(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087365
(43)【公開日】2024-07-01
(54)【発明の名称】ロボットシステム
(51)【国際特許分類】
B25J 15/04 20060101AFI20240624BHJP
【FI】
B25J15/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022202156
(22)【出願日】2022-12-19
(71)【出願人】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung-ro,Yeongtong-gu,Suwon-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(72)【発明者】
【氏名】山岸 建
(72)【発明者】
【氏名】阿部 有貴
(72)【発明者】
【氏名】奥田 克
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS01
3C707AS34
3C707BS09
3C707CS08
3C707DS01
3C707ES15
3C707EU12
3C707EV07
3C707EW07
3C707GS04
3C707KS08
3C707KS35
3C707KX09
3C707LV14
3C707LV15
3C707MT04
3C707NS05
3C707NS26
3C707WA11
(57)【要約】
【課題】アーム部がツール部を確実に把持できるようにする。
【解決手段】複数の関節を有するアーム部と、任意の機能を有するツール部と、アーム部及びツール部の一方に設けられた嵌合部がアーム部及びツール部の他方に設けられた突起部を嵌合することによってアーム部とツール部とが接続されるようにし、嵌合部が突起部との嵌合を解除することによってアーム部とツール部との接続が解除されるようにする接続部とを備える、ロボットシステム。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の関節を有するアーム部と、
任意の機能を有するツール部と、
前記アーム部及び前記ツール部の一方に設けられた嵌合部が当該アーム部及び当該ツール部の他方に設けられた突起部を嵌合することによって当該アーム部と当該ツール部とが接続されるようにし、当該嵌合部が当該突起部との嵌合を解除することによって当該アーム部と当該ツール部との接続が解除されるようにする接続部と
を備える、ロボットシステム。
【請求項2】
前記嵌合部は、
アクチュエータと、当該アクチュエータによって回動するカムと、第1平板と、第2平板と、当該第1平板と当該第2平板とを連動させるための連動機構とを備え、
前記第1平板を前記カムの回動によって第1方向にスライドさせ、前記第2平板を前記連動機構によって当該第1方向とは反対の第2方向にスライドさせることにより、前記突起部の固定又は当該固定の解除を行う、請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項3】
前記嵌合部は、前記第1平板をばねの付勢によって前記第1方向にスライドさせ、前記第2平板をばねの付勢によって前記第2方向にスライドさせることにより、前記突起部の固定又は当該固定の解除を行う、請求項2に記載のロボットシステム。
【請求項4】
前記嵌合部は、第1平板と、第2平板とを備え、
前記第1平板は、第1短半径曲線部と、当該第1短半径曲線部よりも半径が大きい第1長半径曲線部とを備え、
前記第2平板は、第2短半径曲線部と、当該第2短半径曲線部よりも半径が大きい第2長半径曲線部とを備え、
前記第1短半径曲線部は、前記第2長半径曲線部と重なるように設置され、
前記第2短半径曲線部は、前記第1長半径曲線部と重なるように設置され、
前記嵌合部は、前記第1短半径曲線部を前記第1長半径曲線部に対する外力によって第1方向にスライドさせ、前記第2短半径曲線部を前記第2長半径曲線部に対する外力によって当該第1方向とは反対の第2方向にスライドさせることにより、前記突起部の固定又は当該固定の解除を行う、請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項5】
前記嵌合部は、前記第1短半径曲線部をばねの付勢によって前記第1方向にスライドさせ、前記第2短半径曲線部をばねの付勢によって前記第2方向にスライドさせることにより、前記突起部の固定又は当該固定の解除を行う、請求項4に記載のロボットシステム。
【請求項6】
前記ツール部は、容器を備え、
前記アーム部は、前記容器に収納された物品に関する物品情報を管理する管理処理を行う、請求項1乃至請求項5の何れかに記載のロボットシステム。
【請求項7】
前記ツール部は、記憶部を更に備え、
前記アーム部は、前記管理処理として、前記物品情報を前記記憶部に記憶する処理を行う、請求項6に記載のロボットシステム。
【請求項8】
前記ツール部は、自身の識別情報を提供する提供部を更に備え、
前記アーム部は、前記管理処理として、前記提供部により提供された前記識別情報と前記物品情報とを関連付けて前記ツール部以外に記憶する処理を行う、請求項6に記載のロボットシステム。
【請求項9】
前記アーム部は、前記物品情報に基づいて、前記物品の保管場所を決定し、前記物品を当該保管場所に保管する、請求項6に記載のロボットシステム。
【請求項10】
前記物品は、食材であり、
前記物品情報は、前記食材に関する食材情報であり、
