(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087314
(43)【公開日】2024-07-01
(54)【発明の名称】タイヤ交換管理システム、タイヤ交換管理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20240624BHJP
G06Q 10/20 20230101ALI20240624BHJP
G16Y 10/40 20200101ALI20240624BHJP
G16Y 20/10 20200101ALI20240624BHJP
G16Y 20/20 20200101ALI20240624BHJP
G16Y 40/20 20200101ALI20240624BHJP
【FI】
G06Q50/10
G06Q10/20
G16Y10/40
G16Y20/10
G16Y20/20
G16Y40/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022202068
(22)【出願日】2022-12-19
(71)【出願人】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(72)【発明者】
【氏名】細谷 亮太
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L010AA20
5L049AA20
5L049CC11
5L050CC11
(57)【要約】
【課題】タイヤ交換作業の繁忙時期における交換需要を分散させることが可能なタイヤ交換管理システム、タイヤ交換管理方法、及びプログラムを提供する。
【解決手段】タイヤ交換管理システム100は、気象予測情報に基づいて、車両のタイヤ交換サービスを提供するサービス事業者によるタイヤ交換作業の繁忙時期を推定する推定処理部112と、前記タイヤ交換サービスを受ける前記車両に装着された第1タイヤを前記第1タイヤとは別の第2タイヤに交換する推奨時期を前記繁忙時期から予め定められた設定期間だけ隔てた時期に決定する推奨時期決定部114と、前記推奨時期決定部により決定された前記推奨時期を前記車両の管理者が使用する端末装置に出力する出力処理部115と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気象予測情報に基づいて、車両のタイヤ交換サービスを提供するサービス事業者によるタイヤ交換作業の繁忙時期を推定する推定処理部と、
前記タイヤ交換サービスを受ける前記車両に装着された第1タイヤを前記第1タイヤとは別の第2タイヤに交換する推奨時期を前記繁忙時期から予め定められた設定期間だけ隔てた時期に決定する推奨時期決定部と、
前記推奨時期決定部により決定された前記推奨時期を前記車両の管理者が使用する端末装置に出力する出力処理部と、
を備えるタイヤ交換管理システム。
【請求項2】
前記出力処理部は、
前記繁忙時期に前記タイヤを交換する場合の第1作業待機時間、及び前記推奨時期に前記タイヤを交換する場合の第2作業待機時間を前記推奨時期とともに前記端末装置に出力する、請求項1に記載のタイヤ交換管理システム。
【請求項3】
前記出力処理部は、
前記繁忙時期に前記タイヤを交換する場合の第1作業待機時間から前記推奨時期に前記タイヤを交換する場合の第2作業待機時間を差し引いた短縮時間を前記推奨時期とともに前記端末装置に出力する、請求項1に記載のタイヤ交換管理システム。
【請求項4】
前記出力処理部は、
前記推奨時期にタイヤ交換を行うことのメリットを含むメリット情報を前記推奨時期とともに前記端末装置に出力する、請求項1に記載のタイヤ交換管理システム。
【請求項5】
前記推奨時期決定部は、
前記タイヤ交換サービスの提供場所が予め定められた寒冷地域内か否かを判定し、前記提供場所が前記寒冷地域内である場合に、前記推奨時期を前記繁忙時期よりも前記設定期間だけ前の時期に決定する、請求項1から4のいずれかに記載のタイヤ交換管理システム。
【請求項6】
前記推奨時期決定部は、
前記車両の走行予定範囲を含む車両情報を取得し、前記走行予定範囲が予め定められた寒冷地域、又は予め定められた高標高地域を含むか否かを判定し、前記走行予定範囲が前記寒冷地域又は前記高標高地域を含む場合に、前記推奨時期を前記繁忙時期よりも前記設定期間だけ前の時期に決定する、請求項1から4のいずれかに記載のタイヤ交換管理システム。
【請求項7】
前記推奨時期決定部は、
前記車両の走行予定距離を含む車両情報を取得し、前記走行予定距離が予め定められた基準距離以上か否かを判定し、前記走行予定距離が前記基準距離以上である場合に、前記推奨時期を前記繁忙時期よりも前記設定期間だけ前の時期に決定する、請求項1から4のいずれかに記載のタイヤ交換管理システム。
【請求項8】
前記走行予定距離が前記基準距離よりも長い所定の設定距離以上である場合に前記設定期間を増加する補正処理部を更に備える、請求項7に記載のタイヤ交換管理システム。
【請求項9】
前記車両の稼働率を取得する稼働率取得部と、
前記推奨時期における前記車両の稼働率が所定の閾値以上である場合に前記推奨時期を変更する時期変更処理部と、を更に備える、請求項1から4のいずれかに記載のタイヤ交換管理システム。
【請求項10】
前記時期変更処理部は、
前記稼働率が前記閾値以上である場合に前記推奨時期より前の第1候補時期を特定し、当該第1候補時期における前記車両の第1稼働率が前記閾値未満である場合に、前記推奨時期を前記第1候補時期に変更する、請求項9に記載のタイヤ交換管理システム。
【請求項11】
前記時期変更処理部は、
前記第1稼働率が前記閾値以上である場合に前記推奨時期より後の第2候補時期を特定し、当該第2候補時期における前記車両の第2稼働率が前記閾値未満である場合に、前記推奨時期を前記第2候補時期に変更する、請求項10に記載のタイヤ交換管理システム。
【請求項12】
気象予測情報に基づいて、車両のタイヤ交換サービスを提供するサービス事業者によるタイヤ交換作業の繁忙時期を推定する推定ステップと、
前記タイヤ交換サービスを受ける車両に装着された第1タイヤを前記第1タイヤとは別の第2タイヤに交換する推奨時期を前記繁忙時期から予め定められた設定期間だけ隔てた時期に決定する推奨時期決定ステップと、
前記推奨時期を前記車両の管理者が使用する端末装置に出力する出力ステップと、
を含む、タイヤ交換管理方法。
【請求項13】
気象予測情報に基づいて、車両のタイヤ交換サービスを提供するサービス事業者によるタイヤ交換作業の繁忙時期を推定する推定ステップと、
前記タイヤ交換サービスを受ける車両に装着された第1タイヤを前記第1タイヤとは別の第2タイヤに交換する推奨時期を前記繁忙時期から予め定められた設定期間だけ隔てた時期に決定する推奨時期決定ステップと、
前記推奨時期を前記車両の管理者が使用する端末装置に出力する出力ステップと、
を一又は複数のプロセッサーに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、タイヤ交換管理システム、タイヤ交換管理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
乗用車やトラック、バスなどの車両に装着されるタイヤには、例えば、ドライな路面に対してタイヤ性能を効果的に発揮する所謂ノーマルタイヤ(夏タイヤともいう。)や、氷雪路などに対してタイヤ性能を効果的に発揮する所謂スノータイヤ(冬タイヤともいう。)などがある。車両の所有者(管理者)は、季節が夏から冬に移り変わる頃合いに、タイヤ交換サービスを提供する店舗(サービス事業者)に車両を乗り入れ、当該車両のタイヤを前記ノーマルタイヤから前記スノータイヤに交換する。
【0003】
従来、タイヤ交換の需要が特定の時期に集中することを回避するため、各種のタイヤの使用期間や、前記ノーマルタイヤを装着したときの車両の燃費と前記スノータイヤを装着したときの車両の燃費との差分などに基づいて、タイヤ交換サービスに要するサービス対価を可変にする技術が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記店舗においてタイヤ交換サービスの繁忙時期は必ずしも一定の時期であるとは限られず、例えば、前記店舗のある地域における天気予報の内容によって前記繁忙時期が左右される場合がある。例えば、前記ノーマルタイヤから前記スノータイヤに交換する場合の例年の繁忙時期が特定の時期(例えば12月初旬)であると仮定した場合、前記特定の時期よりも2週間前の時期の天気予報として初雪予報(夏以降に初めて雪が降るとする予報)が気象庁などから発表されると、前記所有者は急遽前倒しでタイヤ交換しなければならなくなる。この場合、例えば、前記初雪予報の予測日の直前の時期が、タイヤ交換の需要が集中する繁忙時期となり、結局のところ、繁忙時期におけるタイヤ交換需要を分散させることができない。
