(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087389
(43)【公開日】2024-07-01
(54)【発明の名称】道路環境検出方法及び道路環境検出装置
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20240624BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20240624BHJP
B60W 30/14 20060101ALI20240624BHJP
B60W 40/04 20060101ALI20240624BHJP
【FI】
G08G1/16 D
G08G1/09 F
B60W30/14
B60W40/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022202190
(22)【出願日】2022-12-19
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】弁理士法人とこしえ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 誠秀
(72)【発明者】
【氏名】吉松 祐香
(72)【発明者】
【氏名】明李 成博
(72)【発明者】
【氏名】玉越 千尋
【テーマコード(参考)】
3D241
5H181
【Fターム(参考)】
3D241BA01
3D241BA31
3D241BA49
3D241CE02
3D241CE05
3D241DC02Z
3D241DC26Z
3D241DC33Z
5H181AA15
5H181BB04
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC12
5H181CC14
5H181CC24
5H181FF04
5H181FF22
5H181FF27
5H181FF32
5H181LL01
5H181LL04
5H181LL09
5H181LL15
(57)【要約】
【課題】車両の進行方向に障害物が存在し、車両が障害物を回避して障害物より進行方向奥側の空きスペースに入り込む場面で、空きスペースの状況の変化を早期に検出できる道路環境検出方法及び道路環境検出装置を提供することである。
【解決手段】車両の進行方向の所定範囲内に、車両の走行経路の路上に設置されているインフラセンサが複数存在する場合に、インフラセンサごとに、走行経路の路上の環境状況を検出する検出処理の検出周期を設定し、検出周期に応じてインフラセンサに検出処理を実行させ、車両が走行している自車線において進行方向に車両の走行を妨げる障害物が存在する場合には、障害物を検出したインフラセンサの検出周期よりも、障害物よりも進行方向奥側の空きスペースを検出したインフラセンサの検出周期が短くなるように変更し、変更後の検出周期に応じて、インフラセンサに検出処理を実行させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コントローラによって実行され、車両が前記車両の現在位置から前記車両の目的地まで走行する走行経路を取得し、前記走行経路の路上に設置されているインフラセンサに、前記走行経路の路上の環境状況を検出する検出処理を実行させる道路環境検出方法であって、
前記コントローラは、
前記車両の進行方向における所定範囲内に前記インフラセンサが複数存在する場合に、前記インフラセンサごとに、前記検出処理の検出周期を設定し、
前記検出周期に応じて、前記インフラセンサに前記検出処理を実行させて、
前記車両が走行している自車線において前記進行方向に前記車両の走行を妨げる障害物が存在する場合には、前記障害物を検出した前記インフラセンサの前記検出周期よりも、前記障害物よりも前記進行方向奥側の空きスペースを検出した前記インフラセンサの前記検出周期が短くなるように前記検出周期を変更し、
変更後の前記検出周期に応じて、前記インフラセンサに前記検出処理を実行させる道路環境検出方法。
【請求項2】
前記コントローラは、
前記インフラセンサ及び/又は前記車両に搭載された車載センサを用いて、前記障害物の検出情報を取得する請求項1に記載の道路環境検出方法。
【請求項3】
前記コントローラは、
前記空きスペースを検出した前記インフラセンサのうち、前記車両に最も近い前記インフラセンサを基準インフラセンサとして、前記基準インフラセンサの前記検出周期が、前記基準インフラセンサ以外の前記インフラセンサの前記検出周期よりも短くなるように前記検出周期を変更する請求項1又は2に記載の道路環境検出方法。
【請求項4】
前記コントローラは、
前記空きスペースを検出した前記インフラセンサのうち、前記車両に最も近い前記インフラセンサを基準インフラセンサとして、前記基準インフラセンサ以外の前記インフラセンサの前記検出周期が、前記車両に近いほど、長くなるように前記検出周期を変更する請求項1又は2に記載の道路環境検出方法。
【請求項5】
前記コントローラは、
前記空きスペースを検出した前記インフラセンサのうち、前記車両に最も近い前記インフラセンサを基準インフラセンサとして、前記基準インフラセンサよりも前記進行方向手前側の前記インフラセンサの前記検出周期が、前記基準インフラセンサよりも前記進行方向奥側の前記インフラセンサの前記検出周期よりも長くなるように前記検出周期を変更する請求項1又は2に記載の道路環境検出方法。
【請求項6】
前記コントローラは、
前記インフラセンサから前記環境状況を検出した検出情報を前記車両に送信するタイミングを前記インフラセンサごとにずらして設定する請求項1又は2に記載の道路環境検出方法。
【請求項7】
前記インフラセンサは、
撮像した前記環境状況を含む環境状況画像に基づいて、前記車両とは異なる他車両の位置情報を取得し、
前記他車両の位置情報を前記車両に送信する請求項1又は2に記載の道路環境検出方法。
【請求項8】
前記コントローラは、前記インフラセンサによって検出した前記環境状況を含む検出情報に基づいて、前記車両の走行支援を行う請求項1又は2に記載の道路環境検出方法。
【請求項9】
車両の現在位置と前記車両の目的地とを取得し、前記車両が前記現在位置から前記目的地まで走行する走行経路を算出し、前記走行経路の路上に設置されているインフラセンサに、前記走行経路の路上の環境状況を検出する検出処理を実行させるコントローラを備える道路環境検出装置であって、
