(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087368
(43)【公開日】2024-07-01
(54)【発明の名称】固定ガラスのシール構造
(51)【国際特許分類】
F16J 15/10 20060101AFI20240624BHJP
B60J 10/70 20160101ALI20240624BHJP
B60J 10/50 20160101ALI20240624BHJP
B60J 10/20 20160101ALI20240624BHJP
B60J 1/00 20060101ALI20240624BHJP
【FI】
F16J15/10 S
F16J15/10 N
B60J10/70
B60J10/50
B60J10/20
B60J1/00 W
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022202161
(22)【出願日】2022-12-19
(71)【出願人】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】瀬井 信夫
(72)【発明者】
【氏名】平野 美穂
【テーマコード(参考)】
3D201
3J040
【Fターム(参考)】
3D201AA03
3D201AA12
3D201AA17
3D201CB01
3D201DA08
3D201DA31
3D201FA04
3J040AA17
3J040BA03
3J040EA02
3J040EA16
3J040EA22
3J040EA26
3J040FA05
3J040HA03
3J040HA05
3J040HA09
3J040HA21
(57)【要約】
【課題】組み付け前の固定ガラスに装着されたシール部材の断面形状が部位に応じて異なるのを抑制する。
【解決手段】シール構造は、開口13を有するルーフパネル12と、開口13を覆う固定ガラス21と、シール部材31とを備える。シール部材31の装着部32は、組み付け状態の固定ガラス21の厚み方向のうち、固定ガラス21よりもルーフパネル12に近い側の第1挟持部33と、遠い側の第2挟持部35と、固定ガラス21の周縁部22の外方で両挟持部33,35を連結する連結部41とを備える。シール部材31の間隔保持部51は、第1挟持部33のうち、連結部41の外周面43よりも内方となる箇所からルーフパネル12側へ突出し、かつ第1挟持部33と協働することで、ルーフパネル12と組み付け状態の固定ガラス21との間隔を保持する。リップ部55は、間隔保持部51から外方へ延び、かつ上記組み付け状態でルーフパネル12に接触する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を有するパネル部材と、前記開口を覆う固定ガラスと、前記固定ガラスの周縁部に装着される装着部を有するシール部材と、を備え、前記固定ガラスが前記パネル部材に組み付けられた組み付け状態では、前記パネル部材における前記開口の周囲部と前記固定ガラスの前記周縁部との間が前記シール部材によりシールされる、固定ガラスのシール構造であって、
前記固定ガラスの中心部と前記周縁部とを結ぶ方向を内外方向とし、前記内外方向のうち前記中心部に近づく側を内とし、前記中心部から遠ざかる側を外とした場合、前記装着部は、前記組み付け状態の前記固定ガラスの厚み方向のうち、前記固定ガラスよりも前記パネル部材に近い側に位置する第1挟持部と、遠い側に位置する第2挟持部と、前記周縁部の外方に位置し、かつ前記第1挟持部及び前記第2挟持部を連結する連結部とを備え、
前記シール部材は、さらに、前記第1挟持部のうち、前記連結部の外周面よりも内方となる箇所から前記パネル部材側へ突出し、かつ前記第1挟持部と協働することで、前記パネル部材と前記組み付け状態の前記固定ガラスとの間隔を保持する間隔保持部を備えるとともに、前記間隔保持部から外方へ延び、かつ前記組み付け状態で前記パネル部材に接触するリップ部を備える、固定ガラスのシール構造。
【請求項2】
組み付け前の前記固定ガラスの前記周縁部に対し前記装着部において前記シール部材が装着された状態では、前記リップ部は、外方ほど前記装着部から遠ざかるように傾斜しており、前記リップ部の先端面は、前記連結部の外周面よりも内方に位置している請求項1に記載の固定ガラスのシール構造。
【請求項3】
前記リップ部は、前記装着部から前記パネル部材側へ離間した箇所で前記間隔保持部に接続されており、
前記リップ部は、前記間隔保持部から外方へ離間した箇所に、前記リップ部の前記間隔保持部に対する接続部よりも前記装着部側へ膨出する膨出部を有している請求項1又は請求項2に記載の固定ガラスのシール構造。
【請求項4】
前記組み付け状態では、前記シール部材が前記膨出部において、前記装着部に接触する請求項3に記載の固定ガラスのシール構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パネル部材における開口の周囲部と、上記開口を覆う固定ガラスの周縁部との間をシール部材によりシールする、固定ガラスのシール構造に関する。
