(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087411
(43)【公開日】2024-07-01
(54)【発明の名称】画像形成装置、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G03G 21/20 20060101AFI20240624BHJP
G03G 15/20 20060101ALI20240624BHJP
【FI】
G03G21/20
G03G15/20 555
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022202228
(22)【出願日】2022-12-19
(71)【出願人】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村上 清貴
【テーマコード(参考)】
2H033
2H270
【Fターム(参考)】
2H033AA02
2H033AA13
2H033AA45
2H033BA25
2H033BA26
2H033BA27
2H033BA30
2H033BB03
2H033BB04
2H033BB13
2H033BB18
2H033BB19
2H033BB29
2H033BB30
2H033BB33
2H033BB34
2H033BE00
2H033CA02
2H033CA30
2H033CA45
2H270KA04
2H270KA05
2H270KA09
2H270KA22
2H270KA28
2H270KA32
2H270KA35
2H270KA36
2H270KA50
2H270KA70
2H270LA25
2H270LA37
2H270LC01
2H270LC04
2H270LC06
2H270LC07
2H270LC10
2H270LC12
2H270LC14
2H270LD05
2H270LD06
2H270LD08
2H270LD14
2H270LD15
2H270MA35
2H270MB03
2H270MB07
2H270MC44
2H270MC56
2H270MC57
2H270MC59
2H270MF01
2H270MF08
2H270MH09
2H270QA06
2H270QA13
2H270QA23
2H270QB21
2H270ZC03
2H270ZC04
2H270ZC05
2H270ZD00
(57)【要約】
【課題】印刷媒体に付された無線タグに不具合が生じてしまうことを抑制することができる画像形成装置を提供すること。
【解決手段】画像形成装置は、搬送部と、画像形成部と、定着装置と、制御部とを持つ。搬送部は、無線タグが付された印刷媒体を搬送する。画像形成部は、印刷媒体上に画像を形成する。定着装置は、印刷媒体を加熱する加熱部を有し、印刷媒体が搬送される搬送路上の位置のうちの加熱位置において加熱部により印刷媒体を加熱し、画像形成部により印刷媒体上に形成された画像を印刷媒体に定着させる。制御部は、加熱部による印刷媒体の加熱において、印刷媒体上の領域のうち無線タグを含まない第1領域を加熱する温度よりも、印刷媒体上の領域のうち無線タグを含む第2領域を加熱する温度を低くする。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線タグが付された印刷媒体を搬送する搬送部と、
前記印刷媒体上に画像を形成する画像形成部と、
前記印刷媒体を加熱する加熱部を有し、前記印刷媒体が搬送される搬送路上の位置のうちの加熱位置において前記加熱部により前記印刷媒体を加熱し、前記画像形成部により前記印刷媒体上に形成された画像を前記印刷媒体に定着させる定着装置と、
前記加熱部による前記印刷媒体の加熱において、前記印刷媒体上の領域のうち前記無線タグを含まない第1領域を加熱する温度よりも、前記印刷媒体上の領域のうち前記無線タグを含む第2領域を加熱する温度を低くする制御部と、
を備える画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記印刷媒体が搬送される搬送路上の位置のうち前記加熱位置よりも手前の検出位置において、前記印刷媒体の搬送方向における前記印刷媒体上の前記無線タグの位置を示す無線タグ位置情報を検出する検出部により検出された前記無線タグ位置情報に基づいて、前記第1領域を加熱する温度よりも前記第2領域を加熱する温度を低くする、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記加熱部による前記印刷媒体の加熱において、前記搬送路上の区間のうち、前記加熱位置と、前記加熱位置よりも第1距離手前の位置との間の対象区間内を前記第1領域が通過する期間における前記加熱部の温度を第1温度に設定し、前記対象区間内を前記第2領域が通過する期間における前記加熱部の温度を前記第1温度よりも低い第2温度に設定する、
請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記検出部により検出された前記無線タグ位置情報に基づいて、前記無線タグが前記対象区間へ入る第1タイミングと、前記無線タグが前記対象区間を出る第2タイミングとを算出し、算出した前記第1タイミング及び前記第2タイミングに応じて、前記対象区間内を前記第2領域が通過する期間における前記加熱部の温度を前記第1温度よりも低い第2温度に設定する、
請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記無線タグ位置情報は、前記無線タグの受信信号強度であり、
前記制御部は、印刷媒体の搬送方向における印刷媒体上の無線タグの位置と受信信号強度とが対応付けられた対応情報と、前記検出部により検出された前記無線タグ位置情報とに基づいて、前記第1領域を加熱する温度よりも前記第2領域を加熱する温度を低くする、
請求項2から4のうちいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
無線タグが付された印刷媒体を搬送する搬送部と、前記印刷媒体上に画像を形成する画像形成部と、前記印刷媒体を加熱する加熱部を有し、前記印刷媒体が搬送される搬送路上の位置のうちの加熱位置において前記加熱部により前記印刷媒体を加熱し、前記画像形成部により前記印刷媒体上に形成された画像を前記印刷媒体に定着させる定着装置とを備える画像形成装置を制御するプログラムであって、
前記加熱部による前記印刷媒体の加熱において、前記印刷媒体上の領域のうち前記無線タグを含まない第1領域を加熱する温度よりも、前記印刷媒体上の領域のうち前記無線タグを含む第2領域を加熱する温度を低くする、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、画像形成装置、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、無線タグが付された印刷媒体の搬送中において、無線タグにタグ情報を書き込むことが可能な画像形成装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、特許文献1に記載されたような画像形成装置は、印刷媒体を加熱することによって印刷媒体上に画像を定着させる際、印刷媒体に付された無線タグを印刷媒体とともに加熱する。この加熱により、画像形成装置において、印刷媒体に付された無線タグは、不具合が生じてしまう場合があった。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、印刷媒体に付された無線タグに不具合が生じてしまうことを抑制することができる画像形成装置、及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の画像形成装置は、搬送部と、画像形成部と、定着装置と、制御部とを持つ。搬送部は、無線タグが付された印刷媒体を搬送する。画像形成部は、印刷媒体上に画像を形成する。定着装置は、印刷媒体を加熱する加熱部を有し、印刷媒体が搬送される搬送路上の位置のうちの加熱位置において加熱部により印刷媒体を加熱し、画像形成部により印刷媒体上に形成された画像を印刷媒体に定着させる。制御部は、加熱部による印刷媒体の加熱において、印刷媒体上の領域のうち無線タグを含まない第1領域を加熱する温度よりも、印刷媒体上の領域のうち無線タグを含む第2領域を加熱する温度を低くする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態の画像形成装置1の構成の一例を示す図である。
