(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087378
(43)【公開日】2024-07-01
(54)【発明の名称】光源装置、投影装置、及びダイクロイックプリズム
(51)【国際特許分類】
G03B 21/14 20060101AFI20240624BHJP
G03B 21/00 20060101ALI20240624BHJP
H04N 5/74 20060101ALI20240624BHJP
【FI】
G03B21/14 A
G03B21/00 F
H04N5/74 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022202176
(22)【出願日】2022-12-19
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002022
【氏名又は名称】弁理士法人コスモ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩永 正国
【テーマコード(参考)】
2K203
5C058
【Fターム(参考)】
2K203FA04
2K203FA25
2K203FA32
2K203FA44
2K203FA45
2K203FA54
2K203FA62
2K203GA12
2K203GA34
2K203HA13
2K203HA27
2K203MA32
5C058BA35
5C058EA02
5C058EA13
(57)【要約】
【課題】異なる波長帯域光の間での混色を抑制しつつ、装置の小型化を図ることができる光源装置と、この光源装置を備える投影装置、及びダイクロイックプリズムを提供する。
【解決手段】光源装置60は、第1方向D1に入射する青色波長帯域光を第2方向D2に反射するとともに少なくとも赤色波長帯域光を透過する青色反射領域152、及び第3方向D3に入射する緑色波長帯域光を第2方向D2に反射するとともに青色波長帯域光及び赤色波長帯域光を透過する緑色反射領域154を有するダイクロイックプリズム150と、青色波長帯域光を緑色反射領域154に向けて出射する第1励起光照射装置70Aと、青色波長帯域光を青色反射領域152に向けて出射する第2励起光照射装置70Bと、青色波長帯域光が照射されて緑色波長帯域光を含む蛍光を第3方向D3に発光する固定蛍光体100と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に入射する第1波長帯域光を第2方向に反射するとともに少なくとも第2波長帯域光を透過する第1領域、及び第3方向に入射する第3波長帯域光を前記第2方向に反射するとともに前記第1波長帯域光及び前記第2波長帯域光を透過する第2領域を有する光学部材と、
前記第1波長帯域光を前記第2領域に向けて出射する第1の第1波長帯域光照射装置と、
前記第1波長帯域光を前記第1領域に向けて出射する第2の第1波長帯域光照射装置と、
前記第1波長帯域光が照射されて前記第3波長帯域光を含む蛍光を前記第3方向に発光する蛍光発光装置と、を備える、
光源装置。
【請求項2】
前記第1領域と前記第2領域とは略直交して配置されている、
請求項1に記載の光源装置。
【請求項3】
前記第2波長帯域光を前記第2方向に出射する第2波長帯域光照射装置をさらに備える、
請求項1に記載の光源装置。
【請求項4】
前記第1の第1波長帯域光照射装置と前記第2の第1波長帯域光照射装置は、前記第1の第1波長帯域光照射装置から出射される前記第1波長帯域光の光軸と前記第2の第1波長帯域光照射装置から出射される前記第1波長帯域光の光軸とが平行となるように近接して並列配置されている、請求項1に記載の光源装置。
【請求項5】
前記第1の第1波長帯域光照射装置と前記光学部材との間に設けられ、前記第1の第1波長帯域光照射装置から出射された前記第1波長帯域光を拡散する第1拡散部材と、
前記第2の第1波長帯域光照射装置と前記光学部材との間に設けられ、前記第2の第1波長帯域光照射装置から出射された前記第1波長帯域光を前記第1拡散部材よりも高い拡散率で拡散する第2拡散部材と、を備える、
請求項1に記載の光源装置。
【請求項6】
前記光学部材は、前記第1領域が前記第2領域よりも前記第2の第1波長帯域光照射装置に近接した位置に設けられている、請求項1に記載の光源装置。
【請求項7】
前記第2の第1波長帯域光照射装置は、該第2の第1波長帯域光照射装置から出射される前記第1波長帯域光の光軸が前記第1の第1波長帯域光照射装置から出射される前記第1波長帯域光の光軸に対して傾くように前記第1の第1波長帯域光照射装置と近接して配置されている、請求項6に記載の光源装置。
【請求項8】
前記第2領域を前記第1方向に透過する前記第1波長帯域光を前記第3方向に反射する反射部材を備える、請求項1に記載の光源装置。
【請求項9】
前記光学部材は、前記第1波長帯域光が入射する第1面、前記第1波長帯域光と前記第2波長帯域光と前記第3波長帯域光が出射する第2面、前記第3波長帯域光が入射する第3面、及び前記第2波長帯域光が入射する第4面を有するダイクロイックプリズムとされる、請求項1に記載の光源装置。
【請求項10】
前記光学部材は、前記第1領域が設けられた第1ミラー部材、及び前記第2領域が設けられた第2ミラー部材を有し、前記第1ミラー部材と前記第2ミラー部材は全体として略T字状をなすように設けられている、請求項1に記載の光源装置。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載の光源装置と、
画像光を生成する表示素子と、
前記表示素子から出射された前記画像光を被投影体に投影する投影光学系と、
前記光源装置と前記表示素子とを制御する制御部と、を備える、
投影装置。
【請求項12】
第1面に入射する第1波長帯域光を第2面側に反射するとともに少なくとも第2波長帯域光を透過する第1領域と、
第3面に入射する第3波長帯域光を前記第2面側に反射して前記第1面に入射する前記第1波長帯域光を前記第3面側に透過するとともに第4面に入射する前記第2波長帯域光を前記第2面側に透過する第2領域と、
前記第1波長帯域光、前記第2波長帯域光、および前記第3波長帯域光を透過する透過領域と、を有し、
前記第1領域と、前記透過領域と、を含む領域は、前記第2領域に略直交して配置されている、
ダイクロイックプリズム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源装置、投影装置、及びダイクロイックプリズムに関する。
【背景技術】
【0002】
