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特開2024-87396道路環境送信方法及び道路環境送信装置
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  • 特開-道路環境送信方法及び道路環境送信装置 図1
  • 特開-道路環境送信方法及び道路環境送信装置 図2
  • 特開-道路環境送信方法及び道路環境送信装置 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087396
(43)【公開日】2024-07-01
(54)【発明の名称】道路環境送信方法及び道路環境送信装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20240624BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20240624BHJP
【FI】
G08G1/16 D
G08G1/09 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022202199
(22)【出願日】2022-12-19
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】弁理士法人とこしえ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 誠秀
(72)【発明者】
【氏名】吉松 祐香
(72)【発明者】
【氏名】明李 成博
(72)【発明者】
【氏名】玉越 千尋
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC12
5H181CC14
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL08
5H181LL15
(57)【要約】
【課題】走行車線上の進行方向における障害物を回避するために進行方向の道路環境の情報が必要な車両が複数存在する場合、複数の車両に対して効率的に道路環境の情報を提供できる道路環境送信方法及び道路環境送信装置を提供することである。
【解決手段】走行車線上において進行方向に走行を妨げる障害物が存在する車両であって、道路環境情報の送信を必要とする支援対象車両が複数存在する場合、支援対象車両ごとに、支援対象車両に道路環境情報を送信する優先度を設定し、優先度が最も高い支援対象車両にインフラセンサによって検出した道路環境情報を送信するための制御指示を、インフラセンサを管理するサーバに送信し、優先度は、走行車線の対向車線上に対向車両が存在する場合には、対向車線上に対向車両が存在しない場合よりも低く設定される。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コントローラによって実行され、車両が前記車両の現在位置から前記車両の目的地まで走行する走行経路を取得し、前記走行経路の路上に設置されているインフラセンサによって検出した前記走行経路の路上の環境状況を含む道路環境情報を前記車両に送信するための制御指示を、前記インフラセンサを管理するサーバに送信する道路環境送信方法であって、
前記コントローラは、
走行車線上において進行方向に走行を妨げる障害物が存在する前記車両であって、前記道路環境情報の送信を必要とする支援対象車両が複数存在する場合、前記支援対象車両ごとに、前記支援対象車両の前記走行経路の前記道路環境情報に基づいて、前記支援対象車両に前記道路環境情報を送信する優先度を設定し、
前記優先度が最も高い前記支援対象車両に前記道路環境情報を送信するための前記制御指示を前記サーバに送信し、
前記優先度は、前記走行車線の対向車線上に対向車両が存在する場合には、前記対向車線上に前記対向車両が存在しない場合よりも低く設定される道路環境送信方法。
【請求項2】
前記コントローラは、
前記道路環境情報の送信による走行支援を要請することを示す走行支援リクエストが複数の前記車両から送信された場合に、前記走行支援リクエストを送信した前記車両を前記支援対象車両として、前記優先度が最も高い前記支援対象車両を特定する請求項1に記載の道路環境送信方法。
【請求項3】
前記コントローラは、
前記支援対象車両から前記走行支援リクエストを受信した順番に基づいて、前記優先度を設定する請求項2に記載の道路環境送信方法。
【請求項4】
前記コントローラは、
前記道路環境情報の送信による走行支援中の前記支援対象車両が走行している前記走行車線の前記対向車線上に前記対向車両が前記インフラセンサによって検出された場合に、所定期間の間、前記走行支援中の前記支援対象車両の前記優先度を、前記走行支援中の前記支援対象車両以外の他の前記支援対象車両の前記優先度よりも低く設定する請求項1~3のいずれか一項に記載の道路環境送信方法。
【請求項5】
前記所定期間は、前記インフラセンサによって前記対向車両が検出されてから、前記走行支援中の前記支援対象車両の車載センサによって前記対向車両が検出されるまでの期間である請求項4に記載の道路環境送信方法。
【請求項6】
前記コントローラは、前記道路環境情報に基づいて、前記支援対象車両の走行支援を行う請求項1又は2に記載の道路環境送信方法。
【請求項7】
車両が前記車両の現在位置から前記車両の目的地まで走行する走行経路を取得し、前記走行経路の路上に設置されているインフラセンサによって検出した前記走行経路の路上の環境状況を含む道路環境情報を前記車両に送信するための制御指示を、前記インフラセンサを管理するサーバに送信するコントローラを備える道路環境送信装置であって、
前記コントローラは、
走行車線上において進行方向に走行を妨げる障害物が存在する前記車両であって、前記道路環境情報の送信を必要とする支援対象車両が複数存在する場合、前記支援対象車両ごとに、前記支援対象車両の前記走行経路の前記道路環境情報に基づいて、前記支援対象車両に前記道路環境情報を送信する優先度を設定し、
前記優先度が最も高い前記支援対象車両に前記道路環境情報を送信するための前記制御指示を前記サーバに送信し、
