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特開2024-8732データ処理装置、情報処理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024008732
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】データ処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 11/07 20060101AFI20240112BHJP
【FI】
G06F11/07 190
G06F11/07 140R
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022110846
(22)【出願日】2022-07-08
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮岡 陽太郎
(72)【発明者】
【氏名】福岡 雅之
(72)【発明者】
【氏名】前田 恵
【テーマコード(参考)】
5B042
【Fターム(参考)】
5B042GA39
5B042KK15
(57)【要約】
【課題】学習により現地端末の故障予測を行う場合に、現地端末由来の通信異常と、伝送経路由来の通信異常と、を確実に識別して、学習の効率を向上させつつ、現地端末の故障予測精度を向上させる。
【解決手段】実施形態のデータ処理装置は、現地端末への通信接続の状態を検出する接続検出部と、前記接続検出部において、前記現地端末への通信接続が途絶えたことが検出された場合に、当該現地端末に至る伝送経路上に位置する一又は複数の他の現地端末への通信接続の状態を前記接続検出部に検出させ、前記他の現地端末への通信接続の状態に基づいて、前記伝送経路に起因する通信異常を判別する判別部と、前記判別部の判別結果に基づいて前記伝送経路に起因する通信異常を除く通信異常に基づいて、学習を行って前記現地端末の故障予測を行う故障予測部と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
現地端末への通信接続の状態を検出する接続検出部と、
前記接続検出部において、前記現地端末への通信接続が途絶えたことが検出された場合に、当該現地端末に至る伝送経路上に位置する一又は複数の他の現地端末への通信接続の状態を前記接続検出部に検出させ、前記他の現地端末への通信接続の状態に基づいて、前記伝送経路に起因する通信異常を判別する判別部と、
前記判別部の判別結果に基づいて前記伝送経路に起因する通信異常を除く通信異常に基づいて、学習を行って前記現地端末の故障予測を行う故障予測部と、
を備えるデータ処理装置。
【請求項2】
前記接続検出部は、検出対象の前記現地端末に対して、疎通確認コマンドを前記伝送経路を介して送信して前記通信接続の状態を検出する、
請求項1記載のデータ処理装置。
【請求項3】
前記疎通確認コマンドとして、「ping」、「traceroute」、「nc」、「curl」、「telnet」あるいは「ssh」を用いる、
請求項2記載のデータ処理装置。
【請求項4】
前記接続検出部は、検出対象の前記現地端末が、所定タイミングで通信を行って通知を行う現地端末である場合には、前記所定タイミングの通信の有無に基づいて前記通信接続の状態を検出する、
請求項1記載のデータ処理装置。
【請求項5】
現地端末への通信接続の状態を検出する過程と、
前記通信接続の状態を検出する際に前記現地端末への通信接続が途絶えたことが検出された場合に、当該現地端末に至る伝送経路上に位置する一又は複数の他の現地端末への通信接続の状態を検出し、前記他の現地端末への通信接続の状態に基づいて、前記伝送経路に起因する通信異常を判別する過程と、
前記判別の結果に基づいて前記伝送経路に起因する通信異常を除く通信異常に基づいて、学習を行って前記現地端末の故障予測を行う過程と、
を備える情報処理方法。
【請求項6】
現地端末への通信接続の状態を検出する接続検出部を備えたデータ処理装置をコンピュータにより制御するプログラムであって、
前記コンピュータを、
前記接続検出部において、前記現地端末への通信接続が途絶えたことが検出された場合に、当該現地端末に至る伝送経路上に位置する一又は複数の他の現地端末への通信接続の状態を前記接続検出部に検出させる手段と、
前記他の現地端末への通信接続の状態に基づいて、前記伝送経路に起因する通信異常を判別する手段と、
前記判別の結果に基づいて前記伝送経路に起因する通信異常を除く通信異常に基づいて、学習を行って前記現地端末の故障予測を行う手段と、
して機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、データ処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
今日、高速道路上には、道路利用者に渋滞などの情報を提供する情報板や交通量計測を行うトラフィックカウンタ等の数多くの現地端末が設置されており、道路管制システムの運用において重要な役割を担っている。
