(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087309
(43)【公開日】2024-07-01
(54)【発明の名称】パウチ
(51)【国際特許分類】
B65D 81/34 20060101AFI20240624BHJP
【FI】
B65D81/34 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022202062
(22)【出願日】2022-12-19
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100169063
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100183438
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 泰史
(72)【発明者】
【氏名】矢島 佐保
【テーマコード(参考)】
3E013
【Fターム(参考)】
3E013BA02
3E013BA22
3E013BB13
3E013BD11
3E013BE01
3E013BF03
3E013BF22
3E013BF37
3E013BF62
3E013BG15
(57)【要約】
【課題】蒸気の排出性能を向上させること。
【解決手段】パウチ10は、一対のシート16,18を備えている。一対のシート16,18は、シーラント層16x,18xを含む複数の層が積層された積層体であり、収容空間Sが形成されるように両側がシールされて一対のサイドシール部26,28が形成されている。サイドシール部28は、天部14寄りに位置する上シール部30と、下シール部32と、蒸気抜きシール部34と、を有する。上シール部30及び下シール部32の間の第1領域46a、並びに、第1領域46a及び蒸気抜きシール部34によって囲まれる第2領域46bは、未シール領域である。一対のシート16,18のうち少なくとも一つのシートにおける未シール領域には、少なくとも一つのシートを厚さ方向に貫通する貫通部48が形成されており、シーラント層16x,18xは、熱処理時に収縮する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部及び天部の間に内容物を収容する収容空間が形成されたパウチであって、
互いに重ね合わされた一対のシートを備え、
前記一対のシートは、
それぞれ、少なくともシーラント層を含む複数の層が積層された積層体であり、
前記収容空間が形成されるように両側がシールされて一対のサイドシール部が形成されており、
前記一対のサイドシール部のうちの少なくとも一つのサイドシール部は、
前記天部寄りに位置する第1シール部と、
前記第1シール部より前記底部寄りに位置しており且つ前記第1シール部と離間した第2シール部と、
前記第1シール部及び前記第2シール部を連結するとともに前記収容空間側に張り出した、蒸気を抜くための蒸気抜きシール部と、
を有し、
前記第1シール部及び前記第2シール部の間の第1領域、並びに、前記第1領域及び前記蒸気抜きシール部によって囲まれる第2領域は、未シール領域であり、
前記一対のシートのうち少なくとも一つのシートにおける前記未シール領域には、前記少なくとも一つのシートを厚さ方向に貫通する貫通部が形成されており、
前記シーラント層は、熱処理時に収縮する、パウチ。
【請求項2】
前記シートを構成する前記積層体の、前記一対のサイドシール部が互いに対向する方向である幅方向における熱処理時の収縮率は、1.5%以上4.0%以下である、請求項1記載のパウチ。
【請求項3】
前記シーラント層は、前記幅方向に一軸延伸している、請求項2記載のパウチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、パウチに関する。
【背景技術】
【0002】
内容物(例えば食品)を収容し、内容物を加熱するためのパウチとして、特許文献1に記載のパウチが知られている。特許文献1に記載のパウチは、内容物を加熱した際に生じる蒸気を逃がすための構造を有する。具体的には、パウチにおける側部シール部(サイドシール部)が収容空間側に張り出した張出部分を有する。張出部分の内側は未シール領域である。内容物が加熱され蒸気が発生すると、張出部分のシールが剥離される。これにより、内容物を収容している空間と未シール領域とが繋がり、未シール領域を蒸気抜き口として蒸気が未シール領域から排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
パウチを加熱する場合、例えば、業務用の電子レンジを用いて高出力(例えば1000W以上)のマイクロ波でパウチが加熱される場合がある。このようにパウチが高出力下で加熱されると、内容物が急激に加熱されることから、収容空間の内圧の上昇スピードが速くなる。そのため、特許文献1に記載されているように、蒸気を抜くための張出部分が設けられていても、内圧の急激な上昇に伴ってパウチも急激に膨張することから、未シール領域が閉塞するおそれがある。未シール領域が閉塞すると、蒸気を排出できないため、パウチが破裂したり、蒸気抜きのためのシール部以外のシールが剥離され、内容物がパウチから飛び出すおそれがある。
【0005】