前記優先度は、前記走行車線の対向車線上に対向車両が存在する場合には、前記対向車線上に前記対向車両が存在しない場合よりも低く設定される道路環境送信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路環境送信方法及び道路環境送信装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
運転支援のために検出が必要な必要検出範囲を算出し、道路に沿って設置された複数のインフラセンサの中から必要検出範囲を検出できるインフラセンサを選定し、選定したインフラセンサに検出した情報の送信を指示する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-201544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、走行車線上の進行方向における障害物を回避するために車両が進行方向の道路環境の情報を必要とする場面で、対向車線上に対向車両が存在する場合、当該車両は対向車両がいなくなるまで待機する必要がある。このような場合には、対向車両がいなくなるまでの間待機する必要がある車両よりも優先して他の車両に対して道路環境の情報を送信することで、複数の車両に対して効率的に道路環境の情報を提供できる。しかしながら、特許文献1の技術は、車両から走行支援のリクエストがあった場合には、当該車両が対向車線上の対向車両がいなくなるまで待機する必要があっても、当該車両による障害物の回避が完了するまでは当該車両に道路環境の情報を優先的に送信する技術であるため、複数の車両に対して効率的に道路環境の情報を提供できない。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、走行車線上の進行方向における障害物を回避するために進行方向の道路環境の情報が必要な車両が複数存在する場合、複数の車両に対して効率的に道路環境の情報を提供できる道路環境送信方法及び道路環境送信装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、走行車線上において進行方向に走行を妨げる障害物が存在する車両であって、道路環境情報の送信を必要とする支援対象車両が複数存在する場合、支援対象車両ごとに、支援対象車両に道路環境情報を送信する優先度を設定し、インフラセンサによって検出した道路環境情報を優先度が最も高い支援対象車両に送信するための制御指示を、インフラセンサを管理するサーバに送信し、優先度は、走行車線の対向車線上に対向車両が存在する場合には、対向車線上に対向車両が存在しない場合よりも低く設定されることによって上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、走行車線上の進行方向における障害物を回避するために進行方向の道路環境の情報が必要な車両が複数存在する場合、複数の車両に対して効率的に道路環境の情報を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本実施形態に係る道路環境送信装置を備える走行支援システムの構成の一例を示すブロック図である。
図2図2は、本実施形態に係る道路環境送信方法が実行される場面の一例を示す図である。
図3図3は、本実施形態に係る道路環境送信方法の手順の一例を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係る道路環境送信装置を含む走行支援システムの一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態に係る道路環境送信装置を備える走行支援システムの構成の一例を示すブロック図である。図1を用いて、本実施形態に係る道路環境送信装置が走行支援システムに適用される一例について説明する。
【0010】
本実施形態に係る走行支援システム100は、道路環境送信装置1と、車両2と、サーバ3と、インフラセンサ4と、電気通信回線網を構成するネットワーク5と、を備える。道路環境送信装置1、車両2、サーバ3及びインフラセンサ4はネットワーク5を介して接続されている。なお、道路環境送信装置1は、複数の車両2、複数のサーバ3及び複数のインフラセンサ4と接続するものとしてもよい。走行支援システム100は、例えば、配車用車両をユーザに配車する配車システムに適用されて、配車用車両に対して、インフラセンサ4によって検出される検出情報を用いて、障害物の回避等の走行を支援するシステムである。
【0011】
車両2は、例えば、配車用車両である。車両2は、自律走行可能な車両であり、ナビゲーション装置が搭載されているとともに走行制御(速度制御と操舵制御)を自動制御する機能を備える自動車である。車両2は、有人であっても、無人であってもよい。なお、必ずしも自動制御機能を備える車両である必要はなく、運転支援機能を備え、人間が運転する車両であってもよい。また、車両を運転する人間は、車両2に乗車している乗員であってもよいし、車両2の車外で車両2を遠隔操作する遠隔操作者であってもよい。
【0012】
道路環境送信装置1について説明する。本実施形態の道路環境送信装置1は、車両2の走行経路の路上に設置されているインフラセンサ4を管理するサーバ3に、インフラセンサ4によって検出した走行経路の路上の環境状況を含む道路環境情報を車両2に送信するための制御指示を送信する。例えば、車両2が走行経路に沿って走行を開始した後、車両2が、車両2の進行方向における道路環境情報の送信を必要とする場合には、道路環境送信装置1は、当該車両2を支援対象車両として、支援対象車両の進行方向における道路環境情報を支援対象車両に送信するための制御指示をサーバ3に送信する。すなわち、支援対象車両は、道路環境情報を送信する必要がある車両である。車両2が、道路環境情報の送信を必要とする場合とは、例えば、車両2が走行している走行車線上の進行方向に走行を妨げる障害物が存在する場合である。サーバ3は、道路環境送信装置1から制御指示を受信した場合には、制御指示に基づいて、制御対象となるインフラセンサ4及び支援対象車両となる車両2を特定し、特定したインフラセンサ4に、道路環境情報を支援対象車両に送信するための制御指示を送信する。サーバ3は、インフラセンサ4から支援対象車両に道路環境情報を直接送信させてもよいし、インフラセンサ4からサーバ3に道路環境情報を送信させて、サーバ3から道路環境情報を支援対象車両に送信してもよい。
