IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 住友電装株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-コネクタ 図1
  • 特開-コネクタ 図2
  • 特開-コネクタ 図3
  • 特開-コネクタ 図4
  • 特開-コネクタ 図5
  • 特開-コネクタ 図6
  • 特開-コネクタ 図7
  • 特開-コネクタ 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087377
(43)【公開日】2024-07-01
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/652 20060101AFI20240624BHJP
   H01R 13/52 20060101ALI20240624BHJP
【FI】
H01R13/652
H01R13/52 301E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022202175
(22)【出願日】2022-12-19
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】大澤 清司
【テーマコード(参考)】
5E021
5E087
【Fターム(参考)】
5E021FA03
5E021FA11
5E021FB07
5E021FC21
5E021FC29
5E021HC19
5E021LA09
5E021LA21
5E087EE07
5E087FF16
5E087GG13
5E087LL03
5E087LL12
5E087MM05
5E087RR12
5E087RR29
(57)【要約】
【課題】構成の簡略化を可能としたコネクタを提供すること。
【解決手段】コネクタ11は、芯線と絶縁被覆12bとを有する複数の電線12に固定される。コネクタ11は、芯線に接続される端子21と、芯線及び端子21を覆う樹脂ハウジング22と、樹脂ハウジング22を覆うとともに、金属ケースに固定される金属シェル23と、絶縁被覆12bを覆う一括シールド部材29が接続されるとともに金属シェル23に接続される金属ブラケット26とを備える。金属シェル23は、雌ねじ部23gを有し、金属ブラケット26は、締結孔26eを有する。コネクタ11は、締結孔26eを貫通して雌ねじ部23gに螺合されることで金属ブラケット26を金属シェル23に固定する締結ねじ30を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯線と絶縁被覆とを有する複数の電線に固定されるコネクタであって、
前記芯線に接続される端子と、
前記芯線及び前記端子を覆う樹脂ハウジングと、
前記樹脂ハウジングを覆うとともに、外部アース部材に固定される金属シェルと、
前記絶縁被覆を覆うシールド部材が接続されるとともに前記金属シェルに接続される金属ブラケットと、
を備え、
前記金属シェルは、雌ねじ部を有し、
前記金属ブラケットは、締結孔を有し、
前記締結孔を貫通して前記雌ねじ部に螺合されることで前記金属ブラケットを前記金属シェルに固定する締結ねじを備える、
コネクタ。
【請求項2】
前記シールド部材は、複数の前記絶縁被覆をまとめて覆う筒状の一括シールド部材であって、
前記金属ブラケットは、前記一括シールド部材の全周が接続される筒部と、前記筒部の周方向の一部から延びて前記締結孔が設けられる締結部とを有する、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記金属ブラケットは、前記筒部の周方向において前記締結部と反対側に周方向に係合可能な周方向係合部を有し、
前記金属シェルは、前記周方向係合部と係合する周方向被係合部を有する、
請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記金属ブラケットは、前記筒部から軸方向に沿って延びる延設部を有し、
前記周方向係合部は、前記延設部の先端から前記筒部の軸方向に沿って延びるスリットであり、
前記周方向被係合部は、前記金属シェルから突出するとともに前記筒部の軸方向に沿って延びて前記スリットに嵌まるリブである、
請求項3に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記金属シェルは、前記延設部の先端と突き当たる位置決め壁を有する、
