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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087430
(43)【公開日】2024-07-01
(54)【発明の名称】RFIDタグ検出システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20240624BHJP
   B60C 19/00 20060101ALI20240624BHJP
   G06K 7/10 20060101ALI20240624BHJP
【FI】
G06Q50/10
B60C19/00 G
B60C19/00 J
G06K7/10 244
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022202254
(22)【出願日】2022-12-19
(71)【出願人】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】TOYO TIRE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】細見 和正
【テーマコード(参考)】
3D131
5L049
【Fターム(参考)】
3D131LA20
3D131LA24
5L049CC15
(57)【要約】      (修正有)
【課題】タイヤ内のRFIDタグの位置を容易に把握するRFIDタグ検出システムを提供する。
【解決手段】RFIDタグ検出システム70は、RFIDタグのIDと、タイヤ内に埋設されたRFIDタグの位置を示すタグ位置情報と、が紐付けられて保存されるデータベース72と、RFIDタグのIDを読み取るRFIDリーダー75と、RFIDリーダー75によって読み取られたRFIDタグのIDをデータベース72に照合して、当該RFIDタグのIDに紐付けられたタグ位置情報を取得するタグ位置情報取得部73と、タグ位置情報取得部73で取得されたタグ位置情報に基づくタイヤ内でのRFIDタグの位置を出力する出力部74と、を備える。RFIDリーダーは、RFIDタグに情報を書き込むライター機能を有していてよい。出力部は、コンピュータのディスプレイであり、タイヤ内でのRFIDタグの位置を示すタグ位置情報が表示される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
RFIDタグのIDと、タイヤ内に埋設されたRFIDタグの位置を示すタグ位置情報と、が紐付けられて保存されるデータベースと、
前記RFIDタグのIDを読み取るRFIDリーダーと、
前記RFIDリーダーによって読み取られた前記RFIDタグのIDを前記データベースに照合して、当該RFIDタグのIDに紐付けられた前記タグ位置情報を取得するタグ位置情報取得部と、
前記タグ位置情報取得部で取得された前記タグ位置情報に基づく前記タイヤ内での前記RFIDタグの位置を出力する出力部と、を備える、RFIDタグ検出システム。
【請求項2】
前記タグ位置情報は、前記タイヤの、タイヤ外表面に沿った方向および周方向のうちの少なくともいずれか1つの位置情報に基づいて求められる、請求項1に記載のRFIDタグ検出システム。
【請求項3】
前記タイヤ外表面に沿った方向の位置情報に基づいて求められる前記タグ位置情報は、前記タイヤのスペックに基づいて設定される、請求項2に記載のRFIDタグ検出システム。
【請求項4】
前記周方向の位置情報に基づいて求められる前記タグ位置情報は、前記タイヤの製造過程の途中で取得される、請求項2に記載のRFIDタグ検出システム。
【請求項5】
前記出力部は、前記タイヤ内での前記RFIDタグの位置を示す拡張現実画像を出力する、請求項1または2に記載のRFIDタグ検出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤに埋設されたRFIDタグの位置を検出するRFIDタグ検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、RFIDタグを埋設したタイヤが知られている。このようなタイヤは、タイヤに埋設されたRFIDタグと、外部機器としてのリーダーとが通信を行うことにより、例えばタイヤに関する管理等を行うことができる(特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-71913号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、タイヤが使用寿命に達して廃棄処分される際に、まだ使用可能であるタイヤ内のRFIDタグを回収して再利用する場合がある。その場合、タイヤ内のRFIDタグの位置が把握できていれば速やかにRFIDタグをタイヤ内から取り出すことができる。しかしながらRFIDタグの埋設位置が不明な場合には、例えば、X線画像からタイヤ内でのRFIDタグの位置を特定することができるが、その場合は手間とコストがかかる。
