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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087370
(43)【公開日】2024-07-01
(54)【発明の名称】切羽穿孔機の遠隔制御システム
(51)【国際特許分類】
   E21D 9/00 20060101AFI20240624BHJP
   E21B 7/04 20060101ALI20240624BHJP
   E21D 20/00 20060101ALI20240624BHJP
【FI】
E21D9/00 C
E21B7/04 A
E21D20/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022202165
(22)【出願日】2022-12-19
(71)【出願人】
【識別番号】302060926
【氏名又は名称】株式会社フジタ
(74)【代理人】
【識別番号】100089875
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 茂
(72)【発明者】
【氏名】三河内 永康
(72)【発明者】
【氏名】末松 幸人
(72)【発明者】
【氏名】浅沼 廉樹
【テーマコード(参考)】
2D129
【Fターム(参考)】
2D129AA04
2D129AA08
2D129AB05
2D129AB09
2D129AB13
(57)【要約】
【課題】山岳地のトンネル工事において、切羽穿孔機の削孔機を予め決められた位置に容易にかつ正確に移動させることができる切羽穿孔機の遠隔制御システムを提供する。
【解決手段】遠隔制御システム(300,400)は、切羽穿孔機(100)が配置されたトンネル(10)内の3次元距離を計測し3次元データを出力する3次元スキャナ(201)と、3次元データからトンネルの切羽および側面形状を抽出するトンネル形状抽出部と、3次元データから切羽穿孔機の位置情報を検出する位置検出部と、切羽穿孔機の動作を制御する遠隔制御装置(300)と、を有し、切羽穿孔機が削孔機(102)と、駆動/制動系と、遠隔制御装置による制御に従って切羽穿孔機を動作させる制御部と、を有し、遠隔制御装置が位置検出部により検出された切羽穿孔機の位置情報に従って切羽穿孔機を所定作業位置へ移動させ、所定作業位置において切羽穿孔機の削孔機によりトンネルの所望位置に削孔(13)を形成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネルを掘削する切羽穿孔機を制御するための遠隔制御システムであって、
前記切羽穿孔機が配置されたトンネル内の3次元距離を計測し3次元データを出力する3次元スキャナと、
前記3次元データから前記トンネルの切羽および側面形状を抽出するトンネル形状抽出部と、
前記3次元データから前記切羽穿孔機の位置情報を検出する位置検出部と、
前記切羽穿孔機の動作を制御する遠隔制御装置と、
を有し、
前記切羽穿孔機が、位置および姿勢に変更可能な削孔機と、自走するための駆動/制動系と、前記遠隔制御装置による制御に従って前記切羽穿孔機を動作させる制御部と、を有し、
前記遠隔制御装置が、前記位置検出部により検出された前記切羽穿孔機の位置情報に従って前記切羽穿孔機を所定作業位置へ移動させ、前記所定作業位置において前記切羽穿孔機の前記削孔機により前記トンネルの所望位置に削孔を形成する、
ことを特徴とする遠隔制御システム。
【請求項2】
前記切羽穿孔機はアウトリガーをさらに有し、
前記遠隔制御装置が、前記所定作業位置において前記アウトリガーを駆動して前記切羽穿孔機の位置を固定することを特徴とする請求項1に記載の遠隔制御システム。
【請求項3】
前記遠隔制御装置は、予め用意された削孔パターンに従って前記切羽穿孔機の前記ブーム、前記ガイドシェルおよび前記削孔機を動作させ、前記トンネルの切羽削孔およびロックボルト削孔を形成する、ことを特徴とする請求項1または2に記載の遠隔制御システム。
【請求項4】
前記切羽穿孔機が、多関節アクチュエータを用いて伸縮、旋回、起伏するブームと、前記ブームの先端部に支持され旋回、起伏、スライドするガイドシェルと、を有し、前記削孔機が前記ガイドシェルに搭載され、
前記遠隔制御装置が、前記所定作業位置において前記切羽穿孔機の前記ブーム、前記ガイドシェルおよび前記削孔機を制御し前記トンネルの所望位置に削孔を形成する、ことを特徴とする請求項1または2に記載の遠隔制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、山岳地などのトンネル工事を行なう切羽穿孔機の遠隔制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
山岳地のトンネル工事では切羽面に雷管と爆薬を装填するための装薬孔を削孔(穿孔)する必要がある。装薬孔を削孔するための自走式の大型削孔機はドリルジャンボとも呼ばれており、ドリルジャンボを用いた掘削工法が種々の提案がされている。
