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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087357
(43)【公開日】2024-07-01
(54)【発明の名称】蓄電装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/02 20160101AFI20240624BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240624BHJP
   H02J 7/34 20060101ALI20240624BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20240624BHJP
【FI】
H02J7/02 H
H02J7/02 J
H02J7/00 S
H02J7/34 B
H02J7/00 P
H01M10/48 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022202140
(22)【出願日】2022-12-19
(71)【出願人】
【識別番号】000005382
【氏名又は名称】古河電池株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 直広
【テーマコード(参考)】
5G503
5H030
【Fターム(参考)】
5G503AA07
5G503BA02
5G503BA03
5G503BA04
5G503BB02
5G503CA01
5G503CA11
5G503CB11
5G503DA05
5G503EA08
5G503FA06
5G503FA16
5G503GA01
5G503GB06
5G503GD03
5G503GD06
5G503HA01
5H030AA03
5H030AA04
5H030AS08
5H030FF43
5H030FF44
(57)【要約】      (修正有)
【課題】車両に搭載されるバッテリの利用効率を向上する電池パック(蓄電装置)を提供する。
【解決手段】電池パック5は、複数のリチウムイオン二次電池が直列に接続される組電池19‐1、19-2が2つ並列に接続されるバッテリ19、2つの組電池の各蓄電素子の電圧を検出する電圧検出回路13、検出されたセル電圧のうちで最大電圧と最小電圧との差が所定の閾値を超えるかを判定する第1判定手段、所定の閾値を超える前記差を示している蓄電素子を含む組電池と車両負荷3との間の接続を遮断する接続遮断手段、接続が遮断された組電池を構成する蓄電素子の間で容量の均等化を行う均等化手段、均等化が行われた組電池の電圧が接続が遮断されていない組電池の電圧と実質的に同じであるかを判定する第2判定手段及び実質的に同じであると判定したとき、均等化が行われた組電池と車両負荷3との間の接続を確立する接続確立手段を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両負荷に電力を供給する蓄電装置であって、
リチウムイオン二次電池からなる蓄電素子が複数直列に接続される組電池が2つ並列に接続されて構成され、前記車両負荷に常時並列に接続されるバッテリと、
2つの前記組電池のそれぞれを構成している各前記蓄電素子の両端のセル電圧を検出する電圧検出手段と、
前記電圧検出手段によって検出された複数の前記セル電圧のうちで最大電圧を示すものと最小電圧を示すものとの差が所定の閾値を超えるかを判定する第1判定手段と、
前記第1判定手段によって前記差が前記所定の閾値を超えると判定されたとき、前記所定の閾値を超える最大電圧と最小電圧との前記差を示している前記蓄電素子を含む前記組電池と前記車両負荷との間の接続を遮断する接続遮断手段と、
前記接続遮断手段によって前記車両負荷との間の接続が遮断された前記組電池を構成する複数の前記蓄電素子の間で蓄電容量の均等化を行う均等化手段と、
前記均等化手段によって前記蓄電容量の均等化が行われた前記組電池の両端のモジュール電圧が前記車両負荷との間の接続が遮断されていない他方の前記組電池の両端のモジュール電圧と実質的に同じであるかを判定する第2判定手段と、
前記第2判定手段によって各前記モジュール電圧が実質的に同じであると判定されたとき、前記蓄電容量の均等化が行われた前記組電池と前記車両負荷との間の接続を確立する接続確立手段と、
を備えることを特徴とする蓄電装置。
【請求項2】
前記電圧検出手段によって検出された前記セル電圧が過充電状態または過放電状態にある前記蓄電素子を含む前記組電池があるかを判定する第3判定手段を備え、
前記接続遮断手段は、前記セル電圧が過充電状態または過放電状態にある前記蓄電素子を含むと前記第3判定手段によって判定された前記組電池と前記車両負荷との間の接続を遮断する、
ことを特徴とする請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項3】
交流電源の停電時に前記交流電源に代わって設備負荷に電力を供給する蓄電装置であって、
リチウムイオン二次電池からなる蓄電素子が複数直列に接続される組電池が複数並列に接続されて構成されるバッテリと、
複数の前記組電池のそれぞれを構成している各前記蓄電素子の両端のセル電圧を検出する電圧検出手段と、
前記電圧検出手段によって検出された複数の前記セル電圧のうちで最大電圧を示すものと最小電圧を示すものとの差が所定の閾値を超えるかを判定する第1判定手段と、
前記第1判定手段によって前記差が前記所定の閾値を超えると判定されたとき、前記所定の閾値を超える最大電圧と最小電圧との前記差を示している前記蓄電素子を含む前記組電池と前記設備負荷との間の接続を遮断する接続遮断手段と、
前記接続遮断手段によって前記設備負荷との間の接続が遮断された前記組電池を構成する複数の前記蓄電素子の間で蓄電容量の均等化を行う均等化手段と、
前記均等化手段によって前記蓄電容量の均等化が行われた前記組電池の両端のモジュール電圧が前記設備負荷との間の接続が遮断されていない前記組電池の両端のモジュール電圧と実質的に同じであるかを判定する第2判定手段と、
前記第2判定手段によって各前記モジュール電圧が実質的に同じであると判定されたとき、前記蓄電容量の均等化が行われた前記組電池と前記設備負荷との間の接続を確立する接続確立手段と、
を備えることを特徴とする蓄電装置。
【請求項4】
