(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087364
(43)【公開日】2024-07-01
(54)【発明の名称】遊技場用システム
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20240624BHJP
G06Q 30/0201 20230101ALI20240624BHJP
【FI】
A63F7/02 328
A63F7/02 340
G06Q30/0201
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022202155
(22)【出願日】2022-12-19
(71)【出願人】
【識別番号】000108937
【氏名又は名称】ダイコク電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】青木 敏師
【テーマコード(参考)】
2C088
5L030
5L049
【Fターム(参考)】
2C088CA06
2C088CA09
2C088CA28
2C088CA31
2C088CA35
5L030BB02
5L049BB02
(57)【要約】
【課題】自店の業績に貢献する遊技機の選択を的確に行い、遊技場管理者の業務負担を軽減することができる遊技場用システムを提供する。
【解決手段】管理装置において、マーケットデータにより例えば、自店と競合店との属する商圏において、自店には設置されていないが競合店では稼動率が高い遊技機の機種を選定し、当該機種の遊技機の購入費用を回収する期間が比較的短い場合に、当該機種の中古遊技機の購入を促す報知を行うことが可能となる。それ故、管理者は何れの機種を導入すべきか容易に検討でき、入替戦略に係る業務負担を軽減することができる。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技場に設置されている遊技機から出力される遊技信号に基づき特定される遊技情報を複数の遊技場から収集する遊技情報収集手段と、
中古遊技機について少なくとも機種と対応付けた中古機価格を収集する中古機価格収集手段と、
前記遊技情報収集手段により収集した遊技情報を機種別に集計するとともに、特定の遊技場及び当該特定の遊技場と競合する競合遊技場を含む地域範囲である商圏を特定し、前記機種別の遊技情報を前記商圏における前記収集先の遊技場と関連付けたマーケットデータとして作成する商圏情報作成手段と、
前記特定の遊技場において購入すべき遊技機を選定する際、前記商圏情報作成手段により作成されたマーケットデータに基づき、その商圏内の当該特定の遊技場に設置されておらず且つ前記競合遊技場に設置された遊技機であって、対応する前記機種別の遊技情報に関して予め定められた所定の第1条件を満たす遊技機の機種を選定する遊技機選定手段と、
前記遊技機選定手段により選定された遊技機の機種について、対応する前記中古機価格に関して予め定められた所定の第2条件を満たす場合に、前記選定された当該機種の前記中古遊技機としての購入を促す報知を行う報知手段と、
を備える遊技場用システム。
【請求項2】
遊技場に設置されている遊技機から出力される遊技信号に基づき特定される遊技情報を複数の遊技場から収集する遊技情報収集手段と、
中古遊技機について少なくとも機種と対応付けた中古機価格を収集する中古機価格収集手段と、
前記遊技情報収集手段により収集した遊技情報を機種別に集計するとともに、特定の遊技場及び当該特定の遊技場と競合する競合遊技場を含む地域範囲である商圏を特定し、前記機種別の遊技情報を前記商圏における前記収集先の遊技場と関連付けたマーケットデータとして作成する商圏情報作成手段と、
前記特定の遊技場において売却すべき遊技機を選定する際、前記商圏情報作成手段により作成されたマーケットデータに基づき、その商圏内の当該特定の遊技場と前記競合遊技場との双方に設置された同一機種の遊技機であって、対応する前記機種別の遊技情報に関して予め定められた所定の第1条件を前記双方で満たす遊技機の機種を選定する遊技機選定手段と、
前記遊技機選定手段により選定された遊技機の機種について、対応する前記中古機価格に関して予め定められた所定の第2条件を満たす場合に、当該遊技機の売却を促す報知を行う報知手段と、
を備える遊技場用システム。
【請求項3】
遊技場に設置されている遊技機から出力される遊技信号に基づき特定される遊技情報を複数の遊技場から収集する遊技情報収集手段と、
中古遊技機について少なくとも機種と対応付けた中古機価格を収集する中古機価格収集手段と、
前記遊技情報収集手段により収集した遊技情報を機種別に集計するとともに、特定の遊技場及び当該特定の遊技と競合する競合遊技場を含む地域範囲である商圏を特定し、前記機種別の遊技情報を前記商圏における前記収集先の遊技場と関連付けたマーケットデータとして作成する商圏情報作成手段と、
前記特定の遊技場における遊技機にて使用される遊技価値の種類である種別を設定する際、前記商圏情報作成手段により作成されたマーケットデータに基づき、その商圏内の当該特定の遊技場と前記競合遊技場との双方で異なる種別が使用される同一機種の遊技機であって、前記競合遊技場における前記機種別の遊技情報に関して予め定められた所定の第1条件を満たす遊技機の機種を選定する遊技機選定手段と、
前記遊技機選定手段により選定された遊技機の機種について、対応する前記中古機価格に関して予め定められた所定の第2条件を満たす場合に、当該特定の遊技場における前記種別を、前記競合遊技場における種別へと変更するよう促す報知を行う報知手段と、
を備える遊技場用システム。
【請求項4】
前記第1条件は、前記遊技情報として前記機種別に求められた遊技機の稼動率が予め定められた基準割合以上であること或いは基準割合未満であることを条件とし、
前記第2条件は、前記対応する機種の中古機価格に関して償却期間を求め、その機種の償却期間が予め定められた基準期間以上であること或いは基準期間未満であることを条件とする請求項1から3の何れか一項記載の遊技場用システム。
【請求項5】
前記複数の遊技場から収集される前記遊技情報のうち、遊技機の稼動率と、遊技機にて消費される遊技価値を示すアウトと、の関係を分析する分析手段と、
前記複数の遊技場のうち、何れか一の遊技場における前記稼動率を受付ける受付手段と、
前記受付手段により受付けられた前記稼動率と前記分析手段による分析結果に基づき、想定アウトとして当該一の遊技場にて見込まれるアウトを算出する想定アウト算出手段と、を備え、
前記報知手段は、前記対応する機種の中古機価格に関して、1営業日当りに見込まれる前記想定アウトと、単位アウト当りの粗利に関する粗利情報と、に基づき償却期間が求められ、その機種の償却期間が予め定められた基準期間以上であること或いは基準期間未満である場合に、前記第2条件を満たすものとして前記報知を行う請求項1から3の何れか一項記載の遊技場用システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は遊技場用システムに関する。
【背景技術】
【0002】
遊技場では集客力を維持するために定期的に遊技機の入替が行われている。最適な機種選択をするために、自店や系列店で稼動情報に基づく遊技機の順位付けを行うことで入替すべき遊技機を最適に選択する技術について開示されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のように自店や系列店の稼動情報に基づき入替すべき遊技機を把握できたとしても、その遊技機(或いは機種)の選択が必ずしも自店にとって的確なものとは言えない場合も想定される。即ち、従来技術の構成では、自店のみではなく系列店の稼動情報をも加味して遊技機を選択しているものの、系列店の多くは同一の商圏にない場合が少なくない。また、同一の商圏に属する競合店、つまり一の遊技場と商圏を同じくする系列店以外の競合遊技場の影響力等も考えられ、それらの要因が遊技場管理者の入替戦略に係る業務負担を増大させる一因にもなっているのが実情である。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、自店の業績に貢献する遊技機の選択を的確に行い、遊技場管理者の業務負担を軽減することができる遊技場用システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、遊技場に設置されている遊技機から出力される遊技信号に基づき特定される遊技情報を複数の遊技場から収集する遊技情報収集手段(例えば管理サーバ9)と、