【
図2】無線タグが付された印刷媒体の構成の一例を示す図である。
【
図4】
図3に示した加熱部HTが備える発熱体HEの構成の一例を示す図である。
【
図5】
図3に示した加熱部HTが備える発熱体HEの構成の他の例を示す図である。
【
図6】
図5に示した加熱部HTが備える発熱体HEの構成の他の例を示す図である。
【
図7】定着装置ADの構成の他の例を示す図である。
【
図8】印刷媒体の先端が検出位置と一致している場合における2本のレジストローラ24の様子の一例を示す図である。
【
図9】印刷媒体の先端が検出位置と一致している場合における2本のレジストローラ24の様子の他の例を示す図である。
【
図10】無線タグの位置と受信信号強度との相関関係の一例を示す図である。
【
図11】アンテナ間距離に基づいて無線タグの位置を特定する方法を説明するための図である。
【
図12】制御部110の機能構成の一例を示す図である。
【
図13】印刷媒体の搬送において画像形成装置1が加熱部HTの設定温度を変化させる処理の流れの一例を示す図である。
【
図14】印刷媒体の第2領域が対象区間を通過する場合において加熱部HTの設定温度を画像形成装置1が第1温度から第2温度に低下させている様子の一例を示すグラフである。
【
図15】温度低下処理を行った場合において排紙トレイTB上に積載された印刷媒体の無線タグの最大温度と、温度低下処理を行わなかった場合において排紙トレイTB上に積載された印刷媒体の無線タグの最大温度とを比較する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
実施形態に係る画像形成装置を、図面を参照して説明する。各図において、同一構成については同一の符号を付す。実施形態に係る画像形成装置の一例として、画像形成装置1を例に挙げて説明する。
【0009】
(画像形成装置の構成)
図1を参照し、画像形成装置1の構成について説明する。
図1は、実施形態の画像形成装置1の構成の一例を示す図である。
【0010】
画像形成装置1は、印刷媒体へ画像の形成を行う装置であり、例えば、複合機、コピー機、プリンタ等である。画像形成装置1は、例えば、ワークプレイスに配置される。印刷媒体は、画像の形成等の処理を画像形成装置1が行う対象となる媒体のことである。印刷媒体は、両面のうちの少なくとも一方に画像を形成可能なシート状の媒体であれば、如何なる媒体であってもよい。例えば、印刷媒体は、印刷用紙、プラスチックフィルム等である。
【0011】
画像形成装置1は、ユーザから受け付けた操作に応じて、ユーザが所望する処理を行う対象となる印刷媒体の種類を特定する。印刷媒体は、印刷媒体のサイズ、印刷媒体の厚み、印刷媒体の材質、無線タグの有無によって種類分けされる。無線タグを有する印刷媒体は、1以上の無線タグが付された印刷媒体のことである。無線タグを有さない印刷媒体は、無線タグが付されていない印刷媒体のことである。
【0012】
無線タグは、例えば、RFID(Radio Frequency Identification)タグであるが、これに限られるわけではない。
図2は、無線タグが付された印刷媒体の構成の一例を示す図である。
図2に示した矢印は、画像形成装置1において印刷媒体が搬送される搬送方向を示している。
図2に示した印刷媒体PPAは、無線タグが付された印刷媒体の一例を示す。
図2に示した無線タグTGは、印刷媒体PPAに付された無線タグの一例を示す。無線タグTGは、IC(Integrated Circuit)チップCPと、アンテナATを有する。ICチップCPは、タグ情報の書き込み/読み出しが行われるICチップである。アンテナATは、ICチップCPと接続され、ICチップCPへ書き込まれるタグ情報の受信、ICチップCPから読み出されるタグ情報の送信等を行うアンテナである。
【0013】
画像形成装置1は、印刷媒体上での搬送方向における無線タグの位置を検出することができる。このため、画像形成装置1は、印刷媒体上の領域を、搬送方向に並ぶ2種類の領域、すなわち、無線タグを含まない第1領域と、無線タグを含む第2領域とのそれぞれに区別することができる。第1領域は、無線タグを含まない長方形状の領域のことである。第2領域は、無線タグを含む長方形状の領域のことである。例えば、画像形成装置1は、印刷媒体PPA上での搬送方向における無線タグTGの位置を検出する。この場合、画像形成装置1は、検出した当該位置に基づいて、
図2に示したように、印刷媒体PPA上の領域を、無線タグTGを含まない第1領域RAAと、無線タグTGを含む第2領域RBと、無線タグTGを含まない第1領域RABとのそれぞれに区別する。
図2に示した例では、第1領域RAA、第2領域RB、第1領域RABの3つの領域は、搬送方向に向かって第1領域RAA、第2領域RB、第1領域RABの順に並んでいる。
【0014】
画像形成装置1は、ユーザから受け付けた操作に応じて、予め特定した種類の印刷媒体に画像の形成を行う。例えば、画像形成装置1は、ユーザから受け付けた操作に応じて予め特定した種類の印刷媒体が無線タグを有する印刷媒体であった場合、当該印刷媒体に付された1以上の無線タグのそれぞれにタグ情報を書き込む。当該1以上の無線タグにタグ情報を書き込んだ後、画像形成装置1は、タグ情報を書き込んだ当該1以上の無線タグが付された当該印刷媒体上に画像を形成する。当該印刷媒体に画像を形成した後、画像形成装置1は、画像を形成した当該印刷媒体を加熱し、画像を当該印刷媒体に定着させる。画像を当該印刷媒体に定着させた後、画像形成装置1は、画像を定着させた当該印刷媒体を排出する。
【0015】
印刷媒体に付された無線タグは、このような印刷媒体の加熱において、印刷媒体とともに加熱される。この加熱により、印刷媒体に付された無線タグは、不具合が生じてしまう場合があった。無線タグに生じる不具合は、例えば、タグ情報の書き込み/読み出しを行う機器と無線タグとの間の通信に関する不具合、無線タグの発熱による印刷媒体の変形等のことである。
【0016】
そこで、画像形成装置1は、印刷媒体の加熱において、印刷媒体上の領域のうち無線タグを含まない第1領域を加熱する温度よりも、印刷媒体上の領域のうち無線タグを含む第2領域を加熱する温度を低くする。例えば、
図2に示した印刷媒体PPAを加熱する場合、画像形成装置1は、第1領域RAA、第1領域RABのそれぞれを加熱する温度よりも、第2領域RBを加熱する温度を低くする。これにより、画像形成装置1は、印刷媒体に付された無線タグに不具合が生じてしまうことを抑制することができる。
【0017】
画像形成装置1は、例えば、プリンタ部11と、コントロールパネル12と、無線タグ通信装置13と、手差しトレイTAと、排紙トレイTBを備える。画像形成装置1は、プリンタ部11と、コントロールパネル12と、無線タグ通信装置13と、手差しトレイTAと、排紙トレイTBとに加えて、他の部材、他の装置等を備える構成であってもよい。画像形成装置1は、無線タグ通信装置13を備えない構成であってもよい。この場合、画像形成装置1は、外部から無線タグ通信装置13が通信可能に接続される。
【0018】
プリンタ部11は、制御部110と、給紙カセット111と、給紙カセット112と、画像形成ユニット114を備える。
【0019】
制御部110は、画像形成装置1の全体を制御する。換言すると、制御部110は、プリンタ部11と、コントロールパネル12と、無線タグ通信装置13と、画像形成ユニット114とのそれぞれを制御する。
【0020】
給紙カセット111は、ユーザが所望する種類の印刷媒体を収納する。一例として、給紙カセット111には、無線タグが付された印刷媒体が収納されている場合について説明する。
【0021】
給紙カセット112は、ユーザが所望する種類の印刷媒体を収納する。一例として、給紙カセット112には、無線タグが付されていない印刷媒体が収納されている場合について説明する。
【0022】
コントロールパネル12は、操作受付部と、表示部を備える。