そこで、本発明の一態様は、蒸気の排出性能を向上させることができるパウチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るパウチは、底部及び天部の間に内容物を収容する収容空間が形成されたパウチであって、互いに重ね合わされた一対のシートを備え、一対のシートは、それぞれ、少なくともシーラント層を含む複数の層が積層された積層体であり、収容空間が形成されるように両側がシールされて一対のサイドシール部が形成されており、一対のサイドシール部のうちの少なくとも一つのサイドシール部は、天部寄りに位置する第1シール部と、第1シール部より底部寄りに位置しており且つ第1シール部と離間した第2シール部と、第1シール部及び第2シール部を連結するとともに収容空間側に張り出した、蒸気を抜くための蒸気抜きシール部と、を有し、第1シール部及び第2シール部の間の第1領域、並びに、第1領域及び蒸気抜きシール部によって囲まれる第2領域は、未シール領域であり、一対のシートのうち少なくとも一つのシートにおける未シール領域には、少なくとも一つのシートを厚さ方向に貫通する貫通部が形成されており、シーラント層は、熱処理時に収縮する。
本発明の一態様に係るパウチでは、蒸気抜きシール部等によって囲まれた未シール領域に貫通部が形成されている。このため、例えばパウチが電子レンジ等により高出力で加熱されることによってパウチの内圧が急激に高くなっても、貫通部が蒸気を抜くための蒸気抜き口として機能する。更に、本発明の一態様に係るパウチでは、熱処理時に収縮するシーラント層が採用されている。熱処理時にシーラント層における貫通部の周囲の部分が収縮することによって、貫通部の孔幅が広がり、蒸気の逃げ道を広く確保することができる。また、万が一、未シール領域が製造過程において塞がれたとしても、安全弁である貫通部の孔幅が広がることにより、通蒸ルートが適切に確保される。以上のように、本発明の一態様に係るパウチによれば、蒸気の排出性能を向上させることができる。
【0007】
シートを構成する積層体の、一対のサイドシール部が互いに対向する方向である幅方向における熱処理時の収縮率は、1.5%以上4.0%以下であってもよい。シートを構成する積層体の収縮率が過度に小さい場合には、貫通部の孔幅を十分に広げることができず、電子レンジ等による高出力での加熱時において蒸気が十分に排出されないことが問題になる。一方で、シートを構成する積層体の収縮率が過度に大きい場合には、電子レンジ等による高出力での加熱時においてパウチが立たないことが問題になる。この点、シートを構成する積層体の収縮率が1.5%以上4.0%以下とされることにより、電子レンジ等による高出力での加熱時において蒸気を十分に排出しながら、パウチが立たない事態を回避することができる。
【0008】
シーラント層は、幅方向に一軸延伸していてもよい。このような構成によれば、シーラント層の幅方向における収縮率を効果的に高めることができ、熱処理時における蒸気の排出性能を適切に向上させることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、蒸気の排出性能を向上させることができるパウチを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、天部が開放された状態における一実施形態に係るパウチの一例を模式的に図面である。
【
図2】
図2は、天部を閉じた状態における
図1に示したパウチを模式的に示す図面である。
【
図3】
図3は、
図2のIII-III線に沿った端面図である。
【
図5】
図5は、蒸気抜きシール部近傍の拡大図である。
【
図6】
図6(a)は熱処理前の貫通部の状態を模式的に示す図であり、
図6(b)は熱処理後の貫通部の状態を模式的に示す図であり、
図6(c)は通蒸時の貫通部の状態を模式的に示す図である。
【
図7】
図7は、実施例及び比較例の条件と判定結果を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。同一の要素には同一符号を付する。重複する説明は省略する。図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
【0012】
図1は、天部が開放された状態における一実施形態に係るパウチ10の一例を模式的に図面である。
図2は、天部を閉じた状態における
図1に示したパウチ10を模式的に示す図面である。
図3は、
図2のIII-III線に沿った端面図である。
図4は、
図2のIV―IV線に沿った端面図である。
【0013】
パウチ10は、底部12と底部12の反対側に位置する天部14との間に内容物100を収容する収容空間S(
図3及び
図4参照)を有する。パウチ10は、スタンディングパウチとして知られる自立可能な包装袋である。以下、内容物100を収容するために天部14が開放された状態を開放状態と称し、天部14が閉じられた状態を閉塞状態と称す。閉塞状態のパウチ10は、エンドユーザーに提供されるパウチ10である。
【0014】
内容物100は例えば食品(例えばカレー、ハンバーグ、スープ等)である。パウチ10は、内容物100を例えば電子レンジなどで加熱することによって調理するための包装袋である。パウチ10は、例えば1000W以上の高出力帯によってパウチ10を加熱する場合に好適に使用される。