【0005】
そこで本発明は、タイヤ内のRFIDタグの位置を容易に把握できるRFIDタグ検出システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のタイヤ内のRFIDタグ検出システムは、RFIDタグのIDと、タイヤ内に埋設されたRFIDタグの位置を示すタグ位置情報と、が紐付けられて保存されるデータベースと、前記RFIDタグのIDを読み取るRFIDリーダーと、前記RFIDリーダーによって読み取られた前記RFIDタグのIDを前記データベースに照合して、当該RFIDタグのIDに紐付けられた前記タグ位置情報を取得するタグ位置情報取得部と、前記タグ位置情報取得部で取得された前記タグ位置情報に基づく前記タイヤ内での前記RFIDタグの位置を出力する出力部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、タイヤ内のRFIDタグの位置を容易に把握できるRFIDタグ検出システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係るタイヤの表示面側の側面図である。
図2】実施形態に係るタイヤのタイヤ幅方向の半断面を示す図である。
図3】実施形態に係るRFIDタグを示す平面図である。
図4】実施形態に係るRFIDタグ検出システムの構成を示すブロック図である。
図5】実施形態に係るRFIDタグ検出システムを運用するために予め実施される動作を示すフローチャートである。
図6】実施形態に係るRFIDタグ検出システムによってタイヤ内でのRFIDタグの位置を検出する動作を示すフローチャートである。
図7】実施形態に基づく変形例であって、RFIDタグの位置をスマートフォンにAR画像で表示する例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら実施形態について説明する。実施形態は、タイヤ内に埋設されたRFIDタグの、当該タイヤ内での位置を検出するRFIDタグ検出システムに関する。
【0010】
図1は、実施形態に係るRFIDタグ60が埋設されたタイヤ1の側面図である。図2は、タイヤ1のタイヤ幅方向の半断面図である。タイヤ1は、図示しないリムに装着されてその内腔に空気等による内圧が充填される空気入りタイヤである。実施形態のタイヤ1は、乗用車用のタイヤである。なお、実施形態の構成は、ライトトラック、トラック、バス等の各種車両用のタイヤにも適用可能である。
【0011】
図1に示すように、実施形態のRFIDタグ60は、タイヤ1のサイドウォール13内の所定位置に埋設されている。図1のGは、図1の紙面表裏方向に延びるタイヤ1の回転中心である回転軸線を示している。図1には、タイヤ1の周方向を矢印Rで示している。図1は、タイヤ1が車両に装着された状態で外側に配置される表示面2側の側面である。表示面2には、タイヤ1に関する各種情報が刻印や印刷等によって表示される。
【0012】
図2により、タイヤ1の内部構造と合わせてRFIDタグ60の埋設位置を説明する。図2は、図1に示した回転軸線Gの延びる方向で左右対称の構造を有するタイヤ1の右半分側であって、表示面2側の半断面を示している。図2の断面図は、タイヤ1を図示せぬ規定リムに装着し、かつ、規定内圧を充填した無負荷状態でのタイヤ1の状態を示している。
【0013】
図2中、符号S1は、回転軸線Gに直交するタイヤ赤道面である。図2には、本明細書でいうタイヤ幅方向、タイヤ径方向、タイヤ外表面に沿った長さ方向および厚み方向を、それぞれ矢印X、Y、ZおよびTで示している。タイヤ幅方向(矢印X方向)とは、回転軸線Gに平行な方向であり、図2の断面図における紙面左右方向である。タイヤ幅方向内側とは、タイヤ赤道面S1に近づく方向であり、図2においては、紙面左側である。タイヤ幅方向外側とは、タイヤ赤道面S1から離れる方向であり、図2においては、紙面右側である。タイヤ径方向(矢印Y方向)とは、回転軸線Gに垂直な方向であり、図2における紙面上下方向である。タイヤ径方向外側とは、回転軸線Gから離れる方向であり、図2においては紙面上側である。タイヤ径方向内側とは、回転軸線Gに近づく方向であり、図2においては紙面下側である。タイヤ外表面に沿った長さ方向(矢印Z方向)とは、左右のタイヤ径方向内側の端部の間にわたる方向であり、タイヤ幅方向断面においてタイヤ全体としての外表面に沿う方向である。厚み方向(矢印T方向)とは、タイヤ1の周方向の任意の位置におけるタイヤ1の内面と外面との間の距離であって、その部分のゴムの厚みをいう。すなわちタイヤの厚みおよび厚み方向は、タイヤ外表面に沿った長さ方向の位置に応じて変化し、一定ではない。図2では、RFIDタグ60が配置された部分におけるタイヤ厚み方向をTで示している。なお、タイヤ1は、その外表面のあらゆる方向に沿って延びるタイヤ外表面に沿った方向を有する。上述したタイヤ周方向、タイヤ幅方向、タイヤ径方向およびタイヤ外表面に沿った長さ方向のそれぞれは、タイヤ外表面に沿った方向の一部であり、タイヤ外表面に沿った方向はタイヤ外表面に沿ったあらゆる方向を含む。
