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  • 特開-着脱自在な牽引具 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087392
(43)【公開日】2024-07-01
(54)【発明の名称】着脱自在な牽引具
(51)【国際特許分類】
   B62B 5/00 20060101AFI20240624BHJP
【FI】
B62B5/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022202193
(22)【出願日】2022-12-19
(71)【出願人】
【識別番号】000245830
【氏名又は名称】矢崎化工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174207
【弁理士】
【氏名又は名称】筬島 孝夫
(72)【発明者】
【氏名】門脇 浩美
(72)【発明者】
【氏名】澤 陽介
(72)【発明者】
【氏名】松本 浩介
(72)【発明者】
【氏名】澤村 詩音
【テーマコード(参考)】
3D050
【Fターム(参考)】
3D050AA01
3D050BB03
3D050DD01
3D050EE08
3D050EE15
3D050KK02
(57)【要約】
【課題】台車を牽引したいときだけ台車に取り付けて使用できる低コストで簡便な牽引具であって、複数の台車を連結しても内輪差が少ない牽引を可能にした既存台車に着脱自在な牽引具を提供する。
【解決手段】前後に並ぶ台車1間に対し着脱自在な牽引具であって、向かい合う一対の開口部23を有するアームケース2と、前記アームケース2の両端部20近傍に設けられた対角線に位置する軸3を、前記開口部23を通ってX字状に回転フリー状態で連結する牽引アーム4と、前記一対のアームケース2の各外側面21に設けられた台車1への着脱が自在な連結片5とで構成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後に並ぶ台車間に対し着脱自在な牽引具であって、
向かい合う一対の開口部を有するアームケースと、
前記アームケースの両端部近傍に設けられた対角線に位置する軸を、前記開口部を通ってX字状に回転フリー状態で連結する牽引アームと、
前記一対のアームケースの各外側面に設けられて前記台車への着脱が自在な連結片と、
で成ることを特徴とする着脱自在な牽引具。
【請求項2】
前記アームケースの上方向に、把持用の取っ手が設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の着脱自在な牽引具。
【請求項3】
前記牽引アームが、伸縮して前記アームケース内で収容自在に構成されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の着脱自在な牽引具。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、台車を牽引したいときだけ台車に取り付けて使用できるようにした着脱自在な牽引具に関し、更に言えば、複数の台車を連結しても、コーナーを曲がるときの内輪差を少なく出来る着脱自在な牽引具の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
台車を牽引したい場合、台車の前部から突出するバーと後部に連結金具が付いた牽引用具付き台車が一般的である。しかし、そのような構成では複数台を連結すると、内輪差の問題で狭い通路のコーナーを曲がれないため、連結をやめて単体にして運ぶ等、搬送効率が悪い場合があった。また、牽引具が台車から出っ張り保管場所を広く確保する必要もある。
そのため、牽引具が付かない既存の台車に後から牽引可能にできる牽引具の技術としては、下記特許文献1の牽引治具がある。同文献1の請求項1には、前後左右のうちの左又は右側が開口した略コの字形の形状を有するとともに被牽引台車を内側に収容する牽引治具本体に車輪を設け、牽引治具本体の前部には牽引車と係合する係合部を設け、牽引治具本体と被牽引台車とを連結する連結手段を設けた牽引治具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平06-51044号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1の牽引具は、キャスター付きのコの字形の牽引具の内部に既存の台車を収容して、牽引具の前部から突出するバーと後部の連結金具とで牽引する形態なので、コーナーでの内輪差の解消は難しい。
また、既存台車を改造する手間が避けられる牽引具ではあるが、それなりに強度があるコの字形のキャスターを持つ枠を製作するので、製造コストもかかり、既存台車を囲む牽引治具となる事から大型となり、保管場所が別途必要になる等のデメリットも多く、これが解決すべき課題となっている。
