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▶ 住友重機械搬送システム株式会社の特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087338
(43)【公開日】2024-07-01
(54)【発明の名称】自動倉庫システム
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/00 20060101AFI20240624BHJP
【FI】
B65G1/00 501C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022202107
(22)【出願日】2022-12-19
(71)【出願人】
【識別番号】503002732
【氏名又は名称】住友重機械搬送システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100116274
【弁理士】
【氏名又は名称】富所 輝観夫
(72)【発明者】
【氏名】柴田 裕輔
【テーマコード(参考)】
3F022
【Fターム(参考)】
3F022FF01
3F022JJ11
3F022MM01
3F022MM17
3F022PP06
3F022QQ12
(57)【要約】
【課題】本開示の目的の一つは、保管列の任意の位置に荷を搬送可能な自動倉庫システムを提供することにある。
【解決手段】ある態様の自動倉庫システム100は、それぞれ荷を保管可能な複数の保管部52を第1方向に配列してなる保管列53と、荷を搭載して保管列53を第1方向に移送する移送手段74と、を備える。保管列53は、第1方向に所定の間隔で配置された複数のマーク6を有する。移送手段74は、複数のマーク6を検知する検知部31と、検知部31とは別に当該移送手段74の移動距離を計測する計測部34と、を有する。自動倉庫システム100は、検知部31で検知したマーク6の数と、計測部34の計測結果とに基づいて、保管列53における移送手段74の位置を特定する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ荷を保管可能な複数の保管部を第1方向に配列してなる保管列と、
荷を搭載して前記保管列を前記第1方向に移送する移送手段と、
を備え、
前記保管列は、前記第1方向に所定の間隔で配置された複数のマークを有し、
前記移送手段は、前記複数のマークを検知する検知部と、前記検知部とは別に当該移送手段の移動距離を計測する計測部と、を有し、
前記検知部で検知した前記マークの数と、前記計測部の計測結果とに基づいて、前記保管列における前記移送手段の位置を特定する自動倉庫システム。
【請求項2】
前記検知部は、所定の物理情報を検知可能であり、
前記マークは、前記検知部が検知する前記物理情報に変化を生じさせる手段を含む、請求項1に記載の自動倉庫システム。
【請求項3】
前記マークは、前記保管列に設けられた凹部、凸部および特定の構造物から選択される被検知部分を含み、
前記検知部は、前記被検知部分を検知可能である、請求項1に記載の自動倉庫システム。
【請求項4】
前記計測部は、前記移送手段の車輪を駆動するモータの出力回転を検知する回転検知手段を含む、請求項1に記載の自動倉庫システム。
【請求項5】
前記移送手段を搭載して前記第1方向と交差する第2方向に運搬する運搬手段を備える、請求項1に記載の自動倉庫システム。
【請求項6】
前記運搬手段は、前記保管列の一端部に前記移送手段を運搬する第1運搬手段と、前記保管列の他端部に前記移送手段を運搬する第2運搬手段と、を含む、請求項5に記載の自動倉庫システム。
【請求項7】
前記保管列の両側に前記運搬手段の通路が設けられる、請求項6に記載の自動倉庫システム。
【請求項8】
2台の前記移送手段が1つの前記保管列内を同時に移動する制御モードを有する、請求項1に記載の自動倉庫システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動倉庫システムに関する。
【背景技術】
【0002】