中古遊技機について少なくとも機種と対応付けた中古機価格を収集する中古機価格収集手段(例えば管理サーバ9)と、
前記遊技情報収集手段により収集した遊技情報を機種別(例えば
図3に示す機種A,B,…毎に)に集計するとともに、特定の遊技場(例えば自店A)及び当該特定の遊技場と競合する競合遊技場(例えば競合店B,C)を含む地域範囲である商圏(例えば
図3に示す「エリア指定」の商圏A)を特定し、前記機種別の遊技情報を前記商圏における前記収集先の遊技場と関連付けたマーケットデータ(例えば
図3、
図4の自店A及び競合店B,Cの各欄の遊技情報)として作成する商圏情報作成手段(例えば管理サーバ9)と、
前記特定の遊技場において購入すべき遊技機を選定する際、前記商圏情報作成手段により作成されたマーケットデータに基づき、その商圏内の当該特定の遊技場に設置されておらず(例えば
図6のS2:NO)且つ前記競合遊技場に設置された(例えばS1:YES)遊技機であって、対応する前記機種別の遊技情報(例えば稼動率)に関して予め定められた所定の第1条件(例えば25%以上)を満たす遊技機の機種を選定する遊技機選定手段(例えばS3,S4を実行する管理装置5)と、
前記遊技機選定手段により選定された遊技機の機種について、対応する前記中古機価格に関して予め定められた所定の第2条件(例えば償却期間が20日未満)を満たす場合に、前記選定された当該機種の前記中古遊技機としての購入を促す報知(例えば
図3の「買」の指標での識別表示)を行う報知手段(例えばS6を実行する管理装置5)と、
を備える。
【0007】
本発明によれば、マーケットデータにより例えば、自店と競合店との属する商圏において、自店には設置されていないが競合店では稼動率が高い遊技機の機種を選定し、当該機種の遊技機の購入費用を回収する期間が比較的短い場合に、当該機種の中古遊技機の購入を促す報知を行うことが可能となる。それ故、管理者は何れの機種を導入すべきか容易に検討でき、入替戦略に係る業務負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施形態における遊技場用システムの全体構成を示す概略図
【
図3】管理装置において購入すべき遊技機を選定する際の表示画面を示す図
【
図4】管理装置において売却すべき遊技機を選定する際(或いは遊技機の種別を設定する際)の表示画面を示す図
【
図5】稼動率と平均アウトとの関係を示すプロット図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
図1に示す遊技場A内には、多数の遊技機1が設置されており、各遊技機1に対応してカードユニット2が設置されている。これら遊技機1及びカードユニット2は2台ずつ中継装置3に接続されており、中継装置3はLAN4を介して管理装置5と接続されている。また、各遊技機1の上方には遊技情報表示装置(図示略)が設置されており、遊技機1から出力される各種遊技信号(遊技情報)をカードユニット2及び中継装置3経由で受信して、各種の表示用情報を作成し、表示する。中継装置3は、遊技機1やカードユニット2、遊技情報表示装置の情報を収集する。
【0010】
遊技場A内にはPOSや残高精算機(何れも図示略)も設置されており、これらPOSや残高精算機もLAN4を介して管理装置5と接続されている。なお、
図1では図示を省略したが、実際には例えば数百台の遊技機1(複数機種の遊技機1)が管理装置5の管理対象となっており、遊技媒体の貸単価(種別としてのレート)が異なる複数の遊技機島が形成されるものとする。
【0011】
管理装置5は、遊技場A内の例えば事務室等に設置されている。詳しい図示は省略するが、管理装置5の制御部は、CPU、ROMやRAMといった記憶部を有するマイクロコンピュータを主体に構成されており、当該制御部には、遊技場管理者が操作するキーボード6、モニタ7、プリンタ(図示せず)等が接続されている。
【0012】
管理装置5は、遊技機1側から出力される遊技信号をカードユニット2及び中継装置3を順次経由して受信することで、前記種別を含む遊技機1毎の遊技情報、会員登録された会員毎の個人データを管理するとともに、遊技機1やカードユニット2、前記遊技情報表示装置の情報を管理する。一方、管理装置5において管理される設定情報(種別の設定情報を含む)は、管理装置5側から中継装置3を経由してカードユニット2にて受信される。
なお、遊技場管理者とは遊技場Aの管理者のことであり、以下では単に「管理者」と称する。また、制御主体となる管理装置5の制御部(遊技機選定手段、報知手段)を単に「管理装置5」と称して説明を簡単化する。
【0013】
遊技場用システムでは、遊技場A内に設置されている遊技機1、カードユニット2、中継装置3、LAN4、及び管理装置5等と同様の構成が別の遊技場(
図1の例示では遊技場B、C)内にも設置されている。
また、
図1に示す管理サーバ9は、例えば遊技場外のような各遊技場A~Cとは別のセンターに設置され、情報提供会社(遊技場とは異なる第三者)により運営されている。
【0014】
詳しい図示は省略するが、管理サーバ9の制御部(遊技情報収集手段、中古機価格収集手段、商圏情報作成手段、分析手段、受付手段、想定アウト算出手段)は、CPU、ROMやRAMといった記憶部を有するマイクロコンピュータを主体に構成されており、各遊技場A~Cの管理装置5と通信を行うための通信手段(遊技情報等の受信手段や送信手段)や、モニタ、キーボード等(
図1参照)を備えている。各遊技場A~Cの管理装置5は、インターネットやVPN接続等の公衆回線8を介して管理サーバ9と接続されている。これにより、各遊技場A~Cの管理装置5は、管理サーバ9との間で各種信号や各種情報の通信が可能に構成されている。
また、詳しくは後述するように、管理サーバ9は、公衆回線8を介して中古遊技機についての少なくとも機種と対応付けた中古機価格を収集し、管理装置5においては、言わば中古市場サーバとしての管理サーバ9から受信した遊技機種単位の中古機価格を、マーケットデータと併せて表示させるようになっている(
図3,
図4参照)。
【0015】
図2に示す遊技機1は、予め機内に封入された循環遊技媒体(例えば循環パチンコ玉)を使用する封入式のパチンコ機である。遊技機1で用いられる遊技価値(遊技媒体)は仮想上のパチンコ玉であるが、機内の記憶部に記憶される遊技価値であり、従来の払出式の遊技機とは異なり、盤面11に打出された玉は循環し、入賞した場合であっても遊技機外に払出されず、遊技に応じて記憶部の遊技価値(遊技点数)が増減される。
【0016】
遊技機1は、カードユニット2から遊技点数を受信すると、その遊技点数分のパチンコ玉を発射可能となり、遊技点数が「0」になった時点でパチンコ玉を発射不可能となる。遊技機1は、計数操作(下記タッチパネルでの操作)に応じて遊技点数をカードユニット2へ送信して遊技点数を減算する。遊技機1は、情報表示操作(同タッチパネルでの操作)に応じて各種の遊技データ(大当り回数、特図抽選回数等)を
図2の情報表示部13に表示する。
【0017】
即ち、同
図2に示すように、遊技機1は、パチンコ玉が発射される盤面11と、発射装置を構成する発射ハンドル12と、タッチパネルを表面に有するタッチパネル式の情報表示部13と、左右一対の装飾ランプ1aとを有する。盤面11には、液晶表示部14及びその表示部14における図柄表示部(特図表示部15・普図表示部16)と、左右一対の普図始動口17aと、特