【0003】
たとえば特許文献1に開示されたドリルジャンボは、装薬孔を削孔する機能に加えて、切羽面の近傍の周壁面にロックボルト挿通孔を削孔し、ロックボルト挿通孔にロックボルトを打設するロックボルト打設機能や、ロックボルト挿通孔にグラウトを充填するグラウト充填機能などを備えている。通常、このような装薬孔やロックボルト挿通孔の削孔、ロックボルトの打設、グラウトの充填は、ドリルジャンボの操縦席に着座した操作員が各種の操作レバーや操作ボタンを操作することによって行われている。
【0004】
またドリルジャンボは、装薬孔やロックボルト挿通孔を予め決められたパターンに削孔するために、ドリルジャンボ自体とムーブに取り付けられた削孔機の正確な位置検出が必要である。この位置制御に関しても種々の提案がされてきた。
【0005】
たとえば特許文献2には、ドリルジャンボの台車と削岩機とに座標測定可能な視準ターゲットを設置し、台車後方に視準ターゲットの座標を測定する測量機器を設けることで正確な削孔位置決めを行う制御方法が開示されている。
【0006】
また特許文献3には、ドリルジャンボ上の架台にトータルステーションを設置し、トータルステーションがトンネル内に配置された反射ターゲットからのレーザビーム反射光を検知してドリルジャンボの位置姿勢を検出する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2020-094422号公報
【特許文献2】特開2005-220627号公報
【特許文献3】特開2004-138422号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように、ドリルジャンボでは、装薬孔やロックボルト挿通孔を予め決められたパターンに削孔するために、まずドリルジャンボ自体を削孔作業ができる位置へ移動し、アウトリガーにより位置を固定した後、操作員のレバー操作等によりブームを移動させて削孔機を所定位置に移動させている。しかしながら、山岳地のトンネル工事に際しては、安全確保や作業環境の向上を図る観点から、トンネルの坑内で作業する現場作業員の数をなるべく削減することが望まれている。
【0009】
また特許文献2では視準ターゲットを設置する必要があり、それらの位置検出からドリルジャンボの位置姿勢を計算する複雑な計算処理が必要である。同様に、特許文献3ではトンネル内に反射ターゲットを複数箇所に配置する必要があり、それらの位置検出からドリルジャンボの位置姿勢を計算する複雑な計算処理が必要である。このように特許文献2および3では、設備およびシステム構成だけでなく計算処理も複雑化する。
【0010】
本発明は前記事情に鑑み案出されたもので、本発明の目的は、山岳地のトンネル工事において、切羽穿孔機の削孔機を予め決められた位置に容易にかつ正確に移動させることができる切羽穿孔機の遠隔制御システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した目的を達成するために、本発明の一実施の形態は、トンネルを掘削する切羽穿孔機を制御するための遠隔制御システムであって、前記切羽穿孔機が配置されたトンネル内の3次元距離を計測し3次元データを出力する3次元スキャナと、前記3次元データから前記トンネルの切羽および側面形状を抽出するトンネル形状抽出部と、前記3次元データから前記切羽穿孔機の位置情報を検出する位置検出部と、前記切羽穿孔機の動作を制御する遠隔制御装置と、を有し、前記切羽穿孔機が、位置および姿勢に変更可能な削孔機と、自走するための駆動/制動系と、前記遠隔制御装置による制御に従って前記切羽穿孔機を動作させる制御部と、を有し、前記遠隔制御装置が、前記位置検出部により検出された前記切羽穿孔機の位置情報に従って前記切羽穿孔機を所定作業位置へ移動させ、前記所定作業位置において前記切羽穿孔機の前記削孔機により前記トンネルの所望位置に削孔を形成する、ことを特徴とする。
また、本発明の一実施の形態は、前記切羽穿孔機はアウトリガーをさらに有し、前記遠隔制御装置が、前記所定作業位置において前記アウトリガーを駆動して前記切羽穿孔機の位置を固定することを特徴とする。
また、本発明の一実施の形態は、前記遠隔制御装置は、予め用意された削孔パターンに従って前記切羽穿孔機の前記ブーム、前記ガイドシェルおよび前記削孔機を動作させ、前記トンネルの切羽削孔およびロックボルト削孔を形成する、ことを特徴とする。
また、本発明の一実施の形態は、前記切羽穿孔機が、多関節アクチュエータを用いて伸縮、旋回、起伏するブームと、前記ブームの先端部に支持され旋回、起伏、スライドするガイドシェルと、を有し、前記削孔機が前記ガイドシェルに搭載され、前記遠隔制御装置が、前記所定作業位置において前記切羽穿孔機の前記ブーム、前記ガイドシェルおよび前記削孔機を制御し前記トンネルの所望位置に削孔を形成する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一実施の形態によれば、3次元データに基づいて検出された切羽穿孔機の位置情報に基づいて切羽穿孔機を所望作業位置に移動させ、そこを基準として切羽穿孔機の削孔機を所望位置に容易にかつ正確に移動させることができる。