少ないスペースで多数の荷を効率的に入庫・出庫可能な自動倉庫システムが知られている。本出願人は、特許文献1によって複数の物品を収容可能な収容棚を備えた自動倉庫システムを開示している。この文献は、複数のパレットを所定のピッチで配置する技術と、パレット同士の間隔を同じに配置する技術とを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-160932号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者は、以下の認識を得た。自動倉庫システムにおいて、保管列に複数の荷を一列に並べて保管する場合に、前方及び後方の荷までの位置を検知するセンサを備えた台車を用いて、保管列上で荷を搬送することが考えられる。この場合、当該台車で、前後の荷同士の間隔を基準に保管列の最奥から順に荷の保管位置を制御することができる。
【0005】
荷を奥詰めで保管するだけでなく、荷を列上の任意の位置に精度よく置くことができれば多様な置き方が可能になり、使い勝手が向上する。例えば、保管数が少ない場合は、奥を空けて列の出入口近傍に保管する方が台車の移動距離が短くなり稼働効率が向上する。しかし、荷を任意の位置に保管するためには、保管列における荷を搬送する台車の位置を正確に検知することが重要である。特許文献1に記載のシステムでは、台車の位置を正確に検知することは容易でなく、任意の位置に荷を搬送する観点で改善の余地がある。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたもので、保管列の任意の位置に荷を搬送可能な自動倉庫システムを提供することを目的の一つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の自動倉庫システムは、それぞれ荷を保管可能な複数の保管部を第1方向に配列してなる保管列と、荷を搭載して保管列を第1方向に移送する移送手段と、を備える。保管列は、第1方向に所定の間隔で配置された複数のマークを有する。移送手段は、複数のマークを検知する検知部と、検知部とは別に当該移送手段の移動距離を計測する計測部と、を有する。検知部で検知したマークの数と、計測部の計測結果とに基づいて、保管列における移送手段の位置を特定する。
【0008】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや、本発明の構成要素や表現を方法、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、保管列の任意の位置に荷を搬送可能な自動倉庫システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態の自動倉庫システムを概略的に示す平面図である。
図2】実施形態の自動倉庫システムの保管列と移送手段の一例を示す拡大図である。
図3】実施形態のマークと検知部の一例を示す模式図である。
図4】実施形態の自動倉庫システムの搬入動作を説明する説明図である。
図5】実施形態の自動倉庫システムの並行搬入動作を説明する説明図である。
図6】実施形態の自動倉庫システムの並行搬出動作を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を好適な実施形態をもとに各図面を参照しながら説明する。実施形態および変形例では、同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0012】
また、第1、第2などの序数を含む用語は多様な構成要素を説明するために用いられるが、この用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ用いられ、この用語によって構成要素が限定されるものではない。
【0013】
[実施形態]
以下、図面を参照して本発明の実施形態に係る自動倉庫システム100の構成を説明する。図1は、自動倉庫システム100を概略的に示す平面図である。図2は、自動倉庫システム100の保管列53と移送手段74の一例を示す拡大図である。
【0014】
説明の便宜上、図示のように、水平なある方向をX方向、X方向に直交する水平な方向をY方向、両者に直交する方向すなわち鉛直方向をZ方向とするXYZ直交座標系を定める。また、X方向を横方向と、Y方向を前後方向と、Z方向を上下方向、段方向ということがある。X方向は、第1方向を例示し、Y方向は、第2方向を例示し、Z方向は上下方向を例示する。このような方向の表記は自動倉庫システム100の構成を制限するものではなく、自動倉庫システム100は、用途に応じて任意に構成されうる。
【0015】