【0006】
本開示の目的は、タイヤ交換作業の繁忙時期における交換需要を分散させることが可能なタイヤ交換管理システム、タイヤ交換管理方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一の局面に係るタイヤ交換管理システムは、気象予測情報に基づいて、車両のタイヤ交換サービスを提供するサービス事業者によるタイヤ交換作業の繁忙時期を推定する推定処理部と、前記タイヤ交換サービスを受ける前記車両に装着された第1タイヤを前記第1タイヤとは別の第2タイヤに交換する推奨時期を前記繁忙時期から予め定められた設定期間だけ隔てた時期に決定する推奨時期決定部と、前記推奨時期決定部により決定された前記推奨時期を前記車両の管理者が使用する端末装置に出力する出力処理部と、を備える。
【0008】
このようにタイヤ交換管理システムが構成されているため、推定精度の高い正確な前記繁忙時期が推定され、そのように推定された前記繁忙時期に基づいて前記推奨時期が決定され、その推奨時期が端末装置に出力される。そのため、前記管理者は、信頼度の高い前記推奨時期を把握することができる。また、前記推奨時期を前記端末装置に出力することにより、タイヤ交換を前記推奨時期に行うことを前記管理者に促すことができる。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、タイヤ交換作業の繁忙時期における交換需要を分散させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本開示の第1実施形態に係るタイヤ交換管理システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、本開示の第1実施形態に係るタイヤ管理システムが備える管理サーバーの構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、車両管理者が輸送業者である場合の顧客データの一例を示す輸送業顧客データを示す図である。
【
図4】
図4は、車両管理者が個人である場合の顧客データの一例を示す個人顧客データを示す図である。
【
図5】
図5は、本開示の第1実施形態において、管理サーバーの制御部によって実行される交換推奨時期決定処理の第1処理例を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、本開示の第1実施形態において、管理サーバーの制御部によって実行される交換推奨時期決定処理の第2処理例を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、本開示の第1実施形態において、管理サーバーの制御部によって実行される交換推奨時期決定処理の第3処理例を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、本開示の第1実施形態において、管理サーバーの制御部によって実行される交換推奨時期決定処理の第4処理例を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、本開示の第2実施形態に係るタイヤ管理システムが備える管理サーバーの構成を示すブロック図である。
【
図10】
図10は、本開示の第2実施形態において、管理サーバーの制御部によって実行される交換推奨時期決定処理の第5処理例を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、本開示の第3実施形態に係るタイヤ管理システムが備える管理サーバーの構成を示すブロック図である。
【
図12】
図12は、本開示の第3実施形態において、管理サーバーの制御部によって実行される交換推奨時期決定処理の第6処理例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照しながら、本開示の実施形態について説明する。なお、以下の各実施形態は、本開示を具体化した一例であり、本開示の技術的範囲を限定するものではない。また、各実施形態において、他の実施形態と共通する構成については、他の実施形態の各構成に用いた符号と同じ符号を付し示すことにより、その詳細な説明を省略する。
【0012】
[第1実施形態]
図1は、本開示の第1実施形態に係るタイヤ交換管理システム100(以下、単に管理システム100と称する。)の構成を示すブロック図である。管理システム100は、本開示のタイヤ交換管理システムの一例であって、管理サーバー10と、データベース30と、によって構成されている。管理システム100において、管理サーバー10とデータベース30とは、有線或いは無線による通信ネットワークによって相互に通信可能に接続されている。前記通信ネットワークは、例えば、LANなどで接続された有線通信網、あるいは、専用回線や公衆回線等の無線通信網である。
【0013】
管理サーバー10は、管理システム100を構成する一要素である。管理サーバー10は、例えば、車両のタイヤを交換するタイヤ交換サービスを提供するタイヤサービス店(本開示のサービス事業者の一例)に設置されている。前記タイヤサービス店は、例えば、タイヤの販売や交換などを行うタイヤ販売店、前記車両の販売や整備などを行う車両販売店、前記車両の法定検査や修理などを行う自動車整備工場などである。
【0014】
本実施形態では、管理システム100は、所定の車両に装着されている所謂ノーマルタイヤ(夏タイヤ)を所謂スノータイヤ(冬タイヤ)に交換する際の交換推奨時期を決定して、当該交換推奨時期を含む交換推奨情報を前記車両の管理者(以下、車両管理者という。)が使用する情報端末50(本開示の端末装置の一例)に出力する。ここで、前記ノーマルタイヤは、本開示の第1タイヤの一例である。また、前記スノータイヤは、本開示の第2タイヤの一例である。また、前記車両管理者は、本開示の管理者の一例である。
【0015】
前記交換推奨時期は、前記車両管理者の車両のノーマルタイヤの交換時期として最適な時期であって、前記タイヤサービス店からその顧客である前記車両管理者に提案される時期である。本実施形態では、初雪又は初霜の現象が生じると予測された後述の特定予測日(初雪予報日、初霜予測日)よりも後述の設定期間T0だけ前の時期が交換適切時期として前記車両管理者に推奨される。
【0016】
前記タイヤサービス店から推奨された前記交換推奨時期に前記ノーマルタイヤを前記スノータイヤに交換すれば、前記車両管理者は、車両が降雪や路面凍結、路面着氷などによる走行不良状態に陥る心配をする必要がなくなる。また、前記車両管理者は、タイヤ交換作業の繁忙時期を外した時期に前記ノーマルタイヤを前記スノータイヤに交換することにより、タイヤ交換に要する待機時間が減少する。そのため、営業車両などの稼働時間の減少を防止できる。また、ドライバーも、タイヤ交換に要する待機時間を減少させることができる。また、ドライバーは、仮に予報よりも早くに生じた降雪や路面凍結、路面着氷などに遭遇しても、早期に前記スノータイヤに交換済みの車両を安心して運転することができる。また、前記タイヤサービス店においては、タイヤ交換作業の繁忙時期における交換需要が分散されるため、前記繁忙時期における作業者の負担を軽減することができる。
【0017】
前記車両は、例えば、前記タイヤサービス店の顧客として登録されている前記車両管理者が所有する車両である。前記交換推奨時期は、情報端末50を通じて前記車両管理者よって把握される。これにより、前記車両管理者は、前記交換推奨時期に基づいて、タイヤの交換時期を適切に判断することができる。
【0018】
管理サーバー10は、データベース30に格納されている車両情報(
図3、
図4参照)や、タイヤ交換作業の履歴を含む作業履歴情報、インターネット回線を通じて所謂天気予報APIなどによって取得された気象予測情報などを用いて、後述の交換推奨時期決定処理(
図5等参照)を実行する。前記交換推奨時期決定処理は、例えば、前記タイヤサービス店におけるタイヤ交換作業の繁忙時期を推定する推定処理、前記車両に装着されている前記ノーマルタイヤを前記スノータイヤに交換する際の交換推奨時期を決定する決定処理、決定した前記交換推奨時期を含む前記交換推奨情報を情報端末50に出力する出力処理などを含む。
【0019】
管理サーバー10は、各種演算処理を実行可能な情報処理装置或いはサーバー装置であり、具体的には、前記通信ネットワークに接続されたサーバーコンピュータ、クラウドサーバー、或いはパーソナルコンピュータなどのコンピュータである。なお、管理サーバー10は、1台のコンピュータに限らず、複数台のコンピュータが協働して動作するコンピュータシステム、或いはクラウドコンピューティングシステムであってもよい。また、管理サーバー10で実行される各種の処理は、一つのプロセッサーによって実行されてもよく、又は複数のプロセッサーによって分散して実行されてもよい。管理サーバー10には、管理システム100を稼働するためのプログラム或いはコンピュータソフトウェアがインストールされている。