また、本発明の一実施の形態によれば、アウトリガーにより切羽穿孔機の作業位置を固定することができ、切羽穿孔機の削孔機を所望位置に容易にかつ正確に移動させることができる。
また、本発明の一実施の形態によれば、削孔パターンに従って装薬孔あるいはロックボルト削孔を形成する場合でも削孔機を所望位置に正確に移動できるので、削孔パターンに正確に一致した削孔を形成することができる。
また、本発明の一実施の形態によれば、切羽穿孔機のブーム、ガイドシェルおよび削孔機を制御しトンネルの所望位置に削孔を容易に且つ正確に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態による切羽穿孔機の遠隔制御システムの全体的構成を説明するためのトンネル断面図である。
図2】本実施形態で使用される切羽穿孔機の機能的構成の一例を示すブロック図である。
図3】本実施形態における遠隔制御装置の機能的構成の一例を示すブロック図である。
図4】本実施形態におけるトンネル削孔管理システムの機能的構成の一例を示すブロック図である。
図5】本実施形態における切羽面の削孔パターンの一例を示す切羽面の正面図である。
図6】本実施形態による切羽穿孔機の遠隔制御システムを用いたトンネル掘削工程の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
1.システム構成
以下、図1に示するようなトンネル掘削工事を一例として、本発明の一実施形態による切羽穿孔機の遠隔制御システムについて詳細に説明する。
【0015】
図1に示すように、本実施形態による切羽穿孔機の遠隔制御システムは、ドリルジャンボ100、遠隔制御装置200およびトンネル掘削管理システム400からなる。切羽穿孔機であるドリルジャンボ100はトンネル10内の切羽12の正面に配置されている。ドリルジャンボ100は複数のブーム101、それらの先端部に設けられた削孔機102、ガイドシェル103、アウトリガー104、撮像部107等を有する。ドリルジャンボ100自体の移動、ブーム101、削孔機102およびガイドシェル103の動作、アウトリガー104の動作、その他動作は、後述する遠隔制御装置300による制御下で自動化可能である。
【0016】
また、トンネル10内には移動式の台車200が設置され、台車200には3Dスキャナ201および必要に応じてサーモグラフィカメラ202が搭載されている。3Dスキャナ201は台車200の最上部に設置され、台車200を移動させることで、トンネル内壁部11、切羽12およびドリルジャンボ100を含むトンネル内の3次元距離を計測することができる。なお、サーモグラフィカメラ202は赤外線を利用してドリルジャンボ100および切羽12の温度分布画像を取得する赤外線カメラである。
【0017】
本実施形態におけるトンネル掘削管理システム400は、3Dスキャナ201により取得された3次元距離の計測データ(以下、3Dデータという。)を用いてドリルジャンボ100のトンネル10内での相対的位置を検出することができる。遠隔制御装置300は、トンネル掘削管理システム400から検出された位置データを用いてドリルジャンボ100を所定位置に移動させることができる。
【0018】
なお、本実施形態による遠隔制御装置300およびトンネル掘削管理システム400は1つの装置で構成されてもよいし、別々の装置がデータ通信可能に接続された構成であってもよい。また本実施形態による遠隔制御装置300およびトンネル掘削管理システム400はCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processor Unit)等の1個以上のプロセッサを有する汎用サーバあるいはパーソナルコンピュータ上に構築可能である。
【0019】
以下、本実施形態におけるドリルジャンボ100、遠隔制御装置300およびトンネル掘削管理システム400の機能構成および動作について図2図4を参照しながら説明する。
【0020】
2.ドリルジャンボ
図2に例示するように、ドリルジャンボ100は、トンネル10の坑内において、発破工法における装薬孔の削孔、ロックボルト挿通孔の削孔、ロックボルト挿通孔へのロックボルトの打設、ロックボルト挿通孔へのグラウトの充填などを行なう切羽穿孔機であり、遠隔制御装置300によって遠隔制御可能である。
【0021】
ドリルジャンボ12は、ブーム101、削孔機102、ガイドシェル103、アウトリガー104、駆動/制動系105、ロックボルト打設装置106および撮像部107を含んで構成されている。
【0022】