【0023】
操作受付部は、ユーザからの操作を受け付ける。操作受付部は、入力装置であり、例えば、タッチパッド、入力キー等である。操作受付部は、ユーザから受け付けた操作を示す情報を制御部110に出力する。
【0024】
表示部は、操作受付部を介して受け付けられた操作に応じた画像を表示する。表示部は、画像表示装置であり、例えば、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等である。なお、表示部は、タッチパネルとして操作受付部と一体に構成されてもよい。
【0025】
画像形成ユニット114は、制御部110からの制御に応じて、印刷媒体の搬送と、制御部110から取得した画像データが示す画像の印刷媒体への形成とを行う。説明の便宜上、印刷媒体に画像を形成することを印刷と称して説明する。画像形成ユニット114の構成については、後述する。
【0026】
無線タグ通信装置13は、画像形成装置1において印刷媒体が搬送される搬送路上の領域のうち所定の放射領域RAに電波を放射するアンテナ131を備える。
【0027】
アンテナ131は、例えば、放射領域RAに電波を放射する単一のアンテナである。アンテナ131は、単一のアンテナに代えて、複数のアンテナにより構成されてもよい。
【0028】
無線タグ通信装置13は、制御部110からの制御に応じて、放射領域RAに向かって電波をアンテナ131に放射させる。これにより、無線タグ通信装置13は、無線タグを有する印刷媒体に付された1以上の無線タグにタグ情報を書き込むことができる。無線タグへタグ情報を書き込む方法については、既知の方法であってもよく、これから開発される方法であってもよい。このため、無線タグへタグ情報を書き込む方法については、説明を省略する。
【0029】
(画像形成ユニットの構成)
以下、画像形成ユニット114の構成について説明する。
【0030】
画像形成ユニット114は、中間転写ベルト20を備える。画像形成ユニット114は、従動ローラ21と、バックアップローラ22と、2次転写ローラ23と、2本のレジストローラ24と、手差し給紙ローラ25を備える。画像形成ユニット114は、画像形成ステーション31と、画像形成ステーション32と、画像形成ステーション33と、画像形成ステーション34との4組の画像形成ステーションを備える。画像形成ユニット114は、定着装置ADと、両面印刷装置DFを備える。
【0031】
中間転写ベルト20は、4組の画像形成ステーションにより、トナー像が1次転写されるベルトである。中間転写ベルト20は、従動ローラ21と、バックアップローラ22等により支持される。中間転写ベルト20は、
図1の矢印mが示す方向に回転する。より具体的には、画像形成ユニット114は、制御部110からの制御に応じて、図示しないモータにより、中間転写ベルト20を当該方向に回転させる。
【0032】
画像形成ステーション31は、Y(イエロー)の画像形成用の画像形成ステーションである。画像形成ステーション32は、M(マゼンタ)の画像形成用の画像形成ステーションである。画像形成ステーション33は、C(シアン)の画像形成用の画像形成ステーションである。画像形成ステーション34は、K(ブラック)の画像形成用の画像形成ステーションである。画像形成ユニット114では、これら4組の画像形成ステーションは、中間転写ベルト20の下側において、中間転写ベルト20の回転方向に沿って配置される。
【0033】
画像形成ステーション31は、感光体ドラム311と、帯電チャージャ312と、露光走査ヘッド313と、現像装置314と、感光体クリーナ315と、1次転写ローラ316を備える。画像形成ステーション31では、帯電チャージャ312と、露光走査ヘッド313と、現像装置314と、感光体クリーナ315と、1次転写ローラ316が、
図1の矢印nが示す方向に回転する感光体ドラム311の周囲に配置される。1次転写ローラ316は、中間転写ベルト20を介して感光体ドラム311と対向する。
【0034】
画像形成ステーション32、画像形成ステーション33、画像形成ステーション34それぞれの構成は、このような画像形成ステーション31の構成と同様の構成である。このため、以下では、画像形成ステーション32、画像形成ステーション33、画像形成ステーション34それぞれの構成については、説明を省略する。
【0035】
2次転写ローラ23は、中間転写ベルト20を介してバックアップローラ22と対向する。2次転写ローラ23は、中間転写ベルト20に1次転写されたトナー像を、2次転写ローラ23と中間転写ベルト20との間を通る印刷媒体に2次転写する。印刷媒体に2次転写されるトナー像は、印刷媒体上に形成される画像の一例である。
【0036】
2本のレジストローラ24は、給紙カセット111、給紙カセット112、手差しトレイTAのそれぞれから図示しない搬送機構により取り出された印刷媒体を、2次転写ローラ23と中間転写ベルト20との間に搬送する。
【0037】
手差し給紙ローラ25は、手差しトレイTAから印刷媒体を取り出して2本のレジストローラ24へ搬送する。
【0038】
定着装置ADは、2次転写ローラ23によりトナー像が2次転写された後の印刷媒体にトナー像を定着させる装置である。より具体的には、定着装置ADは、ローラにより当該印刷媒体を搬送しながら当該印刷媒体を加熱し、当該印刷媒体に2次転写されているトナー像を当該印刷媒体に定着させる。
【0039】
両面印刷装置DFは、定着装置ADにより表面にトナー像が定着された後の印刷媒体を、2本のレジストローラ24に搬送する装置である。両面印刷装置DFには、表面と裏面とが裏返された後の当該印刷媒体が搬送される。このため、両面印刷装置DFを介して2本のレジストローラ24の間に搬送された印刷媒体は、2次転写ローラ23、定着装置ADを介して、裏面に画像が形成される。
【0040】
(画像形成ユニットの動作)
以下、画像形成ユニット114の動作について説明する。
【0041】
まず、画像形成ステーション31の動作を例に挙げて、4組の画像形成ステーションの動作について説明する。
【0042】
画像形成ステーション31は、感光体ドラム311を帯電チャージャ312により帯電させた後、露光走査ヘッド313によって露光する。これにより、画像形成ステーション31は、感光体ドラム311上に静電潜像を形成する。その後、画像形成ステーション31は、感光体ドラム311上の静電潜像を現像装置314に現像させる。現像装置314は、トナーとキャリアとにより形成される二成分の現像剤を用いて、感光体ドラム311上の静電潜像を、トナー像として現像する。1次転写ローラ316は、このようにして感光体ドラム311に形成されるトナー像を、中間転写ベルト20に1次転写する。この1次転写が行なわれた後、感光体クリーナ315は、感光体ドラム311に残留するトナーを除去する。
【0043】
画像形成ステーション31と、画像形成ステーション32と、画像形成ステーション33と、画像形成ステーション34とのそれぞれは、1次転写ローラ316によって、中間転写ベルト20上にカラートナー像を形成する。カラートナー像は、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)のトナー像を順次重ねて形成される。
【0044】
次に、2次転写ローラ23の動作について説明する。2次転写ローラ23は、中間転写ベルト20上のカラートナー像を一括して、2次転写ローラ23と中間転写ベルト20との間を通過する印刷媒体に2次転写する。以下の説明において「トナー像」という場合、カラートナー像と1色のみのトナー像のいずれであってもよいものとする。トナー像は、消色トナーを用いたトナー像であってもよい。
【0045】
次に、画像形成ユニット114の動作のうち印刷媒体を搬送する動作について説明する。
【0046】
2本のレジストローラ24のニップには、図示しない搬送機構により、給紙カセット111、給紙カセット112、手差しトレイTAのそれぞれから取り出された印刷媒体が撓ませられる。これにより、印刷媒体の先端は、位置が整えられる。その後、2本のレジストローラ24は、画像形成ユニット114がトナー像を印刷媒体に転写するタイミングに応じて、2次転写ローラ23と中間転写ベルト20との間に印刷媒体を搬送する。給紙カセット111、給紙カセット112、手差しトレイTAのそれぞれから取り出された印刷媒体が2本のレジストローラ24まで搬送される搬送路は、