今日、パーソナルコンピュータの画面やビデオ画面、メモリカード等に記憶されている画像データ等をスクリーンに投影する投影装置が利用されている。この投影装置は、光源から出射された光をDMD(デジタル・マイクロミラー・デバイス)と呼ばれるマイクロミラー表示素子や液晶板に集光させ、スクリーン上にカラー画像を表示させている。この種の投影装置において、入射する光を互いに異なる方向に透過する光路に時分割で変更するスイッチング回折格子等を備えるものが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、青色波長帯域光を照射する励起光照射装置と、緑色波長帯域光を励起する蛍光発光装置と、赤色波長帯域光を照射する赤色光源装置と、励起光照射装置から出射された光を時分割で二方向に切り替える光路切替手段と、2つのダイクロイックミラーと、反射ミラーとを備える光源装置が開示されている。この光源装置では、励起光照射装置から出射された青色波長帯域光は、光路切替手段に入射し、光路切替手段により第一の方向に照射される第一の光と第二の方向に照射される第二の光とに切り替えられる。
【0004】
光路切替手段により第一の方向に照射された青色波長帯域光は、一方のダイクロイックミラーにより反射されて光源装置から射出される。また、光路切替手段により第二の方向に照射された青色波長帯域光は、他方のダイクロイックミラーを透過して蛍光発光装置に入射する。青色波長帯域光により蛍光発光装置で励起された緑色波長帯域光は、他方のダイクロイックミラーで反射され、さらに反射ミラーで反射されて光源装置から出射される。また、赤色光源装置から出射された赤色波長帯域光は、他方のダイクロイックミラーを透過して反射ミラーにより反射され、光源装置から射出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の光源装置では、赤色波長帯域光及び緑色波長帯域光の光路が青色波長帯域光の光路と別光路となるため、赤色波長帯域光及び緑色波長帯域光を導光するためのレンズ部材やミラー部材等を別途配置する必要があり、装置の小型化を図ることが困難であった。そこで例えば、励起光照射装置から出射された光の偏光方向を切り替えるための波長板ホイール等の偏光方向切替機構を設けることにより、赤色波長帯域光及び緑色波長帯域光の光路を同一光路とし、装置の小型化を図ることが考えられる。しかしながら、波長板ホイール等のホイール部材を用いた場合、ホイールの回転ムラが生じることがあり、また、偏光方向切替機構の性能によっては、異なる波長帯域光の間で混色が生じることがある。
【0007】
本発明は、以上の点に鑑み、異なる波長帯域光の間での混色を抑制しつつ、装置の小型化を図ることができる光源装置と、この光源装置を備える投影装置、及びダイクロイックプリズムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の光源装置は、第1方向に入射する第1波長帯域光を第2方向に反射するとともに少なくとも第2波長帯域光を透過する第1領域、及び第3方向に入射する前記第3波長帯域光を前記第2方向に反射するとともに前記第1波長帯域光及び前記第2波長帯域光を透過する第2領域を有する光学部材と、前記第1波長帯域光を前記第2領域に向けて出射する第1の第1波長帯域光照射装置と、前記第1波長帯域光を前記第1領域に向けて出射する第2の第1波長帯域光照射装置と、前記第1波長帯域光が照射されて前記第3波長帯域光を含む蛍光を前記第3方向に発光する蛍光発光装置と、を備える。
【0009】
本発明の投影装置は、上記の光源装置と、画像光を生成する表示素子と、前記表示素子から出射された前記画像光を被投影体に投影する投影光学系と、前記光源装置と前記表示素子とを制御する制御部と、を備える。
【0010】
本発明のダイクロイックプリズムは、第1面に入射する第1波長帯域光を第2面側に反射するとともに少なくとも第2波長帯域光を透過する第1領域と、第3面に入射する前記第3波長帯域光を前記第2面側に反射して前記第1面に入射する前記第1波長帯域光を前記第3面側に透過するとともに第4面に入射する前記第2波長帯域光を前記第2面側に透過する第2反射領域と、前記第1波長帯域光、前記第2波長帯域光、および前記第3波長帯域光を透過する透過領域と、を有し、前記第1領域と、前記透過領域と、を含む領域は、前記第2領域に略直交して配置されている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、異なる波長帯域光の間での混色を抑制しつつ、装置の小型化を図ることができる光源装置と、この光源装置を備える投影装置、及びダイクロイックプリズムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1実施形態に係る投影装置の機能回路ブロックを示す図である。
【
図2】第1実施形態に係る投影装置の内部構造を示す平面模式図である。
【
図3】第1実施形態に係る光源光学系及び光の出入射を示す平面模式図である。
【
図4】第2実施形態に係る光源光学系及び光の出入射を示す平面模式図である。
【
図5】第3実施形態に係る光源光学系及び光の出入射を示す平面模式図である。
【
図6】第4実施形態に係る光源光学系及び光の出入射を示す平面模式図である。
【
図7】第5実施形態に係る光源光学系及び光の出入射を示す平面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1実施形態)
以下、
図1~3を参照して本発明の第1実施形態について説明する。
図1は、投影装置10の機能回路ブロック図である。投影装置制御部は、画像変換部23と制御部38とを含むCPU、入出力インターフェース22を含むフロントエンドユニット、表示エンコーダ24と表示駆動部26等から構成される。入出力コネクタ部21から入力された各種規格の画像信号は、入出力インターフェース22、システムバスSBを介して画像変換部23で表示に適した所定のフォーマットの画像信号に統一するように変換された後、表示エンコーダ24に出力される。
【0014】
また、表示エンコーダ24は、入力された画像信号をビデオRAM25に展開記憶した上でこのビデオRAM25の記憶内容からビデオ信号を生成して表示駆動部26に出力する。
【0015】
表示駆動部26は、表示エンコーダ24から出力された画像信号に対応して適宜のフレームレートで空間的光変調素子(SOM)であるDMD等の表示素子50を駆動する。投影装置10は、光源装置60から出射された光線束を、導光光学系170を介して表示素子50に照射することにより、表示素子50の反射光で光画像を形成し、投影光学系220(
図2参照)を介して図示しないスクリーン等の被投影体に画像を投影表示する。なお、この投影光学系220の可動レンズ群235は、レンズモータ45によりズーム調整やフォーカス調整のための駆動を行うことができる。
【0016】
また、画像圧縮/伸長部31は、画像信号の輝度信号及び色差信号をADCT及びハフマン符号化等の処理によりデータ圧縮して着脱自在な記録媒体であるメモリカード32に順次書き込む記録処理を行う。さらに、画像圧縮/伸長部31は、再生モード時にメモリカード32に記録された画像データを読み出し、一連の動画を構成する個々の画像データを1フレーム単位で伸長し、画像変換部23を介して表示エンコーダ24に出力する。よって、画像圧縮/伸長部31は、メモリカード32に記憶された画像データに基づいて動画等の出力を行うことができる。