自動倉庫システム100は、X方向、Y方向およびZ方向に沿って配列された複数の保管部52を含む棚5を有する。この例では、X方向、Y方向に配列された複数の保管部52を保管ステージという。棚5は、段方向に配列された複数段(例えば、3段)の保管ステージを備える。図1は、1段目の保管ステージを示しているが、他の段も同様である。各保管ステージにおいて、それぞれ荷12を保管可能な複数の保管部52を第1方向(X方向)に配列してなる保管列53と、荷12を搭載して保管列53を第1方向に移送する移送手段74と、移送手段74を搭載して第1方向と交差する第2方向(Y方向)に運搬する運搬手段75と、を備える。この例では、第2方向は第1方向に直交しているが、第1方向と第2方向との間の角度は90°に限られず、70°や80°など90°とは異なる角度であってもよい。保管列53はY方向に複数連結されて保管ステージを構成する。保管部52は、保管列53上の一定の位置に限られず、保管する荷12の大きさによって位置及び大きさがフレキシブルに設定される。各保管列53は、X方向に延伸する2条の延伸部材で構成される第1走行路71(例えば、第1レール)の上面に設けられる。
【0016】
本明細書では、荷について下記の用語を用いる。内容物を収容した段ボール等のケースを「荷」という。荷には複数の物品が収容されてもよい。以下の説明で「荷12」というときは、単独の荷12を指す場合と、パレット上に荷12が単数または複数載置されたものを指す場合とを含む。
【0017】
先に、自動倉庫システム100の全体構成を説明する。図1に示すように、自動倉庫システム100は、棚5と、搬送手段7と、制御部8と、を主に備える。搬送手段7は、棚5に入庫または出庫のために荷12を搬送する。搬送手段7は、移送手段74(例えば、第1台車)と、運搬手段75(例えば、第2台車)と、移動手段76(例えば、昇降装置)とを含む。移送手段74、運搬手段75および移動手段76は、荷12を、X方向、Y方向およびZ方向に移動させる搬送手段を構成する。移送手段74は、荷12をX方向に沿って移動させうる。運搬手段75は、荷12をY方向に沿って移動させうる。移動手段76は、荷12をZ方向に移動させうる。
【0018】
例えば、搬送手段7は、荷12を棚5の保管部52から搬出できる。例えば、搬送手段7は、荷12を棚5の保管部52に搬入できる。例えば、搬送手段7は、荷12を棚5の一の保管部52から棚5の他の保管部52に搬送できる。
【0019】
棚5は、多数の荷12を保管可能な保管スペースであり、保管棚と称されることがある。棚5の構成は、複数の荷12を収容、保管可能であれば、特に限定されない。棚5には、移送手段74が走行するための第1走行路71が設けられる。第1走行路71は、保管列53においてX方向に延設されており、移送手段74は、各保管部52の下部を走行できる。この例では、運搬手段75が走行できるように、Y方向に延設された第2走行路73(例えば、第2レール)が棚5の横に設けられている。この例では、運搬手段75の通路である第2走行路73が保管列53の横方向両側それぞれに設けられる。
【0020】
移送手段74は、モータ78によって車輪79を駆動し、空荷または荷12を搭載した状態で第1走行路71をX方向に走行する。この例の移送手段74は、千鳥配置された6輪の車輪79を有し、車輪79は、歯車機構やチェーン機構などの伝達手段(不図示)を介してモータ78に駆動される。移送手段74は、後述する検知部と、計測部とを有する。
【0021】
移送手段74は、運搬手段75および移動手段76に乗降できる。運搬手段75は、モータ(不図示)によって車輪を駆動し、第2走行路73をY方向に走行する。運搬手段75は、空荷の状態または荷12を搭載した状態の移送手段74を移送する。移動手段76は、第2走行路73に隣接して設けられる。移動手段76は、移送手段74および荷12を任意の保管ステージから他の保管ステージに昇降させることができる。図1の例では、全段に対して単一の入出庫部77が設けられ、入出庫部77に移動手段76が連設されている。
【0022】
この例では、入庫対象の荷12は、フォークリフトなどの外部搬送手段(不図示)によって入出庫部77に搬入され、移動手段76によって目的の段に移送される。出庫対象の荷12は、保管されていた段から移動手段76によって入出庫部77の段に昇降され、入出庫部77に移送され、入出庫部77から外部搬送手段によって運び出される。
【0023】