【0014】
タイヤ1は、タイヤ幅方向両側に設けられた一対のビード11と、路面との接地面を形成するトレッド12と、一対のビード11とトレッド12との間に延びる一対のサイドウォール13と、を備える。
【0015】
ビード11は、ビードコア21と、ビードフィラー22と、を備える。ビードコア21は、ゴムが被覆された金属製のビードワイヤを複数回巻いて形成した環状の部材であり、タイヤ1をリムに固定する役目を果たす。ビードフィラー22は、ビードコア21からタイヤ径方向外側に延出する先端先細り形状の部材である。ビードフィラー22は、ビード11の周辺部の剛性を高めるために周囲のゴム部材よりもモジュラスの高いゴムにより構成される。
【0016】
トレッド12は、無端状のベルト26およびキャッププライ27と、トレッドゴム28と、を備える。ベルト26は、トレッド12を補強する部材である。実施形態のベルト26は、内側ベルト261と、内側ベルト261のタイヤ径方向外側に配置された外側ベルト262と、を備えた二層構造である。内側ベルト261および外側ベルト262は、いずれも複数のスチールコード等のベルトコードがゴムで覆われた構造を有する。キャッププライ27は、ベルト26とともにトレッド12を補強する部材であり、ベルト26をタイヤ外表面側から覆っている。キャッププライ27は、例えば、ポリアミド繊維等の絶縁性を有する複数の有機繊維コードがゴムで覆われた構造を有する。トレッドゴム28は、キャッププライ27のタイヤ径方向外側に設けられている。トレッドゴム28の外表面には図示しないトレッドパターンが設けられており、この外表面の大部分が、路面と接触する接地面となる。
【0017】
サイドウォール13は、タイヤ1の外壁面を構成するサイドウォールゴム30を含む。サイドウォールゴム30は、タイヤ1がクッション作用をする際に最も撓む部分であり、通常、耐疲労性を有する柔軟なゴムで構成される。上述した表示面2は、図2に示すサイドウォール13を含むタイヤ1の側面で構成される。
【0018】
タイヤ1の内部には、タイヤ1の骨格となるプライを構成するカーカスプライ23が埋設されている。カーカスプライ23は、一対のビードコア21の間を、一対のサイドウォール13およびトレッド12を通過する態様で、タイヤ1内に埋設されている。カーカスプライ23は、ビード11間に延在するプライ本体24と、ビードコア21の周りで折り返されたプライ折り返し部25と、を備える。プライ折り返し部25は、プライ本体24に重ね合わされている。カーカスプライ23は、タイヤ幅方向に延びる複数のプライコードがゴムにより被覆された構成を有する。そのプライコードは、ポリエステルやポリアミド等の絶縁性の有機繊維コード等により構成されている。上述したベルト26は、カーカスプライ23のタイヤ径方向外側に配置されている。
【0019】
ビード11のビードコア21周りにおけるカーカスプライ23のタイヤ径方向内側には、チェーハー31が配置されている。チェーハー31は、カーカスプライ23のタイヤ径方向内側の端部を囲む態様で設けられている。チェーハー31のタイヤ幅方向外側には、サイドウォールゴム30のタイヤ径方向内側に連なるリムストリップゴム32が配置されている。
【0020】
ビード11、トレッド12およびサイドウォール13において、カーカスプライ23のタイヤ内腔側には、タイヤ1の内壁面を構成するゴム層としてのインナーライナー29が設けられている。インナーライナー29は、耐空気透過性ゴムにより構成されており、タイヤ内腔内の空気が外部に漏れるのを防ぐ。上述したカーカスプライ23は、インナーライナー29のタイヤ径方向外側に配置されている。
【0021】
タイヤ1には、RFIDタグ60が埋設されている。図2に示すように、RFIDタグ60は、ビードフィラー22のタイヤ径方向外側端22Aから僅かにタイヤ径方向外側寄りの位置に配置されている。RFIDタグ60は、カーカスプライ23のプライ本体24とプライ折り返し部25との間に挟まれて保持されている。RFIDタグ60は、表示面2側のサイドウォール13に配置されている。
【0022】