【0015】
以下、説明の便宜のため、パウチ10の底部12の外縁(底辺)または天部14の外縁(天辺)に直交する方向をy方向と称し、y方向に直交する方向をx方向(または幅方向)とも称す場合がある。パウチ10において、底部12側を下側と称し、天部14側を上側と称す場合もある。
【0016】
パウチ10のx方向の長さL1の例は、100mm~180mmであり、y方向の長さL2の例は、100mm~200mmである。パウチ10は、互いに重ね合わされた一対のシート16,18(
図3及び
図4参照)とシート20(
図1参照)とを有する。
【0017】
一対のシート16,18は、パウチ10の前面シート及び後面シートである。一対のシート16,18の平面視形状(厚さ方向からみた形状)は、例えば矩形であってもよいし、正方形であってもよい。シート16,18は、それぞれ、少なくともシーラント層16x,18x(
図3及び
図4参照)を含む複数の層が積層された積層体である。一対のシート16,18は、互いのシーラント層16x,18xが互いに向かい合うように重ねられて配置されている。すなわち、シーラント層16x,18xは、パウチ10の内面側に配置されている。
【0018】
シート20は、パウチ10の底部12を構成するためのシートである。シート20も一方の面にシーラント層を有する積層体(或いは積層フィルム)である。
【0019】
シート16,18,20の材料の例は、ポリリエチレンテレフタレート(PET:Polyethylene terephthalate)、ナイロン(NY)及びオレフィン系樹脂を含む。シート16,18,20は、例えば、ラミネート加工によって形成され得る。一実施形態において、シート16,18,20が有するシーラント層の材料の例は、ポリプロピレン(CPP:Cast PolyPolypropylene)またはリニアポリエチレン(LLDPE:LinearLow Density Polyethylene)等である。一実施形態において、シーラント層は、耐熱性を有する材料で形成されている。シート16,18のシーラント層16x,18xは、幅方向であるx方向に一軸延伸している。シーラント層16x,18xにおいて、幅方向であるx方向は、いわゆるMD(machine direction)であり、製造時において樹脂を流す方向(流れ方向)である。すなわち、シーラント層16x,18xは、MDに一軸延伸したものが用いられている。
【0020】
シート16,18,20は、例えば、最外層、中間層、及び、最内層を含む。最外層は、中間層に対して最内層と反対側に位置する層である。
【0021】
最外層を構成する材料の例は透明な材料である。透明な材料の例はPET、透明蒸着フィルム等を含む。透明蒸着フィルムの例は、2軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP:Oriented PolyPropylene)である。中間層は、例えば、印刷層を含む。印刷層は最外層より最内層側に設けられる。印刷層における最外層側の面に絵柄及び商品説明のテキスト等が印刷される。中間層は、例えば、第1の接着層、延伸ナイロン層、及び、第2の接着層を更に含んでもよい。第1の接着層は印刷層に対して最内層側に設けられる。延伸ナイロン層は第1の接着層に対して最内層側に設けられる。第2の接着層は延伸ナイロン層に対して最内層側に設けられる。各接着層を構成する材料の一例はドライラミネート接着剤である。最内層は中間層に対して最外層と反対側に設けられる。最内層は、シーラント層である。すなわち、シート16,18の最内層は、上述したシーラント層16x,18xである。
【0022】
シート20は、パウチ10の底部12側に配置されている。シート20は、シーラント層が外側になるように、自立可能な形状(例えばガゼット状)に折られた状態で、重ねられたシート16,18の間に挟み込まれている。例えば、シート20は、シーラント層が外側になるように、二つ折りされた状態で、シート16,18の間に挿入されている。
【0023】
パウチ10の周囲はヒートシールされている。これにより、閉塞状態のパウチ10は、底シール部22、天シール部24及び一対のサイドシール部26,28を有する。
図1及び
図2では、シール箇所を明示するために、シール箇所にハッチングを付している。後述するように、天シール部24は、開放状態のパウチ10に内容物100を収容した後に形成されるシール部である。
【0024】
底シール部22は、一対のシート16,18の間に前述したように挿入されたシート20と、シート16,18とがヒートシールされた部分である。
図1及び
図2では、底シール部22(または底部12)は、x方向における中央部から両サイドに向けて若干湾曲した形状を有するが、底シール部22の外縁は直線上でもよい。
【0025】
天シール部24は、一対のシート16,18において底シール部22と反対側(天部14側)の縁部がヒートシールされた部分である。天シール部24は、開放状態のパウチ10に内容物100を収容した後に、天部14側がヒートシールされることによって形成される。
【0026】
一対のサイドシール部26,28は、重ね合わされた一対のシート16,18において、x方向における両サイドに、収容空間Sを形成するように形成されている。一対のサイドシール部26,28は、底シール部22と天シール部24とを接続している。
