(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087321
(43)【公開日】2024-07-01
(54)【発明の名称】商品陳列装置
(51)【国際特許分類】
A47F 3/04 20060101AFI20240624BHJP
【FI】
A47F3/04 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022202077
(22)【出願日】2022-12-19
(71)【出願人】
【識別番号】722012006
【氏名又は名称】サンデン・リテールシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100217076
【弁理士】
【氏名又は名称】宅間 邦俊
(72)【発明者】
【氏名】坂本 卓人
【テーマコード(参考)】
3B110
【Fターム(参考)】
3B110AA06
3B110AA12
3B110BA04
3B110CA12
(57)【要約】
【課題】棚板に陳列された商品の賞味/消費期限の確認作業の煩わしさを軽減し、前記商品の賞味/消費期限の確認作業に要する時間を短縮することを可能とする商品陳列装置を提供する。
【解決手段】商品陳列装置5は、上下方向に互いに間隔をあけて配置された複数の棚板57を有する。複数の棚板57は、支持部60によって通常位置から後方に引き出されること及び引き出された後に前記通常位置に戻ることが可能に支持された少なくとも一つの可動棚板を含む。前記少なくとも一つの棚板は、前記通常位置にあるとき、商品が陳列される商品陳列面571が後部から前部に向かって下向きに傾斜し、前記通常位置から後方に引き出された所定の引き出し位置において商品陳列面571が水平となるように構成されている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に互いに間隔をあけて配置された複数の棚板を有する商品陳列装置であって、
前記複数の棚板は、支持部によって通常位置から後方に引き出されること及び引き出された後に前記通常位置に戻ることが可能に支持された少なくとも一つの可動棚板を含み、
前記少なくとも一つの可動棚板は、前記通常位置にあるとき、商品が陳列される商品陳列面が後部から前部に向かって下向きに傾斜し、前記通常位置から後方に引き出された所定の引き出し位置において前記商品陳列面が水平となるように構成されている、
商品陳列装置。
【請求項2】
前記少なくとも一つの可動棚板は、前記通常位置から後方に引き出されるにつれて前部が上昇するように回動することにより前記所定の引き出し位置において前記商品陳列面が水平となるように構成されている、請求項1に記載の商品陳列装置。
【請求項3】
前記支持部は、
後部から前部に向かって下向き傾斜した傾斜面を有し、対応する可動棚板の前部側の所定部位が前記傾斜面に前後方向に移動可能に載置される棚受け部材と、
前記棚受け部材に取り付けられて前後方向に伸縮する伸縮機構であって、前記対応する可動棚板が後部側を中心に回動可能に取り付けられ、前記対応する可動棚板が前記通常位置から後方に引き出される場合に伸長し、前記対応する可動棚板が前記通常位置に戻る場合に収縮する伸縮機構と、
を含む、請求項2に記載の商品陳列装置。
【請求項4】
前記伸縮機構は、前記棚受け部材に取り付けられたキャビネットメンバーと、前記キャビネットメンバーから後方に引き出されること及び引き出された後に元に戻ることが可能なドロワーメンバーとを含み、前記ドロワーメンバーに、前記対応する可動棚板が後部側を中心に回動可能に取り付けられている、請求項3に記載の商品陳列装置。
【請求項5】
前記伸縮機構は、前記対応する可動棚板が前記通常位置に戻るときの前記対応する可動棚板の速度を減衰させる減衰機能を有する、請求項3に記載の商品陳列装置。
【請求項6】
前記少なくとも一つの可動棚板は、保持機構によって前記所定の引き出し位置に保持されるように構成されている、請求項1に記載の商品陳列装置。
【請求項7】
前記保持機構は、対応する可動棚板が前記所定の引き出し位置から前方に移動しないように前記対応する可動棚板をロックし、前記対応する可動棚板が前記所定の引き出し位置からさらに後方に引き出されることにより前記対応する可動棚板に対するロックを解除するように構成されている、請求項6に記載の商品陳列装置。
【請求項8】
ウォークインタイプの冷蔵庫内又は冷凍庫内に配置される、請求項1~7のいずれか一つに記載の商品陳列装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品が陳列される棚板を有する商品陳列装置に関する。
【背景技術】