【0020】
情報端末50は、インターネット回線を通じて管理サーバー10と通信可能に接続されている。情報端末50は、例えば、前記車両を管理する前記車両管理者によって使用される情報処理装置、スマートフォンやタブレット端末などの携帯端末、或いはデジタルサイネージなどの情報表示装置などである。
【0021】
前記車両管理者は、例えば、一台又は複数台の車両を所有する事業会社であり、具体的には、一台又は複数台の車両を所有して輸送サービスを提供する輸送業者である。前記輸送業者は、例えば、トラック運送会社、バス交通会社、タクシー会社などである。
【0022】
前記車両管理者が所有する車両に関する車両情報は、前記タイヤサービス店の顧客情報として、後述のデータベース30に格納されている。前記車両情報は、前記管理会社と対応付けられている。
【0023】
なお、前記車両管理者は、例えば、一台又は複数台の車両を所有する個人であってもよい。
【0024】
前記交換推奨情報が出力される情報端末50は、例えば、前記車両に搭載された所謂車載端末であってもよい。また、情報端末50は、前記車両のドライバーが所有する携帯端末であってもよい。また、前記車両がICT端末としての機能を有する所謂コネクテッドカーである場合は、前記車両そのものを前記交換推奨情報が出力される出力先としての端末装置と捉えることもできる。
【0025】
情報端末50は、液晶ディスプレイなどの表示部を備えている。情報端末50は、管理サーバー10から出力された前記交換推奨情報を受信すると、その前記交換推奨情報に含まれる前記交換推奨時期を前記表示部の表示画面に表示する。したがって、情報端末50には、管理システム100と連携して管理サーバー10から受信した前記交換推時期を表示画面に表示するためのプログラム或いはコンピュータソフトウェアがインストールされている。
【0026】
データベース30は、前記通信ネットワークに通信可能に接続されたHDD又はSSDなどの記憶装置である。データベース30には、管理システム100において取り扱われる各種の情報やデータが格納されている。データベース30は、管理サーバー10とデータ通信可能な他のサーバー装置内の記憶装置、或いは、前記通信ネットワーク上で単独でデータの送受信が可能なネットワークに接続されたネットワーク接続型記憶装置(Network Attached Storage)などの外部装置として構成されている。なお、データベース30は、インターネット回線を介して接続された所謂クラウドストレージであってもよい。また、データベース30は、管理サーバー10内に設けられた記憶装置であってもよい。また、データベース30は、管理サーバー10とローカルネットワークによって接続された外部記憶装置であってもよい。
【0027】
データベース30には、記憶領域として、顧客情報格納部31(
図2参照)、及び作業履歴格納部32(
図2参照)が割り当てられている。
【0028】
顧客情報格納部31には、前記タイヤサービス店の顧客情報を含む顧客データ311,312(
図3、
図4参照)が格納されている。前記顧客データは、前記タイヤサービス店の顧客として登録された車両管理者と、その車両管理者が所有する前記車両の車両情報とを含む。
【0029】
図3は、前記車両管理者が輸送業者である場合の前記顧客データの一例を示す輸送業顧客データ311を示す図である。
【0030】
図3に示すように、前記輸送業顧客データ311には、輸送業者の名称(顧客名)、や、前記輸送業者の連絡先、所有している車両台数などが登録されている。また、前記輸送業顧客データ311には、前記輸送業者が所有する複数の車両の車両識別番号(C11~C17)、各車両に装着されているタイヤの種類、前記車両が走行する可能性のある通過地点(通過予定地域)、各車両の使用用途などの車両情報が登録されている。これらの情報は、前記輸送業者から事前に取得されて、前記輸送業顧客データ311に登録される。
【0031】
前記タイヤの種類は、例えば、ノーマルタイヤ、又はスノータイヤである。
【0032】
また、前記通過地点は、例えば、登録されている車両が輸送時に走行するルート上にある特定地域である。前記特定地域として登録される地域の一例として、例えば、年間の降雪量の多い寒冷地域、或いは、比較的標高の高い山岳地域などの高標高地域などが挙げられる。前記車両走行地域に前記寒冷地域が含まれる場合に、前記輸送業顧客データ311に「寒冷地域」が予め登録される。また、前記車両走行地域に前記高標高地域が含まれる場合に、前記輸送業顧客データ311に「高標高地域」が予め登録される。なお、前記寒冷地域及び前記高標高地域は前記特定地域の単なる一例であり、温暖地域や平地などの他の地域に比べて雪が降りやすく、或いは路面が凍結しやすい地域である。
【0033】
前記使用用途は、例えば、長距離輸送、中距離輸送、短距離輸送などである。前記長距離輸送は、輸送先までの片道距離が例えば300kmを超えるルートを走行する輸送用途である。前記中距離輸送は、輸送先までの片道距離が例えば100km以上300km未満の距離を走行する輸送用途である。前記短距離輸送は、例えば、半径100km以内の範囲内の複数の輸送先を回る輸送用途である。これらの各使用用途、又は各使用用途に定められた距離は、本開示の走行予定距離の一例である。
【0034】
図4は、前記車両管理者が個人である場合の前記顧客データの一例を示す個人顧客データ312である。
【0035】
図4に示すように、前記個人顧客データ312には、車両所有者の氏名(顧客名)や、前記車両所有者の連絡先、所有している車両台数などが登録されている。また、前記個人顧客データ312には、前記車両所有者が所有する車両の車両識別番号(C21~C26)、各車両に装着されているタイヤの種類、前記車両の使用目的などの車両情報が登録されている。これらの情報は、前記車両所有者から事前に取得されて、前記個人顧客データ312に登録される。
【0036】
前記タイヤの種類は、例えば、夏タイヤ、冬タイヤである。また、前記使用目的は、例えば、通勤、レジャーである。前記使用目的が通勤である場合は、前記レジャーに比べて使用頻度が高く、また、降雪又は路面凍結時にスノータイヤを車両に装着しなかったことによるリスクが高いと考えられる。
【0037】
前記顧客データ311,312に登録されている各種情報は、管理サーバー10によって必要に応じて読み出されて、後述の交換推奨時期決定処理(
図5等参照)に用いられる。
【0038】
作業履歴格納部32には、前記タイヤサービス店に対応する作業履歴データが格納されている。前記作業履歴データは、前記タイヤサービス店におけるタイヤ交換作業に関する作業履歴情報を含むデータである。前記作業履歴情報は、例えば、単位期間(例えば、1日、1週間、1カ月など)に交換したタイヤの総数(タイヤ交換総数)、タイヤを交換した車両の台数(車両台数)、作業者がタイヤ交換に要した交換時間の合計時間(総作業時間)、1台の車両のタイヤ交換作業に要した平均交換作業時間、作業者1人当たりのタイヤ交換数、タイヤ交換が完了するまでの車両の平均待機時間(交換作業時間を含む)、などを含む。これらの情報は、後述の繁忙推定処理部112による推定処理に用いられる。
【0039】
[管理サーバー10]
以下、
図2を参照して、管理サーバー10の具体的な構成について説明する。
図2は、管理サーバー10の構成を示すブロック図である。
【0040】
管理サーバー10は、本実施形態の管理システム100を実現するためのものであり、
図2に示すように、制御部11と、記憶部12と、通信部13と、表示部14と、操作部15と、を備えている。
【0041】
通信部13は、管理サーバー10を前記通信ネットワークに接続して、所定の通信プロトコルに従って、前記通信ネットワークに接続された情報端末50やデータベース30との間でデータ通信を実行したり、インターネット回線に接続するための通信インターフェースである。
【0042】
記憶部12は、各種の情報を記憶するHDD又はSSDなどの不揮発性の記憶媒体である。記憶部12には、制御部11による後述の交換推奨時期決定処理や各種処理を実行するための制御プログラムや、各種処理に用いられるデータや閾値、基準値、演算式などが記憶されている。
【0043】
表示部14は、各種の情報を表示する液晶ディスプレイなどの表示装置である。操作部15は、操作者の操作を受け付けるマウス、キーボード、又はタッチパネルなどの入力装置である。
【0044】