前記電圧検出手段によって検出された前記セル電圧が過充電状態または過放電状態にある前記蓄電素子を含む前記組電池があるかを判定する第3判定手段を備え、
前記接続遮断手段は、前記セル電圧が過充電状態または過放電状態にある前記蓄電素子を含むと前記第3判定手段によって判定された前記組電池と前記設備負荷との間の接続を遮断する、
ことを特徴とする請求項3に記載の蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は蓄電装置に関し、特に、蓄電装置が備えるバッテリの利用効率を向上することができる蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
蓄電装置等に用いられるリチウムイオン二次電池(LIB:Lithium Ion Battery、以下、LIBと記す)は、ニッケルカドミウム電池やニッケル水素電池といった他の二次電池と比較して、エネルギー密度が高く、小型且つ軽量であることで知られている。
【0003】
例えば非特許文献1には、正極活物質にリン酸鉄リチウムを採用したLIBと、バッテリマネジメントシステム(BMS:Battery Management System、以下、BMSと記す)とが組み合わされて構成されたモータースポーツ向けバッテリシステムが、蓄電装置として開示されている。この従来技術のバッテリシステムは、メインLIBとメインLIBより電池容量の小さいサブLIBとを備えており、メインLIBのバッテリ上がり状態(過放電状態)からの復帰措置として、外部ボタンが押下されたときに、メインLIBからサブLIBへの切り替えが行われる。
【0004】
一方、コンピュータシステム等の重要な負荷に交流電力を安定的に供給するための電源装置として、無停電電源装置(UPS:Uninterruptible Power Supply、以下、UPSと記す)が広く用いられている。例えば特許文献1には、交流電源の復電時におけるソフトスタートを実現することができるUPSシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】MEGA・Lifeレーシングバッテリー [令和4年11月30日検索] インターネット <URL:https://www.megalife.jp/feature>
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第7027576号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
非特許文献1に開示された上記従来技術のバッテリシステムでは、サブLIBは、メインLIBのバッテリ上がり状態から復帰する際に利用されるのみであり、常時稼働するものではない。このため、上記従来技術のバッテリシステムでは、サブLIBの待機時間が長く、バッテリの利用効率、言い換えれば、バッテリシステムが車両内に占めている体積当たりで発生されるエネルギー量が低い。
【0008】
この点に鑑みて、本発明の目的は、バッテリの利用効率を向上することができるのと同時に、バッテリの異常にも対処することができる、車両に搭載される蓄電装置を提供することにある。
【0009】
一方、近年では、蓄電装置の大容量化に関する需要が高まっている。停電が発生した際に設備負荷に電力を供給する、特許文献1に開示されたUPSシステムに設けられる蓄電装置についても、大容量化に関する需要が高まっている。
【0010】
近年では、停電が発生した際に外部から補助電源を移設することによる、UPSシステムへの援護措置が知られているが、係る援護措置が常に適時に講じられるとは限らない。このため、UPSシステムに設けられる蓄電装置についても、大容量化に関する需要と併せて、バッテリの利用効率を向上することが望まれる。
【0011】
この点に鑑みて、本発明の目的は、大容量化に関する需要と併せてバッテリの利用効率も向上することができるのと同時に、バッテリの異常にも対処することができる、UPSシステムに設けられる蓄電装置を提供することにもある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的を達成するため、本発明は、第1の観点から、
車両負荷に電力を供給する蓄電装置であって、
リチウムイオン二次電池からなる蓄電素子が複数直列に接続される組電池が2つ並列に接続されて構成され、車両負荷に常時並列に接続されるバッテリと、
2つの組電池のそれぞれを構成している各蓄電素子の両端のセル電圧を検出する電圧検出手段と、
電圧検出手段によって検出された複数のセル電圧のうちで最大電圧を示すものと最小電圧を示すものとの差が所定の閾値を超えるかを判定する第1判定手段と、
第1判定手段によって前記差が所定の閾値を超えると判定されたとき、所定の閾値を超える最大電圧と最小電圧との前記差を示している蓄電素子を含む組電池と車両負荷との間の接続を遮断する接続遮断手段と、
接続遮断手段によって車両負荷との間の接続が遮断された組電池を構成する複数の蓄電素子の間で蓄電容量の均等化を行う均等化手段と、
均等化手段によって蓄電容量の均等化が行われた組電池の両端のモジュール電圧が車両負荷との間の接続が遮断されていない他方の組電池の両端のモジュール電圧と実質的に同じであるかを判定する第2判定手段と、
第2判定手段によって各モジュール電圧が実質的に同じであると判定されたとき、蓄電容量の均等化が行われた組電池と車両負荷との間の接続を確立する接続確立手段と、
を備える蓄電装置を構成した。
【0013】
本構成によれば、蓄電装置に用いられるバッテリは、複数のリチウムイオン二次電池が直列に接続される組電池が2つ並列に接続されて構成され、車両負荷に常時並列に接続される。このため、非特許文献1に開示された、サブLIBが常時稼働しないバッテリシステムとは異なり、メインLIBとサブLIBに相当する2つの組電池が並列に接続されるバッテリから、車両負荷に常時電力が供給される。これにより、蓄電装置が車両内に占める体積当たりに発生するエネルギー量が高まり、バッテリの利用効率の向上を図ることができる。
【0014】
また、本構成によれば、電圧検出手段によって検出された複数のセル電圧のうちで最大電圧を示すものと最小電圧を示すものとの差が所定の閾値を超えるかが、第1判定手段によって特定される。その差が所定の閾値を超える最大電圧と最小電圧とを示している蓄電素子を含む組電池は、組電池を構成している各蓄電素子の劣化状態が進んでいると判定され、その組電池と車両負荷との間の接続が接続遮断手段によって遮断される。その後、均等化手段により、その組電池を構成する複数の蓄電素子の間で蓄電容量の均等化が行われる。この均等化により、2つの並列に接続された組電池から構成されるバッテリの回復処理が図られ、蓄電装置の寿命を向上させることができる。