図1始動口19と、特
図2始動口20と、大入賞口21と、開閉入賞装置18とが設けられている。
【0018】
遊技機1のスペックは以下の通りである。
(1)大当り確率(特
図1抽選、特
図2抽選共通)は1/239(TS=239)である。
(2)小当り確率(特
図2抽選)は1/6であり、特
図2中の実質的な大当り確率は1/5.8(=1/239+1/6)(TSA=5.8)である。
(3)遊技状態として、初期状態、内部時短状態、時短状態、大当り状態等を発生可能である。
【0019】
初期状態は、遊技機1における初期化操作を受付けるか、大当り状態が終了する際の一部で移行する状態である。初期状態における特
図1抽選では時短図柄の抽選も行われる。
内部時短状態は、初期状態における特定図柄(時短図柄)に当選するか、大当り状態が終了する際の一部で移行する状態である。内部時短状態では、普通図柄(普図)抽選の当選確率は向上するが、当選した場合であっても電チューの開放時間が極めて短い(例えば0.1秒)ため遊技者は電チューに入賞させることはできない。内部時短状態における特
図1抽選では時短図柄の抽選は行われない。
時短状態は、初期状態における時短図柄に当選するか、大当り状態が終了する際の一部で移行する状態である。時短状態では普図抽選の当選確率が向上する。普図抽選に当選すると、電チューが開放する(例えば3秒)。
大当り状態は、特図抽選に当選することで移行する状態である。
【0020】
遊技機1は以下のように動作する。
(1)通常状態(初期状態、内部時短状態)では左打ちを行い、ヘソへの入賞を目指す。ヘソへ入賞することで特
図1での大当り抽選(特
図1抽選)を行う。大当り抽選1回をスタートと称する場合もある。特
図1抽選では1/239の確率で大当り抽選を行う。特
図1抽選で大当りに当選すると、大当り遊技が開始(大当り状態に移行)され、特図の種類に応じたラウンド(R)だけ大入賞口21が開放する。特
図1では全て4Rとなる。なお、1Rの上限入賞数は10個である。大入賞口21に入賞すると、15点分の遊技点数が加算される。
【0021】
(2)特
図1での大当り遊技が終了すると、大当りに当選した際の特図の種類によって異なる遊技状態に移行する。大当り後の80%で時短状態に移行する。時短状態は特
図2抽選に当選するか特
図2抽選が連続して128回非当選の場合に終了し、その後大当り状態又は初期状態に移行する。大当り後の15%で内部時短状態に移行する。内部時短状態は特
図1抽選に当選するか特
図1抽選が連続して9999回非当選の場合に終了し、その後大当り状態又は初期状態に移行する。大当り後の5%で初期状態に移行する。
【0022】
(3)時短状態では右打ちを行い、スルーである普図始動口17aへの入賞を目指す。普図始動口17aに入賞すると、1/1の確率で普図抽選を行う。普図抽選に当選すると、電チューが開放し、電チューに入賞させることができるようになる。電チューでは特
図2での大当り抽選(特
図2抽選)を行い、1/239の確率で大当りに当選し、1/6の確率で小当りに当選する。
【0023】
(4)特
図2抽選で大当りに当選した場合、特
図1同様大当り遊技が開始され、そのR数は10Rである。特
図2抽選で小当り当選すると、開閉入賞装置18が開放する。開閉入賞装置18の内部にはV入賞口(特定領域)が設けられており、V入賞口に入賞すると、大当り遊技が開始される。即ち、小当りを経由することで大当り遊技を行うことができるようになる。
【0024】
(5)小当り経由での大当りでは小当り当選時の特別図柄の種類に応じたR数だけ大入賞口21が開放し、大当り遊技終了後は時短状態、内部時短状態、及び初期状態の何れかに移行する。それぞれの割合は次の通りである。
10R+時短状態:20%
2R+時短状態:60%
2R+内部時短状態:15%
2R+初期状態:5%
【0025】
(6)時短状態は、特
図2抽選に当選するか特
図2抽選が128回非当選で終了し、その後大当り状態又は初期状態に移行する。内部時短状態は、特
図1抽選に当選するか特
図1抽選が9999回非当選で終了し、その後大当り状態又は初期状態に移行する。
【0026】
(7)初期状態における特
図1抽選では時短図柄の抽選を行い、時短図柄に当選すると、50%の割合で時短状態に移行し、50%の割合で内部時短状態に移行する。時短図柄由来の時短状態は特
図2抽選に当選するか特
図2抽選が128回非当選の場合に終了し、その後大当り状態又は初期状態に移行する。時短図柄由来の内部時短状態は特
図2抽選に当選するか特
図2抽選が9999回非当選の場合に終了し、その後大当り状態又は初期状態に移行する。なお、時短図柄の当選確率は1/50である。また、時短図柄由来の時短状態を突時と称する場合もある。
【0027】
(8)通常状態とは時短状態及び大当り状態を除く状態である。初期状態における普図抽選の当選確率は1/65536である。また、時短状態と大当り状態とに設定される状態を特別状態とする。
以上は機種Aを例にして説明したが、例示した値は例えば機種Bであればラウンドの振分が異なる等、機種に応じて様々な値となり、遊技性も異なる(後述する
図3等の機種A~参照)。
【0028】
遊技機1からは例えば以下の遊技信号が出力される。
セーフ信号=遊技者に付与される遊技点数であるセーフを特定可能な信号である。
アウト信号=発射されたパチンコ玉の数(遊技機にて消費される遊技価値)であるアウトを特定可能な信号である。
大当り信号=大当り状態を特定可能な信号である。
特別状態信号=大当り状態中及び時短状態中に出力される信号である。
初期化信号=遊技機1におけるクリアスイッチ(図示略)の操作(初期化操作)を受付けた場合に出力される信号である。
スタート信号(図柄変動停止信号)=特
図1始動口19又は特
図2始動口20への入賞により変動する液晶表示部14における図柄変動を特定可能な信号である。
入賞信号(始動口入賞信号)=特
図1始動口19又は特
図2始動口20への入賞により出力される信号である。
【0029】
上記遊技信号は、何れもデータ項目(例えばアウト=前回データ送信時からの消費(使用、打込)価値(アウト)を1玉単位で示すデータ項目)として一括した、或いは複数の遊技情報を電文によりまとめたデータ信号としてもよい。この場合、所定期間(例えば200ms)単位でデータを集計し、その集計したデータやその時点における状態を特定可能な電文によるデータ信号を送信対象(出力対象)とすることができる。また、遊技信号は、係るデータ信号の他、パルス信号や状態信号等を含みうることは勿論である。
【0030】
図2に示すカードユニット2は、遊技機1の遊技状態やカードユニット2の状態(エラー状態等)を示す状態ランプ2aと、紙幣が投入される紙幣挿入口22と、遊技者からの操作入力を受付けると共に各種の遊技データを表示するタッチパネル式の液晶表示部23と、貸出操作を行うための貸出釦24と、返却操作を行うための返却釦25と、再遊技操作を行うための再遊技釦26と、ICカードが挿入されるカード挿入口27等を有する。また、カードユニット2は、遊技者の顔を含む上半身を撮影するカメラ(図示略)も有する。
【0031】
カードユニット2は、以下のように動作する。
(1)遊技機1から上記した各種の遊技信号を受信して集計及び記憶すると共に中継装置3を経由して管理装置5や前記遊技情報表示装置へ送信する。遊技者の入金残高及び遊技点数も管理装置5へ送信する。管理装置5から各種設定情報(遊技機番号、機種名、得点単価等)を受信して記憶する。なお、機種名は、各種の機種(或いは機種グループ)を特定可能な名称として、機種A、機種B、…で表され(
図3等参照)、管理装置5において特定される遊技情報と対応付けて管理される。
【0032】