ブーム101は複数本、例えば2本あるいは4本設けられている。ブーム101の基端部はドリルジャンボ100の本体の前部に取り付けられており、多関節アクチュエータ111を用いて伸縮し、また、水平方向へ旋回し、上下方向に起伏する。多関節アクチュエータ111は油圧シリンダやモータなど従来公知の様々なアクチュエータによって構成されている。また、多関節アクチュエータ111は複数のアクチュエータを備えている。なお、多関節アクチュエータ111は、ブーム101を伸縮、旋回、起伏できる構成であればよく、従来公知の様々なドリルジャンボに使用される多関節アクチュエータが使用可能である。
【0023】
削孔機102はガイドシェル103に搭載されている。削孔機102は、図示されていないが、先端にビットが取り付けられた削孔ロッドと、削孔ロッドの後端に打撃を与えるドリフタと、それらをガイドシェル103上で前後動させるフィーダを含んで構成されている。削孔ロッドの回転、ドリフタによる打撃、フィーダによる前後動は、削孔機アクチュエータ112により実行される。削孔機アクチュエータ112は油圧シリンダやモータなど従来公知の様々なアクチュエータによって構成されている。なお、削孔機アクチュエータ102は図示されていないが複数のアクチュエータを備えている。また削孔機アクチュエータ102は、削孔ロッドの回転、ドリフタによる打撃、フィーダによる前後動ができればよく、従来公知の様々なドリルジャンボに使用される削孔機アクチュエータが使用可能である。
【0024】
削孔機102は、トンネル10の切羽12を削孔して発破工法による装薬孔を削孔する機能と、コンクリートが吹きつけられたトンネル10の周壁面11に対して垂直にロックボルト挿通孔を削孔する機能とを有する。このような装薬孔やロックボルト挿通孔の削孔は、ブーム101およびガイドシェル103を介して削孔機102の位置および姿勢を変更することによって実現される。また、削孔機102は、切羽12や周壁面11の削孔を行なうものであればよく、削孔機102の構成として従来公知の様々な構成のものが使用可能である。
【0025】
ガイドシェル103は直線状に延在する細長形状を有し、ブーム101の先端部に設けられたガイドマウンティングに支持される。ガイドシェル103は、複数のガイドシェルアクチュエータ113によって、ガイドシェル103の延在方向と平行な軸線周りに回転し、水平方向に旋回し、上下方向に起伏し、ガイドシェル22の延在方向に沿って前後にスライドする。
【0026】
ガイドシェルアクチュエータ113は油圧シリンダやモータなど従来公知の様々なアクチュエータによって構成されている。ガイドシェルアクチュエータ113は複数のアクチュエータを備えているが、ここでは図示を簡略化するため、1つのアクチュエータとして記載している。なお、ガイドシェルアクチュエータ113は、ガイドシェル103の回転、旋回、起伏、スライドができればよく、従来公知の様々なドリルジャンボに使用されるガイドシェルアクチュエータが使用可能である。
【0027】
削孔機102の位置および姿勢は、多関節アクチュエータ111によるブーム101の各動作、および、ガイドシェルアクチュエータ113による各動作によって変更可能である。トンネル10の切羽12あるいは切羽12の近傍の周壁面11の所望の箇所に所望の角度で削孔がなされるように図られている。
【0028】
アウトリガー104はドリルジャンボ100の本体部からアウトリガーアクチュエータ114により伸長して本体部を坑内地面から浮かせドリルジャンボ100自体の位置を固定する。アウトリガーアクチュエータ114は油圧シリンダやモータなど従来公知の様々なアクチュエータによって構成されている。なおアウトリガーアクチュエータ114は複数のアクチュエータを備えているが、ここでは図示を簡略化するため、1つのアクチュエータとして記載している。
【0029】
駆動/制動系105は、ドリルジャンボ100の本体部を自走させるための操舵輪および駆動輪を備える。操舵輪は本体部の前部で車幅方向の両側に設けられ、操舵されることで進行方向を変更させる。駆動輪は、本体部の後部で車幅方向の両側に設けられ、回転駆動することでドリルジャンボ100を前進、後退させる。また、駆動/制動系105は、図示しない動力源、操舵アクチュエータ、ブレーキおよびブレーキアクチュエータを搭載している。
【0030】
動力源は駆動輪に回転駆動力を与えるものであり、エンジン(内燃機関)あるいはモータ(電動機)である。操舵アクチュエータは、操舵輪の操舵角を変更させる。ブレーキは操舵輪および駆動輪の制動を行なう。ブレーキアクチュエータは、ブレーキの駆動を行なう。なお、本実施形態では、操舵輪と駆動輪によって走行する場合について説明したが、本体部がクローラによって走行するものであってもよい。
【0031】