【0027】
一対のサイドシール部26,28のうち一方のサイドシール部26は、x方向において、パウチ10の一方の端側に位置するシール部である。サイドシール部26は、シート16(またはシート18)の外縁に沿って一対のシート16,18がヒートシールされることによって形成されている。サイドシール部26のシール幅W1(延在方向に直交する方向の幅)の例は3mm~15mmである。
【0028】
一対のサイドシール部26,28のうち他方のサイドシール部28は、x方向においてパウチ10の他方の端側に位置するシール部である。サイドシール部28は、パウチ10を加熱した際に生じる蒸気を外部に逃がすように構成されている。具体的には、サイドシール部28は、上シール部(第1シール部)30と、下シール部(第2シール部)32と、蒸気抜きシール部34とを有する。
【0029】
上シール部30は、サイドシール部28において天部14寄りに位置する部分である。上シール部30は、シート16(またはシート18)の外縁に沿って一対のシート16,18がヒートシールされることによって形成されている。上シール部30のシール幅W2の例は、サイドシール部26のシール幅W1の例と同じである。本実施形態では、シール幅W2はシール幅W1と同じであるが、シール幅W2はシール幅W1と異なってもよい。
【0030】
下シール部32は、サイドシール部28において上シール部30より底部12寄りに位置する部分である。下シール部32は、y方向において、上シール部30と離間している。したがって、シート16,18のうちy方向に沿って下シール部32と上シール部30との間の領域はシールされていない領域である。下シール部32は、シート16(またはシート18)の外縁に沿って一対のシート16,18がヒートシールされることによって形成されている。下シール部32のシール幅W3の例は、サイドシール部26のシール幅W1の例と同じである。本実施形態では、下シール部32のシール幅W3は上シール部30のシール幅W2と同じであるが、シール幅W3はシール幅W2と異なっていてもよい。例えば、シール幅W3は、シール幅W2より狭くてもよい。
【0031】
蒸気抜きシール部34は、サイドシール部28においてパウチ10を加熱した際に生じる蒸気を外部に逃がすために設けられた部分である。蒸気抜きシール部34は、収容空間Sのうち内容物100で満たされる領域より天部14寄りに設けられている。蒸気抜きシール部34は、上シール部30と下シール部32とを連結する部分である。蒸気抜きシール部34は、収容空間S側に張り出している部分でもある。したがって、サイドシール部28は、蒸気抜きシール部34の部分で収容空間S側に窪んだ形状を有する。蒸気抜きシール部34は、蒸気抜きシール部34の形状にシート16,18をヒートシールすることによって形成されている。一実施形態において、蒸気抜きシール部34から蒸気が抜けやすいように、蒸気抜きシール部34のシール強度は、上シール部30、下シール部32及びサイドシール部26のシール強度より小さい。例えば、蒸気抜きシール部34のシール幅は、上シール部30のシール幅W2及び下シール部32のシール幅W3より狭くてもよい。
【0032】
図5を主に参照して、蒸気抜きシール部34を更に説明する。
図5は、蒸気抜きシール部34の拡大図である。蒸気抜きシール部34は、先端部36と、第1接続部38と、第2接続部40とを有する。
図5に示した例では、蒸気抜きシール部34の形状は、略V字状である。
図5においても、シール箇所にハッチングを付してシール箇所を明示している。
【0033】
先端部36は、例えば、内容物100を加熱に伴い収容空間S内の圧力が上昇した場合において、シート16,18において強い応力集中が生じる部分に設けられている。先端部36は、例えば、収容空間Sの中心C(
図2及び
図5参照)に最も近い部分である。一実施形態において蒸気抜きシール部34は、先端部36が中心Cを向くように形成され得る。先端部36は、通常、y方向において中心Cより天部14寄りに位置する。
【0034】
中心Cはパウチ10を平面視した場合(x方向及びy方向からみた場合)における収容空間Sの中心である。本実施形態において、中心Cは、サイドシール部26の収容空間S側の縁部におけるy方向の中点をとおりx方向に平行な線と、天シール部24の収容空間S側の縁部におけるx方向の中点をとおりy方向に平行な線の交点である。中心Cはた例えば、閉塞状態のパウチ10における収容空間Sに収まる最大半径の球の中心でもよい。中心Cは、通常、シート16(またはシート18)の中心と一致する。
【0035】
先端部36は、第1接続部38と第2接続部40を繋ぐ角部でもある。先端部36は、例えば、蒸気抜きシール部34において底シール部22寄り位置する。先端部36は
図5に示したように収容空間S側に湾曲していてもよい。
【0036】
第1接続部38は、先端部36と下シール部32とを接続する部分である。第1接続部38は、蒸気抜きシール部34における下側のシール部分である。第1接続部38における先端部36と反対の端は、下シール部32の端部32aに連続的に接続されている。第1接続部38は、x方向に沿っている。第1接続部38のシール幅W4は、例えば一定である。シール幅W4の例は、3mm~10mmである。