前記コントローラは、
前記車両の進行方向における所定範囲内に前記インフラセンサが複数存在する場合に、前記インフラセンサごとに、前記検出処理の検出周期を設定し、
前記検出周期に応じて、前記インフラセンサに前記検出処理を実行させて、
前記車両が走行している自車線において前記進行方向に前記車両の走行を妨げる障害物が存在する場合には、前記障害物を検出した前記インフラセンサの前記検出周期よりも、前記障害物よりも前記進行方向奥側の空きスペースを検出した前記インフラセンサの前記検出周期が短くなるように前記検出周期を変更し、
変更後の前記検出周期に応じて、前記インフラセンサに前記検出処理を実行させる道路環境検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路環境検出方法及び道路環境検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
運転支援のために検出が必要な必要検出範囲を算出し、道路に沿って設置された複数のインフラセンサの中から必要検出範囲を検出できるインフラセンサを選定し、選定したインフラセンサに検出した情報の送信を指示する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に係る技術では、車両の進行方向に障害物が存在し、車両が障害物を回避して障害物より進行方向奥側の空きスペースに入り込む場面で、車両の進行方向に位置する複数のインフラセンサを用いて、空きスペースの状況を検出する場合に、以下のような問題がある。すなわち、インフラセンサの検出周期は、いずれのインフラセンサでも同じ検出周期であるから、空きスペースを検出したインフラセンサが空きスペースの状況の変化を早期に検出できないという問題がある。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、車両の進行方向に障害物が存在し、車両が障害物を回避して障害物より進行方向奥側の空きスペースに入り込む場面で、空きスペースの状況の変化を早期に検出できる道路環境検出方法及び道路環境検出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
車両の進行方向の所定範囲内に、車両の走行経路の路上に設置されているインフラセンサが複数存在する場合に、インフラセンサごとに、走行経路の路上の環境状況を検出する検出処理の検出周期を設定し、検出周期に応じてインフラセンサに検出処理を実行させ、車両が走行している自車線において進行方向に車両の走行を妨げる障害物が存在する場合には、障害物を検出したインフラセンサの検出周期よりも、障害物よりも進行方向奥側の空きスペースを検出したインフラセンサの検出周期が短くなるように変更し、変更後の検出周期に応じて、インフラセンサに検出処理を実行させることによって上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、車両の進行方向に障害物が存在し、車両が障害物を回避して障害物より進行方向奥側の空きスペースに入り込む場面で、空きスペースの状況の変化を早期に検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る道路環境検出装置を含む走行支援システムの構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、本実施形態に係る道路環境検出方法が実行される場面の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、本実施形態に係る道路環境検出方法の手順の一例を示すフローチャート図である。
【
図4】
図4は、本実施形態の道路環境検出方法におけるインフラセンサ抽出処理に係る手順の一例を示すフローチャート図である。
【
図5】
図5は、本実施形態の道路環境検出方法における空きスペース特定処理に係る手順の一例を示すフローチャート図である。
【
図6】
図6は、本実施形態の道路環境検出方法における検出周期設定処理に係る手順の一例を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係る道路環境検出装置を含む走行支援システムの一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態に係る走行支援システムの構成の一例を示すブロック図である。
図1を用いて、本実施形態に係る道路環境検出装置の一例について説明する。
【0010】
本実施形態に係る走行支援システム100は、道路環境検出装置1と、車両2と、サーバ3と、インフラセンサ4と、電気通信回線網を構成するネットワーク5と、を備える。道路環境検出装置1、車両2、サーバ3及びインフラセンサ4はネットワーク5を介して接続されている。なお、道路環境検出装置1は、複数の車両2及び複数のインフラセンサ4と接続するものとしてもよい。走行支援システム100は、例えば、配車用車両をユーザに配車する配車システムに適用されて、配車用車両に対して、インフラセンサ4によって検出される検出情報を用いて、障害物の回避等における走行支援を行うシステムである。
【0011】
車両2は、例えば、配車用車両である。車両2は、自律走行可能な車両であり、ナビゲーション装置が搭載されているとともに走行制御(速度制御と操舵制御)を自動制御する機能を備える自動車である。車両2は、有人であっても、無人であってもよい。なお、必ずしも自動制御機能を備える車両である必要はなく、運転支援機能を備え、人間が運転する車両であってもよい。また、車両を運転する人間は、車両2に乗車している乗員であってもよいし、車両2の車外で車両2を遠隔操作する遠隔操作者であってもよい。
【0012】
道路環境検出装置1について説明する。本実施形態の道路環境検出装置1は、走行支援システム100において、インフラセンサ4を制御して、車両2の走行経路の路上の環境状況を検出し、検出した環境状況を含む道路環境情報を車両に送信させる装置である。本実施形態では、道路環境検出装置1は、サーバ3に指示をして、インフラセンサ4を制御することとして説明するが、これに限らず、道路環境検出装置1は、インフラセンサ4に直接指示をしてもよい。
【0013】