ロックボルト打設装置106は、グラウド充填機構(不図示)と、挿入機構(不図示)とを含んで構成されている。グラウド充填機構は、削孔機102によって削孔されたロックボルト挿通孔にモルタルやセメントミルクなどのグラウドを充填する。グラウド充填機構は、ロックボルト挿通孔に挿入されるグラウト注入管、グラウト注入管を往復直線移動させる注入管移動部、グラウト注入管にグラウトを圧送するポンプなどを含んで構成されている。挿入機構は、複数本のロックボルトを収容保持する収容保持機構、収容保持機構に収容保持された複数本のロックボルトのうちの1本のロックボルトを抜き出す抜き出し機構、抜き出し機構により抜き出されたロックボルトに定着部材を装着する定着部材装着機構、定着部材が装着されたロックボルトをロックボルト挿通孔に打設する打設機構などを含んで構成されている。このようなロックボルト打設装置106は、従来公知の様々なドリルジャンボに使用されるロックボルト打設装置が使用可能である。また、ロックボルト打設装置106によってトンネル10の周壁面11にロックボルトが打設されることにより周壁面11の安定化が図られる。
【0032】
撮像部107は、ドリルジャンボ100の本体部上部に取り付けられており、トンネル10の切羽12を撮像して画像情報を生成し、通信部130を通して遠隔制御装置300へ送信する。画像情報としては、トンネル10の切羽12およびその近傍の周壁面11などの画像情報が含まれている。本実施形態では、撮像部107が1台設けられているが、撮像範囲を異ならせた2台以上の撮像部28を設けるなど任意である。
【0033】
上述した多関節アクチュエータ111、削孔機アクチュエータ112、ガイドシェルアクチュエータ113、アウトリガーアクチュエータ114、駆動/制動系105、およびロックボルト打設装置106によるドリルジャンボ100の動作は、それぞれブーム制御部121、削孔制御部122、ガイドシェル制御部123、アウトリガー制御部124、走行制御部125およびロックボルト打設制御部126により制御される。これらのドリルジャンボ100の各種動作は、通信部130を通して遠隔制御装置300から受信する制御信号に従って制御され得る。
【0034】
たとえば遠隔制御装置300は、後述するトンネル掘削管理システム400から受信したドリルジャンボ100の位置情報に基づいて、ブーム101、削孔機102、ガイドシェル103、アウトリガー104、駆動/制動系105、およびロックボルト打設装置106の動作制御を行う。すなわち、遠隔制御装置300は、ドリルジャンボ100の位置情報に基づいてドリルジャンボ100を削孔作業を行う所定位置へ移動させ、所定位置に到達すると、ブーム等を動作させて所定パターンの削孔作業を実行させることができる。
【0035】
なお、通信部130と遠隔制御装置300との通信は、信号ケーブルを用いた有線回線であってもよい。ただし無線回線を用いる方がケーブル敷設作業が不要となり、またケーブルが坑内で作業の妨げになる事態を避けることができるので望ましい。
【0036】
ブーム制御部121は、多関節アクチュエータ111を制御することでブーム101の伸縮、水平方向への旋回、上下方向への起伏の動作を制御する。
【0037】
削孔制御部122は、削孔機アクチュエータ112を制御することにより、削孔ロッドの回転、ドリフタによる打撃、フィーダによる前後動の制御を行なう。
【0038】
ガイドシェル制御部123は、ガイドシェルアクチュエータ113を制御することで、ガイドシェル103の回転、水平方向への旋回、上下方向への起伏、前後方向へのスライドの動作を制御する。
【0039】
アウトリガー制御部124は、アウトリガーアクチュエータ114を制御することで、アウトリガー104の伸縮を制御する。
【0040】
走行制御部125は、ドリルジャンボ100の走行を制御する。具体的には、動力源のオン/オフ制御、動力伝達の調整、回転数制御、操舵量制御、制動制御等を行なう。
【0041】
ロックボルト打設制御部126は、前述したグラウド充填機構と挿入機構の制御を行なう。ロックボルト打設制御部126は、具体的には、注入管移動部によるグラウト注入管の往復直線移動、ポンプによるグラウト注入管へのグラウトの圧送の制御を行なう。また、抜き出し機構によるロックボルトの抜き出し、定着部材装着機構によるロックボルトへの定着部材の装着、打設機構による定着部材が装着されたロックボルトのロックボルト挿通孔への打設の制御を行なう。
【0042】
なお、上述したブーム制御部121、削孔制御部122、ガイドシェル制御部123、アウトリガー制御部124、走行制御部125およびロックボルト打設制御部126は、少なくとも1つのプロセッサ131上でそれぞれの機能を実現するプログラムを起動することで実現することもできる。
【0043】
3.遠隔制御装置
図3に例示するように、遠隔制御装置300は、通信部301および302と、制御部303と、操作部304と、表示部305と、プログラム記憶部306とを含んで構成されている。遠隔制御装置300は、トンネル10の掘削作業が行われている現場から離れた箇所、例えば、切羽12から離間したトンネル10の坑内の箇所、あるいは、トンネル10の坑外の箇所に設置されている。
【0044】
通信部301は上述したドリルジャンボ100と無線通信を可能にし、ドリルジャンボ100を制御する制御信号を送信し、ドリルジャンボ100の姿勢および動作状態を示す状態信号および切羽12等の撮像情報を受信することができる。通信部302は、後述するトンネル掘削管理システム400との通信を可能とし、トンネル掘削管理システム400からドリルジャンボ100の位置情報を受信することができる。通信部302はトンネル掘削管理システム400との通信を可能にするものであればよく、有線あるいは無線インタフェースを採用できる。制御部303は遠隔制御装置300の全体的動作を制御する。