請求項4に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記絶縁被覆に沿った液体の浸入を阻止するゴム栓と、
前記金属シェルに係止され、前記ゴム栓の脱落を阻止するリテーナと、
を備え、
前記リテーナは、前記金属シェルから外部に突出するとともに前記絶縁被覆の外周に接触する接触筒部を有し、
前記筒部は、前記接触筒部を覆うように配置されている、
請求項2に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の電線の端部に固定されるコネクタとしては、電線の芯線に接続される端子と、端子を区画して覆う樹脂ハウジングと、樹脂ハウジングを覆う電磁シールド機能を有した金属シェルとを備えたものがある(例えば、特許文献1(図21等)参照)。また、このコネクタは、絶縁被覆を覆う編組部材が接続されるとともに金属シェルに接続される金属ブラケットを備える。そして、金属シェルは、外部アース部材である金属ケース等に固定される。このコネクタでは、編組部材は、金属ブラケット、及び金属シェルを介して外部アース部材に電気的に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開(WO)2012/124801号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記したようなコネクタでは、金属シェルと金属ブラケットとは、それらを貫通するボルトと、樹脂ハウジングに保持されたナットとによって締結されていた。よって、部品点数が多くなるとともに、ナットを樹脂ハウジングに保持させるための構造が複雑であった。
【0005】
本開示の目的は、構成の簡略化を可能としたコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のコネクタは、芯線と絶縁被覆とを有する複数の電線に固定されるコネクタであって、前記芯線に接続される端子と、前記芯線及び前記端子を覆う樹脂ハウジングと、前記樹脂ハウジングを覆うとともに、外部アース部材に固定される金属シェルと、前記絶縁被覆を覆うシールド部材が接続されるとともに前記金属シェルに接続される金属ブラケットと、を備え、前記金属シェルは、雌ねじ部を有し、前記金属ブラケットは、締結孔を有し、前記締結孔を貫通して前記雌ねじ部に螺合されることで前記金属ブラケットを前記金属シェルに固定する締結ねじを備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示のコネクタによれば、構成の簡略化できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、一実施形態におけるコネクタと相手側コネクタの斜視図である。
図2図2は、一実施形態におけるコネクタの分解斜視図である。
図3図3は、一実施形態におけるコネクタの分解斜視図である。
図4図4は、一実施形態におけるコネクタの側面図である。
図5図5は、図4における5-5線に沿った断面図である。
図6図6は、図5における6-6線に沿った断面図である。
図7図7は、一実施形態におけるコネクタの一部分解正面図である。
図8図8は、一実施形態におけるコネクタの一部正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示のコネクタは、
[1]芯線と絶縁被覆とを有する複数の電線に固定されるコネクタであって、前記芯線に接続される端子と、前記芯線及び前記端子を覆う樹脂ハウジングと、前記樹脂ハウジングを覆うとともに、外部アース部材に固定される金属シェルと、前記絶縁被覆を覆うシールド部材が接続されるとともに前記金属シェルに接続される金属ブラケットと、を備え、前記金属シェルは、雌ねじ部を有し、前記金属ブラケットは、締結孔を有し、前記締結孔を貫通して前記雌ねじ部に螺合されることで前記金属ブラケットを前記金属シェルに固定する締結ねじを備える。
【0010】
同構成によれば、金属ブラケットの締結孔を貫通して金属シェルの雌ねじ部に螺合されることで金属ブラケットを金属シェルに固定する締結ねじを備えるため、例えば、ナットとボルトで締結する構成に比べて、構成を簡略化できる。すなわち、例えば、樹脂ハウジングにナットを保持させつつ、金属ブラケットと金属シェルとをナットとボルトで締結する構成では、ナットの分だけ部品点数が多くなるとともに、ナットを保持させる構造が複雑化するが、これらを回避することができる。
【0011】
[2]上記[1]において、前記シールド部材は、複数の前記絶縁被覆をまとめて覆う筒状の一括シールド部材であって、前記金属ブラケットは、前記一括シールド部材の全周が接続される筒部と、前記筒部の周方向の一部から延びて前記締結孔が設けられる締結部とを有していてもよい。