制御部11は、管理サーバー10を制御する。制御部11は、CPU、ROM、及びRAMなどの制御機器を有する。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記ROMは、前記CPUに各種の演算処理を実行させるためのBIOS及びOSなどの制御プログラムが予め記憶された不揮発性の記憶媒体である。前記RAMは、各種の情報を記憶する揮発性又は不揮発性の記憶媒体であり、前記CPUが実行する各種の演算処理の一時記憶メモリ(作業領域)として使用される。そして、制御部11は、前記ROM又は記憶部12に予め記憶された各種の制御プログラムを前記CPUが実行することにより管理サーバー10を制御する。
【0045】
図2に示すように、制御部11は、気象データ取得部111、繁忙推定処理部112(本開示の推定処理部の一例)、車両情報取得部113、交換推奨時期決定部114(本開示の推奨時期決定部の一例)、及び出力処理部115(本開示の出力処理部の一例)などの各種の処理部を含む。
【0046】
制御部11は、前記CPUが前記制御プログラムに従った各種の演算処理を実行することによって前記各種の処理部として機能する。制御部11又は前記CPUが、前記制御プログラムを実行するコンピュータまたはプロセッサーの一例である。なお、制御部11に含まれる一部又は全部の処理部が電子回路で構成されていてもよい。また、前記制御プログラムは、複数のコンピュータまたは複数のプロセッサーを前記各種の処理部として機能させるためのプログラムであってもよい。
【0047】
気象データ取得部111は、繁忙推定処理部112による推定処理に用いられる気象予測情報を含む気象データを取得する処理を行う。取得された前記気象予測情報は、記憶部12など記憶される。
【0048】
前記気象予測情報は、例えば、特定の地域又は広範囲の領域における当日以降の気象状態を予測した予測情報である。予測される気象状態には、「晴れ」、「雨」、「曇り」、「雪」、「霙」などの天気や天候、最低気温又は最高気温などの気温、雨や雪が降る確率を示す降水確率、降水量(降雪量を含む)などである。また、前記気象予測情報には、季節が夏から冬に移行する移行期間における初雪の予測情報や、前記移行期間における初霜の予測情報なども含まれる。
【0049】
気象データ取得部111は、例えば、気象予報を掲載するWEBサイトや、前記気象予報のデータを蓄積するデータベースなどから所謂天気予報API(API:Application Programming Interface)を通じて前記気象データを取得する。ここで、天気予報APIは、気象APIや、天気予報APIなどとも称されている。なお、前記気象予報の発信元は特に限定しないが、前記気象予報は、例えば、気象庁などの行政機関、或いは当該行政機関から許可を受けて予報を行う民間気象事業者などが発信する信頼性の高い予報情報であることが好ましい。
【0050】
また、気象データ取得部111は、例えば、管理サーバー10とインターネット回線を通じて接続されたに気象情報データベースから前記気象予測情報を含む前記気象データをダウンロードすることにより取得してもよい。
【0051】
繁忙推定処理部112は、気象データ取得部111によって取得された前記気象予測情報に基づいて、前記タイヤサービス店(サービス事業者)による今年度の前記移行期間におけるタイヤ交換作業の繁忙時期を推定する処理を行う。
【0052】
繁忙推定処理部112は、例えば、現時点から2カ月先までの対象期間における各日の気象予報を参照して、特定の気象と予測された日(以下、特定予測日という。)が前記対象期間内にあるか否かを判定する。具体的には、繁忙推定処理部112は、前記特定の気象として、初雪又は初霜と予測された前記特定予測日が前記対象期間内にあるか否かを判定する。そして、前記特定予測日があると判定した場合は、繁忙推定処理部112は、その特定予測日の前日から所定日数(例えば7日)前までの期間(例えば1週間)を前記繁忙時期と推定する。なお、前記対象期間は、現時点から2カ月先までの二カ月間に限られず、例えば1カ月間、或いは3カ月間であってもよい。前記対象期間は、前記特定の気象を予測することが可能な期間であればよい。
【0053】
一般に、気象庁などが初雪予報或いは初霜予報を発表すると、初雪或いは初霜の現象が生じるであろう予測日の直前の時期にタイヤ交換の需要が集中する。この場合、前記タイヤサービス店におけるタイヤ交換作業が繁忙状態となることが、過去の経験から知られている。
【0054】
前記特定予測日は、初雪と予測される日(初雪予測日)、又は初霜と予測される日(初霜予測日)のいずれであってもよく、例えば、いずれかの予報のうち早くに予測された日であることが好ましい。また、前記特定予測日は、前記初雪予測日ではなく、所定値以上の降水量(降雪量)の雪が降ると予測された日であってもよい。また、前記特定予測日は、前記気象予報の発信元(気象庁や民間気象事業者など)が提供する霜指数(霜が降りる可能性を表した指数)が所定値(例えば70%)以上と予測された日であってもよい。また、前記特定予測日は、路面が着氷すると予測された着氷予測日であってもよい。いずれにしても、前記特定予測日は、前記車両管理者が前記ノーマルタイヤから前記スノータイヤに交換しなければならないという心境にさせ得る気象が生じると予側された日である。
【0055】
また、繁忙推定処理部112は、前記気象予測情報に加えて、作業履歴格納部32に格納された前記作業履歴データを更に参照して前記繁忙時期を推定してもよい。例えば、繁忙推定処理部112は、前記特定予測日の前日から前の特定期間(例えば2週間)における各日の繁忙指数を算出し、その算出した指数が予め定められた基準値を超える日又は期間を前記繁忙時期と推定する。例えば、前記繁忙指数が前記基準値を超える日であって、前記特定予測日に最も近い日を前記繁忙時期に推定する。或いは、前記繁忙指数が前記基準値を超える連続期間(例えば2日以上乃至7日未満の連続期間)であって、前記特定予測日に最も近い期間を前記繁忙時期に推定する。
【0056】
前記繁忙指数は、例えば、昨年の前記移行期間における各日の前記タイヤ交換総数、タイヤ交換した車両の台数、前記総作業時間、作業者1人当たりのタイヤ交換数、及び前記平均待機時間の荷重平均(重みつき平均)であり、その日の繁忙状態を示す指数である。
【0057】
車両情報取得部113は、前記顧客データ311,312から各顧客の車両情報を取得する。具体的には、車両情報取得部113は、前記輸送業顧客データ311から、輸送業者(顧客)が所有している車両の台数及び車両識別番号、各車両の装着タイヤの種類、前記通過地点、前記使用用途(輸送用途)などを取得する。また、車両情報取得部113は、前記個人顧客データ312から、個人顧客が所有している車両の台数及び車両識別番号、各車両の装着タイヤの種類、各車両の使用目的などを取得する。車両情報取得部113は、前記顧客データ311,312から、各顧客の連絡先や車両識別番号も取得する。車両情報取得部113によって取得された情報は、後述の交換推奨時期決定処理(
図5等参照)に用いられる。
【0058】
交換推奨時期決定部114は、推定対象の車両に装着されているノーマルタイヤ(第1タイヤ)を、前記ノーマルタイヤとは異なる種類のスノータイヤ(第2タイヤ)に交換する交換推奨時期を決定する処理を行う。交換推奨時期決定部114は、前記繁忙推定処理部112によって推定された前記繁忙時期から予め定められた設定期間T0だけ前又は後に隔てた時期を前記交換推奨時期に決定する。
【0059】
本実施形態では、交換推奨時期決定部114が、前記繁忙時期よりも前の時期であり、前記繁忙時期の第1日目から前記設定期間T0だけ前の日又は期間(以下、第1推奨時期という。)を前記交換推奨時期として決定する処理例について説明する。
【0060】
なお、前記交換推奨時期は、例えば、前記繁忙時期よりも後の時期であり、前記繁忙時期から前記設定期間T0だけ後の日又は期間(以下、第2推奨時期という。)であってもよい。つまり、前記交換推奨時期は、前記繁忙時期の最終日から前記設定期間T0だけ後の日又は期間であってもよい。
【0061】
本実施形態では、交換推奨時期決定部114は、前記タイヤサービス店の場所が予め定められた寒冷地域である場合に、前記交換推奨時期を前記第1推奨時期に決定する。前記タイヤサービス店の場所が前記寒冷地域であるか否かの判定は、例えば、寒冷地域の位置情報を含む地図情報と、前記タイヤサービス店の住所情報とを参照し、前記タイヤサービス店の場所が前記寒冷地域に含まれている場合に、前記タイヤサービス店の場所が前記寒冷地域であると判定する。なお、前記地図情報や前記タイヤサービス店の住所情報は記憶部12に記憶されている。
【0062】
なお、前記寒冷地域は、所謂降雪地帯と称されている地域であり、例えば、年間の積雪期間が規定日数(例えば90日)以上であり、且つ、年平均気温が所定温度(例えば10℃)以下の地域である。