前記アーム部は、前記食材情報に基づいて、前記食材の調理に用いられる調理機器を決定し、当該食材を当該調理機器に搬送する、請求項6に記載のロボットシステム。
【請求項11】
前記ツール部は、
電子レンジに使用可能な容器と、
電磁シールド材で構成され、電子レンジに前記容器が収容された際に当該電子レンジの扉となる板状部材と、
電子レンジの扉となった際に当該電子レンジの外側となる前記板状部材上の位置に設けられた記憶部と
を備える、請求項1乃至請求項5の何れかに記載のロボットシステム。
【請求項12】
前記ツール部は、
容器と、
ファンと、
前記ファンからの風によって膨らむことにより、前記容器に収納された物体を当該容器の外に排出させるエアバッグと
を備える、請求項1乃至請求項5の何れかに記載のロボットシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、マニピュレータアーム用の解放可能なエンドエフェクタを格納するための構成が記載されている。この構成において、エンドエフェクタは、エンドエフェクタをマニピュレータアームに接続するための解放可能なラッチ機構を含む。エンドエフェクタがマニピュレータアームの動作によりホルダに出入りするときにラッチ機構を作動させるための構成を含む保管ホルダが提供される。
特許文献2には、ツールをロボットアームに交換可能に取り付けるためのシステムが記載されている。このシステムは、アームに取り付けられてアームから長手方向に延びるコアを有するクランプアセンブリと、コア上を横方向にスライドするように取り付けられた2つの対向するクランプ部材とを含む。工具支持部材は、工具支持部材の脚部と係合するクランプ部材から横方向に延在するガイドピンによって、クランプ組立体が閉じているときにクランプアセンブリ内に保持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第4913617号明細書
【特許文献2】米国特許第4784421号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
嵌合部が突起部を嵌合することによってアーム部とツール部とが接続されるようにし、嵌合部が突起部との嵌合を解除することによってアーム部とツール部との接続が解除されるようにする構成を採用しない場合、アーム部がツール部を確実に把持できない。
【0005】
本発明の目的は、アーム部がツール部を確実に把持できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的のもと、複数の関節を有するアーム部と、任意の機能を有するツール部と、アーム部及びツール部の一方に設けられた嵌合部がアーム部及びツール部の他方に設けられた突起部を嵌合することによってアーム部とツール部とが接続されるようにし、嵌合部が突起部との嵌合を解除することによってアーム部とツール部との接続が解除されるようにする接続部とを備える、ロボットシステムを提供する。
嵌合部は、アクチュエータと、アクチュエータによって回動するカムと、第1平板と、第2平板と、第1平板と第2平板とを連動させるための連動機構とを備え、第1平板をカムの回動によって第1方向にスライドさせ、第2平板を連動機構によって第1方向とは反対の第2方向にスライドさせることにより、突起部の固定又は固定の解除を行う、ものであってよい。その場合、嵌合部は、第1平板をばねの付勢によって第1方向にスライドさせ、第2平板をばねの付勢によって第2方向にスライドさせることにより、突起部の固定又は固定の解除を行う、ものであってよい。
嵌合部は、第1平板と、第2平板とを備え、第1平板は、第1短半径曲線部と、第1短半径曲線部よりも半径が大きい第1長半径曲線部とを備え、第2平板は、第2短半径曲線部と、第2短半径曲線部よりも半径が大きい第2長半径曲線部とを備え、第1短半径曲線部は、第2長半径曲線部と重なるように設置され、第2短半径曲線部は、第1長半径曲線部と重なるように設置され、嵌合部は、第1短半径曲線部を第1長半径曲線部に対する外力によって第1方向にスライドさせ、第2短半径曲線部を第2長半径曲線部に対する外力によって第1方向とは反対の第2方向にスライドさせることにより、突起部の固定又は固定の解除を行う、ものであってよい。その場合、嵌合部は、第1短半径曲線部をばねの付勢によって第1方向にスライドさせ、第2短半径曲線部をばねの付勢によって第2方向にスライドさせることにより、突起部の固定又は固定の解除を行う、ものであってよい。
ツール部は、容器を備え、アーム部は、容器に収納された物品に関する物品情報を管理する管理処理を行う、ものであってよい。その場合、ツール部は、記憶部を更に備え、アーム部は、管理処理として、物品情報を記憶部に記憶する処理を行う、ものであってよい。また、ツール部は、自身の識別情報を提供する提供部を更に備え、アーム部は、管理処理として、提供部により提供された識別情報と物品情報とを関連付けてツール部以外に記憶する処理を行う、ものであってよい。更に、アーム部は、物品情報に基づいて、物品の保管場所を決定し、物品を保管場所に保管する、ものであってよい。更にまた、物品は、食材であり、物品情報は、食材に関する食材情報であり、アーム部は、食材情報に基づいて、食材の調理に用いられる調理機器を決定し、食材を調理機器に搬送する、ものであってよい。
ツール部は、電子レンジに使用可能な容器と、電磁シールド材で構成され、電子レンジに容器が収容された際に電子レンジの扉となる板状部材と、電子レンジの扉となった際に電子レンジの外側となる板状部材上の位置に設けられた記憶部とを備える、ものであってよい。