【0012】
同構成によれば、シールド部材は、複数の絶縁被覆をまとめて覆う筒状の一括シールド部材であって、金属ブラケットは、一括シールド部材の全周が接続される筒部を有するため、一括シールド部材を金属ブラケットに良好に接続することができる。
【0013】
[3]上記[2]において、前記金属ブラケットは、前記筒部の周方向において前記締結部と反対側に周方向に係合可能な周方向係合部を有し、前記金属シェルは、前記周方向係合部と係合する周方向被係合部を有していてもよい。
【0014】
同構成によれば、金属ブラケットは、筒部の周方向において締結部と反対側に周方向に係合可能な周方向係合部を有し、金属シェルは、周方向係合部と係合する周方向被係合部を有するため、金属シェルに対するがたつきが良好に抑制される。すなわち、筒部は、周方向において互いに反対側の2箇所で金属シェルに対する周方向のがたつきが抑制されるので、金属ブラケットは金属シェルに対するがたつきが良好に抑制される。
【0015】
[4]上記[3]において、前記金属ブラケットは、前記筒部から軸方向に沿って延びる延設部を有し、前記周方向係合部は、前記延設部の先端から前記筒部の軸方向に沿って延びるスリットであり、前記周方向被係合部は、前記金属シェルから突出するとともに前記筒部の軸方向に沿って延びて前記スリットに嵌まるリブであってもよい。
【0016】
同構成によれば、周方向係合部は、延設部の先端から筒部の軸方向に沿って延びるスリットであり、周方向被係合部は、金属シェルから突出するとともに筒部の軸方向に沿って延びるリブであるため、金属シェルに対するがたつきが強固に抑制される。すなわち、スリットとリブとが筒部の軸方向に沿った長い範囲で係合するため、金属ブラケットは金属シェルに対するがたつきが強固に抑制される。
【0017】
[5]上記[4]において、前記金属シェルは、前記延設部の先端と突き当たる位置決め壁を有していてもよい。
同構成によれば、金属シェルは、延設部の先端と突き当たる位置決め壁を有するため、筒部の軸方向に沿った金属ブラケットの位置決めを良好に行うことができる。
【0018】
[6]上記[2]から上記[5]のいずれか1つにおいて、前記絶縁被覆に沿った液体の浸入を阻止するゴム栓と、前記金属シェルに係止され、前記ゴム栓の脱落を阻止するリテーナと、を備え、前記リテーナは、前記金属シェルから外部に突出するとともに前記絶縁被覆の外周に接触する接触筒部を有し、前記筒部は、前記接触筒部を覆うように配置されていてもよい。
【0019】
同構成によれば、リテーナは、金属シェルから外部に突出するとともに絶縁被覆の外周に接触する接触筒部を有するため、例えば、コネクタの外部で電線が振動したとしても、その振動がコネクタの内部の端子に伝わることが抑制される。よって、例えば、端子の擦れ等が抑制される。そして、筒部は、接触筒部を覆うように配置されるため、接触筒部においても良好にシールドされる。
【0020】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示のコネクタの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。各図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張又は簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率については各図面で異なる場合がある。本明細書における「平行」や「直交」や「真円」は、厳密に平行や直交や真円の場合のみでなく、本実施形態における作用効果を奏する範囲内で概ね平行や直交や真円の場合も含まれる。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0021】
[コネクタ11の構成]
図1及び図4に示すように、コネクタ11は、複数の電線12の端部に固定されるものであり、相手側コネクタ13に嵌合されるとともに、外部アース部材としての金属ケース14に固定されるものである。なお、本実施形態のコネクタ11は、2つの電線12の端部に固定されるものである。
【0022】
また、図中には、第1軸線Xと、第1軸線Xと直交する第2軸線Yと、第1軸線Xと第2軸線Yとに直交する第3軸線Zとを図示している。本実施形態では、第1軸線Xに沿った方向を幅方向とし、第2軸線Yに沿った方向を前後方向とし、第3軸線Zに沿った方向を軸方向として説明する。
【0023】