【0002】
商品陳列装置の一例として、特許文献1に記載された陳列装置が知られている。特許文献1に記載された陳列装置は、ウォークインタイプの冷蔵・冷凍庫内に配置される。特許文献1に記載された陳列装置は、上下方向に互いに間隔をあけて配置された複数の棚板を有すると共に、各棚板の傾斜姿勢を変更することができるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ウォークインタイプの冷蔵・冷凍庫においても、店員等は、定期的に又は任意のタイミングで商品陳列装置の棚板に陳列された商品の賞味/消費期限を確認する必要がある。しかし、商品陳列装置の棚板には多数の商品が陳列されることから、商品陳列装置の前方や後方から棚板に陳列された全ての商品の賞味/消費期限を確認することは難しい。そのため、店員等は、棚板からそこに陳列された全ての商品を一旦取り出さざるを得ず、棚板に陳列された商品の賞味/消費期限の確認作業が煩わしく、且つ、時間もかかるという課題があった。
【0005】
なお、このような課題は、ウォークインタイプの冷蔵・冷凍庫に設置される商品陳列装置に限られるものではなく、同様の構成を有する商品陳列装置に共通するものである。
【0006】
そこで、本発明は、棚板に陳列された商品の賞味/消費期限の確認作業の煩わしさを軽減し、前記商品の賞味/消費期限の確認作業に要する時間を短縮することを可能とする商品陳列装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面によると、商品陳列装置は、上下方向に互いに間隔をあけて配置された複数の棚板を有し、前記複数の棚板は、支持部によって通常位置から後方に引き出されること及び引き出された後に前記通常位置に戻ることが可能に支持された少なくとも一つの可動棚板を含む。前記少なくとも一つの可動棚板は、前記通常位置にあるとき、商品が陳列される商品陳列面が後部から前部に向かって下向きに傾斜し、前記通常位置から後方に引き出された所定の引き出し位置において前記商品陳列面が水平となるように構成されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、棚板に陳列された商品の賞味/消費期限の確認作業の煩わしさを軽減し、前記商品の賞味/消費期限の確認作業に要する時間を短縮することを可能とする商品陳列装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係る商品陳列装置が用いられたウォークインタイプの冷凍庫又は冷蔵庫の概略構成を示す図である。
【
図5】複数の棚板が後方に引き出された状態の商品陳列装置を示す図である。
【
図6】棚板を示す図であり、(a)は棚板の正面側斜視図、(b)は(a)のA-A断面図、(c)は(a)のB-B断面図である。
【
図7】棚板を前後方向に移動可能に支持する支持部(左側支持部、右側支持部)の正面側斜視図である。
【
図8】第1伸縮機構が縮んでいるときの左側支持部を示す図である。
【
図9】第1伸縮機構が延びているときの左側支持部を示す図である。
【
図10】第2伸縮機構が縮んでいるときの右側支持部を示す図である。
【
図11】第2伸縮機構が延びているときの右側支持部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。なお、本明細書において、左(側)及び右(側)とは、前方から見て左(側)及び右(側)のことをいう。また、第1、第2、・・・などの用語は、単に類似する要素を区別するために用いられ、それらが付された要素を限定するものではない。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態に係る商品陳列装置が用いられたウォークインタイプの冷凍庫又は冷蔵庫(以下「ウォークイン冷凍・冷蔵庫」という)の概略構成を示している。
図1に示されたウォークイン冷凍・冷蔵庫1は、コンビニエンスストアやスーパーマーケットなどの小売店の店舗内に設置される。なお、ウォークイン冷凍・冷蔵庫1は、ウォークインショーケースと称されることもある。
【0012】
図1を参照すると、ウォークイン冷凍・冷蔵庫1は、前面に開口を有する箱型に形成されている。ウォークイン冷凍・冷蔵庫1は、例えば断熱パネルを組み立てることによって形成され得る。ウォークイン冷凍・冷蔵庫1の前記開口は、幅方向(左右方向)に並んだ複数(ここでは4枚)の開閉自在な透明扉(例えばガラス扉)3によって覆われている。複数の透明扉3のそれぞれの内側には商品陳列装置5が配置されている。商品陳列装置5は、後述するように、複数の棚板57を有しており、複数の棚板57のそれぞれには、複数の商品(例えば容器入り飲料)が陳列(載置)される。顧客等は、透明扉3を開くことにより、対応する(すなわち、開かれた透明扉3のすぐ内側にある)商品陳列装置5の複数の棚板57のいずれかに陳列(載置)された商品を取り出すことができる。