ツール部は、容器と、ファンと、ファンからの風によって膨らむことにより、容器に収納された物体を容器の外に排出させるエアバッグとを備える、ものであってよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、アーム部がツール部を確実に把持できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施の形態における食材管理システムの全体構成例を示す図である。
【
図2】食材管理システムで用いられるツールの斜視図である。
【
図4】(a)~(d)は、ロック機構の動作の概要を示す図である。
【
図5】第1のロック機構の構成の詳細を示す図である。
【
図6】第1のロック機構のアンロック動作を示す図である。
【
図7】第1のロック機構のアンロック動作を示す図である。
【
図8】第1のロック機構のロック動作を示す図である。
【
図9】第1のロック機構のロック動作を示す図である。
【
図10】第2のロック機構の構成の詳細を示す図である。
【
図11】第2のロック機構の構成の詳細を示す図である。
【
図12】第2のロック機構の構成の詳細を示す図である。
【
図13】第2のロック機構の構成の詳細を示す図である。
【
図14】第2のロック機構のアンロック動作を示す図である。
【
図15】第2のロック機構のアンロック動作を示す図である。
【
図16】第2のロック機構のアンロック動作を示す図である。
【
図17】第2のロック機構のロック動作を示す図である。
【
図18】第2のロック機構のロック動作を示す図である。
【
図19】第2のロック機構のロック動作を示す図である。
【
図20】電子レンジの扉と一体になったツールを示す図である。
【
図21】(a)~(c)は、食材運搬投入用のツールを用いた食材の第1の投入方法を示す図である。
【
図22】(a)~(c)は、食材運搬投入用のツールを用いた食材の第2の投入方法を示す図である。
【
図23】(a),(b)は、調味料運搬投入用のツールを用いた調味料の投入方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0010】
[食材管理システム]
図1は、本実施の形態における食材管理システム1の全体構成例を示す図である。食材管理システム1は、アーム先端のエンドエフェクタを交換可能なロボット、専用のツール等を使用して、様々な食材の保管、搬送、調理等の各処理を行う。
図示するように、食材管理システム1は、ロボット40と、情報処理装置50と、冷蔵庫60と、調理機器70と、情報サーバ80とが、通信回線90を介して接続されることにより構成されている。
【0011】
ロボット40は、各食材に適した保管場所(冷蔵室、冷凍室、貯蔵室等)で各食材を保管し、ユーザの命令等により適切なレシピで食材を調理する。
ロボット40は、撮影装置41と、制御装置42と、ロボット本体43とを備える。
撮影装置41は、ツール20の画像を撮影する。撮影装置41は、例えば、カメラである。本実施の形態では、撮影装置41は、ロボット本体43の先端部に取り付けられる。
制御装置42は、撮影装置41が撮影した撮影画像に基づいて、ツール20の位置及び姿勢を求める。また、制御装置42は、ロボット本体43の動作を制御する。
ロボット本体43は、ツール20を把持する。ツール20は、任意の機能を有するものであってよいが、食材管理システム1においては、食材を収納する容器を有するものが例示される。ロボット本体43は、実際にツール20を把持するアーム10を備える。アーム10は、複数の関節を備える。更に、ロボット本体43は、制御装置42の制御により回転動作を行うアクチュエータ44を備える。また、本実施の形態のロボット本体43は、移動式であり、自走を行うための移動部45を備える。
尚、ロボット40には、タッチパネル、マイク等の入力手段と、ディスプレイ、スピーカ等の出力手段とが、更に設けられていてもよい。また、ロボット40には、外部との通信装置が設けられてもよく、情報処理装置50、冷蔵庫60、調理機器70等と連携してもよい。
また、アーム10及びツール20には、アーム10によるツール20のハンドリングを容易にするロック機構30が取り付けられている。
ロボット40はロボットシステムの一例である。アーム10は複数の関節を有するアーム部の一例であり、ツール20は任意の機能を有するツール部の一例である。
【0012】
情報処理装置50は、ユーザが家庭内で使用するコンピュータである。情報処理装置50は、通信回線90を介して情報サーバ80から情報を取得する。情報処理装置50は、例えば、PC(Personal Computer)、スマートフォン等であってよい。
【0013】
冷蔵庫60は、一般的な家庭用の冷蔵庫であってよいが、無線の通信機能を有するものとする。つまり、冷蔵庫60は、ロボット40と通信してよい。
【0014】
調理機器70は、電子レンジ、IH調理器、自動調理器等の一般的な家庭用の調理機器であってよいが、無線の通信機能を有するものとする。つまり、調理機器70は、ロボット40と通信してよい。
【0015】
情報サーバ80は、ロボット40、情報処理装置50、冷蔵庫60、及び調理機器70に情報を提供するサーバコンピュータである。このような情報には、例えば、食材と、適切な保管場所、適切な調理方法等とを対応付けた情報がある。
【0016】
通信回線90は、ロボット40、情報処理装置50、冷蔵庫60、及び調理機器70と、情報サーバ80とが、情報を送受信するために用いられる回線である。通信回線90は、例えば、インターネットであってよい。
【0017】
[ツール]