【0017】
制御部38は、投影装置10内の各回路の動作制御を司るものであって、CPUや各種セッティング等の動作プログラムを固定的に記憶したROM及びワークメモリとして使用されるRAM等により構成される。
【0018】
キー/インジケータ部37は、筐体に設けられるメインキー及びインジケータ等により構成される。キー/インジケータ部37の操作信号は、制御部38に直接送出される。また、リモートコントローラからのキー操作信号は、Ir受信部35で受信され、Ir処理部36でコード信号に復調されて制御部38に出力される。
【0019】
制御部38はシステムバスSBを介して音声処理部47と接続されている。音声処理部47は、PCM音源等の音源回路を備えており、投影モード及び再生モード時には音声データをアナログ化し、スピーカ48を駆動して拡声放音させる。
【0020】
制御部38は、光源制御回路41を制御している。光源制御回路41は、画像生成時に要求される所定波長帯域の光が光源装置60から出射されるように、光源装置60における第1励起光照射装置70Aと第2励起光照射装置70Bの出射の切り替えを個別に制御する。
【0021】
さらに、制御部38は、冷却ファン駆動制御回路43に光源装置60等に設けた複数の温度センサによる温度検出を行わせ、この温度検出の結果から冷却ファン56の回転速度を制御させている。また、制御部38は、冷却ファン駆動制御回路43にタイマー等により投影装置10本体の電源オフ後も冷却ファン56の回転を持続させる、あるいは、温度センサによる温度検出の結果によっては投影装置10本体の電源をオフにする等の制御も行う。
【0022】
次に、投影装置10の内部構造について説明する。
図2は、投影装置10の内部構造を示す平面模式図である。ここで、投影装置10の筐体は、略箱状に形成されて、図示しない上面パネル及び下面パネルと、正面パネル12、背面パネル13、右側パネル14及び左側パネル15を備えている。また、投影装置10は、正面側に投影口12aを有する。なお、以下の説明においては、投影装置10における左右とは投影口12aからの投影方向に対しての左右方向を示し、前後とは投影装置10の被投影体側方向及び光線束の進行方向に対しての前後方向を示す。
【0023】
投影装置10は、左側パネル15の近傍に制御回路基板242を備える。この制御回路基板242は、電源回路ブロックや光源制御ブロック等を備えている。また、投影装置10は、投影装置10の略中央部分に配置された光源装置60を備えている。光源装置60と右側パネル14の間には、電源コネクタ52、ヒートシンク54、冷却ファン56等が配置されている。
【0024】
光源装置60は、青色波長帯域光(第1波長帯域光)の光源であって励起光の光源でもある第1励起光照射装置(第1の第1波長帯域光照射装置)70A及び第2励起光照射装置(第2の第1波長帯域光照射装置)70Bと、赤色波長帯域光(第2波長帯域光)の光源である赤色光源装置(第2波長帯域光照射装置)80と、緑色波長帯域光(第3波長帯域光)の光源である緑色光源装置90と、を備えている。緑色光源装置90は、第1励起光照射装置70A、及び固定蛍光体(蛍光発光装置)100により構成される。光源装置60には、これらの青色波長帯域光、赤色波長帯域光、緑色波長帯域光を導光する光源光学系140が配置されている。
【0025】
光源光学系140は、固定蛍光体100、ダイクロイックプリズム150、第1拡散板76A及び第2拡散板76Bを有している。光源光学系140は、第2励起光照射装置70B、赤色光源装置80、及び緑色光源装置90から出射される光束を、後述するマイクロレンズアレイ172の入射面に集光する。光源光学系140と左側パネル15の間には、投影口12aから投影光を投影するための投影光学系220、及び光源光学系140からの光を投影光学系220へ導光する導光光学系170が配置されている。
【0026】
第1励起光照射装置70A及び第2励起光照射装置70Bは、投影装置10の筐体の略中央部分に配置されている。第1励起光照射装置70A及び第2励起光照射装置70Bは、同様の構成とされ、励起光である青色波長帯域光を出射する半導体発光素子である複数の青色レーザダイオード71と、複数の青色レーザダイオード71からなる2組の光源群が基板上に上下方向に並列に搭載された光源パッケージ72とを有している。光源パッケージ72は、いわゆるMCP(Multi Chip Package)であり、これにより光源装置60のコンパクト化が図られている。
【0027】
第1励起光照射装置70A及び第2励起光照射装置70Bは、第1励起光照射装置70Aが左側、第2励起光照射装置70Bが右側とされた配置で、出射される各青色波長帯域光の光軸が互いに平行となるように近接した形で並列配置されている。第1励起光照射装置70A及び第2励起光照射装置70Bは、図示しない保持部材に保持され、図示しないヒートパイプを介してヒートシンク54と接続されており、冷却されるようになっている。投影装置10では、第1励起光照射装置70A及び第2励起光照射装置70Bからの青色波長帯域光の出射期間が、制御部38により時分割で制御されるようになっている。
【0028】
赤色光源装置80は、第1励起光照射装置70A及び第2励起光照射装置70Bから出射される青色波長帯域光と光軸が直交するように配置された赤色発光ダイオード81と、赤色発光ダイオード81からの出射光を導光する赤色側レンズ群84とを有している。赤色発光ダイオード81は、赤色波長帯域光を出射する半導体発光素子である。赤色側レンズ群84は、大きさが異なる2つの集光レンズにより構成される。赤色光源装置80は、図示しない保持部材に保持され、図示しないヒートパイプを介してヒートシンク54と接続されており、冷却されるようになっている。投影装置10では、赤色光源装置80からの赤色波長帯域光の出射期間が、制御部38により時分割で制御されるようになっている。
【0029】
緑色光源装置90は、固定蛍光体100と、緑色側レンズ群94とを有している。固定蛍光体100は、基材101及び蛍光発光領域102等から構成される。基材101は、銅やアルミニウム等の金属材料により形成することができる。基材101のダイクロイックプリズム150側に向けられた表面には、銀蒸着等によりミラー加工された平坦状の反射部が形成されている。蛍光発光領域102は、基材101の表面の反射部上に配置される。固定蛍光体100の背面パネル13側は、図示しない保持部材に保持され、図示しないヒートパイプを介してヒートシンク54と接続されており、冷却されるようになっている。
【0030】