RFIDタグ60は、短い帯状の形状を有するシート状に形成されている。実施形態のRFIDタグ60は、図3に示すように、ゴムシートからなる基材61内に、記憶部を備えるICチップからなるRFIDチップ62と、外部機器と通信を行うための複数のアンテナ63とが収容されたパッシブ型のトランスポンダである。図3はRFIDタグ60の構造の一例を示すものであり、RFIDタグ60としてはこの構造に限定されない。また、RFIDタグ60の形状や寸法も限定はされないが、例えば帯状の場合、長さが20mm以上60mm以下程度、幅が5mm以上20mm以下程度、厚みが1mm程度のものが用いられる。
【0023】
実施形態に係るシステムは、上述したタイヤ1内でのRFIDタグ60の位置を検出するRFIDタグ検出システムである。以下、それについて説明する。
【0024】
図4は、実施形態に係るRFIDタグ検出システム70のハードウェアを示すブロック図である。RFIDタグ検出システム70は、例えばコンピュータ内において構築される。図4に示すように、RFIDタグ検出システム70は、RFIDリーダー75と、データベース72と、タグ位置情報取得部73と、出力部74と、を備える。RFIDリーダー75は、RFIDタグ60と通信し、RFIDタグ60に入力されている各種情報およびID等を読み込む。RFIDリーダー75は、RFIDタグ60に情報を書き込むライター機能を有していてよい。
【0025】
データベース72には、タグ位置情報と、タイヤ1に関するタイヤ情報のそれぞれとが、RFIDタグ60のIDに紐付けられて保存される。タグ位置情報取得部73は、RFIDリーダー75が読み込んだRFIDタグ60のIDをデータベース72に照合して、タグ位置情報を取得する。出力部74は、タグ位置情報取得部73で取得されたタグ位置情報に基づくタイヤ1内でのRFIDタグ60の位置を出力する。出力部74は例えばコンピュータのディスプレイであり、そのディスプレイにタイヤ1内でのRFIDタグ60の位置を示すタグ位置情報が表示される。あるいは、タグ位置情報に基づいてタイヤ1のどこにあるかを示すイメージがディスプレイに表示されてもよい。
【0026】
タイヤ1内でのRFIDタグ60の位置を示すタグ位置情報は、タイヤ1の製造過程を経ることにより求められる。タイヤ1内でのRFIDタグ60のタグ位置情報は、図2の矢印Zで示すタイヤ外表面に沿った長さ方向の位置および厚み方向Tの位置と、図1に示すタイヤ1の周方向Rの位置との3方向での座標に相当する。ここで、RFIDタグ60のタイヤ外表面に沿った長さ方向の位置情報および厚み方向の位置情報は、タイヤ1のスペックに基づいて設定される。これは、RFIDタグ60のタイヤ外表面に沿った長さ方向の位置および厚み方向の位置のそれぞれは、タイヤ1の設計段階で決定されるからである。一方、RFIDタグ60は、タイヤ1の周方向のどの位置に配置されるかは、実際にRFIDタグ60を組み込んだときに決定される事項である。したがってRFIDタグ60の周方向の位置情報は、例えばタイヤ1の製造過程の途中において製造設備から求められる。
【0027】
図5は、RFIDタグ検出システム70を運用するために予めタイヤ製造過程において実施される動作を示すフローチャートである。図5に示すように、RFIDタグ検出システム70を運用するには、タイヤ1のスペックに基づいて設定されるタイヤ外表面に沿った長さ方向および厚み方向のRFIDタグ60の位置情報のそれぞれを、RFIDタグ60のIDと紐付ける(ステップS1)。また、製造中の設備から周方向のRFIDタグ60の位置情報を入手し、その位置情報をRFIDタグ60のIDと紐付ける(ステップS2)。さらに、タイヤ1に関する複数のタイヤ情報のそれぞれを、RFIDタグ60のIDと紐付ける(ステップS3)。ここで、タイヤ情報としては、タイヤ1の製造工場コード、タイヤ1のサイズコード、タイヤ1の商品コード、タイヤ1の製造時期を示すセリアル番号等である。この他には、成型した日、加硫した日、ロット番号等が挙げられる。そして、RFIDタグ60の、タイヤ外表面に沿った長さ方向位置、厚み方向位置、周方向位置から求められるタグ位置情報および複数のタイヤ情報のそれぞれを、RFIDタグ60のIDと紐付け、データベース72に保存する(ステップS4)。
【0028】
RFIDタグ60が埋設されたタイヤ1は、車両に装着されて使用される。車両の走行に伴い、例えばパンク、リトレッド等の変更事項がタイヤ1に生じた場合、その都度、その変更事項がRFIDタグ60に記録されることが好ましい。
【0029】