図5に示した例では、シール幅W4は、シール幅W2及びシール幅W3より狭い。
【0037】
第1接続部38と下シール部32との接続部分は、下シール部32の端部32aより底部12寄りに位置してもよい。第1接続部38は、先端部36に向けて底部12側に傾斜していてもよい。すなわち、y方向において、先端部36は、第1接続部38と下シール部32との接続箇所より底部12側に位置してもよい。シール幅W4は、x方向において変化してもよい。例えば、先端部36に向けてシール幅W4は狭くなってもよい。
【0038】
第2接続部40は、先端部36と上シール部30とを接続する部分である。
図5に示した例では、第2接続部40は、先端部36から上シール部30に向けて延びており、y方向に対して傾斜している。第2接続部40における先端部36と反対の端は、上シール部30の端部30aに連続的に接続されている。
【0039】
第2接続部40は、y方向に対する傾斜角度が異なる第1部分42と第2部分44とを有する。
【0040】
第1部分42は、第2接続部40のうち先端部36側の部分である。第1部分42のシール幅W5の例は、3mm~10mmである。
図5に示した例では、シール幅W5は、シール幅W2及びシール幅W3より狭い。シール幅W5は、先端部36より第2部分44側で広くなるように変化してもよい。しかしながら、シール幅W5は、シール幅W2及びシール幅W3と同じでもよい。シール幅W5は一定でもよい。
【0041】
第2部分44は、第2接続部40のうち第1部分42と上シール部30との間の部分である。第2部分44は、y方向に対する第1部分42の傾斜角度より大きな傾斜角度で傾斜している。したがって、第2接続部40は、第1部分42と第2部分44の接続箇所で屈曲している。通常、第1部分42と第2部分44の接続箇所(屈曲部分)は、第2接続部40において上シール部30寄りに位置する。第2部分44のシール幅W6の例は、3mm~15mmである。
図5に示した例では、シール幅W6は、第1部分42のシール幅W5より広いが、同じでもよい。
【0042】
y方向における上シール部30と下シール部32との間の第1領域46a、及び、蒸気抜きシール部34によって囲まれる第2領域46b(詳細には第1領域46aと蒸気抜きシール部34により囲まれる領域)は、一対のシート16,18がシールされていない未シール領域46である。すなわち、一対のシート16,18において、x方向におけるサイドシール部26と反対側は、未シール領域46が形成されるようにシールされている。
【0043】
図4及び
図5に示されているように、未シール領域46には、シート16及びシート18それぞれを厚さ方向(x方向及びy方向に直交する方向)に貫通する貫通部48が形成されている。貫通部48は、例えば切り込み部、切り抜き部、切れ目部等である。貫通部48は、例えばパウチ10が高出力で加熱されることによってパウチ10の内圧が急激に高くなった際に蒸気を抜くための蒸気抜き口(安全弁)として機能する。
【0044】
一実施形態において、貫通部48の一部は、
図5に示したように、上シール部30または下シール部32のうち最も収容空間S側に位置する縁部を延長した仮想線(第1仮想線)50aより収容空間S側に位置する。貫通部48は、例えば、
図2に示したように、中心Cと先端部36とを仮想的に接続する仮想線50b(第2仮想線)上に位置する。例えば、貫通部48のうち最も中心Cに近い部分が仮想線50b上に位置してもよい。
【0045】
貫通部48の平面視形状は、例えば、パウチ10の内側(例えば、収容空間Sの中心C側)に湾曲した弧状(例えば、円弧、三日月状等)である。前述したように、一実施形態において、貫通部48のうち最も収容空間Sの中心C側に位置する部分は、仮想線50b上に位置する。弧状である貫通部48を平面視した場合において、貫通部48の第1端48aと第2端48b(第1端48aと反対側の端)との間の長さL3の例は、5mm~15mmであり、7.5mm以上が好ましい。
【0046】
貫通部48は、例えば、貫通部48の形状を有する刃でシート16及びシート18に切り込み(または切れ目)を入れたり、シート16及びシート18を切り抜いたりすることによって形成され得る。
【0047】
一実施形態において、一対のサイドシール部26,28には、
図1及び
図2に示したように、少なくとも一つの一対のノッチnが形成されていてもよい。少なくとも一つの一対のノッチnは、内容物100を加熱した後、パウチ10を開封するための切欠きである。
図1及び
図2では、パウチ10が、2つの一対のノッチn1,n2を有する例を示している。
図2を参照して2つの一対のノッチn1,n2を説明する。
【0048】
一対のノッチn1は、天シール部24寄りに形成されている。
図2に示した例では、一対のノッチn1の一方が上シール部30に位置するように、一対のノッチn1が形成されている。一対のノッチn1は、加熱された内容物100をパウチ10から例えば別の容器(例えば皿など)に取り出すために、エンドユーザーがパウチ10を開けるための切欠きである。一対のノッチn1は、一対のノッチn1の一方から他方に向けてパウチ10を破断した際に、パウチ10が開放されるように形成されていればよい。
【0049】