図2は、食材管理システム1で用いられるツール20の斜視図である。
ツール20は、例えば、食材を格納可能な容器を含み、この容器は、冷蔵、冷凍、解凍、加熱等が可能である。従って、この容器を用いることで、食材は、冷凍庫又は冷蔵庫で保管することが可能となり、電子レンジやIH調理機器での加熱も可能となる。
また、ツール20には、アーム10によるハンドリングを容易にするための突起部(ツール側部品21)を備えている。ツール側部品21については、後述する。
更に、ツール20には、マーカ28が設けられている。マーカ28は、ツール20を識別するツールIDと、ツール20の位置及び姿勢を示す位置姿勢情報とを含む。
【0018】
[ロック機構]
まず、ロック機構30の概要について説明する。
図3は、ロック機構30の構成の概要を示す図である。
図示するように、アーム10はアーム側部品11を備え、ツール20はツール側部品21を備える。アーム側部品11は、雌形状を有しており、リンク12,13を備える。ツール側部品21は、雄形状を有しており、先端部22と、溝部23と、土台部24とを備える。アーム側部品11とツール側部品21とがロック機構30を構成する。
【0019】
尚、図には、ロック機構30以外の構成要素も示している。
例えば、ツール20には、様々な情報を書き込み可能な電子タグ25が取り付けられている。ツール20が電子レンジに使用されるものである場合、電子レンジに電子タグ25の読取装置が備えられる。また、この場合、電子タグ25をマイクロ波から保護するために、電磁シールド26でツール20の面のうちアーム10と対向する面とは反対側の面を覆うようにしている。ここで、電子タグ25は、RFIDタグ等の無線タグであってよい。電磁シールド26は鉄板等で構成されていてよい。
また、ツール20には、温度、湿度、圧力等を検知するセンサ27が設けられていてもよい。
更に、図には、
図2に示したマーカ28も示されている。
更にまた、図示しないが、ツール20には、ユーザが判読可能なディスプレイ、圧力をコントロールするための電磁弁等を設けてもよい。
一方、アーム10は、電子タグリーダ15と、制御基板16とを備える。制御基板16は、各種情報を電子タグ25に書き込んだり、有線又は無線で他の装置との通信を行ったりする。
【0020】
図4(a)~(d)は、ロック機構30の動作の概要を示す図である。
まず、
図4(a)に示すように、ツール20のツール側部品21が、アーム10のアーム側部品11のリンク12,13の間に入ってくる。
次に、
図4(b)に示すように、ツール側部品21の先端部22が、アーム側部品11のリンク12,13を押し広げる。
次に、
図4(c)に示すように、ツール側部品21の先端部22が、アーム側部品11のリンク12,13の内側に完全に入り込む。
その後、
図4(d)に示すように、アーム側部品11のリンク12,13が、ツール側部品21の溝部23と嵌合する。
【0021】
アーム側部品11は嵌合部の一例であり、ツール側部品21は突起部の一例である。ロック機構30は、嵌合部が突起部を嵌合することによってアーム部とツール部とが接続されるようにし、嵌合部が突起部との嵌合を解除することによってアーム部とツール部との接続が解除されるようにする接続部の一例である。
尚、本実施の形態では、アーム側部品11がツール側部品21を嵌合するものとして説明するが、ツール側部品21がアーム側部品11を嵌合するものとしてもよい。即ち、嵌合部はアーム部及びツール部の一方に設けられたものとし、突起部はアーム部及びツール部の他方に設けられたものとしてよい。
【0022】
次に、ロック機構30の詳細について説明する。ここでは、ロック機構30として、2つの機構を想定し、これらを第1のロック機構31及び第2のロック機構32と称する。
【0023】
図5は、第1のロック機構31の構成の詳細を示す図である。第1のロック機構31は、アクチュエータを用いたアクティブなロック機構である。
図示するように、第1のロック機構31は、アーム側部品100と、ツール側部品200とから構成される。アーム側部品100は、リンク111,112,121,122,130と、ばね141,142と、アクチュエータ150と、カム160とを備える。
【0024】
図6及び
図7は、第1のロック機構31のアンロック動作を示す図である。
まず、
図6に示すように、アクチュエータ150がカム160を回転させ、リンク111が矢印A1で示す方向にスライドする。すると、リンク112が、リンク121,130,122を介して、矢印A2で示す方向にスライドする。即ち、リンク111とリンク112とは、ツール側部品200について対称な方向に動く。
これにより、
図7に示すように、ツール側部品200は、アンロックされて、矢印A3で示す方向に移動可能になる。
【0025】
図8及び
図9は、第1のロック機構31のロック動作を示す図である。
まず、
図8に示すように、ツール側部品200が、矢印B1で示す方向に挿入されると、リンク111,112が押されて開く方向に動く。或いは、アクチュエータ150がリンク111,112を駆動して開く方向に動かし、ツール側部品200が矢印B1で示す方向に挿入可能となる。
次に、
図9に示すように、ツール側部品200の先端部210がリンク111,112の内側まで挿入されると、ばね141,142の付勢により、リンク111が矢印B2で示す方向に、リンク112が矢印B3で示す方向に、それぞれスライドする。そして、リンク111,112は、ツール側部品200の溝部220と嵌合し、ツール側部品200はロックされる。
【0026】
