(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087390
(43)【公開日】2024-07-01
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20240624BHJP
【FI】
B41J2/01 125
B41J2/01 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022202191
(22)【出願日】2022-12-19
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】金子 健一郎
(72)【発明者】
【氏名】大橋 二紗夫
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA22
2C056EB30
2C056EC14
2C056FA10
2C056HA46
(57)【要約】
【課題】媒体をセットしやすい印刷装置を提供する。
【解決手段】印刷装置11は、搬送される媒体99に液体を吐出することによって印刷する印刷部16と、印刷部と対向する支持部21であって、媒体を支持する支持面22を有する支持部と、支持部から掛け渡される媒体を保持する保持部26と、媒体の搬送方向において支持部よりも下流に位置し、印刷された媒体を加熱する加熱部31と、加熱部と対向する遮熱部41と、を備え、遮熱部は、加熱部と対向する対向面43であって、支持部と案内部とに掛け渡される媒体から離れる対向面と、搬送方向の下流となる端部に、対向面から加熱部に向けて突出する突出部分46と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送される媒体に液体を吐出することによって印刷する印刷部と、
前記印刷部と対向する支持部であって、媒体を支持する支持面を有する前記支持部と、
前記支持部から掛け渡される媒体を保持する保持部と、
媒体の搬送方向において前記支持部よりも下流に位置し、印刷された媒体を加熱する加熱部と、
前記加熱部と対向する遮熱部と、を備え、
前記遮熱部は、
前記加熱部と対向する対向面であって、前記支持部と前記保持部とに掛け渡される媒体から離れる前記対向面と、
前記搬送方向の下流となる端部に、前記対向面から前記加熱部に向けて突出する突出部分と、を有することを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記突出部分は、前記対向面から前記加熱部に向けて突出する位置と、前記遮熱部において収納される位置とに変位するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記突出部分は、複数の突起によって構成されることを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記突出部分を駆動させる駆動部と、
前記駆動部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、印刷動作が開始する場合に前記突出部分を前記対向面から突出させ、印刷動作が停止する場合に前記突出部分を収納することを特徴とする請求項2に記載の印刷装置。
【請求項5】
外気の温度を測定する温度センサーと、
前記遮熱部を変位させる動力部と、を備え、
前記動力部は、前記温度センサーが測定する外気の温度に基づいて、前記加熱部と前記遮熱部との距離を変更するように前記遮熱部を変位させることを特徴とする請求項2に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記突出部分の突出量を変更する駆動部を備え、
前記駆動部は、前記加熱部と前記遮熱部との距離に基づいて、前記突出部分の突出量を変更する請求項5に記載の印刷装置。
【請求項7】
前記突出部分は、布によって構成されることを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、媒体に液体を吐出することによって印刷する印刷部と、印刷部と対向する支持部と、支持部から掛け渡される媒体を保持する保持部と、印刷された媒体を加熱する加熱部と、加熱部と対向する遮熱部とを備える印刷装置が記載されている。媒体は、支持部と保持部とに掛け渡されることによって、加熱部と遮熱部との間を通る。印刷装置は、加熱部と遮熱部との間を通る媒体を乾燥させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載される印刷装置においては、媒体を印刷装置にセットする場合に、加熱部と遮熱部との間に媒体を通す必要がある。加熱部と遮熱部との間に媒体を垂らすように送り出すことによって、遮熱部に沿って媒体が保持部に案内される。しかし、遮熱部に沿って媒体が保持部に案内される場合に、媒体の先端が遮熱部と保持部との隙間に入り込むことがある。そのため、媒体をセットしづらいという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する印刷装置は、搬送される媒体に液体を吐出することによって印刷する印刷部と、前記印刷部と対向する支持部であって、媒体を支持する支持面を有する前記支持部と、前記支持部から掛け渡される媒体を保持する保持部と、媒体の搬送方向において前記支持部よりも下流に位置し、印刷された媒体を加熱する加熱部と、前記加熱部と対向する遮熱部と、を備え、前記遮熱部は、前記加熱部と対向する対向面であって、前記支持部と前記保持部とに掛け渡される媒体から離れる前記対向面と、前記搬送方向の下流となる端部に、前記対向面から前記加熱部に向けて突出する突出部分と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図2】遮熱部が突出部分を有しない比較例を示す側面図である。