【背景技術】
【0002】
図9~
図11に示すように、ルーフパネル81の開口82を固定ガラス91によって覆う車両80では、ルーフパネル81における開口82の周囲部83と固定ガラス91の周縁部92との間がシール部材101によってシールされる(特許文献1参照)。周縁部92は、それぞれ直線状をなす複数の一般部93と、それぞれ円弧状をなす複数のコーナ部94を備えている。固定ガラス91の周縁部92の下面にはクリップ97が取り付けられている(
図10参照)。ルーフパネル81よりも車内側には、ルーフリインホース87が配置されている。そして、クリップ97がルーフリインホース87の差し込み孔88に差し込まれることで、固定ガラス91がルーフリインホース87に対し、位置決めされた状態で組み付けられている。固定ガラス91は、接着剤95によってルーフパネル81に固定されている。
【0003】
図10は、固定ガラス91の一般部93におけるシール構造を示している。
図11は、固定ガラス91のコーナ部94におけるシール構造を示している。
シール部材101は、装着部102、間隔保持部109及びリップ部111を備えている。シール部材101は、装着部102において固定ガラス91の周縁部92に装着されている。
【0004】
ここで、固定ガラス91のシール構造における各部の位置関係を特定するために、固定ガラス91の中心部C1と周縁部92とを結ぶ方向を「内外方向」とする。内外方向のうち、中心部C1に近づく側を「内」とし、中心部C1から遠ざかる側を「外」とする。
【0005】
装着部102は、第1挟持部103、第2挟持部104及び連結部105を備えている。第1挟持部103は、組み付け状態の固定ガラス91の厚み方向のうち、固定ガラス91よりもルーフパネル81に近い側に位置し、第2挟持部104はルーフパネル81から遠い側に位置している。連結部105は、周縁部92の外方に位置し、かつ第1挟持部103及び第2挟持部104を連結している。
【0006】
間隔保持部109は、第1挟持部103からルーフパネル81側へ突出している。間隔保持部109は、第1挟持部103と協働することで、ルーフパネル81と組み付け状態の固定ガラス91との間隔を保持している。
【0007】
リップ部111は、連結部105の外周面106から外方へ延びている。リップ部111は、連結部105から遠ざかるほどルーフパネル81に近づくように、内外方向に対し傾斜している。リップ部111は、上記組み付け状態でルーフパネル81に接触する。そのため、固定ガラス91とルーフパネル81との間への雨水等の侵入が、上記シール部材101によって規制される。
【0008】
上記シール部材101は、例えば、射出成形によって成形される。射出成形によって成形されたシール部材101を用いたシール構造を、以下「従来技術1」というものとする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記従来技術1では、射出成形に際し、シール部材101が固定ガラス91の周縁部92の形状に対応した形状、すなわち、一般部93では直線状をなす形状、コーナ部94では湾曲状をなす形状に成形される。そのため、第1挟持部103及び第2挟持部104の間に周縁部92が挿入されることで、シール部材101が固定ガラス91に装着される。この際、シール部材101はコーナ部94に沿って湾曲するように弾性変形されなくてもよい。反面、固定ガラス91の一般部93及びコーナ部94に対応した形状のシール部材101が成形されることになるため、大型の成形型が必要になり、型費がかさむ。
【0011】
そこで、上記シール部材101を押し出し成形によって成形することが考えられる。押し出し成形によって成形されたシール部材101を用いたシール構造を、以下「従来技術2」というものとする。従来技術2では、押し出し成形に際し、シール部材101が一定の断面形状で押し出される。そのため、成形型が小型ですみ、型費を低減できる。反面、押し出し成形では、シール部材101が、固定ガラス91の周縁部92に対応して湾曲した形状に成形されないため、次の懸念がある。
【0012】
図12に示すように、シール部材101は、コーナ部94への装着時には、同コーナ部94に対応した形状、すなわち湾曲した形状に弾性変形されながら、第1挟持部103及び第2挟持部104の間にコーナ部94が挿入される。
【0013】
コーナ部94でもリップ部111の断面形状を、同
図12において二点鎖線で示すように、一般部93でのリップ部111と同一にするには、連結部105の内周面107での周長を維持しつつ、シール部材101の外周面での周長を長くする必要がある。周長は、周方向の長さである。この場合、リップ部111の先端面112での周長が、シール部材101の外周面での周長になる。
【0014】
しかし、リップ部111の先端面112での周長は変化しないか、変化したとしても僅かである。そのため、
