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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087422
(43)【公開日】2024-07-01
(54)【発明の名称】溶接用ロボット
(51)【国際特許分類】
   B23K 9/133 20060101AFI20240624BHJP
【FI】
B23K9/133 502B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022202244
(22)【出願日】2022-12-19
(71)【出願人】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小山 潤悟
(72)【発明者】
【氏名】韓 勝成
(57)【要約】
【課題】送給装置から溶接用トーチまでの距離が離れることにより、送給装置による溶接用のワイヤの送給性能が損なわれるおそれがある。
【解決手段】溶接用ロボット1のアッパアーム20は、ロアアーム12に枢着されたショルダ部21と、ショルダ部21に取り付けられ、アッパアーム20の長手方向Dに沿って延在している第1アーム22と、第1アーム22の先端に接続され、長手方向Dに沿って延在し、支持アーム30が枢着された第2アーム23と、を備える。第2アーム23は、ショルダ部21および第1アーム22に対して、長手方向Dに沿った第4軸J4の周りに、回転自在に取り付けられている。第1アーム22の長手方向Dに沿った側面22fには、送給装置70が取り付けられている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台に基端が枢着されたロアアームと、
前記ロアアームの先端に枢着されたアッパアームと、
前記アッパアームの先端に枢着された支持アームと、
前記支持アームに取り付けられた溶接用トーチに、溶接用のワイヤを送給する送給装置と、を備えた溶接用ロボットであって、
前記アッパアームは、
前記ロアアームに枢着されたショルダ部と、
前記ショルダ部に取り付けられ、前記アッパアームの長手方向に沿って延在した第1アームと、
前記第1アームの先端に接続され、前記長手方向に沿って延在し、前記支持アームが枢着された第2アームと、を備えており、
前記第2アームは、前記ショルダ部および前記第1アームに対して、前記長手方向に沿った回転軸の周りに、回転自在に取り付けられており、
前記第1アームの前記長手方向に沿った側面には、前記送給装置が取り付けられていることを特徴とする溶接用ロボット。
【請求項2】
前記送給装置は、前記第1アームの先端側の側面に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の溶接用ロボット。
【請求項3】
前記第1アームは、
筒状のアーム本体と、
前記アーム本体の先端に取り付けられ、前記第2アームを前記回転軸の周りに回転自在に接続する接続部と、を備えており、
前記送給装置は、前記接続部の側面に取り付けられていることを特徴とする請求項2に記載の溶接用ロボット。
【請求項4】
前記アーム本体には、前記長手方向に沿って中空部分が形成されており、
前記中空部分には、前記第2アームを、前記回転軸の周りに回転させる駆動モータが収容されていることを特徴とする請求項3に記載の溶接用ロボット。
【請求項5】
前記長手方向において、前記第1アームの長さは、前記第2アームの長さよりも長いことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の溶接用ロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶接用のワイヤを溶接用トーチに送給する送給装置を備えた溶接用ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、この種の溶接用ロボットとして、特許文献1には、基台に基端が枢着されたロアアームと、ロアアームの先端に枢着されるアッパアームと、アッパアームの先端に枢着された支持アームと、を備えた産業用ロボットが提案されている。このアッパアームは、ショルダ部を有しており、ショルダ部には、溶接用のワイヤを、支持アームに取り付けられた溶接用トーチに送給する送給装置が取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-6454号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に係る溶接用ロボットにおいて、ショルダ部に送給装置を取り付けると、送給装置から溶接用トーチまでの距離が離れてしまう。このため、送給装置によるワイヤの送給性能が損なわれ、溶接品質に影響を及ぼすおそれがある。特に、アッパアームの長手方向の長さが長くになるに従って、このような影響は顕著なものとなる。そこで、アッパアームの長手方向に沿った側面に、送給装置を取り付けることも考えられる。しかしながら、この場合であっても、アッパアームの長手方向に沿った回転軸(いわゆる第4軸)の周りに、アッパアームを回転させようとした際に、送給装置も回転するため、アッパアームの動作負荷が大きくなってしまう。