道路管制システムに属する交通系中央システム及び施設系中央システムの傘下には、多くの現地端末が接続されている。これらの現地端末は高速道路の運用を支えるうえで、重要な役割を担っている。
このため、現地端末の故障によって生じる運用への影響を最小限にするために、機械学習による故障予測技術が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-008107号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、構成ユニット等の異常による現地端末の故障については、各現地端末が、故障を通知する仕組みになっている。
これに対し、通信異常については、交通系中央システム及び施設系中央システムが現地端末への接続が途絶えたことを検知する構成を採っていた。
このため、検出される通信異常には、現地端末の故障によって生じる現地端末由来の通信異常と、伝送経路が原因となる伝送経路由来の通信異常とが、含まれてしまい、機械学習の精度が低下し、ひいては、現地端末の故障予測精度が低下する恐れがあった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、学習により現地端末の故障予測を行う場合に、現地端末由来の通信異常と、伝送経路由来の通信異常と、を確実に識別して、現地端末の故障予測精度を向上させること、が可能なデータ処理装置、データ処理方法及びプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態のデータ処理装置は、現地端末への通信接続の状態を検出する接続検出部と、前記接続検出部において、前記現地端末への通信接続が途絶えたことが検出された場合に、当該現地端末に至る伝送経路上に位置する一又は複数の他の現地端末への通信接続の状態を前記接続検出部に検出させ、前記他の現地端末への通信接続の状態に基づいて、前記伝送経路に起因する通信異常を判別する判別部と、前記判別部の判別結果に基づいて前記伝送経路に起因する通信異常を除く通信異常に基づいて、学習を行って前記現地端末の故障予測を行う故障予測部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態の道路管制システムの概要構成ブロック図である。
図2図2は、第1実施形態の通信異常データ判別システム及び故障予測システムの機能構成説明図である。
図3図3は、関連端末の説明図である。
図4図4は、関連端末が3個以上の場合の説明図である。
図5図5は、現地端末由来の通信異常の説明図である。
図6図6は、伝送経路由来の通信異常の説明図である。
図7図7は、第1実施形態の要部処理フローチャートである。
図8図8は、第2実施形態の通信異常データ判別システム及び故障予測システムの機能構成説明図である。
図9図9は、第2実施形態が適用される通信異常発生の説明図である。
図10図10は、通信接続状態の検出結果の説明図である。
図11図11は、通信接続状態の検出結果の解析結果の説明図である。
図12図12は、第2実施形態の要部処理フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に図面を参照して好適な実施形態について説明する。
以下の説明においては、高速道路における交通管制及び施設管制を行う道路管制システムを例として説明する。
【0009】
[1]第1実施形態
図1は、実施形態の道路管制システムの概要構成ブロック図である。
実施形態の道路管制システム10は、管制システム11と、基幹ネットワーク12と、現地端末群13と、を備えている。
管制システム11は、交通管制を行う交通系中央システム21と、施設管制を行う施設系中央システム22と、データ処理装置として機能し、通信異常データを判別する通信異常データ判別システム23と、通信異常データ判別システム23による判別後の通信異常データに基づいて学習を行い、現地端末群13を構成している現地端末の故障予測を行う故障予測システム24と、を備えている。
【0010】
基幹ネットワーク12は、インターネット、あるいはWAN等として構成されている。
現地端末群13は、大別すると、ローカルネットワーク31A、31Bと、トラフィックカウンタ、情報板等で構成される複数の交通設備32と、インターチェンジ(IC)やトンネル(TN)の電気室などに設置され、トンネル設備(TN設備)33等の各設備からの稼動情報を収集し施設系中央システム22に対し情報伝送を行う複数の子局34-1A~34-nA、34-1B~34-nBと、ETCシステムを構成している複数のETC設備35と、を備えている。
【0011】
ここで、第1実施形態の通信異常データ判別システム23及び故障予測システム24の機能構成について説明する。
図2は、第1実施形態の通信異常データ判別システム及び故障予測システムの機能構成説明図である。
通信異常データ判別システム23は、関連端末登録機能F11及び同時多発異常検知機能F12を備えている。
【0012】
関連端末登録機能F11は、ローカルネットワーク31A、31B等の通信ネットワークの構成が確定した時点で、ノードとリンクとで構成されていると考えた場合に、注目している現地端末に対し、一つ上位(上流側)の同一ノードにリンクを介して接続されている現地端末を関連端末として予め登録する機能である。