【0063】
また、交換推奨時期決定部114は、前記輸送業顧客データ311から取得された前記通過地点が、予め定められた前記寒冷地域を含むか否かを判定し、前記通過地点が前記寒冷地域を含む場合に、前記交換推奨時期を前記第1推奨時期に判定してもよい。交換推奨時期決定部114は、前記輸送業顧客データ311内に前記寒冷地域が登録されている場合に限り、前記通過地点が前記寒冷地域を含むと判定する。
【0064】
また、交換推奨時期決定部114は、前記輸送業顧客データ311から取得された前記通過地点が、予め定められた高標高地域を含むか否かを判定し、前記通過地点が前記高標高地域を含む場合に、前記交換推奨時期を前記第1推奨時期に判定してもよい。交換推奨時期決定部114は、前記輸送業顧客データ311内に前記高標高地域が登録されている場合に限り、前記通過地点が前記高標高地域を含むと判定する。
【0065】
なお、前記高標高地域は、例えば、標高が所定高さ(例えば500m)以上の地域であり、平地に比べて雪が降りやすく、或いは路面が凍結し易い地域である。
【0066】
また、交換推奨時期決定部114は、前記車両の走行予定距離が予め定められた基準距離以上か否かを判定し、前記走行予定距離が前記基準距離以上である場合に、前記交換推奨時期を前記第1推奨時期に決定する処理を行う。具体的には、交換推奨時期決定部114は、前記輸送業顧客データ311から取得された前記使用用途が、前記基準距離以上を走行する輸送用途であるか否かを判定し、前記使用用途が前記基準距離以上の輸送用途である場合に、前記交換推奨時期を前記第1推奨時期に決定する。
【0067】
前記走行予定距離は、例えば、一回の輸送で走行する片道距離である。また、前記基準距離は、例えば、前記使用用途を前記短距離輸送と前記中距離輸送とを区別することのできる距離に定められており、本実施形態では、100kmに定められている。
【0068】
出力処理部115は、管理システム100において実行された各種処理の結果を出力する処理を行う。本実施形態では、出力処理部115は、交換推奨時期決定部114によって決定された前記交換推奨時期を含む交換推奨情報を、前記車両管理者が使用する情報端末50に出力する。具体的には、出力処理部115は、前記交換推奨情報を情報端末50に登録されたメールアドレス宛に送信する処理を行う。或いは、出力処理部115は、情報端末50からインターネット回線を通じて送信要求があった場合に、前記推奨時期をWEBサイトを通じて情報端末50の表示部に表示する処理を行う。
【0069】
このように決定された前記交換推奨時期(第1推奨時期)が情報端末50に出力されることにより、前記車両管理者は、前記タイヤサービス店が推奨する前記交換推奨時期を容易に且つ確実に把握することができる。また、前記タイヤサービス店としては、前記交換推奨時期(第1推奨時期)が情報端末50に出力されることで、前記車両管理者に対して早期交換を促すことができる。これにより、前記繁忙時期におけるタイヤ交換需要を分散させることができ、その結果、前記繁忙時期における作業負担を軽減でき、また、タイヤ交換作業の効率を向上させることができる。
【0070】
また、前記車両管理者は、前記タイヤサービス店から推奨された前記交換推奨時期に前記ノーマルタイヤを前記スノータイヤに交換すれば、車両が降雪や路面凍結、路面着氷による走行不良状態に陥る心配をする必要がなくなる。また、前記車両管理者は、タイヤ交換作業の繁忙時期を外した時期に前記ノーマルタイヤを前記スノータイヤに交換することにより、タイヤ交換に要する待機時間が減少する。そのため、営業車両などの稼働時間の減少を防止できる。また、ドライバーも、タイヤ交換に要する待機時間を減少させることができる。また、ドライバーは、仮に予報が外れて前記特定予測日よりも早くに生じた降雪や路面凍結、路面着氷などに遭遇しても、早期に前記スノータイヤに交換済みの車両を安心して運転することができる。さらにまた、前記交換推奨時期が前記繁忙時期から前に隔てた時期とされているため、前記車両管理者は、前記繁忙時期にタイヤ交換をするリスク、例えば、交換作業が終えるまでにドライバーを長時間待機させることによる人件費の増加や、車両を長時間を待機させることによって輸送機会を喪失することを回避することができる。
【0071】
なお、出力処理部115によって出力される前記交換推奨情報には、前記交換推奨時期のみならず、前記車両管理者にとってメリットとなるメリット情報、例えば、上述した人件費に関するリスクを回避できることや、輸送機会喪失に関するリスクを回避できることなどを示す情報が含まれていてもよい。また、前記ノーマルタイヤで雪道を走行することが所定の規則や法律などによって制約されている場合は、その旨を示す製薬情報も前記交換推奨情報に含まれていてもよい。
【0072】
[交換推奨時期決定処理]
以下、
図5乃至
図8のフローチャートを参照しつつ、管理システム100において実行される交換推奨時期決定処理の手順の一例とともに、本開示のタイヤ交換推奨方法について説明する。以下では、管理サーバー10の制御部11によって実行される前記交換推奨時期決定処理について説明する。前記交換推奨時期決定処理は、顧客データ311,312に登録されている全ての顧客それぞれに対して実行される。ここで、前記交換推奨時期決定処理は、前記タイヤサービス店における前記繁忙時期を推定する処理、前記推奨時期を決定する処理、及び前記推定時期を出力する処理を含む。
【0073】
なお、以下に説明する前記交換推奨時期決定処理に含まれる一又は複数のステップは、適宜省略されてもよい。また、前記交換推奨時期決定処理における各ステップは、同様の作用効果を生じる範囲で実行順序が異なってもよい。さらに、以下では、制御部11に対応する一つのプロセッサーが前記交換推奨時期決定処理における各ステップの処理を実行する場合を例示して説明するが、複数のプロセッサーが前記交換推奨時期決定処理における各ステップを分散して実行してもよい。
【0074】
[第1処理例]
まず、
図5のフローチャートを参照して、前記交換推奨時期決定処理の一例である第1処理例について説明する。
【0075】
図5に示すように、ステップS11において、制御部11は、当該交換推奨時期決定処理の開始時期が到来したかどうかを判定する。例えば、管理サーバー10に搭載された時計機能或いはカレンダー機能などを用いて、現在の日時が所定期日に到達したかどうかを判定する。本実施形態では、前記所定期日は、例えば、暦の上で冬に突入する月(日本では12月)の初日よりも3月前の月日(日本では9月1日)に定められている。
【0076】
前記ステップS11において前記開始時期が到来したと判定されると、制御部11は、前記タイヤサービス店が存在する地域の前記気象データを取得する処理を行う(S12)。当該処理は、気象データ取得部111によって行われる。
【0077】
続いて、制御部11は、取得した前記気象データを参照して、現時点から2カ月先までの前記対象期間内に、前記特定予測日があるか否かを判定する処理を行う(S13)。ステップS13において前記対象期間内に前記特定予測日があると判定されると、制御部11は、前記特定予測日に基づいて、上述した手法により、今年度の前記移行期間におけるタイヤ交換作業に関する前記繁忙時期を推定する(S14)。なお、ステップS13の処理及びステップS14の処理は、繁忙推定処理部112によって行われる処理であり、本開示の推定ステップの一例である。
【0078】
なお、ステップS13において前記対象期間内に前記特定予測日が無いと判定されると、制御部11は、前記繁忙時期を推定せずに、日付が翌日に変わったと判定した場合に(S15のYes)、前記気象データが更新されているか否かを判定する(S16)か否かを判定する。そして、前記気象データが更新されたと判定されると(S16のYes)、制御部11は、ステップS12以降の処理を繰り返し実行する。
【0079】
前記繁忙時期が推定されると、次のステップS17において、制御部11は、前記繁忙時期の第1日目よりも前記設定期間T0だけ前の前記第1推奨時期を前記交換推奨時期に決定する。当該処理は、交換推奨時期決定部114によって行われる処理であり、本開示の推奨時期決定ステップの一例である。
【0080】
その後、制御部11は、前記交換推奨時期や、前記輸送機会喪失リスク、或いは前記制限情報を含む前記交換推奨情報を、情報端末50に送信する処理を行う(S18)。当該処理は、出力処理部115によって行われる処理であり、本開示の出力ステップの一例である。
【0081】
以上説明したように、本実施形態の管理システム100は、気象予測情報に基づいて、車両のタイヤ交換サービスを提供する前記タイヤサービス店におけるタイヤ交換作業の前記繁忙時期を推定する処理を行い、前記タイヤ交換サービスを受ける前記車両に装着された前記ノーマルタイヤ(第1タイヤ)を別種類の前記スノータイヤ(第2タイヤ)に交換する前記交換推奨時期を前記繁忙時期から予め定められた設定期間T0だけ前に隔てた第1推奨時期に決定する処理を行い、決定された前記交換推奨時期を含む前記交換推奨情報を前記車両管理者が使用する情報端末50に出力する処理を行う。