【0045】
操作部304はドリルジャンボ100の遠隔操作を行なう操作員による操作を入力して操作信号を生成し、操作信号が通信部301を通してドリルジャンボ100へ送信されることで、ドリルジャンボ100の動作を制御できる。またルーティン化された操作は、たとえばプログラム記憶部306にプログラムとして記憶され、要求に応じて制御部303が読み出し、操作信号としてドリルジャンボ100へ送信されてもよい。
【0046】
本実施形態では、操作部304は、走行用操作部と、ブーム用操作部と、ガイドシェル用操作部と、削孔用操作部と、ロックボルト用操作部とを備えている。これらの各操作部は、操作員が操作するジョイスティック、操作レバー、操作スイッチなどの被操作部材を含んで構成され、各操作部の構成は従来公知の様々な遠隔操作装置で使用されているものを用いることができる。
【0047】
具体的には、走行用操作部は、ドリルジャンボ100の発進、停止、前進、後進、左右への旋回、走行速度などの走行に関する操作信号を生成する。ブーム用操作部は、ブーム101の伸縮、水平方向への旋回、上下方向への起伏に関する操作信号を生成する。ガイドシェル用操作部はガイドシェル103の回転、水平方向への旋回、上下方向への起伏、前後方向へのスライドの操作関する操作信号を生成する。削孔用操作部は、削孔機102の削孔ロッドの回転、ドリフタによる打撃、フィーダによる前後方向へのスライドの操作に関する操作信号を生成する。ロックボルト用操作部は、注入管移動部によるグラウト注入管の往復直線移動、ポンプによるグラウト注入管へのグラウトの圧送、抜き出し機構によるロックボルトの抜き出し、定着部材装着機構によるロックボルトへの定着部材の装着、打設機構による定着部材が装着されたロックボルトのロックボルト挿通孔への打設の操作に関する操作信号を生成する。
【0048】
表示部305は、トンネル掘削管理システム400から受信したトンネル10内あるいは切羽12の映像を表示する。遠隔制御装置300を操作する操作員は、表示部305に表示されるトンネル10の坑内の状況を示す映像を確認しつつ操作部304を操作してドリルジャンボ100を走行させ、必要な作業を遂行させる。
【0049】
また、表示部305に表示される映像によって示される切羽12および削孔パターンを視認しつつ、ブーム用操作部、ガイドシェル用操作部、削孔用操作部を制御して装薬孔の削孔が行われる。また、切羽12近傍のコンクリートの吹付けがなされた周壁面11を視認しつつ、ブーム用操作部、ガイドシェル用操作部、削孔用操作部を制御してロックボルト挿通孔の削孔が行われ、また、ロックボルト用操作部を操作してロックボルトの打設が行われる。
【0050】
なお、ドリルジャンボ100に、撮像部107の撮影方向を遠隔操作するための雲台装置と、雲台装置の動作制御を行なう雲台制御部とを設け、遠隔制御装置300に雲台装置を遠隔操作するための雲台操作部を設けてもよい。
【0051】
4.トンネル掘削管理システム
図4に例示するように、トンネル掘削管理システム400は各種データを入力するための入力部401を有する。ここでは入力部401はトンネル内に設けられた3Dスキャナ201およびサーモグラフィカメラ202と有線あるいは無線で接続され、3Dデータを入力するものとする。また入力部401はシステムのキーボード、ポインティングデバイス等の入力装置に接続され、本実施形態では穿孔パターンデータを入力することができる。
【0052】
トンネル掘削管理システム400は、システム全体の動作を制御する制御部402を有し、制御部402が入力部401、トンネル形状抽出部(切羽形状抽出部403およびトンネル側面形状抽出部404)、ドリルジャンボ位置検出部405、データ蓄積部406、出力部407、および通信部408に接続されている。
【0053】
トンネル形状抽出部を構成する切羽形状抽出部403およびトンネル側面形状抽出部404は、3Dスキャナ201により取得された3Dデータからそれぞれ切羽形状およびトンネル側面形状を抽出し、それらをトンネル形状データとしてデータ蓄積部406に時系列に蓄積する。
【0054】
ドリルジャンボ位置検出部405は、3Dスキャナ201により取得された3Dデータからドリルジャンボ100のトンネル10内での位置を検出し、ドリルジャンボ位置データとしてトンネル形状データと共にデータ蓄積部406に時系列に蓄積する。ドリルジャンボ100の位置検出は、たとえばドリルジャンボ100に所定の反射板を設置して3Dデータから3Dスキャナ201との距離を測定し、ドリルジャンボ100の位置を検出することもできる。またAI解析によりトンネル10の内壁を示す3Dデータからドリルジャンボ100の部分を識別し、ドリルジャンボ100の位置を検出することも可能である。データ蓄積部406の蓄積データはたとえばAI解析での機械学習モデルの構築に利用され得る。