【0013】
ウォークイン冷凍・冷蔵庫1内における複数の商品陳列装置5の後方には店員等が作業を行うための作業スペースSが設けられている。前記作業は、棚板57への商品の陳列及び補充、並びに棚板57に陳列された商品の賞味/消費期限の確認などを含む。作業スペースSは、陳列・補充用の商品を保管するためにも利用可能である。店員等は、ウォークイン冷凍・冷蔵庫1の左側面に設けられた作業用扉7を介して作業スペースSに出入りすることが可能である。
【0014】
ウォークイン冷凍・冷蔵庫1内において、例えば作業スペースSの上部には冷却ユニット9が設置されている(図中二点鎖線で示されている)。冷却ユニット9は、冷却器及びファン(いずれも図示省略)などを含み、前記冷却器によって冷却された空気を前記ファンによって送風することでウォークイン冷凍・冷蔵庫1内を冷却する。これにより、各商品陳列装置5の各棚板57に陳列された商品や作業スペースSに保管された商品などが冷却される。
【0015】
(商品陳列装置5)
図2~
図4は、商品陳列装置5を示している。
図2は、商品陳列装置5の正面側斜視図であり、
図3は、商品陳列装置5の左側面図であり、
図4は、商品陳列装置5の右側面図である。
【0016】
図2~
図4を参照すると、商品陳列装置5は、前後左右に配置された合計4本の支柱を有している。これらの支柱は、上面視で矩形領域の四隅に位置するように、互いに間隔をあけて立設されている。具体的には、商品陳列装置5は、前方から見て左手前側に位置する第1支柱51と、前方から見て左奥側に位置する第2支柱52と、前方から見て右手前側に位置する第3支柱53と、前方から見て右奥側に位置する第4支柱54とを有している。そして、第1~第4支柱51~54の上部に上面視で矩形状の天板55が固定され、第1~第4支柱51~54の下部に上面視で矩形状の底板56が固定されている。
【0017】
天板55と底板56との間には複数(ここでは3つ)の棚板57が設けられている。複数の棚板57は、上下方向に互いに間隔をあけて配置されている。複数の棚板57のそれぞれは、上面視で矩形状に形成されている。
【0018】
商品陳列装置5においては、
図3及び
図4に二点鎖線で示されるように、複数の商品Pが複数の棚板57のそれぞれの上面に陳列(載置)される。つまり、複数の棚板57のそれぞれの上面は、商品Pが陳列(載置)される商品陳列面(商品載置面)571を構成している。
【0019】
本実施形態において、複数の棚板57のそれぞれは、支持部60によって前後方向に移動可能に支持されている。具体的には、商品陳列装置5には、複数の棚板57と同数の支持部60が設けられ、複数の棚板57のそれぞれは、対応する支持部60によって、
図2~
図4に示された通常位置から
図5に示された所定の引き出し位置へと後方に引き出されること及び引き出された後に前記通常位置に戻ることが可能に支持されている。つまり、本実施形態においては、複数の棚板57の全部が、支持部60によって前後方向に移動可能に支持された「可動棚板」、さらに言えば、支持部60によって前記通常位置から後方に引き出されること及び引き出された後に前記通常位置に戻ることが可能に支持された「可動棚板」として構成されている。
【0020】
複数の棚板57、すなわち、複数の可動棚板のそれぞれは、前記通常位置にあるとき、商品陳列面571が後部から前部に向かって下向きに傾斜し、前記通常位置から後方に引き出された前記所定の引き出し位置において商品陳列面571が水平(厳密に水平である必要はなく、概ね水平であればよい。)となるように構成されている。
【0021】
次に、棚板57(可動棚板)、支持部60、及び、支持部60による棚板57(可動棚板)の支持構造について具体的に説明する。
【0022】
(棚板57)
図6は、棚板57を示している。
図6(a)は、棚板57の正面側斜視図であり、
図6(b)は、
図6(a)のA-A断面図であり、
図6(c)は、
図6(a)のB-B断面図である。
【0023】
図6(a)~
図6(c)を参照すると、棚板57は、上面が商品陳列面571を構成する平板状の棚本体572と、左側板573Lと、左側板573Lと対をなす右側板573Rとを有する。
【0024】
左側板573Lは、棚本体572の左端部から下方に延びている。左側板573Lの内面の前部側には前後方向に回転自在な第1コロ部材(又はローラ)575Lが取り付けられている。また、左側板573Lには、後部から前部に向かって、第1丸孔576Lと、上下方向に延びる円弧状の第1長孔577Lと、上下方向に延びると共に第1長孔577Lよりも長い円弧状の第2長孔578Lとが互いに離隔してこの順に形成されている。