一対のノッチn2は、パウチ10の収容空間Sのうち内容物100が収容される領域と、一対のノッチn1との間に形成されている。
図2に示した例では、一対のノッチn2の一方が下シール部32に位置するように、一対のノッチn2が形成されている。一対のノッチn2は、例えば、一対の第2ノッチの一方から他方に向けてパウチ10を破断した際に、パウチ10における一つのノッチn2より底シール部22側を内容物100の容器としてエンドユーザーが使用可能に設けられたノッチである。
図2に示した例のように、一対のノッチn2のうちサイドシール部26側に位置するノッチn2に対してy方向における両側には隆起部(あるいタブ)が設けられてもよい。これにより、一対のノッチn2のうちサイドシール部26側のノッチn2から他方のノッチn2に向けてパウチ10を破断し易い。このような隆起部は、例えば、一対のノッチn1の一方に対して設けられていてもよい。
【0050】
次に、蒸気抜き口(安全弁)としての貫通部48の機能を向上させるためのパウチ10の構成について詳細に説明する。
【0051】
パウチ10においては、内容物100が充填された後の熱処理時に、シート16,18のシーラント層16x,18xが収縮する。このようなシーラント層16x,18xが採用されることにより、例えば電子レンジ等による高出力での加熱時において貫通部48の孔幅が広がり、蒸気の逃げ道を広く確保することができる。
【0052】
図6(a)は熱処理前の貫通部48の状態を模式的に示す図であり、
図6(b)は熱処理後の貫通部48の状態を模式的に示す図であり、
図6(c)は通蒸時の貫通部48の状態を模式的に示す図である。
図6(a)~
図6(c)は、
図4と同様の端面を模式的に示す図であり、説明の便宜上、ハッチング等を省略している。
図6(a)に示されるように、熱処理前の状態においては、シート16,18のシーラント層16x,18xは収縮していない。
図6(b)に示されるように、熱処理が行われると、パウチ10では、シーラント層16x,18xが収縮することによりシート16,18を構成する積層体の一部が収縮し、シート16,18を構成する積層体の一部がカールする。
【0053】
シート16,18の一部がカールする状態について、詳細に説明する。
図6(b)に示されるように、シート16は、貫通部48に隣接するx方向内側の第1縁部16yと、貫通部48に隣接するx方向外側の第2縁部16zと、x方向最外端の外端部16wと、を有する。また、シート18は、貫通部48に隣接するx方向内側の第1縁部18yと、貫通部48に隣接するx方向外側の第2縁部18zと、x方向最外端の外端部18wと、を有する。
図6(b)に示されるように、熱処理によってシーラント層16x,18xが収縮すると、第1縁部16y及び第1縁部18yはx方向内側に向かってカールし、第2縁部16z及び第2縁部18zはx方向外側に向かってカールし、外端部16w及び外端部18wはx方向内側に向かってカールする。これらのカールは、x方向(MD、流れ方向)に一軸延伸しているシーラント層16x,18xが延伸前の状態に戻ろうとすることにより生じるものである。このようにシート16,18の一部がカールすることにより、貫通部48の孔幅が熱処理前(
図6(a))と比較して広がることとなる。
【0054】
このため、
図6(c)に示されるように、通蒸時(貫通部48が蒸気抜き口として機能する際)においては、孔幅が広がった貫通部48において蒸気の逃げ道を広く確保することができる。これにより、パウチ10における蒸気の排出性能を向上させることができる。
【0055】
熱処理時における、シート16,18を構成する積層体のx方向(一対のサイドシール部26,28が互いに対向する方向である幅方向)の収縮率は、例えば、1.5%以上4.0%以下とされていてもよい。ここでの熱処理とは、例えば、121℃で30分間実施されるスプレーレトルト処理であってもよい。スプレーレトルト処理は、レンジ調理よりも前に実施され、例えばパウチ10が商品として出荷される前に実施される。スプレーレトルト処理の条件は上記に限定されない。また、ここでの熱処理は、スプレーレトルト処理に限定されない。シート16,18の収縮率は、シーラント層16x,18xの一軸延伸の度合いを示す引き裂き強度によって調整されてもよい。
【0056】
上記パウチ10は、例えば次のように製造され得る。
【0057】
一対のシート16,18を、シーラント層16x,18xが向き合うように重ね合わせる。重ね合わされた一対のシート16,18の間に、前述したように、シーラント層が外側に位置し且つ自立可能な形状に折られたシート20を挟み込む。この状態で、シート16,18,20をヒートシールすることによって、底シール部22及び一対のサイドシール部26,28を形成する。その後、サイドシール部28側に設けられた未シール領域46に貫通部48を形成する。これにより、開放状態のパウチ10が得られる。
【0058】
開放状態のパウチ10では、天部14が開口する。そのため、その開口から内容物100を収容空間Sに収容する。その後、天部14をヒートシールすることによって、天シール部24を形成する。これにより、閉塞状態のパウチ10が得られる。
【0059】