制御部8は、MPU(Micro Processing Unit)などを含んで構成され、ユーザからの操作結果に基づき、入庫、出庫、搬出、移送等のために荷12の移動を制御する。一例として、制御部8は、入出庫用の領域と保管部との間や、複数の保管部間で荷12を搬送するように、移送手段74、運搬手段75および移動手段76の動作を制御する。
【0024】
保管列53と移送手段74を説明する。図2に示すように、自動倉庫システム100では、保管列53は、第1方向に所定の間隔で配置された複数のマーク6を有し、移送手段74は、複数のマーク6を検知する検知部31と、検知部31とは別に当該移送手段74の移動距離を計測する計測部34と、を有する。制御部8は、検知部31で検知したマーク6の数と、計測部34の計測結果とに基づいて、保管列53における移送手段74の位置を特定する。
【0025】
自動倉庫システム100の上記の構成に至った理由を説明する。荷12を保管列53の任意の位置に保管するためには、保管列53における荷12を移送する移送手段74の位置を正確に検知することが重要である。移送手段74の位置を検知するために、保管列53に所定の間隔で設けられたマークの数をカウントすることが考えられる。この場合、マークの数に限りがあり、位置検知の分解能の点で不利が考えられる。また、移送手段の位置を検知するために、移送手段の移動距離を計測することが考えられる。この場合、分解能を高めやすい点で有利であるが、車輪のスリップや車輪の磨耗等の要因により、長距離を計測したときの精度の点で不利が考えられる。そこで、自動倉庫システム100は、検知部で検知したマークの数と、計測部の計測結果とに基づいて、保管列における移送手段の位置を特定する。
【0026】
例えば、制御部は、保管列の出入口である端部から複数のマークそれぞれの位置を記憶しておくことにより、各マークまでの距離を特定する。マークから隣りのマークまでの間の位置は、移送手段の移動距離を計測することにより特定する。端部からあるマークまでの距離と、そのマークからの計測移動距離とを加算することにより、端部からの距離である移送手段の位置を特定できる。この場合、位置の特定結果に所望の精度と分解能とを実現できる。
【0027】
検知部31とマーク6を説明する。検知部31は、所定の物理情報を検知可能であればよく、公知の原理に基づく各種のセンサにより実現できる。この物理情報としては、電磁波(光を含む)、静電容量、音、機械振動などが挙げられる。つまり、検知部31は、電磁波(光を含む)、静電容量、音、機械振動などを検知可能なセンサを採用できる。
【0028】
マーク6は、検知部31が検知する物理情報に変化を生じさせる手段を含む。つまり、マーク6は、検知部31が検知する電磁波(光を含む)を変化させる手段、検知部31が検知する音を変化させる手段、検知部31が検知する機械振動を変化させる手段等を採用できる。
【0029】
図2図3を参照して保管列53のマーク6と検知部31の一例を説明する。図3は、保管列53のマーク6と検知部31の一例を示す模式図である。一例として、マーク6は、保管列53に設けられた凹部(開口を含む)、凸部および特定の構造物から選択される被検知部分であってもよく、検知部31は、被検知部分を検知可能であってもよい。図2の例では、マーク6は、遮光部材61に設けられた開口62であって、検知部31は、当該開口62を検知可能な光センサである。検知部31は、遮光部材61の開口62に対向したとき開口62(マーク6)を検出したと判断し、遮光部材61の開口62以外の部分に対向したとき開口62(マーク6)を非検出と判断する。
【0030】
図3の例では、マーク6はドグなどの凸部64であって、検知部31は、当該凸部64を検知可能な透過式光センサである。検知部31は、赤外光を投光する投光部32と、当該赤外光を受光する受光部33とで構成されるフォトインタラプタである。図3(A)のように、凸部64が赤外光を遮断するとき、検知部31は、凸部64(マーク6)を検出したと判断する。図3(B)のように、赤外光が遮断されないとき、検知部31は、凸部64(マーク6)を非検出と判断する。
【0031】
複数のマーク6の間隔は、等間隔であってもよいし、不等間隔であってもよい。実施形態では、棚5を構成する棚柱51との干渉を避けるために、複数のマーク6は、不等間隔で配置されている。
【0032】