尚、ここでは、ロック動作において、ばね141,142の付勢により、リンク111を矢印B2で示す方向に、リンク112を矢印B3で示す方向に、それぞれスライドさせることとしたが、これには限らない。ばね141,142の付勢方向を反対方向とし、アンロック動作において、ばね141,142の付勢により、リンク111を
図6の矢印A1で示す方向に、リンク112を
図6の矢印A2で示す方向に、それぞれスライドさせることとしてもよい。
【0027】
リンク111は第1平板の一例であり、リンク112は第2平板の一例である。リンク121,130,122は、第1平板と第2平板とを連動させるための連動機構の一例である。
図6の矢印A1で示す方向は、突起部の固定を解除する際の第1方向の一例であり、
図6の矢印A2で示す方向は、突起部の固定を解除する際の第2方向の一例である。
図9の矢印B2で示す方向は、突起部を固定する際の第1方向の一例であり、
図9の矢印B3で示す方向は、突起部を固定する際の第2方向の一例である。
アーム側部品100は、第1平板をカムの回動によって第1方向にスライドさせ、第2平板を連動機構によって第2方向にスライドさせることにより、突起部の固定又は固定の解除を行う嵌合部の一例である。また、アーム側部品100は、第1平板をばねの付勢によって第1方向にスライドさせ、第2平板をばねの付勢によって第2方向にスライドさせることにより、突起部の固定又は固定の解除を行う嵌合部の一例でもある。
【0028】
図10乃至
図13は、第2のロック機構32の構成の詳細を示す図である。第2のロック機構32は、アクチュエータを用いないパッシブなロック機構である。
図10に示すように、第2のロック機構32は、アーム側部品300と、ツール側部品400とから構成される。
図11及び
図12は、アーム側部品300の構造を示す図である。
図11は、ロック状態におけるアーム側部品300を示し、
図12は、アンロック状態におけるアーム側部品300を示す。図示するように、アーム側部品300は、リンク310a,310bと、ばね341,342とを備える。リンク310aは、リンク311a,312aを備え、リンク310bは、リンク311b,312bを備える。ここで、アーム側部品300は、
図11に示すようにリンク311a,311bを内側にスライドさせてツール側部品400(
図10参照)をロックし、
図12に示すようにリンク312a,312bを内側にスライドさせてツール側部品400(
図10参照)はアンロックする。従って、リンク311a,311bの半径がリンク312a,312bの半径よりも小さくなっている。また、リンク311a,311bは、それぞれ、出っ張り部313a,313bを含み、リンク312a,312bは、それぞれ、出っ張り部314a,314bを含む。
図13は、このうち、リンク310aのみを取り出して示した図である。図示するように、リンク311aを含む平面と、リンク312aを含む平面とは、互いに平行であるが、垂直方向にずれている。また、図示しないが、リンク311bも、リンク311aを含む平面上にあり、リンク312bも、リンク312aを含む平面上にある。従って、リンク310a,310bは、左右にスライドする際に互いに干渉しないように、180°回転された状態で立体的に交差する関係となっている。
【0029】
第2のロック機構32は、ツールホルダを用いてロック動作及びアンロック動作を行う。
図14乃至
図16は、第2のロック機構32のアンロック動作を示す図である。
まず、
図14に示すように、ツール側部品400とドッキングしているアーム側部品300が、矢印C1で示す方向からツールホルダ500に入る。尚、ここでは、アーム側部品300の上にアーム10の一部が結合された状態を示している。また、ツール側部品400は、アーム側部品300の下に隠れて見えていない。
すると、
図15に示すように、ツールホルダ500の内壁により、リンク312aの出っ張り部314aが矢印C2で示す方向に、リンク312bの出っ張り部314bが矢印C3で示す方向に、それぞれ押される。これにより、リンク311aは矢印C2で示す方向に、リンク311bは矢印C3で示す方向に、それぞれスライドし、アンロック状態となる。尚、ここでは、アーム側部品300の状態を示すため、アーム側部品300の上のアーム10の一部及びアーム側部品300の上面を取り外した状態を示している。
これにより、
図16に示すように、アーム側部品300は、矢印C4で示す方向に移動可能になる。尚、ここでは、再び、アーム側部品300の上にアーム10の一部が結合された状態を示している。このとき、ツールホルダ500に設けられたばね510(
図14参照)がツール側部品400を呼び込むことにより、ツール側部品400は落下が防止される。
【0030】
図17乃至
図19は、第2のロック機構32のロック動作を示す図である。
まず、
図17に示すように、アーム側部品300が、ツールホルダ500の上方から矢印D1で示す方向に移動する。
すると、
図18に示すように、ツール側部品400の先端部410によりリンク311a,311bが押し開かれてアンロックされる。或いは、リンク312a,312bの出っ張り部314a,314bがツールホルダ500の内壁により押されることによりリンク310a,310bがスライドされてアンロックされる。その後、リンク310a,310bの間にツール側部品400が入ると、ばね341,342の付勢により、リンク311aが矢印D2で示す方向に、リンク311bが矢印D3で示す方向に、それぞれスライドする。そして、リンク310a,310bは、ツール側部品400の溝部420(
図17参照)と嵌合し、ツール側部品400がロックされる。
