の電気抵抗や、受信用パッドPH1と送信用トランスTR1の二次コイル(L1b)とを接続する導電経路の電気抵抗は大きくなるが、それが信号伝達の品質に及ぼす影響は少ない。
【0151】
従って、本実施の形態2では、半導体チップCPCの受信用トランスTR3と半導体チップCPHの複数の送信用パッドPH3との間の距離を小さくすることにより、半導体チップCPHと半導体チップCPLとの間で、より的確に信号を伝達することができるため、半導体装置の性能を向上させることができる。
【0152】
また、半導体チップCPHにおいて、パッドPH1,PH2,PH3は、平面視において半導体チップCPHの辺CPHa(半導体チップCPCの辺CPCbに対向する辺CPLa)に沿って配置されていることが好ましい。これにより、半導体チップCPHの各パッドPH1,PH2,PH3を、半導体チップCPCの各パッドPC4,PC5,PC6とワイヤBWで接続しやすくなり、また、半導体チップCPHの各パッドPH1,PH2,PH3と半導体チップCPCの各パッドPC4,PC5,PC6とを接続するワイヤBW(BW4,BW5,BW6)の長さを抑制することができる。このため、半導体装置の製造工程の管理が容易となる。また、半導体装置の性能を、より向上させることができる。
【0153】
また、半導体チップCPLにおいて、パッドPL1,PL2,PL3は、平面視において半導体チップCPLの辺CPLa(半導体チップCPCの辺CPCaに対向する辺CPLa)に沿って配置されていることが好ましい。これにより、半導体チップCPLの各パッドPL1,PL2,PL3を、半導体チップCPCの各パッドPC1,PC2,PC3とワイヤBWで接続しやすくなり、また、半導体チップCPLの各パッドPL1,PL2,PL3と半導体チップCPCの各パッドPC1,PC2,PC3とを接続するワイヤBW(BW1,BW2,BW3)の長さを抑制することができる。このため、半導体装置の製造工程の管理が容易となる。また、半導体装置の性能を、より向上させることができる。
【0154】
また、半導体チップCPLにおいて、複数の受信用パッドPL3は、平面視において複数の送信用パッドPL1,PL2よりも半導体チップCPHの近くに配置されていることが好ましい。これにより、半導体チップCPLの受信用パッドPL3と半導体チップCPCのトランスTR3との間の距離と、半導体チップCPLの送信用パッドPL2と半導体チップCPCのトランスTR2との間の距離と、半導体チップCPLの送信用パッドPL1と半導体チップCPCのトランスTR1との間の距離とを、それぞれ小さくすることができる。このため、半導体チップCPLの各パッドPL1,PL2,PL3と半導体チップCPCの各パッドPC1,PC2,PC3とを接続するワイヤBW(BW1,BW2,BW3)の長さを抑制することができる。これにより、半導体装置の性能を、より向上させることができる。
【0155】
本実施の形態2では、半導体チップCPHの各パッドPH1,PH2,PH3と半導体チップCPCの各トランスTR1,TR2,TR3との接続経路については、半導体チップCPHのパッドPH3と半導体チップCPCのトランスTR3との距離を優先的に小さくすることにより、半導体チップCPHのパッドPH3と半導体チップCPCのトランスTR3とを接続する導電経路の電気抵抗を優先的に低減している。
【0156】
一方、半導体チップCPLのパッドPL1と半導体チップCPCのトランスTR1とを接続する導電経路の電気抵抗と、半導体チップCPLのパッドPL2と半導体チップCPCのトランスTR2とを接続する導電経路の電気抵抗と、半導体チップCPLのパッドPL3と半導体チップCPCのトランスTR3とを接続する導電経路の電気抵抗とは、同程度とすることができる。その理由は、以下のようなものである。すなわち、半導体チップCPCにおいて、トランスTR1,TR2,TR3は、平面視において半導体チップCPCの辺CPCaに沿って配置され、かつ、半導体チップCPLにおいて、パッドPL1,PL2,PL3は、平面視において半導体チップCPLの辺CPLaに沿って配置されている。これにより、パッドPL1とトランスTR1との間の距離と、パッドPL2とトランスTR2との間の距離と、パッドPL3とトランスTR3との間の距離を、同程度することができるからである。
【0157】
従って、半導体チップCPLの送信用パッドPL1とトランスTR1の一次コイル(L1a)を接続する導電経路の電気抵抗と、半導体チップCPLの送信用パッドPL2とトランスTR2の一次コイル(L2a)を接続する導電経路の電気抵抗と、半導体チップCPHの送信用パッドPH3とトランスTR3の一次コイル(L3b)を接続する導電経路の電気抵抗とを、抑制することができる。その結果、半導体チップCPLの送信回路TX1とトランスTR1の一次コイル(L1a)とを接続する導電経路の電気抵抗と、半導体チップCPLの送信回路TX2とトランスTR2の一次コイル(L2a)とを接続する導電経路の電気抵抗と、半導体チップCPHの送信回路TX3とトランスTR3の一次コイル(L3b)とを接続する導電経路の電気抵抗とを、抑制することができる。これにより、半導体チップCPLと半導体チップCPHとの間でトランスTR1,TR2,TR3を介して、的確に信号を伝達することができるため、半導体装置の性能を向上させることができる。
【0158】
上記実施の形態1は、半導体チップCPCが有する複数のトランスにおいて、受信用トランスの数が送信用トランスの数よりも多い場合に適用すれば、特に好適である。上記実施の形態1の場合は、トランスTR1が送信用トランスに対応し、トランスTR2,TR3が受信用トランスに対応している。
【0159】
本実施の形態2は、半導体チップCPCが有する複数のトランスにおいて、送信用トランスの数が受信用トランスの数よりも多い場合に適用すれば、特に好適である。本実施の形態2の場合は、トランスTR1,TR2が送信用トランスに対応し、トランスTR3が受信用トランスに対応している。
【0160】
また、上記実施の形態1の第1変形例および第2変形例を、本実施の形態2に適用することができる。
【0161】
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0162】
BDC,BDH,BDL 接合材
BDC1 ダイアタッチフィルム
BT1,BT2 電源
BW,BW1,BW2,BW3,BW4,BW5,BW6 ワイヤ
CC 制御回路
CPC,CPC101,CPL,CPL101,CPH,CPH101 半導体チップ
CPCa,CPCb,CPLa,CPHa 辺
DPH,DPH101,DPL,DPL101 ダイパッド
DPHa,DPLa 上面
DPHb,DPLb 下面
DPHc1,DPHc2,DPHc3,DPHc4 側面
DPLc1,DPLc2,DPLc3,DPLc4 側面
DR 駆動回路
L1a,L1b,L2a,L2b,L3a,L3b コイル
LD,LD1,LD1a,LD1b,LD2,LD2a,LD2b リード
LOD 負荷
MR 封止部
MRa 上面
MRb 下面
MRc1,MRc2,MRc3,MRc4 側面
MW1,MW2,MW3 多層配線構造
PA,PA2,PA3 保護膜
PC1,PC2,PC3,PC4,PC5,PC6 パッド
PH1,PH2,PH3,PH4 パッド
PL1,PL2,PL3,PL4 パッド
PKG,PKG1,PKG2,PKG3,PKG101 半導体装置
RX1,RX2,RX3 受信回路
SB1,SB2,SB3 半導体基板
TS1,TS2 パワートランジスタ
TX1,TX2,TX3 送信回路
WR1,WR1a,WR2,WR2a,WR3,WR3a 配線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28