道路環境検出装置1は、車両2が走行経路に沿って走行を開始した後、走行経路の路上に設置されているインフラセンサ4に周囲の環境状況を検出させるように制御信号をサーバ3に送信する。また、道路環境検出装置1は、インフラセンサ4の検出情報を車両2に送信させるように制御信号をサーバ3に送信する。これにより、例えば、車両2の進行方向に自車センサ22で検出できない領域が存在する走行シーンにおいて、車両2の走行を支援できる。このような走行シーンは、例えば、車両2が走行している自車線上に障害物が位置し、車両2が対向車線を通って自車線上の障害物を回避する回避制御が必要な場面である。回避制御は、自車線上に位置する障害物を回避するために車両2が対向車線を通って自車線上の空きスペースまで走行するように車両2を走行させる制御である。空きスペースは、障害物よりも進行方向奥側に位置する自車線上の領域であって、車両2が進入することが可能なスペースである。例えば、空きスペースの車両2の進行方向における長さは、車両2の全長よりも長く設定される。
【0014】
ここで、
図2を用いて、本実施形態に係る道路環境検出方法が実行される場面の一例を説明する。
図2は、本実施形態に係る道路環境検出方法が実行される場面の一例を示す図である。
図2では、自車線L1において車両V0の進行方向に駐車車両V20~V25が存在する。車両V0がこのような場面に遭遇した場合、車両V0は、対向車線L2を通って駐車車両V20~V25を回避して自車線L1上の空きスペースPAまで走行する必要がある。また、車両V0の進行方向には、インフラセンサIS1~IS5が設けられている。インフラセンサIS1~IS5はそれぞれ検出領域A1~A5内の環境状況を検出する。例えば、インフラセンサIS1は、検出領域A1内に位置する駐車車両V20を検出する。また、インフラセンサIS4は、検出領域A4内に位置する空きスペースPAを検出する。
【0015】
図2の場面において、車両V0が駐車車両V20の手前に到達したときには、車両V0は、インフラセンサIS1~IS5の検出情報に基づいて、車両V0の進行方向の環境状況を認識し、車両V0から空きスペースまでの間に対向車両が存在しない場合に、対向車線L2を通って、空きスペースPAまで走行する。
図2では、インフラセンサIS5の検出領域A5内に対向車両V1が検出されているが、車両V0から空きスペースまでの間を検出するインフラセンサIS1~4の検出領域内には対向車両が存在しない。
【0016】
図2の場面で、複数のインフラセンサを同時に制御する負荷が大きい場合には、従来の道路環境検出装置は、車両V0に近いインフラセンサから順番に一定の検出周期で検出処理を実行する。すなわち、従来の道路環境検出装置は、インフラセンサIS1からインフラセンサIS5まで順番に検出処理を実行する。しかしながら、複数のインフラセンサを順番に処理することとすると、複数のインフラセンサ全体の検出周期が長くなり、空きスペースを検出したインフラセンサIS4及びIS5が次の検出周期で再度検出処理を実行するまでに時間がかかる。そのため、空きスペースの状況の変化が早期に検出されない。例えば、インフラセンサIS4及びIS5の検出領域内を対向車両が通過しても、インフラセンサIS4及びIS5が検出できない、又は、車両V0が対向車両を認識するのが遅くなる。これに対して、本願の道路環境検出装置1は、空きスペースを検出したインフラセンサの検出周期を、それ以外のインフラセンサの検出周期よりも短くすることで、空きスペースの状況の変化を早期に検出することができる。
【0017】
道路環境検出装置1は、
図1に示すように、コントローラ10と、通信装置11と、車両情報DB12と、インフラ情報DB13と、地
図DB14とを備えている。
【0018】
通信装置11は、ネットワーク5を介して、サーバ3及び車両2との間で、情報を含む信号の送信及び受信を行うことで、各種情報の入出力を行う通信装置である。通信装置11は、車両2から、車両2の現在位置に関する情報、車両2の目的地に関する情報、及び、車載センサの検出情報を受信する。通信装置11は、車両2の走行経路の経路情報を受信することとしてもよい。通信装置11は、サーバ3に、車両2の走行経路の路上の環境状況を検出させる制御信号と、検出した環境状況を含む道路環境情報を車両2に送信させる制御信号とを送信する。通信装置11は、インフラセンサ4から、インフラセンサ4によって検出された検出情報を受信してもよいし、インフラセンサ4から取得したインフラセンサ4の検出情報を車両2に送信してもよい。また、通信装置11は、サーバ3に対して、インフラセンサ4の検出処理を実行させる制御信号を送信することとしてもよいし、インフラセンサ4に対して直接検出処理を実行させる制御信号を送信することとしてもよい。
【0019】
車両情報DB12は、車両情報を記憶する記憶媒体である。車両情報DB12は、配車用車両として管理している複数の車両2の車両情報を記憶する。車両情報は、車両ごとに、車両2を識別するための識別情報と、車両2の位置情報とを含む。車両2の位置情報は、一定の周期で更新される。また、車両情報は、車両2に目的地が設定されている場合には、車両2の目的地の情報を含むこととしてもよい。また、車両情報は、車両2に設定されている走行経路の経路情報を含む。走行経路は、車両2の現在位置から目的地までの走行経路である。走行経路は、道路レベルの経路であってもよいし、車線レベルの経路であってもよい。
【0020】
インフラ情報DB13は、インフラセンサ4に関するインフラ情報を記憶する記憶媒体である。インフラ情報DB13は、路上に設置されている複数のインフラセンサ4ごとにインフラ情報を記憶する。インフラ情報は、例えば、インフラセンサ4を識別するための識別情報と、インフラセンサ4の位置を示す位置情報と、インフラセンサ4の検出範囲を示す検出範囲情報とを含む。インフラセンサ4の位置は、地図上における緯度経度の座標値で表現してもよいし、ノードIDとリンクIDを組み合わせて表現してもよい。また、インフラセンサ4の検出範囲は、インフラセンサによって周囲環境の状況が検出可能な範囲である。
【0021】
地
図DB14は、地図情報を記憶する記憶媒体である。地図情報は、道路情報を含む。道路情報は、例えば交差点や分岐点など道路上の特定の地点を表すノードと、各ノード間をつなぐ道路区間を表すリンクとによって構成される。道路情報は、リンク及びノードに限らず、交差点等の名称、道路形状の情報を含んでもよい。また、地図情報は、信号機、施設、道路標識、路面標示など地物を示す地物情報を含む。また、地