貫通部48を形成する工程は、上述したように底シール部22及び一対のサイドシール部26,28を形成した後に限定されない。貫通部48は、内容物100を収容空間Sに収容するまでの何れかの段階で形成される。例えば、予め貫通部48が形成されたシート16,18を準備してもよい。
【0060】
パウチ10が少なくとも一つの一対のノッチnを有する場合は、例えば、予め少なくとも一つの一対のノッチnが形成されたシート16,18を準備してパウチ10を製造してもよいし、内容物100を収容空間Sに収容するまでの何れかの段階で、少なくとも一つの一対のノッチnを形成すればよい。
【0061】
次に、本実施形態に係るパウチ10の作用効果について説明する。
【0062】
本実施形態に係るパウチ10は、底部12及び天部14の間に内容物100を収容する収容空間Sが形成されたパウチであって、互いに重ね合わされた一対のシート16,18を備えている。一対のシート16,18は、それぞれ、少なくともシーラント層16x,18xを含む複数の層が積層された積層体であり、収容空間Sが形成されるように両側がシールされて一対のサイドシール部26,28が形成されている。サイドシール部28は、天部14寄りに位置する上シール部30と、上シール部30より底部12寄りに位置しており且つ上シール部30と離間した下シール部32と、上シール部30及び下シール部32を連結するとともに収容空間S側に張り出した、蒸気を抜くための蒸気抜きシール部34と、を有する。上シール部30及び下シール部32の間の第1領域46a、並びに、第1領域46a及び蒸気抜きシール部34によって囲まれる第2領域46bは、未シール領域である。一対のシート16,18のうち少なくとも一つのシートにおける未シール領域には、少なくとも一つのシートを厚さ方向に貫通する貫通部48が形成されており、シーラント層16x,18xは、熱処理時に収縮する。
【0063】
このようなパウチ10では、蒸気抜きシール部34等によって囲まれた未シール領域に貫通部48が形成されている。このため、例えばパウチ10が電子レンジ等により高出力で加熱されることによってパウチの内圧が急激に高くなっても、貫通部48が蒸気を抜くための蒸気抜き口として機能する。更に、パウチ10では、熱処理時に収縮するシーラント層16x,18xが採用されている。熱処理時にシーラント層16x,18xにおける貫通部48の周囲の部分が収縮することによって、貫通部48の孔幅が広がり、蒸気の逃げ道を広く確保することができる。以上のように、本実施形態に係るパウチ10によれば、蒸気の排出性能を向上させることができる。
【0064】
シート16,18を構成する積層体の、x方向における熱処理時の収縮率は、1.5%以上4.0%以下であってもよい。シート16,18を構成する積層体の収縮率が過度に小さい場合には、貫通部48の孔幅を十分に広げることができず、電子レンジ等による高出力での加熱時において蒸気が十分に排出されないことが問題になる。一方で、シート16,18を構成する積層体の収縮率が過度に大きい場合には、電子レンジ等による高出力での加熱時においてパウチ10が立たないことが問題になる。この点、シート16,18を構成する積層体の収縮率が1.5%以上4.0%以下とされることにより、電子レンジ等による高出力での加熱時において蒸気を十分に排出しながら、パウチ10が立たない事態を回避することができる。
【0065】
シーラント層16x,18xは、x方向(MD、流れ方向)に一軸延伸していてもよい。このような構成によれば、シーラント層16x,18xのx方向における収縮率を効果的に高めることができ、電子レンジ等による高出力での加熱時における蒸気の排出性能を適切に向上させることができる。
【0066】
[実施例]
本実施形態に係るパウチ10の効果等について、以下に示す実施例及び比較例を参照して詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0067】
実施例では、
図1~
図5等に示したパウチ10を基本構成として、シートのx方向(MD、流れ方向)における熱処理時の収縮率の条件を変えて、実験を行った。
【0068】
パウチ10が有するシート16,18,20の層構成は次のとおりであった。
透明蒸着PETフィルム/ナイロンフィルム/耐熱CPPフィルム
透明蒸着PETフィルムの厚さは12μmであった。ナイロンフィルムの厚さは15μmであった。耐熱CPPフィルムの厚さは60μmであった。上記層構成において、耐熱CPPフィルムがシーラント層である。
【0069】
パウチ10の寸法は、x方向の長さが150mm、y方向の長さが158mmであった。
【0070】
上記寸法のパウチ10について、x方向における引き裂き強度が異なる5種類のパウチA~パウチEを準備した。
・パウチA:x方向の引き裂き強度が0.42とされたパウチ
・パウチB:x方向の引き裂き強度が0.34とされたパウチ
・パウチC:x方向の引き裂き強度が0.34とされたパウチ
・パウチD:x方向の引き裂き強度が1.40とされたパウチ
・パウチE:x方向の引き裂き強度が0.25とされたパウチ
【0071】
パウチA~パウチEに水50gを充填後、121℃30分スプレーレトルト処理を実施した。その際のx方向(MD)及びy方向(MDに直交するTD方向)における寸法変化率を計測し、x方向及びy方向の収縮率を導出した。
・パウチA:x方向の収縮率が2.0%、y方向の収縮率が0.10%であるパウチ(実施例1)