図1に示した合流部PAにおいて合流する。
【0047】
画像形成ユニット114内では、2本のレジストローラ24と、定着装置ADと、両面印刷装置DF内の複数のローラによって、搬送路LA、搬送路LB、搬送路LCの3つの搬送路が形成されている。搬送路LAは、合流部PAから、
図1に示した分岐部PBまでの搬送路である。搬送路LBは、両面印刷装置DF内を通過する搬送路であり、分岐部PBから合流部PAまでの搬送路である。搬送路LCは、分岐部PBから排紙トレイTBまでの搬送路である。
【0048】
2本のレジストローラ24は、回転する中間転写ベルト20のトナー像の位置に合せて回転を開始し、2次転写ローラ23の位置に印刷媒体を移動させる。これにより、中間転写ベルト20上に形成されたトナー像は、2次転写ローラ23によって印刷媒体に2次転写される。トナー像が印刷媒体に2次転写された後、2次転写ローラ23は、搬送路LAに沿って印刷媒体を定着装置ADに搬送する。
【0049】
定着装置ADは、2次転写ローラ23から搬送されてくる印刷媒体に2次転写されたトナー像を、当該印刷媒体を搬送しながら当該印刷媒体に定着させる。
図3は、定着装置ADの構成の一例を示す図である。定着装置ADは、例えば、定着部材ADAと、定着部材ADAと対向する加圧部材ADBと、加熱部HTを有する。三次元座標系TCは、三次元座標系TCが描かれた図における方向を示す三次元直交座標系である。
【0050】
定着部材ADAは、無端状の周面を有する部材である。例えば、定着部材ADAは、ベルト状の部材である。定着部材ADAは、加圧部材ADBの外周面に当接する。定着部材ADAは、当接する加圧部材ADBとともに回転する。定着部材ADAの内部には、加熱部HTが設けられている。定着部材ADAの内部には、定着部材ADAを回転可能に支持する支持部材が設けられている。
図1及び
図3では、図を簡略化するため、当該支持部材が省略されている。定着部材ADAは、
図3に示した三次元座標系TCのX軸と平行な回転軸周りに回転する。
【0051】
加圧部材ADBは、定着部材ADAの外周面に当接するローラである。加圧部材ADBには、歯車等を介して、モータの駆動力が伝達される。換言すると、加圧部材ADBは、モータの駆動によって回転する。加圧部材ADBは、
図3に示した三次元座標系TCのX軸と平行な回転軸周りに回転する。
【0052】
加圧部材ADBは、バネ等の付勢部材によって、定着部材ADAの外周面に押し付けられる。加圧部材ADBは、定着部材ADAに押し付けられることによって定着部材ADAとニップを形成する。換言すると、加圧部材ADBは、定着部材ADAと接触することによって定着部材ADAとニップを形成する。定着装置ADでは、加圧部材ADBが付勢部材によって定着部材ADAの外周面に押し付けられる構成に代えて、定着部材ADAが付勢部材によって加圧部材ADBの外周面に押し付けられる構成であってもよい。
【0053】
加熱部HTは、定着部材ADAを加熱する加熱装置である。例えば、加熱部HTは、ランプ方式の加熱装置であり、発熱体HEを備える。この場合、発熱体HEは、定着部材ADAと摺動可能に接触している。発熱体HEは、ガラス等により構成される保護層を介して定着部材ADAと摺動可能に接触する構成であってもよく、保護層を介さずに直接定着部材ADAと摺動可能に接触する構成であってもよい。加熱部HTは、発熱体HEを発熱させ、発熱体HEと接触している定着部材ADAを加熱する。
図1及び
図3に示した例では、加熱部HTは、搬送路上の位置のうち、定着部材ADAと加圧部材ADBとが接触している位置を加熱位置HPとして、定着部材ADAの外周面上の領域のうち、加熱位置HPに位置する被加熱領域を加熱する。これにより、加熱部HTは、定着部材ADAと加圧部材ADBとの間を通過する印刷媒体の表面を加熱することができる。
図3では、図を簡略化するため、加熱部HTを長方形状の物体として示している。
【0054】
図4は、
図3に示した加熱部HTが備える発熱体HEの構成の一例を示す図である。
図4に示したように、発熱体HEは、定着部材ADAの回転軸の軸方向に延伸する形状の発熱体である。
図4に示した例では、発熱体HEは、発熱体HEAと、発熱体HEBと、発熱体HECとの3つの発熱体によって構成される。発熱体HEAは、被加熱領域の当該軸方向における中央付近の領域を加熱する発熱体である。発熱体HEBは、被加熱領域の当該軸方向における両端のうちの一方を加熱する発熱体である。発熱体HECは、被加熱領域の当該軸方向における両端のうちの他方を加熱する発熱体である。このため、当該例では、これら3つの発熱体は、発熱体HEB、発熱体HEA、発熱体HECの順に三次元座標系TCのX軸の負方向に向かって並んでいる。これにより、発熱体HEは、被加熱領域の全体を加熱することができる。これら3つの発熱体は、例えば、銀・パラジウム合金等の抵抗体により構成され、制御部110による通電によって発熱する。当該例では、これら3つの発熱体は、配線がプリントされた基板上に設けられている。
図4に示した配線の接続態様は、一例に過ぎず、他の接続態様であってもよい。これら3つの発熱体のうちの一部又は全部は、一体に構成されてもよい。
図4に示した発熱体HEについてのより詳しい構成は、例えば、特開2021-039193号公報等に記載されている。このため、本実施形態では、
図4に示した発熱体HEの構成について、これ以上の詳細な説明を省略する。
【0055】
加熱部HTの発熱体HEは、
図4に示した構成に代えて、
図5に示したように、搬送方向に向かって並ぶ複数の発熱体により構成されてもよい。
図5は、
図3に示した加熱部HTが備える発熱体HEの構成の他の例を示す図である。
図5に示した例では、発熱体HEは、発熱体HEDと、発熱体HEEと、発熱体HEFと、発熱体HEGとの4つの発熱体によって構成される。発熱体HEDは、被加熱領域の全体を加熱する発熱体である。発熱体HEEは、被加熱領域のうち発熱体HEDが加熱する領域よりも狭い領域であり、且つ、被加熱領域のうち発熱体HEFが加熱する領域よりも広い領域を加熱する発熱体である。発熱体HEFは、被加熱領域のうち発熱体HEEが加熱する領域よりも狭い領域であり、且つ、被加熱領域の当該軸方向における中央付近の領域を加熱する発熱体である。発熱体HEGは、被加熱領域の全体を加熱する発熱体である。当該例では、これら4つの発熱体は、発熱体HEG、発熱体HEF、発熱体HEE、発熱体HEDの順に三次元座標系TCのZ軸の正方向、すなわち、搬送方向に向かって並んでいる。これによっても、発熱体HEは、被加熱領域の全体を加熱することができる。これら4つの発熱体は、例えば、銀・パラジウム合金等の抵抗体により構成され、制御部110による通電によって発熱する。当該例では、これら4つの発熱体は、配線がプリントされた基板上に設けられている。
図5に示した配線の接続態様は、一例に過ぎず、他の接続態様であってもよい。これら4つの発熱体のうちの一部又は全部は、一体に構成されてもよい。
図5に示した発熱体HEについてのより詳しい構成は、例えば、特開2021-162757号公報等に記載されている。このため、本実施形態では、
図5に示した発熱体HEの構成について、これ以上の詳細な説明を省略する。
【0056】
図5に示したような搬送方向に並ぶ複数の発熱体により構成される発熱体HEは、
図6に示したような3つの発熱体により構成されてもよい。
図6は、
図5に示した加熱部HTが備える発熱体HEの構成の他の例を示す図である。
図6に示した例では、発熱体HEは、発熱体HEHと、発熱体HEIと、発熱体HEJとの3つの発熱体によって構成される。これら3つの発熱体は、これら3つの発熱体が延伸する方向において太さが変化する形状を有する発熱体である。