図DB14には、道路上においてインフラセンサ4によって検出できない検出外領域の情報が格納されていることとしてもよい。本実施形態では、地
図DB14は、車両の走行経路を生成する際に利用され、走行経路の環境に関する情報を取得する際に用いられる。
【0022】
本実施形態では、道路環境検出装置1は、コントローラ10により、車両2の走行経路の路上の環境状況を検出する検出処理を実現する。コントローラ10は、ハードウェア及びソフトウェアを有するコンピュータを備えている。このコンピュータはプログラムを格納したROMと、ROMに格納されたプログラムを実行するCPUと、アクセス可能な記憶装置として機能するRAMを含むものである。なお、動作回路としては、CPUに代えて又はこれとともに、MPU、DSP、ASIC、FPGAなどを用いることができる。
【0023】
コントローラ10は、通信装置11、車両情報DB12、インフラ情報DB13、及び地
図DB14から取得した情報に基づいて、車両2の走行経路の路上の環境状況を検出する検出処理を実現する。コントローラ10は、車両2の走行経路を取得し、取得した走行経路の路上に設置されているインフラセンサ4に、走行経路の路上の環境状況を検出する検出処理を実行させる。また、コントローラ10は、インフラセンサ4によって検出した環境状況を含む検出情報に基づいて、車両2の走行支援を実現する。本実施形態では、コントローラ10は、インフラセンサ4の検出情報を車両2に送信することで、車両2の走行支援を行う。コントローラ10は、
図1で示されるように、機能ブロックとして、インフラセンサ抽出部101と、スペース特定部102と、インフラセンサ制御部103とを備える。なお、本実施形態では、コントローラ10の機能を3つのブロックに分けて各機能ブロックの機能を説明するが、各機能を実現できる形態であれば、コントローラ10の機能は必ずしも3つのブロックに分ける必要はない。
【0024】
インフラセンサ抽出部101は、車両2の走行支援のために利用可能なインフラセンサ4を抽出するインフラセンサ抽出処理を実行する。ここで、インフラセンサ抽出処理について説明する。インフラセンサ抽出部101は、通信装置11から、車両2の走行経路を含む経路情報を取得する。インフラセンサ抽出部101は、インフラ情報13から、インフラセンサ4の位置情報を含むインフラ情報を取得する。また、取得するインフラ情報は、インフラセンサ4の検出可能範囲の情報を含むこととしてもよい。インフラセンサ抽出部101は、経路情報及びインフラ情報に基づいて、車両2の走行支援のために利用可能なインフラセンサ4を抽出する。例えば、インフラセンサ抽出部101は、インフラセンサ4の位置情報に基づいて、車両2の走行経路上に位置するインフラセンサ4を特定する。インフラセンサ4は、インフラセンサ4の識別情報を用いて特定される。また、インフラセンサ抽出部101は、インフラセンサ4の検出可能範囲の情報に基づいて、検出可能範囲内に車両2の走行経路を含むインフラセンサ4を抽出し、抽出したインフラセンサ4の識別情報を取得することとしてもよい。
【0025】
スペース特定部102は、自車線上の空きスペースを特定する空きスペース特定処理を実行する。インフラセンサ制御部103によって、車両2の走行経路の路上の道路環境情報が取得された場合に、スペース特定部102は、取得した道路環境情報に基づいて、障害物よりも進行方向奥側に位置する空きスペースを特定する。例えば、スペース特定部102は、車両2に近いインフラセンサ4から順番に取得した道路環境情報に基づいて、車両2から近い順に、インフラセンサ4ごとに、インフラセンサ4の検出領域内に空きスペースがあるか否かを特定する。
【0026】
スペース特定部102は、自車線上の空きスペースを特定した場合には、空きスペースを検出したインフラセンサ4を特定する。
図2の例では、インフラセンサIS4及びインフラセンサIS5が、空きスペースを検知したインフラセンサ4として特定される。また、スペース特定部102は、空きスペースを検知したインフラセンサ4のうち、車両2に最も近いインフラセンサ4を基準インフラセンサとして特定する。
図2の例では、インフラセンサIS4が、基準インフラセンサとして特定される。
【0027】
また、スペース特定部102は、車両2の位置情報と、基準インフラセンサの位置情報とに基づいて、車両2と基準インフラセンサとの間の距離を算出してもよい。また、スペース特定部102は、車両2と基準インフラセンサとの間に位置する他のインフラセンサ4の個数を特定してもよい。例えば、
図2の例では、車両V0とインフラセンサIS4との間に位置するインフラセンサは、インフラセンサIS1~IS3であるため、スペース特定部102は、他のインフラセンサ4の個数が3つであると特定する。
【0028】
インフラセンサ制御部103は、インフラセンサ4に、設定した検出周期によって検出処理を実行させる制御信号をサーバ3に送信することで、インフラセンサ4を制御する。本実施形態では、インフラセンサ制御部103は、インフラセンサ抽出部101によって抽出された複数のインフラセンサ4それぞれの検出周期を設定する検出周期設定処理を実行する。インフラセンサ制御部103は、検出周期設定処理によって設定した検出周期によって検出処理を実行させる制御信号をサーバ3に送信する。なお、インフラセンサ制御部103は、サーバ3を介して、インフラセンサ4を制御することに限らず、インフラセンサ4に直接制御信号を送信して、インフラセンサ4を制御してもよい。以下、検出周期設定処理においてインフラセンサ4それぞれに設定される検出周期について説明する。
【0029】
インフラセンサ制御部103は、車両2の進行方向における所定範囲内にインフラセンサ4が複数存在する場合に、インフラセンサ4ごとに、車両2の走行経路の路上の環境状況を検出する検出処理の検出周期を設定する。所定範囲は、例えば、車両2が走行している道路区間である。道路区間は、地図情報に記憶されたリンクによって特定される。本実施形態では、インフラセンサ制御部103は、車両2が走行している間、車両2が新たな道路区間に進入するごとに、当該道路区間内に複数のインフラセンサ4が存在する場合、インフラセンサ4ごとに、検出周期を同一の検出周期に設定する。すなわち、空きスペースを検出する前の検出周期は、いずれのインフラセンサ4でも同一の検出周期に設定される。例えば、インフラセンサ制御部103は、インフラセンサ4の検出周期を100msecに設定する。空きスペースを検出する前の検出周期はあらかじめ設定されていることとしてもよい。