【0015】
また、第1の観点において、本発明は、
電圧検出手段によって検出されたセル電圧が過充電状態または過放電状態にある蓄電素子を含む組電池があるかを判定する第3判定手段を備え、
接続遮断手段が、セル電圧が過充電状態または過放電状態にある蓄電素子を含むと第3判定手段によって判定された組電池と車両負荷との間の接続を遮断する、
ことを特徴とする。
【0016】
本構成によれば、第3判定手段により、セル電圧が過充電状態または過放電状態にある蓄電素子を含む組電池があるかが判定され、当該組電池がある場合、接続遮断手段によって当該組電池と車両負荷との間の接続が遮断される。このため、車両負荷との間の接続が遮断された当該組電池を交換等することにより、蓄電装置の異常に対して段階的に対処することができるようになる。
【0017】
また、本発明は、第2の観点から、
交流電源の停電時に交流電源に代わって設備負荷に電力を供給する蓄電装置であって、
リチウムイオン二次電池からなる蓄電素子が複数直列に接続される組電池が複数並列に接続されて構成されるバッテリと、
複数の組電池のそれぞれを構成している各蓄電素子の両端のセル電圧を検出する電圧検出手段と、
電圧検出手段によって検出された複数のセル電圧のうちで最大電圧を示すものと最小電圧を示すものとの差が所定の閾値を超えるかを判定する第1判定手段と、
第1判定手段によって前記差が所定の閾値を超えると判定されたとき、所定の閾値を超える最大電圧と最小電圧との前記差を示している蓄電素子を含む組電池と設備負荷との間の接続を遮断する接続遮断手段と、
接続遮断手段によって設備負荷との間の接続が遮断された組電池を構成する複数の蓄電素子の間で蓄電容量の均等化を行う均等化手段と、
均等化手段によって蓄電容量の均等化が行われた組電池の両端のモジュール電圧が設備負荷との間の接続が遮断されていない組電池の両端のモジュール電圧と実質的に同じであるかを判定する第2判定手段と、
第2判定手段によって各モジュール電圧が実質的に同じであると判定されたとき、蓄電容量の均等化が行われた組電池と設備負荷との間の接続を確立する接続確立手段と、
を備える蓄電装置を構成した。
【0018】
本構成によれば、蓄電装置に用いられるバッテリは、複数のリチウムイオン二次電池が直列に接続される組電池が複数並列に接続されて構成される。このため、交流電源の停電が発生したときに、バッテリは設備負荷に並列に接続されて、複数の組電池が同時に稼働する。このため、非特許文献1に開示された、サブLIBが常時稼働しないバッテリシステムとは異なり、バッテリの動作時、バッテリの複数の各組電池から、同時に、設備負荷に電力が供給される。これにより、蓄電装置がUPSシステムに占める体積当たりに発生するエネルギー量が高まり、バッテリの利用効率の向上を図ることができる。
【0019】
また、本構成によれば、バッテリは、組電池が複数並列に接続されて構成されるので、UPSシステムに設けられる蓄電装置についても、大容量化に関する需要に答えることができるようになる。
【0020】
また、本構成によれば、電圧検出手段によって検出された複数のセル電圧のうちで最大電圧を示すものと最小電圧を示すものとの差が所定の閾値を超えるかが、第1判定手段によって特定される。その差が所定の閾値を超える最大電圧と最小電圧とを示している蓄電素子を含む組電池は、組電池を構成している各蓄電素子の劣化状態が進んでいると判定され、その組電池と設備負荷との間の接続が接続遮断手段によって遮断される。その後、均等化手段により、その組電池を構成する複数の蓄電素子の間で蓄電容量の均等化が行われる。この均等化により、複数並列に接続された組電池から構成されるバッテリの回復処理が図られ、蓄電装置の寿命を向上させることができる。
【0021】
また、第2の観点において、本発明は、
電圧検出手段によって検出されたセル電圧が過充電状態または過放電状態にある蓄電素子を含む組電池があるかを判定する第3判定手段を備え、
接続遮断手段が、セル電圧が過充電状態または過放電状態にある蓄電素子を含むと第3判定手段によって判定された組電池と設備負荷との間の接続を遮断する、
ことを特徴とする。
【0022】
本構成によれば、第3判定手段により、セル電圧が過充電状態または過放電状態にある蓄電素子を含む組電池があるかが判定され、当該組電池がある場合、接続遮断手段によって当該組電池と設備負荷との間の接続が遮断される。このため、設備負荷との間の接続が遮断された当該組電池を交換等することにより、蓄電装置の異常に対して段階的に対処することができるようになる。
【発明の効果】
【0023】
この結果、本発明によれば、バッテリの利用効率を向上することができるのと同時に、バッテリの異常にも対処することができる、車両に搭載される蓄電装置を提供することができ、また、大容量化に関する需要と併せてバッテリの利用効率も向上することができるのと同時に、バッテリの異常にも対処することができる、UPSシステムに設けられる蓄電装置を提供することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の第1の実施の形態に係る、車両に搭載される電池パックの構成を例示するブロック図である。
図2図1に示す電池パックの動作を例示するフローチャートである。
図3】本発明の第2の実施の形態に係る電池パックが設けられるUPSシステムを例示するブロック図である。
図4】(a)は、図3に示すUPSシステムの商用電源給電モードに係る動作を例示する図、(b)は、図3に示すUPSシステムの電池パック給電モードに係る動作を例示する図である。
図5図3に示すUPSシステムに設けられる第2の実施の形態に係る電池パックの構成を例示するブロック図である。
図6図5に示す電池パックの動作を例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施の形態に係る蓄電装置を詳細に説明する。
【0026】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る、車両に搭載される蓄電装置である電池パック5の構成を例示するブロック図である。
【0027】