【0082】
これにより、前記車両管理者は、信頼度の高い前記交換推奨時期を容易に且つ確実に把握することができる。また、前記タイヤサービス店としては、前記交換推奨時期が前記情報端末50に出力されることにより、前記車両管理者に対して、早期のタイヤ交換を最適なタイミングに行うことを前記車両管理者に促すことができる。これにより、前記繁忙時期におけるタイヤ交換需要を分散させることができ、その結果、前記繁忙時期における作業負担を軽減でき、また、タイヤ交換作業の効率を向上させることができる。
【0083】
また、前記車両管理者は、前記タイヤサービス店から推奨された前記交換推奨時期に前記ノーマルタイヤを前記スノータイヤに交換すれば、車両が降雪や路面凍結による走行不良状態に陥る心配をする必要がなくなる。また、ドライバーは、仮に予報が外れて前記特定予測日よりも早くに生じた降雪や路面凍結に遭遇しても安心して車両を運転することができる。さらにまた、前記交換推奨時期が前記繁忙時期から隔てた時期とされているため、前記車両管理者は、前記繁忙時期にタイヤ交換をするリスク、例えば、交換作業が終えるまでにドライバーを長時間待機させることによる人件費の増加や、車両を長時間を待機させることによって輸送機会を喪失することを回避することができる。
【0084】
なお、出力される前記交換推奨情報に、前記交換推奨時期のみならず、前記車両管理者にとってメリットとなる上述のメリット情報が含まれていれば、前記車両管理者に対して早期にタイヤを交換する意欲を高めることができる。
【0085】
[第2処理例]
次に、
図6のフローチャートを参照して、前記交換推奨時期決定処理の他の一例である第2処理例について説明する。なお、以下においては、上述の第1処理例と異なる部分のみ説明する。
【0086】
前記繁忙時期が推定された後に、ステップS17において、前記交換推奨時期が決定されると、次のステップS171では、制御部11は、前記作業履歴データに基づいて、前年度の繁忙時期(以下、前年繁忙時期という。)における待機時間T1(本開示の第1作業待機時間の一例)を求める処理を行う。ここで、前記待機時間T1は、例えば、前記前年繁忙時期における前記平均待機時間である。本実施形態では、制御部11は、前記作業履歴データに基づいて算出した前記繁忙指数が前記基準値を超える前記連続期間を前記前年繁忙時期と判定する。そして、制御部11は、前記前年繁忙時期における前記平均待機時間を前記作業履歴データから抽出して、その平均待機時間を前記待機時間T1に設定する処理を行う。なお、制御部11は、前記作業履歴データに含まれる前記前年繁忙時期における前記平均交換作業時間と作業者1人当たりのタイヤ交換数とを乗じて、前記待機時間T1を算出してもよい。
【0087】
次のステップS172では、制御部11は、ステップS17で決定した前記交換推奨時期における待機時間T2(本開示の第2作業待機時間の一例)を求める処理を行う。ここで、前記待機時間T2は、例えば、交換作業が開始されるまでの待ち時間がゼロと想定して、1台の車両のタイヤ交換作業に要する平均交換作業時間と同等の時間である。或いは、前記待機時間T2は、例えば、前年度の作業日のうち前記前年繁忙時期を除く通常の作業日の前記平均待機時間と同等の時間であってもよい。前記待機時間T2は、記憶部12に予め記憶されていてもよく、或いは、ステップS172の処理が行われるたびに前記作業履歴データから抽出されてもよい。
【0088】
その後、制御部11は、ステップS181において、前記交換推奨情報とともに、前記待機時間T1及び前記待機時間T2を、情報端末50に送信する処理を行う。
【0089】
なお、制御部11は、前記待機時間T1から前記待機時間T2を差し引いた短縮時間を前記交換推奨情報とともに情報端末50に出力してもよい。
【0090】
このように、前記待機時間T1及び前記待機時間T2、或いは前記短縮時間が情報端末50に送信されるため、前記車両管理者は、前記交換推奨時期にタイヤ交換する場合と前記繁忙時期にタイヤ交換する場合とで、待機時間の差異を容易に把握することができる。その結果、前記車両管理者に対して早期にタイヤを交換する意欲を高めることができる。
【0091】
[第3処理例]
次に、
図7のフローチャートを参照して、前記交換推奨時期決定処理の他の一例である第3処理例について説明する。なお、以下においては、上述の第1処理例と異なる部分のみ説明する。
【0092】
ステップS14において前記繁忙時期が推定されると、その後、次のステップS141において、制御部11は、前記タイヤサービス店の場所が前記寒冷地域であるか否かを判定する。かかる処理は、交換推奨時期決定部114によって実行される。
【0093】
ステップS141において、前記タイヤサービス店の場所が前記寒冷地域であると判定されると、制御部11は、ステップS17の決定処理を行い、その後、ステップS18の送信処理を行う。
【0094】
一方、ステップS141において、前記タイヤサービス店の場所が前記寒冷地域ではないと判定されると、処理はステップS142に進む。
【0095】
タイヤ交換サービスを行う前記タイヤサービス店が前記寒冷地域ではなく、例えば、雪があまり降らない地域、或いは路面があまり凍らない地域である場合、雪が降ってもすぐに溶ける可能性が高く、路面が凍ってもすぐに溶ける可能性が高い。そのため、このような地域では、降雪予報や凍結予報が出されても、その直前の時期にタイヤ交換の需要が集中する可能性が低い。そのため、前記タイヤサービス店が前記寒冷地域ではない場合は、ステップS142の所定の判定条件を満たした場合に、制御部11は、前記繁忙時期から前記設定期間T0だけ後の前記第2推奨時期を前記交換推奨時期に決定する(S143)。
【0096】
なお、本実施形態では、以下に説明するように、ステップS142の判定条件を満たした場合にステップS143の処理を行う処理例を例示するが、例えば、ステップS141において前記タイヤサービス店の場所が前記寒冷地域ではないと判定された場合に、ステップS143の決定処理が行われてもよい。
【0097】
ステップS142では、制御部11は、当該交換推奨時期決定処理の対象である前記車両管理者(顧客データ311,312に登録されている顧客)が個人であるか否かを判定する。かかる判定は、顧客情報格納部31に格納された顧客データ311,312に含まれる情報に基づいて行われる。前記車両管理者が輸送業者である場合、前記輸送業者の営業上の利益や車両の安全性を優先して、ステップS14で推定した前記繁忙時期よりも前にタイヤ交換を推奨したほうが好ましい。そのため、前記車両管理者が輸送業者であると判定された場合(S142のNo)、制御部11は、ステップS17に進み、ステップS17以降の処理を行う。
【0098】
一方、前記車両管理者が個人である場合、前記輸送業者のような営業上の利益などを優先する必要性が低い。そのため、前記タイヤサービス店が前記寒冷地域でないのであれば、前記繁忙時期よりも後にタイヤ交換を推奨したほうが好ましい場合がある。そのため、前記車両管理者が個人であると判定された場合(S142のYes)、制御部11は、ステップS143に進み、ステップS143の決定処理を実行する。その後、制御部11は、ステップS18の送信処理を行う。
【0099】
[第4処理例]
次に、
図8のフローチャートを参照して、前記交換推奨時期決定処理の他の一例である第4処理例について説明する。なお、以下においては、上述の第1処理例と異なる部分のみ説明する。
【0100】
ステップS14において前記繁忙時期が推定されると、その後、次のステップS145において、制御部11は、顧客データ311,312から前記車両情報を取得する。その後、ステップS146において、前記通過地点に、前記寒冷地域又は前記高標高地域が登録されているか否かを判定する。かかる処理は、交換推奨時期決定部114によって実行される。
【0101】
車両の走行ルートの通過地点に前記寒冷地域又は前記高標高地域がある場合、車両の安全性を優先して、ステップS14で推定した前記繁忙時期よりも前にタイヤ交換を推奨したほうが好ましい。そのため、この場合は、制御部11は、ステップS17に進み、ステップS17以降の処理を行い、その後、ステップS18の送信処理を行う。
【0102】
一方、ステップS146において、車両の走行ルートの通過地点に前記寒冷地域および前記高標高地域がない場合と判定されると、処理はステップS147に進む。
【0103】