【0005】
したがって、本発明の目的は、台車を牽引したいときだけ台車へ取付けて使用できる自在性を有し、低コストで製造できる簡便な牽引具であって、複数の台車を連結しても内輪差が少ない牽引を可能にした既存台車に着脱自在な牽引具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決する手段として、請求項1に記載した発明は、前後に並ぶ台車1間に対し着脱自在な牽引具であって、
向かい合う一対の開口部23を有するアームケース2と、
前記アームケース2の両端部20近傍に設けられた対角線に位置する軸3を、前記開口部23を通ってX字状に回転フリー状態で連結する牽引アーム4と、
前記一対のアームケース2の各外側面21に設けられて前記台車1への着脱が自在な連結片5と、
で成ることを特徴とする着脱自在な牽引具である。
【0007】
請求項2に記載した発明は、前記アームケース2の上方向に、把持用の取っ手6が設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の着脱自在な牽引具である。
【0008】
請求項3に記載した発明は、前記牽引アーム4が、伸縮して前記アームケース2内で収容自在に構成されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の着脱自在な牽引具である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の着脱自在な牽引具によれば、以下の効果を奏する。
(1)牽引具が付いていない既存の台車に後付けできる。その際、連結片によって簡単に既存台車に取り付けられる。
(2)回転フリー状態でX字状に牽引アームが連結されているため、台車を数台連結しても内輪差を少なくでき、狭い通路でも連結して運べる。
(3)各アームケース上に取っ手が設けられているので、牽引具を持ち易く運び易いし、台車への取り付けが容易である。しかも、手を挟まないように安全面も考慮した設計となっている。
(4)牽引アームを伸縮自在な構成で実施すれば、アームケース内に牽引アームを収容できて運び易くなり、牽引アームを隠して見映えを良くし、最小の形で保管できスペース効率も向上する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1実施例の着脱自在な牽引具を示した平面図である。
図2図1の正面図である。
図3図1のA-A線断面図である。
図4図2の着脱自在な牽引具の中央部を一部切欠して示した拡大正面図である。
図5】着脱自在な牽引具の軸部分を示した拡大正面図である。
図6】Aは、台車間に連結片を掛けた連結状態を示した平面図、Bは、Aの正面図である。
図7】本牽引具で連結された台車列が曲がった通路を走行している状況を示した平面図である。
図8】第2実施例の着脱自在な牽引具を示した平面図である。
図9図8の第2実施例の正面図である。
図10】第2実施例における牽引アームをアームケースに収容した状態を示した平面図である。
図11図10の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の着脱自在な牽引具を、以下、図面にしたがって説明する。
この牽引具は、例えば、図6図7に示したような前後に並ぶ台車1の間において、アームケース2に設けた連結片5を、台車1の進行方向に対し直角方向の前部と後部の横パイプ10に、事後的に引っ掛けて台車列の牽引を可能にする着脱自在な牽引具である。
【0012】
<第1実施例>
図1図6に示したように、第1実施例の着脱自在な牽引具は、図2の正面方向から見てコ字状の軽溝形鋼材で成る一対のアームケース2が、その開口部23が内向き状態で向かい合って配置され、その全長は、取り付ける台車1の横パイプ10の全長に近い長さで形成されている。
各前記アームケース2の長さ方向の両端部20近傍の上下の貫通孔24へ、軸3が通され、その軸3の両端部の突き出した部分には割ピン31を挿入して、アームケース2から抜けない構成になっている(図4図5)。
そして、この軸3に、アームケース2の開口部23を通って入り込む牽引アーム4の一端に設けられた貫通孔40が通され、前記軸3回りに回転フリーな状態で牽引アーム4が連結している。更に、この牽引アーム4のもう一端側は、向き合うもう一つのアームケース2側の対角線に位置する軸3に、当該牽引アーム4のもう一端側の貫通孔40が通され、回転フリーな状態で繋がっている。そして、もう一つの牽引アーム4が、互い違いのX字状に対角線に位置する軸3同士に、同様な構成で回転フリー状態に連結をしている。
更に、前記牽引アーム4、4同士が上下に接触しない交差を維持させるため、各前記軸3にはカラー30が通され、それぞれに上下方向に動くのを防止している(図1図2図4)。