【0025】
右側板573Rは、棚本体572の右端部から下方に延びている。右側板573Rの内面の前部側には前後方向に回転自在な第2コロ部材(又はローラ)575Rが取り付けられている。右側板573Rには、後部から前部に向かって、第2丸孔576Rと、上下方向に延びる円弧状の第3長孔577Rと、上下方向に延びると共に第3長孔577Rよりも長い円弧状の第4長孔578Rとが互いに離隔してこの順に形成されている。ここで、第2コロ部材575Rは第1コロ部材575Lに対応し、第2丸孔576Rは第1丸孔576Lに対応し、第3長孔577Rは第1長孔577Lに対応し、第4長孔578Rは第2長孔578Lに対応している。
【0026】
(支持部60)
図7は、棚板57を前後方向に移動可能に支持する支持部60を示す正面側斜視図である。支持部60は、左側支持部60Lと、左側支持部60Lと対をなす右側支持部60Rとを含む。
【0027】
左側支持部60Lは、第1支柱51及び第2支柱52に取り付けられている。左側支持部60Lは、前後方向に延びて第1支柱51及び第2支柱52に固定された第1棚受け部材61Lと、第1棚受け部材61Lに取り付けられて前後方向に伸縮する第1伸縮機構63Lとを含む。
【0028】
右側支持部60Rは、左側支持部60Lに対応する位置で第3支柱53及び第4支柱54に取り付けられている。右側支持部60Rは、前後方向に延びて第3支柱53及び第4支柱54に固定された第2棚受け部材61Rと、第2棚受け部材61Rに取り付けられて前後方向に伸縮する第2伸縮機構63Rとを含む。
【0029】
(左側支持部60L)
図8及び
図9は、左側支持部60Lを示している。
図8は、第1伸縮機構63Lが縮んでいるときの左側支持部60Lを示す図であり、
図9は、第1伸縮機構63Lが延びているときの左側支持部60Lを示す図である。
【0030】
図7~
図9を参照すると、第1棚受け部材61Lの上面は、後部から前部に向かって下向きに傾斜した第1傾斜面611Lを含む。つまり、第1棚受け部材61Lは、後部から前部に向かって下向きに傾斜した第1傾斜面611Lを有する。特に限定されないが、本実施形態において、第1棚受け部材61Lの上面の第1傾斜面611Lより後部側は、第1傾斜面611Lに連続する水平面となっている。
【0031】
第1伸縮機構63Lは、第1キャビネットメンバー631Lと、第1ドロワーメンバー633Lと、第1中間メンバー635Lとを含む。第1キャビネットメンバー631Lは、第1棚受け部材61Lの外側面に固定されている。第1ドロワーメンバー633Lは、第1キャビネットメンバー631Lから後方に引き出されること及び引き出された後に前方に戻ることが可能に構成されている。第1中間メンバー635Lは、第1キャビネットメンバー631Lと第1ドロワーメンバー633Lとを互い対して前後方向に相対移動可能に連結している。
【0032】
つまり、本実施形態において、第1伸縮機構63Lは、スライドレールによって構成されている。そして、第1伸縮機構63Lは、第1ドロワーメンバー633Lが第1キャビネットメンバー631Lから後方に引き出されることにより伸長し(
図8→
図9)、引き出された第1ドロワーメンバー633Lが元の位置(前方)に戻ることにより収縮する(
図9→
図8)ように構成されている。また、第1ドロワーメンバー633Lには棚板57を取り付けるための3つのネジ穴21Lが形成されている。
【0033】
(右側支持部60R)
図10及び
図11は、右側支持部60Rを示している。
図10は、第2伸縮機構63Rが縮んでいるときの右側支持部60Rを示す図であり、
図11は、第2伸縮機構63Rが延びているときの右側支持部60Rを示す図である。
【0034】
図7、
図10及び
図11を参照すると、第2棚受け部材61Rの上面は、後部から前部に向かって下向きに傾斜した第2傾斜面611Rを含む。すなわち、第2棚受け部材61Rは、後部から前部に向かって下向きに傾斜した第2傾斜面611Rを有する。特に限定されないが、本実施形態において、第2棚受け部材61Rの上面の第2傾斜面611Rより後部側は、第2傾斜面611Rに連続する水平面となっている。
【0035】
第2伸縮機構63Rは、第2キャビネットメンバー631Rと、第2ドロワーメンバー633Rと、第2中間メンバー635Rとを含む。第2キャビネットメンバー631Rは、第2棚受け部材61Rの外側面に固定されている。第2ドロワーメンバー633Rは、第2キャビネットメンバー631Rから後方に引き出されること及び引き出された後に前方に押し戻されることが可能に構成されている。第2中間メンバー635Rは、第2キャビネットメンバー631Rと第2ドロワーメンバー633Rとを互い対して前後方向に相対移動可能に連結している。