車両の走行ルートの通過地点に前記寒冷地域及び前記高標高地域が無い場合、降雪予報や凍結予報が出された日よりも前に、前記走行ルート上の道路が積雪や凍結して、走行が阻害される可能性は低い。そのため、前記通過地点に前記寒冷地域及び前記高標高地域が登録されていない場合は、ステップS147の所定の判定条件を満たした場合に、制御部11は、前記繁忙時期から前記設定期間T0だけ後の前記第2推奨時期を前記交換推奨時期に決定する(S148)。
【0104】
なお、本実施形態では、以下に説明するように、ステップS147の判定条件を満たした場合にステップS148の処理を行う処理例を例示するが、例えば、ステップS146において前記通過地点に前記寒冷地域及び前記高標高地域が登録されていないと判定された場合に、ステップS148の決定処理が行われてもよい。
【0105】
ステップS147では、制御部11は、当該交換推奨時期決定処理の対象である前記車両管理者が輸送業者であり、その車両の使用用途が短距離輸送であるか否かを判定する。かかる判定は、顧客情報格納部31に格納された顧客データ311に含まれる使用用途に関する情報に基づいて行われる。前記車両管理者が輸送業者であり、その車両の使用用途が中距離以上を輸送する用途である場合、長い距離を走行中に道路の積雪や凍結による走行不良に見舞われる可能性が高い。そのため、この場合は、前記輸送業者の営業上の利益や車両の安全性を優先して、ステップS14で推定した前記繁忙時期よりも前にタイヤ交換を推奨したほうが好ましい。そのため、車両の使用用途が中距離輸送又は長距離輸送であると判定された場合(S147のNo)、制御部11は、ステップS17に進み、ステップS17以降の処理を行う。
【0106】
一方、車両の使用用途が短距離輸送である場合は、道路の積雪や凍結による走行不良に見舞われる可能性が低いと考えられる。この場合、前記繁忙時期よりも後にタイヤ交換を推奨したほうが好ましい場合がある。そのため、車両の使用用途が短距離輸送であると判定された場合(S147のNo)場合、制御部11は、ステップS148に進み、ステップS148の決定処理を実行する。その後、制御部11は、ステップS18の送信処理を行う。
【0107】
なお、上述の第4処理例では、ステップS146において、車両の走行ルートの通過地点に前記寒冷地域および前記高標高地域があるか否かの判定を行ったが、このような処理例に限られない。例えば、ステップS145で前記車両情報が取得された後に、ステップS146の処理を行わずに、ステップS146の判定処理が行われてもよい。つまり、前記通過地点として登録されている地域にかかわらず、使用用途が前記中距離輸送又は前記長距離輸送の場合に、ステップS17の決定処理を行い、使用用途が前記短距離輸送の場合に、ステップS148の決定処理を行ってもよい。
【0108】
[第2実施形態]
以下、
図9及び
図10を参照して、本開示の第2実施形態に係るタイヤ交換管理システム101(以下、単に管理システム101と称する。)について説明する。なお、本実施形態では、上述した第1実施形態と異なる部分のみ説明し、上述した第1実施形態と共通する構成については、同じ符号を付し示すことによりその詳細な説明を省略する。
【0109】
管理システム101は、上述した管理システム100と同様に、管理サーバー10と、データベース30と、によって構成されている。
【0110】
図9に示すように、管理サーバー10の制御部11は、気象データ取得部111、繁忙推定処理部112(本開示の推定処理部の一例)、車両情報取得部113、交換推奨時期決定部114(本開示の推奨時期決定部の一例)、出力処理部115(本開示の出力処理部の一例)に加えて、補正処理部117(本開示の補正処理部の一例)を含む。
【0111】
補正処理部117は、車両情報取得部113によって取得された前記車両情報に含まれる車両の走行予定距離が、前記基準距離よりも長い所定の設定距離以上である場合に、前記設定期間T0を増加する処理を行う。具体的には、補正処理部117は、前記車両の使用用途が長距離輸送であると判定された場合に、前記設定期間T0を所定日数だけ増やす補正を行う。前記所定日数は任意に定めることができ、本実施形態では、例えば、1週間に定められている。なお、前記長距離輸送と判定されるとことは、車両の前記走行予定距離が300km以上であると判定されることと同義である。したがって、本実施形態では、前記設定距離は300kmに定められている。
【0112】
[第5処理例]
次に、
図10のフローチャートを参照して、前記交換推奨時期決定処理の他の一例である第5処理例について説明する。なお、以下においては、上述の第4処理例と異なる部分のみ説明する。
【0113】
ステップS146において、車両の走行ルートの通過地点に前記寒冷地域又は前記高標高地域が無いと判定され、その後、ステップS147において使用用途が前記短距離輸送ではないと判定されると、制御部11は、ステップS1471に進む。
【0114】
ステップS1471において、制御部11は、前記使用用途が前記長距離輸送であるか否かを判定する。そして、前記使用用途が前記長距離輸送ではないと判定されると(S1471のNo)、制御部11は、ステップS17に進み、ステップS17以降の処理を行い、その後、ステップS18の送信処理を行う。
【0115】
一方、ステップS1471において、制御部11は、前記使用用途が前記長距離輸送であると判定されると、制御部11は、次のステップS1472において、前記設定期間T0を所定日数だけ増やす補正を行う。その後、ステップS17において、制御部11は、前記繁忙時期の第1日目よりも補正済みの設定期間T0だけ前の前記第1推奨時期を前記交換推奨時期に決定する。
【0116】
長い距離を走行中に道路の積雪や凍結による走行不良に見舞われるリスクは、前記中距離輸送よりも前記長距離輸送のほうが高い。そのため、上述したように、車両の使用用途が前記長距離輸送である場合の前記交換推奨時期が、前記中距離輸送の場合の前記交換推奨時期よりも早い時期に決定されることにより、前記長距離輸送に使用される車両の安全性をより一層優先して、より適切な前記交換推奨時期を前記車両管理者に伝えることができる。
【0117】
[第3実施形態]
以下、
図11及び
図12を参照して、本開示の第3実施形態に係るタイヤ交換管理システム102(以下、単に管理システム102と称する。)について説明する。なお、本実施形態では、上述した第1実施形態と異なる部分のみ説明し、上述した第1実施形態と共通する構成については、同じ符号を付し示すことによりその詳細な説明を省略する。
【0118】
管理システム101は、上述した管理システム100と同様に、管理サーバー10と、データベース30と、によって構成されている。
【0119】
図11に示すように、管理サーバー10の制御部11は、気象データ取得部111、繁忙推定処理部112(本開示の推定処理部の一例)、車両情報取得部113、交換推奨時期決定部114(本開示の推奨時期決定部の一例)、出力処理部115(本開示の出力処理部の一例)に加えて、稼働率取得部118(本開示の稼働率取得部の一例)、及び推奨時期変更処理部119(本開示の時期変更処理部の一例)を含む。
【0120】
稼働率取得部118は、前記車両管理者が輸送業者である場合に、その車両の稼働率を取得する処理を行う。例えば、前記車両管理者の車両の過去の1日当たりの稼働率が前記輸送業顧客データ311に予め登録されている場合、稼働率取得部118は、前記輸送業顧客データ311から前記稼働率を取得する。
【0121】
推奨時期変更処理部119は、稼働率取得部118によって取得された前記稼働率のうち、前年度において前記交換推奨時期と同時期の前記稼働率を抽出し、その稼働率を今年度の前記交換推奨時期における推定稼働率(以下、基準稼働率という。)に特定する。そして、前記基準稼働率が所定の閾値以上である場合に、交換推奨時期決定部114によって決定された前記交換推奨時期を変更する処理を行う。前記閾値は、前記車両管理者の輸送事業が繁忙状態であるか否かを判別するための閾値である。
【0122】
具体的には、推奨時期変更処理部119は、前記基準稼働率が前記閾値以上である場合に前記交換推奨時期よりも所定日数(例えば、1週間)だけ前の第1候補時期を特定する。そして、当該第1候補時期と同時期の過去の稼働率(以下、第1稼働率という。)を前記輸送業顧客データ311から抽出し、前記第1稼働率が前記閾値未満である場合に、前記交換推奨時期を前記第1候補時期に変更する。このように、前記交換推奨時期が前記第1候補時期に変更されることにより、前記車両管理者が繁忙状態である時期を外して、前記交換推奨時期を前記車両管理者に伝えることができる。
【0123】