図6に示した例では、発熱体HEIは、三次元座標系TCのY軸の負方向に向かって見た場合、発熱体HEIが有する部分のうち定着部材ADAの回転軸の軸方向における中央付近の部分が、発熱体HEIの両端よりも膨らんでいる凸レンズのような形状を有している。発熱体HEHは、当該場合、発熱体HEIと嵌合するように、発熱体HEHが有する部分のうち当該軸方向における中央付近の部分が、発熱体HEHの両端よりも凹んでいる凹レンズのような形状を有している。発熱体HEJは、当該場合、発熱体HEIと嵌合するように、発熱体HEJが有する部分のうち当該軸方向における中央付近の部分が、発熱体HEJの両端よりも凹んでいる凹レンズのような形状を有している。これら3つの発熱体は、いずれも被加熱領域の全体を加熱する発熱体である。当該例では、これら3つの発熱体は、発熱体HEJ、発熱体HEI、発熱体HEHの順に三次元座標系TCのZ軸の正方向、すなわち、搬送方向に向かって並んでいる。これによっても、発熱体HEは、被加熱領域の全体を加熱することができる。これら3つの発熱体は、例えば、銀・パラジウム合金等の抵抗体によって構成され、制御部110による通電によって発熱する。当該例では、これら3つの発熱体は、配線がプリントされた基板上に設けられている。
図6に示した配線の接続態様は、一例に過ぎず、他の接続態様であってもよい。これら3つの発熱体のうちの一部又は全部は、一体に構成されてもよい。
図6に示した発熱体HEについてのより詳しい構成は、例えば、特開2019-144451号公報等に記載されている。このため、本実施形態では、
図6に示した発熱体HEの構成について、これ以上の詳細な説明を省略する。
【0057】
図4~
図6に示したようなランプ方式の加熱部HTは、定着部材ADAの内部に設けられる構成に代えて、加圧部材ADBの内部に設けられる構成であってもよい。
【0058】
加熱部HTは、
図4~
図6に示したようなランプ方式の加熱装置に代えて、
図7に示したようなIH(Induction Heating)方式の加熱装置であってもよい。
図7は、定着装置ADの構成の他の例を示す図である。
図7に示した定着装置ADが備える加熱部HTは、IH方式の加熱装置であり、フェライトコアFCと、フェライトコアFCに設けられたIHコイルCLと、IHコイルCLから発生した磁束によって発熱する発熱体MGを備える。
【0059】
フェライトコアFCは、IHコイルCLから発生した磁束が定着部材ADAに集中するように、定着部材ADAの外部に設けられる。
図7に示した例では、フェライトコアFCは、定着部材ADAの外周面に沿って湾曲しており、定着部材ADAと対向する位置のうち加圧部材ADBが位置する位置と反対側の位置に設けられている。
【0060】
IHコイルCLは、フェライトコアFCの内周面に設けられ、制御部110から供給された交流電流に応じた磁束を発生させるコイルである。フェライトコアFCの内周面は、フェライトコアFCが有する面のうち定着部材ADAの外周面と対向する面のことである。換言すると、フェライトコアFCの内周面は、フェライトコアFCが有する面のうち定着部材ADAに面する面のことである。IHコイルCLは、発生させた磁束によって定着部材ADAの内部に設けられた発熱体MGを加熱する。
【0061】
発熱体MGは、IHコイルCLが発生させた磁束によって発熱する物体であればよく、例えば、ニッケル・フェライト合金製の物体であるが、これに限られるわけではない。発熱体MGは、定着部材ADAの内周面に沿って湾曲し、定着部材ADAの回転軸の軸方向に向かって延伸し、定着部材ADAの内部において定着部材ADAと摺動可能に接触している。これにより、発熱体MGは、回転する定着部材ADAの外周面上の領域のうち加熱位置HPと略反対側に位置する領域を被加熱領域として加熱することができる。その結果、発熱体MGは、定着部材ADAの回転によって加熱位置HPへ移動する当該領域によって印刷媒体の表面を加熱することができる。発熱体MGは、前述の保護層を介して定着部材ADAと接触している構成であってもよく、保護層を介さずに定着部材ADAと接触している構成であってもよい。発熱体MGは、定着部材ADAの内部において、図示しない支持部材によって支持される。
【0062】
図7に示した定着装置ADについてのより詳しい構成は、例えば、特開2019-124716号公報等に記載されている。このため、本実施形態では、
図7に示した発熱体HEの構成について、これ以上の詳細な説明を省略する。
【0063】
なお、加熱部HT、定着装置ADそれぞれの構成については、本実施形態において説明する定着装置ADの機能を損なわない限りにおいて、他の如何なる構成であってもよい。
【0064】
以上のような構成により、定着装置ADは、印刷媒体を加熱する加熱部HTを有し、印刷媒体が搬送される搬送路上の位置のうちの加熱位置HPにおいて加熱部HTにより印刷媒体を加熱し、トナー像を印刷媒体に定着させる。これにより、当該印刷媒体には、2次転写ローラ23によって2次転写されていたトナー像が画像として形成される。定着装置ADは、印刷媒体に画像が形成された後、印刷媒体を搬送路LCに搬送する。そして、搬送路LCに搬送された印刷媒体は、図示しないローラによって排紙される。
【0065】
両面印刷の場合、表面に画像が形成されてから印刷媒体の全体が分岐部PBを通過した後、図示しないローラは、スイッチバックにより印刷媒体を搬送路LBに搬送する。これにより、印刷媒体の表面と裏面とは裏返る。その後、両面印刷装置DF内の複数のローラは、搬送路LBに沿って印刷媒体を2本のレジストローラ24のニップに搬送する。そして、表面と裏面とが裏返っている印刷媒体は、2本のレジストローラ24を経由して搬送路LAに沿って搬送され、定着装置ADによってトナー像が定着させられる。これにより、印刷媒体の裏面には、画像が形成される。定着装置ADは、裏面に画像が形成された印刷媒体を搬送路LCに搬送し、排紙する。
【0066】
このように、2次転写ローラ23と、2本のレジストローラ24と、定着装置ADと、両面印刷装置DF内の各種のローラとは、画像形成装置1において印刷媒体を搬送させる搬送部を構成する。
【0067】
(搬送方向における印刷媒体上の無線タグの位置の検出)
画像形成装置1は、前述した通り、加熱部HTによる印刷媒体の加熱において、印刷媒体上の領域のうち無線タグを含まない第1領域を加熱する温度よりも、印刷媒体上の領域のうち前記無線タグを含む第2領域を加熱する温度を低くする。このため、画像形成装置1は、以下において説明するように、搬送方向における印刷媒体上の無線タグの位置を検出し、第1領域と第2領域とのうち少なくとも第2領域を特定する。以下では、搬送方向における印刷媒体上の無線タグの位置を検出する方法について説明する。説明の便宜上、搬送方向における印刷媒体上の無線タグの位置を、単に無線タグの位置と称して説明する。
【0068】
画像形成装置1は、印刷媒体が搬送される搬送路上の位置のうち加熱位置HPよりも手前の検出位置において、無線タグの位置を示す無線タグ位置情報を検出する。
【0069】
検出位置は、印刷媒体が搬送される搬送路上の位置のうち、2本のレジストローラ24によって挟まれた状態のまま印刷媒体の先端が一致することが可能な位置である。検出位置は、2本のレジストローラ24のニップから搬送方向に予め決められた距離進んだ位置である。当該予め決められた距離は、例えば、数センチメートル程度であるが、これに限られるわけではない。ただし、当該予め決められた距離は、印刷媒体に付された無線タグが2本のレジストローラ24によって挟まれない距離として決められる。このため、当該予め決められた距離は、印刷媒体の種類に応じて異なる構成であってもよい。一例として、検出位置が、前述の放射領域RAに含まれる位置である場合について説明する。検出位置は、2本のレジストローラ24によって挟まれた状態のままでは印刷媒体の先端が一致することが不可能な位置であってもよい。検出位置は、放射領域RAに含まれない位置であってもよい。
【0070】
画像形成装置1は、2本のレジストローラ24のニップから印刷媒体を2次転写ローラ23の位置へ2本のレジストローラ24によって移動させる際、当該位置へ移動させる前に、印刷媒体の先端の位置を検出位置と一致させる。印刷媒体の先端の位置を検出位置と一致させた後、画像形成装置1は、予め決められた検出時間が経過するまでの間、2本のレジストローラ24による印刷媒体の移動を停止させる。検出時間は、画像形成装置1が無線タグ位置情報を検出するために要する時間以上の時間であれば、如何なる時間であってもよい。2本のレジストローラ24による印刷媒体の移動を停止させた後、画像形成装置1は、検出時間が経過するまでの間において、無線タグ位置情報を検出する。その後、検出時間が経過したと判定した場合、画像形成装置1は、2本のレジストローラ24による印刷媒体の移動を再開させ、2本のレジストローラ24によって印刷媒体を2次転写ローラ23の位置へ移動させる。