【0005】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、送給装置から溶接用トーチまで、溶接用のワイヤを安定して送給することができる溶接用ロボットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を鑑みて、本発明に係る溶接用ロボットは、基台に基端が枢着されたロアアームと、前記ロアアームの先端に枢着されたアッパアームと、前記アッパアームの先端に枢着された支持アームと、前記支持アームに取り付けられた溶接用トーチに、溶接用のワイヤを送給する送給装置と、を備えた溶接用ロボットであって、前記アッパアームは、前記ロアアームに枢着されたショルダ部と、前記ショルダ部に取り付けられ、前記アッパアームの長手方向に沿って延在した第1アームと、前記第1アームの先端に接続され、前記長手方向に沿って延在し、前記支持アームが枢着された第2アームと、を備えており、前記第2アームは、前記ショルダ部および前記第1アームに対して、前記長手方向に沿った回転軸の周りに、回転自在に取り付けられており、前記第1アームの前記長手方向に沿った側面には、前記送給装置が取り付けられていることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、第2アームは、ショルダ部および第1アームに対して、アッパアームの長手方向に沿った回転軸の周りに、回転自在に取り付けられているので、第2アームが、回転軸の周りに回転したとしても、第1アームは回転しない。したがって、第1アームの長手方向に沿った側面に取り付けられた送給装置も回転軸の周りに回転しないので、送給装置によるアッパアームの動作負荷は、影響を受けない。
【0008】
さらに、送給装置をショルダ部に取り付けた場合に比べて、送給装置を長手方向に沿った第1アームの側面に取り付けた方が、送給装置から溶接用トーチまでの距離を短くすることができる。これにより、送給装置によるワイヤの送給性能を高めて、ワイヤの送給を安定して行うことができる。
【0009】
より好ましい態様としては、前記送給装置は、前記第1アームの先端側の側面に取り付けられている。この態様によれば、前記送給装置が、第1アームの先端側の側面に取り付けられているので、送給装置から溶接用トーチまでの距離をより短くすることができる。したがって、送給装置によるワイヤの送給性能をより高めて、ワイヤの送給を安定して行うことができる。
【0010】
より好ましい態様としては、前記第1アームは、筒状のアーム本体と、前記アーム本体の先端に取り付けられ、前記第2アームを前記回転軸の周りに回転自在に接続する接続部と、を備えており、前記送給装置は、前記接続部の側面に取り付けられている。
【0011】
この態様によれば、送給装置を接続部に取り付けることにより、送給装置を第1アームの先端に取り付けることができる。接続部が、第1アームのアーム本体と、第2アームとのいずれにも着脱自在となるコネクタである場合には、コネクタ(接続部)とともに送給装置を取り外すことができる。さらに、ショルダ部と接続部との間で、アーム本体を着脱自在にすれば、アーム本体の長手方向の長さが異なるアーム本体に付け替え可能となり、アッパアームの長さを、所望の長さに調整することができる。
【0012】
より好ましい態様としては、前記アーム本体には、前記長手方向に沿って中空部分が形成されており、前記中空部分には、前記第2アームを、前記回転軸の周りに回転させる駆動モータが収容されている。
【0013】
この態様によれば、駆動モータの駆動時に、駆動モータが発熱した熱を、駆動モータから、アーム本体の中空部分に放熱することができる。これにより、駆動モータの放熱性を高めることができる。第1アームおよび第2アームを回転軸の周りに回転させる場合に比べて、第2アームのみを回転軸の周りに回転させる場合には、駆動モータの動力を低減することができる。このため、回転軸の周りに回転させる駆動モータの大きさをコンパクトにすることができる。
【0014】