また、推奨時期変更処理部119は、前記第1稼働率が前記閾値以上である場合に前記推奨時期よりも前記所定日数だけ後の第2候補時期を特定する。そして、当該第2候補時期と同時期の過去の稼働率(以下、第2稼働率という。)を前記輸送業顧客データ311から抽出し、前記第2稼働率が前記閾値未満である場合に、前記交換推奨時期を前記第2候補時期に変更する。このように、前記交換推奨時期として前記第1候補時期が不適切である場合は、前記交換推奨時期が前記第2候補時期に変更される。この場合も、前記車両管理者が繁忙状態である時期を外して、前記交換推奨時期を前記車両管理者に伝えることができる。
【0124】
[第6処理例]
次に、
図12のフローチャートを参照して、前記交換推奨時期決定処理の他の一例である第6処理例について説明する。なお、以下においては、上述の第1処理例と異なる部分のみ説明する。
【0125】
ステップS17において、前記交換推奨時期が決定されると、ステップS1701において、制御部11は、前記基準稼働率を取得する処理を行う。かかる処理は、稼働率取得部118によって行われる。
【0126】
次のステップS1702では、制御部11は、前記基準稼働率が前記閾値以上であるか否かを判定する。
【0127】
ステップS1702において、前記基準稼働率が前記閾値未満であると判定されると、制御部11は、ステップS18に進み、前記交換推奨情報を情報端末50に送信する処理を行う。前記基準稼働率が前記閾値未満の場合、前記交換推奨時期は、前記車両管理者の輸送事業が繁忙状態でない時期と推定される。
【0128】
一方、ステップS1702において、前記基準稼働率が前記閾値以上であると判定されると、制御部11は、前記第1稼働率を取得し(S1703)、前記第1稼働率が前記閾値以上であるか否かを判定する(S1704)。
【0129】
ステップS1704において、前記第1稼働率が前記閾値未満であると判定されると、ステップS1705において、制御部11は、前記交換推奨時期を前記第1候補時期に変更し、その後、ステップS18において、変更後の前記交換推奨時期を含む、前記交換推奨情報を情報端末50に送信する。
【0130】
ステップS1704において、前記第1稼働率が前記閾値以上であると判定されると、制御部11は、前記第2稼働率を取得し(S1706)、前記第2稼働率が前記閾値以上であるか否かを判定する(S1707)。
【0131】
ステップS1707において、前記第2稼働率が前記閾値未満であると判定されると、ステップS1708において、制御部11は、前記交換推奨時期を前記第2候補時期に変更し、その後、ステップS18において、変更後の前記交換推奨時期を含む、前記交換推奨情報を情報端末50に送信する。
【0132】
なお、ステップS1707において、前記第2稼働率が前記閾値以上であると判定された場合は、前記交換推奨時期を変更することなく、前記交換推奨情報を情報端末50に送信する。
【0133】
本開示は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、各実施形態それぞれに開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。
【0134】
以上説明した本開示の実施形態は、以下に記す各開示事項(1)~(13)を含む。
【0135】
本開示(1)の一の局面に係るタイヤ交換管理システムは、気象予測情報に基づいて、車両のタイヤ交換サービスを提供するサービス事業者によるタイヤ交換作業の繁忙時期を推定する推定処理部と、前記タイヤ交換サービスを受ける前記車両に装着された第1タイヤを前記第1タイヤとは別の第2タイヤに交換する推奨時期を前記繁忙時期から予め定められた設定期間だけ隔てた時期に決定する推奨時期決定部と、前記推奨時期決定部により決定された前記推奨時期を前記車両の管理者が使用する端末装置に出力する出力処理部と、を備える。
【0136】
本開示(2)は、本開示(1)に記載のタイヤ交換管理システムにおいて、前記出力処理部は、前記繁忙時期に前記タイヤを交換する場合の第1作業待機時間、及び前記推奨時期に前記タイヤを交換する場合の第2作業待機時間を前記推奨時期とともに前記端末装置に出力する。
【0137】
本開示(3)は、本開示(1)に記載のタイヤ交換管理システムにおいて、前記出力処理部は、前記繁忙時期に前記タイヤを交換する場合の第1作業待機時間から前記推奨時期に前記タイヤを交換する場合の第2作業待機時間を差し引いた短縮時間を前記推奨時期とともに前記端末装置に出力する。
【0138】
本開示(4)は、本開示(1)に記載のタイヤ交換管理システムにおいて、前記出力処理部は、前記推奨時期にタイヤ交換を行うことのメリットを含むメリット情報を前記推奨時期とともに前記端末装置に出力する。
【0139】
本開示(5)は、本開示(1)から(4)のいずれかに記載のタイヤ交換管理システムにおいて、前記推奨時期決定部は、前記タイヤ交換サービスの提供場所が予め定められた寒冷地域内か否かを判定し、前記提供場所が前記寒冷地域内である場合に、前記推奨時期を前記繁忙時期よりも前記設定期間だけ前の時期に決定する。
【0140】
本開示(6)は、本開示(1)から(4)のいずれかに記載のタイヤ交換管理システムにおいて、前記推奨時期決定部は、前記車両の走行予定範囲を含む車両情報を取得し、前記走行予定範囲が予め定められた寒冷地域、又は予め定められた高標高地域を含むか否かを判定し、前記走行予定範囲が前記寒冷地域又は前記高標高地域を含む場合に、前記推奨時期を前記繁忙時期よりも前記設定期間だけ前の時期に決定する。
【0141】
本開示(7)は、本開示(1)から(4)のいずれかに記載のタイヤ交換管理システムにおいて、前記推奨時期決定部は、前記車両の走行予定距離を含む車両情報を取得し、前記走行予定距離が予め定められた基準距離以上か否かを判定し、前記走行予定距離が前記基準距離以上である場合に、前記推奨時期を前記繁忙時期よりも前記設定期間だけ前の時期に決定する。
【0142】
本開示(8)は、本開示(7)に記載のタイヤ交換管理システムにおいて、前記走行予定距離が前記基準距離よりも長い所定の設定距離以上である場合に前記設定期間を増加する補正処理部を更に備える。
【0143】
本開示(9)は、本開示(1)から(4)のいずれかに記載のタイヤ交換管理システムにおいて、前記車両の稼働率を取得する稼働率取得部と、前記推奨時期における前記車両の稼働率が所定の閾値以上である場合に前記推奨時期を変更する時期変更処理部と、を更に備える。
【0144】
本開示(10)は、本開示(9)に記載のタイヤ交換管理システムにおいて、前記時期変更処理部は、前記稼働率が前記閾値以上である場合に前記推奨時期より前の第1候補時期を特定し、当該第1候補時期における前記車両の第1稼働率が前記閾値未満である場合に、前記推奨時期を前記第1候補時期に変更する。
【0145】
本開示(11)は、本開示(10)に記載のタイヤ交換管理システムにおいて、前記時期変更処理部は、前記第1稼働率が前記閾値以上である場合に前記推奨時期より後の第2候補時期を特定し、当該第2候補時期における前記車両の第2稼働率が前記閾値未満である場合に、前記推奨時期を前記第2候補時期に変更する。
【0146】
本開示(12)の他の局面に係るタイヤ交換管理方法は、気象予測情報に基づいて、車両のタイヤ交換サービスを提供するサービス事業者によるタイヤ交換作業の繁忙時期を推定する推定ステップと、前記タイヤ交換サービスを受ける車両に装着された第1タイヤを前記第1タイヤとは別の第2タイヤに交換する推奨時期を前記繁忙時期から予め定められた設定期間だけ隔てた時期に決定する推奨時期決定ステップと、前記推奨時期を前記車両の管理者が使用する端末装置に出力する出力ステップと、を含む方法であり、一又は複数のプロセッサー若しくはコンピュータが前記各ステップを実行する方法である。
【0147】
本開示(13)のその他の局面に係るプログラムは、気象予測情報に基づいて、車両のタイヤ交換サービスを提供するサービス事業者によるタイヤ交換作業の繁忙時期を推定する推定ステップと、前記タイヤ交換サービスを受ける車両に装着された第1タイヤを前記第1タイヤとは別の第2タイヤに交換する推奨時期を前記繁忙時期から予め定められた設定期間だけ隔てた時期に決定する推奨時期決定ステップと、前記推奨時期を前記車両の管理者が使用する端末装置に出力する出力ステップと、を一又は複数のプロセッサーに実行させるためのプログラムである。
【符号の説明】
【0148】
10 :管理サーバー
11 :制御部
12 :記憶部
13 :通信部
14 :表示部
15 :操作部
20 :情報端末
30 :データベース
31 :顧客情報格納部
32 :作業履歴格納部
50 :情報端末
100,101,102:タイヤ交換管理システム
111 :気象データ取得部
112 :繁忙推定処理部
113 :車両情報取得部
114 :交換推奨時期決定部
115 :出力処理部
117 :補正処理部
118 :稼働率取得部
119 :推奨時期変更処理部
T0 :設定期間
T1 :待機時間
T2 :待機時間