本実施の形態に係る電池パック5は、例えば、車両のエンジン始動装置等に電源供給を行う12V系または24V系電源等として採用することができる。電池パック5は、例えば、ガソリン等の化石燃料専用車両またはハイブリッド車両に搭載される蓄電装置であって、車両発電機(例えば、オルタネータ)1により充電され、車両に搭載される車両負荷3に放電して、車両負荷3に電源を供給する。
【0028】
電池パック5は、複数の蓄電素子が直列に接続されて構成される組電池19-1,19-2が2台並列に接続されて構成されるバッテリ19、バッテリ19を管理するバッテリマネジメントユニット(BMU:Battery Management Unit、以下、BMUと記す)7、電流検出部23、放電回路20-1,20-2からなる放電ユニット20、温度測定部21-1,21-2からなる温度測定ユニット21、出力制御回路15、および電流断続回路17を備える。
【0029】
本実施の形態では、組電池19-1,19-2は、それぞれ8個の蓄電素子が直列に接続されて構成され、組電池それぞれの両端での総電圧は24[V]であるが、組電池19-1,19-2の構成はこれに限定されるものではない。
【0030】
また、本実施形態における組電池19-1,19-2のそれぞれを構成している蓄電素子は、リチウムイオン二次電池である。本実施の形態では、この蓄電素子は、電極積層体が電解液と共に例えばラミネートフィルムである外装体に収容されて構成される。電極積層体は、例えば、アルミニウム箔等である正極集電体に、例えばLiFePO4等のオリビン型正極活物質からなる正極層が設けられた正極と、例えば銅箔等である負極集電体に、例えば黒鉛等の炭素材からなる負極層が設けられた負極とがセパレータを介して積層されて、構成される。
【0031】
電流検出部23は、例えば電流検出抵抗(例えばシャント抵抗)等であり、BMU7内部に設けられる中央演算処理装置(以下、CPUと記す)9からの指示に応答して、電流検出抵抗の両端間の電位差を検出することで、バッテリ19に流れる電流を検出する。
【0032】
放電ユニット20を構成する放電回路20-1,20-2は、組電池19-1,19-2のそれぞれに対応して設けられる。各放電回路20-1,20-2では、単位放電回路(図示せず)が組電池19-1,19-2を構成している各蓄電素子ごとに設けられる。単位放電回路は、例えばFET(電界効果トランジスタ)等の半導体スイッチと抵抗素子との直列接続によって構成され、BMU7からの指示に応答して、対応する蓄電素子に蓄えられた容量を放電する。
【0033】
温度測定ユニット21を構成する温度測定部21-1,21-2は、接触式あるいは非接触式の温度測定器であり、BMU7内部に設けられるCPU9からの指示に応答して、対応する組電池19-1,19-2の温度[℃]を測定する。この場合、温度測定部21-1,21-2は、対応する組電池19-1,19-2のうち、特定の1つの蓄電素子または複数の蓄電素子のそれぞれの温度を測定してもよい。
【0034】
電流検出部23により検出された電流値および温度測定部21-1,21-2により測定された測定値は、BMU7内部に設けられるメモリ(以下、MEMと記す)11に記憶される。
【0035】
出力制御回路15は、BMU7からの指示に応答して、バッテリ19の出力電流または出力電圧を制御する。
【0036】
電流断続回路17は、例えばFET等の半導体スイッチやリレーである。バッテリ19は車両負荷3に常時並列に接続されるが、電流断続回路17は、BMU7からの指示に応答して、組電池19-1,19-2のいずれか一方または両方と、車両発電機1および車両負荷3との間の接続を遮断または確立する。
【0037】
BMU7は、CPU9、MEM11および電圧検出回路13を備えており、2つの組電池19-1,19-2からなるバッテリ19から給電されて、動作する。
【0038】
CPU9は、MEM11に記憶されている本実施の形態に係る一連の動作を記述したコンピュータプログラムの指示に従って、図2にて後述する動作を実行する。
【0039】
MEM11は、例えばフラッシュメモリやEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)等の不揮発性メモリ等であり、本実施の形態に係る一連の動作を記述したコンピュータプログラムを記憶するほか、CPU9の指示に応じて検出された電圧値、電流値および温度値等を記憶する。
【0040】
電圧検出回路13は、電圧検出線(図示せず)を介して、各蓄電素子の両端にそれぞれ接続されており、2つの組電池19-1,19-2のそれぞれを構成している各蓄電素子の両端のセル電圧を検出する電圧検出手段を構成する。本実施の形態では、電圧検出回路13は、CPU9からの指示に応答して、組電池19-1,19-2のそれぞれを構成している各蓄電素子のセル電圧、および/または組電池19-1,19-2のそれぞれの総電圧であるモジュール電圧を測定する。電圧検出回路13により検出された電圧値はCPU9の制御によってMEM11に記憶される。
【0041】
CPU9は、電圧検出回路13によって検出された複数のセル電圧のうちで、最大電圧を示すものと最小電圧を示すものとの差が所定の閾値を超えるかを判定する第1判定手段を構成する。また、電流断続回路17は、第1判定手段によって前記差が所定の閾値を超えると判定されたとき、所定の閾値を超える最大電圧と最小電圧との前記差を示している蓄電素子を含む組電池19-1,19-2と、車両負荷3との間の接続を遮断する、接続遮断手段を構成する。また、CPU9は、電流断続回路17によって車両負荷3との間の接続が遮断された組電池19-1,19-2を構成する複数の蓄電素子の間で、蓄電容量の均等化を行う均等化手段を構成する。
【0042】
また、CPU9は、均等化手段によって蓄電容量の均等化が行われた組電池19-1,19-2の両端のモジュール電圧が、車両負荷3との間の接続が遮断されていない他方の組電池19-2,19-1の両端のモジュール電圧と実質的に同じであるかを判定する第2判定手段を構成する。また、電流断続回路17は、第2判定手段によって各モジュール電圧が実質的に同じであると判定されたとき、蓄電容量の均等化が行われた組電池19-1,19-2と車両負荷3との間の接続を確立する接続確立手段を構成する。
【0043】