より好ましい態様としては、前記長手方向において、前記第1アームの長さは、前記第2アームの長さよりも長い。ショルダ部に対して、第1アームおよび第2アームをともに、回転軸の周りに回転させる場合に比べて、ショルダ部および第1アームに対して、第2アームを、回転軸の周りに回転させることにより、アッパアームの振れを抑えることができる。特に、第1アームの長さを、第2アームの長さよりも長くすることで、この効果がより一層発現される。このようにして、アッパアームの振れによる振動を抑え、送給装置でワイヤを安定して送給することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、送給装置から溶接用トーチまで、溶接用のワイヤを安定して送給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係る溶接用ロボットを正面側から視た斜視図である。
図2図1に示す溶接用ロボットを背面側から視た斜視図である。
図3図1に示すアッパアームの断面図である。
図4図3に示すアッパアームの要部斜視図である。
図5図1に示す第1アームのアーム本体の斜視図である。
図6図1に示す溶接用ロボットの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の実施形態に係る溶接用ロボット1(以下、ロボット1という)を図1図6を参照しながら詳述する。ロボット1は、その先端に溶接装置の溶接用トーチ(エンドエフェクタ)9が取り付けられるものである。
【0018】
1.ロボット1の全体構造
まず、図1図3を参照しながら、ロボット1の全体構造について説明する。ロボット1は、マニュピュレータである。なお、ロボット1は、各モータ等を制御する制御装置(図示せず)を備えており、制御装置により、ロボット1の動作が制御される。
【0019】
ロボット1は、基台11を備えており、基台11は、設置面に設置されている。基台11は、設置面に固定された固定台11aと、設置面に対して直交する方向に沿った第1軸J1の周りに旋回する旋回台11bと、を備えている。旋回台11bは、第1モータ40Aの出力軸(図示せず)が接続されている。これにより、旋回台11bを固定台11aに対して第1軸J1の周りに枢動する。
【0020】
ロボット1は、基台11に基端が枢着されたロアアーム12と、ロアアーム12の先端に枢着されたアッパアーム20と、アッパアーム20の先端に枢着された支持アーム30と、を備えている。これらのアームは、金属製であり、たとえば、鋳鉄、アルニウム合金鋳物の鋳物からなる。
【0021】
ロボット1のアッパアーム20の上方には、ケーブル(トーチケーブル)80が配設されている。ケーブル80は、アッパアーム20に取り付けられた送給装置70に接続され、送給装置70から、溶接用トーチ9に接続される。ケーブル80には、溶接用のワイヤ89が挿通されている(図3参照)。送給装置70と溶接用トーチ9との間において、ケーブル80は、吊るされた状態にあり、ケーブル80は、アッパアーム20(具体的には、第2アーム23)に非接触の状態にある。図3に示すように、ケーブル80内の溶接用のワイヤ89は、送給装置70内で露出し、送給装置70の送給ローラ71に把持されている。駆動モータ72を駆動することにより、送給ローラ71が回転し、ワイヤ89は、ケーブル80内を移動しつつ、溶接用トーチ9まで搬送される。
【0022】
ロアアーム12は、第2モータ40Bを介して、第1軸J1と直交する方向に平行となる第2軸J2に、基台11に対して枢動自在(回転自在)に取り付けられている。アッパアーム20は、第3モータ40Cを介して、第2軸J2と平行となる第3軸J3の周りに、ロアアーム12に対して枢動自在(回転自在)に取り付けられている。
【0023】
アッパアーム20は、ショルダ部21と、第1アーム22と、第2アーム23と、を備えている。ショルダ部21は、ロアアーム12の先端に枢着されている。第1アーム22は、ショルダ部21に取り付けられており、アッパアーム20の長手方向Dに沿って延在している。第2アーム23は、第1アーム22の先端に接続され、アッパアーム20の長手方向Dに沿って延在し、支持アーム30が枢着されている。
【0024】
第2アーム23は、ショルダ部21および第1アーム22に対して、アッパアーム20の長手方向Dに沿った第4軸J4の周りに、回転自在に取り付けられている。第4軸J4は、本発明でいうところの「回転軸」に相当する。
【0025】
具体的には、ショルダ部21が、上述した第3モータ40Cを介して、ロアアーム12に枢動自在に取り付けられている。第2アーム23は、第4モータ40Dの動力により、第1アーム22に対して第4軸J4の周りに回転する。なお、第4モータ40Dが、本発明でいうところの「駆動モータ」に相当する。
【0026】