【0013】
車両2は、インフラセンサ4から送信された道路環境情報に基づいて、進行方向における走行車線上及び走行車線に対向する対向車線上の道路環境を認識し、走行車線上の障害物を回避する回避制御を行う。例えば、対向車線上に対向車両が存在しない場合に、車両2は、対向車線上を走行して障害物の側方を通過することで、障害物を回避する。以上のように、本実施形態では、車両2に、車両2の進行方向における道路環境情報を提供することで、車両2に対する走行支援を実現できる。
【0014】
ここで、図2を用いて、本実施形態に係る道路環境送信方法が実行される場面の一例を説明する。図2は、本実施形態に係る道路環境送信方法が実行される場面の一例を示す図である。図2では、検出領域A1は、道路R1上に設置されている複数のインフラセンサそれぞれが検出可能な領域である。また、検出領域A2は、道路R2上に設置されている複数のインフラセンサそれぞれが検出可能な領域である。図2の例では、車両V1が走行車線L11を走行していて、走行車線L11上の車両V1の進行方向に駐車車両V3が存在する。このような場面では、車両V1は、対向車線L12を走行して駐車車両V3を回避する回避制御を行うために、進行方向の区間S1における道路環境の情報を必要とする。車両V1は、道路環境の情報の送信による走行支援が必要な場合には、走行支援を要請することを示す走行支援リクエストを送信する。また、車両V2が走行車線L21を走行していて、走行車線L21上の車両V2の進行方向に駐車車両V4が存在する。このような場面では、車両V2は、対向車線L22を走行して駐車車両V4を回避する回避制御を行うために、進行方向の区間S2における道路環境の情報を必要とする。車両V2は、走行支援リクエストを送信する。車両V1及びV2は、支援対象車両である。
【0015】
図2の場面において、サーバISは、検出領域A1を検出する複数のインフラセンサ及び検出領域A2を検出する複数のインフラセンサそれぞれを管理する。サーバ3は、交差点等の路上付近に設置されて、周囲のインフラセンサを管理する装置として説明するが、これに限らず、管理センター等に設置され、設定された対象領域内のインフラセンサを管理する装置であってもよい。サーバISは、支援対象車両の進行方向に位置する複数のインフラセンサによって検出した道路環境情報を支援対象車両に送信するための制御指示をインフラセンサに送信する。すなわち、サーバISは、区間S1に位置する複数のインフラセンサの検出領域A1の道路環境情報を車両V1に送信する。また、サーバISは、区間S2に位置する複数のインフラセンサの検出領域A2の道路環境情報を車両V2に送信する。
【0016】
例えば、先に車両V1から走行支援リクエストを受信した場合、サーバISは、車両V1が回避制御を終了するまでの間、一定の周期で、インフラセンサを用いて車両V1に道路環境情報を送信する。このとき、図2で示されるように、車両V1の進行方向に対向車線L12を走行する対向車両V5が存在する場合、車両V1は対向車両V5が通過していなくなるまで待機する必要がある。このような場合には、対向車両V5がいなくなるまでの間待機する必要がある車両V1よりも優先して車両V2に対して道路環境情報を送信することで、複数の車両に対して効率的に道路環境情報を提供できる。しかしながら、従来の技術では、インフラセンサを管理するサーバは、情報処理にかかる演算負荷等のため、一方の車両に対する道路環境情報の送信を制御している間、並列して他方の車両に対する道路環境情報の送信を制御することができない。そのため、従来の技術は、車両V1から走行支援リクエストがあった場合には、車両V1が対向車線L12上の対向車両V5がいなくなるまで待機する必要があっても、車両V1による駐車車両V3の回避が完了するまでは車両V1に道路環境情報を優先的に送信し、複数の車両に対して効率的に道路環境の情報を提供できない。
【0017】
本実施形態に係る道路環境送信装置1は、図2で示されるような場面で、車両V1が、対向車両V5がいなくなるまで待機する必要がある場合には、車両V1に対して検出領域A1内の道路環境情報を送信することを一時中止し、車両V2に対して優先的に検出領域V2の道路状況情報を送信する。これにより、本実施形態では、走行車線上の進行方向における障害物を回避するために進行方向の道路環境の情報が必要な車両が複数存在する場合、複数の車両に対して効率的に道路環境の情報を提供できる。以下、本実施形態に係る道路環境送信装置1の機能を詳細に説明する。なお、以下の説明では、2台の車両に対して道路環境情報を提供する例を挙げて説明するが、本実施形態では、これに限らず、3台以上の車両に対して道路環境情報を提供する場合にも適用される。
【0018】
道路環境送信装置1は、図1に示すように、コントローラ10と、通信装置11と、車両情報DB12と、インフラ情報DB13と、地図DB14とを備えている。
【0019】
通信装置11は、ネットワーク5を介して、サーバ3及び車両2との間で、情報を含む信号の送信及び受信を行うことで、各種情報の入出力を行う通信装置である。通信装置11は、車両2から、車両2の現在位置に関する情報及び車両2の目的地に関する情報を受信する。通信装置11は、車両2の走行経路の経路情報を受信することとしてもよい。また、通信装置11は、車両2から、走行支援を要請することを示す走行支援リクエストを受信する。
【0020】
通信装置11は、サーバ3に、インフラセンサ4によって検出した車両2の走行経路の路上の環境状況を含む道路環境情報を車両2に送信するための制御指示を送信する。また、通信装置11は、サーバ3に、道路環境情報を通信装置11に送信するための制御指示を送信する。通信装置11は、インフラセンサ4から道路環境情報を受信する。また、通信装置11は、インフラセンサ4から受信した道路環境情報を車両2に送信してもよい。
【0021】