【0030】
また、インフラセンサ制御部103は、車両2が回避制御を必要とするか否かを判定し、車両2が回避制御を必要とする場合に、空きスペースを検出する前に、所定範囲内に位置する複数のインフラセンサ4それぞれの検出周期を同一の検出周期に設定してもよい。すなわち、空きスペースを検出するための検出処理における検出周期は、いずれのインフラセンサ4の検出周期も同一に設定される。
【0031】
インフラセンサ制御部103は、設定した検出周期に応じて、所定範囲内に位置する複数のインフラセンサ4に検出処理を実行させる。インフラセンサ制御部103は、車両2に近いインフラセンサ4から順番に、設定した検出周期で検出処理を実行させる。例えば、インフラセンサ制御部103は、インフラセンサ4それぞれに設定した検出周期で、車両2に近いインフラセンサ4から順番に、検出処理を行うように制御させる制御信号をサーバ3に送信する。
【0032】
インフラセンサ制御部103は、インフラセンサ4によって検出処理が実行されると、インフラセンサ4によって検出された、車両2の自車線において車両2の進行方向に位置する障害物の検出情報を取得する。また、このとき、インフラセンサ制御部103は、車両2の自車センサ22から、障害物の検出情報を取得してもよい。
【0033】
インフラセンサ制御部103は、インフラセンサ4及び/又は車両2の自車センサ22の検出情報に基づいて、障害物の有無に応じて、各インフラセンサ4の検出周期を変更する。自車線において車両2の進行方向に障害物が存在する場合には、インフラセンサ制御部103は、障害物を検出したインフラセンサ4の検出周期よりも、障害物よりも進行方向奥側の空きスペースを検出したインフラセンサ4の検出周期が短くなるように検出周期を変更する。例えば、
図2の例では、空きスペースPAを検出したインフラセンサIS4及びIS5の検出周期は、障害物を検出したインフラセンサIS1~IS3の検出周期よりも短く設定される。
【0034】
また、インフラセンサ制御部103は、空きスペースを検出したインフラセンサ4のうち、車両2に最も近いインフラセンサ4を基準インフラセンサとして、基準インフラセンサの検出周期が、基準インフラセンサ以外のインフラセンサ4の検出周期よりも短くなるように検出周期を変更することとしてもよい。本実施形態では、インフラセンサ制御部103は、基準インフラセンサの検出周期を基準検出周期に設定する。基準検出周期は、例えば、100msecである。
図2の例では、インフラセンサIS4の検出周期が基準検出周期に設定される。また、インフラセンサ制御部103は、基準インフラセンサ以外のインフラセンサ4の検出周期を基準検出周期よりも長い検出周期に変更する。例えば、基準インフラセンサ以外のインフラセンサ4の検出周期は、300msecに設定される。
【0035】
また、インフラセンサ制御部103は、基準インフラセンサよりも進行方向奥側に位置し、基準インフラセンサに隣接する隣接インフラセンサの検出周期を、基準検出周期よりも長い検出周期に設定することとしてもよい。例えば、隣接インフラセンサの検出周期は、300msecに設定される。
図2の例では、インフラセンサIS5の検出周期が、基準検出周期よりも長い検出周期に設定される。
【0036】
また、インフラセンサ制御部103は、車両2と基準インフラセンサとの間に位置する他のインフラセンサ4の検出周期を、基準検出周期よりも長い検出周期に設定することとしてもよい。
図2の例では、インフラセンサIS1~3の検出周期が、基準検出周期よりも長い検出周期に設定される。
【0037】
インフラセンサ制御部103は、基準インフラセンサよりも進行方向手前側のインフラセンサ4の検出周期が、基準インフラセンサよりも進行方向奥側のインフラセンサ4の検出周期よりも長くなるように検出周期を変更してもよい。
図2で示される例では、インフラセンサIS1~IS3及びIS5のうち、基準インフラセンサであるインフラセンサIS4よりも進行方向手前側のインフラセンサIS1~3の検出周期が、基準インフラセンサよりも進行方向奥側のインフラセンサIS5の検出周期よりも長くなるように変更される。例えば、インフラセンサIS1、IS2、IS3の検出周期はそれぞれ3sec、1sec、500secに設定され、インフラセンサIS5の検出周期は、300secに設定される。
【0038】
また、インフラセンサ制御部103は、基準インフラセンサ以外のインフラセンサ4の検出周期が、車両2に近いほど、長くなるように検出周期を変更してもよい。基準インフラセンサ以外のインフラセンサ4は、例えば、車両2と基準インフラセンサとの間に存在する複数のインフラセンサ4である。
図2で示される例では、インフラセンサIS1~IS3のうち、車両2に最も近いインフラセンサ4であるIS1の検出周期が最も長く設定され、車両2に最も遠いインフラセンサ4であるIS3の検出周期が最も短く設定される。例えば、インフラセンサIS1、IS2、IS3の検出周期はそれぞれ3sec、1sec、500secに設定される。
【0039】
また、インフラセンサ制御部103は、車両V0と基準インフラセンサとの間の距離に応じて、車両V0と基準インフラセンサとの間に位置するインフラセンサの検出周期を長くする割合を設定してもよい。例えば、インフラセンサ制御部103は、車両V0と基準インフラセンサとの間の距離が長いほど、検出周期を長くする割合を大きく設定してもよい。また、インフラセンサ制御部103は、車両V0と基準インフラセンサとの間に位置するインフラセンサの個数に応じて、車両V0と基準インフラセンサとの間に位置するインフラセンサの検出周期を長くする割合を設定してもよい。例えば、インフラセンサ制御部103は、車両V0と基準インフラセンサとの間に位置するインフラセンサの個数が多いほど、検出周期を長くする割合を大きく設定してもよい。
【0040】
インフラセンサ制御部103は、検出周期の変更後、変更した検出周期に応じて、所定範囲内に位置する複数のインフラセンサ4に検出処理を実行させる。例えば、インフラセンサ制御部103は、インフラセンサ4それぞれに設定した検出周期で検出処理を行うように制御させる制御信号をサーバ3に送信する。