蛍光発光領域102は、蛍光体粒子を分散させた蛍光体層からなる。蛍光体粒子は、蛍光発光領域102に照射された励起光としての青色波長帯域光により励起され、緑色波長帯域光の蛍光を発光する。蛍光発光領域102に照射された励起光の一部は蛍光体粒子を励起し、これにより蛍光発光領域102から蛍光が発光され、他の一部はミラー加工された基材101の反射部で反射されて蛍光体粒子を励起するが、基材101の反射部で反射された励起光の一部は蛍光体粒子を励起せず、そのまま蛍光発光領域102から出射される。また、蛍光体粒子が励起されると、蛍光が全方位に発光され、一部はそのままで、他の一部は基材101で反射されて蛍光発光領域102から出射される。
【0031】
緑色側レンズ群94は、ダイクロイックプリズム150を透過した励起光を固定蛍光体100側に向けて集光するとともに、固定蛍光体100から発光された蛍光をダイクロイックプリズム150側に向けて導光する。緑色側レンズ群94は、大きさが異なる2つの集光レンズにより構成される。
【0032】
ダイクロイックプリズム150は、4つの三角柱のプリズム部材からなる四角柱状のプリズム部材であり、略正方形状の上面および底面が投影装置10の筐体の上面パネルおよび下面パネルとそれぞれ対向するように、第1拡散板76A及び第2拡散板76B、赤色側レンズ群84、緑色側レンズ群94、及び後述するマイクロレンズアレイ172によって囲まれる位置に配置されている。ダイクロイックプリズム150の底面を除く4つの面は、それぞれ第1拡散板76A及び第2拡散板76B、赤色側レンズ群84、緑色側レンズ群94、マイクロレンズアレイ172と近接した位置で対向している。
【0033】
以下では、ダイクロイックプリズム150の上面および底面を除く4つの面のうち、第1拡散板76A及び第2拡散板76Bと対向する面を第1面S1といい、マイクロレンズアレイ172と対向する面を第2面S2といい、緑色側レンズ群94と対向する面を第3面S3といい、赤色側レンズ群84と対向する面を第4面S4という。また、
図3に示すように、以下では、第1励起光照射装置70A及び第2励起光照射装置70Bからダイクロイックプリズム150の第1面S1に向かう方向を第1方向D1といい、ダイクロイックプリズム150の第2面S2からマイクロレンズアレイ172に向かう方向かつ赤色光源装置80からダイクロイックプリズム150の第4面S4に向かう方向を第2方向D2といい、固定蛍光体100からダイクロイックプリズム150の第3面S3に向かう方向を第3方向D3という。
【0034】
ダイクロイックプリズム150の第1面S1を有する三角柱のプリズム部材と第4面S4を有する三角柱のプリズム部材との境界面には、青色波長帯域光を反射し、赤色波長帯域光及び緑色波長帯域光を透過する青色反射領域(第1領域)152が設けられている。ダイクロイックプリズム150の第1面S1を有する三角柱のプリズム部材と第2面S2を有する三角柱のプリズム部材との境界面、及び第3面S3を有する三角柱のプリズム部材と第4面S4を有する三角柱のプリズム部材との境界面には、緑色波長帯域光を反射し、青色波長帯域光及び赤色波長帯域光を透過する緑色反射領域(第2領域)154が連続して設けられている。ダイクロイックプリズム150において青色反射領域152と緑色反射領域154は、略直交した形で設けられている。このような構成とされることにより、ダイクロイックプリズム150は、青色反射領域152が緑色反射領域154よりも第2励起光照射装置70Bに近接した位置に設けられている。
【0035】
以上説明したような四角柱のダイクロイックプリズム150は、例えば同一形状の三角柱のプリズム部材を組付けることにより、効率良く製造することができる。このとき、青色反射領域152及び緑色反射領域154が設けられない第2面S2を有する三角柱のプリズム部材と第3面S3を有する三角柱のプリズム部材との境界面、即ち第2面S2を有する三角柱のプリズム部材と第3面S3を有する三角柱のプリズム部材との接合面(以下、「透過領域156」という。)は、蒸着無し又は可視光領域の波長を透過するARコート付きとした構成となっている。透過領域156は、可視光を透過する。
【0036】
第1拡散板76Aは、緑色反射領域154と対向するように第1励起光照射装置70Aとダイクロイックプリズム150の間に配置されており、第1励起光照射装置70Aから出射される光をダイクロイックプリズム150の第1面S1側に向けて拡散する。第2拡散板76Bは、青色反射領域152と対向するように第2励起光照射装置70Bとダイクロイックプリズム150の間に配置されており、第2励起光照射装置70Bから出射される光を、第1拡散板76Aよりも高い拡散率でダイクロイックプリズム150の第1面S1側に向けて拡散する。第1拡散板76A及び第2拡散板76Bは、第1拡散板76Aを左側、第2拡散板76Bを右側として並列配置されている。
【0037】
ここで、
図3を参照して、光源装置60を構成する各部材の配置態様について説明する。第1励起光照射装置70Aは、青色波長帯域光が青色レーザダイオード71から第1方向D1(
図3では上方向)に出射し、第1拡散板76Aを介してダイクロイックプリズム150の第1面S1に対して第1方向D1に入射して、緑色反射領域154を透過して緑色側レンズ群94に入射するような配置で設けられている。第2励起光照射装置70Bは、青色波長帯域光が青色レーザダイオード71から第1方向D1に出射し、第2拡散板76Bを介してダイクロイックプリズム150の第1面S1に対して第1方向D1に入射して、青色反射領域152で第2方向D2に反射するような配置で設けられている。
【0038】
赤色光源装置80は、赤色波長帯域光が赤色発光ダイオード81から第2方向D2(
図3では右方向)に出射し、ダイクロイックプリズム150の第4面S4に対して第2方向D2に入射して、青色反射領域152及び緑色反射領域154を透過してマイクロレンズアレイ172に入射するような配置で設けられている。緑色光源装置90は、緑色波長帯域光の蛍光が固定蛍光体100の蛍光発光領域102から第3方向D3(
図3では下方向)に発光し、ダイクロイックプリズム150の第3面S3に対して第3方向D3に入射して、緑色反射領域154で第2方向D2に反射するような配置で設けられている。
【0039】
図2に戻り、導光光学系170は、マイクロレンズアレイ172、凹レンズ174、第3集光レンズ175、照射ミラー185、及びコンデンサレンズ195を有している。凹レンズ174は、マイクロレンズアレイ172と第3集光レンズ175の間に配置される。なお、コンデンサレンズ195は、コンデンサレンズ195の背面パネル13側に配置される表示素子50から出射された画像光を投影光学系220に向けて出射するので、投影光学系220の一部でもある。
【0040】
投影光学系220は、コンデンサレンズ195、可動レンズ群235、及び固定レンズ群225を有している。コンデンサレンズ195の正面パネル12側の光軸上に配置される固定レンズ群225は、固定鏡筒に内蔵され、手動又は自動により移動されることにより、ズーム調整やフォーカス調整を可能としている。本実施形態に係る投影装置10は、以上のような構成とされる。