車両情報DB12は、車両情報を記憶する記憶媒体である。車両情報DB12は、配車用車両として管理している複数の車両2の車両情報を記憶する。車両情報は、車両ごとに、車両2を識別するための識別情報と、車両2の位置情報とを含む。車両2の位置情報は、一定の周期で更新される。また、車両情報は、車両2に目的地が設定されている場合には、車両2の目的地の情報を含むこととしてもよい。また、車両情報は、車両2に設定されている走行経路の経路情報を含む。走行経路は、車両2の現在位置から目的地までの走行経路である。走行経路は、道路レベルの経路であってもよいし、車線レベルの経路であってもよい。
【0022】
インフラ情報DB13は、インフラセンサ4に関するインフラ情報を記憶する記憶媒体である。インフラ情報DB13は、路上に設置されている複数のインフラセンサ4ごとにインフラ情報を記憶する。インフラ情報は、例えば、インフラセンサ4を識別するための識別情報と、インフラセンサ4の位置を示す位置情報と、インフラセンサ4の検出範囲を示す検出範囲情報とを含む。インフラセンサ4の位置は、地図上における緯度経度の座標値で表現してもよいし、ノードIDとリンクIDを組み合わせて表現してもよい。また、インフラセンサ4の検出範囲は、インフラセンサによって周囲環境の状況が検出可能な範囲である。
【0023】
図DB14は、地図情報を記憶する記憶媒体である。地図情報は、道路情報を含む。道路情報は、例えば交差点や分岐点など道路上の特定の地点を表すノードと、各ノード間をつなぐ道路区間を表すリンクとによって構成される。道路情報は、リンク及びノードに限らず、交差点等の名称、道路形状の情報を含んでもよい。また、地図情報は、信号機、施設、道路標識、路面標示など地物を示す地物情報を含む。本実施形態では、地図DB14は、車両の走行経路を生成する際に利用され、走行経路の環境に関する情報を取得する際に用いられる。
【0024】
本実施形態では、道路環境送信装置1は、コントローラ10により、車両2の走行経路の路上の環境状況を含む道路環境情報を車両2に送信する道路環境送信処理を実現する。コントローラ10は、通信装置11、車両情報DB12、インフラ情報DB13、及び地図DB14から取得した情報に基づいて、道路環境送信処理を実行する。
【0025】
コントローラ10は、ハードウェア及びソフトウェアを有するコンピュータを備えている。このコンピュータはプログラムを格納したROMと、ROMに格納されたプログラムを実行するCPUと、アクセス可能な記憶装置として機能するRAMを含むものである。なお、動作回路としては、CPUに代えて又はこれとともに、MPU、DSP、ASIC、FPGAなどを用いることができる。コントローラ10は、図1で示されるように、機能ブロックとして、インフラセンサ抽出部101と、優先度設定部102と、インフラセンサ制御部103とを含んで構成される。コントローラ10は、上記各機能を実現する又は各処理を実行するためのソフトウェアと、ハードウェアとの協働により各機能を実行する。なお、本実施形態では、コントローラ10の機能を3つのブロックに分けて各機能ブロックの機能を説明するが、各機能を実現できる形態であれば、コントローラ10の機能は必ずしも3つのブロックに分ける必要はない。
【0026】
インフラセンサ抽出部101は、車両2の走行支援のために利用可能なインフラセンサ4を抽出するインフラセンサ抽出処理を実行する。ここで、インフラセンサ抽出処理について説明する。
【0027】
インフラセンサ抽出部101は、車両2の走行経路を含む経路情報を取得する。インフラセンサ抽出部101は、インフラ情報13から、インフラセンサ4の位置情報を含むインフラ情報を取得する。また、取得するインフラ情報は、インフラセンサ4の検出可能範囲の情報を含むこととしてもよい。インフラセンサ抽出部101は、経路情報及びインフラ情報に基づいて、車両2の走行支援のために利用可能なインフラセンサ4を抽出する。例えば、インフラセンサ抽出部101は、インフラセンサ4の位置情報に基づいて、車両2の走行経路上に位置するインフラセンサ4を特定する。インフラセンサ4は、インフラセンサ4の識別情報を用いて特定される。また、インフラセンサ抽出部101は、インフラセンサ4の検出可能範囲の情報に基づいて、検出可能範囲内に車両2の走行経路を含むインフラセンサ4を抽出し、抽出したインフラセンサ4の識別情報を取得することとしてもよい。
【0028】
本実施形態では、車両2から走行支援リクエストを受信した場合など、車両2を支援対象車両として特定した場合に、インフラセンサ抽出部101は、支援対象車両が走行している道路区間内に位置するインフラセンサ4、又は、支援対象車両の進行方向に所定距離以内に位置するインフラセンサ4を抽出する。インフラセンサ4は、支援対象車両ごとに、支援対象車両の識別情報と、抽出したインフラセンサ4の識別情報と関連付けて記録する。
【0029】
優先度設定部102は、支援対象車両が複数存在する場合、支援対象車両ごとに、サーバ3が道路環境情報を送信する優先度を設定する優先度設定処理を実行する。以下、優先度設定処理について説明する。まず、優先度設定部102は、支援対象車両が複数存在するか否かを判定する。優先度設定部102は、所定の時間以内に、複数の車両2から走行支援リクエストを受信した場合に、支援対象車両が複数存在すると判定する。例えば、優先度設定部102は、車両2から走行支援リクエストを受信した時点から当該車両2の回避制御が終了するまでの間に、他の車両2から走行支援リクエストを受信した場合に、支援対象車両が複数存在すると判定する。
【0030】
また、優先度設定部102は、複数の車両2ごとに、走行経路上に位置する障害物の情報を取得し、障害物の位置情報と車両2の位置情報とに基づいて、支援対象車両が複数存在するか否かを判定してもよい。例えば、優先度設定部102は、車両2と障害物との間の距離が所定距離以内である車両2が複数存在する場合、又は、障害物に接近するまでの時間が所定時間以内である車両2が複数存在する場合に、支援対象車両が複数存在すると判定する。走行経路上の障害物の情報は、インフラセンサ4の検出情報から取得される。
【0031】
次に、優先度の設定例について説明する。優先度設定部102は、支援対象車両に対する走行支援を開始する前のタイミングで、支援対象車両の優先度を設定する。また、優先度設定部102は、支援対象車両に対する走行支援を開始した後のタイミングで、支援対象車両の優先度を設定する。すなわち、優先度設定部102は、支援対象車両に対する走行支援を開始した後に、支援対象車両に対する走行支援の開始前に設定した優先度を更新する。