【
図3】突出部分が媒体を案内するときの側面図である。
【
図6】
図5とは異なる突出部分の別例を示す斜視図である。
【
図7】
図5及び
図6とは異なる突出部分の別例を示す斜視図である。
【
図8】印刷装置の電気的構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、印刷装置の一実施例について図を参照しながら説明する。印刷装置は、例えば、布帛、用紙などの媒体に液体の一例であるインクを吐出することによって、文字、写真、図形などの画像を記録するインクジェット式のプリンターである。
【0008】
<印刷装置>
図1に示すように、印刷装置11は、繰出部12を備える。繰出部12は、媒体99を繰り出すように構成される。繰出部12は、繰出軸13を有する。繰出軸13は、印刷前の媒体99が巻き重ねられたロール体100を保持する。繰出軸13に保持されるロール体100が回転することによって、繰出部12から媒体99が繰り出される。したがって、媒体99は、ロール体100から連続する長尺の布帛又は用紙である。
【0009】
印刷装置11は、巻取部14を備える。巻取部14は、媒体99を巻き取るように構成される。詳しくは、巻取部14は、繰出部12から繰り出された媒体99を巻き取る。巻取部14は、巻取軸15を有する。巻取軸15は、印刷後の媒体99が巻き重ねられたロール体100を保持する。巻取軸15に保持されるロール体100が回転することによって、巻取部14に媒体99が巻き取られる。
【0010】
印刷装置11は、印刷部16を備える。印刷部16は、搬送される媒体99に液体を吐出することによって媒体99に画像を印刷するように構成される。印刷部16は、媒体99が繰出部12から繰り出されてから巻取部14に巻き取られるまでの過程で、媒体99に画像を印刷する。
【0011】
印刷部16は、ヘッド17を有する。ヘッド17は、1以上のノズル18が開口するノズル面19を有する。ヘッド17は、ノズル18から液体を吐出する。
印刷部16は、キャリッジ20を有する。キャリッジ20は、ヘッド17を搭載する。キャリッジ20は、媒体99に対して走査する。キャリッジ20が走査することによって、ヘッド17は、媒体99の全幅に液体を吐出できる。このように、印刷装置11は、いわゆるシリアルプリンターである。印刷装置11は、ヘッド17が媒体99の幅にわたって一斉に液体を吐出可能なラインプリンターでもよい。
【0012】
印刷装置11は、支持部21を備える。支持部21は、媒体99を支持する。詳しくは、支持部21は、搬送される媒体99を支持する。支持部21は、媒体99を下方から支持する。支持部21は、印刷部16と対向する。したがって、媒体99のうち支持部21に支持される領域に、印刷部16から液体が吐出される。
【0013】
支持部21は、媒体99を支持する支持面22を有する。支持面22は、印刷部16と対向する面である。詳しくは、支持面22は、ノズル面19と対向する。支持面22は、媒体99と接触する。支持面22は、例えば、上方を向く。
【0014】
印刷装置11は、搬送部23を備える。搬送部23は、媒体99を搬送するように構成される。搬送部23は、媒体99を搬送方向に搬送する。搬送方向は、媒体99に沿う方向である。搬送部23は、搬送方向において、支持部21よりも上流に位置する。搬送部23は、搬送方向において、支持部21よりも下流に位置してもよい。
【0015】
搬送部23は、第1ローラー24と、第2ローラー25とを含む。第1ローラー24及び第2ローラー25は、媒体99を挟み込む状態で回転することによって媒体99を搬送する。一例では、第1ローラー24は、媒体99に対して下方から接触する。第2ローラー25は、媒体99に対して上方から接触する。
【0016】
第1ローラー24及び第2ローラー25は、媒体99を挟み込む状態と、互いに離れる状態とに切換可能に構成される。一例では、第2ローラー25は、第1ローラー24に対して変位するように構成される。詳しくは、第2ローラー25は、第1ローラー24に対して接近したり、離れたりする。例えば、第2ローラー25は、
図1において実線で示す位置と2点鎖線で示す位置とに変位する。第2ローラー25が変位することによって、第1ローラー24及び第2ローラー25の状態が切り換わる。
図1において実線で示す位置に第2ローラー25が位置する場合に、第1ローラー24及び第2ローラー25が媒体99を挟み込む。