【0041】
次に、
図3を参照して、本実施形態に係る光源装置60を構成する各部材における光の出入射を説明する。まず、励起光である青色波長帯域光が出射される場合について説明する。投影装置10では、制御部38が、青色波長帯域光、赤色波長帯域光、緑色波長帯域光の各色を時分割で制御して表示する。投影装置10の制御部38は、青色波長帯域光の出射期間は、第2励起光照射装置70Bから青色波長帯域光を出射するように制御し、第1励起光照射装置70Aから青色波長帯域光を出射しないように制御し、赤色光源装置80から赤色波長帯域光を出射しないように制御する。
【0042】
第2励起光照射装置70Bの青色レーザダイオード71から出射された青色波長帯域光(
図3に示す光L2)は、第2拡散板76Bに第1方向D1に入射し、第2拡散板76Bによりダイクロイックプリズム150の第1面S1の右側略半分の領域に向けて拡散される。第1面S1の右側略半分の領域に向けて拡散された青色波長帯域光は、青色反射領域152に対して45°の角度で入射し、青色反射領域152で略直角に反射して第2方向D2に導光され、第2面S2からマイクロレンズアレイ172に向けて出射される。このようにして、青色波長帯域光は、光源光として利用することができる。
【0043】
次に、赤色波長帯域光が出射される場合について説明する。投影装置10の制御部38は、赤色波長帯域光の出射期間は、赤色光源装置80から赤色波長帯域光を出射するように制御し、第1励起光照射装置70A及び第2励起光照射装置70Bから青色波長帯域光を出射しないように制御する。赤色光源装置80の赤色発光ダイオード81から出射された赤色波長帯域光(
図3に示す光L4)は、赤色側レンズ群84に入射し、ダイクロイックプリズム150の第4面S4に向けて導光される。
【0044】
第4面S4に向けて導光された赤色波長帯域光のうち、第4面S4の前側略半分の領域に入射した赤色波長帯域光は、青色反射領域152及び緑色反射領域154の両者を第2方向D2に透過し、第4面S4の後側略半分の領域に入射した赤色波長帯域光は、緑色反射領域154及び透過領域156を第2方向D2に透過する。ダイクロイックプリズム150を第2方向D2に透過した赤色波長帯域光は、第2面S2からマイクロレンズアレイ172に向けて出射される。このようにして、赤色波長帯域光を光源光として利用することができる。
【0045】
次に、緑色波長帯域光が出射される場合について説明する。投影装置10の制御部38は、緑色波長帯域光の出射期間は、第1励起光照射装置70Aから青色波長帯域光を出射するように制御し、第2励起光照射装置70Bから青色波長帯域光を出射しないように制御し、赤色光源装置80から赤色波長帯域光を出射しないように制御する。第1励起光照射装置70Aの青色レーザダイオード71から出射された青色波長帯域光(励起光)(
図3に示す光L1)は、第1拡散板76Aに第1方向D1に入射し、第1拡散板76Aによりダイクロイックプリズム150の第1面S1の左側略半分の領域に向けて拡散される。
【0046】
第1面S1に左側略半分の領域に向けて拡散された青色波長帯域光は、緑色反射領域154を透過し、ダイクロイックプリズム150を第1方向D1に透過して、第3面S3から緑色側レンズ群94に向けて出射される。緑色側レンズ群94に向けて出射された青色波長帯域光は、緑色側レンズ群94により集光されて固定蛍光体100の蛍光発光領域102に入射する。蛍光発光領域102に励起光である青色波長帯域光が照射されると、緑色波長帯域光の蛍光(
図3に示す光L3)が発光する。ここで、蛍光発光領域102で発光する光には、緑色波長帯域光を含む蛍光と、蛍光発光領域102に照射されずにそのまま基材101のミラー加工された面により反射された励起光(以下、「残留励起光」という。)が存在する。
【0047】
蛍光発光領域102で発光した緑色波長帯域光は、ある程度の角度をなして拡散されて、緑色側レンズ群94に第3方向D3に入射し、緑色側レンズ群94によりさらに拡散されつつダイクロイックプリズム150の第3面S3に向けて導光される。第3面S3に向けて導光された緑色波長帯域光のうち、第3面S3の右側略半分の領域に入射した緑色波長帯域光は、第3面S3寄りの位置で緑色反射領域154に対して45°の角度で入射し、緑色反射領域154で略直角に反射して第2方向D2に導光され、第3面S3の左側略半分の領域に入射した緑色波長帯域光は、第1面S1寄りの位置で緑色反射領域154に対して45°の角度で入射し、緑色反射領域154で略直角に反射して第2方向D2に導光される。
【0048】
緑色反射領域154で反射して第2方向D2に導光された緑色波長帯域光は、第2面S2からマイクロレンズアレイ172に向けて出射される。このようにして、緑色波長帯域光を光源光として利用することができる。なお、固定蛍光体100の基材101で反射された残留励起光は、緑色側レンズ群94を介してダイクロイックプリズム150の第3面S3に向けて出射される。ダイクロイックプリズム150の第3面S3に入射した残留励起光は、反射することなく緑色反射領域154を透過して取り除かれる。
【0049】
以上のようにしてマイクロレンズアレイ172に第2方向D2に入射する青色波長帯域光、赤色波長帯域光、緑色波長帯域光の各々は、光路が同一となるように合成することができる。このため、一方の波長帯域光を他方の波長帯域光から独立して導光するためのレンズ部材やミラー部材等を別途配置する必要がなく、部材点数を削減でき、光源光学系140の構成を簡単にすることができる。これにより、本実施形態では、光源装置60の小型化及び投影装置10の小型化を図ることができる。なお、マイクロレンズアレイ172に入射する青色波長帯域光、赤色波長帯域光、緑色波長帯域光の各々は、マイクロレンズアレイ172により空間的光変調素子(SOM)であるDMD等の表示素子50に照射される面内光量分布が均一化される。
【0050】
ここで、第1励起光照射装置70Aから出射される青色波長帯域光は、第1拡散板76Aにより拡散されることにより、蛍光発光領域102を照射する励起光の集光性と光量分布の平坦化とを両立させるために十分な拡散性を有するものとされる。そして、蛍光発光領域102で発光する緑色波長帯域光は、緑色側レンズ群94で導光され、マイクロレンズアレイ172に入射する。一方、第2励起光照射装置70Bから出射される青色波長帯域光は、直接マイクロレンズアレイ172に入射するため、スペックルノイズを低減させる必要があり、第1拡散板76Aに入射する青色波長帯域光よりもより強い拡散性を持たせることが必要となる。
【0051】
この点、本実施形態では、第2拡散板76Bが第1拡散板76Aよりも高い拡散率で光を拡散する拡散板とされているため、第2励起光照射装置70Bから出射されてマイクロレンズアレイ172に入射する青色波長帯域光の拡散度合いを、第1励起光照射装置70Aから出射された青色波長帯域光により励起されてマイクロレンズアレイ172に入射する緑色波長帯域光の拡散度合いに近くすることができる。