(2)紙幣が紙幣挿入口22に挿入されると、入金残高に加算して記憶する。ICカードがカード挿入口27に挿入されると、カードIDに対応付けられた入金残高及び持点数を読み出して表示する。貸出釦24が操作されると、一定金額(例えば1000円)に対応する点数を250点ずつ遊技点数に変換して遊技機1へ送信する。再遊技釦26が操作されると、持点数を250点ずつ遊技点数に変換して遊技機1へ送信する。持点数、遊技点数、全得点数(持点数と遊技点数との合計)を記憶して表示する。遊技機1からの得点加算情報及び得点減算情報を受信し、記憶している得点数を、その受信した得点加算情報及び得点減算情報に応じて更新し、得点数の更新に応じて得点数情報を中継装置3へ送信する。
【0033】
(3)入金残高及び持点数の少なくとも何れか一方が存在する状態で返却釦25が操作されると、その入金残高及び持点数をICカードに記録して発行する。遊技点数は記録せず、遊技機1側に残る。
(4)ICカードを最大10枚ストックしている。
【0034】
上記のカードユニット2について、封入式の遊技機1に対応した動作を説明したが、封入式に対応するものに限らず、中継装置3とのシリアル通信により管理装置5にて貨幣受付処理や対価付与処理、残高や持玉(持点数)、貸出玉数(前記貸出時の点数)、変換玉数、入金額、計数玉数や貸出玉数や貸出玉の対価となる売上額、及び記録媒体の受付や発行処理等の各種情報を特定可能とする。これらはパルス信号(例えば入金1000円毎に1パルス、売上100円毎に1パルス等)にて特定可能としてもよい。なお、遊技機1との通信は中継装置3を介さず、遊技機1とカードユニット2とで直接通信してもよいし、中継装置3を介して通信してもよい。
【0035】
さて、管理装置5は、各遊技場A~Cに設置された複数機種の遊技機1から収集した遊技情報を機種別に集計することができ、又、管理サーバ9は、各遊技場A~Cから収集した遊技情報を機種別に集計する遊技情報収集手段として機能する。また、本実施形態では例えば、遊技場A(特定の遊技場)を自店Aとし、他の遊技場B,Cを遊技場Aと競合する競合店B,C(競合遊技場)として、管理装置5或いは管理サーバ9は、それら自店A及び競合店B,Cを含む地域範囲である商圏を特定する機能を有する。
【0036】
具体的には、
図3に示す管理装置5(のモニタ7)の表示画面における、上欄の「エリア指定」の「商圏A」は、管理サーバ9において、少なくとも相互に競合店となる関係にある遊技場A~Cを含むように予め規定(設定)されるものとする。この場合、管理サーバ9は商圏情報作成手段として、機種別の遊技情報を商圏における収集先の遊技場A~Cと関連付けたマーケットデータとして作成するようになっており、係るマーケットデータは各遊技場A~Cの管理装置5へ送信される。なお、商圏Aは、自店Aの管理装置5において、管理者により自店Aを中心とし且つ競合店B,Cを含む任意のエリアとなるように予め選択・設定するようにしてもよい。
【0037】
ここで、機種別の遊技情報について管理装置5により集計する場合を例に説明しておく。管理装置5は、遊技機1からの遊技信号により特定される各種の遊技情報について、遊技機IDや台番等と対応付けて管理しており、機種毎の平均を求めることができる。
例えば遊技情報としてのアウトは、遊技機1にて消費された遊技価値を示すものとしてアウト信号(或いは前記データ項目のアウト)から特定し、その平均は例えば、該当機種(当該機種の遊技機1)を対象とした遊技機平均として特定される。
【0038】
遊技情報としての稼動率(
図3の「稼動率」の欄参照)は、アウト信号の間隔に基づき特定する。その平均は例えば、アウト信号が出力されていない時間が60秒以上継続する遊技機1を非稼動中であると判定し、アウト信号が出力されていない時間が60秒以上継続しない遊技機1を稼動中であると判定し、遊技場A内に設置されている該当機種の台数に占める稼動中の該当機種の台数を遊技機平均として求めることにより特定される。或いは、アウトから遊技機単位で稼動率を求め、又は実際に遊技者が遊技を行っている時間を計測して遊技機単位で稼動率を求め、該当機種を対象とした遊技機平均として求めることができる。
係る特定方法乃至集計方法によれば、遊技情報収集手段及び商圏情報作成手段の、両手段における機能の少なくとも一部又は全部を、管理装置5或いは管理サーバ9に持たせる構成を採用することも可能である。
【0039】
この他、各種の遊技情報について、管理装置5或いは管理サーバ9により機種別に特定・集計することが可能であるが、その収集先たる遊技場A~Cと関連付けたマーケットデータを示す
図3、
図4も参照しながら説明する。なお、マーケットデータは、自店Aの業績に貢献する遊技機1の選択を的確に行い、管理者の業務負担を軽減することを目的として、自店Aにおいて購入すべき或いは売却すべき遊技機1を選定する際、並びに遊技機1の種別を設定する際などに活用することができる。
図3、
図4は、係る遊技機1の選定の際などに表示される、マーケットデータの一部を前記中古機価格と共に示すものとする。
【0040】
即ち先ず、
図3は、自店Aの管理装置5において購入すべき遊技機1を選定する際の、モニタ7の表示画面を示している。
同
図3の表示画面では、その上欄に示すように、集計期間を「前」「後」の釦で選択可能な「日付選択」、自店Aを含む商圏Aの「エリア指定」、その他の「こだわり条件」の欄が設けられており、マーケットデータとして集計・作成されたデータの中から、表示させるデータの条件の選択・指定が可能である。この表示画面における各種の選択・指定は、管理者によるキーボード6等を用いた操作入力(以下「指定操作」と称す)により行うことができる。
【0041】
その下側の「表示」欄において、左右に並ぶ「4円パチンコ」「20円パチンコ」「低価パチスロ」「1円パチンコ」「パチンコ全体」「パチスロ全体」「店全体」の欄は、マーケットデータの中から、表示させる種別(選定する種別)を指定操作により指定するためのものである。管理者は、係る「4円パチンコ」~「店全体」各々に付されたチェックボックスにて指定操作を行うことにより、チェックされた種別に対応するマーケットデータ(同図中央の「自店A」「競合店B」「競合店C」の欄の各データ)を表示させることができる。このように、種別は、自店Aにおける遊技機1にて使用される遊技価値の種類を表し、4円、20円といった前記レートの別、並びにパチンコ機とスロットマシンとの別を含む。
【0042】
そして、マーケットデータは、
図3に示すように「自店A」「競合店B」「競合店C」…の各遊技場に関連付けられた、「機種名」欄(同図左側の欄)の「機種A」「機種B」「機種C」…の夫々の遊技情報(各遊技場での機種単位の合計値乃至前記集計期間における機種単位の平均値)と、「店全体」の遊技情報とを含む。
係る機種別の遊技情報は、同図に例示する機種単位の設置「台数」、遊技者数を示す「客数」、前記「稼動率」と当該機種の「支持率」及び「占有率」を含む。係る遊技情報を示す列において数値の記載のない「-」欄のブランクは、該当する機種の遊技機1が設置されていないことを示す。こうしたマーケットデータに基づき、管理装置5は、自店Aの属する商圏A内において当該自店Aに設置されておらず且つ競合店B,Cに設置された遊技機1であって、対応する機種別の遊技情報に関して予め定められた所定の第1条件を満たす遊技機1の機種を選定することができる。
【0043】
具体的には、管理装置5において購入すべき遊技機を選定する際の第1条件は、遊技情報として機種別に求められた
図3の「稼動率」が予め定められた基準割合以上(例えば25%以上)であること条件する。この場合、同図に示すように、自店Aに設置されておらず且つ競合店B,Cに設置された「機種A」「機種B」「機種D」…等のうち、競合店Cの機種Aの稼動率31%は、基準割合の25%以上の値を示すことから、第1条件を満たす当該機種Aが選定されるようになっている(後述する
図6のS3,S4参照)。
【0044】
また、