図1において2点鎖線で示す位置に第2ローラー25が位置する場合に、第1ローラー24及び第2ローラー25が互いに離れる。第2ローラー25が変位することに限らず、第1ローラー24が変位してもよいし、双方が変位してもよい。
【0017】
第1ローラー24及び第2ローラー25の状態は、自動で切り換えられてもよい。例えば、第1ローラー24及び第2ローラー25の状態は、印刷動作に合わせて切り換えられてもよい。第1ローラー24及び第2ローラー25は、印刷動作が開始される場合に、媒体99を挟み込んでもよい。第1ローラー24及び第2ローラー25は、印刷動作が停止する場合に、互いに離れてもよい。印刷動作が開始される場合とは、例えば、ユーザーが操作部61を操作することによって、印刷装置11に印刷指示を与える場合である。印刷動作が停止する場合とは、例えば、媒体99への印刷が完了したタイミング、エラーによって媒体99への印刷が停止したタイミング、エラーによって媒体99の搬送が停止したタイミングなどである。
【0018】
第1ローラー24及び第2ローラー25の状態は、手動で切り換えられてもよい。例えば、後述する操作部61をユーザーが操作することによって、電気的、又は、機械的に第1ローラー24及び第2ローラー25の状態が切り換えられる。電気的に状態が切り換えられるとは、例えば、操作部61を操作することによって発信される電気信号をもとに状態が切り換えられることである。機械的に状態が切り換えられるとは、操作部61と連結される輪列、リンク機構などによって状態が切り換えられることである。
【0019】
印刷装置11は、保持部26を備える。保持部26は、搬送方向において支持部21よりも下流に位置する。保持部26は、媒体99を保持するように構成される。保持部26は、支持部21から掛け渡される媒体99を保持する。したがって、保持部26は、印刷後の媒体99を保持する。保持部26は、媒体99を巻取部14に案内する。
【0020】
保持部26が媒体99を保持することによって、媒体99は、支持部21と保持部26とに懸架される。媒体99のうち支持部21と保持部26とに懸架された部分は、印刷装置11において空中に位置する。
【0021】
保持部26は、支持部21と巻取部14との間で保持部26に媒体99が巻き掛けられることによって、媒体99を保持する。保持部26は、媒体99が巻き掛けられるガイドバーで構成される。保持部26は、例えば、搬送部23と同様に、媒体99を挟み込むことによって媒体99を保持してもよい。すなわち、保持部26は、媒体99を挟み込むローラー対で構成されてもよい。
【0022】
保持部26は、媒体99に加わるテンションを調整してもよい。巻取部14の巻取速度が速い場合、媒体99には比較的大きいテンションが加わる。この場合、媒体99に皺が生じることによって印刷品質が低下するおそれがある。そのため、保持部26は、媒体99に加わるテンションを低減するように変位してもよい。巻取部14の巻取速度が遅い場合、媒体99には比較的小さいテンションが加わる。この場合、媒体99が弛むことによって印刷品質が低下するおそれがある。そのため、保持部26は、媒体99に加わるテンションを増大するように変位してもよい。このように、保持部26は、媒体99に加わるテンションを調整するテンションバーで構成されてもよい。
【0023】
印刷装置11は、加熱部31を備える。加熱部31は、媒体99を加熱するように構成される。加熱部31は、印刷後の媒体99を加熱する。加熱部31は、搬送方向において支持部21よりも下流に位置する。詳しくは、加熱部31は、搬送方向において支持部21と保持部26との間に位置する。したがって、加熱部31は、媒体99のうち支持部21と保持部26との間に位置する部分を加熱する。すなわち、加熱部31は、媒体99のうち支持部21と保持部26とに懸架される部分を加熱する。加熱部31は、媒体99を加熱することによって、媒体99を乾燥させる。これにより、液体が媒体99に定着しやすくなるため、媒体99の印刷品質が向上する。
【0024】
加熱部31は、加熱体32を有する。加熱体32は、媒体99を加熱する。加熱体32は、例えば、赤外線ヒーターである。
加熱部31は、反射板33を有してもよい。反射板33は、加熱体32から放射される赤外線を媒体99に向けて反射する。これにより、加熱体32による加熱効率が向上する。
【0025】
加熱部31は、加熱ケース34を有する。加熱ケース34は、加熱体32を収容する。加熱ケース34は、反射板33を収容する。加熱ケース34は、媒体99に向かって開口する。
【0026】
印刷装置11は、遮熱部41を備える。遮熱部41は、搬送方向において支持部21よりも下流に位置する。詳しくは、遮熱部41は、搬送方向において支持部21と保持部26との間に位置する。遮熱部41は、加熱部31と対向する。これにより、遮熱部41は、加熱部31による熱を遮断する。加熱部31と遮熱部41との間を媒体99が通過する。加熱部31から生じる熱を遮熱部41が遮断することによって、媒体99が効果的に加熱される。遮熱部41は、加熱部31から生じる熱を遮断することによって、媒体99以外の要素に熱が及ぶおそれを低減する。
【0027】