計測部34を説明する。計測部34は、移送手段74の移動距離を計測可能であればよく、公知の原理に基づく各種の距測手段により実現できる。この距測手段としては、車輪79の回転を検知する手段(例えば、ロータリエンコーダ)、加速度を検知して検知結果を数学的な処理をすることにより距離を取得する手段(例えば、ジャイロ)、ドップラー効果により速度を検知する手段等が挙げられる。
【0033】
実施形態では、計測部34は、移送手段74の車輪79を駆動するモータ78の出力回転を検知する回転検知手段35を含んで構成される。回転検知手段35は、モータ78の出力軸、伝達手段または車輪79の回転を検知するロータリエンコーダを含む。つまり、回転検知手段35は、モータ78の回転を直接検知するものだけでなく、モータ78の回転を間接的に検知するものを含む。検知部31および計測部34の検知結果は、所定の通信手段により制御部8に提供される。
【0034】
制御部8は、検知部31の検知信号が閾値を超えたタイミング(正方向エッジ)でマーク6を検知したと判断してもよいし、検知部31の検知信号が大きい状態から閾値以下になったタイミング(負方向エッジ)でマーク6を検知したと判断してもよい。
【0035】
図4を参照して、実施形態の自動倉庫システム100の搬入動作の一例を説明する。図4は、搬入動作を説明する説明図であり、矢印は荷12の搬入経路を示す。この動作は、制御部8の制御に基づいて実行される。この動作は、入出庫部77に置かれた搬入対象の荷12を、当該荷12について事前に設定された保管列53の目的位置の保管部52に搬送し、そこに載置する動作である。荷12の目的位置は、事前に入力され、制御部8の記憶部(不図示)に記憶されているものとする。
【0036】
搬入動作では、搬入対象の荷12は、入出庫部77で移送手段74に搭載され、昇降装置である移動手段76によって、目的の保管ステージに搬送される。目的の保管ステージで、運搬手段75は、荷12を搭載した移送手段74を載せて第2走行路73を走行して、目的の保管列53に運搬する。目的の保管列53で、運搬手段75を降りた移送手段74は、荷12を搭載した状態で、保管列53の第1走行路71を図中左から右に向かってX方向に走行する。このとき、移送手段74は、検知部31および計測部34の検知結果を制御部8に送信する。制御部8は、検知部31および計測部34の検知結果に基づいて、保管列53における移送手段74の位置を算出し、その結果に基づいて移送手段74の動作を制御する。
【0037】
制御部8は、保管列53の目的位置で移送手段74を停止させるためのブレーキ開始位置を計算し、そのブレーキ開始位置で移送手段74にブレーキをかける。移送手段74は、目的位置に停止したら、荷12をその位置に降ろし、第2走行路73に向かって第1走行路71を走行し、運搬手段75に乗り込む。運搬手段75は、移送手段74を載せた状態で移動手段76まで第2走行路73を走行する。移送手段74は、移動手段76によって入出庫部77に移動し、次のサイクルに備える。この一連のサイクル動作は、搬入対象の荷12がなくなるまで繰り返し実行される。この動作は各種の変形が可能である。
【0038】
保管列53の目的位置の保管部52に保管された荷12は、保管列53の左方の一端部54Aから進入した移送手段74によって搬出されてもよいし、保管列53の図中右端の他端部54Bから進入した移送手段74によって搬出されてもよい。移送手段74は、保管列53の一端部54Aから進入して他端部54Bから退出してもよいし、一端部54Aから退出してもよい。
【0039】
図5を参照して、実施形態の自動倉庫システム100の並行搬入動作の一例を説明する。図5は、並行搬入動作を説明する説明図であり、矢印は荷12A、12Bの搬入経路を示す。図5および図6の説明では、各構成要素がそれぞれ複数あり、これらを示す符号の末尾にA、Bを付して区別する。並行搬入動作は、同じ保管列53に保管する複数の荷12A、12Bを保管列53の一端部54Aおよび他端部54Bから並行して搬入する動作である。
【0040】
自動倉庫システム100では、運搬手段75は、保管列53の一端部54Aに移送手段74Aを運搬する第1運搬手段75Aと、保管列53の他端部54Bに移送手段74Bを運搬する第2運搬手段75Bと、を含む。また、自動倉庫システム100は、倉庫の稼働効率を高めるために、2台の移送手段74A、74Bが1つの保管列53内を同時に移動する制御モード(以下、「同時移動モード」という)を有する。並行搬入動作は、同時移動モードを使用する。
【0041】