図12において実線で示すように、リップ部111は、連結部105に対する接続部111bにおいて、内方へ倒れるように弾性変形する。組み付け前の固定ガラス91に装着されたシール部材101の断面形状は部位に応じて異なる。そして、上記リップ部111の弾性変形量は、連結部105の内周面107とリップ部111の先端面112との間隔D1が大きくなるに従い多くなる。
【0015】
リップ部111の弾性変形量が多くなると、コーナ部94においてリップ部111がルーフパネル81を押し付ける荷重が、一般部93においてリップ部111がルーフパネル81を押し付ける荷重よりも大きくなる。これに伴い、コーナ部94においてリップ部111がルーフパネル81から受ける反力が、一般部93においてリップ部111がルーフパネル81から受ける反力よりも大きくなる。
【0016】
そのため、次のような種々の問題が起こる懸念がある。
・一般部93とコーナ部94とで、リップ部111がルーフパネル81から受ける反力が異なることから、シール部材101によるシール性能が安定しない。
【0017】
・コーナ部94でリップ部111がルーフパネル81から受ける反力を小さくするために、シール部材101の硬度を下げる等して、リップ部111を柔らかくすると、一般部93においてリップ部111のルーフパネル81との密着性が低下する。車両80の走行風等によって、一般部93におけるリップ部111がルーフパネル81から剥がれ、草笛音、笛吹き音等の異音が発生する懸念がある。
【0018】
・クリップ97をルーフリインホース87の差し込み孔88に差し込むのに必要な荷重が高くなり、固定ガラス91をルーフリインホース87に組み付ける作業の作業性が低下する。
【0019】
こうした問題は、ルーフパネル81と固定ガラス91との間のシール構造に限らず、パネル部材における開口の周囲部と固定ガラスの周縁部との間をシール部材によりシールするシール構造であれば、共通して起り得る。
【0020】
従って、組み付け前の固定ガラスに装着されたシール部材の断面形状が部位に応じて異なるのを抑制できるシール構造が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記課題を解決するための固定ガラスのシール構造の各態様を記載する。
[態様1]開口を有するパネル部材と、前記開口を覆う固定ガラスと、前記固定ガラスの周縁部に装着される装着部を有するシール部材と、を備え、前記固定ガラスが前記パネル部材に組み付けられた組み付け状態では、前記パネル部材における前記開口の周囲部と前記固定ガラスの前記周縁部との間が前記シール部材によりシールされる、固定ガラスのシール構造であって、前記固定ガラスの中心部と前記周縁部とを結ぶ方向を内外方向とし、前記内外方向のうち前記中心部に近づく側を内とし、前記中心部から遠ざかる側を外とした場合、前記装着部は、前記組み付け状態の前記固定ガラスの厚み方向のうち、前記固定ガラスよりも前記パネル部材に近い側に位置する第1挟持部と、遠い側に位置する第2挟持部と、前記周縁部の外方に位置し、かつ前記第1挟持部及び前記第2挟持部を連結する連結部とを備え、前記シール部材は、さらに、前記第1挟持部のうち、前記連結部の外周面よりも内方となる箇所から前記パネル部材側へ突出し、かつ前記第1挟持部と協働することで、前記パネル部材と前記組み付け状態の前記固定ガラスとの間隔を保持する間隔保持部を備えるとともに、前記間隔保持部から外方へ延び、かつ前記組み付け状態で前記パネル部材に接触するリップ部を備える、固定ガラスのシール構造。
【0022】
上記の構成によれば、シール部材は、固定ガラスへの装着時に、必要に応じ周縁部に対応した形状となるように弾性変形される。すなわち、周縁部の形状に合うようにシール部材が弾性変形されながら、第1挟持部及び第2挟持部の間に周縁部が挿入されることで、シール部材が固定ガラスに装着される。
【0023】
例えば、直線状の一般部と湾曲したコーナ部とを周縁部に有する固定ガラスを対象とし、そのコーナ部にシール部材が装着される場合には、シール部材がコーナ部に沿って湾曲させられる。
【0024】
コーナ部でもリップ部の断面形状を一般部と同一にするには、連結部の内周面での周長を維持しつつ、シール部材の外周面での周長を長くする必要がある。この場合、リップ部の先端面での周長が、シール部材の外周面での周長になる。
【0025】
しかし、リップ部の先端面での周長は変化しないか、変化したとしても僅かである。そのため、リップ部は内方へ倒れるように弾性変形する。
ここで、上記リップ部の弾性変形量は、連結部の内周面とリップ部の先端面との間隔が大きくなるに従い多くなる。この点、上記の構成によれば、リップ部が間隔保持部から外方へ延びている。間隔保持部は、第1挟持部のうち、連結部の外周面よりも内方となる箇所からパネル部材側へ突出している。リップ部は、連結部から外方へ突出する場合よりも内方から突出している。そのため、リップ部の先端面を、連結部から外方へ突出するリップ部の先端面よりも内方に位置させることが可能となる。これに伴い、連結部の内周面とリップ部の先端面との間隔が、リップ部が連結部から外方へ突出する場合の間隔よりも小さくなると、リップ部の弾性変形量が少なくなる。その結果、組み付け前の固定ガラスに装着されたシール部材の断面形状が部位に応じて異なることが抑制される。