図2及び図3に示すように、コネクタ11は、端子21と、樹脂ハウジング22と、金属シェル23と、ゴム栓24と、リテーナ25と、金属ブラケット26と、かしめリング27とを備える。端子21と樹脂ハウジング22とゴム栓24とは、電線12の数に応じて2つずつ設けられている。
【0024】
(端子21の構成)
図5に示すように、電線12は、芯線12aと絶縁被覆12bとを有する。端子21は、絶縁被覆12bから露出した芯線12aの端部に接続される。
【0025】
詳しくは、芯線12aは、絶縁被覆12bから露出するとともに絶縁被覆12bの内部よりも扁平形状の扁平接続部12cを有する。すなわち、扁平接続部12cは、扁平方向である薄肉方向が絶縁被覆12bの内部における芯線12aの直径よりも小さい。複数の電線12は、扁平接続部12cの薄肉方向が複数の電線12が並設される方向である幅方向に沿うように配置される。端子21は、相手側コネクタ13の相手側端子13a(図1参照)が嵌合可能な端子嵌合部21aと、扁平接続部12cと接続される板状の端子接続部21bとを有する。なお、端子21は、金属板材が折り曲げられて形成されているが、図面では、その詳細を図示せずに模式的に図示している。端子21は、端子接続部21bが扁平接続部12cと板厚方向に重ねられて溶接によって固定されている。なお、本実施形態では、扁平接続部12cは、端子接続部21bと接触された状態で潰されることによって扁平形状に形成され、その状態で端子接続部21bと抵抗溶接されている。
【0026】
(樹脂ハウジング22の構成)
図2図3及び図5に示すように、樹脂ハウジング22は、露出した芯線12a、すなわち扁平接続部12c及び端子21を覆うように筒状に形成されている。図3に示すように、樹脂ハウジング22は、端子嵌合部21aと対応した位置に前方に開口して相手側端子13a(図1参照)が挿通可能な端子用開口22aを有する。
【0027】
また、図5に示すように、樹脂ハウジング22は、扁平接続部12cを幅方向に挟む位置で軸方向に沿った先端方向であって芯線12aの先端方向に向かうほど幅方向の間隔が徐々に小さくなる一対の縮幅壁部22bを有する。
【0028】
また、樹脂ハウジング22は、端子21を幅方向に挟む位置に一対の端子被覆壁部22cを有し、それら一対の端子被覆壁部22cの内面同士の間隔は、絶縁被覆12bの直径よりも小さく設定されている。すなわち、樹脂ハウジング22は、絶縁被覆12bの直径や扁平接続部12cの幅や端子21の幅に応じて内部の無駄な空間が小さくなるように一対の縮幅壁部22bと一対の端子被覆壁部22cとを有している。
【0029】
(金属シェル23の構成)
図5に示すように、金属シェル23は、樹脂ハウジング22を覆うように形成されている。金属シェル23は、軸方向の基端部に開口部23aを有しつつ軸方向の先端方向に延びるハウジング収容部23bを有する。ハウジング収容部23bは、樹脂ハウジング22の形状に応じて、樹脂ハウジング22をほぼ隙間無く収容可能な形状に形成されている。ハウジング収容部23bは、樹脂ハウジング22の数に応じて幅方向に2つ並設されている。また、図6に示すように、金属シェル23は、ハウジング収容部23bの先端側と連通するように前方に開口した連通孔23cを有する。
【0030】
また、図5に示すように、金属シェル23は、2つのハウジング収容部23bの間に、区画壁23dを有する。区画壁23dは、金属シェル23の軸方向の全体に形成されている。そして、図5及び図6に示すように、金属シェル23における区画壁23dには、前後方向に貫通する固定孔23eが設けられている。すなわち、固定孔23eは、複数の電線12が並設される幅方向において、複数の電線12同士の間に設けられている。言い換えると、固定孔23eは、一方の電線12が配設される幅方向の位置と、他方の電線12が配設される幅方向の位置との間の幅方向の位置に設けられている。図5に示すように、固定孔23eは、扁平接続部12c同士の間に設けられている。言い換えると、固定孔23eは、扁平接続部12cが配設される軸方向の位置と重なる軸方向の位置に設けられている。図1及び図6に示すように、金属シェル23は、固定孔23eを貫通して金属ケース14の雌ねじ14aに螺合されるボルト28によって、金属ケース14に固定可能とされている。
【0031】
(ゴム栓24の構成)
図5に示すように、ゴム栓24は、絶縁被覆12bに沿ったコネクタ11内への液体の浸入を阻止するように形成されている。詳しくは、ゴム栓24は、絶縁被覆12bと金属シェル23の開口部23aとの間に介在される筒状に形成されている。ゴム栓24は、絶縁被覆12bと金属シェル23の開口部23aとに密着することで、コネクタ11内への液体の浸入を阻止する。