これにより、
図19に示すように、アーム側部品300は、ツール側部品400をドッキングした状態で、矢印D4で示す方向に移動可能となる。
【0031】
尚、ここでは、ロック動作において、ばね341,342の付勢により、リンク310aを矢印D2で示す方向に、リンク310bを矢印D3で示す方向に、それぞれスライドさせることとしたが、これには限らない。ばね341,342の付勢方向を反対方向とし、アンロック動作において、ばね341,342の付勢により、リンク310aを
図15の矢印C2で示す方向に、リンク310bを
図15の矢印C3で示す方向に、それぞれスライドさせることとしてもよい。
【0032】
リンク310aは第1平板の一例であり、リンク311aは第1短半径曲線部の一例であり、リンク312aは第1長半径曲線部の一例である。リンク310bは第2平板の一例であり、リンク311bは第2短半径曲線部の一例であり、リンク312bは第2長半径曲線部の一例である。
図15の矢印C2で示す方向は、突起部の固定を解除する際の第1方向の一例であり、
図15の矢印C3で示す方向は、突起部の固定を解除する際の第2方向の一例である。
図18の矢印D2で示す方向は、突起部を固定する際の第1方向の一例であり、
図18の矢印D3で示す方向は、突起部を固定する際の第2方向の一例である。
アーム側部品300は、第1短半径曲線部を第1長半径曲線部に対する外力によって第1方向にスライドさせ、第2短半径曲線部を第2長半径曲線部に対する外力によって第2方向にスライドさせることにより、突起部の固定又は固定の解除を行う嵌合部の一例である。また、アーム側部品300は、第1短半径曲線部をばねの付勢によって第1方向にスライドさせ、第2短半径曲線部をばねの付勢によって第2方向にスライドさせることにより、突起部の固定又は固定の解除を行う嵌合部の一例でもある。
【0033】
[ロボットの動作]
まず、ロボット40の食材保管動作について説明する。
【0034】
ロボット40が、撮影装置41で食材を撮影し、撮影した画像を受け取った制御基板16、情報処理装置50、又は情報サーバ80が、この画像から食材の種類を認識する。食品の種類は、このように撮影装置41を用いて認識されるが、このような認識が困難である場合は、ユーザがロボット40のマイクや、PC、スマートフォン等の情報処理装置50から入力してもよい。
ロボット40は、アーム10にツール20として取り付けられたロボットハンド等を用いて、ツール20における容器に食材を入れる。その際、ロボット40では、制御基板16が、撮影装置41で撮影された画像に基づいて、容器に食材が格納されたことを認識する。そして、制御基板16は、容器に食材が格納されたことを電子タグ25に記録する。或いは、制御基板16は、容器に食材が格納されたことを、撮影装置41が撮影したマーカ28から読み取ったツールIDに関連付けて、制御基板16、情報処理装置50、又は情報サーバ80のデータベースに記録する。
【0035】
その後、ロボット40は、制御基板16、情報処理装置50、又は情報サーバ80の情報に基づき、食材の適切な保管場所を選択する。そして、ロボット40は、冷蔵庫60内の適切な場所(冷蔵室、冷凍室、特殊冷凍室等)に食材を格納する。
【0036】
電子タグ25は、記憶部の一例であり、容器に食材が格納されたことを電子タグ25に記録する処理は、物品情報を記憶部に記憶する処理の一例である。
マーカ28は、ツール部の識別情報を提供する提供部の一例であり、容器に食材が格納されたことをツールIDに関連付けてデータベースに記録する処理は、提供部により提供された識別情報と物品情報とを関連付けてツール部以外に記憶する処理の一例である。
この食材保管動作において、アーム10は、容器に収納された物品に関する物品情報を管理する管理処理を行うアーム部の一例であり、物品情報に基づいて、物品の保管場所を決定し、物品をその保管場所に保管するアーム部の一例でもある。
【0037】
次に、ロボット40の食材搬送動作について説明する。
【0038】
ユーザがロボット40に対して音声、タッチパネル操作、携帯電話からの操作等で食材の調理を命令すると、ロボット40は、その食材が入った容器を含むツール20を冷蔵庫60から取り出す。
その際、冷蔵庫60の扉は自動で又はロボット40のアーム10により開けられる。
また、ロボット40は、電子タグリーダ15が電子タグ25から読み取った情報に基づいて、要求された食材の情報が電子タグ25に記録されていたツール20を特定し、これを取り出すべきツール20とする。或いは、ロボット40は、制御基板16、情報処理装置50、又は情報サーバ80のデータベースにおいて、要求された食材の種類に対応付けられたツールIDを取得する。そして、ロボット40は、撮影装置41が読み取った情報に基づいて、マーカ28がこのツールIDを含むツール20を特定し、これを取り出すべきツール20としてもよい。
次に、ロボット40は、撮影装置41で撮影した画像に基づいてツール20の位置を確認し、アーム10及びツール20のロック機構30を合わせて、ツール20を把持する。ロック機構30は、
図3乃至
図19に示したように、雌雄対になる構造で、例えば、アーム10側に凹部、ツール20側に凸部を有し、挿入後、かぎ機構が動作してロックされる。
【0039】
その後、ロボット40は、食材の情報に基づいて、制御基板16、情報処理装置50、又は情報サーバ80内の情報を参照することにより、適切な調理機器70を選択する。そして、ロボット40は、食材が入った容器を含むツール20をその調理機器70に搬送する。
【0040】