【0013】
より詳細には、通信ネットワークが階層構造を有している場合に、注目している現地端末(情報板、トラフィックカウンタ等)の属する階層の一つ上の同一ノード(例えば、ハブ、スイッチ、ルータ等)に通信ケーブルなどで接続されている他の現地端末(情報板、トラフィックカウンタ等)が関連端末である。
【0014】
図3は、関連端末の説明図である。
具体的には、図2に示すように、注目している現地端末が情報板DEV4である場合には、注目している現地端末である情報板DEV4の属する階層の一つ上の同一ノードであるスイッチDEV2に通信ケーブル(リンクに相当)を介して接続されている速度表示板DEV5が関連端末として互いに紐付けられて、登録される。
【0015】
また、注目している現地端末がスイッチDEV3である場合には、注目している現地端末であるスイッチDEV3の属する階層の一つ上の同一ノードであるスイッチDEV1に通信ケーブル(リンクに相当)を介して接続されているスイッチDEV2が関連端末として互いに紐付けられて、登録される。
【0016】
図4は、関連端末が3個以上の場合の説明図である。
以上の説明は、関連端末が二つの場合であったが、関連端末が3個以上であっても同様である。
【0017】
具体的には、図4に示すように、注目している現地端末が情報板DEV23である場合には、注目している現地端末である情報板DEV23の属する階層の一つ上の同一ノードであるスイッチDEV21に通信ケーブル(リンクに相当)を介して接続されている現地端末DEV22、DEV24~DEV26が関連端末として互いに紐付けられて、登録される。
【0018】
すなわち、同一ノード至る上流側の伝送経路(通信経路)が共通の現地端末同士は関連端末として登録されることとなる。換言すれば、関連端末は、同一ノードに至る伝送経路において伝送経路の異常に伴う通信異常が発生した場合には、同時に交通系中央システム21(ひいては、施設系中央システム22)との間で通信が行えなくなる現地端末グループを構成している現地端末である。
【0019】
同時多発異常検知機能F12は、関連端末全てについて通信が行えなくなったことを検出した場合には、関連端末全てが同時に故障して通信異常が発生することは考えにくいため、当該異常は、伝送経路の異常に起因して発生した通信異常であるとして検知する機能である。この機能は、故障予測システム24において、当該通信異常については、故障予測システム24で、学習を行うためのデータとして用いることを禁止するために用いられる機能である。
【0020】
図5は、現地端末由来の通信異常の説明図である。
また、図6は、伝送経路由来の通信異常の説明図である。
これらの場合において、現地端末であるスイッチDEV2と、スイッチDEV3とは、関連端末として登録されている。
【0021】
また、現地端末である情報板DEV4と、速度表示板DEV5とは、関連端末として登録されている。
さらに現地端末であるトラフィックカウンタDEV6と、速度表示板DEV7とは、関連端末として登録されている。
【0022】
図5及び図6のいずれの通信異常の状態であっても交通系中央システム21が現地端末である情報板DEV4に情報を表示しようとした場合に、当該情報を表示した旨の表示完了の通知が届かない。したがって、交通系中央システム21としては、通信異常を検出することが可能である。
【0023】
しかしながら、現地端末である情報板DEV4が(単独で)故障しているのか、伝送経路を構成しているスイッチDEV1あるいはスイッチDEV2が故障して、現地端末である情報板が通信できないだけであるのかを判断することはできない。
【0024】
そこで、通信異常データ判別システム23は、関連端末登録機能F11により登録された現地端末である情報板DEV4の関連端末を参照し、同時多発異常検知機能F12として機能し、同一ノードとしてのスイッチの下位の同一階層に接続されている関連端末である速度表示板DEV5との通信が行えるか否かを判断する。
【0025】
その結果、図5に示すように、現地端末である情報板DEV4の属する階層の一つ上のノードであるスイッチDEV2に通信ケーブルを介して接続され、情報板DEV4の関連端末である速度表示板DEV5との通信が行えた場合には、現地端末である情報板が(単独で)故障していると判断する。
【0026】
したがって、当該通信異常については、故障予測システム24で、学習を行うためのデータとして用いることができるので、その旨を故障予測システムに通知することとなる。
【0027】
一方、図6に示すように現地端末である情報板DEV4の関連端末である速度表示板DEV5との通信が行えなかった場合には、伝送経路を構成しているスイッチDEV2が故障して、現地端末である情報板が通信できないだけであることがわかるので、当該通信異常については、故障予測システム24で、学習を行うためのデータとして用いることを禁止するように故障予測システムに通知することとなる。
【0028】
一方、故障予測システム24は、データ収集機能F21、データクレンジング機能F22、学習機能F23及び予測機能F24を備えている。