【0041】
また、インフラセンサ制御部103は、インフラセンサ4から環境状況を検出した検出情報を車両2に送信するタイミングをインフラセンサ4ごとにずらして設定することとしてもよい。インフラセンサ制御部103は、所定範囲内に位置する複数のインフラセンサ4ごとに、インフラセンサ4が車両2に検出情報を送信するタイミングを設定する。インフラセンサ制御部103は、各インフラセンサ4が、設定したタイミングで車両2に検出情報を送信するように制御させる制御信号をサーバ3に送信する。
【0042】
続いて、車両2について説明する。車両2は、車載通信装置20と、自車位置取得装置21と、自車センサ22と、入力装置23と、車載コントローラ24と、走行制御装置25とを備える。車両2では、ユーザによって入力装置23に目的地の情報が入力されると、車載コントローラ24が、自車位置取得装置21から取得した車両2の位置情報及び目的地の情報に基づいて、走行経路を生成する。車載コントローラ24は、走行経路の経路情報を道路環境検出装置1に送信するとともに、走行経路に沿って車両2を走行させるための走行制御情報を演算する。
【0043】
走行制御装置25は、車載コントローラ24によって演算された走行制御情報に従って車両2の加減速や操舵を含む走行制御を実行する。車両2には、走行駆動源である電動モータおよび/または内燃機関、これら走行駆動源からの出力を駆動輪に伝達するドライブシャフトや自動変速機を含む動力伝達装置、および車輪を制動する制動装置などの駆動機構を備えられている。また、ヘッドライト、方向指示器、ハザードランプ、ワイパー等、車両2の走行に必要なその他の機器が含まれていてもよい。
【0044】
車載通信装置20は、ネットワーク5を介して、道路環境検出装置1との間で情報の送受信を行う。例えば、車載通信装置20は、車両2の経路情報を道路環境検出装置1の通信装置11に送信する。車載通信装置20は、路車間通信によって、インフラセンサ4との間で情報の送受信を行う。車載通信装置20は、インフラセンサ4からインフラセンサ4によって検出された、車両2の走行経路の路上の環境状況を含む道路環境情報を受信する。自車位置取得装置21は、車両2の現在位置を示す位置情報を取得するものであり、例えば、GPS機器を用いることができる。自車位置取得装置21は、一定の周期で、車両2の位置情報を取得する。
【0045】
自車センサ22は、車両2に搭載されたセンサであって、車両2の周囲環境の状況を検出する。自車センサ22は、例えば、カメラ、レーダ、LiDAR等の各種センサによって構成されている。自車センサ22は、車両2の周囲環境の状況を周囲環境情報として検出する。例えば、周囲環境情報は、車両2の周囲に位置する対象物の情報を含む。対象物とは、たとえば、自車両以外の自動車(他車両)、オートバイ、自転車、歩行者、道路の車線境界線、ゼブラゾーンの導流帯、センターライン、路面標識、中央分離帯、ガードレール、縁石、高速道路の側壁、道路標識、信号機、横断歩道、工事現場、事故現場、交通制限である。対象物は、車両2前方に位置する、車両2の走行を妨げる障害物を含む。自車センサ22は、障害物の位置の情報を取得する。周囲環境情報は、車両2が走行する走行経路の路上の道路環境情報を含む。
【0046】
入力装置23は、ユーザによる入力を受け付ける入力インターフェースである。入力装置23は、一又は複数の機器で構成される。例えば、入力装置23は、ユーザが入力可能なステアリングスイッチと、ユーザが音声入力可能なマイクとで構成される。入力装置23は、タッチパネル又はキーボードを備えることとしてもよい。ユーザが入力装置23に対して入力する情報は、例えば、車両2の目的地である。
【0047】
車載コントローラ24は、ハードウェア及びソフトウェアを有し、車両2の各装置を制御するコンピュータを備えており、車両2の走行を制御するためのプログラムを格納したROMと、ROMに格納されたプログラムを実行するCPUと、アクセス可能な記憶装置として機能するRAMを含むものである。なお、動作回路としては、CPUに代えて又はこれとともに、MPU、DSP、ASIC、FPGAなどを用いることができる。
【0048】
車載コントローラ24は、ROMに格納されたプログラムをCPUにより実行することにより、車両2の各機能を実現する。例えば、車載コントローラ24は、自車位置取得装置21、自車センサ22及び入力装置23から各種情報を取得し、車両2の走行を制御するための目標制御量の信号を含む走行制御情報を走行制御装置25に出力する。例えば、車載コントローラ24は、自車センサ22によって検出された検出情報に基づいて、車両2の周囲環境の状況を認識する。車載コントローラ24は、認識した周囲環境の状況に応じて車両2が走行経路に沿って走行するように目標制御量の信号を生成する。
【0049】
また、車載コントローラ24は、自車センサ22の検出情報のみならず、インフラセンサ4の検出情報に基づいて、車両2の周囲環境の状況を認識する。車載コントローラ24は、自車線上に位置する障害物が存在する場合に、これらの検出情報に基づいて、障害物を回避する回避制御が可能か否かの判定を行う。車載コントローラ24は、回避制御が可能な場合には、回避制御のための目標走行軌道及び目標車速を演算する。車載コントローラ24は、目標走行軌道及び目標車速に従って車両2を走行させるために各駆動機構を制御するための目標制御量を生成する。車載コントローラ24は、生成した目標制御量の信号を含む走行制御情報を走行制御装置25に出力する。
【0050】
走行制御装置25は、車載コントローラ24によって生成された走行制御情報に基づいて、車両2の走行を制御する。走行制御装置25は、車両2の駆動機構を制御して車両2の走行を制御する。また、走行制御装置25は、車両2の走行に応じて、ヘッドライト、方向指示器、ハザードランプ、ワイパー等、車両2の走行に必要なその他の機器を操作する。
【0051】
サーバ3は、インフラセンサ4を管理する装置である。サーバ3は、道路環境検出装置1から送信された制御信号に基づいて、複数のインフラセンサ4を制御して、インフラセンサ4によって検出された検出情報を車両2に送信する。サーバ3は、例えば、サーバコントローラ30と通信装置31とを備える。サーバコントローラ30は、ハードウェア及びソフトウェアを有するコンピュータである。サーバコントローラ30は、車両2の走行を制御するためのプログラムを格納したROMと、ROMに格納されたプログラムを実行するCPUと、アクセス可能な記憶装置として機能するRAMを含むものである。なお、動作回路としては、CPUに代えて又はこれとともに、MPU、DSP、ASIC、FPGAなどを用いることができる。