並行搬入動作では、搬入対象の荷12Aは、入出庫部77Aで移送手段74Aに搭載され、移動手段76Aによって、目的の保管ステージに搬送される。これに並行して、搬入対象の12荷Bは、入出庫部77Bで移送手段74Bに搭載され、移動手段76Bによって、目的の保管ステージに搬送される。
【0042】
目的の保管ステージで、運搬手段75Aは、荷12Aを搭載した移送手段74Aを載せて、第2走行路73Aを走行して、目的の保管列53に運搬する。これに並行して、運搬手段75Bは、荷12Bを搭載した移送手段74Bを載せて、第2走行路73Bを走行して、目的の保管列53に運搬する。
【0043】
目的の保管列53で、運搬手段75Aを降りた移送手段74Aは、荷12Aを搭載した状態で、保管列53の第1走行路71Aを図中左から右に向かってX方向に走行する。これに並行して、運搬手段75Bを降りた移送手段74Bは、荷12Bを搭載した状態で、保管列53の第1走行路71を図中右から左に向かってX方向に走行する。
【0044】
このとき、移送手段74A、74Bは、それぞれの検知部31および計測部34の検知結果を制御部8に送信する。制御部8は、検知部31および計測部34の検知結果に基づいて、保管列53における移送手段74A、74Bの位置を算出し、その結果に基づいて移送手段74A、74Bの動作を制御する。
【0045】
制御部8は、保管列53の目的位置Aで移送手段74Aを停止させるためのブレーキ開始位置を計算し、そのブレーキ開始位置で移送手段74Aにブレーキをかける。これに並行して、制御部8は、保管列53の目的位置Bで移送手段74Bを停止させるためのブレーキ開始位置を計算し、そのブレーキ開始位置で移送手段74Bにブレーキをかける。なお、目的位置A、B、ブレーキタイミングおよびブレーキ開始位置は、移送手段74A、74Bで異なる。
【0046】
移送手段74Aは、目的位置Aに停止したら、荷12Aをその位置に降ろし、第2走行路73Aに向かって第1走行路71を走行し、運搬手段75Aに乗り込む。これに並行して、移送手段74Bは、目的位置Bに停止したら、荷12Bをその位置に降ろし、第2走行路73Bに向かって第1走行路71を走行し、運搬手段75Bに乗り込む。
【0047】
運搬手段75Aは、移送手段74Aを載せた状態で移動手段76Aまで第2走行路73Aを走行する。次に、移送手段74Aは、移動手段76Aによって入出庫部77Aに移動し、次のサイクルに備える。これに並行して、運搬手段75Bは、移送手段74Bを載せた状態で移動手段76Bまで第2走行路73Bを走行する。次に、移送手段74Bは、移動手段76Bによって入出庫部77Bに移動し、次のサイクルに備える。これらの一連のサイクル動作は、搬入対象の荷12A、12Bがなくなるまで繰り返し実行される。この動作は各種の変形が可能である。並行に実行されると説明したプロセスは、必ずしも同時並行に進行していなくても構わない。
【0048】
図6を参照して、実施形態の自動倉庫システム100の並行搬出動作の一例を説明する。図6は、並行搬出動作を説明する説明図であり、矢印は荷12A、12Bの搬出経路を示す。
【0049】
まず、並行搬出動作では、並行搬入動作と同様のプロセスで、空荷の移送手段74A、74Bは、保管列53の目的位置A、目的位置Bに移動する。このとき、移送手段74A、74Bは、それぞれの検知部31および計測部34の検知結果を制御部8に送信する。制御部8は、検知部31および計測部34の検知結果に基づいて、保管列53における移送手段74A、74Bの位置を算出し、その結果に基づいて移送手段74の動作を制御する。
【0050】
移送手段74A、74Bは、保管列53の目的位置A、目的位置Bに移動したら、それぞれ搬出対象の荷12A、12Bを搭載する。荷12Aを搭載した移送手段74Aは、第2走行路73Aに向かって第1走行路71を走行し、運搬手段75Aに乗り込む。これに並行して、荷12Bを搭載した移送手段74Bは、第2走行路73Bに向かって第1走行路71を走行し、運搬手段75Bに乗り込む。
【0051】
次に、運搬手段75Aは、移送手段74Aを載せた状態で移動手段76Aまで第2走行路73Aを走行する。次に、移送手段74Aは、移動手段76Aによって入出庫部77Aに移動し、そこで荷12Aを降ろす。これに並行して、運搬手段75Bは、移送手段74Bを載せた状態で移動手段76Bまで第2走行路73Bを走行する。次に、移送手段74Bは、移動手段76Bによって入出庫部77Bに移動し、そこで荷12Bを降ろす。
【0052】