遮熱部41は、遮熱板42を有する。遮熱板42は、板金で構成される。遮熱板42は、加熱部31と対向する対向面43を有する。遮熱板42は、上流端部44と、下流端部45とを有する。上流端部44は、搬送方向において遮熱板42の上流に位置する端部である。上流端部44は、支持部21の近傍に位置する。下流端部45は、搬送方向において遮熱板42の下流に位置する端部である。下流端部45は、保持部26の近傍に位置する。
【0028】
遮熱板42は、媒体99のうち支持部21と保持部26とに掛け渡された部分に沿って延びるように位置する。遮熱板42は、媒体99のうち支持部21と保持部26とに掛け渡された部分に対して平行に延びる。一例では、遮熱板42は、上流端部44から下流端部45に向けて斜め下方に延びる。
【0029】
遮熱板42は、媒体99のうち支持部21と保持部26とに掛け渡された部分から離れるように位置する。詳しくは、対向面43は、媒体99のうち支持部21と保持部26とに掛け渡された部分から離れる。そのため、遮熱板42と媒体99との間には、空間A1が形成される。遮熱板42と媒体99との間に空間A1が確保されることによって、遮熱板42に結露が生じにくくなる。
【0030】
加熱部31が媒体99を加熱することによって、媒体99から液体が蒸発する。液体には、水、溶剤などの溶媒が含まれる。そのため、加熱部31が媒体99を加熱することによって、媒体99の周囲に蒸気が生じる。遮熱板42が媒体99に接触する場合、媒体99から生じた蒸気によって遮熱板42に結露が生じやすい。これは、遮熱板42と媒体99との間の飽和蒸気量によって、遮熱板42における結露の生じやすさが決まるためである。すなわち、空間A1が確保されることによって、遮熱板42と媒体99との間の飽和蒸気量が大きくなる。これにより、遮熱板42に結露が生じにくくなる。空間A1の体積が大きいほど、遮熱板42に結露がより生じにくくなる。遮熱板42に結露が生じると、結露した液体が遮熱板42から床面に垂れたり、媒体99に付着したりするおそれがある。
【0031】
遮熱部41は、突出部分46を有する。突出部分46は、対向面43から加熱部31に向けて突出する。突出部分46は、遮熱板42から突出する。突出部分46は、搬送方向において遮熱部41の下流となる端部に位置する。詳しくは、突出部分46は、搬送方向において下流端部45に位置する。
【0032】
図2に示すように、媒体99のセット時においては、加熱部31と遮熱部41との間を、媒体99に通過させる必要がある。媒体99のセット時において、ユーザーは、支持部21から媒体99を垂らすことによって、加熱部31と遮熱部41との間に媒体99を差し入れる。媒体99は、遮熱板42に沿って対向面43上を滑り落ちることによって、加熱部31と遮熱部41との間を通過する。このように、遮熱部41が媒体99を案内することによって、媒体99がセットされる。しかし、遮熱部41と媒体99との間に空間A1が形成されているため、遮熱板42に沿って媒体99が滑り落ちることによって、媒体99の先端が遮熱部41と保持部26との間に入り込むおそれがある。
【0033】
図3に示すように、突出部分46は、遮熱板42に案内される媒体99の先端を掬い上げる。すなわち、突出部分46は、対向面43上を滑り落ちる媒体99の先端を保持部26に向けて持ち上げる。これにより、媒体99のセット時に、媒体99の先端が遮熱部41と保持部26との間に入り込むおそれが低減される。したがって、媒体99がセットしやすい。
【0034】
突出部分46は、対向面43から緩やかに傾斜又は湾曲するように突出することが好ましい。こうすると、媒体99の先端が保持部26に案内しやすい。突出部分46は、例えば、対向面43から垂直に突出してもよい。この場合、突出部分46は、媒体99の先端を遮熱部41と保持部26との間に入り込むおそれを低減できる。したがって、媒体99の先端を遮熱部41と保持部26との間に入り込む場合と比べて、媒体99がセットしやすい。
【0035】
突出部分46が対向面43から突出することによって、空間A1の通気性が低下するおそれがある。空間A1の通気性が低いと、空間A1に蒸気が溜まりやすい。そのため、空間A1の通気性が低いと、遮熱部41に結露が生じやすい。したがって、結露を抑制するためには、空間A1の体積を大きくする他に、空間A1の通気性をよくすることも考えられる。
【0036】
図4に示すように、突出部分46に、1以上のスリット47が形成されていてもよい。すなわち、突出部分46は、櫛歯状に形成されていてもよい。突出部分46にスリット47が形成される場合、突出部分46にスリット47が形成されない場合と比べて、空間A1の通気性が向上する。これにより、遮熱部41に結露が生じにくくなる。
【0037】
図5に示すように、突出部分46に、1以上の貫通穴48が開口していてもよい。突出部分46に貫通穴48が開口する場合、突出部分46に貫通穴48が開口しない場合と比べて、空間A1の通気性が向上する。これにより、遮熱部41に結露が生じにくくなる。
【0038】
図6に示すように、突出部分46は、布49によって構成されてもよい。例えば、突出部分46は、布49と、布49を保持する第1軸50と、布49を保持する第2軸51とを有してもよい。第1軸50は、対向面43上に位置する。第2軸51は、対向面43から離れた位置に位置する。布49は、第1軸50と第2軸51とに懸架される。この場合、布49を通じて空間A1が換気される。そのため、突出部分46が布49で構成される場合、突出部分46が樹脂、金属などで構成される場合と比べて、空間A1の通気性が向上する。これにより、遮熱部41に結露が生じにくくなる。
