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  • 特開-関節サポータ 図1
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  • 特開-関節サポータ 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087425
(43)【公開日】2024-07-01
(54)【発明の名称】関節サポータ
(51)【国際特許分類】
   A61F 5/10 20060101AFI20240624BHJP
   A61F 5/02 20060101ALI20240624BHJP
   A41D 13/08 20060101ALI20240624BHJP
   A41F 9/02 20060101ALI20240624BHJP
【FI】
A61F5/10
A61F5/02 N
A41D13/08 107
A41F9/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022202249
(22)【出願日】2022-12-19
(71)【出願人】
【識別番号】522196700
【氏名又は名称】社会福祉法人福島更生義肢製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】北條 享
(72)【発明者】
【氏名】宍戸 佑輔
【テーマコード(参考)】
3B011
3B211
4C098
【Fターム(参考)】
3B011AA06
3B011AB08
3B211AA06
3B211AB08
4C098AA02
4C098BB10
4C098BC02
4C098BC11
4C098BC16
4C098BD01
4C098BD13
4C098BD15
(57)【要約】
【課題】本発明の課題は、拇指の手のひら側への内転を防止することが可能な関節サポータを得ること。
【解決手段】本発明の拇指に用いるための関節サポータ1は、長手方向を有するベース体10と、長手方向と交差する方向に延設された支持体20であって、支持体20の基端はベース体10に接続されている支持体20と、支持体20の先端の一端に支持体と交差する方向に延設された第1の延長部30と、支持体20の先端の他端に支持体20と交差する方向に延設された第2の延長部40とを有する拇指に用いるための関節サポータ1であって、支持体20は、拇指が挿通可能な孔部21を有し、第1の延長部30と第2の延長部40とを交差させるように捩じった状態で、第1の延長部30の先端部と第2の延長部の先端部とをそれぞれベース体10に固定することによって、交差した部分に拇指が挿通可能な筒状部50が形成される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向を有するベース体と、
前記長手方向と交差する方向に延設された支持体であって、前記支持体の基端は前記ベース体に接続されている前記支持体と、
前記支持体の先端の一端に前記支持体と交差する方向に延設された第1の延長部と、
前記支持体の先端の他端に前記支持体と交差する方向に延設された第2の延長部と
を有する拇指に用いるための関節サポータであって、
前記支持体は、拇指が挿通可能な孔部を有し、
前記第1の延長部と前記第2の延長部とを交差させるように捩じった状態で、前記第1の延長部の先端部と前記第2の延長部の先端部とをそれぞれ前記ベース体に固定することによって、前記交差した部分に拇指が挿通可能な筒状部が形成したことを特徴とする、関節サポータ。
【請求項2】
前記第1の延長部および/または前記第2の延長部が前記ベース体に接続する位置は調整可能に構成されている、請求項1に記載の関節サポータ。
【請求項3】
前記第1の延長部と前記第2の延長部との交差において、前記第1の延長部を上側に配置するか、または前記第2の延長部を上側に配置するかで右手用と左手用とを選択可能とすることを特徴とする、請求項1または2に記載の関節サポータ。
【請求項4】
少なくとも前記支持体と、前記第1の延長部と、前記第2の延長部とは、一枚のシート状体から構成されることを特徴とする、請求項1に記載の関節サポータ
【請求項5】
前記ベース体にバックルと、ベルトと、前記ベルトを通すためのスリットとをさらに設けることを特徴とする、請求項1に記載の関節サポータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、拇指の手のひら側への内転を防止することによって拇指の関節(特に、CM関節)を保護するための拇指用サポータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、拇指の関節における疾患の発生を防止するために関節サポータが用いられている(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-57286号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1に開示の関節サポータは、保持部材が手のひら側に拇指を付勢するものであって、規制部材などを設けたとしても拇指の手のひら側への内転を防止する効果が薄く、しっかり拇指を固定することができなかった。