図3の左半部の欄には、「機種名」毎の「初登場」の週(新台としての登場日)、該当する「タイプ」及び前記「種別」、並びに「中古価格(中古機価格)」を示す欄が設けられている。これは、管理サーバ9により収集された前記中古機価格を、当該機種に関するタイプや種別等の情報と共に示すものである。なお、「タイプ」は遊技機1をスペックに応じたタイプ別に分類するものとして例えば「ハイミドル」「ミドル」「ライトミドル」「ライト」「ミニマム」「その他」の6つのタイプの何れかを示す。
【0045】
そして、管理装置5は、選定された遊技機1の機種(例えば
図3の競合店Cの機種A)について、対応する中古機価格(例えば同機種Aの40,000円)に関して予め定められた所定の第2条件を満たす場合に、当該選定された機種の中古遊技機の購入を促す報知を行う。
この場合、管理装置5において予め設定された第2条件は、対応する同機種Aの中古機価格に関して償却期間を求め、その機種Aの償却期間が予め定められた基準期間未満(例えば20日未満)であることを条件とする。
【0046】
具体的には、同図の当該「機種A」を中古で購入する場合、「中古価格」列に記載の「40,000円」が中古機価格となり、どの程度の期間でその購入費用を回収できるかを管理装置5により算出する。この購入費用の回収に掛かる期間(償却期間)は、「購入価格(中古機価格)[円]÷想定台粗利[円/日]」により求められ、想定台粗利は、次式(1)で求められる。
営業時間[H/日]×アウト[個/H]×稼動率(%)×玉粗利[円/個]…式(1)
【0047】
式(1)における営業時間は、遊技場(例えば自店A)で営業を行う時間、アウトは単位時間当りに消費される遊技点数(玉数)、稼動率はマーケットデータの収集先となる他の遊技場(例えば競合店C)において稼動している遊技機数の割合、玉粗利は遊技機1における単位アウト当り(アウト1当り)の粗利の額である。
【0048】
このうち、アウトや玉粗利については、管理サーバ9にて収集される市場(マーケット)における平均値を用いてもよいし、管理者の指定操作により任意に入力される値を用いてもよい。なお、玉粗利は「粗利÷アウト」で求められ、粗利は遊技に応じた遊技場側の営業利益として「売上額-(獲得玉(持点数)×貸単価×原価率)」で求められることから、各遊技場A~Cの管理装置5或いは管理サーバ9にて収集される遊技情報に基づき算出しうることは勿論である。また、式(1)における営業時間、アウト、及び稼動率の積は遊技機1の一日当りのアウトであるため、後述する1営業日当りに見込まれる想定アウトを用いてもよい(
図5参照)。
【0049】
そして、式(1)において、営業時間を14[H]、アウトを4,500[個]、稼動率を31[%](競合店Cの機種Aの値)、玉粗利を0.2[円/個]としたとき、想定台粗利は「14×4500×0.31×0.2=3,906[円/日]」となる。
また、当該機種Aの中古機価格が40,000円(
図3参照)であるため、当該機種Aの中古遊技機を購入した場合の購入費用を回収するための期間は、「40000÷3906=10.2[日]」となり、約11日で回収できるものといえる。
【0050】
このように、管理装置5は、遊技機選定手段として選定した遊技機1の機種Aについて、対応する中古機価格に関して償却期間を求め、その機種Aの償却期間(例えば10.2[日])が予め定められた基準期間未満(例えば20日未満)で、第2条件を満たす場合に、当該機種Aの中古遊技機としての購入を促す報知を行う。この場合に報知(特定)される機種Aについて、
図3では「4円パチ」の中古遊技機を示しているが、その種別も前記指定操作により絞って選定しうることは勿論である。
【0051】
また、係る報知は、
図3の「機種名」欄の直ぐ左側の「入替」列にて、「買」の文字表示(指標)により当該機種Aの中古遊技機の購入を促すものとする。或いは、「買」の文字表示に代替する、その他のメッセージを表示したり、当該機種Aの欄の背景色を異ならせる等して識別可能に表示してもよい。また、報知手段としては、モニタ7での表示出力に限らず、前記プリンタでの印刷出力や、スピーカ(図示略)を介したメッセージの音声出力によるものとしてもよい。
こうして、管理装置5では、自店Aでの購入対象として特定され報知された当該機種Aについて、その中古遊技機に係る「初登場」の週並びに「タイプ」の他、該当する種別並び競合店B,Cの設置状況や稼動状況を含むマーケットデータを参照した上で、購入すべき的確な中古遊技機の選定を行うことができる。
【0052】
図4は、自店Aの管理装置5において売却すべき遊技機1を選定する際、或いは遊技機1の種別を設定する際の、モニタ7の表示画面を示している。以下では、
図3等で既述した事項と異なるところを中心に説明する。
同図では、その上部の「表示」欄の「4円パチンコ」「20円パチンコ」…のうち、「4円パチンコ」と「1円パチンコ」のチェックボックスにて指定操作を行うことにより、対応する種別(「4円パチ」と「1円パチ」)のマーケットデータが各遊技場A~Cについて表示されている。
【0053】
管理装置5は、係るマーケットデータに基づき、自店Aの属する商圏内の当該自店Aと競合店B,Cとの双方に設置された同一機種の遊技機1であって、対応する機種別の遊技情報に関して予め定められた所定の第1条件を自店Aと競合店B,Cとの双方で満たす遊技機1の機種を選定する。
【0054】
具体的には、管理装置5において売却すべき遊技機1を選定する際の第1条件は、遊技情報として機種別に求められた
図4の「稼動率」が予め定められた基準割合未満(例えば7%未満)であること条件とする。この場合、同図に示す「4円パチ」と「1円パチ」の遊技機1は、何れの機種も自店Aと競合店B,Cとの何れかに設置されているが、「4円パチ」の「機種B」は、自店Aと競合店B,Cとの双方に設置され、当該自店Aと競合店Cの稼動率は2%と5%で、何れも基準割合の7%未満の値を示すことから、第1条件を満たす当該4円パチの機種Bが選定されるようになっている(
図6のS8,S9参照)。
【0055】
なお、説明の便宜上、選定対象となる4円パチの機種Bについて、自店Aと競合店B,Cの何れにも設置され且つそのうち第1条件を満たす自店Aと一の競合店Cの稼動率に着目して当該機種Bが選定される例を示したが、
図4に示す他の機種も第1条件を満たす限り選定されうる。つまり、「自店と競合店との双方に設置された同一機種の遊技機」とは、自店Aのみならず少なくとも競合店B,Cの何れかに設置されたものであることを前提とし、必ずしも全競合店B,Cに設置されたものであることを要しない。また、「第1条件を前記双方で満たす遊技機1の機種」についても、自店Aのみならず少なくとも競合店B,Cの何れかで第1条件を満たすものであることを前提とし、必ずしも全競合店B,Cで第1条件を満たすものであることを要しない。
【0056】
そして、管理装置5は、選定された遊技機1の機種(例えば同図の4円パチの機種B)について、対応する中古機価格(例えば同機種Bの241,000円)に関して予め定められた所定の第2条件を満たす場合に、当該遊技機1の売却を促す報知を行う。
この場合、管理装置5において予め定められた第2条件は、対応する同機種Bの中古機価格に関して償却期間を求め、その機種Bの償却期間が予め定められた基準期間以上(例えば120日以上)であることを条件とする。
【0057】
具体的には、当該4円パチの機種Bを中古として売却する場合、「中古価格」列に記載の「241,000円」が中古機価格となり、その中古機価格と同額の費用を回収するのに必要な期間を管理装置5により算出する。この場合、例えば自店Aでの実績を参考に(遊技情報等を基に)、営業時間を14[H]、アウトを4,500[個]、稼動率を2[%]、玉粗利を0.3[円/個]としたとき、想定台粗利は、式(1)より「14×4500×0.02×0.3=378[円/日]」となる。なお、各数値は購入する場合と同様、任意の値を設定することができ、例えば玉粗利であれば自店Aの値を用いてもよい。