【0032】
(リテーナ25の構成)
図2図3及び図5に示すように、リテーナ25は、金属シェル23に係止され、ゴム栓24の脱落を阻止するように構成されている。詳しくは、リテーナ25は、樹脂製である。リテーナ25は、金属シェル23から外部に突出するとともに絶縁被覆12bの外周に接触する2つの接触筒部25aを有する。
【0033】
また、図2及び図3に示すように、リテーナ25は、2つの接触筒部25aの軸方向の端部同士を連結しつつ外側に延びるフランジ部25bと、フランジ部25bから屈曲して延びる係止片25cとを有する。係止片25cは、4つ設けられている。係止片25cは、接触筒部25aの前後方向の位置にそれぞれ設けられている。係止片25cは、金属シェル23の外面に設けられた係止突起23fと係合することでリテーナ25を金属シェル23に係止させる。そして、フランジ部25bが開口部23aを塞ぐように配置されることで、リテーナ25はゴム栓24の開口部23aからの脱落を阻止する。なお、本実施形態のリテーナ25は、絶縁被覆12bを前後方向から挟み込むように、前後方向に沿って組み付けられた2部品から構成されている。
【0034】
(金属ブラケット26の構成)
図6に示すように、金属ブラケット26は、絶縁被覆12bを覆うシールド部材としての一括シールド部材29が接続されるとともに金属シェル23に接続される。詳しくは、本実施形態のシールド部材は、複数の絶縁被覆12bをまとめて覆う筒状の一括シールド部材29である。また、本実施形態の一括シールド部材29は、銅合金やアルミニウム合金などの導電性の素線が筒状に編み込まれた編組部材である。
【0035】
金属ブラケット26は、一括シールド部材29の全周が接続される筒部26aと、筒部26aの周方向の一部から延びる締結部26bとを有する。図2に示すように、筒部26aは、リテーナ25の2つの接触筒部25aを覆うことが可能な形状に形成されている。詳しくは、筒部26aは、一対の平行部26cと、一対の平行部26c同士を半円弧形状で繋ぐ一対の円弧部26dとを有する。そして、筒部26aの外周面に一括シールド部材29が配置された状態で、外側からかしめリング27がかしめ固定されることで、一括シールド部材29が筒部26aに接続されている。
【0036】
締結部26bは、一方の平行部26cの端部から後方に延びるとともに屈曲して軸方向に延びている。そして、締結部26bには、締結孔26eが設けられている。また、金属シェル23は、雌ねじ部23gを有する。雌ねじ部23gは、金属シェル23の後方の外面に設けられている。そして、図6に示すように、金属ブラケット26は、締結孔26eを貫通して雌ねじ部23gに螺合される締結ねじ30によって、金属シェル23に固定されている。
【0037】
また、図3図7及び図8に示すように、金属ブラケット26は、筒部26aの周方向において締結部26bと反対側に周方向に係合可能な周方向係合部としてのスリット26fを有する。金属シェル23は、スリット26fと係合する周方向被係合部としてのリブ23hを有する。詳しくは、金属ブラケット26は、筒部26aから軸方向に沿って延びる延設部26gを有する。そして、スリット26fは、延設部26gの先端における幅方向の中央から筒部26aの軸方向に沿って延びている。また、リブ23hは、金属シェル23から突出するとともに筒部26aの軸方向に沿って延びてスリット26fに嵌まるように形成されている。
【0038】
また、図7及び図8に示すように、金属シェル23は、金属ブラケット26の延設部26gの先端と突き当たる位置決め壁23jを有する。位置決め壁23jは、リブ23hと繋がりつつリブ23hから幅方向の両方に延びて設けられている。位置決め壁23jは、リブ23hがスリット26fに嵌まった状態で、延設部26gにおける軸方向の先端と突き当たるように設定されている。
【0039】
次に、上記のように構成されたコネクタ11の作用について説明する。
一括シールド部材29は、金属ブラケット26、金属シェル23、ボルト28を介して金属ケース14に電気的に接続されて、アース接続される。よって、一括シールド部材29、金属ブラケット26及び金属シェル23に覆われる電線12及び端子21からの電磁ノイズの放射が良好に抑制される。また、金属シェル23の開口部23aは、ゴム栓24によって埋められる。よって、コネクタ11内への絶縁被覆12bに沿った液体の浸入は阻止される。
【0040】
次に、上記実施形態の効果を以下に記載する。