【0026】
[態様2]組み付け前の前記固定ガラスの前記周縁部に対し前記装着部において前記シール部材が装着された状態では、前記リップ部は、外方ほど前記装着部から遠ざかるように傾斜しており、前記リップ部の先端面は、前記連結部の外周面よりも内方に位置している[態様1]に記載の固定ガラスのシール構造。
【0027】
上記の構成によれば、シール部材の装着された固定ガラスがパネル部材に組み付けられる前の状態では、外方ほどパネル部材に近づくように傾斜したリップ部の先端面は、連結部の外周面よりも内方に位置する。リップ部の先端面は、連結部から外方へ突出するリップ部の先端面よりも内方に位置する。これに伴い、連結部の内周面とリップ部の先端面との間隔は、リップ部が連結部から外方へ突出する場合の間隔よりも小さい。固定ガラスが一般部及びコーナ部を有する場合、そのコーナ部でのリップ部の弾性変形量は、連結部から外方へ突出するリップ部の弾性変形量よりも少ない。コーナ部でのシール部材の断面形状は、一般部でのシール部材の断面形状に近い形状となる。
【0028】
[態様3]前記リップ部は、前記装着部から前記パネル部材側へ離間した箇所で前記間隔保持部に接続されており、前記リップ部は、前記間隔保持部から外方へ離れた箇所に、前記リップ部の前記間隔保持部に対する接続部よりも前記装着部側へ膨出する膨出部を有している[態様1]又は[態様2]に記載の固定ガラスのシール構造。
【0029】
ここで、上記組み付け状態で、リップ部と装着部との間に隙間が生ずると、その隙間を風が流れた場合に笛吹き音が発生するおそれがある。
この点、上記の構成によれば、リップ部において、間隔保持部から外方へ離れた箇所では、リップ部の間隔保持部に対する接続部よりも装着部側へ膨出部が膨出している。リップ部のうち膨出部を有する箇所では、装着部との間隔が、リップ部が膨出部を有しない場合よりも狭くなる。
【0030】
従って、リップ部が膨出部を有しない場合に比べ、リップ部と装着部との間の隙間が原因で笛吹き音が発生する現象が起こりにくくなる。
[態様4]前記組み付け状態では、前記シール部材が前記膨出部において、前記装着部に接触する[態様3]に記載の固定ガラスのシール構造。
【0031】
上記の構成によれば、上記組み付け状態では、膨出部が装着部に接触し、両者の間に隙間がない状態となる。そのため、リップ部と装着部との間の隙間に起因する笛吹き音の発生がより一層抑制される。
【発明の効果】
【0032】
上記固定ガラスのシール構造によれば、組み付け前の固定ガラスに装着されたシール部材の断面形状が部位に応じて異なるのを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】固定ガラスのシール構造の一実施形態を示す図であり、同シール構造の構成部材を説明する分解斜視図である。
【
図2】上記実施形態における固定ガラス、シール部材及びクリップの分解斜視図である。
【
図3】上記実施形態における固定ガラスのシール構造を説明する部分平面図である。
【
図7】ルーフリインホースに組み付けられる前の固定ガラスに装着されたシール部材の拡大断面図である。
【
図8】固定ガラスがルーフリインホースに組み付けられたときのシール部材の拡大断面図である。
【
図9】従来技術1及び2における固定ガラスのシール構造を説明する部分平面図である。
【
図12】従来技術2において、シール部材を、組み付け前の固定ガラスのコーナ部に沿って湾曲させた場合にリップ部が弾性変形する様子を説明する部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、固定ガラスのシール構造の一実施形態について、
図1~
図8を参照して説明する。
なお、以下の記載に関し、車両10の前進方向を前方とし、後進方向を後方として説明する。また、上下方向は車両10の上下方向を意味し、左右方向は車幅方向であって車両10の前進時の左右方向と一致するものとする。
【0035】
図1及び
図2に示すように、本実施形態のシール構造は、ルーフパネル12、ルーフリインホース17、固定ガラス21、クリップ27及びシール部材(モールとも呼ばれる)31を備えている。次に、各部について説明する。
【0036】
<ルーフパネル12及びルーフリインホース17>
図1及び
図4~
図6に示すように、車両10のルーフ11は、ルーフパネル12を備えている。ルーフパネル12は、矩形状の開口13を有している。開口13の周縁部14と、ルーフパネル12における開口13の周囲部15との下方には、ルーフリインホース17が配置されている。ルーフリインホース17は、四角枠状をなし、かつ上記ルーフパネル12の開口13よりも小さな開口18を有している。ルーフリインホース17の一部は、ルーフパネル12の一部に重ね合わされている(
図5参照)。ルーフリインホース17の他の部分は、ルーフパネル12から下方へ離間している(
図4、
図6等参照)。
【0037】
ルーフリインホース17のうち、開口13の周縁部14の下方となる箇所であって、後述するクリップ27に対応する複数箇所には、それぞれ差し込み孔19が形成されている(