【0005】
本発明は、拇指の手のひら側への内転を防止することが可能な関節サポータを得ることを目的とする。さらに、1つの関節サポータで右手用または左手用に調整可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
長手方向を有するベース体と、
前記長手方向と交差する方向に延設された支持体であって、前記支持体の基端は前記ベース体に接続されている前記支持体と、
前記支持体の先端の一端に前記支持体と交差する方向に延設された第1の延長部と、
前記支持体の先端の他端に前記支持体と交差する方向に延設された第2の延長部と
を有する拇指に用いるための関節サポータであって、
前記支持体は、拇指が挿通可能な孔部を有し、
前記第1の延長部と前記第2の延長部とを交差させるように捩じった状態で、前記第1の延長部の先端部と前記第2の延長部の先端部とをそれぞれ前記ベース体に固定することによって、前記交差した部分に拇指が挿通可能な筒状部が形成したことを特徴とする、関節サポータ。
(項目2)
前記第1の延長部および/または前記第2の延長部が前記ベース体に接続する位置は調整可能に構成されている、項目1に記載の関節サポータ。
(項目3)
前記第1の延長部と前記第2の延長部との交差において、前記第1の延長部を上側に配置するか、または前記第2の延長部を上側に配置するかで右手用と左手用とを選択可能とすることを特徴とする、項目1または2に記載の関節サポータ。
(項目4)
少なくとも前記支持体と、前記第1の延長部と、前記第2の延長部とは、一枚のシート状体から構成されることを特徴とする、項目1に記載の関節サポータ
(項目5)
前記ベース体にバックルと、ベルトと、前記ベルトを通すためのスリットとをさらに設けることを特徴とする、項目1に記載の関節サポータ。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、拇指の手のひら側への内転を防止することが可能な関節サポータを得ることができる。さらに、容易に右手用または左手用に変更することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態1による拇指に用いられる関節サポータの展開図。
図2図1に示す関節サポータの使用する際の形態を示す図。
図3図1に示す関節サポータを拇指に装着する状態を示す図。
図4図1に示す関節サポータを拇指に装着した状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を説明する。本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。したがって、他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての専門用語および科学技術用語は、本発明の属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細書(定義を含めて)が優先する。
【0010】
本明細書において、「約」とは、後に続く数字の±10%の範囲内をいう。
【0011】
本発明は、拇指の手のひら側への内転を防止することが可能な関節サポータを得ることを課題とし、
長手方向を有するベース体と、
前記長手方向と交差する方向に延設された支持体であって、前記支持体の基端は前記ベース体に接続されている前記支持体と、
前記支持体の先端の一端に前記支持体と交差する方向に延設された第1の延長部と、
前記支持体の先端の他端に前記支持体と交差する方向に延設された第2の延長部と
を有する拇指に用いられ得る関節サポータであって、
前記支持体は、拇指が挿通可能な孔部を有し、
前記第1の延長部と前記第2の延長部とを交差させるように捩じった状態で、前記第1の延長部と前記第2の延長部とをそれぞれ前記ベース体に接続することによって、前記交差した部分に拇指が挿通可能な筒状部が形成したことを特徴とする、関節サポータを提供することにより、上記課題を解決したものである。
【0012】
従って、本発明の拇指関節に用いられ得る関節サポータは、長手方向を有するベース体と、ベース体と交差する方向に延設された支持体であって、支持体の基端はベース体に接続されている支持体と、支持体の先端の一端に支持体と交差する方向に延設された第1の延長部と、支持体の先端の他端に支持体と交差する方向に延設された第2の延長部を含むものであれば、各構成要素の形状や素材、またその他の構成は、特に限定されるものではなく任意であり得る。