【0013】
台車1間に取り付けるため、前記一対のアームケース2の各外側面21には、台車1への着脱が自在な連結片5が、一つのアームケース2に対し2個設けられている。但し、個数はこの限りでない。
前記連結片5は、正面方向からみて山形状(フック状)等で好適に実施されるが、台車1の横パイプ10に対し上方から被さって引っ掛けられる形態であれば良いし、更に、横パイプ10の台車1を構成する継手a、bの間にぴったり嵌る様な幅と位置に設けて、取り付け位置がずれない様にも考えられている(図6A、B)。
また、各アームケース2の上方向の上面22の中央位置に、把手用の取っ手6が設けられている(図1図3参照)。手を挟まないように安全面も考慮し、本牽引具が台車1の横パイプ10の上部から掛け易いようになっている。
よって、この取っ手6を持って、台車1の横パイプ10に連結片5を上から簡単に掛けられると共に、台車1間に連結された本牽引具を取り外す際も、取っ手6を手に持って上方に引くだけで容易に外すことができる。
但し、牽引して走行させる場所に傾斜がある所では、台車1と次の台車1には高さの違いが起こって連結片5が外れる恐れがあるときには、例えば、横パイプ10の全周を囲むように、前記連結片5の山形部を下から抑えるフック片を蝶ねじ等で取り付ける構成にした連結片5としても良い(図示は省略)。
【0014】
上述した本牽引具によって連結された台車列が、曲がった通路を走行する状況について、図7を参照しつつ説明する。
本実施例では、既存台車1が先頭、中間、後尾の計3台から成る台車列において、図6が分かり易いが、台車1は進行方向の前方に自由車輪13、14、つづく固定車輪11、12の並びで、台車1間の横パイプ10に本牽引具の連結片5を掛けて連結されている。
図7で人(図示は省略)が先頭の台車1を引っ張って台車列を走行させると、つづく中間の台車1は、前記先頭台車1に引っ張られると慣性力で外側に行こうとするが、中間の台車1の進行方向側の自由輪14には、先頭台車1の固定輪11に牽引アーム4(b)が繋がり、それに引っ張られるので、固定輪11の進む方向に前記自由輪14の車輪は向きを変えながら進む。同時に自由輪13では先頭台車1の固定輪12は車輪が首を振らないため、そこに繋がる牽引アーム4(a)が突っ張り、前記固定輪12が進む方向に前記自由輪13は規制されてゆっくり進むことになるから支点となり、前記自由輪14がカーブに沿うような動きとなって、先頭台車1につづく中間台車1は通路のカーブに沿って曲がり、カーブを曲がれる。
後尾の台車1はその前の中間台車1と同様に振る舞うので、カーブを曲がれることになる。
従って、台車1を本願発明の牽引具で複数連結して牽引しても、台車1が壁に接触したり、台車1がふらついて牽引ができなくなる虞れがない。
尚、図示は省略したが、もちろんAGVのような牽引車両に繋げての牽引も可能である。
【0015】
<第2実施例>
図8図11に示した第2実施例は、牽引アーム4を伸縮自在に構成して、アームケース2の中に前記牽引アーム4を収容可能に構成されている。他の構成は、前記第1実施例と同様なので説明を省略する。
本実施例の牽引アーム4は、テレスコピック状に外パイプ4Aと内パイプ4Bによる二重管構造となっている。すなわち、太径の外パイプ4Aの中を細径の内パイプ4Bが摺動して長さが変わり、外パイプ4Aの差し込み端近傍に長さ方向に長い楕円状の切り欠き孔41を設けて、その切り欠き孔41から覗く内パイプ4Bには、貫通孔42がその切り欠き孔41の端部に接するように設けられている。よって、前記内パイプ4B側に空く前記貫通孔42にロックピン7を挿し込んで前記外パイプ4Aまで突き抜けさせることにより、前記牽引アーム4を最長の長さで固定して使用に供している(図8図9)。
アームケース2の中にこの牽引アーム4を収容するときは、前記のロックピン7を抜き、各前記牽引アーム4を収縮させて前記両アームケース2同士をぴったりと近付けて小さくした状態で、コンパクトに収容することができる(図10図11)。
【0016】
以上、実施例を図面に基づいて説明したが、本発明は図示例の限りではなく、その技術的思想を逸脱しない範囲において、当業者が通常に行う設計変更、応用のバリエーションの範囲を含むことを念のために申し添える。
【符号の説明】
【0017】
1 台車
10 横パイプ
11、12 固定輪
13、14 自由輪
2 アームケース
20 両端部
21 外側面
22 上面
23 開口部
24 貫通孔
3 軸
30 カラー
31 割ピン
31 カラー
4(a、b)牽引アーム
4A 外パイプ
4B 内パイプ
41 切り欠き孔
42 貫通孔
5 連結片
6 取っ手
7 ロックピン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11