さらに、アッパアーム20(具体的には第2アーム23)の先端は、ロボット1の手首部に相当する部分であり、溶接用トーチ9を支持する支持アーム30が取り付けられている。本実施形態では、第2アーム23には、支持アーム30を第2アーム23に対して枢動させる第5モータ40Eが収容された状態で固定されている。
【0027】
第5モータ40Eは、第2アーム23に内蔵された動力伝達ベルト等を介して、支持アーム30に接続されている。これにより、第5モータ40Eの動力が、第2アーム23に内蔵された動力伝達ベルト(図示せず)に伝達されることで、支持アーム30は、アッパアーム20に対して第5軸J5で枢動(揺動)する。
【0028】
より具体的には、支持アーム30は、アッパアーム20に対して片持ち支持されており、アッパアーム20に取り付けられた関節部31と、関節部31に取り付けられた支持部本体32と、を備えている。関節部31は、その片側において、アッパアーム20の第2アーム23の先端において、第5軸J5で枢動自在となるように第2アーム23に枢着されている。
【0029】
支持部本体32は、関節部31に対して、ベベルギアなどを介して、支持アーム30の軸心周りに回転自在に関節部31に取り付けられている。さらに、関節部31には、支持アーム30の軸心(具体的には第6軸J6)の周りに、支持部本体32を回転させる第6モータ40Fが接続されている。第6モータ40Fは、第2アーム23に収容された状態で、第2アームに固定されており、動力伝達ベルト等により、関節部31を介して支持部本体32に接続されている。
【0030】
これにより、第5モータ40Eの動力で、関節部31が、第2アーム23に対して支持部本体32とともに第5軸J5を枢動する。これに加えて、第6モータ40Fの動力で、支持部本体32が、関節部31に対して第6軸J6を回転する。
【0031】
2.アッパアーム20の構造について
図3図5を参照しながら、アッパアーム20の構造を説明する。上述した如く、アッパアーム20は、ショルダ部21と、第1アーム22と、第2アーム23と、を備えている。ショルダ部21は、ロアアーム12の先端に枢着されている。
【0032】
第1アーム22は、ショルダ部21に取り付けられたアーム本体22Aと、アーム本体22Aの先端に取り付けられ、第2アーム23を第4軸J4の周りに回転自在に接続する接続部22Bと、を備えている。図5に示すように、アーム本体22Aの両端には、フランジ22a、22bが形成されている。
【0033】
アーム本体22Aには、筒状であり、アッパアーム20の長手方向Dに沿って、中空部分22sが形成されている。アーム本体22Aの基端には、フランジ22aが形成されており、フランジ22aをショルダ部21に当接させた状態で、ボルト等により、アーム本体22Aは、ショルダ部21に着脱自在に固定されている。一方、アーム本体22Aの先端にも、フランジ22bが形成されており、フランジ22bを接続部22Bの端面に当接させた状態で、ボルト等により、アーム本体22Aは、接続部22Bに着脱自在に固定されている。
【0034】
図5に示すように、アーム本体22Aの側面には、第4モータ40D~第6モータ40Fに電力を送電する配線(図示せず)を収容する収容凹部22p、22qが、長手方向Dに沿って並んで形成されている。収容凹部22p、22qの底壁には、それぞれ、中空部分22sに連通する貫通孔22r、22t、22u、22wが形成されており、上述した配線(図示せず)は、これらの貫通孔22r、22t、22u、22wに順次挿通される。図1に示すように、収容凹部22p、22qは、これら配線を収容した状態で、カバー22j、22kで覆われている。
【0035】
図4に示すように、接続部22Bは、アーム本体22Aの先端と第2アーム23の基端とを接続している。第2アーム23は、ショルダ部21および第1アーム22に対して、長手方向Dに沿った第4軸J4の周りに回転自在となるように、ベアリング22gを介して、接続部22Bに取り付けられている。
【0036】
図3および図4に示すように、第4モータ40Dは、アーム本体22Aの先端側から、アーム本体22Aの中空部分22sに収容された状態で、接続部22Bに取り付けられている。本実施形態は、第4モータ40Dは、アーム本体22Aの中空部分22sを形成する壁面に対して非接触である。このようにして、第4モータ40Dの駆動時に、第4モータ40Dは発熱し、この発熱した熱を、第4モータ40Dから、アーム本体22Aの中空部分22sに放熱させることができる。これにより、第4モータ40Dの放熱性を高めることができる。
【0037】