【0032】
まず、支援対象車両に対する走行支援の開始前のタイミングにおける優先度の設定方法の一例を説明する。優先度設定部102は、支援対象車両と障害物との間の距離に基づいて、支援対象車両の優先度を設定する。例えば、支援対象車両と障害物との間の距離が短いほど、当該支援対象車両の優先度が高く設定される。また、優先度設定部102は、支援対象車両から走行支援リクエストを受信した順番に基づいて、支援対象車両の優先度を設定してもよい。例えば、優先度設定部102は、走行支援リクエストを送信した支援対象車両ごとに、走行支援リクエストを受信した順番を記録し、走行支援リクエストを受信した順番が早いほど、支援対象車両の優先度を高く設定する。
【0033】
次に、支援対象車両に対する走行支援の開始後のタイミングにおける優先度の設定方法の一例を説明する。優先度設定部102は、支援対象車両に対する走行支援の開始後に、インフラセンサ4から、走行支援中の支援対象車両の走行経路の道路環境情報を取得する。優先度設定部102は、取得した道路環境情報に基づいて、走行支援中の支援対象車両の優先度を設定する。道路環境情報は、走行支援中の支援対象車両が走行している走行車線の対向車線上の対向車両の有無を含む。優先度設定部102は、走行車線の対向車線上に対向車両が存在する場合には、対向車線上に対向車両が存在しない場合よりも優先度を低く設定する。例えば、優先度設定部102は、対向車線上に対向車両が存在しない場合には、優先度を、走行支援の開始前に設定した優先度と同じ値に設定する。また、優先度設定部102は、対向車線上に対向車両が存在する場合には、走行支援の開始前に設定した優先度よりも低い値に設定する。例えば、走行支援中の支援対象車両の優先度は、走行支援中の支援対象車両以外の他の支援対象車両の優先度よりも低く設定される。
【0034】
以上のように、対向車両が存在していて、支援対象車両が対向車線を通って障害物を回避できない場合には、支援対象車両は対向車両がいなくなるまでの間待機する必要があるため、対向車両が存在しない場合よりも、走行支援のための優先度が低く設定される。
【0035】
また、優先度設定部102は、走行支援中の支援対象車両の優先度を低く設定する期間を設定してもよい。すなわち、優先度設定部102は、インフラセンサ4によって、走行支援中の支援対象車両が走行している走行車線の対向車線上に対向車両が検出された場合に、所定期間の間、走行支援中の支援対象車両の優先度を他の支援対象車両の優先度よりも低く設定することとしてもよい。例えば、所定期間は、インフラセンサ4によって対向車両が検出されてから、走行支援中の支援対象車両の自車センサ22によって対向車両が検出されるまでの期間である。所定期間は、インフラセンサ4によって対向車両が検出されてから、走行支援中の支援対象車両の側方を対向車両が追加するまでの期間であってもよい。以上のように、対向車両がいなくなるまでの間、走行支援中の支援対象車両の優先度が低く設定される。
【0036】
また、優先度設定部102は、対向車両がいなくなった場合には、走行支援中の支援対象車両の優先度を、走行支援の開始前に設定した優先度に戻す。優先度設定部102は、走行支援中の支援対象車両の自車センサ22によって対向車両が検出された場合には、走行支援中の支援対象車両の優先度を、走行支援の開始前に設定した優先度と同じ値に設定する。例えば、走行支援中の支援対象車両の自車センサ22によって対向車両が検出された場合には、支援対象車両から、対向車両を検出したことを示す情報が道路環境送信装置1に送信される。以上により、自車センサ22で検知可能な距離まで対向車両が走行支援中の支援対象車両に接近している場合には、優先度設定部102は、走行支援中の支援対象車両の優先度を、走行支援の開始前の優先度に戻す。
【0037】
インフラセンサ制御部103は、サーバ3を介してインフラセンサ4を制御して、支援対象車両に道路環境情報を送信させるインフラセンサ制御処理を実行する。以下、インフラセンサ制御処理について説明する。インフラセンサ制御部103は、複数の支援対象車両が存在する場合に、複数の支援対象車両それぞれの優先度に基づいて、優先度が最も高い支援対象車両を特定する。優先度が最も高い支援対象車両を特定した後、インフラセンサ制御部103は、優先度が最も高い支援対象車両の進行方向における走行経路上に位置するインフラセンサ4を特定する。インフラセンサ制御部103は、優先度が最も高い支援対象車両に道路環境情報を送信するための制御指示を生成する。制御指示は、道路環境情報を検出するインフラセンサ4の識別情報と、道路環境情報の送信先となる車両2の識別情報と、を含む。すなわち、インフラセンサ4の識別情報は、優先度が最も高い支援対象車両が走行している道路区間に位置するインフラセンサ4の識別情報である。また、道路環境情報の送信先となる車両2の識別情報は、優先度が最も高い支援対象車両の識別情報である。インフラセンサ制御部103は、生成した制御指示をサーバ3に送信する。これにより、インフラセンサ制御部103は、サーバ3が管理する複数のインフラセンサ4のうちのいずれのインフラセンサ4に道路環境情報を検出させて、いずれの車両2に道路環境情報を送信するかを指示する。
【0038】
また、本実施形態では、前述のとおり、優先度設定部102によって優先度の更新が適宜実行される。そのため、インフラセンサ制御部103は、優先度が更新されると、更新後の優先度に基づいて、走行支援の実行対象となる車両2を切り替える。具体的には、インフラセンサ制御部103は、優先度の更新によって、優先度が最も高い支援対象車両に変更があった場合には、変更後に優先度が最も高い支援対象車両に道路環境情報を送信するための制御指示をサーバ3に送信する。
【0039】