【0036】
つまり、本実施形態において、第2伸縮機構63Rは、第1伸縮機構63Lと同様、スライドレールによって構成されている。そして、第2伸縮機構63Rは、第2ドロワーメンバー633Rが第2キャビネットメンバー631Rから後方に引き出されることにより伸長し(
図10→
図11)、引き出された第2ドロワーメンバー633Rが元の位置(前方)に戻ることにより収縮(
図11→
図10)するように構成されている。また、第2ドロワーメンバー633Rには棚板57を取り付けるための3つのネジ穴21Rが形成されている。
【0037】
(支持部60による棚板57の支持構造)
本実施形態において、棚板57は、第1伸縮機構63L及び第2伸縮機構63Rに対して後部側を中心に回動可能に取り付けられている。
【0038】
具体的には、棚板57は、左側板573Lが、第1丸孔576L、第1長孔577L及び第2長孔578Lに挿通され且つ第1伸縮機構63Lの第1ドロワーメンバー633Lに形成された3つのネジ穴21Lに螺合される3つの段付きボルト23Lによって第1ドロワーメンバー633Lに取り付けられる(
図3参照)。また、棚板57は、右側板573Rが、第2丸孔576R、第3長孔577R及び第4長孔578Rに挿通され且つ第2伸縮機構63Rの第2ドロワーメンバー633Rに形成された3つのネジ穴21Rに螺合される3つの段付きボルト23Rによって第2ドロワーメンバー633Rに取り付けられる(
図4参照)。これにより、棚板57は、後部側の第1丸孔576L及び第2丸孔576Rを中心に回動可能に、第1伸縮機構63L(の第1ドロワーメンバー633L)及び第2伸縮機構63R(の第2ドロワーメンバー633R)に取り付けられる。また、棚板57は、第1伸縮機構63L及び第2伸縮機構63Rが伸長することで後方に移動し、第1伸縮機構63L及び第2伸縮機構63Rが収縮することで前方に移動する。
【0039】
また、本実施形態において、棚板57は、前部側の所定部位が第1棚受け部材61Lの第1傾斜面611L上及び第2棚受け部材61Rの第2傾斜面611R上に前後方向に移動可能に載置される。
【0040】
具体的には、棚板57の第1コロ部材575Lが第1棚受け部材61Lの第1傾斜面611Lに転動可能に載置され、棚板57の第2コロ部材575Rが第2棚受け部材61Rの第2傾斜面に転動可能に載置される。これにより、棚板57が前後方向に移動すると、棚板57の前部側は、第1棚受け部材61Lの第1傾斜面611L及び第2棚受け部材61Rの第2傾斜面611Rに沿って(追従して)移動することになる。
【0041】
このように、本実施形態において、棚板57は、第1伸縮機構63L及び第2伸縮機構63Rに対して後部側を中心に回動可能に取り付けられると共に、前部側の前記所定部位が第1棚受け部材61Lの第1傾斜面611L上及び第2棚受け部材61Rの第2傾斜面611R上に前後方向に移動可能に載置される。
【0042】
そして、第1伸縮機構63L及び第2伸縮機構63Rが縮んだ状態にあるとき、棚板57は、前記通常位置に配置される。このとき、上述のように、棚板57の商品陳列面571は、後部から前部に向かって下向きに傾斜している(
図3、
図4等参照)。
【0043】
棚板57は、第1伸縮機構63L及び第2伸縮機構63Rが伸長することにより、つまり、第1ドロワーメンバー633Lが第1キャビネットメンバー631Lから後方に引き出され、及び第2ドロワーメンバー633Rが第2キャビネットメンバー631Rから引き出されることにより、前記通常位置から後方に移動する(後方に引き出される)。その際、棚板57の前部側の前記所定部位は、第1棚受け部材61Lの第1傾斜面611L及び第2棚受け部材61Rの第2傾斜面611Rに沿って移動する。ここで、棚板57は、第1伸縮機構63L及び第2伸縮機構63Rに対して後部側を中心に回動可能に取り付けられており、第1棚受け部材61Lの第1傾斜面611L及び第2棚受け部材61Rの第2傾斜面611Rは、後部から前部に向かって下向きに傾斜している。そのため、棚板57は、前記通常位置から後方に移動する(後方に引き出される)につれて前部側が上昇するように回動する。そして、棚板57が前記所定の引き出し位置まで引き出されると、棚板57の商品陳列面571は水平となる(
図5参照)。
【0044】