この食材搬送動作において、アーム10は、食材情報に基づいて、食材の調理に用いられる調理機器を決定し、食材をその調理機器に搬送するアーム部の一例である。
【0041】
次に、ロボット40の食材調理動作について説明する。
【0042】
ロボット40は、調理機器70に到着後、調理機器70と通信することにより、調理機器70をスタートさせる。その際、ロボット40は、調理機器70に自動スタート機能が付いていればこれを実施し、自動スタート機能が付いていなければスイッチを押す。また、ロボット40は、安全のために、ユーザに許可を要請し、許可後スタートさせるようにしてもよい。
尚、アーム10にロボットハンドが付いていない状態でもアーム10のみを使って調理機器70の扉の開閉ができるように、アーム10に吸着パッドやかぎ状の突起を設けてもよい。
【0043】
調理機器70が電子レンジである場合の食材調理動作について説明する。
ロボット40は、電子レンジの庫内の適切な位置にツール20を置く。電子レンジ及びツール20にアーム10の位置決めを容易にするガイド機構を設けておき、ロボット40は、このガイド機構を手掛かりに電子レンジ内の適切な位置にツール20を置くようにするとよい。
電子レンジは、ツール20が置かれた際に制御基板16又は電子タグ25との通信が可能な適切な位置に通信アンテナ、コネクタ等が来るように設計されているとよい。電子レンジは、制御基板16との通信や電子タグ25の読み取りを行い、容器の中の食材を判定して、この判定結果に応じた適切なレシピで食材を調理する。
【0044】
ところで、ツール20は、電磁シールド26により電子タグ25が守られているため、その機能が破壊されることはない。
一方で、電子レンジの扉と一体になったツール20も考えられる。
図20は、このようなツール20を示す図である。図示するように、ロボット40は、アーム10でツール20を把持して、ツール20を電子レンジ71に入れようとしている。ここで、電子レンジ71は扉を有していない。その代わり、ツール20のアーム10側に、電磁シールド材で構成された板状部材29が設けられており、ツール20が電子レンジ71内に収納されると、この板状部材29が電子レンジ71の扉として機能するようになる。その際、ツール20の電子タグ25、センサ27、ディスプレイ等を電子レンジ71の外側となる板状部材29上の位置に配置して電子線の影響を受けないような構造をとってもよい。また、温度、湿度、圧力等のセンサ27の値に応じて、時刻ごとに適切な電子線による過熱と電磁弁による放出等を行ってもよい。
【0045】
板状部材29は、電磁シールド材で構成され、電子レンジに前記容器が収容された際に電子レンジの扉となる板状部材の一例である。
電子タグ25は、電子レンジの扉となった際に電子レンジの外側となる板状部材上の位置に設けられた記憶部の一例である。
【0046】
調理機器70がIH調理器である場合の食材調理動作について説明する。
IH調理用のツール20の底にはIHで調理が可能になるような金属板等が設けられており、加熱調理を行うことが可能となっている。ロボット40は、調理機器70が電子レンジである場合と同様に、食材に適したレシピで調理が可能である。
センサ27、ディスプレイ等は加熱部分から十分に離して、調理しても壊れることがないようにする。或いは、センサ27、ディスプレイ等と加熱部分との間に断熱材を設置してもよい。
【0047】
調理機器70が自動調理器である場合の食材調理動作について説明する。
この場合も、ロボット40は、調理機器70が電子レンジである場合と同様に、レシピに従って調理を行う。
【0048】
調理機器70がフードカッターである場合の食材調理動作について説明する。
ロボット40は、食材をフードカッターの被切削部に投入する。その際、ロボット40は、容器に備えられた排出機構を使って、食材を一気に投入してもよいし、食材を少しずつ量を調節しながら投入してもよい。
【0049】
調理機器70が攪拌機能付き自動調理器である場合の食材調理動作について説明する。
ロボット40は、攪拌機能付き自動調理器に複数の食材を投入する。これらの食材には各種調味料も含まれる。ロボット40は、適切な時刻に適切な調味料や食材を投入することができる。
【0050】
ロボット40は、ツール20を食材運搬投入用又は調味料運搬投入用のツールに交換することにより、自動又は半自動で調理を行うことができる。
【0051】
図21(a)~(c)は、食材運搬投入用のツール610を用いた食材の第1の投入方法を示す図である。尚、ツール610はアーム10に把持された状態で示されている。
図示するように、ツール610は、アーム10側の端面に電動ファン611を備え、アーム10側の端面とは反対側の端面に食材蓋612を備える。食材蓋612は、開口部613を取り囲むように設けられている。食材蓋612には、食材袋614が固定されている。食材袋614の中には、食材Fが収納されている。冷蔵庫60等に保管する際には、食材Fを食材袋614に入れた状態でツール610を保管するとよい。食材袋614は、ツール610専用の袋であっても食材販売用の袋であってもよく、使い捨てとすることもでき、洗浄が簡単なものとすることもできる。食材袋614には電子タグが内蔵されていてもよい。ツール610は、電動ファン611に隣接し食材袋614の底部に隣接する位置にエアバッグ617を備える。
【0052】
最初、
図21(a)に示すように、食材袋614の底部は食材蓋612とは反対側の端面に近い位置にある。
ここで、電動ファン611がアーム10とは反対側への送風を開始したとする。すると、