【0039】
図7に示すように、突出部分46は、複数の突起53によって構成されてもよい。例えば、突起53は、円錐状に延びる。複数の突起53は、対向面43から突出する。複数の突起53は、遮熱板42の全幅にわたって並ぶ。複数の突起53は、搬送方向において並ぶ。搬送方向において、複数の突起53のうち上流に位置する突起53の突出量よりも下流に位置する突起53の突出量が大きいとよい。こうすると、突出部分46は、媒体99の先端を掬い上げやすい。
【0040】
図1に示すように、突出部分46は、対向面43から突出する位置と、遮熱部41において収納される位置とに変位するように構成されてもよい。突出部分46は、例えば、フラップである。突出部分46は、例えば、その基端を軸に回転することによって、変位する。突出部分46は、
図1において実線で示す位置に位置する場合に、対向面43から突出する。突出部分46は、
図1において2点鎖線で示す位置に位置する場合に、収納される。一例では、突出部分46は、遮熱板42に収納される。突出部分46は、収納されることによって、対向面43から突出しない。
【0041】
突出部分46が対向面43から突出する場合、突出部分46が対向面43から突出しない場合と比べて、少なからず空間A1の体積が小さくなる。また、突出部分46が対向面43から突出する場合、突出部分46が対向面43から突出しない場合と比べて、空間A1の通気性が低下する。したがって、突出部分46が対向面43から突出する場合、突出部分46が対向面43から突出しない場合と比べて、遮熱部41に結露が生じやすくなる。
【0042】
媒体99のセット時において、突出部分46が対向面43から突出する位置に位置することによって、媒体99をセットしやすくできる。印刷時において、突出部分46が対向面43から突出しない位置に位置することによって、遮熱部41に結露を生じにくくできる。このように、突出部分46が可変に構成されることによって、媒体99のセットのしやすさを確保しつつ、遮熱部41に結露を生じにくくできる。
【0043】
突出部分46は、ユーザーの操作によって手動で変位してもよい。突出部分46は、例えば、ユーザーが操作部61を操作することによって変位してもよい。突出部分46は、例えば、ユーザーが突出部分46に触れることによって変位させられてもよい。
【0044】
突出部分46は、印刷装置11の制御によって自動で変位してもよい。突出部分46は、例えば、印刷動作が開始される場合に自動で収納されてもよい。突出部分46は、例えば、印刷動作が停止する場合に自動で突出してもよい。
【0045】
突出部分46は、例えば、第1ローラー24及び第2ローラー25の状態と連動してもよい。第1ローラー24及び第2ローラー25が媒体99を挟み込む場合に、突出部分46は、収納されてもよい。第1ローラー24及び第2ローラー25が互いに離れる場合に、突出部分46は、対向面43から突出してもよい。
【0046】
突出部分46は、その突出量が多段階で変化するように変位してもよい。一例では、突出部分46の仰角を多段階で変化させることによって、突出部分46の突出量が多段階で変化する。例えば、突出部分46が媒体99を保持部26に案内しやすくなるように、媒体99の種別に応じて突出部分46の突出量を変化させてもよい。
【0047】
<電気的構成>
次に、印刷装置11の電気的構成について説明する。
図8に示すように、印刷装置11は、操作部61を備える。操作部61は、印刷装置11を操作するための構成である。ユーザーは、操作部61を通じて印刷装置11を操作する。操作部61は、例えば、タッチパネルである。操作部61は、ボタン、レバー、スイッチなどでもよい。ユーザーは、操作部61を操作することによって、印刷装置11に印刷動作を開始させる。ユーザーは、操作部61を操作することによって、突出部分46を変位させてもよい。
【0048】
印刷装置11は、駆動部62を備えてもよい。駆動部62は、突出部分46を駆動させるように構成される。駆動部62は、例えば、モーターを含む。駆動部62は、突出部分46を駆動させることによって、対向面43から突出する位置と収納させる位置とに変位させる。駆動部62は、突出部分46を駆動させることによって、突出部分46の突出量を変更する。駆動部62は、印刷装置11が印刷動作を開始する場合に、突出部分46を収納してもよい。駆動部62は、印刷装置11が印刷動作を停止する場合に、突出部分46を対向面43から突出させてもよい。
【0049】
印刷装置11は、温度センサー63を備えてもよい。温度センサー63は、外気の温度を検出するセンサーである。すなわち、温度センサー63は、印刷装置11が設置される環境の温度を検出する。外気の温度が低い場合、結露が生じやすい。これは、外気の温度が低い場合、空気中の飽和蒸気量が小さくなるためである。温度センサー63によって、遮熱部41に結露が生じやすい環境か否かを印刷装置11及びユーザーは把握できる。