また、CPU9は、電圧検出回路13によって検出されたセル電圧が過充電状態または過放電状態にある蓄電素子を含む組電池19-1,19-2があるかを判定する第3判定手段をも構成する。接続遮断手段を構成する電流断続回路17は、セル電圧が過充電状態または過放電状態にある蓄電素子を含むと第3判定手段によって判定された組電池19-1,19-2と車両負荷3との間の接続を遮断する。
【0044】
図2は、本実施の形態に係る、車両に搭載される電池パック5の動作を例示するフローチャートである。
【0045】
電池パック5の動作時、はじめに、ステップS01で、CPU9の指示により、組電池19-1,19-2のそれぞれを構成している蓄電素子の両端のセル電圧が、電圧検出回路13によって検出される。
【0046】
次に、ステップS02で、電圧検出回路13によって検出された複数のセル電圧のうちで、最大電圧を示すものと最小電圧を示すものとの差が、例えば0.3Vである所定の閾値を超えるかが、第1判定手段を構成するCPU9によって判定される。具体的には、CPU9は、それぞれの組電池19-1,19-2について、検出された複数のセル電圧のなかで最大電圧と最小電圧との差を算出し、算出した差が当該所定の閾値を超えるかを判定する。
【0047】
ステップS02で、検出されたセル電圧のうちの最大電圧と最小電圧との差が当該所定の閾値を超えると判定された場合には、次に、ステップS03で、接続遮断手段を構成する電流断続回路17がCPU9によって断制御されることで、前記差が当該所定の閾値を超える最大電圧と最小電圧とを示している蓄電素子を含む組電池19-1,19-2と、車両負荷3との間の接続が遮断される。
【0048】
次に、ステップS04で、車両負荷3との間の接続が遮断された組電池19-1,19-2を構成する複数の蓄電素子の間で、蓄電容量の均等化が均等化手段を構成するCPU9によって行われる。具体的には、CPU9は、接続が遮断された組電池19-1,19-2のなかで上記最大電圧を示している蓄電素子に対応して設けられている単位放電回路に指示して、上記最大電圧を示している蓄電素子を、例えば上記最小電圧との間で例えば0.2Vである所定の電圧差となるように、放電させる。このセルバランス動作は、上記最大電圧を示す蓄電素子を含むいずれかの組電池19-1,19-2に対してのみ行うのではなく、車両負荷3との間の接続が遮断された全ての組電池19-1,19-2のなかで、最大電圧を示す蓄電素子と最小電圧を示す蓄電素子との差が当該所定の電圧差に収まるように、行ってもよい。
【0049】
次に、ステップS05で、車両負荷3との間の接続が遮断されて、均等化手段によって蓄電容量の均等化が行われた組電池19-1,19-2の両端の総電圧であるモジュール電圧と、接続が遮断されていない組電池19-2,19-1の両端の総電圧であるモジュール電圧とが、第2判定手段を構成するCPU9によって比較される。具体的には、CPU9は、電圧検出回路13に指示して、蓄電容量の均等化が行われた組電池19-1,19-2の両端のモジュール電圧、および車両負荷3との間の接続が遮断されていない組電池19-2,19-1の両端のモジュール電圧を検出させる。そして、CPU9は、電圧検出回路13で検出されたモジュール電圧どうしを比較する。
【0050】
次に、ステップS06で、ステップS05の比較結果、蓄電容量の均等化が行われた組電池19-1,19-2の両端のモジュール電圧と、接続が遮断されていない組電池19-2,19-1の両端のモジュール電圧とが、実質的に同じであったかが、第2判定手段を構成するCPU9によって判定される。実質的に同じであるか否かは、各モジュール電圧間の電圧差が予め定めた所定値内に収まっているか否かによって判定される。
【0051】
ステップS06で実質的に同じでないと判定された場合、処理はステップS04に戻り、蓄電容量の均等化が行われた組電池19-1,19-2を構成する複数の蓄電素子の間で、蓄電容量の均等化が再度行われる。その後、ステップS05,ステップS06の処理が繰り返される。この場合、CPU9は、蓄電容量の均等化が一旦終了した組電池19-1,19-2を早期にバッテリ19に復帰させるため、再度の均等化処理で、充電回路(図示せず)および/または放電回路20に指示して、接続が遮断されていない組電池19-2,19-1を充電および/または放電させることで、蓄電容量の均等化が行われた組電池19-1,19-2の両端のモジュール電圧と、接続が遮断されていない組電池19-2,19-1の両端のモジュール電圧とを、例えば0.2Vである所定の電圧差に収まるようにする構成としてもよい。
【0052】
一方、ステップS06で実質的に同じであると判定された場合、次に、ステップS07で、接続確立手段を構成する電流断続回路17がCPU9によって接続制御されることで、接続が遮断されて蓄電容量の均等化が行われた組電池19-1,19-2と車両負荷3との間の接続が確立される。
【0053】
また、ステップS02で、検出されたセル電圧のうち、最大電圧と最小電圧との差が所定の閾値を超えないと判定された場合には、次に、ステップS08で、第3判定手段を構成するCPU9により、検出されたセル電圧のうち、過充電状態にあるセル電圧または過放電状態にあるセル電圧があるかが判定される。
【0054】
過充電状態にあるセル電圧または過放電状態にあるセル電圧がないと、ステップS08で判定された場合、処理はステップS01に戻り、上述の各処理が繰り返される。
【0055】
一方、過充電状態にあるセル電圧または過放電状態にあるセル電圧があると、ステップS02で判定された場合、次に、ステップS09で、接続遮断手段を構成する電流断続回路17により、セル電圧が過充電状態または過放電状態にある蓄電素子を含むと判定された組電池19-1,19-2と車両負荷3との間の接続が遮断される。その後、電池パック5の制御処理は終了する。
【0056】
このような本実施形態による電池パック5によれば、電池パック5に用いられるバッテリ19は、複数のリチウムイオン二次電池が直列に接続される組電池19-1,19-2が2つ並列に接続されて構成され、車両負荷3に常時並列に接続される。このため、非特許文献1に開示された、サブLIBが常時稼働しないバッテリシステムとは異なり、メインLIBとサブLIBに相当する2つの組電池19-1,19-2が並列に接続されるバッテリ19から、車両負荷3に常時電力が供給される。これにより、電池パック5が車両内に占める体積当たりに発生するエネルギー量が高まり、バッテリ19の利用効率の向上を図ることができる。
【0057】