【0052】
サーバコントローラ30は、ROMに格納されたプログラムをCPUにより実行することにより、サーバ3の各機能を実現する。例えば、サーバコントローラ30は、通信装置31から、道路環境検出装置1から受信した制御信号を取得し、インフラセンサ4を制御するための制御信号を生成し、生成した制御信号をインフラセンサ4に出力する。例えば、サーバコントローラ30は、制御信号に含まれる各インフラセンサ4の検出周期に関する情報に基づいて、インフラセンサ4ごとに、設定された検出周期に応じて検出処理を実行させる制御信号を生成し、通信装置31を介して、生成した制御信号を各インフラセンサ4に送信する。通信装置31は、ネットワーク5を介して、道路環境検出装置1及びインフラセンサ4との間で情報の送受信を行う。本実施形態では、例えば、通信装置31は、道路環境検出装置1から、センサ40の検出情報を車両2に送信させる制御信号を受信する。また、通信装置31は、インフラセンサ4に、センサ40の検出情報を車両2に送信するように制御する制御信号を送信する。
【0053】
インフラセンサ4は、路上に設置される路側機等に搭載されたセンサである。インフラセンサ4は、例えば、道路付近に設置されていて、インフラセンサ4の周囲環境の状況を含む周囲環境情報を取得する。インフラセンサ4には、インフラセンサ4を識別するための識別情報が付与されている。インフラセンサ4は、サーバ3から受信した制御信号に基づいて、設定された検出周期により検出処理を実行する。インフラセンサ4は、検出した検出情報を車両2に送信する。
【0054】
インフラセンサ4は、センサ40と通信装置41とを備える。センサ40は、インフラセンサ4の周囲環境の状況を検出する。センサ40は、例えば、カメラ、レーダ、LiDAR等の各種センサによって構成されている。センサ40は、インフラセンサ4の位置を中心とした検出範囲内で周囲環境の状況を周囲環境情報として検出する。周囲環境情報は、インフラセンサ4の検出範囲に位置する対象物の情報を含む。対象物は、例えば、車両2の走行を妨げる障害物を含む。本実施形態では、車両2の走行経路の路上に設置されているインフラセンサ4は、センサ40によって、走行経路の路上の環境状況を道路環境情報として検出する。道路環境情報は、走行経路の路上に位置する障害物を含む。
【0055】
また、センサ40は、カメラによって撮像した環境状況を含む環境状況画像に基づいて、車両2とは異なる他車両の位置情報を取得することとしてもよい。インフラセンサ4は、センサ40によって取得した他車両の位置情報を、通信装置41を介して車両2に送信する。他車両は、例えば、車両2の進行方向に位置する駐車車両及び対向車線を走行する対向車両である。
【0056】
通信装置41は、ネットワーク5を介して、サーバ3及び車両2との間で情報の送受信を行う。例えば、通信装置41は、サーバ3から、検出処理を実行させる制御信号を受信する。また、通信装置41は、センサ40によって検出された道路環境情報を車両2に送信する。
【0057】
次に、
図3を用いて、本実施形態に係る道路環境検出装置によって実行される道路環境検出方法の手順の一例を説明する。
図3は、本実施形態に係る道路環境検出方法の手順の一例を示すフローチャート図である。本実施形態では、コントローラ10は、車両2から、走行経路の経路情報を取得すると、ステップS101から制御フローを開始する。
【0058】
ステップS101では、コントローラ10は、インフラセンサ抽出処理を実行する。ステップS101に進むと、コントローラ10は、インフラセンサ抽出処理として、
図4に示すサブルーチンを実行する。コントローラ10は、インフラセンサ抽出処理により、車両2の走行支援のために利用されるインフラセンサ4を抽出する。ステップS102では、コントローラ10は、車両2の回避制御が必要か否かを判定する。コントローラ10は、車両2が走行している自車線において進行方向に車両2の走行を妨げる障害物が存在する場合に、自車線上の障害物を回避するための回避制御が必要であると判定する。車両2の回避制御が必要であると判定した場合、コントローラ10は、ステップS103に進む。自車線において進行方向に障害物が存在しない場合、すなわち、車両2の回避制御が必要ではないと判定した場合、コントローラ10は、ステップS102に戻り、以下フローを繰り返す。
【0059】
ステップS103では、コントローラ10は、空きスペース特定処理を実行する。ステップS103に進むと、コントローラ10は、空きスペース特定処理として、
図5に示すサブルーチンを実行する。コントローラ10は、空きスペース特定処理により、インフラセンサ4の検出情報に基づいて、自車線上の障害物よりも進行方向奥側に位置する空きスペースを特定し、空きスペースを検出したインフラセンサ4を基準インフラセンサとして特定する。
【0060】
ステップS104では、コントローラ10は、検出周期設定処理を実行する。ステップS104に進むと、コントローラ10は、検出周期設定処理として、
図6に示すサブルーチンを実行する。コントローラ10は、検出周期設定処理により、インフラセンサ4ごとに検出周期を設定する。例えば、コントローラ10は、基準インフラセンサの検出周期を、基準インフラセンサ以外のインフラセンサ4の検出周期よりも短く設定する。ステップS105では、コントローラ10は、ステップS104で設定した検出周期でインフラセンサ4による検出処理を実行して検出情報を送信するようにサーバ3に制御信号を送信する。
【0061】
次に、
図4を用いて、本実施形態に係る道路環境検出装置によって実行されるインフラセンサ抽出処理の手順の一例を説明する。
図4は、
図3に示すステップS101で実行されるサブルーチンを示すフローチャートである。すなわち、
図4では、本実施形態の道路環境検出方法におけるインフラセンサ抽出処理に係る手順の一例が示されている。ステップS201では、コントローラ10は、車両2の走行経路の経路情報を取得する。ステップS202では、コントローラ10は、インフラ情報を取得する。ステップS203では、コントローラ10は、走行経路上のインフラセンサを抽出する。コントローラ10は、ステップS203が終了すると、