【0055】
出力部407はコンピュータのモニタ等の表示部である。たとえば切羽形状抽出部403で抽出された切羽形状を削孔パターンと共に表示可能であり、また必要に応じてサーモグラフィカメラ202からのサーモグラフィ画像を表示することもできる。
【0056】
通信部408は遠隔制御装置300との通信を可能とし、上述したドリルジャンボ位置情報および、必要に応じてサーモグラフィ画像を遠隔制御装置300へ送信する。
【0057】
なお、制御部102、切羽形状抽出部103、トンネル側面形状抽出部104およびドリルジャンボ位置検出部405の機能は、図示しないメモリに格納されたプログラムをプロセッサ上で実行することにより実現することができる。
【0058】
5.削孔パターン
切羽12に削孔される装薬孔の位置やロックボルト捜通孔の位置を指示する方法はいくつか提案されている。たとえばレーザ光によって切羽12上に照射表示させる方法、切羽面に装薬孔位置を示す画像を投影する方法(たとえば特開2018-150720号公報など)がある。しかしながら、このような方法ではレーザ光照射手段やプロジェクタ等の投影手段を別個に設ける必要がある。
【0059】
これに対して本実施形態によれば、ドリルジャンボ100の位置をアウトリガー104によって固定することで、3Dスキャナ201を用いてドリルジャンボ100の位置を正確に検出することができ、その検出された位置を基準としてドリルジャンボ100のブーム101やガイドシェル103を動作させることで、削孔パターンに従って所定の装薬孔あるいはロックボルト削孔を形成することができる。
【0060】
図5に例示するように、遠隔制御装置300の表示部305に表示された切羽12の画像および削孔パターンに基づいて、制御部303がプログラムに従ってドリルジャンボ100のブーム101、削孔機102およびガイドシェル103を制御し、削孔パターンに従った所定の削孔13aを切羽12に形成する。削孔パターンは、削孔する地山の岩種、岩質、強度、削孔数、発破段数、装薬量などを考慮して予め作図されてもよいし、それらのデータを用いてAI解析により決定しても良い。削孔パターンは、トンネル10の掘削の進行に伴って更新される。ロックボルト挿通孔の削孔パターンについても同様である。
【0061】
あるいはレーザ光により削孔パターンを投影し、マーキング装置あるいは作業員が削孔パターンの作図に基づいてスプレー塗料を用いて切羽12に直接マーキングを行い、表示部305に表示された切羽12の画像およびマーキングに基づいて、制御部303がドリルジャンボ100を上述したように制御し、削孔パターンに従った所定の削孔13aを切羽12に形成してもよい。
【0062】
6.トンネル掘削作業
以下、図6を参照しながら、本実施形態における遠隔制御システムを用いた作業工程について説明する。
【0063】
図6において、トンネル掘削管理システム400の切羽形状抽出部403、トンネル側面形状抽出部404およびドリルジャンボ位置検出部405は、3Dスキャナ201により取得された3Dデータからトンネル形状を抽出し、ドリルジャンボ100の位置を計測し、撮像部107から切羽の映像を取得する(ステップ501)。続いて、上述したように削孔パターンおよび炸薬量を決定し、遠隔制御装置300の表示部305に切羽12および削孔パターンを表示する(ステップ502)。
【0064】
遠隔制御装置300は、ドリルジャンボ100を現在の位置から削孔作業を実行する位置へ移動させ、アウトリガー104により位置を固定する(ステップ503)。本実施形態ではトンネル10内の形状とドリルジャンボ100の位置とが計測されているので、遠隔制御装置300の制御部303が通信部301を通してドリルジャンボ100の駆動/制動系105を制御し、ドリルジャンボ100をトンネル10の坑内で切羽12の手前の作業位置に自動で移動させることができる。あるいは操作員が表示部305に表示されるトンネル10の坑内の状況を視認しつつ、操作部304の走行用操作部を操作してドリルジャンボ100を所定の作業位置に移動させてもよい。
【0065】
こうしてドリルジャンボ100が所定の作業位置でアウトリガー104により固定されると、遠隔制御装置300は、切羽12とジャンボドリル100との位置関係を基礎として、削孔パターンに従ってブーム101およびガイドシェル103を動作させ、削孔機102により切羽12に装薬孔の削孔を行なう(ステップ504)。なお、アウトリガー104により位置固定された状態のドリルジャンボ100の位置情報を用いることで、より正確な削孔作業を行うことができる。
【0066】
切羽12に削孔パターンで装薬孔13aの削孔が終了すると、作業員は遠隔制御装置300の表示部305に表示されるトンネル10の坑内の状況を視認しつつ、坑内作業員により、あるいは遠隔制御により装薬孔に雷管を取り付けた爆薬を装薬孔13aに挿入し、続いて走行用操作部を操作してドリルジャンボ100をトンネル10の坑内で切羽12から十分に離れた退避位置に移動させる(ステップ505)。