(1)金属ブラケット26の締結孔26eを貫通して金属シェル23の雌ねじ部23gに螺合されることで金属ブラケット26を金属シェル23に固定する締結ねじ30を備えるため、例えば、ナットとボルトで締結する構成に比べて、構成を簡略化できる。すなわち、例えば、樹脂ハウジングにナットを保持させつつ、金属ブラケットと金属シェルとをナットとボルトで締結する構成では、ナットの分だけ部品点数が多くなるとともに、ナットを保持させる構造が複雑化するが、これらを回避することができる。
【0041】
(2)絶縁被覆12bを覆うシールド部材は、複数の絶縁被覆12bをまとめて覆う筒状の一括シールド部材29であって、金属ブラケット26は、一括シールド部材29の全周が接続される筒部26aを有する。よって、一括シールド部材29を金属ブラケット26に良好に接続することができる。
【0042】
(3)金属ブラケット26は、筒部26aの周方向において締結部26bと反対側に周方向に係合可能な周方向係合部としてのスリット26fを有し、金属シェル23は、スリット26fと係合する周方向被係合部としてのリブ23hを有する。よって、金属ブラケット26は、金属シェル23に対するがたつきが良好に抑制される。すなわち、筒部26aは、周方向において互いに反対側の2箇所で金属シェル23に対する周方向のがたつきが抑制されるので、金属ブラケット26は金属シェル23に対するがたつきが良好に抑制される。
【0043】
(4)周方向係合部は、延設部26gの先端から筒部26aの軸方向に沿って延びるスリット26fであり、周方向被係合部は、金属シェル23から突出するとともに筒部26aの軸方向に沿って延びるリブ23hである。よって、金属ブラケット26は、金属シェル23に対するがたつきが強固に抑制される。すなわち、スリット26fとリブ23hとが筒部26aの軸方向に沿った長い範囲で係合するため、金属ブラケット26は金属シェル23に対するがたつきが強固に抑制される。
【0044】
(5)金属シェル23は、延設部26gの先端と突き当たる位置決め壁23jを有するため、筒部26aの軸方向に沿った金属ブラケット26の位置決めを良好に行うことができる。
【0045】
(6)ゴム栓24の脱落を阻止するリテーナ25は、金属シェル23から外部に突出するとともに絶縁被覆12bの外周に接触する接触筒部25aを有する。よって、例えば、コネクタ11の外部で電線12が振動したとしても、その振動がコネクタ11の内部の端子21に伝わることが抑制される。よって、例えば、端子21の擦れ等が抑制される。そして、金属ブラケット26の筒部26aは、接触筒部25aを覆うように配置されるため、接触筒部25aにおいても良好にシールドされる。
【0046】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記実施形態では、金属ブラケット26は、一括シールド部材29の全周が接続される筒部26aを有するとしたが、これに限定されず、例えば、筒部26aを有さずに一括シールド部材29が接続される金属ブラケットに変更してもよい。
【0047】
・上記実施形態では、絶縁被覆12bを覆うシールド部材は、複数の絶縁被覆12bをまとめて覆う筒状の一括シールド部材29であるとしたが、これに限定されず、絶縁被覆12bをそれぞれ覆うシールド部材に変更してもよい。なお、この場合、金属ブラケット26の形状を変更する等、金属ブラケット26とシールド部材との接続構造を変更する必要がある。
【0048】
・上記実施形態では、金属ブラケット26は、筒部26aの周方向において締結部26bと反対側に周方向に係合可能な周方向係合部としてのスリット26fを有するとしたが、これに限定されず、例えば、スリット26f以外の周方向係合部に変更してもよい。
【0049】
また、例えば、金属ブラケット26は、筒部26aの周方向において締結部26bと反対側以外の部位に周方向に係合可能な周方向係合部を有していてもよい。また、例えば、金属ブラケット26は、筒部26aの周方向において複数箇所に周方向に係合可能な周方向係合部を有していてもよい。
【0050】
また、例えば、金属ブラケット26は周方向係合部を有していなくてもよい。なお、これらの場合、周方向係合部に応じて金属シェル23における周方向被係合部であるリブ23hを変更してもよい。
【0051】
・上記実施形態では、金属シェル23は、延設部26gの先端と突き当たる位置決め壁23jを有するとしたが、これに限定されず、例えば、位置決め壁23jを有していなくてもよい。
【0052】
・上記実施形態では、金属ブラケット26の筒部26aは、リテーナ25の接触筒部25aを覆うように配置されるとしたが、これに限定されず、例えば、接触筒部25aを覆わないように配置してもよい。