【0058】
また、当該4円パチの機種Bの中古機価格が241,000円であるため、その機種Bに係る前記同額の費用を回収する期間(償却期間)は「241000÷378=637.6[日]」となり、約638日必要となる。
このように、管理装置5は、選定した4円パチの機種Bについて、対応する中古機価格に関して償却期間を求め、その機種Bの償却期間、例えば638[日]が予め定められた基準期間以上(例えば120日以上)で、第2条件を満たす場合に、当該4円パチの機種Bの遊技機1の売却を促す報知を行う。
【0059】
係る報知は、
図4における当該4円パチの機種名「B」の直ぐ隣の「入替」列にて、「売」の指標により当該機種Bの遊技機1の売却を促すものとする。こうして、管理装置5では、自店Aでの売却対象として特定され報知された当該機種Bについて、その遊技機1の「初登場」の週並びに「タイプ」の他、該当する種別並び競合店B,Cの設置状況や稼動状況を含むマーケットデータを参照した上で、売却すべき的確な遊技機1の選定を行うことができる。
【0060】
図4は、自店Aの管理装置5において遊技機1の種別を設定する際の、モニタ7の表示画面でもある。また、本実施形態における第1条件や第2条件は、上記の購入すべき遊技機1を選定するケースや売却すべき遊技機1を選定するケースといった、各ケースに応じて異なる値の条件が予め規定されるものであり、遊技機の種別を設定するケースでの第1条件及び第2条件は、例えば20%以上及び50日未満として規定されるものとする。
【0061】
即ち、管理装置5は、指定操作により指定された「4円パチ」と「1円パチ」のマーケットデータに基づき、自店Aの属する商圏内の当該自店Aと競合店B,Cとの双方で異なる種別が使用される同一機種の遊技機1であって、競合店B,Cにおける機種別の遊技情報に関して予め定められた所定の第1条件を満たす遊技機1の機種を選定する。
【0062】
具体的には、自店Aにおける遊技機1にて設定すべき種別を設定する際の第1条件は、遊技情報として機種別に求められた、競合店B,Cにおける「稼動率」が予め定められた基準割合以上(例えば20%以上)であること条件とする。この場合、同図に示す「4円パチ」と「1円パチ」の遊技機1は、何れの機種も自店Aと競合店B,Cとの何れかに設置されているが、「機種C」は、自店Aと競合店Bの双方で異なる種別(4円パチと1円パチ)が使用される同一機種の遊技機1であり、当該競合店Bにおける1円パチの稼動率は21%で、基準割合の20%以上の値を示すことから、第1条件を満たす当該機種Cが選定されるようになっている(
図6のS12,S13参照)。
【0063】
なお、選定対象となる機種Cについて、自店Aと一の競合店Bとに設置され、且つ第1条件を満たす一の競合店Bの稼動率に着目して当該機種Cが選定される例を示したが、上記の如く「自店と競合店との双方」というときの競合店は、全競合店B,Cであることを要せず、又、「自店と複数の競合店(少なくとも一の競合店)との双方」とする等、適宜変更して実施しうるものである。
【0064】
そして、管理装置5は、選定された遊技機1の機種(例えば同
図4の1円パチの機種C)について、対応する中古機価格(例えば同機種Cの59,000円)に関して予め定められた所定の第2条件を満たす場合に、当該自店Aにおける種別(例えば4パチ)を、競合店Bにおける種別(例えば1円パチ)へと変更するよう促す報知を行う。
この場合、管理装置5において予め定められた第2条件は、対応する同機種Cの中古機価格に関して償却期間を求め、その機種Cの償却期間が予め定められた基準期間未満(例えば50日未満)であることを条件とする。
【0065】
具体的には、当該機種Cの中古機価格は「59,000円」であり、その遊技機1を売却した場合と同額の費用を回収するのに必要な期間を管理装置5により算出する。この場合、例えば競合店Bでのマーケットデータを参考に(遊技情報等を基に)、営業時間を14[H/日]、アウトを4,500[個]、稼動率を21[%]、玉粗利を0.1[円/個]としたとき、想定台粗利は、式(1)より「14×4500×0.21×0.1=1,323[円/日]」となる。
【0066】
また、当該機種Cの中古機価格が59,000円であるため、その機種Cに係る前記同額の費用を回収する期間(償却期間)は「59000÷1323=44.6[日]」となり、約45日必要となる。
このように、管理装置5は、選定した遊技機1の機種Cについて、対応する中古機価格に関して償却期間を求め、その機種Cの償却期間、例えば45[日]が予め定められた基準期間未満(例えば50日未満)で、第2条件を満たす場合に、当該自店Aにおける4円パチを、競合店Bにおける1円パチへと変更するよう促す報知を行う。
【0067】
係る報知は、
図4における4円パチの機種名「C」の直ぐ隣の「入替」列にて、「移」の指標により、上下に並ぶ当該4パチと1パチへの間での種別の変更(種別間移動)を促すものとする。
上記の例では、種別間移動にあたって、その種別の遊技機1の売却費用を回収できるまでの期間を償却期間として第2条件を規定したが、種別間移動をせずに元の種別のまま営業したと仮定した場合の期間と比較することによる第2条件を規定してもよい。
【0068】
例えば、営業時間を14[H/日]、アウトを4,500[個]、稼動率を3[%]、玉粗利を0.3[円/個]として自店Aの値を代入したとき、想定台粗利は「14×4500×0.03×0.3=567[円/日]」となる。また、中古機価格が59,000円の遊技機1を売却した場合の費用を回収するためには「59000÷567=104.1[日]」となり、売却した場合の費用を回収するためには約105日必要である。一方、種別間移動した場合には約45日で回収できるため、回収に掛かる期間は半分以下で済む。従ってこのような条件を第2条件として規定することで種別間移動を促す報知、つまりは自店Aにおける種別を競合店Bにおける種別へと変更するよう促す報知を行うことができる。
【0069】
こうして、管理装置5では、自店Aにおける種別変更の対象として特定され報知された機種Cについて、その変更前後の種別並び競合店B,Cの設置状況や稼動状況を含むマーケットデータを参照した上で、設定すべき遊技機1の種別の選定を的確に行うことができる。
【0070】
前記想定アウトについて、
図5を参照しながら説明する。ここで、
図5は、管理サーバ9において遊技場A~Cを含む各遊技場から収集された遊技情報に基づき、個々の遊技場における稼動率と、遊技機一台当りの平均アウトとの関係をプロットしたプロット図を示している。
【0071】
即ち、管理サーバ9は、複数の遊技場A~Cから収集され集計される各種遊技情報のうち、例えば遊技場における月間の稼動率(遊技機1の稼動率)を第1遊技情報、これに対応する月間の遊技機一台当りの平均アウト(1営業日当りの1台当り)を第2遊技情報として、両者の関係を分析する。
この場合、同
図5のプロット図は、種別を「4円(4円パチンコ)」、営業時間を「14時間営業」とし、前記稼動率(小数)をx軸にとり、前記平均アウトとをy軸にとり得られたプロットである。なお、同図では説明の便宜上x軸をパーセント(%)表記としている。また、同図の稼動率或いは種別は、
図3等に示したマーケットデータに含まれ或いは中古機価格に関連付けられるものを分析に供することができる。
【0072】
そして、管理サーバ9は、稼動率と平均アウトとの関係を求める回帰分析を実施し、その回帰分析結果から回帰式を取得する。この場合、管理サーバ9はプロッティングして得られた相関式、つまりは回帰分析を用いて算出した近似直線の近似式は例えば「y=48096x-26.994」となる。
【0073】
こうして得られた近似式より、管理サーバ9は、複数の遊技場A~Cのうち何れか一の遊技場(例えば自店A)における稼動率を受付けることで、その受付けられた稼動率と前記回帰分析結果に基づき、想定アウト(想定遊技情報)として当該一の遊技場にて1営業日当りに見込まれるアウトを算出することができる。