また、本実施形態による電池パック5によれば、各組電池19-1,19-2における複数のセル電圧のうちで最大電圧を示すものと最小電圧を示すものとの差が所定の閾値を超える組電池19-1,19-2が、ステップS02で、第1判定手段を構成するCPU9によって特定される。その差が所定の閾値を超える組電池19-1,19-2は、組電池19-1,19-2を構成している各蓄電素子の劣化状態が進んでいると判定され、ステップS03で、その組電池19-1,19-2と車両負荷3との間の接続が接続遮断手段を構成する電流断続回路17によって遮断される。その後、ステップS04で、均等化手段を構成するCPU9により、その組電池19-1,19-2を構成する複数の蓄電素子の間で蓄電容量の均等化が行われる。この均等化により、2つの並列に接続された組電池19-1,19-2から構成されるバッテリ19の回復処理が図られ、蓄電装置の寿命を向上させることができる。
【0058】
また、本実施形態による電池パック5によれば、ステップS08で、第3判定手段を構成するCPUにより、セル電圧が過充電状態または過放電状態にある蓄電素子を含む組電池19-1,19-2があるかが判定され、当該組電池19-1,19-2がある場合、ステップS09で、接続遮断手段を構成する電流断続回路17によって、当該組電池19-1,19-2と車両負荷3との間の接続が遮断される。このため、車両負荷3との間の接続が遮断された当該組電池19-1,19-2を交換等することにより、電池パック5の異常に対して段階的に対処することができるようになる。
【0059】
なお、上記実施の形態では、電池パック5は、ガソリン等の化石燃料専用車両またはハイブリッド車両(HV)に搭載される蓄電装置としている。これに対する変形例として、電池パック5は、電気車両(EV)に搭載される、電装品等へ電力を供給する補機用の蓄電装置とすることもできる。この場合、電気車両において、車両を駆動する電動機が動作しているときは、バッテリ19の電圧が所定値以下である場合に、電動機を駆動する駆動用の蓄電装置から、バッテリ19への充電電流が発生する。
【0060】
次に、本発明の第2の実施の形態による蓄電装置について説明する。
【0061】
第1の実施の形態では、車両の負荷に電力を供給する電池パック5を蓄電装置として開示するものであったが、第2の実施の形態では、停電が発生した際にUPSを介して、非常灯やコンピュータシステム等の設備の負荷に電力を供給する電池パック5を蓄電装置として、開示するものである。
【0062】
図3は、第2の実施の形態に係る電池パック5が設けられるUPSシステムを例示するブロック図である。
【0063】
このUPSシステムは、UPS31および電池パック5により構成される。UPS31は、商用電源給電モードにおいて、商用交流電源27からの電力を設備負荷29に供給する一方で電池パック5を充電し、電池パック給電モードにおいて、電池パック5からの電力を設備負荷29に供給する。
【0064】
図3に例示されるUPS31は、交流入力端子T1、バッテリ端子T2、交流出力端子T3、コンバータ33、直流ライン37、コンデンサ39、降圧チョッパ41、インバータ43、スイッチS1,S2および制御部45を備える。
【0065】
図4(a)は、第2の実施の形態に係るUPSシステムの商用電源給電モードに係る動作を例示する図である。
【0066】
商用電源給電モードにおいて、制御部45は、商用交流電源27からスイッチS1を介してコンバータ33に交流電力が供給されるように、スイッチS1をオンにし、スイッチS2をオフにする。具体的には、制御部45は、商用交流電源27からスイッチS1および交流ノード35aを介して供給される交流電力を直流電力に変換するように、コンバータ33を制御し、コンバータ33からの直流電力を交流電力に変換して設備負荷29に供給するように、インバータ43を制御する。その一方、制御部45は、コンバータ33からの直流電力を電池パック5におけるバッテリに蓄えるように、降圧チョッパ41を制御する。
【0067】
図4(b)は、第2の実施の形態に係るUPSシステムの電池パック給電モードに係る動作を例示する図である。
【0068】
電池パック給電モードにおいて、制御部45は、電池パック5からスイッチS2および直流ノード35bを介してコンバータ33に直流電力が供給されるように、スイッチS2をオンにし、スイッチS1をオフにする。具体的には、制御部45は、電池パック5からスイッチS2を介して供給される直流電力を昇圧してインバータ43に供給するように、コンバータ33を制御する。また、制御部45は、コンバータ33からの直流電力を交流電力に変換して、変換した交流電力を全ての設備負荷29または予め設定された設備負荷29に供給するように、インバータ43を制御する。
【0069】
図5は、第2の実施の形態に係る、UPSシステムに設けられる電池パック5の構成を例示するブロック図である。第2の実施の形態に係る電池パック5は、商用交流電源27の停電時に商用交流電源27に代わって設備負荷29に電源を供給する蓄電装置である。
【0070】
なお、図5に例示する電池パック5の構成について、図1に例示した電池パック5の構成と同じ機能・役割を果たすものについては同一符号を付して、その説明を省略する。
【0071】
第1の実施の形態に係る電池パック5では、バッテリ19が、例えば8個の蓄電素子が直列に接続されて構成される組電池19-1,19-2が2台並列に接続されて構成された。これに対して、第2の実施の形態に係る電池パック5では、バッテリ19が、例えば15個のLIBである蓄電素子が直列に接続されて構成される組電池19-1,19-2,…,19-18が、18台の複数に並列に接続されて構成される、48[V]電源である。
【0072】
また、第2の実施の形態に係る電池パック5では、電圧検出回路13は、電圧検出線(図示せず)を介して、各蓄電素子の両端にそれぞれ接続されており、18台の組電池19-1,19-2,…,19-18のそれぞれを構成している各蓄電素子の両端のセル電圧を検出する電圧検出手段を構成する。CPU9は、電圧検出回路13によって検出された複数のセル電圧のうちで最大電圧を示すものと最小電圧を示すものとの差が所定の閾値を超えるかを判定する第1判定手段を構成する。また、電流断続回路17は、第1判定手段によって前記差が所定の閾値を超えると判定されたとき、所定の閾値を超える最大電圧と最小電圧との前記差を示している蓄電素子を含む組電池19-1,19-2,…,19-18と設備負荷29との間の接続を遮断する接続遮断手段を構成する。
【0073】
