特開 2024-87355 車両用灯具

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2024087355

(43)【公開日】2024-07-01

(54)【発明の名称】車両用灯具

(51)【国際特許分類】

   F21S 43/20 20180101AFI20240624BHJP

   F21S 43/14 20180101ALI20240624BHJP

   F21S 43/30 20180101ALI20240624BHJP

   F21W 103/35 20180101ALN20240624BHJP

   F21W 103/00 20180101ALN20240624BHJP

   F21W 103/20 20180101ALN20240624BHJP

   F21W 102/00 20180101ALN20240624BHJP

   F21Y 115/10 20160101ALN20240624BHJP

【ＦＩ】

F21S43/20

F21S43/14

F21S43/30

F21W103:35

F21W103:00

F21W103:20

F21W102:00

F21Y115:10

【審査請求】未請求

【請求項の数】5

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2022202134

(22)【出願日】2022-12-19

(71)【出願人】

【識別番号】000001133

【氏名又は名称】株式会社小糸製作所

(74)【代理人】

【識別番号】100136630

【弁理士】

【氏名又は名称】水野 祐啓

(74)【代理人】

【識別番号】100201514

【弁理士】

【氏名又は名称】玉井 悦

(72)【発明者】

【氏名】大石 みなみ

(57)【要約】

【課題】非点灯時にブラックアウトする車両用灯具であって、光源の光を効率的に活用できる車両用灯具を提供する。
【解決手段】本開示の車両用灯具１は、光源４と、レンズ２と、レンズ２の光出射面２ｂを被覆する被覆部３を備える。被覆部３は、光源４の光を透過させる複数の透過領域３１と、灯具内部を灯具外部から遮蔽する遮蔽領域３２を有する。レンズ２の光入射面２ａに、複数の凸面部２１を形成し、各々の凸面部２１の焦点ｆが、各々の透過領域３１の近傍に配置されるように構成する。
【選択図】図２

【特許請求の範囲】

【請求項1】

光源と、レンズと、前記レンズの光出射面を被覆する被覆部と、を備え、
前記被覆部が、前記光源の光を透過させる複数の透過領域と、灯具内部を灯具外部から遮蔽する遮蔽領域と、を含み、
前記レンズの光入射面が、複数の凸面部を含み、
各々の前記凸面部の焦点は、各々の前記透過領域の近傍に配置されたことを特徴とする車両用灯具。

【請求項2】

前記光源の光を、各々の前記凸面部に向けて平行光として反射させるリフレクタを備えた、請求項１に記載の車両用灯具。

【請求項3】

前記透過領域は、点状に視認される略円形の領域であり、かつ、隣接する前記透過領域を通過した複数の光束が前記遮蔽領域において重畳可能な間隔に配列された、請求項１に記載の車両用灯具。

【請求項4】

前記レンズが、湾曲部を含み、
隣接する前記凸面部との間に、前記湾曲部に沿う高さの段差を設けた、請求項１に記載の車両用灯具。

【請求項5】

前記レンズが、湾曲部を含み、
前記凸面部は、前記湾曲部に沿う傾斜状態で配置され、
前記リフレクタは、各々の前記凸面部に向けて平行光として反射させる複数の反射面を含む、請求項１に記載の車両用灯具。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本開示は、非点灯時にブラックアウトする車両用灯具に関する。

【背景技術】

【0002】

従来、車両用灯具において、非点灯時に、灯具内部の構造を灯具外部から遮蔽（ブラックアウト）し、車両全体の意匠性を向上させる技術が知られている。例えば、特許文献１には、ランプカバー１０の内面にフィルム状の選択偏光層１１設け、偏光効果を用いて、非点灯時の灯具の奥行き感を均一化した車両用灯具の発明が提案されている。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【特許文献1】特開２００３－１５１３１１号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

ところで、非点灯時にブラックアウトする車両用灯具においては、図８に示すように、光を透過させる透過領域３１と光を透過させない遮蔽領域３２とを設け、点灯時には透過領域３１を透過する光を用いて照明し、非点灯時には遮蔽領域３２により灯具内部を遮蔽する技術が知られている。しかし、従来の技術によれば、光源の光の大半が遮蔽領域３２によって遮られるため、光源の光を効率的に活用できないという問題があった。