データ収集機能F21は、施設系中央システム22から出力され、通信異常データ判別システム23により現地端末由来の通信異常データを収集し、図示しないSSD等の外部記憶装置に格納する機能を実現する。
【0029】
データクレンジング機能F22は、データ収集機能F21で収集、格納したデータを、故障予測システム24が学習しやすいように加工する機能を実現する。
学習機能F23は、データクレンジング機能F22によって加工された、通信異常データの機械学習を行って、現地端末の故障予測処理において予測精度を向上するための故障予測処理手順を改善する機能を実現する。
【0030】
予測機能F24は、学習機能F23により改善された故障予測処理手順に基づいて現地端末の故障予測を行う機能を実現する。この場合において、故障予測結果については、再び学習機能F23により学習がなされてさらなる故障予測精度の向上が図られることとなる。
【0031】
次に第1実施形態の道路管制システム10の要部動作について説明する。
図7は、第1実施形態の要部処理フローチャートである。
施設系中央システム22は、自己あるいは交通系中央システム21において通信異常データが発生すると(ステップS11)、その旨を通信異常データ判別システム23に通知する。
【0032】
これにより通信異常データ判別システム23の同時多発異常検知機能F12は、関連端末全てについて同時多発的に通信異常データが発生しているか否かを判断する(ステップS12)。
より詳細には、通信異常データ判別システム23は、通信異常が発生している現地端末の関連端末の全てに疎通確認コマンドを伝送経路である通信ネットワークを介して送信して通信接続の状態を検出する。
【0033】
この場合において、疎通確認コマンドとしては、「ping」、「traceroute」、「nc」、「curl」、「telnet」あるいは「ssh」等が挙げられるが、現地端末が通信可能か否かを判断できるコマンドであれば、これに限られるものではない。
【0034】
そして、通信異常データ判別システム23は、通信異常データが発生した現地端末周辺の通信接続状況を自動解析し、原因箇所の診断を行う。その結果が明らかに伝送経路由来の通信異常と判断される場合は、故障予測の取込対象から除外する判断を行う。
【0035】
ステップS12の判断において関連端末全てについて同時多発的に通信異常データが発生している場合には(ステップS12;Yes)、同時に全ての関連端末が故障する確率は低いと考えられるため、通信異常データ判別システム23は、伝送経路由来の通信異常と判断して、現地端末の故障予測の学習対象から除外する(ステップS15)。
【0036】
したがって、故障予測システム24の機械学習においては、当該通信異常データを現地端末の故障予測の学習対象とならないので、故障予測精度を高く維持することができる。
ステップS12の判断において関連端末全てについて同時多発的に通信異常データが発生しているのではない場合には(ステップS12;No)、さらに伝送経路由来の通信異常と判断可能か否かを判断する(ステップS13)。
ステップS13の判断において、通信異常箇所は、スイッチDEV13であると特定され、伝送経路由来の通信異常と判断され(ステップS13;Yes)、通信異常データ判別システム23は、伝送経路由来の通信異常と判断して、現地端末の故障予測の学習対象から除外する(ステップS15)。
【0037】
一方、疎通確認コマンドによる接続状態の解析結果において、伝送経路由来の通信異常と判断ができない場合には、ステップS13の判断において伝送経路由来の通信異常と判断可能ではないとされるので(ステップS13;No)、通信異常データ判別システム23は、伝送経路由来の通信異常ではなく、現地端末由来の通信異常であると判断して、現地端末の故障予測の学習対象に取り込むこととなる(ステップS14)。
【0038】
これらの結果、故障予測システム24は、データ収集機能F21として機能し、通信異常データ判別システム23が現地端末由来の通信異常であると判断して、現地端末の故障予測の学習対象とした通信異常データを故障予測の学習対象として収集し、図示しないSSD等の外部記憶装置に格納する。
続いて、故障予測システム24は、データクレンジング機能F22として機能し、データ収集機能F21で収集、格納したデータを、故障予測システム24が学習しやすいように加工する。
さらに故障予測システム24は、学習機能F23として機能し、データクレンジング後の複数の通信異常データについて、機械学習を行って、現地端末の故障予測処理において予測精度を向上するための故障予測処理手順を改善する。
そして、故障予測システム24は、通信異常データの学習結果に基づいて得られた故障予測処理手順に基づいて現地端末の故障予測を行う。
【0039】
この場合において、現地端末の故障予測は、伝送経路に起因する通信異常を可能な限り排除した通信異常データに基づいて行われるので、それらが含まれてしまう場合と比較して、より正確に故障を予測することや、より正確に通信異常発生時の原因を特定することが可能となり、未然に現地端末の交換、修理などを行うことなどにより、道路管制システム10の運用を安定的に行うことが可能となる。