また、CPU9は、接続遮断手段によって設備負荷29との間の接続が遮断された組電池19-1,19-2,…,19-18を構成する複数の蓄電素子の間で蓄電容量の均等化を行う均等化手段を構成する。また、CPU9は、均等化手段によって蓄電容量の均等化が行われた組電池19-1,19-2,…,19-18の両端のモジュール電圧が、設備負荷29との間の接続が遮断されていない組電池19-1,19-2,…,19-18の両端のモジュール電圧と実質的に同じであるか、を判定する第2判定手段を構成する。また、電流断続回路17は、第2判定手段によって各モジュール電圧が実質的に同じであると判定されたとき、蓄電容量の均等化が行われた組電池19-1,19-2,…,19-18と設備負荷29との間の接続を確立する接続確立手段を構成する。
【0074】
また、CPU9は、電圧検出手段によって検出されたセル電圧が過充電状態または過放電状態にある蓄電素子を含む組電池19-1,19-2,…,19-18があるか、を判定する第3判定手段を構成する。接続遮断手段を構成する電流断続回路17は、セル電圧が過充電状態または過放電状態にある蓄電素子を含むと第3判定手段によって判定された組電池19-1,19-2,…,19-18と設備負荷29との間の接続を遮断する。
【0075】
図6は、第2の実施の形態に係る、UPSシステムに設けられる電池パック5の動作を例示するフローチャートである。
【0076】
電池パック5の動作時、はじめに、ステップS11で、商用交流電源27の停電が発生したかがCPU9によって判定される。停電が発生していない場合には、上記商用電源給電モードにおいて、電池パック5は、商用交流電源27から供給される電力により充電されている。そこで、CPU9は、電流検出部23により、降圧チョッパ41からの充電電流に対応する所定値を超える電流が検出されていない場合に、停電が発生したと判定することができる。
【0077】
ステップS11で停電が発生していないと判定された場合には、ステップS11の処理が繰り返される。一方、停電が発生したと判定された場合には、UPS31の制御部45の制御により、UPS31は、電池パック5からの電力を設備負荷29に供給する上記電池パック給電モードになる。電池パック5では、次に、ステップS12で、上記電池パック給電モードにおいて、電圧検出回路13により、18台の組電池19-1,19-2,…,19-18のそれぞれを構成している各蓄電素子の両端のセル電圧が検出される。
【0078】
次に、ステップS13で、電圧検出回路13によって検出された複数のセル電圧のうちで、最大電圧を示すものと最小電圧を示すものとの差が、例えば0.3Vである所定の閾値を超えるかが、第1判定手段を構成するCPU9によって判定される。具体的には、CPU9は、それぞれの組電池19-1,19-2,…,19-18について、検出された複数のセル電圧のなかで最大電圧と最小電圧との差を算出し、算出した差が当該所定の閾値を超えるかを判定する。
【0079】
ステップS13で、検出されたセル電圧のうちの最大電圧と最小電圧との差が当該所定の閾値を超えると判定された場合には、次に、ステップS14で、接続遮断手段を構成する電流断続回路17がCPU9によって断制御されることで、前記差が当該所定の閾値を超える最大電圧と最小電圧とを示している蓄電素子を含む組電池19-1,19-2,…,19-18と、設備負荷29との間の接続が遮断される。
【0080】
次に、ステップS15で、設備負荷29との間の接続が遮断された組電池19-1,19-2,…,19-18を構成する複数の蓄電素子の間で、蓄電容量の均等化が均等化手段を構成するCPU9によって行われる。具体的には、CPU9は、接続が遮断された組電池19-1,19-2,…,19-18のなかで上記最大電圧を示している蓄電素子に対応して設けられている単位放電回路に指示して、上記最大電圧を示している蓄電素子を、例えば上記最小電圧との間で例えば0.2Vである所定の電圧差となるように、放電させる。このセルバランス動作は、上記最大電圧を示す蓄電素子を含むいずれかの組電池19-1,19-2,…,19-18に対してのみ行うのではなく、車両負荷3との間の接続が遮断された全ての組電池19-1,19-2,…,19-18のなかで、最大電圧を示す蓄電素子と最小電圧を示す蓄電素子との差が当該所定の電圧差に収まるように、行ってもよい。
【0081】
次に、ステップS16で、設備負荷29との間の接続が遮断されて、均等化手段によって蓄電容量の均等化が行われた組電池19-1,19-2,…,19-18の両端の総電圧であるモジュール電圧と、設備負荷29との間の接続が遮断されていない組電池19-2,19-1の両端の総電圧であるモジュール電圧とが、第2判定手段を構成するCPU9によって比較される。具体的には、CPU9は、電圧検出回路13に指示して、蓄電容量の均等化が行われた組電池19-1,19-2,…,19-18の両端のモジュール電圧、および車両負荷3との間の接続が遮断されていない組電池19-1,19-2,…,19-18の両端のモジュール電圧を検出させる。そして、CPU9は、電圧検出回路13で検出されたモジュール電圧どうしを比較する。
【0082】
次に、ステップS17で、ステップS16の比較結果、蓄電容量の均等化が行われた組電池19-1,19-2,…,19-18の両端のモジュール電圧と、接続が遮断されていない組電池19-1,19-2,…,19-18の両端のモジュール電圧とが、実質的に同じであったかが、第2判定手段を構成するCPU9によって判定される。実質的に同じであるか否かは、各モジュール電圧間の電圧差が予め定めた所定値内に収まっているか否かによって判定される。
【0083】
ステップS17で実質的に同じでないと判定された場合、処理はステップS15に戻り、蓄電容量の均等化が行われた組電池19-1,19-2,…,19-18を構成する複数の蓄電素子の間で、蓄電容量の均等化が再度行われる。その後、ステップS16,ステップS17の処理が繰り返される。この場合、CPU9は、容量の均等化が一旦終了した組電池19-1,19-2,…,19-18を早期にバッテリ19に復帰させるため、再度の均等化処理で、充電回路(図示せず)および/または放電回路20に指示して、接続が遮断されていない組電池19-1,19-2,…,19-18を充電および/または放電させることで、蓄電容量の均等化が行われた組電池19-1,19-2,…,19-18の両端のモジュール電圧と、接続が遮断されていない組電池19-1,19-2,…,19-18の両端のモジュール電圧とを、例えば0.2Vである所定の電圧差に収まるようにする構成としてもよい。