【0071】
印刷媒体の先端の位置が検出位置と一致している場合、印刷媒体に付された無線タグは、搬送路上において、2本のレジストローラ24よりも2次転写ローラ23に近い位置、又は、2本のレジストローラ24よりも2次転写ローラ23から遠い位置のいずれかに位置する。
図8は、印刷媒体PPBの先端が検出位置と一致している場合における2本のレジストローラ24の様子の一例を示す図である。印刷媒体PPBは、無線タグが付された印刷媒体の一例である。
図8には、2本のレジストローラ24により挟まれた印刷媒体PPBと、2本のレジストローラ24とともに、無線タグ通信装置13のアンテナ131が示されている。印刷媒体PPBには、無線タグの一例である無線タグTGBが付されている。
図8に示した例では、無線タグTGBは、当該場合において、2本のレジストローラ24よりも2次転写ローラ23に近い位置に位置している。一方、
図9は、印刷媒体PPCの先端が検出位置と一致している場合における2本のレジストローラ24の様子の他の例を示す図である。印刷媒体PPCは、無線タグが付された印刷媒体の一例である。
図9には、2本のレジストローラ24により挟まれた印刷媒体PPCと、2本のレジストローラ24とともに、無線タグ通信装置13のアンテナ131が示されている。
図9に示した例では、
図8に示した2本のレジストローラ24のニップから検出位置までの距離は、
図9に示した2本のレジストローラ24のニップから検出位置までの距離と同じ距離である。印刷媒体PPCには、無線タグの一例である無線タグTGCが付されている。
図9に示した例では、無線タグTGCは、当該場合において、2本のレジストローラ24よりも2次転写ローラ23から遠い位置に位置している。
【0072】
無線タグ位置情報は、無線タグの位置を示す情報であれば、如何なる情報であってもよい。例えば、画像形成装置1が無線タグの位置を検出するセンサを備える場合、画像形成装置1は、当該センサにより検出された結果を示す情報を無線タグ位置情報として取得することにより、無線タグ位置情報を検出する。例えば、画像形成装置1は、無線タグの位置を示す他の情報を検出するセンサを備える場合、当該センサにより検出された当該他の情報を無線タグ位置情報として取得することにより、無線タグ位置情報を検出する。画像形成装置1は、このような当該他の情報として、無線タグの受信信号強度(RSSI;Received Signal Strength Indicator)を利用可能である。一例として、無線タグ位置情報が、無線タグの受信信号強度である場合について説明する。
【0073】
受信信号強度は、アンテナ131から無線タグまでの距離と相関している。具体的には、受信信号強度は、
図10に示したように、当該距離が遠くなるほど、単調に低下する。このため、受信信号強度は、当該距離を示す代替指標として扱うことができる。説明の便宜上、当該距離を、アンテナ間距離と称して説明する。
図10は、無線タグの位置と受信信号強度との相関関係の一例を示す図である。
【0074】
画像形成装置1は、受信信号強度を検出した場合、予め記憶された対応情報と、受信信号強度とに基づいて、アンテナ間距離を算出することができる。対応情報は、無線タグの位置と受信信号強度とが対応付けられた情報のことである。対応情報は、無線タグの位置と受信信号強度とを対応付けるテーブル形式の情報であってもよく、無線タグの位置と受信信号強度とを対応付ける他の形式の情報であってもよい。
【0075】
画像形成装置1は、アンテナ間距離を算出した場合、算出したアンテナ間位置に基づいて、無線タグの位置を特定することができる。
図11は、アンテナ間距離に基づいて無線タグの位置を特定する方法を説明するための図である。
図11に示した印刷媒体PPDは、無線タグが付された印刷媒体の一例である。
図11に示した例では、印刷媒体PPDの先端は、検出位置に位置している。例えば、印刷媒体PPDに付された無線タグが、
図11に示した無線タグTGCである場合、無線タグTGCとアンテナ131との間のアンテナ間距離は、
図11に示した距離Xである。無線タグTGCは、印刷媒体PPDに付された無線タグの一例である。一方、例えば、印刷媒体PPDに付された無線タグが、
図11に示した無線タグTGDである場合、無線タグTGDとアンテナ131との間のアンテナ間距離は、
図11に示した距離Yである。無線タグTGDは、印刷媒体PPDに付された無線タグの一例である。
【0076】
図11に示した距離βは、アンテナ131から搬送路へ引いた仮想的な垂線の長さを示す。
図11に示した距離αは、当該垂線と搬送路との交点と、検出位置との間の長さを示す。距離α及び距離βは、画像形成装置1の設計段階において、予め決まっている値であり、既知の値である。このため、画像形成装置1は、例えば、印刷媒体PPDに付された無線タグが無線タグTGCである場合、三平方の定理を利用し、無線タグの位置として、検出位置からの距離xを特定することができる。具体的には、画像形成装置1は、以下の式(1)に基づいて、距離xを無線タグの位置として特定することができる。
【0077】
x=-α+√(X2-β2) ・・・(1)
【0078】
同様に、画像形成装置1は、例えば、印刷媒体PPDに付された無線タグが無線タグTGDである場合、三平方の定理を利用し、無線タグの位置として、検出位置からの距離yを特定することができる。具体的には、画像形成装置1は、以下の式(2)に基づいて、距離yを無線タグの位置として特定することができる。
【0079】
y=-α+√(Y2-β2) ・・・(2)
【0080】
以上のように、画像形成装置1は、無線タグ位置情報として受信信号強度を用いて、無線タグの位置を特定することができる。その結果、画像形成装置1は、第1領域と第2領域とのうち少なくとも第2領域を特定することができる。
【0081】
画像形成装置1において、印刷媒体の先端が検出位置と一致している場合、印刷媒体の一部又は全部は、放射領域RAの内側に含まれる構成であってもよく、放射領域RAの内側に含まれない構成であってもよい。
図1に示した例では、当該場合、印刷媒体全部が放射領域RAの内側に含まれている。
【0082】
(制御部の機能構成)
次に、
図12を参照し、制御部110の機能構成について説明する。
図12は、制御部110の機能構成の一例を示す図である。
【0083】
図12に示すように、制御部110は、プリンタ部11、コントロールパネル12、無線タグ通信装置13のそれぞれと通信可能に接続される。制御部110は、演算装置1101と、記憶装置1102と、データ受信部1103と、画像データ展開部1104を備える。
【0084】
演算装置1101は、例えばCPU(Central Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等である。演算装置1101は、記憶装置1102に記憶された画像処理プログラムに従い、プリンタ部11、コントロールパネル12、無線タグ通信装置13のそれぞれを制御する。制御部110は、例えば、印刷媒体の搬送が開始されたことを示す搬送開始情報を出力する。
【0085】
記憶装置1102は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等である。記憶装置1102は、制御部110と別体であってもよい。記憶装置1102は、記憶部の一例である。
【0086】
データ受信部1103は、PC(Personal Computer)等のホストから、印刷する画像を示す印刷データ(例えば、ページ記述言語で記述されたデータ等)を受信し、受信した印刷データを記憶装置1102に記憶する。
【0087】
画像データ展開部1104は、データ受信部1103によって記憶装置1102に記憶された印刷データから印刷条件を決定したりすることで、プリンタ部11が印刷可能なデータ(例えば、ラスタデータ等)に展開して、記憶装置1102に記憶する。
【0088】
(印刷媒体の搬送において画像形成装置が加熱部の設定温度を変化させる処理)