次に、空荷になった移送手段74A、74Bは、保管列53の次の目的位置に移動し、次のサイクルに備える。これらの一連のサイクル動作は、搬出対象の荷12A、12Bがなくなるまで繰り返し実行される。この動作は各種の変形が可能である。並行に実行されると説明したプロセスは、必ずしも同時並行に進行していなくても構わない。
【0053】
自動倉庫システム100は、同時移動モードを有することにより、並行搬入動作および並行搬出動作を実現可能であり、複数の荷12を短時間で搬入、搬出できる。
【0054】
実施形態の自動倉庫システム100の特徴を説明する。自動倉庫システム100は、それぞれ荷12を保管可能な複数の保管部52を第1方向に配列してなる保管列53と、荷12を搭載して保管列53を第1方向に移送する移送手段74と、を備える。保管列53は、第1方向に所定の間隔で配置された複数のマーク6を有し、移送手段74は、複数のマーク6を検知する検知部31と、検知部31とは別に当該移送手段74の移動距離を計測する計測部34と、を有し、自動倉庫システム100は、検知部31で検知したマーク6の数と、計測部34の計測結果とに基づいて、保管列53における移送手段74の位置を特定する。
【0055】
この構成によれば、自動倉庫システム100は、ほぼ、マーク6の精度と計測部34の分解能とで、移送手段74の位置を特定できる。この結果、保管列53の任意の位置に荷12を搬送でき、その位置を複数の移送手段74で共用できる。
【0056】
一例として、検知部31は、所定の物理情報を検知可能であり、マーク6は、検知部31が検知する物理情報に変化を生じさせる手段を含む。この場合、多様な方法によりマーク6を検知できる。
【0057】
一例として、マーク6は、保管列53に設けられた凹部、凸部および特定の構造物から選択される被検知部分を含み、検知部31は、被検知部分を検知可能である。この場合、簡易な構成でマーク6を構成でき、簡易な構成で検知部31を構成できる。
【0058】
一例として、計測部34は、移送手段74の車輪79を駆動するモータの出力回転を検知する回転検知手段35を含む。この場合、ロータリエンコーダなど比較的小型のデバイスで計測部34を構成できるので、小型化に有利である。
【0059】
一例として、自動倉庫システム100は、移送手段74を搭載して第1方向と交差する第2方向に運搬する運搬手段75を備える。この場合、移送手段74を複数の保管列53に運搬可能で、保管部52と入出庫部77との間で効率的に荷12を搬送できる。
【0060】
一例として、運搬手段75は、保管列53の一端部に移送手段74を運搬する第1運搬手段75Aと、保管列53の他端部に移送手段74を運搬する第2運搬手段75Bと、を含む。この場合、目的の保管部52と入出庫部77との間で左右のフレキシブルなルートで荷12を搬送できる。このため、先入れした荷12を、後入れした荷12とは反対側から搬出できるので、荷12の先入れ先出しを少ないプロセスで実現できる。
【0061】
一例として、保管列53の両側に運搬手段75の通路(第2走行路73A、73B)が設けられる。この場合、左右の複数の通路でフレキシブルなルートで荷12を搬送できる。
【0062】
一例として、自動倉庫システム100は、2台の移送手段74A、74Bが1つの保管列53内を同時に移動する制御モードを有する。この場合、1つの保管列53について、同時並行的に荷搬送プロセスを実行できる。
【0063】
以上、本発明の実施形態の例について詳細に説明した。前述した実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたっての具体例を示したものにすぎない。実施形態の内容は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、請求の範囲に規定された発明の思想を逸脱しない範囲において、構成要素の変更、追加、削除等の多くの設計変更が可能である。前述の実施形態では、このような設計変更が可能な内容に関して、「実施形態の」「実施形態では」等との表記を付して説明しているが、そのような表記のない内容にも設計変更が許容される。また、図面に付したハッチングは、ハッチングを付した対象の材質を限定するものではない。また、実施形態を構成する各種デバイスや機構は、実施形態で説明したものに限定されず、公知の原理に基づく各種のデバイスや機構を用い得ることは、当業者に理解されるところである。
【0064】
(変形例)