【0084】
一方、ステップS17で実質的に同じであると判定された場合、次に、ステップS18で、接続確立手段を構成する電流断続回路17がCPU9によって接続制御されることで、接続が遮断されて蓄電容量の均等化が行われた組電池19-1,19-2,…,19-18と設備負荷29との間の接続が確立される。
【0085】
また、ステップS13で、検出されたセル電圧のうち、最大電圧と最小電圧との差が所定の閾値を超えないと判定された場合には、次に、ステップS19で、第3判定手段を構成するCPU9により、検出されたセル電圧のうち、過充電状態にあるセル電圧または過放電状態にあるセル電圧があるかが判定される。
【0086】
過充電状態にあるセル電圧または過放電状態にあるセル電圧がないとステップS13で判定された場合、処理はステップS12に戻り、上述の各処理が繰り返される。
【0087】
一方、過充電状態にあるセル電圧または過放電状態にあるセル電圧があるとステップS19で判定された場合、次に、ステップS20で、接続遮断手段を構成する電流断続回路17により、セル電圧が過充電状態または過放電状態にある蓄電素子を含むと判定された組電池19-1,19-2,…,19-18と設備負荷29との間の接続が遮断される。その後、電池パック5の制御処理は終了する。
【0088】
このような第2の実施の形態による電池パック5によれば、電池パック5に用いられるバッテリ19は、複数のリチウムイオン二次電池が直列に接続される組電池19-1,19-2,…,19-18が18台並列に接続されて、構成される。このため、商用交流電源27の停電が発生したときに、UPS31における制御部45の制御により、バッテリ19は設備負荷29に並列に接続されて、18台の組電池19-1,19-2,…,19-18が同時に稼働する。このため、非特許文献1に開示された、サブLIBが常時稼働しないバッテリシステムとは異なり、バッテリ19の動作時、バッテリ19の18台の各組電池19-1,19-2,…,19-18から、同時に、設備負荷29に電力が供給される。これにより、電池パック5がUPSシステムに占める体積当たりに発生するエネルギー量が高まり、バッテリ19の利用効率の向上を図ることができる。
【0089】
また、第2の実施の形態による電池パック5によれば、バッテリ19は、組電池19-1,19-2,…,19-18が18台並列に接続されて構成されるので、UPSシステムに設けられる電池パック5についても、大容量化に関する需要に答えることができるようになる。
【0090】
また、第2の実施の形態による電池パック5によれば、各組電池19-1,19-2,…,19-18における複数のセル電圧のうちで最大電圧を示すものと最小電圧を示すものとの差が所定の閾値を超える組電池19-1,19-2,…,19-18が、ステップS13で、第1判定手段を構成するCPU9によって特定される。その差が所定の閾値を超える組電池19-1,19-2,…,19-18は、それらを構成している各蓄電素子の劣化状態が進んでいると判定され、ステップS14で、その組電池19-1,19-2,…,19-18と設備負荷29との間の接続が接続遮断手段を構成する電流断続回路17によって遮断される。その後、ステップS15で、均等化手段を構成するCPU9により、その組電池19-1,19-2,…,19-18を構成する複数の蓄電素子の間で蓄電容量の均等化が行われる。この均等化により、複数並列に接続された組電池19-1,19-2,…,19-18から構成されるバッテリ19の回復処理が図られ、蓄電装置の寿命を向上させることができる。
【0091】
また、本実施形態による電池パック5によれば、ステップS19で、第3判定手段を構成するCPUにより、セル電圧が過充電状態または過放電状態にある蓄電素子を含む組電池19-1,19-2,…,19-18があるかが判定され、当該組電池19-1,19-2,…,19-18がある場合、ステップS20で、接続遮断手段を構成する電流断続回路17によって、当該組電池19-1,19-2,…,19-18と設備負荷29との間の接続が遮断される。このため、設備負荷29との間の接続が遮断された当該組電池19-1,19-2,…,19-18を交換等することにより、電池パック5の異常に対して段階的に対処することができるようになる。
【0092】
なお、第2の実施の形態では、ステップS11で停電が発生したかを降圧チョッパ41からの充電電流を基に判定しているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、UPS31の制御部45からの停電が発生したことの通知を受けて、停電が発生したかを判定して、ステップS11を実行する構成としてもよい。何れにしても、本発明は、停電が発生したときに、それぞれの組電池19-1,19-2,…,19-18を構成しているLIBの両端の電圧を検出する構成であればよい。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明によれば、バッテリの利用効率を向上することができるのと同時に、バッテリの異常にも対処することができる、車両に搭載される蓄電装置を提供することができ、また、大容量化に関する需要と併せてバッテリの利用効率も向上することができるのと同時に、バッテリの異常にも対処することができる、UPSシステムに設けられる蓄電装置を提供することもできる。したがって、本発明の蓄電装置は、産業上の利用可能性が極めて高い。
【符号の説明】
【0094】
1:車両発電機
3:車両負荷
5:電池パック(蓄電装置)
7:バッテリマネジメントユニット(BMU)
9:中央演算処理装置(CPU)
11:メモリ(MEM)
13:電圧検出回路
15:出力制御回路
17:電流断続回路
19:バッテリ
19-1,19-2,19-18:組電池
20:放電ユニット
20-1,20-2:放電回路
21:温度測定ユニット
21-1,21-2:温度測定部
23:電流検出部
27:商用交流電源
29:設備負荷
31:無停電電源装置(UPS)
33:コンバータ(CNV)
35a:交流ノード
35b:直流ノード
37:直流ライン
39:コンデンサ
41:降圧チョッパ(CHP)
43:インバータ(INV)
45:制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6