ここで、図2の例を用いて、走行支援の実行対象となる車両2の切替方法について説明する。図2の例において、車両V1及び車両V2が支援対象車両として特定された場合、インフラセンサ制御部103は、走行支援の開始前に設定された車両V1及び車両V2の優先度に基づいて、優先度が最も高い支援対象車両を特定する。例えば、車両V1が、優先度が最も高い支援対象車両として特定された場合、優先度設定部102は、区間S1内に位置する複数のインフラセンサの検出領域A1の道路環境情報を取得する。優先度設定部102は、道路環境情報に基づいて、車両V1の優先度を設定する。図2の例では、対向車両V5が存在するため、優先度設定部102は、車両V1の優先度を車両V2の優先度よりも低い値に更新する。
【0040】
インフラセンサ制御部103は、更新後の支援対象車両の優先度に基づいて、車両V2を優先度が最も高い支援対象車両として特定する。インフラセンサ制御部103は、優先度が最も高い支援対象車両が、走行支援中の車両V1から、他の車両である車両V2に替わった場合には、サーバ3に、走行支援中の車両V1に対する道路環境情報の送信を中止して、優先度が最も高い車両V2に検出領域A2内の道路環境情報を送信するための制御指示を送信する。これにより、本実施形態では、一方の支援対象車両の走行支援中であっても、より優先度が高い他の支援対象車両に道路環境情報を優先的に送信させるように切り替えることができる。
【0041】
また、インフラセンサ制御部103は、道路環境情報の送信を中止していた支援対象車両の優先度が再度更新されて、優先度が最も高い支援対象車両が、道路環境情報の送信を中止していた支援対象車両に替わった場合には、道路環境情報の送信を中止していた支援対象車両に対する道路環境情報の送信を再開するための制御指示をサーバ3に送信する。図2の例では、対向車両V5が車両V1の側方を通過していなくなった場合には、車両V1の優先度が走行支援の中止前の優先度に戻り、車両V1が、優先度が最も高い支援対象車両として再度特定される。インフラセンサ制御部103は、車両V1に対する検出領域A1内の道路環境情報の送信を再開するための制御指示をサーバ3に送信する。
【0042】
また、本実施形態では、対向車両V5が車両V1の側方を通過していなくなった場合であっても、車両V2の進行方向に対向車両が存在しない場合には、車両V2に対する道路環境情報の送信を優先的に実行させてもよい。また、図2の例では、2台の車両に対する道路環境情報の送信を例に挙げて説明したが、本実施形態では、3台以上の車両に対する道路環境情報の送信を優先度に基づいて制御することとしてもよい。
【0043】
続いて、車両2について説明する。車両2は、車載通信装置20と、自車位置取得装置21と、自車センサ22と、入力装置23と、車載コントローラ24と、走行制御装置25とを備える。車両2では、ユーザによって入力装置23に目的地の情報が入力されると、車載コントローラ24が、自車位置取得装置21から取得した車両2の位置情報及び目的地の情報に基づいて、走行経路を生成する。車載コントローラ24は、走行経路の経路情報を道路環境送信装置1に送信するとともに、走行経路に沿って車両2を走行させるための走行制御情報を演算する。
【0044】
走行制御装置25は、車載コントローラ24によって演算された走行制御情報に従って車両2の加減速や操舵を含む走行制御を実行する。車両2には、走行駆動源である電動モータおよび/または内燃機関、これら走行駆動源からの出力を駆動輪に伝達するドライブシャフトや自動変速機を含む動力伝達装置、および車輪を制動する制動装置などの駆動機構を備えられている。また、ヘッドライト、方向指示器、ハザードランプ、ワイパー等、車両2の走行に必要なその他の機器が含まれていてもよい。
【0045】
車載通信装置20は、ネットワーク5を介して、道路環境送信装置1との間で情報の送受信を行う。例えば、車載通信装置20は、車両2の経路情報を道路環境送信装置1の通信装置11に送信する。車載通信装置20は、走行支援リクエストを通信装置11に送信する。また、車載通信装置20は、路車間通信によって、インフラセンサ4との間で情報の送受信を行う。車載通信装置20は、インフラセンサ4から、インフラセンサ4によって検出された、車両2の走行経路の路上の環境状況を含む道路環境情報を受信する。自車位置取得装置21は、車両2の現在位置を示す位置情報を取得するものであり、例えば、GPS機器を用いることができる。自車位置取得装置21は、一定の周期で、車両2の位置情報を取得する。
【0046】
自車センサ22は、車両2に搭載されたセンサであって、車両2の周囲環境の状況を検出する。自車センサ22は、例えば、カメラ、レーダ、LiDAR等の各種センサによって構成されている。自車センサ22は、車両2の周囲環境の状況を周囲環境情報として検出する。例えば、周囲環境情報は、車両2の周囲に位置する対象物の情報を含む。対象物とは、たとえば、自車両以外の自動車(他車両)、オートバイ、自転車、歩行者、道路の車線境界線、ゼブラゾーンの導流帯、センターライン、路面標識、中央分離帯、ガードレール、縁石、高速道路の側壁、道路標識、信号機、横断歩道、工事現場、事故現場、交通制限である。対象物は、車両2前方に位置する、車両の走行を妨げる障害物を含む。自車センサ22は、障害物の位置の情報を取得する。周囲環境情報は、車両2が走行する走行経路の路上の道路環境情報を含む。
【0047】
入力装置23は、ユーザによる入力を受け付ける入力インターフェースである。入力装置23は、一又は複数の機器で構成される。例えば、入力装置23は、ユーザが入力可能なステアリングスイッチと、ユーザが音声入力可能なマイクとで構成される。入力装置23は、タッチパネル又はキーボードを備えることとしてもよい。ユーザが入力装置23に対して入力する情報は、例えば、車両2の目的地である。
【0048】
車載コントローラ24は、ハードウェア及びソフトウェアを有し、車両2の各装置を制御するコンピュータを備えており、車両2の走行を制御するためのプログラムを格納したROMと、ROMに格納されたプログラムを実行するCPUと、アクセス可能な記憶装置として機能するRAMを含むものである。なお、動作回路としては、CPUに代えて又はこれとともに、MPU、DSP、ASIC、FPGAなどを用いることができる。
【0049】