また、前記所定の引き出し位置にある棚板57は、伸びた状態にある第1伸縮機構63L及び第2伸縮機構63Rが収縮することにより、つまり、引き出された第1ドロワーメンバー633Lが前方に戻り、及び引き出された第2ドロワーメンバー633Rが前方に戻ることにより、上述の後方への移動(後方への引き出し)とは逆に動作して前記通常位置に戻る。つまり、棚板57は、前記所定の引き出し位置から前方に移動する(前方に戻される)につれて前部側が下降するように回動し、棚板57の商品陳列面571は後部から前部に向かって下向きに傾斜する。
【0045】
ところで、上述のように、本実施形態において、第1棚受け部材61Lの第1傾斜面611L及び第2棚受け部材61Rの第2傾斜面611Rは、後部から前部に向かって下向きに傾斜している。そのため、前記所定の引き出し位置に引き出された棚板57が自重によって勝手に前記通常位置に戻ってしまうおそれがある。これを防止するため、本実施形態において、棚板57は、保持機構によって前記所定の引き出し位置に保持されるように構成されている。換言すれば、商品陳列装置5は、複数の棚板57のそれぞれを前記所定の引き出し位置に保持するための保持機構を有している。
【0046】
特に限定されないが、本実施形態において、前記保持機構は、支持部60に設けられている。具体的には、前記保持機構は、左側支持部60Lに設けられた左側プッシュラッチ70L及び右側支持部60Rに設けられた右側プッシュラッチ70Rによって構成されている(
図8~
図11参照)。
【0047】
図8及び
図9を参照すると、左側プッシュラッチ70Lは、第1ブラケット81Lを介して第1棚受け部材61Lの後端部近傍に取り付けられた第1ラッチ本体71Lと、第2ブラケット83Lを介して第1伸縮機構63Lの第1ドロワーメンバー633Lの前端部近傍に取り付けられた第1ストライク部材73Lとを含む。そして、第1ドロワーメンバー633Lが第1キャビネットメンバー631Lから後方に引き出されることにより、第1ストライク部材73Lが第1ラッチ本体71Lに向かって移動する。
【0048】
左側プッシュラッチ70Lは、第1ドロワーメンバー633Lが第1キャビネットメンバー631Lから後方に引き出され、すなわち、棚板57が前記通常位置から後方に引き出され、棚板57が前記所定の引き出し位置に到達すると、第1ラッチ本体71Lと第1ストライク部材73Lが係合するように構成されている(
図9参照)。そして、第1ラッチ本体71Lと第1ストライク部材73Lが係合すると、第1ドロワーメンバー633Lの前方への移動が阻止され、これによって、棚板57が前記所定の引き出し位置から前方に移動しないようにロックされる。
【0049】
また、左側プッシュラッチ70Lは、第1ラッチ本体71Lと第1ストライク部材73Lが係合している状態で第1ドロワーメンバー633Lがさらに後方に引き出されると、すなわち、前記所定の引き出し位置にある棚板57がさらに後方に引き出されると、第1ラッチ本体71Lと第1ストライク部材73Lの係合を解除するように構成されている。そして、第1ラッチ本体71Lと第1ストライク部材73Lの係合が解除されると、第1ドロワーメンバー633Lの前方への移動の阻止が解除され、棚板57に対するロックも解除される。
【0050】
図10及び
図11を参照すると、右側プッシュラッチ70Rは、左側プッシュラッチ70Lと同様の構成を有する。すなわち、左側プッシュラッチ70Lは、第3ブラケット81Rを介して第2棚受け部材61Rの後端部近傍に取り付けられた第2ラッチ本体71Rと、第4ブラケット83Rを介して第2伸縮機構63Rの第2ドロワーメンバー633Rの先端部近傍に取り付けられた第2ストライク部材73Rとを含む。そして、第2ドロワーメンバー633Rが第2キャビネットメンバー631Rから後方に引き出されることにより、第2ストライク部材73Rが第2ラッチ本体71Rに向かって移動する。
【0051】
右側プッシュラッチ70Rは、第2ドロワーメンバー633Rが第2キャビネットメンバー631Rから後方に引き出され、すなわち、棚板57が前記通常位置から後方に引き出され、棚板57が前記所定の引き出し位置に到達すると、第2ラッチ本体71Rと第2ストライク部材73Rが係合するように構成されている(
図11参照)。そして、第2ラッチ本体71Rと第2ストライク部材73Rが係合すると、第2ドロワーメンバー633Rの前方への移動が阻止され、これによって、前記所定の引き出し位置から前方に移動しないように棚板57がロックされる。
【0052】
また、右側プッシュラッチ70Rは、第2ラッチ本体71Rと第2ストライク部材73Rが係合している状態で第2ドロワーメンバー633Rがさらに後方に引き出されると、すなわち、前記所定の引き出し位置にある棚板57がさらに後方に引き出されると、第2ラッチ本体71Rと第2ストライク部材73Rの係合を解除するように構成されている。そして、第2ラッチ本体71Rと第2ストライク部材73Rの係合が解除されると、第2ドロワーメンバー633Rの前方への移動の阻止が解除され、棚板57に対するロックも解除される。