・パウチB:x方向の収縮率が3.4%、y方向の収縮率が0.20%であるパウチ(実施例2)
・パウチC:x方向の収縮率が2.4%、y方向の収縮率が0.10%であるパウチ(実施例3)
・パウチD:x方向の収縮率が1.0%、y方向の収縮率が0.10%であるパウチ(比較例1)
・パウチE:x方向の収縮率が4.5%、y方向の収縮率が0.30%であるパウチ(比較例2)
【0072】
上記スプレーレトルト処理後のパウチA~パウチE(実施例1~比較例2)について、1000W3分でレンジ調理を行い、レンジ調理時のパウチの回転数をカウントした。併せてレンジ調理時のパウチの転倒有無を確認した。パウチの回転数が少なく且つパウチが転倒していない場合に判定「〇」と判断し、それ以外の場合に判定「×」と判断した。なお、パウチの回転は、内容物が加熱されることにより収容空間Sの内圧が上昇してパウチが膨張すること等により生じる。パウチの回転とは、立った状態のパウチが回転することを言う。また、パウチの転倒は、加熱によってパウチが過度に変形することにより生じる。
【0073】
図7は、実施例1~3並びに比較例1及び2の条件と判定結果を示す表である。
図7に示されるように、実施例1のパウチAは、レンジ調理時の回転数が1回であり、転倒も生じていないため、判定「〇」と判断した。実施例2のパウチBは、レンジ調理時の回転数が1/2回であり、転倒も生じていないため、判定「〇」と判断した。実施例3のパウチCは、レンジ調理時の回転数が3/4回であり、転倒も生じていないため、判定「〇」と判断した。実施例1~3のパウチA~Cは、x方向の収縮率が十分に大きく(1.5~4.0%の範囲内であり)、貫通部48の周囲の部分が収縮することによって、貫通部48の孔幅が広がり、蒸気の逃げ道を広く確保することができる。このため、実施例1~3のパウチA~Cは、通蒸がスムーズになり、回転しない。また、実施例1~3のパウチA~Cは、x方向の収縮率が大きすぎず(1.5~4.0%の範囲内であり)、加熱時において過度に変形しないため、転倒が生じていない。
【0074】
これに対して、
図7に示されるように、比較例1のパウチDは、レンジ調理時の回転数が3回であり、判定「×」と判断した。比較例2のパウチEは、レンジ調理時に転倒しているため、判定「×」と判断した。比較例1のパウチDは、x方向の収縮率が小さく(1.5%未満であり)、貫通部48の周囲の部分があまり収縮しないため、貫通部48の孔幅が広がり難く、蒸気の逃げ道が十分に確保されない。このため、比較例1のパウチDは、通蒸がスムーズにならず、何度も回転してしまう。また、比較例2のパウチEは、x方向の収縮率が過度に大きく(4.0%を超えており)、加熱時における変形量が大きくなるので、転倒が生じている。以上のように、熱処理時の収縮率を1.5~4.0%の範囲とした実施例1~3のパウチA~Cにおいて、貫通部48からスムーズに通蒸してパウチの回転を抑制すると共に、加熱時における変形を抑えてパウチの転倒を抑制することができた。
【0075】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されない。本発明は、特許請求の範囲によって示される範囲、および、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0076】
本発明における種々の実施形態は、以下の付記として規定しうる。
【0077】
(付記1)
底部及び天部の間に内容物を収容する収容空間が形成されたパウチであって、
互いに重ね合わされた一対のシートを備え、
前記一対のシートは、
それぞれ、少なくともシーラント層を含む複数の層が積層された積層体であり、
前記収容空間が形成されるように両側がシールされて一対のサイドシール部が形成されており、
前記一対のサイドシール部のうちの少なくとも一つのサイドシール部は、
前記天部寄りに位置する第1シール部と、
前記第1シール部より前記底部寄りに位置しており且つ前記第1シール部と離間した第2シール部と、
前記第1シール部及び前記第2シール部を連結するとともに前記収容空間側に張り出した、蒸気を抜くための蒸気抜きシール部と、
を有し、
前記第1シール部及び前記第2シール部の間の第1領域、並びに、前記第1領域及び前記蒸気抜きシール部によって囲まれる第2領域は、未シール領域であり、
前記一対のシートのうち少なくとも一つのシートにおける前記未シール領域には、前記少なくとも一つのシートを厚さ方向に貫通する貫通部が形成されており、
前記シーラント層は、熱処理時に収縮する、パウチ。
【0078】
(付記2)
前記シートを構成する前記積層体の、前記一対のサイドシール部が互いに対向する方向である幅方向における熱処理時の収縮率は、1.5%以上4.0%以下である、付記1に記載のパウチ。
【0079】
(付記3)
前記シーラント層は、前記幅方向に一軸延伸している、付記1又は付記2に記載のパウチ。
【符号の説明】
【0080】
10…パウチ、12…底部、14…天部、16,18…シート、16x,18x…シーラント層、26,28…サイドシール部、30…上シール部(第1シール部)、32…下シール部(第2シール部)、34…蒸気抜きシール部、46…未シール領域、46a…第1領域、46b…第2領域、48…貫通部。