【0005】

そこで、本開示の目的は、光源の光を効率的に活用できる車両用灯具を提供することにある。

【課題を解決するための手段】

【0006】

上記課題を解決するために、本開示の車両用灯具は、以下の点を特徴とする。
（１）光源と、レンズと、レンズの光出射面を被覆する被覆部と、を備え、被覆部が、光源の光を透過させる複数の透過領域と、灯具内部を灯具外部から遮蔽する遮蔽領域と、を含み、レンズの光入射面が、複数の凸面部を含み、各々の凸面部の焦点は、各々の透過領域の近傍に配置されたこと。

【0007】

（２）上記（１）において、光源の光を、各々の凸面部に向けて平行光として反射させるリフレクタを備えたこと。

【0008】

（３）上記（１）又は（２）において、透過領域は、点状に視認される略円形の領域であり、かつ、隣接する透過領域を通過した複数の光束が遮蔽領域において重畳可能な間隔に配列されたこと。

【0009】

（４）上記（１）～（３）の何れか一つにおいて、レンズが、湾曲部を含み、隣接する凸面部との間に、湾曲部に沿う高さの段差を設けたこと。

【0010】

（５）上記（１）～（４）の何れか一つにおいて、レンズが、湾曲部を含み、凸面部は、湾曲部に沿う傾斜状態で配置され、リフレクタは、各々の凸面部に向けて平行光として反射させる複数の反射面を含むこと。

【発明の効果】

【0011】

本開示の車両用灯具によれば、レンズに複数の凸面部を設け、凸面部の焦点を透過領域の近傍に配置したため、レンズに入射する光を透過領域に集光し、直進光以外の光も、透過部を透過させることができ、光源の光を効率的に活用できるという効果がある。

【図面の簡単な説明】

【0012】

【図1】本開示の一実施形態を示す車両用灯具の、（ａ）概略図、（ｂ）正面模式図である。

【図2】車両用灯具のＡ－Ａ線断面図である。

【図3】複数の車両用灯具を並列に配置し、（ａ）点灯時、（ｂ）消灯時の外観を表した模式図である。

【図4】レンズの要部Ｃを拡大した（ａ）正面図、（ｂ）背面図、（ｃ）斜視図である。

【図5】（ａ）Ｂ－Ｂ線断面模式図、（ｂ）要部Ｄを拡大した断面模式図である。

【図6】変形例１による、（ａ）Ｂ－Ｂ線断面模式図、（ｂ）要部Ｅを拡大した断面模式図である。

【図7】変形例２による、要部Ｅを拡大した断面模式図である。

【図8】従来の技術を説明するための断面図である。

【発明を実施するための形態】

【0013】

以下、本開示を車両用灯具に具体化した一実施形態を図面に基づいて説明する。図１，２に示す車両用灯具１は、テールランプ１０に併設されるストップランプであり、車体に取り付けられる灯具ボディ１１と、透明樹脂材料からなるアウターカバー１２と、少なくとも一つの光源４と、光源４からの光を反射して平行光とするリフレクタ５と、リフレクタ５からの平行光を集光するレンズ２と、レンズ２の光出射面２ｂの少なくとも一部を被覆する被覆部３とを備える。レンズ２は、インナーレンズやアウターカバーとして用いることができる。また、本開示の技術は、ストップランプの他、ヘッドランプ、テールランプ、サイドターンシグナルランプ等にも採用できる。

【0014】

被覆部３は、光を透過させる複数の透過領域３１と、灯具内部を灯具外部から遮蔽する遮蔽領域３２とを備える。被覆部３は、例えば、印刷、フィルム、薄板、塗装等により設けることができる。

【0015】

図３は、複数の車両用灯具１を並列に配置した模式図であり、点灯時及び消灯時の見え方を表す。図３（ａ）に示すように、点灯時は車両用灯具１全体が均一に発光し、図３（ｂ）に示すように、非点灯時は遮蔽領域３２に遮蔽され、灯具内部を視認できない。

【0016】

図３，４に示すように、透過領域３１は、点状に視認される略円形の領域であり、直径Ｒ＝０．５ｍｍ～１ｍｍ程度、より好ましくは、直径Ｒ＝０．９ｍｍ程度の大きさに設けられている。また、隣接する透過領域３１は、ピッチｐ＝１．１ｍｍ～１．４ｍｍ程度、より好ましくはピッチｐ＝１．４ｍｍ程度の間隔に列設されている。なお、ピッチｐは、隣接する透過領域３１同士の中心３１ａ間の距離である。透過領域３１のピッチｐをこの間隔で列設することにより、隣接する透過領域３１を通過した複数の光束同士が遮蔽領域３２において出会い、重畳するため、レンズ２の光出射面２ｂ全域を広く発光させることができる。