図4参照)。ルーフリインホース17は、ルーフパネル12に固定されている。ルーフパネル12及びルーフリインホース17は、特許請求の範囲におけるパネル部材に該当する。
【0038】
<固定ガラス21>
上記開口13及び周囲部15の上方には、無機ガラス、樹脂ガラス等からなる矩形状の固定ガラス21が配置されている。固定ガラス21は、どの箇所でも厚みが均一となるように形成されている。固定ガラス21の厚み方向は上下方向と合致している。上記開口13,18は、固定ガラス21によって上方から覆われている。
図2及び
図3に示すように、固定ガラス21の周縁部22は、それぞれ直線状をなす4つの一般部23と、それぞれ円弧状をなす4つのコーナ部24とを備えている。2つの一般部23は、互いに前後方向に離間した状態で左右方向へ延びている。別の2つの一般部23は、互いに左右方向に離間した状態で前後方向へ延びている。
【0039】
ここで、固定ガラス21のシール構造における各部の位置関係を特定するために、固定ガラス21の中心部C1と周縁部22とを結ぶ方向を「内外方向」とする。中心部C1を中心とする放射方向が内外方向となる。内外方向のうち、中心部C1に近づく側を「内」とし、中心部C1から遠ざかる側を「外」とする。
【0040】
<クリップ27>
図2及び
図4に示すように、固定ガラス21の下面であって、上記周縁部22の内方近傍となる複数箇所には、クリップ27が取り付けられている。本実施形態では、左方の一般部23の内方近傍であって、互いに前後方向に離間する2箇所にクリップ27が取り付けられている。右方の一般部23の内方近傍の2箇所にも、上記と同様のクリップ27が取り付けられている。各クリップ27は、ルーフリインホース17の対応する差し込み孔19(
図4参照)に対し、上方から差し込まれて係止されている。固定ガラス21は、複数のクリップ27を介してルーフリインホース17に対し、位置決めされた状態で組み付けられている。固定ガラス21のこの状態を、「組み付け状態」というものとする。
【0041】
クリップ27は、上述したように、固定ガラス21の位置決め機能を有するほか、後述する接着剤26が硬化するまで、固定ガラス21をルーフリインホース17に仮固定する機能も有している。上記固定ガラス21は、接着剤26によりルーフパネル12に固定されている。
【0042】
<シール部材31>
固定ガラス21の周縁部22には、ゴム、エラストマ等の軟質材料によって形成された複数本、本実施形態では2本のシール部材31が装着されている。
図7及び
図8に示すように、各シール部材31は、装着部32、間隔保持部51及びリップ部55を備えている。
【0043】
装着部32は、第1挟持部33、第2挟持部35及び連結部41を備えている。第1挟持部33は、上記組み付け状態の固定ガラス21の厚み方向のうち、固定ガラス21よりもルーフパネル12に近い側、この場合、固定ガラス21の下側に位置している。シール部材31は、第1挟持部33において、両面テープ47によって固定ガラス21の下面に貼り付けられている。第2挟持部35は、上記組み付け状態の固定ガラス21の厚み方向のうち、固定ガラス21よりもルーフパネル12から遠い側、この場合、固定ガラス21の上側に位置している。第2挟持部35の内周面36は、第1挟持部33の内周面34よりも外方に位置している。連結部41は、固定ガラス21の周縁部22の外方に位置しており、第1挟持部33及び第2挟持部35を連結している。シール部材31が固定ガラス21に装着された状態では、第1挟持部33及び第2挟持部35が固定ガラス21の周縁部22を上下両側から挟み込んでいる。
【0044】
間隔保持部51は、第1挟持部33のうち、連結部41の外周面43よりも内方となる箇所であり、かつ第1挟持部33の内周面34よりも外方となる箇所からルーフパネル12側へ突出している。間隔保持部51の断面は矩形状をなしている。間隔保持部51の外周面52は、連結部41の内周面42よりも内方に位置している。間隔保持部51は、第1挟持部33と協働することで、ルーフパネル12と組み付け状態の固定ガラス21との間隔を保持する機能を有している。
【0045】
リップ部55は、間隔保持部51の外周面52から外方へ延びている。リップ部55は、装着部32の第1挟持部33からルーフパネル12側へ離間した箇所で間隔保持部51の外周面52に接続されている。ここで、シール部材31の装着された固定ガラス21がルーフリインホース17に対し組み付けられる前の状態を、以下「組み付け前状態」という。
図7に示すように、組み付け前状態では、リップ部55は、外方ほど装着部32から遠ざかるように、すなわち、ルーフパネル12に近づくように傾斜している。表現を変えると、リップ部55は、外方ほど低くなるように傾斜している。上記組み付け前状態でのリップ部55の先端面56は、連結部41の外周面43よりも内方に位置している。リップ部55は、間隔保持部51から外方へ離間した箇所に膨出部55aを有している。膨出部55aは、リップ部55の間隔保持部51に対する接続部55bよりも装着部32側へ膨出している。リップ部55は、