【0053】
左側プッシュラッチ70Lによる棚板57に対するロック及び右側プッシュラッチ70Rによる棚板57に対するロックが解除されると、棚板57は、前方に移動すること、すなわち、前記通常位置に戻ることが可能となる。
【0054】
このように、本実施形態では、前記所定の引き出し位置に引き出された棚板57が自重によって勝手に前記通常位置に戻ることは防止されているが、棚板57が前記所定の引き出し位置から前記通常位置に戻るときに不用意に加速してしまうことも懸念される。そのため、棚板57は、前記所定の引き出し位置から前記通常の位置に戻るときの速度が減衰されるように構成されるのが好ましい。この点に関し、本実施形態において、第1伸縮機構63L及び第2伸縮機構63Rのそれぞれは、棚板57が前記所定の引き出し位置から前記通常の位置に戻るときの速度を減衰させる減衰機能を有するように構成されている。具体的には、第1伸縮機構63Lを構成するスライドレール及び第2伸縮機構63Rを構成するスライドレールとしてダンパー付きのスライドレールが採用されている。
【0055】
実施形態に係る商品陳列装置5によれば、以下のような効果が得られる。
【0056】
複数の棚板57のそれぞれは、支持部60によって通常位置から後方に引き出されること、及び引き出された後に前記通常位置に戻ることが可能に支持されている。つまり、複数の棚板57のそれぞれが可動棚板として構成されている。また、複数の棚板57のそれぞれは、前記通常位置にあるとき、商品陳列面571が後部から前部に向かって下向きに傾斜し、前記通常位置から後方に引き出された所定の引き出し位置において商品陳列面571が水平となるように構成されている。
【0057】
このような構成によれば、店員等は、例えば棚板57を前記所定の引き出し位置まで引き出し、引き出された棚板57の後側、左側又は右側に位置した状態で棚板57に陳列された商品を個別に持ち上げて当該商品の賞味/消費期限を確認することが可能である。つまり、店員等は、棚板57に陳列された個々の商品の賞味/消費期限を確認するために棚板57に陳列された全ての商品を取り出す必要がない。そのため、従来に比べて、棚板57に陳列された商品の賞味/消費期限の確認作業の煩わしさが軽減され得、棚板57に陳列された商品の賞味/消費期限の確認作業に要する時間も短縮され得る。
【0058】
また、複数の棚板57のそれぞれは、前記通常位置から後方に引き出されるにつれて前部が上昇するように回動することにより前記所定の引き出し位置において前記商品陳列面が水平となるように構成されている。
【0059】
具体的には、棚板57を支持する支持部60は、左側支持部60Lと右側支持部60Rとを含み、左側支持部60L及び右側支持部60Rのそれぞれは、棚受け部材(第1棚受け部材61L、第2棚受け部材61R)と、前記棚受け部材に取り付けられて前後方向に伸縮する伸縮機構(第1伸縮機構63L、第2伸縮機構63R)とを含む。前記棚受け部材(第1棚受け部材61L、第2棚受け部材61R)は、後部から前部に向かって下向きに傾斜する傾斜面(第1傾斜面611L、第2傾斜面611R)を有し、棚板57の前部側の所定部位が前記傾斜面に前後方向に可能に載置されるように構成されている。前記伸縮機構(第1伸縮機構63L、第2伸縮機構63R)は、棚板57が後部側を中心に回動可能に取り付けられ、棚板57が前記通常位置から後方に引き出される場合に伸長し、棚板57が前記通常位置に戻る場合に収縮するように構成されている。
【0060】
このような構成によれば、前記通常位置から引き出されるときの棚板57の姿勢変化及び前記通常位置に戻るときの棚板57の姿勢変化が比較的緩やかであり得る。また、棚板57が前記通常位置から前記所定の引き出し位置へと引き出されるときに棚板57に陳列された商品が直上の棚板57に接触したり、衝突したりすることもない。そのため、陳列された商品に損傷等を与えることが防止され得る。
【0061】
また、前記伸縮機構(第1伸縮機構63L、第2伸縮機構63R)は、棚板57が前記通常位置に戻るときの速度を減衰させる減衰機能を有するように構成されている。そのため、棚板57が前記所定の引き出し位置から前記通常位置に戻るときに不用意に加速すること、ひいては、陳列された商品に衝撃を与えることが抑制され得る。
【0062】