【0017】

レンズ２は、複数の凸面部２１を含む。凸面部２１は、光入射面２ａに形成され、リフレクタ５に向けて膨出している。隣接する凸面部２１同士のピッチｐ’は、透過領域のピッチｐと同幅（ｐ＝ｐ’）に設けられている。なお、ピッチｐ’は、隣接する凸面部２１同士の中心２１ａ間の距離である。

【0018】

図５（ａ）に示すように、光源４からの光は、リフレクタ５により平行光となり、レンズ２に入射する。ここで、図５（ｂ）に示すように、凸面部２１は、凸面部２１の焦点ｆが透過領域３１の近傍に配置されるように設けられている。ここで、「近傍」とは、透過領域３１と重畳する位置のみならず、透過領域３１から灯具正面側又は灯具背面側にずれた位置も含む。特に、焦点ｆを、透過領域３１の中心３１ａと一致するように設けることも可能である。

【0019】

焦点ｆを透過領域３１の近傍に配置したことにより、リフレクタ５からの平行光を、透過領域３１の近傍に集光して透過領域３１を通過させ、光源４の光を無駄なく利用することができる。また、凸面部２１により屈折された屈折光は、透過領域３１を通過した後に遮蔽領域３２に向けて拡散され、レンズ２の光出射面２ｂ全域を略均一に明るく発光させることができる。

【0020】

続いて、本開示の変形例１を図６に従って説明する。図６（ａ）に示すように、レンズ２の一部に湾曲部２ｃ（図１（ａ）参照）を含む場合、湾曲状態が進むにつれ、凸面部２１が透過領域３１に接近し、その結果、凸面部２１の焦点ｆは、透過領域３１の近傍から外れた位置に配置される。このため、透過領域３１への集光が不十分となり、光源４の光の一部が遮蔽領域３２に遮蔽されてしまうという問題がある。

【0021】

そこで、図６（ｂ）に示すように、隣接する凸面部２１との間に、湾曲部２ｃに沿う高さの段差ｈを設けた。段差ｈを設けたことにより、各々の凸面部２１と透過領域３１との間の距離ｄを一定とすることができ、各々の凸面部２１の焦点ｆを、透過領域３１の近傍に配置することができる。

【0022】

また、変形例２では、図７（ａ）に示すように、凸面部２１を、湾曲部２ｃに沿って傾斜状態で配置した。なお、図７では、光源４からリフレクタ５に向かう光は省略している。湾曲部２ｃに沿って傾斜状態で配置することにより、各々の凸面部２１と透過領域３１との間の距離ｄを一定とすることができる。ところが、凸面部２１を傾斜状態で配置すると、湾曲状態が進むにつれて、リフレクタ５から凸面部２１に入射する光の入射角が小さくなり、対応する透過領域３１付近が暗く表示されてしまうという問題がある。

【0023】

そこで、変形例２では、リフレクタ５に、各々の凸面部２１に向けて平行光として反射させる複数の反射面５１を設けた。各々の反射面５１は、各々の凸面部２１の傾斜状態に応じて傾斜するように設けられている。このため、凸面部２１に入射する光の入射角は一定となり、車両用灯具１全体が均一な明るさとなる。複数の反射面５１を備えたリフレクタ５は、図７（ｂ）のように、レンズ２が傾斜部２ｄ（図１参照）を含む場合にも、使用可能である。

【0024】

したがって、この実施形態の車両用灯具１によれば、レンズ２の光入射面２ａに凸面部２１を設け、凸面部２１の焦点ｆが、光出射面２ｂに設けた透過領域３１の付近に配置されるように構成したため、光入射面２ａに入射する光を透過領域３１に集光させ、光源４の光を無駄なく利用することができる。また、凸面部２１により屈折した光は、焦点ｆの付近の透過領域３１から出射した後に拡散するため、レンズ２の光出射面２ｂ全域を略均一に明るく発光させることができる。

【0025】

なお、本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で各部の形状や構成を適宜に変更して実施することも可能である。

【符号の説明】

【0026】

１ 車両用灯具
２ レンズ（ａ：光入射面、ｂ：光出射面、ｃ：湾曲部、ｄ：傾斜部）
３ 被覆部
４ 光源
５ リフレクタ
１１ 灯具ボディ
１２ アウターカバー
２１ 凸面部（ａ：中心）
３１ 透過領域（ａ：中心）
３２ 遮蔽領域
５１ 反射面
ｐ ピッチ
ｈ 段差
ｄ 凸面部と透過領域との間の距離
ｆ 焦点

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】