【0013】
例えば、図1に示す様に、ベース本体と支持体と第1の延長部と第2の延長部とは、一枚のシート状体から一体で形成されていても良いし、それぞれもしくは一部が別体であってそれぞれを接続したものであってもよい。なお、各要素との接続手段は任意であり得る。
【0014】
関節サポータを構成する各要素(ベース体、支持体、第1の延長部、第2の延長部)の素材は任意の素材であり得るが、1つの実施形態において可撓性および伸縮性を有するネオプレーン素材(ポリクロロプレン)である。この素材を用いることで良好な装着感を得ることも可能となる。しかしながら、可撓性または伸縮性を有するものであれば本発明はこれに限定されない。例えば、薄板状とすることによって金属性としてもよい。
(ベース体)
ベース体は、手首を固定する機能を奏する部材である。手首の回りに沿うことが可能なように長手方向を有し、かつ可撓性を有していることが好ましい。また、ベース体に面ファスナなどを設けて、ベース体によって手首をしっかり固定できるようにしてもよいし、バンドを別体で設けて、バンドとの協働で手首を固定するようにしてもよい。
【0015】
また、ベース体は後述する第1の延長部の先端部および第2の延長部の先端部を固定する固定部を有している。固定部の固定手段は任意の手段であり得る。例えば、ビス止め、カシメ、ボルトなどの締結具であっても良いし、ボタンや面ファスナや縫製や接合や接着剤での接続であってもよい。また、第1の延長部および第2の延長部との接続は、接続位置を調整可能とするのが好ましい。位置を調整可能にする手段としては、ビス、カシメやボルトなどを挿通可能な孔部を複数(3個以上)設けるようにする。しかしながら本発明はこれに限定されない。例えば、面ファスナなどを用いて任意の位置に接続可能なようにしてもよい。
(支持体)
支持体は、後述する第1の延長部および第2の延長部とで拇指を固定する機能を奏するものである。支持体には拇指を支持するための拇指が挿通可能な孔部を有している。
【0016】
孔部の形状および大きさは拇指が挿通可能な範囲で任意であり得る。例えば、孔部の形状としては、円形状、楕円形状、菱形状、雫状などであり得る。また、割り(図1に示すW)を入れるものであってもよい。割りを入れることによって指の太さに対してフィッティング性を向上させることが可能となる。割りの形状は任意であり得る。
【0017】
支持体は、ベース体と交差する状態でベース体に接続されている。交差する角度は任意であり得る。例えば、支持体はベース体と約60°~約120°の範囲で交差しており、1つの実施形態において、支持体はベース体と約90°(図1における角度α)で交差している。
(第1の延長部と第2の延長部)
第1の延長部と第2の延長部は、支持体に設けられた孔部に挿通された拇指に対して手のひら側への内転を防止する機能を奏するための部材である。なお、第1の延長部および第2の延長部は交差させるように捩じった状態でベース体に取り付けることが可能なように、可撓性を有することが好ましい。可撓性を備える手段としては、可撓性を有する素材としてもよいし、薄板状体としてもよいし、それらの手段を組み合わせたものであってもよい。
【0018】
第1の延長部は支持体の先端の一端に交差するように接続され、第2の延長部は支持体の先端の他端に交差するように接続される。交差する角度は任意であり得る。例えば、第1の延長部と第2の延長部はそれぞれ、支持体と約60°~約120°の範囲で交差している。1つの実施形態において、第1の延長部は支持体と約90°の角度(図1における角度β)で交差しており、第2の延長部は支持体と約90°の角度(図1における角度γ)で交差している。
【0019】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0020】
図1は、本発明の実施形態1による関節サポータ1を示す図であり、関節サポータ100の展開状態を示している。また、図2図1に示す関節サポータの使用する際の形態を示している。
【0021】
本発明の関節サポータ1は、図1に示す様に、略「工」字状の一枚の平板状のシートから構成されている。関節サポータ1は、ベース体10と支持体20と第1の延長部30と第2の延長部40とを有する。ベース体10は、長手方向(図1の紙面における左右方向)を有している。ベース体は手首の回りに巻き付けられる部分である。また、ベース体10には、第1延長部の先端および第2延長部の先端を固定する固定部11を有している。固定部11は、ボルトやビスなどを挿通するための孔部であって、固定位置を調整可能なように、4個の孔部(12~15)が設けられている。
【0022】
またベース体10には、バックル16とバンド17および、バンド18を通すためのスリット17を有している(図2を参照)。