【0052】
なお、本実施形態では、第2励起光照射装置70Bと青色反射領域との間の距離が近いため、青色波長帯域光の利用効率を低下させることなく、第2拡散板76Bによる拡散度合いを高めることができる。その結果、スクリーン上に表示される青色波長帯域光の面内光量分布を均一化し、スペックルノイズを抑制することができる。
【0053】
以上説明したように本実施形態に係る光源装置60は、第1方向D1に入射する青色波長帯域光を第2方向D2に反射するとともに少なくとも赤色波長帯域光を透過する青色反射領域152、及び第3方向D3に入射する緑色波長帯域光を第2方向D2に反射するとともに青色波長帯域光及び赤色波長帯域光を透過する緑色反射領域154を有するダイクロイックプリズム150と、青色波長帯域光を緑色反射領域154に向けて出射する第1励起光照射装置70Aと、青色波長帯域光を青色反射領域152に向けて出射する第2励起光照射装置70Bと、青色波長帯域光が照射されて緑色波長帯域光を含む蛍光を第3方向D3に発光する固定蛍光体100と、を備える。
【0054】
本実施形態の光源装置60は、上記のようなダイクロイックプリズム150を用いることによって、第1励起光照射装置70Aから出射される青色波長帯域光を固定蛍光体100に照射する励起光とし、第2励起光照射装置70Bから出射される青色波長帯域光を青色反射領域152で反射して直接第2方向D2に導光される光としながら、青色波長帯域光、赤色波長帯域光、及び緑色波長帯域光の各波長帯域光をダイクロイックプリズム150から第2方向D2に導光させることができ、同一の光路とすることができる。このため、一方の波長帯域光を他方の波長帯域光から独立して導光するためのレンズ部材やミラー部材等を別途配置する必要がなく、部材点数を削減でき、光源装置60の小型化を図ることができる。さらに、このように各波長帯域光の偏光方向を切り替えるための偏光方向切替機構を別途設けることなく、各波長帯域光を第2方向D2に導光させることができるため、偏光方向切替機構の性能に起因する各波長帯域光の間の混色を抑制することができる。
【0055】
また、光源装置60は、青色反射領域152と緑色反射領域154とは略直交して配置されている。この場合、第1方向D1と第3方向D3とを互いに反対向きの方向とすることにより、青色反射領域152に第1方向D1に入射して青色反射領域152で反射する青色波長帯域光と、緑色反射領域154に第3方向D3に入射して緑色反射領域154で反射する緑色波長帯域光とを、それぞれ第2方向D2に導光させるための具体的な構成を実現することができる。
【0056】
また、光源装置60は、赤色波長帯域光を第2方向D2に出射する赤色光源装置80をさらに備える。この構成によれば、赤色光源装置80から出射される赤色波長帯域光をそのまま第2方向D2に導光される光とするように赤色光源装置80をダイクロイックプリズム150の周りに配置することにより、赤色波長帯域光を含む各波長帯域光をダイクロイックプリズム150から第2方向D2に導光させるための具体的な構成を実現することができる。
【0057】
また、光源装置60では、第1励起光照射装置70A及び第2励起光照射装置70Bは、第1励起光照射装置70Aから出射される青色波長帯域光の光軸と第2励起光照射装置70Bから出射される青色波長帯域光の光軸とが平行となるように近接して並列配置されている。これにより、光源装置60において第1励起光照射装置70A及び第2励起光照射装置70Bを配置するためのスペースについて省スペース化を図ることができ、光源装置60の小型化を効果的に図ることができる。また、第1励起光照射装置70A及び第2励起光照射装置70Bから出射される各青色波長帯域光の光軸を平行とすることにより、これらの各青色波長帯域光をダイクロイックプリズム150の同一面内の異なる領域に入射させることができる。このため、一方の青色波長帯域光を直接第2方向D2に導光される光としながら、他方の青色波長帯域光を固定蛍光体100に照射させるための励起光とするための具体的な構成を実現することができる。
【0058】
また、光源装置60は、第1励起光照射装置70Aとダイクロイックプリズム150との間に設けられ、第1励起光照射装置70Aから出射された青色波長帯域光を拡散する第1拡散板76Aと、第2励起光照射装置70Bとダイクロイックプリズム150との間に設けられ、第2励起光照射装置70Bから出射された青色波長帯域光を第1拡散板76Aよりも高い拡散率で拡散する第2拡散板76Bと、を備える。この構成によれば、第2励起光照射装置70Bから出射されて第2拡散板76Bに入射する青色波長帯域光を直接第2方向D2に導光される光とし、第1励起光照射装置70Aから出射されて第1拡散板76Aに入射する青色波長帯域光を固定蛍光体100に照射される励起光とすることにより、ダイクロイックプリズム150から第2方向D2に導光される青色波長帯域光の拡散度合いを、緑色波長帯域光の拡散度合いに近くすることができる。
【0059】
また、光源装置60では、ダイクロイックプリズム150は、青色反射領域152が緑色反射領域154よりも第2励起光照射装置70Bに近接した位置に設けられている。これにより、第2拡散板76Bにより高い拡散率で拡散された青色波長帯域光の略全体を青色反射領域152に入射させることができる。このため、青色反射領域152で反射して直接第2方向D2に導光される青色波長帯域光の利用効率を高めることができる。
【0060】
また、光源装置60では、光学部材としてのダイクロイックプリズム150は、青色波長帯域光が入射する第1面S1、青色波長帯域光と赤色波長帯域光と緑色波長帯域光が出射する第2面S2、緑色波長帯域光が入射する第3面S3、及び赤色波長帯域光が入射する第4面S4を有するダイクロイックプリズム150とされる。これにより、第2励起光照射装置70Bから出射される青色波長帯域光をダイクロイックプリズム150の第1面S1から第3面S3に透過して固定蛍光体100に照射する励起光とし、赤色光源装置80から出射される赤色波長帯域光をダイクロイックプリズム150の第4面S4から第2面S2に透過する光とするように、第1励起光照射装置70A、第2励起光照射装置70B、赤色光源装置80をダイクロイックプリズム150の周りにそれぞれ配置することにより、各波長帯域光をダイクロイックプリズム150から第2方向D2に導光させるための光学部材の具体的な構成を実現することができる。
【0061】
このような構成は、本実施形態の光源装置60以外であっても、第1面S1に入射する青色波長帯域光を第2面S2側に反射するとともに少なくとも赤色波長帯域光を透過する青色反射領域152と、第3面S3に入射する緑色波長帯域光を第2面S2側に反射して第1面S1に入射する青色波長帯域光を第3面S3側に透過するとともに第4面S4に入射する赤色波長帯域光を第2面S2側に透過する緑色反射領域154と、青色波長帯域光、赤色波長帯域光、および緑色波長帯域光を透過する透過領域156と、を有し、青色反射領域152と、透過領域156と、を含む領域は、緑色反射領域154に略直交して配置されているダイクロイックプリズム150を用いることにより実現することができる。