第4モータ40Dの出力シャフト(図示せず)の出力軸RLは、第4軸J4と同一線上にあり、第4モータ40Dの出力シャフトは、第2アーム23の基端側のドラム部23aに接続されている。これにより、よりコンパクトな構造で、第4モータ40Dを駆動することで、第2アーム23を、第4軸J4の周りに回転させることができる。
【0038】
本実施形態では、第2アーム23のみを第4軸J4の周りに回転させるので、これまでのように第1アームおよび第2アームを1つのアームとして第4軸の周りに回転させる場合に比べて、第4モータ40Dの動力を抑えることができる。このため、第4軸J4の周りに回転させる第4モータ40Dの大きさをコンパクトにすることができる。
【0039】
第2アーム23のドラム部23aは、第1アーム22の先端(具体的には、接続部22B)に接続されている。ドラム部23aは、接続部22Bの内部に収容された状態で、カバー22mにより、接続部22Bの側面側から覆われている。第2アーム23は、アッパアーム20の長手方向Dに沿って延在し、支持アーム30が枢着されている。図3に示すように、アッパアーム20には、上述した第5モータ40Eおよび第6モータ40Fが収容されている。
【0040】
図1に示すように、本実施形態では、長手方向Dにおいて、第1アーム22の長さL1は、第2アーム23の長さL2よりも長い。なお、第1アーム22の長さL1は、アーム本体22Aに接続部22Bを取り付けた状態における長さである。第2アーム23の長さL2は、第1アーム22の接続部22Bから露出した第2アーム23の部分から、その先端までの長さである。
【0041】
このような長さの関係を満たすことを前提に、ショルダ部21および第1アーム22に対して、第2アーム23を、第4軸J4の周りに回転させるので、アッパアーム20の振れを抑えることができる。これにより、アッパアーム20の振れによる振動を抑え、送給装置70でワイヤを安定して送給することができる。
【0042】
送給装置70は、第1アーム22の長手方向Dに沿った側面22fに、取り付けられている。本実施形態では、送給装置70は、第1アーム22の先端側の側面22fに取り付けられている。具体的には、送給装置70は、接続部の側面22faに取り付けられている。
【0043】
このように、本実施形態によれば、第2アーム23は、ショルダ部21および第1アーム22に対して、アッパアーム20の長手方向Dに沿った第4軸J4の周りに、回転自在に取り付けられている。これにより、第2アーム23が、第4軸J4の周りに回転したとしても、第1アーム22は第4軸J4の周りに回転しない。したがって、第1アーム22の長手方向Dに沿った側面22fに取り付けられた送給装置70も第4軸J4の周りに回転しないので、送給装置70によるアッパアーム20の動作負荷の影響を受けない。
【0044】
さらに、これまでのように、送給装置70をショルダ部21に取り付けた場合に比べて、送給装置70を長手方向Dに沿った第1アーム22の側面22fに取り付けた方が、送給装置70から溶接用トーチ9までの距離を短くすることができる。これにより、ワイヤを挿通したケーブル80の自重による過度な屈曲を抑え、送給装置に70よるワイヤの送給性能を高めて、ワイヤの送給を安定して行うことができる。
【0045】
特に、送給装置70が、第1アーム22の先端側の側面22fのなかでも、その先端に位置する接続部22Bの側面22faに取り付けられているので、送給装置70から溶接用トーチ9までの距離をより短くすることができる。このような結果、送給装置70によるワイヤの送給性能をより高めることができ、ワイヤの送給をより安定して行うことができる。
【0046】
接続部22Bが、第1アーム22のアーム本体22Aと、第2アーム23とのいずれにも着脱自在となるので、接続部22Bとともに、送給装置70を取り外すことができる。さらに、ショルダ部21と接続部22Bとの間で、アーム本体22Aは着脱自在であるので、アーム本体22Aの長手方向Dの長さが異なるアーム本体22Aを用意すれば、アッパアーム20の長さを、所望の長さに変更することができる。
【0047】
なお、上述した実施形態では、送給装置70を接続部22Bの側面22faに取り付けたが、たとえば、図6に示すように、送給装置70を、アーム本体22Aの側面22fbに取り付けてもよい。
【0048】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。
【符号の説明】
【0049】
1:ロボット(溶接用ロボット)、11:基台、12:ロアアーム、20:アッパアーム、21:ショルダ部、22:第1アーム、22A:アーム本体、22B:接続部、22s:中空部分、23:第2アーム、40D:第4モータ(駆動モータ)、89:ワイヤ、70:送給装置、J4:第4軸(回転軸)
図1
図2
図3
図4
図5
図6