【0023】
支持体20は、ベース体の長手方向と略直交する方向(図1の紙面における上下方向)に延設しており、基端(図1の紙面における下方向)はベース体10と繋がって。そして、支持体20は拇指を支持する機能を奏する部材であり、拇指が挿通することが可能な大きさからなる円形の孔部21を有している。
【0024】
支持体20の先端(図1の紙面における上方向)の一端(図1の紙面における左方向)には、支持体20に対して約90°で交差する第1の延長部30を有している。また、支持体20の先端の他端(図1の紙面における右方向)には、支持体20に対して約90°で交差する第2の延長部40を有している。
【0025】
図2に示す様に、第1の延長部30および第2の延長部40をそれぞれ交差するように捩じった状態で第1の延長部30の先端部がベース体10の固定部11の孔部13にビスで固定するとともに、第2の延長部40の先端部をベース体10の固定部11の孔部14にビスで固定する。このように固定することによって第1の延長部30および第2の延長部40の交差した部分に拇指が挿通可能な筒状部50が形成される。
【0026】
図2に示す様に、第1の延長部30の先端がベース部10の固定部11に固定するよりも下側に第2の延長部40の先端がベース部10の固定部11に固定される場合は、右手用の拇指を固定する。
【0027】
次に本実施形態における関節サポータ1の装着方法について説明する。
【0028】
図3には、本実施形態の関節サポータ1を拇指に装着する状態を示す図であり、図4は本実施形態の関節サポータ1を拇指に装着した状態を示している。
【0029】
まず、支持体20の孔部21に拇指を挿入するとともに第1の延長部30と第2の延長部40との交差により形成された筒状部50に拇指を挿入する。支持体20および筒状部50に拇指が挿通することで拇指は筒状部50内でしっかりとホールドされることになる。そして、支持体20および筒状部50に拇指が挿通することで拇指は筒状部50内でしっかりとホールドさせた状態で、ベース部10に備えたバンドによってベース部10を手首の回りに巻き付け、バンドの先端をベース部10に設けたスリットを通した後にバックルを通すことでベース部10がしっかり手首に固定される。なお、バンド部分に面ファスナを設けて面ファスナで固定することでさらに強固にベース部10を手首に固定するようにしてもよい。
【0030】
手や拇指が小さい場合、またホールド力をもっと強くしたい場合には、例えば、第1の延長部30の先端をベース部10の固定部11の孔部12から13に、第2の延長部40の先端をベース部10の固定部11の孔部14から15に変更することで、筒状部50の大きさを小さくすることで達成することが可能となる。
【0031】
本実施形態の関節サポータの作用および効果について説明する。
【0032】
拇指を支持体20に設けた孔部21に挿通固定するとともに、第1の延長部30と第2の延長部40との交差によって形成された筒状部50に拇指を挿通することによって、より強固に拇指を固定保持することが可能となる。
【0033】
捩じられた第1の延長部30と第2の延長部40とが交差することによって、車両における内輪差と外輪差が発生すると同様の効果が得られることになり、拇指の手のひら側への内転の動きを抑制することが可能となる。
【0034】
また、拇指の内転する動きに合わせて、拇指に支持する支持部20および第1の延長部30と第2の延長部40とが交差部分が拇指のCM関節を押圧することになり、より内転の動きを抑制することが可能となる。
【0035】
また、第1の延長部30の先端および第2の延長部40の先端をベース部10の固定部11に固定する固定位置を調整可能とすることによって、症状および拇指の大きさ(太さや長さ)などに合わせて拇指を固定する力および/またはCM関節を押圧する力の調整を容易に調整することが可能となる。
【0036】
また、第1の延長部30の先端および第2の延長部40の先端をベース部10の固定部11に固定する固定位置に固定する際に、第1の延長部30よりも第2の延長部40を上側となるように交差するようにすることで左手用、逆に第2の延長部40よりも第1の延長部30を上側となるように交差するようにすることで左手用とに容易に変更することが可能となる。
【0037】
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、拇指の手のひら側への内転を防止することが可能な関節サポータを得ることができるものとして有用である。
【符号の説明】
【0039】
1 関節サポータ
10 ベース体
11 固定部
12~15 孔部
16 バックル
17 バンド
18 スリット
20 支持部
21 孔部
30 第1の延長部
40 第2の延長部
50 筒状部
図1
図2
図3
図4