図21(b)に示すように、エアバッグ617が膨らみ、食材袋614の底部は食材蓋612の方向へ移動する。
その後、電動ファン611がアーム10とは反対側への送風を継続したとする。すると、
図21(c)に示すように、食材袋614の底部は食材蓋612の位置に達して、食材Fが開口部613から飛び出し、鍋72等に投入される。
【0053】
アーム10には、6軸力・トルクセンサ17が設けられており、食材Fが鍋72等に投入されたことを6軸力・トルクセンサ17が検知する。
【0054】
図22(a)~(c)は、食材運搬投入用のツール620を用いた食材の第2の投入方法を示す図である。尚、ツール620はアーム10に把持された状態で示されている。
図示するように、ツール620は、アーム10側の端面に電動ファン621を備え、アーム10側の端面に隣接する側面に食材蓋622を備える。食材蓋622は、開口部623を取り囲むように設けられている。食材蓋622には、食材袋624が固定されている。食材袋624の中には、食材Fが収納されている。冷蔵庫60等に保管する際には、食材Fを食材袋624に入れた状態でツール620を保管するとよい。食材袋624は、ツール620専用の袋であっても食材販売用の袋であってもよく、使い捨てとすることもでき、洗浄が簡単なものとすることもできる。食材袋624には電子タグが内蔵されていてもよい。ツール620は、電動ファン621に隣接する位置から食材袋624の底部に隣接する位置にかけてエアバッグ627を備える。
【0055】
最初、
図22(a)に示すように、食材袋624の底部は食材蓋622とは反対側の側面に近い位置にある。
ここで、電動ファン621がアーム10とは反対側への送風を開始したとする。すると、
図22(b)に示すように、エアバッグ627が膨らみ、食材袋624の底部は食材蓋622の方向へ移動する。
その後、電動ファン621がアーム10とは反対側への送風を継続したとする。すると、
図22(c)に示すように、食材袋624の底部は食材蓋622の位置に達して、ツール620を傾けると、食材Fが開口部623から飛び出し、鍋72等に投入される。
【0056】
アーム10には、6軸力・トルクセンサ17が設けられており、食材Fが鍋72等に投入されたことを6軸力・トルクセンサ17が検知する。
【0057】
図23(a),(b)は、調味料運搬投入用のツール630を用いた調味料の投入方法を示す図である。尚、ツール630はアーム10に把持された状態で示されている。
図示するように、ツール630は、アーム10側の端面に電動ファン631を備え、アーム10側の端面とは反対側の端面に調味料蓋632を備える。調味料蓋632には、雌ねじ633が設けられ、雌ねじ633の外側には逆止弁636が設けられている。調味料蓋632には、調味料袋634の雄ねじ635が調味料蓋632の雌ねじ633と螺合することにより、調味料袋634が固定されている。調味料袋634の中には、液体又はゲル状の調味料Sが収納されている。調味料袋634は、調味料商品の袋であってよい。ツール630は、電動ファン631に隣接し調味料袋634の底部に隣接する位置にエアバッグ637を備える。
【0058】
最初、
図23(a)に示すように、調味料袋634の側面は調味料運搬投入用のツール630の側面に近い位置にある。
ここで、電動ファン631がアーム10とは反対側への送風を開始したとする。すると、
図23(b)に示すように、エアバッグ637が膨らみ、調味料Sは逆止弁636を押しのけて調味料蓋632の外側に飛び出し、調理品Pに投入される。
【0059】
アーム10には、6軸力・トルクセンサ17が設けられており、調味料Sが調理品Pに投入されたことを6軸力・トルクセンサ17が検知する。
【0060】
尚、粉状の調味料を調理品に投入するには、調味料運搬投入用のツール630に代えて、専用のミル搭載ツールを用いるとよい。
【0061】
エアバッグ617,627,637は、ファンからの風によって膨らむことにより、容器に収納された物体を容器の外に排出させるエアバッグの一例である。
【0062】
最後に、安全装置について説明する。
ロボット40は、食材を調理機器70に入れる前に画像処理や金属探知センサ等を用いて安全性を判断するようにしてよい。そして、ロボット40は、危険と判断した場合はユーザに警告し、調理を中止するようにしてよい。
【0063】
[変形例]
本実施の形態は、食材を管理する食材管理システム1に適用されるものとして説明したが、これには限らない。本実施の形態は、より一般化して、物品の管理を行う物品管理システムに適用されるものとしてもよい。例えば、物品としては、防虫剤や芳香剤等が考えられる。この場合も、食材の場合と同様に、ツール20には、電子タグが設けられてよい。また、ツール20には、温湿度センサ、ファン、ヒータ、防虫剤又は芳香剤のホルダ等が取り付けられる。或いは、これらは、ツール20が収容される棚に設置されてもよい。棚には、通信手段と演算装置とが装備され、各種センサやファンやヒータ等のエフェクタと接続されるようにしてよい。
【0064】
[効果]
本実施の形態では、アーム側部品11がツール側部品21を嵌合することによってアーム10とツール20とが接続されるようにし、アーム側部品11がツール側部品21との嵌合を解除することによってアーム10とツール20との接続が解除されるようにした。これにより、本実施の形態では、アーム10がツール20を確実に把持できるようになった。
【符号の説明】
【0065】
1…食材管理システム、10…アーム、20…ツール、30…ロック機構、40…ロボット、50…情報処理装置、60…冷蔵庫、70…調理機器、80…情報サーバ、90…通信回線