【0050】
印刷装置11は、動力部64を備えてもよい。動力部64は、遮熱部41を変位させるように構成される。詳しくは、動力部64は、遮熱板42を変位させる。動力部64は、例えば、モーターを含む。動力部64は、遮熱板42に対して加熱部31に接近させたり、離したりする。これにより、遮熱板42と加熱部31との距離が変化する。その結果、空間A1の体積が変化する。すなわち、遮熱板42が加熱部31に接近することによって、空間A1の体積が小さくなる。遮熱板42が加熱部31から離れることによって、空間A1の体積が大きくなる。このように、動力部64が遮熱板42を変位させることによって、空間A1の飽和蒸気量を変化させることができる。したがって、例えば、遮熱板42に結露が生じやすい環境、例えば外気の温度が低い場合には、動力部64は、遮熱部41を加熱部31から離すように変位させるとよい。
【0051】
印刷装置11は、制御部65を備える。制御部65は、印刷装置11の各種構成を制御する。制御部65は、例えば、繰出部12、巻取部14、印刷部16、搬送部23、加熱部31、駆動部62、動力部64などを制御する。
【0052】
制御部65は、コンピュータープログラムにしたがって各種処理を実行する1つ以上のプロセッサーで構成されてもよい。制御部65は、各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行するASICなどの1つ以上の専用のハードウェア回路で構成されてもよい。制御部65は、プロセッサー、ハードウェア回路などの組み合わせを含む回路で構成されてもよい。プロセッサーは、CPU、並びに、RAM及びROMなどのメモリーを含む。メモリーは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコード、又は、指令を格納する。メモリー、すなわちコンピューター可読媒体は、汎用又は専用のコンピューターでアクセスできるあらゆる可読媒体を含む。
【0053】
図1に示すように、制御部65は、動力部64を制御することによって、実線で示す位置と2点鎖線で示す位置との間で遮熱部41を変位させる。実線で示す位置に遮熱部41が位置する場合、2点鎖線で示す位置に遮熱部41が位置する場合と比べて、遮熱部41と加熱部31との距離が小さい。制御部65は、温度センサー63の検出結果に基づいて、遮熱部41を変位させる。制御部65は、外気の温度が低い場合に、外気の温度が高い場合に、遮熱部41と加熱部31との距離が小さくなるように遮熱部41を変位させる。これにより、遮熱部41に結露が生じにくくなる。
【0054】
遮熱部41が変位することによって遮熱部41と加熱部31との距離が大きくなると、突出部分46によって媒体99を保持部26に案内できなくなるおそれがある。すなわち、遮熱部41と加熱部31との距離が大きくなると、突出部分46の突出量が不足するおそれがある。
【0055】
制御部65は、遮熱部41と加熱部31との距離に基づいて、駆動部62を制御してもよい。すなわち、制御部65は、遮熱部41と加熱部31との距離に基づいて、突出部分46の突出量を変更してもよい。制御部65は、例えば、動力部64が含むエンコーダーから遮熱部41と加熱部31との距離を取得する。制御部65は、遮熱部41と加熱部31との距離が大きい場合に、遮熱部41と加熱部31との距離が小さい場合と比べて、突出部分46の突出量を大きくする。これにより、遮熱部41と加熱部31との距離に応じて、突出部分46が媒体99を適切に保持部26に案内できる。
【0056】
制御部65は、媒体99のセット時に、遮熱部41を加熱部31に接近させてもよい。これにより、突出部分46の突出量を変化させずとも、突出部分46が媒体99を適切に保持部26にガイドできる。制御部65は、印刷時に、遮熱部41を加熱部31から離してもよい。これにより、印刷時において空間A1の体積が大きくなるため、遮熱部41に結露が生じにくくなる。
【0057】
<作用及び効果>
次に、上記実施形態の作用及び効果について説明する。
(1)遮熱部41は、下流端部45に、対向面43から加熱部31に向けて突出する突出部分46を有する。上記構成によれば、媒体99を印刷装置11にセットする場合に、加熱部31と遮熱部41との間に媒体99を垂らすように送り出すことによって突出部分46によって、媒体99が加熱部31に接近するように持ち上げられる。これにより、媒体99の先端が遮熱部41と保持部26との間に入り込むおそれが低減される。したがって、媒体99がセットしやすくなる。
【0058】
(2)突出部分46は、対向面43から加熱部31に向けて突出する位置と、遮熱部41において収納される位置とに変位するように構成される。
加熱部31が媒体99を加熱することによって、媒体99から液体が蒸発する。媒体99から蒸発した蒸気は、媒体99と遮熱部41との間に滞留しやすい。そのため、媒体99から蒸発した蒸気が遮熱部41に結露するおそれがある。
【0059】
支持部21と保持部26とに媒体99が掛け渡されることによって、媒体99と対向面43との間に空間A1が生じる。この空間A1が大きいほど飽和蒸気量が大きくなるため、媒体99から蒸発した液体が遮熱部41に結露するおそれが低減される。