【0067】
坑内の作業員も含めて退避が完了すると、雷管により起爆することで発破を実行し切羽12を掘削する(ステップ506)。
【0068】
発破作業終了後、現場作業員によりバックホウや削岩機を用いた掘削、ずり出し作業が行われる(ステップ507)。具体的には、切羽12がほぼ平坦に、トンネル10の切羽12近傍の周壁面11が所定の円筒面形状に、さらにトンネル10の床面がほぼ平坦に、それぞれ掘削され、また、発破作業および掘削作業によって発生した掘削ずりはホイールローダやダンプトラックなどの重機により、あるいは、ベルトコンベアなどの搬送装置によりトンネル10の坑外に搬出される。
【0069】
掘削ずりの搬出後、現場作業員により支保工が設置され(ステップ508)、切羽12近傍のトンネル周壁面11およびトンネル床面に対してコンクリート吹き付け機によりコンクリートの吹付けがなされる(ステップ509)。
【0070】
続いて、ロックボルト挿通孔の削孔パターンを決定すると(ステップ510)、遠隔制御装置300はドリルジャンボ100を作業位置まで移動させ、アウトリガー104により固定する(ステップ511)。本実施形態ではトンネル10内の形状とドリルジャンボ100の位置とが計測されているので、上述したように、遠隔制御装置300がドリルジャンボ100の駆動/制動系105を制御し、ドリルジャンボ100を切羽12の手前のロックボルト削孔作業位置に自動で移動させることができる。あるいは操作員が表示部305に表示されるトンネル10の坑内の状況を視認しつつ、操作部304の走行用操作部を操作してドリルジャンボ100を所定の作業位置に移動させてもよい。
【0071】
ドリルジャンボ100が作業位置まで移動してアウトリガー104により固定されると、遠隔制御装置300は、切羽12とジャンボドリル100との位置関係を基礎として、ロックボルト捜通孔の削孔パターンに従ってブーム101およびガイドシェル103を動作させ、削孔機102によりロックボルト捜通孔の削孔を行なう(ステップ512)。その際、必要に応じて遠隔制御装置300がドリルジャンボ100を移動させロックボルト挿通孔の削孔を行なってもよい。
【0072】
ロックボルト挿通孔の削孔が終了すると、遠隔制御装置300は削孔パターンに従ってブーム101およびガイドシェル103を動作させ、ロックボルトの打設を行なう(513)。なお、操作員が表示部305に表示されるトンネル10の周壁面11の状況を視認しつつ、ロックボルト用操作部を操作してロックボルトの打設を行なうこともできる。詳細には、注入管移動部によるグラウト注入管の往復直線移動、ポンプによるグラウト注入管へのグラウトの圧送、抜き出し機構によるロックボルトの抜き出し、定着部材装着機構によるロックボルトへの定着部材の装着、打設機構による定着部材が装着されたロックボルトのロックボルト挿通孔への打設といった一連の操作がなされる。その際、必要に応じて遠隔制御装置300がドリルジャンボ100を移動させロックボルトの打設を行なってもよい。
【0073】
ロックボルト挿通孔に対するロックボルトの打設が終了すると、同様の作業を繰り返して行ない、これによりトンネル10の掘削作業がなされる。また、トンネル10が所定の長さ分掘削される毎に、ロックボルトが打設された周壁面11を防水シートで覆ったのち、周壁面11に対向してセントル(型枠)を設置し、周壁面11とセントルとの間にコンクリートを打設することで覆工作業が行われる。このようなトンネルの掘削作業と覆工作業が繰り返してなされることでトンネル10が施工されていく。
【0074】
以上説明したように、本実施形態による遠隔制御システムによれば、3Dスキャナ201を用いてドリルジャンボ100の位置を正確に検出することができ、アウトリガー104によって固定されたドリルジャンボ100の位置を基準としてブーム101、ガイドシェル103および削孔機102を動作させることで、削孔パターンに従って所定の装薬孔あるいはロックボルト削孔を正確に形成することができる。このように山岳地のトンネル工事において、ドリルジャンボを所望位置に固定し、その固定位置を基準として削孔機を予め決められた位置に移動させることができる。
【符号の説明】
【0075】
10 トンネル
11 トンネル内壁
12 切羽
13 装薬孔
100 ドリルジャンボ(切羽穿孔機)
101 ブーム
102 削孔機
103 ガイドシェル
104 アウトリガー
105 駆動/制動系
106 ロックボルト打設装置
107 撮像部
200 台車
201 3Dスキャナ
202 サーモグラフィカメラ
300 遠隔制御装置
301、302 通信部
303 制御部
304 操作部
305 表示部
400 トンネル掘削管理システム
401 入力部
402 制御部
403 切羽形状抽出部(トンネル形状抽出部)
404 トンネル側面形状抽出部(トンネル形状抽出部)
405 ドリルジャンボ位置検出部
406 データ蓄積部
407 出力部
408 通信部
図1
図2
図3
図4
図5
図6