図8に示すように、固定ガラス21の上記組み付け状態では、
図7に示す組み付け前状態とは異なる形状に弾性変形する(撓む)。上記組み付け状態では、間隔保持部51の下面53がルーフパネル12の上面16に接触する。これに加え、リップ部55の下面57が上記上面16に接触するとともに、膨出部55aの上面58が装着部32の下面、ここでは連結部41の下面45に接触する。
【0046】
上記のように構成されたシール部材31は、押し出し成形によって成形されている。押し出し成形では、一般的には、シール部材31が一定の断面形状で押し出される。そのため、シール部材31は、一般的には、周方向におけるどの箇所でも同一の断面形状を有している。
【0047】
そして、上記組み付け状態では、
図4~
図6に示すように、ルーフパネル12における上記周囲部15と固定ガラス21の周縁部22との間がシール部材31によってシールされる。
【0048】
次に、本実施形態の作用について説明する。
本実施形態のシール構造は、押し出し成形されたシール部材31を固定ガラス21の周縁部22に装着する装着工程と、シール部材31の装着された固定ガラス21をルーフリインホース17に組み付ける組み付け工程とを経ることで得られる。
【0049】
次に、各工程について説明する。
<装着工程>
図7に示すように、装着工程では、各シール部材31が、固定ガラス21の周縁部22に装着される。
【0050】
直線状の一般部23にシール部材31が装着される場合には、シール部材31が真っ直ぐにされた状態で、第1挟持部33及び第2挟持部35の間に一般部23が挿入される。これに対し、非直線状をなすコーナ部24に各シール部材31が装着される場合には、同シール部材31がコーナ部24に沿って湾曲させられながら、第1挟持部33及び第2挟持部35の間にコーナ部24が挿入される。上記いずれの場合にも、周縁部22が第1挟持部33及び第2挟持部35によって上下両側から挟み込まれる。
【0051】
コーナ部24でもリップ部55の断面形状を一般部23での断面形状と同一にするには、連結部41の内周面42での周長を維持しつつ、シール部材31の外周面での周長を長くする必要がある。この場合、連結部41の内周面42での周長は、固定ガラス21の外周面25での周長と同じである。また、リップ部55の先端面56での周長が、シール部材31の外周面での周長になる。
【0052】
しかし、リップ部55の先端面56での周長は変化しないか、変化したとしても僅かである。そのため、リップ部55は、接続部55bにおいて、内方へ倒れるように弾性変形する。
【0053】
ここで、上記リップ部55の弾性変形量(撓み量)は、連結部41の内周面42(固定ガラス21の外周面25)とリップ部55の先端面56との間隔D1が大きくなるに従い多くなる。この点、本実施形態では、リップ部55が間隔保持部51の外周面52から外方へ延びている。外周面52は、連結部41の外周面43よりも内方に位置する。リップ部55は、リップ部111が連結部105の外周面106から外方へ突出する従来技術1及び2よりも内方から突出している。そのため、リップ部55の先端面56を、上記リップ部111の先端面112よりも内方に位置させることが可能となる。
【0054】
本実施形態では、
図7に示す組み付け前状態では、リップ部55の先端面56は、連結部41の外周面43よりも内方に位置する。先端面56は、リップ部111の先端面112よりも内方に位置する。
【0055】
これに伴い、本実施形態におけるシール部材31の間隔D1(
図7参照)は、従来技術1及び2におけるシール部材101の間隔D1(
図12参照)よりも小さい。コーナ部24でのリップ部55の弾性変形量は、リップ部111の弾性変形量よりも少ない。コーナ部24でのシール部材31の断面形状は、一般部23でのシール部材31の断面形状に近い形状となる。
【0056】
<組み付け工程>
組み付け工程では、上記装着工程を経ることでシール部材31の装着された固定ガラス21とルーフパネル12とのいずれか一方、又は両方に接着剤26が塗布される。上記固定ガラス21が、ルーフパネル12に近付けられる。この接近の途中に、各クリップ27がルーフリインホース17の対応する差し込み孔19(
図4参照)に挿入される。
【0057】
また、上記接近の途中でリップ部55の下面57がルーフパネル12の上面16に接触する。固定ガラス21がさらにルーフパネル12に接近されると、リップ部55はルーフパネル12によって下方への移動を規制される。リップ部55が接続部55bにおいて弾性変形されることにより、同リップ部55の水平面に対しなす角度が徐々に小さくなる。
【0058】
図4に示すように、各クリップ27が、対応する差し込み孔19に挿通される(差し込まれる)と、固定ガラス21が複数箇所においてクリップ27を介してルーフリインホース17に対し、位置決めされた状態で組み付けられる。すると、固定ガラス21とルーフパネル12との間に接着剤26が介在された状態となる。また、これと略同じタイミングで、