図13を参照し、印刷媒体の搬送において画像形成装置1が加熱部HTの設定温度を変化させる処理について説明する。
図13は、印刷媒体の搬送において画像形成装置1が加熱部HTの設定温度を変化させる処理の流れの一例を示す図である。画像形成装置1は、例えば、個々の印刷媒体への印刷を行う毎に、
図13に示したフローチャートの処理を行う。
図13に示したフローチャートでは、当該処理の流れを明確にするため、印刷媒体上へ画像を形成する処理の流れが省略されている。一例として、
図13に示したACT110の処理が行われるよりも前のタイミングにおいて、給紙カセット111に収納された印刷媒体への印刷を指示する印刷ジョブを画像形成装置1が受け付けた場合について説明する。当該印刷媒体は、本実施形態において、前述した通り、無線タグが付された印刷媒体である。一例として、印刷媒体に付された無線タグの数が、1つである場合について説明する。印刷媒体に付された無線タグの数は、2以上であってもよい。
【0089】
印刷ジョブを受け付けた後、制御部110は、搬送路上には位置されたローラのうち、2本のレジストローラ24よりも上流に位置するローラを制御し、2本のレジストローラ24のニップにおいて印刷媒体が撓むまで印刷媒体を当該ニップへ搬送する(ACT110)。
図13に示した例では、ACT110の処理が「ニップへ搬送」によって示されている。
【0090】
次に、制御部110は、2本のレジストローラ24を制御し、ACT110において撓ませた印刷媒体の先端が検出位置と一致するまで印刷媒体を移動させる(ACT120)。
図13に示した例では、ACT120の処理が「検出位置へ移動」によって示されている。
【0091】
次に、制御部110は、2本のレジストローラ24の回転を停止させ、前述の検出時間が経過するまでの間、2本のレジストローラ24による印刷媒体の移動を停止させる(ACT130)。
図13に示した例では、ACT130の処理が「搬送停止」によって示されている。
【0092】
次に、制御部110は、無線タグ通信装置13を制御し、受信信号強度を無線タグ位置情報として検出する。無線タグ通信装置13が受信信号強度を検出する方法は、既知の方法であってもよく、これから開発される方法であってもよい。無線タグ位置情報を検出した後、制御部110は、前述した方法により、無線タグ位置情報として検出した受信信号強度に基づいて無線タグの位置を検出する(ACT140)。制御部110は、無線タグの位置を検出した後、検出した無線タグの位置に基づいて、第1領域と第2領域とのうち少なくとも第2領域を特定する。印刷媒体に2以上の無線タグが付されている場合、制御部110は、検出した2以上の無線タグの位置に基づいて、2以上の第2領域のそれぞれを特定する。無線タグの位置を検出した後、制御部110は、ACT130において印刷媒体の移動を停止させてからの経過時間が検出時間を超えるまで待機する。
【0093】
次に、制御部110は、ACT140において無線タグ位置情報として検出された受信信号強度に基づいて、以下において説明する第1タイミング及び第2タイミングを算出する(ACT150)。
図13に示した例では、ACT150の処理が「タイミング算出」によって示されている。第1タイミングは、印刷媒体の搬送を再開した場合において、印刷媒体に付された無線タグが対象区間へ入るタイミングのことである。画像形成装置1では、第1タイミングは、例えば、印刷媒体の搬送を再開させてから当該無線タグが対象区間へ入るまでの経過時間によって示される。画像形成装置1では、第1タイミングは、当該経過時間に代えて、当該タイミングを示す他の情報によって示されてもよい。第2タイミングは、当該場合において、印刷媒体に付された無線タグが対象区間を出るタイミングのことである。画像形成装置1では、第2タイミングは、例えば、印刷媒体の搬送を再開させてから当該無線タグが対象区間へ出るまでの経過時間によって示される。画像形成装置1では、第2タイミングは、当該経過時間に代えて、当該タイミングを示す他の情報によって示されてもよい。対象区間は、搬送路上の区間のうち、前述の加熱位置と、加熱位置よりも第1距離手前の位置との間の区間のことである。画像形成装置1は、後述するように、印刷媒体の第1領域が対象区間を通過する期間、加熱部HTの設定温度を、予め決められた第1温度に設定する。一方、画像形成装置1は、後述するように、印刷媒体の第2領域が対象区間を通過する期間、加熱部HTの設定温度を、第1温度よりも低い第2温度に設定する。第1温度及び第2温度のそれぞれは、第1温度は、印刷媒体へのトナー像の定着不良が起きず、且つ、無線タグに含まれるICチップに不具合が生じないと推定される温度範囲内における温度である。当該温度範囲は、例えば、120~135℃である。当該温度範囲は、印刷媒体の種類とトナーの種類との組み合わせによって変わる。このため、120~135℃は、当該温度範囲の一例に過ぎない。当該温度範囲が120~135℃である場合、第1温度は、例えば、当該温度範囲における最大の温度の135℃である。当該場合、第2温度は、例えば、第1温度よりも10℃低い温度の125℃である。第1温度は、当該温度範囲内において第2温度よりも高い温度であれば、当該温度範囲における最大の温度よりも低い温度であってもよい。ただし、第1温度は、当該温度範囲内において、高いほど望ましい。第2温度は、当該温度範囲内において第1温度よりも低い温度であれば、如何なる温度であってもよい。ただし、第2温度は、当該温度範囲内において、低いほど望ましい。
【0094】
第1距離は、定着装置ADの構造に応じて予め決められた距離である。具体的には、第1距離は、回転していない定着部材ADAを定着部材ADAの回転軸の軸方向に向かって見た場合における定着部材ADAの外周のうちの加熱部HTの発熱体HEと接触していない部分の長さである。説明の便宜上、当該部分を非加熱部分と称して説明し、当該場合における定着部材ADAの外周のうちの加熱部HTの発熱体HEと接触している部分を加熱部分と称して説明する。例えば、定着装置ADの構成が
図4~
図6のそれぞれに示したようなランプ方式の構成を有する場合、加熱部分は、定着部材ADAの外周のうちの加熱位置HPに位置している部分のみである。このため、当該場合、非加熱部分の長さは、軸方向に向かって見た定着部材ADAの回転半径と同じ半径を有する円の円周の長さと近似的に一致する。従って、当該場合における第1距離は、当該円の円周の長さである。例えば、当該場合において定着部材ADAの半径が15mmであったとすると、第1距離は、約94.25mmである。一方、定着装置ADの構成が
図7に示したようなIH方式の構成を有する場合、加熱部分は、軸方向に向かって見た定着部材ADAの外周の約半分程度である。このため、当該場合、非加熱部分の長さは、軸方向に向かって見た定着部材ADAの回転半径と同じ半径を有する円の円周の長さの半分と近似的に一致する。従って、当該場合における第1距離は、当該円の円周の長さの半分である。例えば、当該場合において定着部材ADAの半径が15mmであったとすると、第1距離は、約47.13mmである。
【0095】
制御部110は、予め受け付けた印刷ジョブに応じて設定された印刷媒体の搬送速度と、ACT140において検出した無線タグの位置とに基づいて、第1タイミング及び第2タイミングのそれぞれを算出する。具体的には、制御部110は、対象区間が有する端部のうち搬送路の上流側の端部の位置と、無線タグの位置との間の距離を算出し、算出した距離と当該搬送速度とに基づいて第1タイミングを算出する。一方、制御部110は、対象区間が有する端部のうち搬送路の下流側の端部の位置、すなわち、加熱位置と、無線タグの位置との間の距離を算出し、算出した距離と当該搬送速度とに基づいて第2タイミングを算出する。制御部110は、印刷媒体に複数の無線タグが付されている場合、2以上の第2領域のそれぞれについて、第1タイミング及び第2タイミングのそれぞれを算出する。
【0096】
ACT150の処理が行われた後、制御部110は、加熱部HTの設定温度を第1温度に設定する(ACT160)。
【0097】
次に、制御部110は、搬送部を制御し、印刷媒体の搬送を再開させる(ACT170)。
【0098】