例えば、自店Aにおける稼動率が31%の場合、当該自店Aにおいて1営業日当りに見込まれる想定アウトは、上記の近似式において「x=0.31」を代入することで「14882[個/日]」(実数値、小数点以下切り捨て)と求めることができる。
【0074】
こうして、管理装置5は、管理サーバ9と通信を行うことにより、求められた1営業日当りの想定アウトと、単位アウト当りの粗利に関する粗利情報(例えば前記玉粗利)と、に基づき中古機価格に関する償却期間が求められ、該当する機種の償却期間が予め定められた基準期間以上であること或いは基準期間未満である場合に、第2条件を満たすものとして前記報知を行うことができる。
【0075】
例えば、上記した購入すべき遊技機1を選定するケース(
図3のケース)において、想定台粗利は、「想定アウト[個/日]×玉粗利[円/個]」で求められ、想定アウトを14882[個/日]、玉粗利を0.2[円/個]としたとき、2,977[円/日]となる。
よって、機種Aの中古機価格に関して、その金額(同
図3の40,000円)を、想定台粗利(想定アウトと玉粗利との積(2,977円/日))で除することに基づき償却期間(13.4日)が求められる。このときの償却期間(13.4日)が基準期間未満(例えば20日未満)となり第2条件を満たすので、同
図3の「買」の指標により機種Aの中古遊技機を促す報知が行われることとなる。このように、想定アウトを用いることで、より精度よく対象となる機種Aの選定乃至特定をすることができる。
【0076】
なお、管理サーバ9において収集される遊技機1の稼動率については、上記の如く自店Aから送信される遊技情報を用いてもよいし、遊技情報を送信できない遊技場に対しては他の遊技場(例えば競合店B,C)により入力される稼動率を用いてもよい。また、種別に関しては遊技場A~Cに応じて指定でき例えば「1円パチンコ」や「20円スロット」を用いてもよい。プロット図は、係る種別毎或いは遊技機1のスペック毎に作成してもよい。また、営業時間に関しては「13時間営業」といったように、遊技場の営業形態に合わせたものを採用する。管理サーバ9や管理装置5では、これら種別や営業形態、タイプ等が、上記の如く収集された遊技情報に対応付けて管理される。また、複数の遊技場から収集され集計される上記の稼動率と平均アウトは、商圏Aにおける前記マーケットデータの一部として(マーケットデータに含まれるものとして)利用しうることは勿論である。
【0077】
続いて、管理装置5において
図3や
図4で示した報知を行うときの報知処理の流れについて
図6のフローチャートを参照しながら説明する。なお、
図6のS1,S2,・・・は、管理装置5により実行されるステップを示すものとする。また、
図3や
図4で示したように該当する機種が選定され、その購入(
図6のS6)や売却(S11)或いは種別間移動(S15の「種別移動」)を促す場合に、「買」や「売」或いは「移」の指標によりモニタ7上で報知を行うものとする。
【0078】
即ち先ず、管理装置5は、自店Aの属する商圏Aのマーケットデータに基づいて、判定対象の遊技機1(例えば機種A、「対象機種」とも称する)が商圏A内の競合店B,Cに設置されているか否かを判定する(S1)。
機種Aの遊技機1が競合店B,Cの何れにも設置されてない場合(S1;NO)、この処理を終了する(リターンする)。この場合、一旦リターンして、次の機種B(対象機種)についてS1から処理が再開される)。
【0079】
管理装置5は、機種Aの遊技機1が競合店B,Cの何れかに設置されている場合(S1;YES)、自店Aに設置されているか否かを判定する(S2)。
図3に例示したように、機種Aの遊技機1が自店Aに設置されていない場合(S2:NO)、管理装置5は、競合店B,Cにおける機種Aの稼動率が基準割合以上(例えば25%以上)か否かを判定する(S3)。
【0080】
例えば、機種Aの稼動率が競合店B,Cの何れでも25%未満の場合(S3:NO)、この処理を終了する(リターンする)。一方、管理装置5は、機種Aの稼動率が競合店B,Cの何れかで25%以上の値をとる場合(S3:YES)、第1条件を満たすものとして当該機種Aを選定する(S4)。
【0081】
そして、管理装置5は、S4により選定された遊技機1の機種Aについて、対応する中古機価格に関して償却期間を求め、その機種Aの償却期間が基準期間未満か否かを判定する(S5)。
例えば、機種Aの中古機価格40,000[円](
図3参照)に関して、
図5の分析結果による想定アウト14882[個/日]と玉粗利0.2[円/個]とに基づき、求められた償却期間13.4[日]が基準期間である20[日]未満の場合(S5:YES)、第2条件を満たすものとして
図3の「買」の指標により当該機種Aの中古遊技機の購入を促す報知を行う(S6)。一方、求められた償却期間が基準期間以上の場合(S5:NO)、係る報知を行うことなく、この処理を終了する。
【0082】
前記S2において、対象機種の遊技機1が自店Aに設置されていると判定した場合(S2:YES)、管理装置5は、競合店B,Cにおける対象機種の種別が自店Aのものと同一か否かを判定する(S7)。
例えば、
図4に示す機種Bの「4円パチ」のように競合店B,Cと自店Aとで種別が同一の場合(S7:YES)、管理装置5は、その対象機種Bの稼動率が、競合店B,Cと自店Aとの双方で基準割合未満(例えば7%未満)か否かを判定する(S8)。
【0083】
例えば、対象機種の稼動率が競合店B,Cと自店Aとの双方で7%以上の場合(S8:NO)、この処理を終了する(リターンする)。一方、管理装置5は、
図4の「4円パチ」の機種Bの如く、競合店Cと自店Aの稼動率が双方で7%未満の値をとる場合(S8:YES)、第1条件を満たすものとして当該機種Bを選定する(S9)。
【0084】
そして、管理装置5は、S9により選定された遊技機1の機種Bについて、対応する中古機価格に関して償却期間を求め、その機種Bの償却期間が基準期間以上か否かを判定する(S10)。
例えば、機種Bの中古機価格241,000[円](
図4参照)に関して、
図5の分析結果による想定アウトと玉粗利とに基づき、求められた償却期間が基準期間である120[日]以上の場合(S10:YES)、第2条件を満たすものとして
図4の「売」の指標により当該機種Bの売却を促す報知を行う(S11)。一方、求められた償却期間が基準期間未満の場合(S10:NO)、係る報知を行うことなく、この処理を終了する。
【0085】
前記S7において、競合店B,Cにおける対象機種の種別が自店Aのものと同一でないと判定した場合(S7:NO)、管理装置5は、競合店B,Cにおける対象機種の稼動率が基準割合以上(例えば20%以上)か否かを判定する(S12)。
例えば競合店B,Cにおける対象機種の稼動率が20%未満の場合(S12:NO)、この処理を終了する(リターンする)。一方、管理装置5は、
図4に示す機種Cの如く、自店Aと競合店Bの双方で異なる種別(4円パチと1円パチ)が使用される同一機種の遊技機1であって、当該競合店Bにおける当該機種Cの1円パチの稼動率が21%で、基準割合以上の値をとる場合(S12:YES)、第1条件を満たすものとして当該機種Cを選定する(S13)。
【0086】
そして、管理装置5は、S13により選定された遊技機1の機種Cについて、対応する中古機価格に関して償却期間を求め、その機種Cの償却期間が基準期間未満か否かを判定する(S14)。
例えば、機種Cの中古機価格59,000[円](
図4参照)に関して、
図5の分析結果による想定アウトと玉粗利とに基づき、求められた償却期間が基準期間である50[日]未満の場合(S14:YES)、第2条件を満たすものとして
図4の「移」の指標により自店Aにおける4円パチを、競合店Bにおける1円パチへと変更するよう促す報知を行う(S15)。一方、求められた償却期間が基準期間以上の場合(S14:NO)、係る報知を行うことなく、この処理を終了する。