車載コントローラ24は、ROMに格納されたプログラムをCPUにより実行することにより、車両2の各機能を実現する。例えば、車載コントローラ24は、自車位置取得装置21、自車センサ22及び入力装置23から各種情報を取得し、車両2の走行を制御するための目標制御量の信号を含む走行制御情報を走行制御装置25に出力する。例えば、車載コントローラ24は、自車センサ22によって検出された検出情報に基づいて、車両2の周囲環境の状況を認識する。車載コントローラ24は、認識した周囲環境の状況に応じて車両2が走行経路に沿って走行するように目標制御量の信号を生成する。
【0050】
また、車載コントローラ24は、自車センサ22の検出情報のみならず、インフラセンサ4の検出情報に基づいて、車両2の周囲環境の状況を認識する。車載コントローラ24は、走行車線上に位置する障害物が存在する場合に、これらの検出情報に基づいて、障害物を回避する回避制御が可能か否かの判定を行う。車載コントローラ24は、回避制御が可能な場合には、回避制御のための目標走行軌道及び目標車速を演算する。車載コントローラ24は、目標走行軌道及び目標車速に従って車両2を走行させるために各駆動機構を制御するための目標制御量を生成する。車載コントローラ24は、生成した目標制御量の信号を含む走行制御情報を走行制御装置25に出力する。
【0051】
また、車載コントローラ24は、走行車線上に障害物が存在する場合には、車載通信装置20を介して、走行支援リクエストを通信装置11に送信する。また、車載コントローラ24は、自車センサ22によって、車両2が走行している走行車線の対向車線上に対向車両を検出した場合には、車載通信装置20を介して、自車センサ22によって対向車両を検出したことを示す情報を道路環境送信装置1に送信する。
【0052】
走行制御装置25は、車載コントローラ24によって生成された走行制御情報に基づいて、車両2の走行を制御する。走行制御装置25は、車両2の駆動機構を制御して車両2の走行を制御する。また、走行制御装置25は、車両2の走行に応じて、ヘッドライト、方向指示器、ハザードランプ、ワイパー等、車両2の走行に必要なその他の機器を操作する。
【0053】
サーバ3は、複数のインフラセンサ4を管理する装置である。サーバ3は、道路環境送信装置1から送信された制御指示に基づいて、インフラセンサ4を制御する。例えば、サーバ3は、インフラセンサ4に対して、検出領域内で周囲環境の状況を周囲環境情報として検出させる。また、サーバ3は、インフラセンサ4に、検出した周囲環境情報を車両2に送信させる。走行支援システム100には、複数のサーバ3が備えられる。各サーバ3は、管理を行う対象となる所定の対象領域が設定されている。サーバ3は、対象領域内に位置する複数のインフラセンサ4を管理する。
【0054】
サーバ3は、例えば、サーバコントローラ30と通信装置31とを備える。サーバコントローラ30は、ハードウェア及びソフトウェアを有するコンピュータである。サーバコントローラ30は、車両2の走行を制御するためのプログラムを格納したROMと、ROMに格納されたプログラムを実行するCPUと、アクセス可能な記憶装置として機能するRAMを含むものである。なお、動作回路としては、CPUに代えて又はこれとともに、MPU、DSP、ASIC、FPGAなどを用いることができる。
【0055】
サーバコントローラ30は、ROMに格納されたプログラムをCPUにより実行することにより、サーバ3の各機能を実現する。例えば、サーバコントローラ30は、通信装置31から、道路環境送信装置1から送信される制御指示を取得する。例えば、取得する制御指示は、道路環境情報を検出するインフラセンサ4の識別情報と、道路環境情報の送信先となる車両2の識別情報とを含む。サーバコントローラ30は、識別情報で特定されるインフラセンサ4を制御するための制御指示を生成する。例えば、サーバコントローラ30は、インフラセンサ4に、車両2の走行経路の路上の道路環境情報を検出し、検出した道路環境情報を車両2に送信するための制御指示を生成する。サーバコントローラ30は、通信装置31を介して、生成した制御指示をインフラセンサ4に送信する。
【0056】
通信装置31は、ネットワーク5を介して、道路環境送信装置1及びインフラセンサ4との間で情報の送受信を行う。本実施形態では、例えば、通信装置31は、道路環境送信装置1から、インフラセンサ4によって検出した道路環境情報を車両2に送信するための制御指示を受信する。また、通信装置31は、インフラセンサ4に、道路環境情報を車両2に送信するための制御指示を送信する。
【0057】
インフラセンサ4は、路上に設置される路側機等に搭載されたセンサである。インフラセンサ4は、例えば、道路付近に設置されていて、インフラセンサ4の周囲環境の状況を周囲環境情報として検出する。周囲環境情報は、車両2の走行経路の道路環境情報を含む。インフラセンサ4には、インフラセンサ4を識別するための識別情報が付与されている。インフラセンサ4は、サーバ3から受信した制御指示に基づいて、車両2の走行経路の道路環境情報を検出し、道路環境情報を車両2に送信する。
【0058】
インフラセンサ4は、センサ40と通信装置41とを備える。センサ40は、インフラセンサ4の周囲環境の状況を検出する。センサ40は、例えば、カメラ、レーダ、LiDAR等の各種センサによって構成されている。センサ40は、インフラセンサ4の位置を中心とした検出範囲内で周囲環境の状況を周囲環境情報として検出する。周囲環境情報は、インフラセンサ4の検出範囲に位置する対象物の情報を含む。対象物は、例えば、車両2の走行を妨げる障害物を含む。本実施形態では、車両2の走行経路の路上に設置されているインフラセンサ4は、センサ40によって、走行経路の路上の環境状況を道路環境情報として検出する。道路環境情報は、走行経路の路上に位置する障害物を含む。
【0059】
通信装置41は、ネットワーク5を介して、サーバ3との間で情報の送受信を行う。例えば、通信装置41は、サーバ3から、道路環境情報を車両2に送信するための制御指示を受信する。また、通信装置41は、路車間通信によって、センサ40によって検出された道路環境情報を車両2に送信する。
【0060】
次に、図3を用いて、本実施形態に係る道路環境送信装置によって実行される道路環境送信方法の手順の一例を説明する。図3は、本実施形態に係る道路環境送信方法の手順の一例を示すフローチャート図である。本実施形態では、コントローラ10は、車両2から走行経路の経路情報が送信されると、ステップS101から制御フローを開始する。