次に、制御部110は、ACT170において再開されたタイミングからの経過時間が、ACT150において算出された第1タイミングと一致するまで待機する(ACT180)。
図13に示した例では、ACT180の処理が「第1タイミング?」によって示されている。
【0099】
制御部110は、経過時間が第1タイミングと一致したと判定した場合(ACT180-YES)、加熱部HTの設定温度を第1温度から第2温度に設定し直す(ACT190)。
図13に示した例では、ACT190の処理が「第2温度に設定」によって示されている。
【0100】
次に、制御部110は、ACT170において再開されたタイミングからの経過時間が、ACT150において算出された第2タイミングと一致するまで待機する(ACT200)。
図13に示した例では、ACT200の処理が「第2タイミング?」によって示されている。
【0101】
制御部110は、経過時間が第2タイミングと一致したと判定した場合(ACT200-YES)、加熱部HTの設定温度を第2温度から第1温度に設定し直す(ACT210)。
図13に示した例では、ACT210の処理が「第1温度に設定」によって示されている。
【0102】
次に、制御部110は、印刷媒体への印刷が終了するまで待機する(ACT220)。制御部110が印刷媒体への印刷が終了したか否かを判定する方法は、既知の方法であってもよく、これから開発される方法であってもよい。
【0103】
制御部110は、印刷媒体への印刷が終了したと判定した場合(ACT220-YES)、
図13に示したフローチャートの処理を終了する。
【0104】
以上のように、画像形成装置1は、加熱部HTによる印刷媒体の加熱において、印刷媒体上の領域のうち無線タグを含まない第1領域を加熱する温度よりも、印刷媒体上の領域のうち無線タグを含む第2領域を加熱する温度を低くする。
図14は、印刷媒体の第2領域が対象区間を通過する場合において加熱部HTの設定温度を画像形成装置1が第1温度から第2温度に低下させている様子の一例を示すグラフである。
図14に示したグラフの縦軸は、加熱部HTの設定温度を示す。当該グラフの横軸は、加熱位置を原点とした場合における搬送路上の無線タグの位置を示す。
図14に示したように、画像形成装置1は、無線タグの位置が対象区間内に含まれる場合、加熱部HTの設定温度を第1温度から第2温度へ低下させている。これにより、画像形成装置1は、印刷媒体に付された無線タグに不具合が生じてしまうことを抑制することができる。
【0105】
印刷媒体に2以上の無線タグが付されている場合、画像形成装置1は、例えば、このような第1温度から第2温度への加熱部HTの設定温度の低下を、2以上の第2領域のそれぞれ毎に行う。これにより、画像形成装置1は、当該場合であっても、印刷媒体に付された無線タグに不具合が生じてしまうことを抑制することができる。
【0106】
図15は、温度低下処理を行った場合において排紙トレイTB上に積載された印刷媒体の無線タグの最大温度と、温度低下処理を行わなかった場合において排紙トレイTB上に積載された印刷媒体の無線タグの最大温度とを比較する図である。温度低下処理は、
図13に示したフローチャートの処理のことである。温度低下処理を行わなかった場合、画像形成装置1は、加熱部HTの設定温度を第1温度に保持したまま、印刷媒体の搬送を行う。
【0107】
図15に示したグラフの縦軸は、排紙トレイTB上に300枚の印刷媒体が積層された直後における印刷媒体に付された無線タグのICチップの最大温度を示す。
図15に示した例では、温度低下処理を行わなかった場合、当該最大温度は、60.2℃であった。一方、当該例では、温度低下処理を行った場合、当該最大温度は、54.1℃であった。すなわち、画像形成装置1は、温度低下処理を行うことにより、印刷媒体に付された無線タグのICチップの最大温度を低下させることができる。その結果、画像形成装置1は、印刷媒体に付された無線タグに不具合が生じてしまうことを抑制することができる。
【0108】
上記において説明した画像形成装置1において、制御部110は、無線タグ位置情報を、ユーザからの操作により受け付けてもよい。この場合、無線タグ位置情報には、印刷媒体が有する面のうち無線タグが付されている面が表面であるか裏面であるかを示す情報が含まれる。
上記において説明した画像形成装置1において、制御部110は、印刷媒体の種類を受け付けた場合、受け付けた種類に応じて無線タグ位置情報を特定する構成であってもよい。この場合、画像形成装置1は、印刷媒体の種類と、無線タグ位置情報とが対応付けられた情報が予め記憶されている。
上記において説明した例では、無線タグの位置は、無線タグに含まれるICチップの位置と読み替えられてもよい。
【0109】
以上のように、画像形成装置は、搬送部と、画像形成部と、定着装置と、制御部とを持つ。搬送部は、無線タグが付された印刷媒体を搬送する。画像形成部は、印刷媒体上に画像を形成する。定着装置は、印刷媒体を加熱する加熱部を有し、印刷媒体が搬送される搬送路上の位置のうちの加熱位置において加熱部により印刷媒体を加熱し、画像形成部により印刷媒体上に形成された画像を印刷媒体に定着させる。制御部は、加熱部による印刷媒体の加熱において、印刷媒体上の領域のうち無線タグを含まない第1領域を加熱する温度よりも、印刷媒体上の領域のうち無線タグを含む第2領域を加熱する温度を低くする。
【0110】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0111】
以上に説明した装置(例えば、画像形成装置1)における任意の構成部の機能を実現するためのプログラムを、コンピューター読み取り可能な記録媒体に記録し、そのプログラムをコンピューターシステムに読み込ませて実行するようにしてもよい。ここでいう「コンピューターシステム」とは、OS(Operating System)や周辺機器等のハードウェアを含むものとする。「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD(Compact Disk)-ROM等の可搬媒体、コンピューターシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバーやクライアントとなるコンピューターシステム内部の揮発性メモリー(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0112】
上記のプログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピューターシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピューターシステムに伝送されてもよい。プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
上記のプログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。上記のプログラムは、前述した機能をコンピューターシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【符号の説明】
【0113】
1…画像形成装置、11…プリンタ部、12…コントロールパネル、13…無線タグ通信装置、20…中間転写ベルト、21…従動ローラ、22…バックアップローラ、23…2次転写ローラ、24…レジストローラ、25…給紙ローラ、31、32、33、34…画像形成ステーション、110…制御部、111…給紙カセット、112…給紙カセット、114…画像形成ユニット、131、AT…アンテナ、311…感光体ドラム、312…帯電チャージャ、313…露光走査ヘッド、314…現像装置、315…感光体クリーナ、316…1次転写ローラ、1101…演算装置、1102…記憶装置、1103…データ受信部、1104…画像データ展開部、AD…定着装置、ADA…定着部材、ADB…加圧部材、CL…IHコイル、CP…ICチップ、DF…両面印刷装置、FC…フェライトコア、HE、HEA、HEB、HEC、HED、HEE、HEF、HEG、HEH、HEI、HEJ…発熱体、HT…加熱部、MG…発熱体、TA…トレイ、TB…排紙トレイ、TC…三次元座標系、TG、TGB、TGC、TGD…無線タグ