【0040】
[2]第2実施形態
次に第2実施形態について説明する。
図8は、第2実施形態の通信異常データ判別システム及び故障予測システムの機能構成説明図である。
図8において、図2の第1実施形態と同様の部分には、同一の符号を付すものとする。第2実施形態において、故障予測システム24は、第1実施形態と同様であるので、詳細な説明を援用するものとする。
第2実施形態の通信異常データ区間判別システム23Aは、関連端末登録機能F11、伝送経路確認機能F15及び情報解析機能F16を備えている。
【0041】
関連端末登録機能F11は、第1実施形態と同様に、注目している現地端末の関連端末を予め登録する機能である。
伝送経路確認機能F15は、現地端末に対し応答が得られる何らかの指示を出力し、その応答が有ったか否かを確認する機能である。例えば、指示としては、第1実施形態と同様に疎通確認コマンドを送出しても良い。
情報解析機能F16は、伝送経路確認機能F15による応答の有無に基づいて、通信異常の発生箇所を特定するための機能である。
【0042】
図9は、第2実施形態が適用される通信異常発生の説明図である。
図9に示すように交通系中央システム21及び施設系中央システム22のそれぞれに対し、現地端末としてのスイッチDEV11~DEV14がシリアルに接続され、スイッチ以外の現地端末である現地端末DEV15~DEV17がスイッチDEV14の下層に接続され、スイッチ以外の現地端末である現地端末DEV18がスイッチDEV13の下層に接続され、スイッチ以外の現地端末である現地端末DEV19がスイッチDEV14の下層に接続されているものとする。
【0043】
この場合において現地端末DEV17に通信異常が発生した場合には、通信異常データ判別システム23は、交通系中央システム21及び施設系中央システム22の下層に接続されている全ての現地端末に対して、疎通確認コマンドを伝送経路である通信ネットワークを介して送信して通信接続の状態を検出する。
【0044】
図10は、通信接続状態の検出結果の説明図である。
すなわち、スイッチDEV14の下層に接続され現地端末である現地端末DEV15~DEV17についての疎通確認ができなかった状態を示している。
【0045】
図11は、通信接続状態の検出結果の解析結果の説明図である。
しかしながら、現地端末であるスイッチDEV13については、現地端末DEV18及び現地端末DEV19については、疎通確認がなされているので、これらを解析すると、スイッチDEV13より下層の伝送経路において、通信異常が発生していることが明らかである。
【0046】
従って、図11に示した場合には、ステップS13の判断において、通信異常箇所は、スイッチDEV14であると特定され、伝送経路由来の通信異常と判断される。
【0047】
次に第2実施形態の道路管制システム10の要部動作について説明する。
図12は、第2実施形態の要部処理フローチャートである。
施設系中央システム22は、自己あるいは交通系中央システム21において通信異常データが発生すると(ステップS21)、その旨を通信異常データ区間判別システム23Aに通知する。
【0048】
これにより通信異常データ区間判別システム23Aの伝送経路確認機能F15は、伝送経路確認処理を行う(ステップS22)。
より詳細には、通信異常データ区間判別システム23Aは、現地端末の関連端末の全てに第1実施形態と同様の疎通確認コマンドを伝送経路である通信ネットワークを介して送信して通信接続の状態を検出する。
【0049】
そして、通信異常データ区間判別システム23Aの情報解析機能F16は、全ての現地端末の通信接続状況を自動解析し、原因箇所の診断を行う(ステップS23)。
続いて通信異常データ区間判別システム23Aは、解析結果は、伝送経路由来の通信異常で有るか否かを判断する(ステップS24)。
【0050】
ステップS24の判断において、解析結果が通信異常箇所は、スイッチDEV14であると特定された場合には、伝送経路由来の通信異常と判断され(ステップS24;Yes)、通信異常データ区間判別システム23Aは、伝送経路由来の通信異常と判断して、現地端末の故障予測の学習対象から除外する(ステップS26)。
【0051】
したがって、故障予測システム24の機械学習においては、当該通信異常データを現地端末の故障予測の学習対象とならないので、故障予測精度を高く維持することができる。
【0052】
ステップS24の判断において伝送経路由来の通信異常ではないとされた場合には(ステップS24;No)、通信異常データ判別システム23は、伝送経路由来の通信異常ではなく、現地端末由来の通信異常であると判断して、現地端末の故障予測の学習対象に取り込むこととなる(ステップS25)。
【0053】
これらの結果、故障予測システム24は、データ収集機能F21として機能し、通信異常データ区間判別システム23Aが現地端末由来の通信異常であると判断して、現地端末の故障予測の学習対象とした通信異常データを故障予測の学習対象として収集し、図示しないSSD等の外部記憶装置に格納する。
【0054】