【0061】
ステップS101では、コントローラ10は、車両2の走行経路の経路情報を取得する。ステップS102では、コントローラ10は、インフラ情報DB13から、インフラ情報を取得する。ステップS103では、コントローラ10は、経路情報とインフラ情報とに基づいて、車両2の走行経路上のインフラセンサ4を抽出する。ステップS104では、コントローラ10は、支援対象車両が複数存在するか否かを判定する。支援対象車両が複数存在すると判定した場合には、コントローラ10は、ステップS105に進む。支援対象車両が複数存在しないと判定した場合には、コントローラ10は、制御フローを終了する。
【0062】
ステップS105では、コントローラ10は、複数の支援対象車両の優先度をそれぞれ設定する。例えば、コントローラ10は、走行支援リクエストを受信した順番が早いほど、優先度を高く設定する。ステップS106では、コントローラ10は、優先度に基づいて、最も優先度が高い支援対象車両を特定する。ステップS107では、コントローラ10は、ステップS106で特定した支援対象車両に道路環境情報を送信するための制御指示をサーバ3に送信する。
【0063】
ステップS108では、コントローラ10は、走行支援中の支援対象車両の進行方向における対向車線上に対向車両が存在するか否かを判定する。コントローラ10は、走行支援中の支援対象車両の走行経路の道路環境情報を取得し、道路環境情報に基づいて、対向車両が存在するか否かを判定する。対向車両が存在すると判定した場合には、コントローラ10は、ステップS109に進む。対向車両が存在しないと判定した場合には、コントローラ10は、ステップS110に進む。ステップS109では、コントローラ10は、対向車両が存在しない場合の優先度よりも優先度を低く設定する。ステップS110では、コントローラ10は、対向車両が存在する場合の優先度よりも優先度を高く設定する。ステップS111では、コントローラ10は、優先度に基づいて、優先度が最も高い支援対象車両を特定する。例えば、ステップS109で、ステップS106で特定された支援対象車両の優先度が、他の支援対象車両の優先度よりも低く設定された場合には、コントローラ10は、他の支援対象車両を、優先度が最も高い支援対象車両として特定する。ステップS112では、コントローラ10は、ステップS111で特定した支援対象車両に対する道路環境情報の送信をサーバ3に指示する。例えば、優先度が最も高い支援対象車両が、他の支援対象車両に替わった場合には、コントローラ10は、ステップS6で特定された支援対象車両に対する道路環境情報の送信を中止して、ステップS111で新たに特定された支援対象車両に道路環境情報を送信するための制御指示をサーバ3に送信する。
【0064】
以上のように、本実施形態では、コントローラは、車両が車両の現在位置から車両の目的地まで走行する走行経路を取得し、走行経路の路上に設置されているインフラセンサによって検出した走行経路の路上の環境状況を含む道路環境情報を車両に送信するための制御指示を、インフラセンサを管理するサーバに送信し、走行車線上において進行方向に走行を妨げる障害物が存在する車両であって、道路環境情報の送信を必要とする支援対象車両が複数存在する場合、支援対象車両ごとに、支援対象車両の走行経路の道路環境情報に基づいて、支援対象車両に道路環境情報を送信する優先度を設定し、優先度が最も高い支援対象車両に道路環境情報を送信するための制御指示をサーバに送信し、優先度は、走行車線の対向車線上に対向車両が存在する場合には、対向車線上に対向車両が存在しない場合よりも低く設定される。これにより、走行車線上の進行方向における障害物を回避するために進行方向の道路環境の情報が必要な車両が複数存在する場合、複数の車両に対して効率的に道路環境の情報を提供できる。
【0065】
また、本実施形態では、コントローラは、道路環境情報の送信による走行支援を要請することを示す走行支援リクエストが複数の車両から送信された場合に、走行支援リクエストを送信した車両を支援対象車両として、優先度が最も高い支援対象車両を特定する。これにより、走行支援を要請する車両が複数存在する場合に、最も優先度が高い車両に道路環境の情報を提供できる。
【0066】
また、本実施形態では、コントローラは、支援対象車両から走行支援リクエストを受信した順番に基づいて、優先度を設定する。これにより、先に走行支援を要請した車両に対して優先的に道路環境の情報を提供できる。
【0067】
また、本実施形態では、道路環境情報の送信による走行支援中の支援対象車両が走行している走行車線の対向車線上に対向車両がインフラセンサによって検出された場合に、所定期間の間、走行支援中の支援対象車両の優先度を、走行支援中の支援対象車両以外の他の支援対象車両の優先度よりも低く設定する。これにより、走行支援中の車両が走行している走行車線の対向車線上に対向車両が存在する間は、他の車両に対して優先的に道路環境の情報を提供できる。
【0068】
また、本実施形態では、所定期間は、インフラセンサによって対向車両が検出されてから、走行支援中の支援対象車両の車載センサによって対向車両が検出されるまでの期間である。これにより、対向車両が走行支援中の車両のセンサで認識されるまでの間、他の車両に対して優先的に道路環境の情報を提供できる。
【0069】
また、本実施形態では、コントローラは、道路環境情報に基づいて、支援対象車両の走行支援を行う。これにより、支援が必要な車両がインフラセンサによって検出された道路環境の情報に基づいて走行を行うことができる。例えば、コントローラは、走行経路の路上の環境状況を含む地図画像を生成し、当該地図画像を表示させるよう指示することで、支援対象車両の走行を支援する。
【0070】
なお、以上に説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【符号の説明】
【0071】
100…走行支援システム
1…道路環境送信装置
10…コントローラ
101…インフラセンサ抽出部
102…優先度設定部
103…インフラセンサ制御部
2…車両
3…サーバ
4…インフラセンサ
5…ネットワーク
図1
図2
図3