【0060】
上記構成によれば、突出部分46が変位することによって、媒体99と遮熱部41との間の空間A1に生じる体積が大きくなったり小さくなったりする。突出部分46が対向面43から突出する場合、突出部分46が収納される場合と比べて、空間A1の体積が小さくなる。この場合、空間A1の飽和蒸気量が小さくなるため、媒体99から蒸発した液体が遮熱部41に結露しやすくなる。したがって、例えば、媒体99をセットする場合には、突出部分46を対向面43から突出させることによって、遮熱部41が媒体99を保持部26に案内できる。また、例えば、媒体99を加熱する場合には、突出部分46を収納することによって、媒体99から蒸発した液体が遮熱部41に結露しにくくできる。その他、突出部分46を収納することによって、空間A1が換気されやすくなる。これにより、媒体99から蒸発した液体が遮熱部41に結露しにくくできる。
【0061】
(3)突出部分46は、複数の突起53によって構成される。
加熱部31が媒体99を加熱することによって、媒体99から液体が蒸発する。媒体99から蒸発した蒸気は、媒体99と遮熱部41との間に滞留しやすい。そのため、媒体99から蒸発した蒸気が遮熱部41に結露するおそれがある。
【0062】
上記構成によれば、複数の突起53同士の隙間を通じて、媒体99と遮熱部41との間の空間A1が換気されやすい。したがって、媒体99から蒸発した蒸気が遮熱部41に結露するおそれが低減される。
【0063】
(4)制御部65は、印刷動作が開始する場合に突出部分46を対向面43から突出させ、印刷動作が停止する場合に突出部分46を収納する。
上記構成によれば、印刷動作に合わせて突出部分46が自動で変位するため、ユーザーが手動で突出部分46を変位させる場合と比べて、ユーザーの利便性が向上する。
【0064】
(5)動力部64は、温度センサー63が測定する外気の温度に基づいて、加熱部31と遮熱部41との距離を変更するように遮熱部41を変位させる。
上記構成によれば、遮熱部41を変位させることによって、空間A1の体積が変化する。例えば、外気の温度が低い場合、大気中の飽和蒸気量が小さくなる。そのため、外気の温度が低い場合、媒体99から蒸発した蒸気が遮熱部41に結露しやすくなる。したがって、外気の温度が低い場合に、加熱部31と遮熱部41との距離を大きくするように遮熱部41を変位させることによって、媒体99から蒸発した蒸気が遮熱部41に結露しにくくなる。
【0065】
(6)駆動部62は、加熱部31と遮熱部41との距離に基づいて、突出部分46の突出量を変更する。
媒体99がセットされる場合に、加熱部31と遮熱部41との距離が大きいと、媒体99の先端が遮熱部41と保持部26との隙間に入り込みやすくなる。そのため、例えば、加熱部31と遮熱部41との距離が大きいほど突出部分46の突出量を大きくすることによって、媒体99の先端が遮熱部41と保持部26との隙間に入り込みにくくなる。したがって、上記構成によれば、加熱部31と遮熱部41との距離が変更された場合でも、突出部分46によって媒体99を保持部26に案内できる。
【0066】
媒体99がセットされる場合に、加熱部31と遮熱部41との距離が大きいと、媒体99の先端が遮熱部41と保持部26との隙間に入り込みやすくなる。そのため、例えば、加熱部31と遮熱部41との距離が大きいほど突出部分46の突出量を大きくすることによって、媒体99の先端が遮熱部41と保持部26との隙間に入り込みにくくなる。したがって、上記構成によれば、加熱部31と遮熱部41との距離が変更された場合でも、突出部分46によって媒体99を保持部26に案内できる。
【0067】
(7)突出部分46は、布49によって構成される。
上記構成によれば、布49を通じて、媒体99と遮熱部41との間の空間A1が換気される。したがって、媒体99から蒸発した蒸気が遮熱部41に結露するおそれが低減される。
【0068】
<変更例>
上記実施例は、以下のように変更して実施できる。上記実施例及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施できる。
【0069】
・遮熱板42は、ユーザーが直接触れることによって変位させられてもよい。
・ヘッド17が吐出する液体はインクに限らず、例えば機能材料の粒子が液体に分散又は混合されてなる液状体などでもよい。例えば、ヘッド17が液晶ディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ及び面発光ディスプレイの製造などに用いられる電極材又は画素材料などの材料を分散又は溶解のかたちで含む液状体を吐出してもよい。
【0070】
<技術的思想>
以下に、上述した実施形態及び変更例から把握される技術的思想及びその作用効果を記載する。
【0071】
(A)印刷装置は、搬送される媒体に液体を吐出することによって印刷する印刷部と、前記印刷部と対向する支持部であって、媒体を支持する支持面を有する前記支持部と、前記支持部から掛け渡される媒体を保持する保持部と、媒体の搬送方向において前記支持部よりも下流に位置し、印刷された媒体を加熱する加熱部と、前記加熱部と対向する遮熱部と、を備え、前記遮熱部は、前記加熱部と対向する対向面であって、前記支持部と前記保持部とに掛け渡される媒体から離れる前記対向面と、前記搬送方向の下流となる端部に、前記対向面から前記加熱部に向けて突出する突出部分と、を有する。