【0087】
以上のような実施形態によれば、次のような効果を奏することができる。
管理装置5は、自店Aにおいて購入すべき遊技機1を選定する際、マーケットデータに基づき、その商圏A内の自店Aに設置されておらず且つ競合店B,Cに設置された遊技機1であって、対応する機種別の遊技情報(例えば稼動率)に関して予め定められた所定の第1条件(例えば25%以上)を満たす遊技機1の機種を選定するとともに、当該選定された機種について、対応する中古機価格に関して予め定められた所定の第2条件(例えば償却期間が20日未満)を満たす場合に、前記選定された当該機種の中古遊技機としての購入を促す報知を行う(例えば
図3の「買」の指標により報知する)。
【0088】
これによれば、マーケットデータにより、自店Aと競合店B,Cとの属する商圏Aにおいて、例えば自店Aには設置されていないが競合店B,Cでは稼動率が高い遊技機1の機種を選定し、当該機種の遊技機1の購入費用を回収する期間が比較的短い場合に購入を促す報知を行うことができ、管理者は何れの機種を導入すべきか容易に検討でき、入替戦略に係る業務負担を軽減することができる。
【0089】
管理装置5は、自店Aにおいて売却すべき遊技機1を選定する際、マーケットデータに基づき、その商圏A内の当該自店Aと競合店B,Cとの双方に設置された同一機種の遊技機1であって、対応する機種別の遊技情報(例えば稼動率)に関して予め定められた所定の第1条件(例えば7%未満)を前記双方で満たす遊技機1の機種を選定するとともに、当該選定された遊技機1の機種について、対応する中古機価格に関して予め定められた所定の第2条件(例えば償却期間が120日以上)を満たす場合に、当該遊技機1の売却を促す報知を行う。
【0090】
これによれば、マーケットデータにより、自店Aと競合店B,Cとの属する商圏Aにおいて、例えば自店A及び競合店B,Cに設置され何れにおいても稼動率が低い遊技機1の機種を選定し、当該機種の遊技機1の売却費用を回収する期間が比較的長い場合に売却を促す報知を行うことができるので、管理者は何れの機種を撤去すべきか容易に検討でき、入替戦略に係る業務負担を軽減することができる。
【0091】
管理装置5は、自店Aにおける遊技機1にて使用される遊技価値の種類である種別を設定する際、マーケットデータに基づき、その商圏A内の当該自店Aと競合店B,Cとの双方で異なる種別が使用される同一機種の遊技機であって、競合店B,Cにおける機種別の遊技情報(例えば稼動率)に関して予め定められた所定の第1条件(例えば20%以上)を満たす遊技機の機種を選定するとともに、当該選定された遊技機1の機種について、対応する中古機価格に関して予め定められた所定の第2条件(例えば償却期間が50日未満)を満たす場合に、当該自店Aにおける種別(例えば
図4の4円パチ)を、競合店B,Cにおける種別(例えば同図の1円パチ)へと変更するよう促す報知を行う。
【0092】
これによれば、マーケットデータにより、自店Aと競合店B,Cとの属する商圏Aにおいて、例えば自店A及び競合店B,Cに設置され、且つ競合店B,Cでは自店Aの種別(4パチ)とは異なる種別(1円パチ)に設定された稼動率の高い遊技機1を選定し、自店での種別を他店と同様の種別へと変更する種別間移動を行った場合に、当該遊技機1の購入費用を回収する期間が短くなる種別への変更を促す報知を行うことができるので、管理者は何れの機種について種別変更すべきかを容易に検討でき、入替戦略に係る業務負担を軽減することができる。
【0093】
前記第1条件は、遊技情報として機種別に求められた遊技機1の稼動率が予め定められた基準割合以上(例えば20%或いは25%以上)であること或いは基準割合未満(例えば7%未満)であることを条件とし、前記第2条件は、対応する機種の中古機価格に関して償却期間を求め、その機種の償却期間が予め定められた基準期間以上(例えば120日以上)であること或いは基準期間未満(例えば20日或いは50日未満)であることを条件とする。
【0094】
このように、遊技機1がどの程度稼動しているかを示す稼動率と、遊技機1の購入に係る購入費用を回収するための期間とに基づいて、入替や種別間移動の対象となる機種の選定を的確に行うことができる。
【0095】
管理サーバ9は、複数の遊技場A~Cのうち、何れか一の遊技場(例えば自店A)における稼動率を受付け、当該稼動率と分析手段による分析結果(例えば
図5稼動率と平均アウトとの関係を求める回帰分析の結果)に基づき、想定アウトとして当該一の遊技場にて見込まれるアウトを算出し、管理装置5は、前記対応する機種の中古機価格に関して、1営業日当りに見込まれる前記想定アウトと、単位アウト当りの粗利に関する粗利情報(例えば玉粗利)と、に基づき償却期間が求められ、その機種の償却期間が予め定められた基準期間以上(例えば120日以上)であること或いは基準期間未満(例えば20日或いは50日未満)である場合に、第2条件を満たすものとして報知を行う。
【0096】
これによれば、例えば自店Aにおける稼動率から算出可能な想定アウトを用いて遊技機1の購入費用を回収するための期間を求めることができ、係る償却期間に基づき入替や種別間移動の対象となる機種の選定をより的確に行うことができる。
【0097】
本発明は、上記実施形態に限定されることなく、次のように変形または拡張してもよい。
管理サーバ9についてはクラウド型サーバを用いてもよく、集計や算出処理を含む各処理についてはクラウド上で行ってもよい。また、管理サーバ9で行う処理を管理装置5で行ってもよく、さらにその逆であってもよい。
【0098】
競合店B,Cが含まれる商圏についてはどのように設定してもよく、自店Aを中心とした任意の範囲に位置する遊技場を含めるようにしたり、管理者により予め選択するようにしてもよい。
稼動率や償却期間に関して第1条件や第2条件を設定したが、遊技機を好適に選択できればどのような遊技情報を用いてもよい。例えば第1条件を設置台数や遊技場における全体のアウトに対する特定機種のアウトが占める割合により設定するようにしてもよい。また、第2条件を中古機価格や遊技場に予め設定される入替予算に基づく購入費用により設定するようにしてもよい。更に、第1条件を償却期間により設定したり第2条件を稼動率により設定したりしてもよい。
【0099】
管理装置5から送信される遊技情報によりマーケットデータを作成しているが、遊技情報を送信できない遊技場に対しては実際に集計した値を管理装置5に入力し、管理サーバ9に送信するようにしてもよい。
管理サーバ9の情報は管理装置5で閲覧可能であるが、例えば通常のパソコン等においても閲覧可能としてもよい。この場合、ID等を入力して閲覧者を特定可能とすることが望ましい。また、この場合のパソコン等は、管理装置5の報知手段等と同様に機能させうることは勿論である。
【0100】
各設定値は管理者が任意に操作入力により設定しても、予め管理装置5のメーカーにて設定しても、外部(例えばチェーン店本部等)の管理サーバ9から設定情報をダウンロードして設定してもよい。
例示した全ての遊技情報は入力した信号により直接的に特定しても演算式を利用して間接的に特定してもよい。また、遊技信号は、パルス信号やシリアル通信等による信号入力としてもよい。
【0101】
数値、桁数、項目等は例示であり、どのような数値を採用してもよい。
対象となる遊技機1としては封入式遊技機を例示したが、従来の遊技媒体を払出す遊技機を対象とする等、他のパチンコ遊技機やスロットマシン等にも採用できる。なお、例示した封入式を考慮して遊技媒体は必要に応じて遊技価値と表現する。
更に例示した構成は変形例も含めて、どのように組合わせてもよいし、適宜、採用しない構成を設けてもよい。
【符号の説明】
【0102】
図面中、1は遊技機、5は管理装置(遊技機選定手段、報知手段)、7はモニタ(報知手段)、9は管理サーバ(遊技情報収集手段、中古機価格収集手段、商圏情報作成手段、分析手段、受付手段、想定アウト算出手段)である。