続いて、故障予測システム24は、データクレンジング機能F22として機能し、データ収集機能F21で収集、格納したデータを、故障予測システム24が学習しやすいように加工する。
【0055】
さらに故障予測システム24は、学習機能F23として機能し、データクレンジング後の複数の通信異常データについて、機械学習を行って、現地端末の故障予測処理において予測精度を向上するための故障予測処理手順を改善する。
そして、故障予測システム24は、通信異常データの学習結果に基づいて得られた故障予測処理手順に基づいて現地端末の故障予測を行う。
【0056】
この場合において、現地端末の故障予測は、伝送経路に起因する通信異常を可能な限り排除した通信異常データに基づいて行われるので、それらが含まれてしまう場合と比較して、より正確に故障を予測することや、より正確に通信異常発生時の原因を特定することが可能となり、未然に現地端末の交換、修理などを行うことなどにより、道路管制システム10の運用を安定的に行うことが可能となる。
【0057】
以上の説明のように、実施形態のデータ処理装置によれば、学習により現地端末の故障予測を行う場合に、現地端末由来の通信異常と、伝送経路由来の通信異常と、を確実に識別して、学習の効率を向上させつつ、現地端末の故障予測精度を向上させることができる。
【0058】
以上の説明においては、通信異常データ判別システム23あるいは、通信異常データ区間判別システム23Aが、対象となる現地端末の通信異常の原因(現地端末由来または伝送経路由来)の検出のためにPing等の疎通確認コマンドを、通信ネットワークを介して送信する手法を用いる場合を例示した。これに対し、関連端末であって、トラフィックカウンタのように、定期的に計測値を交通系中央システム21あるいは施設系中央システム22に伝達している現地端末については、所定の伝達タイミングがあるので、所定の伝達タイミングで計測値が通常通り伝達されているか否かを判断することで、疎通確認コマンドの送信に代えて判断するようにしてもよい。
【0059】
また、交通系中央システム21あるいは施設系中央システム22側から情報板等に対して何らかの処理要求(例えば、状態確認要求、所定の文字または文字列の表示要求、あるいは模擬的な処理要求等)を行った場合に、当該要求に対して応答を返す現地端末であれば、応答の有無に基づいて通信異常を検出するように構成することも可能である。
【0060】
本実施形態の通信異常データ判別システムあるいは、通信異常データ区間判別システム23Aは、CPUなどの制御装置と、ROM(Read Only Memory)やRAMなどの記憶装置と、HDD、CDドライブ装置などの外部記憶装置と、さらには、必要に応じてディスプレイ装置などの表示装置と、キーボードやマウスなどの操作部として機能する入力装置を備えており、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成となっている。
【0061】
本実施形態の通信異常データ判別システムあるいは、通信異常データ区間判別システム23Aで実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルで、USBメモリ、SSD(Solid State Drive)等の半導体メモリ装置、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供される。
【0062】
また、本実施形態の通信異常データ判別システムあるいは、通信異常データ区間判別システム23Aで実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施形態の通信異常データ判別システムで実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0063】
また、本実施形態の通信異常データ判別システムあるいは、通信異常データ区間判別システム23Aのプログラムを、ROM等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。
【0064】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0065】
10 道路管制システム
11 管制システム
12 基幹ネットワーク
13 現地端末群
21 交通系中央システム
22 施設系中央システム
23 通信異常データ判別システム
23A 通信異常データ区間判別システム
24 故障予測システム
31A ローカルネットワーク
32 交通設備
34 子局
35 ETC設備
DEV1~DEV3 スイッチ
DEV4 情報板
DEV5 速度表示板
DEV6 トラフィックカウンタ
DEV7 速度表示板
DEV11~DEV14 スイッチ
DEV15~DEV19 現地端末
DEV21 スイッチ
DEV22~DEV26 現地端末
F11 関連端末登録機能
F12 同時多発異常検知機能
F15 伝送経路確認機能
F16 情報解析機能
F21 データ収集機能
F22 データクレンジング機能
F23 学習機能
F24 予測機能
図1
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図12