また、複数の棚板57のそれぞれは、前記保持機構(左側プッシュラッチ70L、右側プッシュラッチ70R)によって前記所定の引き出し位置に保持されるように構成されている。そのため、店員等は、前記所定の引き出し位置に引き出された棚板57を保持する必要がなく、棚板57に陳列された商品の賞味/消費期限の確認作業を行う際の店員等の負担が軽減され得る。
【0063】
特に、前記保持機構(左側プッシュラッチ70L、右側プッシュラッチ70R)は、棚板57が前記所定の引き出し位置から前方に移動しないように棚板57をロックすると共に、棚板57が前記所定の引き出し位置からさらに引き出されることにより棚板57に対するロックを解除するように構成されている。そのため、ロックが解除されると同時に棚板57が勝手に動き出してしまうこと、すなわち、店員等の意図しない棚板57の動きが防止され得る。
【0064】
なお、上述の実施形態において、商品陳列装置5は、ウォークイン冷凍・冷蔵庫1内に配置されている。しかし、これに限られるものではない。商品陳列装置5は、常温環境に配置されてもよいし、卓上などに設置されてもよい。
【0065】
また、上述の実施形態においては、複数の棚板57の全てが支持部60によって前記通常位置から後方に引き出されること及び引き出された後に前記通常位置に戻ることが可能に支持された可動棚板として構成されている。しかし、これに限られるものではない。複数の棚板57のうちの少なくとも一つが可動棚板として構成されていればよい。例えば、商品陳列装置5が2つ(2段)の棚板57を有する場合、上側(上段)の棚板57のみが可動棚板として構成されてもよい。あるいは、複数の棚板57のうち、上側(上段側)に位置する一つ又は複数の棚板57が可動棚板として構成され、下側(下段側)に位置する残りの棚板57が非可動棚板(固定棚板)として構成されてもよい。
【0066】
また、上述の実施形態において、複数の棚板57のそれぞれを前記所定の引き出し位置に保持するための前記保持機構は、左側プッシュラッチ70L及び右側プッシュラッチ70Rによって構成されている。しかし、これに限られるものではない。前記保持機構は、左側プッシュラッチ70L又は右側プッシュラッチ70Rによって構成されてもよい。あるいは、マグネットキャッチなどの他の構成の保持機構が用いられてもよい。
【0067】
また、上述の実施形態において、第1伸縮機構63L及び第2伸縮機構63Rは、棚板57が前記所定の引き出し位置から前記通常の位置に戻るときの棚板57の速度を減衰させる減衰機能を有して構成されている。しかし、これに限られるものではない。第1伸縮機構63L又は第2伸縮機構63Rが減衰機能を有して構成されてもよい。
【0068】
また、上述の実施形態において、第1伸縮機構63Lを構成するスライドレール及び第2伸縮機構63Rを構成するスライドレールとしてダンパー付きのスライドレールが採用されている。つまり、第1伸縮機構63L及び第2伸縮機構63Rが前記減衰機能を内蔵している。しかし、これに限られるものではない。棚板57が前記所定の引き出し位置から前記通常の位置に戻るときの棚板57の速度を減衰させる減衰機構が第1伸縮機構63L及び/又は第2伸縮機構63Rとは別体で設けられてもよい。例えば、第1伸縮機構63L及び/又は第2伸縮機構63Rの伸縮動作に連動するロータとワンウエイロータリダンパと組み合わせが前記減衰機構として設けられてもよい。あるいは、第1コロ部材575Lが第1ピニオンギヤに代えられると共に第1傾斜面611Lに第1ピニオンギヤにかみ合う第1ラックギヤが形成され、及び/又は、第2コロ部材575Rが第2ピニオンギヤに代えられると共に第2傾斜面611Rに第2ピニオンギヤにかみ合う第2ラックギヤが形成され、第1ピニオンギヤ及び/又は第2ピニオンギヤにワンウエイロータリダンパが組み合わされてもよい。
【0069】
以上、本発明の実施形態及びいくつかの変形例について説明したが、本発明は、上述の実施形態や変形例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいてさらなる変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0070】
1…ウォークイン冷凍・冷蔵庫、5…商品陳列装置、57…棚板、60…支持部、60L…左側支持部、60R…右側支持部、61L…第1棚受け部材、61R…第2棚受け部材、63L…第1伸縮機構、63R…第2伸縮機構、70L…左側プッシュラッチ(保持機構)、70R…右側プッシュラッチ(保持機構)、71L…第1ラッチ本体、71R…第2ラッチ本体、73L…第1ストライク部材、73R…第2ストライク部材、631L…第1キャビネットメンバー、631R…第2キャビネットメンバー、633L…第1ドロワーメンバー、633R…第2ドロワーメンバー、635L…第1中間メンバー、635R…第2中間メンバー