【0053】
・上記実施形態では、ゴム栓24の脱落を阻止するリテーナ25は、金属シェル23から外部に突出するとともに絶縁被覆12bの外周に接触する接触筒部25aを有するとしたが、これに限定されず、例えば、接触筒部25aを有していなくてもよい。例えば、リテーナ25は、金属シェル23に収容されるものとしてもよい。
【0054】
・上記実施形態では、ゴム栓24は、絶縁被覆12bと金属シェル23との間に介在されるとしたが、これに限定されず、例えば、絶縁被覆と樹脂ハウジングとの間に介在されるものとしてもよい。
【0055】
・上記実施形態では、固定孔23eは、幅方向において、複数の電線12同士の間に設けられるとしたが、これに限定されず、他の位置に設けられていてもよい。例えば、固定孔23eは、金属シェル23の軸方向や幅方向の外側に突出した固定部に設けられていてもよい。
【0056】
・上記実施形態では、芯線12aは、扁平接続部12cを有し、扁平接続部12cの薄肉方向がコネクタ11の幅方向に沿うように配置されるとしたが、これに限定されず、他の構成に変更してもよい。例えば、芯線12aが扁平接続部12cを有していなくてもよい。
【0057】
・上記実施形態では、固定孔23eは、扁平接続部12c同士の間に設けられるとしたが、これに限定されず、扁平接続部12c同士の間から軸方向にずれた位置に設けられていてもよい。例えば、固定孔23eは、扁平接続部12c同士の間から軸方向にずれた位置であって、端子21同士の間に設けられていてもよい。また、例えば、固定孔23eは、コネクタ11の幅方向の同じ位置において、軸方向にずれた位置に複数設けられていてもよい。
【0058】
・上記実施形態では、端子21は、板状の端子接続部21bを有し、扁平接続部12cと溶接によって固定されているとしたが、これに限定されず、他の構成に変更してもよい。例えば、端子21は、板状の端子接続部21bを有さずに、芯線12aに圧着等によって固定されていてもよい。
【0059】
・上記実施形態では、樹脂ハウジング22は、扁平接続部12cを挟む位置で幅方向の間隔が徐々に小さくなる一対の縮幅壁部22bを有するとしたが、これに限定されず、一対の縮幅壁部22bを有していない構成としてもよい。例えば、樹脂ハウジング22は、扁平接続部12cを挟む位置で幅方向の間隔が一定の一対の壁部を有する構成としてもよい。
【0060】
・上記実施形態では、端子21を幅方向に挟む位置に設けられる一対の端子被覆壁部22cにおける内面同士の間隔は、絶縁被覆12bの直径よりも小さいとしたが、これに限定されず、例えば、絶縁被覆12bの直径よりも大きくてもよい。すなわち、一対の端子被覆壁部22cの内面同士の間隔は、絶縁被覆12bの部位をも収容可能な大きさであってもよい。
【0061】
・上記実施形態では、コネクタ11は、2つの電線12の端部に固定されるものであるとしたが、これに限定されず、例えば、3つ以上の電線の端部に固定されるものとしてもよい。なお、この場合、端子21や樹脂ハウジング22やゴム栓24の数を、電線12の数に応じて変更する必要がある。また、この場合、固定孔23eは、複数の電線12が並設される幅方向において、隣り合う電線12同士の全ての間に設けられていてもよいし、1箇所のみに設けられていてもよい。
【0062】
・上記実施形態では、外部アース部材を金属ケース14としたが、これに限定されず、他の外部アース部材に変更してもよい。例えば、金属ケース14は、車両ボディであってもよい。
【符号の説明】
【0063】
11 コネクタ
12 電線
12a 芯線
12b 絶縁被覆
12c 扁平接続部
13 相手側コネクタ
13a 相手側端子
14 金属ケース
14a 雌ねじ
21 端子
21a 端子嵌合部
21b 端子接続部
22 樹脂ハウジング
22a 端子用開口
22b 縮幅壁部
22c 端子被覆壁部
23 金属シェル
23a 開口部
23b ハウジング収容部
23c 連通孔
23d 区画壁
23e 固定孔
23f 係止突起
23g 雌ねじ部
23h リブ
23j 位置決め壁
24 ゴム栓
25 リテーナ
25a 接触筒部
25b フランジ部
25c 係止片
26 金属ブラケット
26a 筒部
26b 締結部
26c 平行部
26d 円弧部
26e 締結孔
26f スリット
26g 延設部
27 リング
28 ボルト
29 一括シールド部材
30 締結ねじ
X 第1軸線
Y 第2軸線
Z 第3軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8