図8に示すように、リップ部55が水平に近い状態になる。間隔保持部51の下面53とリップ部55の下面57とがルーフパネル12の上面16に接触する。この接触により、固定ガラス21とルーフパネル12との間がシールされた状態となる。
【0059】
上述したように、コーナ部24でのリップ部55の弾性変形量が少なくなる。そのため、コーナ部24においてリップ部55がルーフパネル12を押し付ける荷重と、一般部23においてリップ部55がルーフパネル12を押し付ける荷重とのばらつきが小さくなる。これに伴い、コーナ部24においてリップ部55がルーフパネル12から受ける反力と、一般部23においてリップ部55がルーフパネル12から受ける反力とのばらつきが小さくなる。
【0060】
このとき、リップ部55の先端面56は、連結部41の外周面43に対し、同一の面上、又はその面に対し内外方向に接近した箇所に位置する。
また、リップ部55のうち膨出部55aを有する箇所では、装着部32との間隔が、リップ部55が膨出部55aを有しない場合よりも狭くなる。
【0061】
特に、上記組み付け状態では、膨出部55aの上面58が装着部32の下面(連結部41の下面45)に接触する。この接触により、膨出部55aと装着部32との間に隙間のない状態となる。
【0062】
さらに、上記組み付け状態では、第1挟持部33及び間隔保持部51によって、ルーフパネル12と固定ガラス21との間隔が保持される。接着剤26が硬化するまでは、固定ガラス21がクリップ27によってルーフリインホース17に仮固定される。そして、接着剤26が硬化すると、固定ガラス21が接着剤26によってルーフパネル12に固定された状態となる。
【0063】
次に、本実施形態の効果について説明する。
(1)シール部材31が押し出し成形される本実施形態にあって、
図7に示すように、リップ部55を間隔保持部51の外周面52から外方へ延ばしている。そのため、コーナ部24でのシール部材31の断面形状を、一般部23でのシール部材31の断面形状に近い形状にすることができる。
図7に示す組み付け前状態でのシール部材31の断面形状が、部位に応じて異なるのを抑制できる。
【0064】
そして、本実施形態では、
図8に示すように、上記組み付け状態では、リップ部55を
図7に示す組み付け前状態とは異なる形状に弾性変形させた状態でルーフパネル12に接触させている。そのため、本実施形態では、次に記載する種々の効果を得ることができる。
【0065】
[1-1]一般部23とコーナ部24とで、リップ部55がルーフパネル12から受ける反力のばらつきを少なくすることができ、シール部材31によるシール性能を安定させることができる。
【0066】
[1-2]従来技術2とは異なり、コーナ部24でリップ部55がルーフパネル12から受ける反力を小さくする必要がなくなる。反力を小さくするために、シール部材31の硬度を下げる等して、リップ部55を柔らかくしなくてすむ。リップ部55を柔らかくすることに起因して発生する問題、すなわち、一般部23においてリップ部55のルーフパネル12に対する密着性が低下するといった問題が解消される。その結果、車両10の走行風によって、一般部23におけるリップ部55がルーフパネル12から剥がれるのを抑制できる。剥離に起因する草笛音、笛吹き音等の異音の発生を抑制できる。
【0067】
上記[1-1],[1-2]の効果は、シール部材31を、上記従来技術1のように射出成形によって成形することによっても得られる。
従って、本実施形態によると、シール部材31を押し出し成形によって成形しているにも拘らず、シール部材101を射出成形で成形した場合と同等の性能を確保できることになる。
【0068】
[1-3]上述したように、コーナ部24で、リップ部55がルーフパネル12から受ける反力が増大するのを抑制できる。そのため、各クリップ27をルーフリインホース17の対応する差し込み孔19に差し込む際に、固定ガラス21に加える荷重を高くしなくてもすむ。従って、固定ガラス21を組み付ける作業の作業性が向上する。
【0069】
(2)本実施形態で採用している押し出し成形では、シール部材31が一定の断面形状で押し出されるため、成形型が射出成形用の成形型よりも小型ですみ、型費を低減できる。
【0070】
(3)
図7に示す組み付け前状態では、リップ部55が、外方ほど装着部32から遠ざかるように傾斜する。このときのリップ部55の先端面56を、連結部41の外周面43よりも内方に位置させている。
【0071】
そのため、本実施形態のシール部材31における間隔D1を、従来技術1及び2のシール部材101における間隔D1(
図12参照)よりも小さくすることができる。コーナ部24でのリップ部55の弾性変形量を、リップ部111の弾性変形量よりも少なくすることができる。コーナ部24でのシール部材31の断面形状を、一般部23でのシール部材31の断面形状に近い形状にすることができる。そのため、上記(1)の効果を好適に得ることができる。
【0072】
これに付随して、次の効果も期待できる。
[3-1]従来技術1及び2では、
図10及び