【0062】
また、本実施形態に係る投影装置10は、上記の光源装置60と、画像光を生成する表示素子50と、表示素子50から出射された画像光を被投影体に投影する投影光学系220と、光源装置60と表示素子50とを制御する制御部38と、を備えている。これにより、光源装置60から投影光学系220側へ導光される青色波長帯域光、赤色波長帯域光及び緑色波長帯域光の光路を同一光路とすることができ、光源装置60の小型化が図られた投影装置10を実現することができる。
【0063】
(第2実施形態)
次に、
図4を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。
図4に示すように、第2実施形態に係る光源装置260は、第1励起光照射装置70A及び第2励起光照射装置70Bの配置態様、第1拡散板76A及び第2拡散板76Bの配置態様、及びダイクロイックプリズム350における青色反射領域152の配置態様が第1実施形態のダイクロイックプリズム150と異なっている。その他の構成については、第1実施形態の光源装置60と同様であるため、その説明を省略又は簡素化する。
【0064】
図4に示すように、第2実施形態に係る光源装置260では、第1励起光照射装置70A及び第2励起光照射装置70Bの配置態様、第1拡散板76A及び第2拡散板76Bの配置態様が、第1実施形態に係る光源装置60と比べて左右逆に配置されている。さらに、第2実施形態に係るダイクロイックプリズム350では、第2面S2を有する三角柱のプリズム部材と第3面S3を有する三角柱のプリズム部材の境界面に青色反射領域152が設けられている。緑色反射領域154は第1実施形態におけるダイクロイックプリズム150と同様の配置とされ、本実施形態のダイクロイックプリズム350において青色反射領域152と緑色反射領域154は、略直交した形で設けられている。また、第1面S1を有する三角柱のプリズム部材と第4面S4を有する三角柱のプリズム部材の接合面に、透過領域156が設けられている。
【0065】
第2実施形態に係る光源装置260では、上記のような構成とされることにより、第2励起光照射装置70Bから出射される青色波長帯域光は、第1実施形態に係る光源装置60と比べて、第2励起光照射装置70B及び第2拡散板76Bから離れた位置で青色反射領域152に入射する。そして、青色反射領域により略直角に反射して第2方向D2に導光され、第2面S2からマイクロレンズアレイ172に向けて出射される。なお、第1励起光照射装置70Aから出射される青色波長帯域光は、第1実施形態に係る光源装置60と同様に、緑色反射領域154を透過して固定蛍光体100の蛍光発光領域102に入射する。赤色光源装置80から出射される赤色波長帯域光の光路は、第1実施形態の光源装置と同様である。
【0066】
上記のような構成とされた第2実施形態に係る光源装置260においても、第1実施形態に係る光源装置60と等しい作用効果を得ることができる。即ち、光源装置260では、マイクロレンズアレイ172に第2方向D2に入射する青色波長帯域光、赤色波長帯域光、緑色波長帯域光の各々は、光路が同一となるように合成することができる。このため、光源装置260の小型化及び投影装置10の小型化を図ることができる。さらに、偏光方向切替機構を別途設ける必要がないため、偏光方向切替機構の性能に起因する各波長帯域光の間の混色を抑制することができる。
【0067】
(第3実施形態)
次に、
図5を参照して、本発明の第3実施形態について説明する。
図5に示すように、第3実施形態に係る光源装置360は、第2励起光照射装置70Cの配置態様が第1実施形態の光源装置60と異なっている。その他の構成については、第1実施形態の光源装置60と同様であるため、その説明を省略又は簡素化する。
【0068】
図5に示すように、第3実施形態に係る光源装置360では、第2励起光照射装置70Cがダイクロイックプリズム150の第1面S1に対して左側に傾いた形で配置されている。第2励起光照射装置70Cをこのような配置態様とすることにより、第2励起光照射装置70Cから出射される青色波長帯域光は、45°より大きい角度で青色反射領域152に入射し、同じ角度で青色反射領域152により反射する。このため、青色反射領域152で反射する青色波長帯域光の光軸はマイクロレンズアレイ172の中心部寄りに傾き、第2励起光照射装置70Cから出射される青色波長帯域光は、マイクロレンズアレイ172の中心部寄りの位置に入射する。
【0069】
第3実施形態に係る光源装置360では、第2励起光照射装置70Cから出射される青色波長帯域光が上記のような光路で導光されることにより、青色波長帯域光を赤色波長帯域光及び緑色波長帯域光の光軸と揃えやすくすることができる。また、第2励起光照射装置70Cを傾けた姿勢で配置することにより、第2励起光照射装置70C及び第1励起光照射装置70Aを並列配置するためのスペースを確保できない場合であっても、第2励起光照射装置70C及び第1励起光照射装置70Aを近接した形で配置することができ、第1実施形態の光源装置60と同様の作用効果を得ることが可能な光源装置360を実現することができる。なお、上記のようにスペースを確保できない場合は、第2励起光照射装置70C及び第1励起光照射装置70Aを前後方向にズラした形で配置することによっても、第1実施形態の光源装置60と同様の作用効果を得ることが可能な光源装置を実現することができる。
【0070】
(第4実施形態)
次に、
図6を参照して、本発明の第4実施形態について説明する。
図6に示すように、第4実施形態に係る光源装置460は、さらに青色反射フィルタ(反射部材)160を備える点で第1実施形態の光源装置60と異なっている。その他の構成については、第1実施形態の光源装置60と同様であるため、その説明を省略又は簡素化する。
【0071】
図6に示すように、第4実施形態に係る光源装置460では、ダイクロイックプリズム150の第3面S3の右側略半分の領域と近接して対向する形で、青色反射フィルタ160が設けられている。青色反射フィルタ160は、第3面S3と略平行に対向する板状部材とされ、少なくとも第3面S3と対向する板面が青色波長帯域光を反射し、赤色波長帯域光及び緑色波長帯域光を透過するフィルタ面とされている。このような青色反射フィルタ160は、例えば薄いガラス状部材により実現することができる。
【0072】
ここで、上述した第1実施形態の光源装置60では、青色反射領域152に入射する青色波長帯域光の一部(2~3%程度)に、青色反射領域152で反射することなく青色反射領域152を透過して第3面S3側に漏洩する励起光(以下、「漏洩励起光」という。)が生じることが想定される。