以下、変形例を説明する。変形例の図面および説明では、実施形態と同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付する。実施形態と重複する説明を適宜省略し、実施形態と相違する構成について重点的に説明する。変形例の図では、説明に重要でない部材の記載を省略している。
【0065】
実施形態の説明では、制御部8の複数の機能が集約して設けられ棚5の脇に設置される例を示したが、これに限定されない。例えば、制御部8の複数の機能の一部または全部が分散するように設けられてもよい。制御部8は、機能が集約されているか分散されているかにかかわらず、発明の目的を達成できるように構成されていればよい。例えば、制御部8の機能の一部が上位サーバ(不図示)に備えられてもよいし、制御部8の機能の一部が移送手段74および/または運搬手段75に備えられてもよい。一例として、上位サーバが、制御部8の機能のうち、目的位置に関する情報を移送手段74に提供する機能を備えてもよい。また、移送手段74が、制御部8の機能のうち、上位サーバから提供される情報と検知部31および計測部34の検知結果とに基づいて、移送手段74の位置を算出し、その結果に基づいて移送手段74動作を制御する機能を備えてもよい。また、移送手段74が、制御部8の機能のうち、ブレーキ開始位置を計算し、そのブレーキ開始位置で移送手段74にブレーキをかける機能を備えてもよい。
【0066】
実施形態の説明では、2台の移送手段74A、74Bを用いて、一の保管列53に、同一種類の荷12を搬送し保管する例を示したが、これに限定されない。2台の移送手段74A、74Bは、一の保管列53に、互いに異なる種類や異なるサイズの荷12を搬送し保管してもよい。
【0067】
実施形態の説明では、移送手段74が前方の荷12までの距離や、後方の荷12までの距離を検知する手段を備えない例を示したが、これに限定されない。移送手段74は、前方の荷12までの距離や、後方の荷12までの距離を検知可能な手段を備えてもよい。
【0068】
実施形態の説明では、移送手段74と、運搬手段75とが各段の保管ステージに設けられる例を示したがこれに限定されず、いずれかの段では、移送手段74または運搬手段75が配置されていなくてもよい。
【0069】
実施形態の説明では、マーク6が、保管列53に設けられた開口である例を示したが、これに限定されない。マーク6は、棚5の特定の構造物であってもよい。一例として、マーク6は、棚5を構成する棚柱51であってもよい。この場合、検知部31は、棚柱51を検知可能な接近センサであってもよい。
【0070】
実施形態の説明では、搬送手段7として、移送手段74と、運搬手段75と、移動手段76とを含み、運搬手段75と移動手段76とが別個に備えられる例を示したが、これに限定されない。運搬手段75と移動手段76の代わりに、荷12を上下方向および前後方向に移動可能な移動手段(例えば、スタッカークレーン)を採用してもよい。この場合、スタッカークレーンは、移送手段74を搭載できないものであってもよいし、荷12とともに移送手段74を搭載可能なものであってもよい。
【0071】
実施形態の説明では、全段に対して共通の入出庫部77が設けられ、入出庫部77に移動手段76が連設される例を示したが、これに限定されない。各段それぞれに入出庫部が設けられ、入出庫する荷は、フォークリフトによって各段の入出庫部に出し入れされてもよい。また、入出庫部は入庫部と出庫部とに分けられていてもよい。
【0072】
実施形態の説明では、荷12がパレットを含む例を示したがこれに限定されず、荷12はパレットを有しないものであってもよい。
【0073】
これらの各変形例は、実施形態と同様の作用と効果を奏する。
【0074】
上述した各実施形態と変形例の任意の組み合わせもまた本発明の実施形態として有用である。組み合わせによって生じる新たな実施形態は、組み合わされる実施形態および変形例それぞれの効果をあわせもつ。
【符号の説明】
【0075】
5 棚、 6 マーク、 7 搬送手段、 8 制御部、 12 荷、 31 検知部、 34 計測部、 35 回転検知手段、 52 保管部、 53 保管列、 71 第1走行路、 73 第2走行路、 74 移送手段、 75 運搬手段、 76 移動手段、 77 入出庫部、 78 モータ、 79 車輪、 100 自動倉庫システム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6