図3のステップS102に戻る。
【0062】
次に、
図5を用いて、本実施形態に係る道路環境検出装置によって実行される空きスペース特定処理の手順の一例を説明する。
図5は、
図3に示すステップS103で実行されるサブルーチンを示すフローチャートである。すなわち、
図5では、本実施形態の道路環境検出方法における空きスペース特定処理に係る手順の一例が示されている。ステップS301では、コントローラ10は、各インフラセンサから検出情報を取得する。コントローラ10は、車両2の進行方向における所定範囲内に存在する複数のインフラセンサを特定し、車両2に近いインフラセンサから順番に、複数のインフラセンサに検出処理を実行させるように制御信号をサーバ3に送信する。検出情報は、車両2の走行経路の路上の環境状況を含む道路環境情報である。ステップS302では、コントローラ10は、ステップS301で取得した道路環境情報に基づいて、空きスペースがあるか否かを判定する。
【0063】
空きスペースがあると判定した場合、コントローラ10は、ステップS303に進む。空きスペースがないと判定した場合、コントローラ10は、ステップS301に戻り、以下フローを繰り返す。ステップS303では、コントローラ10は、空きスペースを検出したインフラセンサを基準インフラセンサとして特定する。ステップS304では、コントローラ10は、車両2と基準インフラセンサとの間の距離を算出する。ステップS305では、コントローラ10は、車両2と基準インフラセンサとの間に位置するインフラセンサの個数を特定する。コントローラ10は、ステップS305が終了すると、
図3のステップS104に戻る。
【0064】
次に、
図6を用いて、本実施形態に係る道路環境検出装置によって実行される検出周期設定処理の手順の一例を説明する。
図6は、
図3に示すステップS104で実行されるサブルーチンを示すフローチャートである。すなわち、
図6では、本実施形態の道路環境検出方法における検出周期設定処理に係る手順の一例が示されている。ステップS401では、コントローラ10は、基準インフラセンサの検出周期を基準検出周期に設定する。ステップS402では、コントローラ10は、隣接インフラセンサの検出周期を基準検出周期より長く設定する。ステップS403では、コントローラ10は、車両2と基準インフラセンサの間のインフラセンサの検出周期を基準検出周期より長く設定する。コントローラ10は、ステップS403が終了すると、
図3のステップS105に戻る。
【0065】
以上のように、本実施形態では、コントローラは、車両が車両の現在位置から車両の目的地まで走行する走行経路を取得し、走行経路の路上に設置されているインフラセンサに、走行経路の路上の環境状況を検出する検出処理を実行させる。コントローラは、車両の進行方向における所定範囲内にインフラセンサが複数存在する場合に、インフラセンサごとに、検出処理の検出周期を設定し、検出周期に応じて、インフラセンサに検出処理を実行させて、車両が走行している自車線において進行方向に車両の走行を妨げる障害物が存在する場合には、障害物を検出したインフラセンサの検出周期よりも、障害物よりも進行方向奥側の空きスペースを検出したインフラセンサの検出周期が短くなるように検出周期を変更し、変更後の検出周期に応じて、インフラセンサに検出処理を実行させる。これにより、車両の進行方向に障害物が存在し、車両が障害物を回避して障害物より進行方向奥側の空きスペースに入り込む場面で、空きスペースの状況の変化を早期に正確に検出できる。
【0066】
また、本実施形態では、コントローラは、インフラセンサ及び/又は車両に搭載された車載センサを用いて、障害物の検出情報を取得する。これにより、路上のインフラセンサ及び/又は車両のセンサによって障害物を検出できる。
【0067】
また、本実施形態では、コントローラは、空きスペースを検出したインフラセンサのうち、車両に最も近いインフラセンサを基準インフラセンサとして、基準インフラセンサの検出周期が、基準インフラセンサ以外のインフラセンサの検出周期よりも短くなるように検出周期を変更する。これにより、空きスペースの状況を検出するために必要なインフラセンサに対して優先的に検出処理を実行させることができる。
【0068】
また、本実施形態では、コントローラは、空きスペースを検出したインフラセンサのうち、車両に最も近いインフラセンサを基準インフラセンサとして、基準インフラセンサ以外のインフラセンサの検出周期が、車両に近いほど、長くなるように検出周期を変更する。これにより、空きスペース周辺の検出に影響が少ないほどインフラセンサの検出処理にかかる負荷を低くことができる。
【0069】
また、本実施形態では、コントローラは、空きスペースを検出したインフラセンサのうち、車両に最も近いインフラセンサを基準インフラセンサとして、基準インフラセンサよりも進行方向手前側のインフラセンサの検出周期が、基準インフラセンサよりも進行方向奥側のインフラセンサの検出周期よりも長くなるように検出周期を変更する。これにより、空きスペース周辺の検出に影響が少ないほどインフラセンサの検出処理にかかる負荷を低くことができる。
【0070】
また、本実施形態では、コントローラは、インフラセンサから環境状況を検出した検出情報を車両に送信するタイミングをインフラセンサごとにずらして設定する。これにより、一時的な通信負荷を低減できる。
【0071】
また、本実施形態では、インフラセンサは、撮像した環境状況を含む環境状況画像に基づいて、車両とは異なる他車両の位置情報を取得し、他車両の位置情報を車両に送信する。これにより、通信負荷を低減できる。
【0072】
また、本実施形態では、コントローラは、インフラセンサによって検出した環境状況を含む検出情報に基づいて、車両の走行支援を行う。これにより、車両がインフラセンサの検出情報に基づいて走行を行うことができる。
【0073】
なお、以上に説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【符号の説明】
【0074】
100…走行支援システム
1…道路環境検出装置
10…コントローラ
101…インフラセンサ抽出部
102…スペース特定部
103…インフラセンサ制御部
2…車両
3…サーバ
4…インフラセンサ
5…ネットワーク