【0073】
この点、第4実施形態に係る光源装置460では、このような漏洩励起光(
図6に示す光L5)が青色反射フィルタ160に入射し、青色反射フィルタ160で反射して再びダイクロイックプリズム150の第3面S3側に導光される。ダイクロイックプリズム150の第3面S3側に導光された漏洩励起光は、緑色反射領域154を透過して取り除かれる。このため、漏洩励起光が固定蛍光体100の蛍光発光領域102に入射することを防止ないし抑制することができる。その結果、青色波長帯域光と緑色波長帯域光の間の混色を一層抑制することができる。なお、本実施形態では、青色反射フィルタ160をダイクロイックプリズムの第3面S3に近接した形で配置しているが、青色反射フィルタ160をダイクロイックプリズムの第3面S3に直接貼り付けた構成としてもよい。
【0074】
(第5実施形態)
次に、
図7を参照して、本発明の第5実施形態について説明する。
図7に示すように、第5実施形態に係る光源装置560は、光学部材としてダイクロイックプリズム150ではなく複合ダイクロイックミラー200を備える点で第1実施形態の光源装置60と異なっている。その他の構成については、第1実施形態の光源装置60と同様であるため、その説明を省略又は簡素化する。
【0075】
図7に示すように、第5実施形態に係る光源装置560は、光学部材として複合ダイクロイックミラー200を備えている。複合ダイクロイックミラー200は、板状のミラー部材である第1ダイクロイックミラー(第1ミラー部材)202と板状のミラー部材である第2ダイクロイックミラー(第2ミラー部材)204とが組み付けられることにより構成されている。第2ダイクロイックミラー204は、第1ダイクロイックミラー202の約2倍の長さとされている。複合ダイクロイックミラー200は、第1ダイクロイックミラー202と第2ダイクロイックミラー204が全体として略T字状をなすように組み付けられて設けられている。
【0076】
第1ダイクロイックミラー202は、青色波長帯域光を反射し、赤色波長帯域光及び緑色波長帯域光を透過するミラー面(以下、「青色反射面252」という)を有している。第2ダイクロイックミラー204は、緑色波長帯域光を反射し、青色波長帯域光及び赤色波長帯域光を透過するミラー面(以下、「緑色反射面254」という)を有している。複合ダイクロイックミラー200では、青色反射面252と緑色反射面254とが略直交するように、第2ダイクロイックミラー204の長手方向の中央部に第1ダイクロイックミラー202が当接されて組み付けられている。また、複合ダイクロイックミラー200は、青色反射面252及び緑色反射面254が、第1実施形態の光源装置60における青色反射領域152及び緑色反射領域154と対応するような配置となるように設けられている。
【0077】
上記のような構成とされた第5実施形態に係る光源装置560では、各部材における光の出入射が第1実施形態に係る光源装置60と同様の態様とされる。即ち、第2励起光照射装置70Bから出射される青色波長帯域光は、青色反射面252に対して45°の角度で入射し、青色反射面252で略直角に反射して第2方向D2に導光され、マイクロレンズアレイ172に向けて出射される。また、赤色光源装置80から出射される赤色波長帯域光は、青色反射面252及び緑色反射面254の両者を第2方向D2に透過し、又は緑色反射面254のみを第2方向D2に透過し、マイクロレンズアレイ172に向けて出射される。
【0078】
また、第1励起光照射装置70Aから出射される青色波長帯域光は、固定蛍光体100の蛍光発光領域102に入射する。そして、蛍光発光領域102で発光した緑色波長帯域光は、緑色反射面254に対して45°の角度で入射し、緑色反射面254で略直角に反射して第2方向D2に導光され、マイクロレンズアレイ172に向けて出射される。このため、第5実施形態に係る光源装置560は、第1実施形態の光源装置60と同様の作用効果を得ることが可能な光源装置を実現することができる。
【0079】
以上説明した各実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。例えば上記の各実施形態では、導光光学系170の一部にマイクロレンズアレイ172を配置した構成を例示したが、マイクロレンズアレイ172の代わりにライトトンネルや導光ロッドを配置してもよい。
【0080】
また、第1励起光照射装置70A及び第2励起光照射装置70Bは、同じ青色波長帯域光(第1波長帯域光)の光源としたが、緑色光源装置90を構成する第1励起光照射装置70Aの波長を青色波長帯域光(第1波長帯域光)よりも短波長として、第2励起光照射装置70Bと異なるようにしてもよい。さらには、第1励起光照射装置70Aと第2励起光照射装置70Bとを別々のMCPとしたが、第1励起光照射装置70Aと第2励起光照射装置70Bとを1つのMCPとして構成して、それぞれを個別に点灯制御できるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0081】
10 投影装置 12 正面パネル
12a 投影口 13 背面パネル
14 右側パネル 15 左側パネル
21 入出力コネクタ部 22 入出力インターフェース
23 画像変換部 24 表示エンコーダ
25 ビデオRAM 26 表示駆動部
31 画像圧縮/伸長部 32 メモリカード
35 Ir受信部 36 Ir処理部
37 キー/インジケータ部 38 制御部
41 光源制御回路 43 冷却ファン駆動制御回路
45 レンズモータ 47 音声処理部
48 スピーカ 50 表示素子
52 電源コネクタ 54 ヒートシンク
56 冷却ファン 60 光源装置
70A 第1励起光照射装置 70B 第2励起光照射装置
70C 第1励起光照射装置 71 青色レーザダイオード
72 光源パッケージ 76A 第1拡散板
76B 第2拡散板 80 赤緑色光源装置
81 赤色発光ダイオード 84 赤色側レンズ群
90 緑色光源装置 94 緑色側レンズ群
100 固定蛍光体 101 基材
102 蛍光発光領域 140 光源光学系
150 ダイクロイックプリズム 152 青色反射領域
154 緑色反射領域 156 透過領域
160 青色反射フィルタ 170 導光光学系
172 マイクロレンズアレイ 174 凹レンズ
175 第3集光レンズ 185 照射ミラー
195 コンデンサレンズ 200 複合ダイクロイックミラー
202 第1ダイクロイックミラー 204 第2ダイクロイックミラー
220 投影光学系 225 固定レンズ群
235 可動レンズ群 242 制御回路基板
252 青色反射面 254 緑色反射面
260 光源装置 360 光源装置
460 光源装置 560 光源装置
D1 第1方向 D2 第2方向
D3 第3方向
L1,L2,L3,L4,L5 光 S1 第1面
S2 第2面 S3 第3面
S4 第4面 SB システムバス