図11に示すように、リップ部111が連結部105の外周面106から外方へ延びているため、車両10の外部からはリップ部111の多くの部分が見える。例えば、上方からはリップ部111の全体が見える。
【0073】
これに対し、本実施形態では、
図4~
図6に示すように、リップ部55は装着部32とルーフパネル12との間に位置する。そのため、車両10の外部からシール構造を見た場合、リップ部55は装着部32によって隠された状態となり、リップ部55が見えにくい。従って、シール部材31の外観が、従来技術1及び2のシール部材101よりも向上する。
【0074】
(4)本実施形態では、
図7及び
図8に示すように、リップ部55が、装着部32からルーフパネル12側へ離間した箇所で間隔保持部51の外周面52に接続されている。リップ部55が、間隔保持部51から外方へ離れた箇所に、接続部55bよりも装着部32側(連結部41側)へ膨出する膨出部55aを有している。
【0075】
そのため、次の効果が得られる。
[4-1]ここで、固定ガラス21の上記組み付け状態(
図8参照)で、リップ部55と連結部41との間に隙間が生ずると、その隙間を風が流れた場合に笛吹き音が発生するおそれがある。
【0076】
この点、リップ部55が膨出部55aを有する本実施形態では、リップ部55のうち膨出部55aを有する箇所と装着部32との間隔を、リップ部55が膨出部55aを有しない場合よりも狭くすることができる。従って、リップ部55が膨出部55aを有しない場合に比べ、リップ部55と装着部32との間の隙間が原因で笛吹き音が発生する現象を起こりにくくすることができる。
【0077】
特に、本実施形態では、上記組み付け状態では、膨出部55aが装着部32に接触される。そのため、リップ部55と装着部32との間の隙間に起因する笛吹き音の発生をより一層抑制できる。
【0078】
[4-2]
図10及び
図11に示すように、従来技術2におけるリップ部111は薄く、延出方向に長い。そのため、直線状をなす複数本のシール部材101を立てた姿勢、すなわち、上下方向へ延びる姿勢で運搬することが難しい。隣り合うシール部材101がリップ部111において干渉するからである。従って、直線状をなす複数本のシール部材101を倒した姿勢、すなわち、水平方向へ延びる姿勢で積み重ねて運搬することになる。この場合、一度に運搬できるシール部材101の本数が少ない。また、シール部材101が弾性変形する懸念もある。
【0079】
これに対し、本実施形態のリップ部55は、連結部41の外周面43よりも内方に位置していて、従来技術1及び2におけるリップ部111よりも延出方向に短い。これに加え、膨出部55aが形成されることもあり、リップ部55が従来技術1及び2のリップ部111よりも厚い。そのため、直線状をなす複数本のシール部材31を立てた姿勢で運搬することが、従来技術2よりも容易になる。隣り合うシール部材31がリップ部55において干渉することが起こりにくく、弾性変形しにくいからである。
【0080】
なお、上記実施形態は、これを以下のように変更した変更例として実施することもできる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0081】
<シール部材31について>
・1枚の固定ガラス21につき、3本以上のシール部材31が装着されてもよい。
・笛吹き音の発生が許容できるほど小さい場合には、固定ガラス21の上記組み付け状態で、リップ部55の膨出部55aが連結部41の下面45から離間してもよい。また、リップ部55から膨出部55aが省略されてもよい。
【0082】
・リップ部55の延出方向の長さが、従来技術2におけるリップ部111の延出方向の長さよりも短いことを条件に、上記実施形態よりも長く設定されてもよい。例えば、上記組み付け状態で、リップ部55の先端面56が連結部41の外周面43よりも外方に位置してもよい。
【0083】
・間隔保持部51の外周面52が、連結部41の外周面43よりも内方であることを条件に、上記実施形態よりも外方に位置してもよい。
・第2挟持部35の内周面36は、第1挟持部33の内周面34に対し内外方向に同じ箇所に位置してもよいし、内周面34よりも内方に位置してもよい。
【0084】
・固定ガラス21は、矩形とは異なる形状をなしていてもよい。
・間隔保持部51の断面形状が、矩形とは異なる形状に変更されてもよい。
・間隔保持部51の内周面は、第1挟持部33の内周面34と同一面上に位置してもよい。
【0085】
<適用範囲について>
・上記シール構造は、ルーフパネル12と固定ガラス21との間のシール構造に限らず、パネル部材における開口の周囲部と固定ガラスの周縁部との間をシール部材によりシールするシール構造であれば、広く適用可能である。
【符号の説明】
【0086】
12…ルーフパネル
13…開口
15…周囲部
17…ルーフリインホース
21…固定ガラス
22…周縁部
31…シール部材
32…装着部
33…第1挟持部
35…第2挟持部
41…連結部
43…外周面
51…間隔保持部
55…リップ部
55a…膨出部
55b…接続部
56…先端面
C1…中心部