【0072】
上記構成によれば、媒体を印刷装置にセットする場合に、加熱部と遮熱部との間に媒体を垂らすように送り出すことによって突出部分によって、媒体が加熱部に接近するように持ち上げられる。これにより、媒体の先端が遮熱部と保持部との間に入り込むおそれが低減される。したがって、媒体がセットしやすくなる。
【0073】
(B)上記印刷装置において、前記突出部分は、前記対向面から前記加熱部に向けて突出する位置と、前記遮熱部において収納される位置とに変位するように構成されてもよい。
【0074】
加熱部が媒体を加熱することによって、媒体から液体が蒸発する。媒体から蒸発した蒸気は、媒体と遮熱部との間に滞留しやすい。そのため、媒体から蒸発した蒸気が遮熱部に結露するおそれがある。
【0075】
支持部と保持部とに媒体が掛け渡されることによって、媒体と対向面との間に空間が生じる。この空間が大きいほど飽和蒸気量が大きくなるため、媒体から蒸発した液体が遮熱部に結露するおそれが低減される。
【0076】
上記構成によれば、突出部分が変位することによって、媒体と遮熱部との間の空間に生じる体積が大きくなったり小さくなったりする。突出部分が対向面から突出する場合、突出部分が収納される場合と比べて、空間の体積が小さくなる。この場合、空間の飽和蒸気量が小さくなるため、媒体から蒸発した液体が遮熱部に結露しやすくなる。したがって、例えば、媒体をセットする場合には、突出部分を対向面から突出させることによって、遮熱部が媒体を保持部に案内できる。また、例えば、媒体を加熱する場合には、突出部分を収納することによって、媒体から蒸発した液体が遮熱部に結露しにくくできる。
【0077】
(C)上記印刷装置において、前記突出部分は、複数の突起によって構成されてもよい。
加熱部が媒体を加熱することによって、媒体から液体が蒸発する。媒体から蒸発した蒸気は、媒体と遮熱部との間に滞留しやすい。そのため、媒体から蒸発した蒸気が遮熱部に結露するおそれがある。上記構成によれば、複数の突起同士の隙間を通じて、媒体と遮熱部との間の空間が換気されやすい。したがって、媒体から蒸発した蒸気が遮熱部に結露するおそれが低減される。
【0078】
(D)上記印刷装置は、前記突出部分を駆動させる駆動部と、前記駆動部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、印刷動作が開始する場合に前記突出部分を前記対向面から突出させ、印刷動作が停止する場合に前記突出部分を収納してもよい。上記構成によれば、印刷動作に合わせて突出部分が自動で変位するため、ユーザーが手動で突出部分を変位させる場合と比べて、ユーザーの利便性が向上する。
【0079】
(E)上記印刷装置は、外気の温度を測定する温度センサーと、前記遮熱部を変位させる動力部と、を備え、前記動力部は、前記温度センサーが測定する外気の温度に基づいて、前記加熱部と前記遮熱部との距離を変更するように前記遮熱部を変位させてもよい。
【0080】
上記構成によれば、遮熱部を変位させることによって、空間の体積が変化する。例えば、外気の温度が低い場合、大気中の飽和蒸気量が小さくなる。そのため、外気の温度が低い場合、媒体から蒸発した蒸気が遮熱部に結露しやすくなる。したがって、外気の温度が低い場合に、加熱部と遮熱部との距離を大きくするように遮熱部を変位させることによって、媒体から蒸発した蒸気が遮熱部に結露しにくくなる。
【0081】
(F)上記印刷装置は、前記突出部分の突出量を変更する駆動部を備え、前記駆動部は、前記加熱部と前記遮熱部との距離に基づいて、前記突出部分の突出量を変更してもよい。媒体がセットされる場合に、加熱部と遮熱部との距離が大きいと、媒体の先端が遮熱部と保持部との隙間に入り込みやすくなる。そのため、例えば、加熱部と遮熱部との距離が大きいほど突出部分の突出量を大きくすることによって、媒体の先端が遮熱部と保持部との隙間に入り込みにくくなる。したがって、上記構成によれば、加熱部と遮熱部との距離が変更された場合でも、突出部分によって媒体を保持部に案内できる。
【0082】
(G)上記印刷装置において、前記突出部分は、布によって構成されてもよい。
上記構成によれば、布を通じて、媒体と遮熱部との間の空間が換気される。したがって、媒体から蒸発した蒸気が遮熱部に結露するおそれが低減される。
【符号の説明】
【0083】
A1…空間、11…印刷装置、12…繰出部、13…繰出軸、14…巻取部、15…巻取軸、16…印刷部、17…ヘッド、18…ノズル、19…ノズル面、20…キャリッジ、21…支持部、22…支持面、23…搬送部、24…第1ローラー、25…第2ローラー、26…保持部、31…加熱部、32…加熱体、33…反射板、34…加熱ケース、41…遮熱部、42…遮熱板、43…対向面、44…上流端部、45…下流端部、46…突出部分、47…スリット、48…貫通穴、49…布、50…第1軸、51…第2軸、53…突起、61…操作部、62…駆動部、63…温度センサー、64…動力部、65…制御部、99…媒体、100…ロール体。