図6は、RFIDタグ検出システム70を用いてタイヤ1内でのRFIDタグ60の位置を検出する際の動作を示すフローチャートである。図6に示すように、RFIDタグ60の位置を検出するには、はじめに、RFIDリーダー75をタイヤ1に近付け、RFIDタグ60と通信することを試みる(ステップS11)。そして、RFIDリーダー75でRFIDタグ60と通信できるか否かを確認し(ステップS12)、通信可能である場合にはステップS14に進む。ステップS12で通信不能であることが確認された場合には、ステップS13に進む。ステップS13では、X線を用いてタイヤ1内のX線画像を取得し、そのX線画像からRFIDタグ60の位置を検出する。RFIDリーダー75でRFIDタグ60と通信できなかった場合には、これによりタイヤ1内でのRFIDタグ60の位置を把握することができる。
【0030】
ステップS14では、RFIDリーダー75でRFIDタグ60のIDを読み込む。次いで、タグ位置情報取得部73が、RFIDリーダー75が読み込んだRFIDタグ60のIDをデータベース72に照合し、そのIDに紐付けられているタグ位置情報を取得する(ステップS15)。次いで、タグ位置情報取得部73で取得されたタグ位置情報が出力部74から出力される(ステップS16)。出力されるタグ位置情報としてのタイヤ周方向位置は、例えば、上述したコンピュータのディスプレイに、目視可能なセリアル番号等を基準として判別可能なマーク等で表示される。
【0031】
以上のように実施形態のRFIDタグ検出システム70によれば、タイヤ1内でのRFIDタグ60の詳細な位置が特定できていなくても、RFIDリーダー75によってRFIDタグ60と通信してIDを読み込むことにより、その詳細な位置を特定することができる。例えば、タイヤ1が古くなり使用寿命に達して廃棄処分される際に、RFIDタグ60がまだ使用可能である場合には、上述のようにして位置を特定できたRFIDタグ60をタイヤ1から回収して再利用することができる。実施形態のRFIDタグ検出システム70によれば、RFIDタグ60の詳細な埋設位置が不明であっても、X線を用いた画像検査といった大がかりでコストも高くなる方法を用いる必要がない。X線を用いた画像検査は、例えばそれが可能な設備を備える場所にタイヤ1を輸送して行う場合もあるため、手間とコストが大幅に増大することが考えられる。また、埋設位置が不明のまま、RFIDタグ60が発見されるまでタイヤ1を解体すれば回収は可能であるが、時間がかかりきわめて効率が悪い。しかしながら実施形態のRFIDタグ検出システム70を採用することにより、容易かつ迅速にRFIDタグ60の位置を把握できる。
【0032】
図7は、タイヤ1内でのRFIDタグ60の位置が、AR(Augmented Reality)技術によって携帯電話機器であるスマートフォン80のディスプレイ81に表示される例を示している。この場合、スマートフォン80のディスプレイ81がタイヤ1内でのRFIDタグ60の位置を出力する出力部であり、ディスプレイ81にはAR画像(拡張現実画像)が表示される。スマートフォン80には、上述したRFIDタグ検出システム70を備えるアプリケーションが搭載され、スマートフォン80が備えるカメラによりタイヤ1の表示面2が撮像される。例えば、当該アプリケーションを起動させた状態でスマートフォン80にRFIDタグ60のIDを入力し、スマートフォン80のカメラでタイヤ1を撮像すると、RFIDタグ60のIDに紐付けられたタグ位置情報に基づいて、ディスプレイ81に表示されるカメラによる撮像に対して、RFIDタグ60の位置を示す星マークMが合成されたAR画像が表示される。
【0033】
上記実施形態のRFIDタグ検出システム70によれば、以下の効果を奏する。
【0034】
(1)実施形態に係るRFIDタグ検出システム70は、RFIDタグ60のIDと、タイヤ1内に埋設されたRFIDタグ60の位置を示すタグ位置情報と、が紐付けられて保存されるデータベース72と、RFIDタグ60のIDを読み取るRFIDリーダー75と、RFIDリーダー75によって読み取られたRFIDタグ60のIDをデータベース72に照合して、当該RFIDタグ60のIDに紐付けられたタグ位置情報を取得するタグ位置情報取得部73と、タグ位置情報取得部73で取得されたタグ位置情報に基づくタイヤ1内でのRFIDタグ60の位置を出力する出力部74と、を備える。
【0035】
これにより、RFIDタグ60の詳細な埋設位置が不明であっても、その位置を容易に把握できる。RFIDタグ60の埋設位置が不明の場合、X線を用いた画像検査等の方法でRFIDタグ60の位置を検出可能ではあるが、その場合には手間とコストがかかる。これに対し実施形態のRFIDタグ検出システム70によれば、RFIDタグ60のIDをタグ位置情報と紐付けてデータベース72に保存しておくことにより、RFIDタグ60のIDをRFIDリーダー75で読み込めば、詳細な位置が特定できていなくてもタイヤ1内でのRFIDタグ60の詳細な位置を容易かつ迅速に把握することができる。また、X線を用いた画像検査よりもコストはかからず、簡素な構成でRFIDタグ60の位置を特定できる。例えば、タイヤ1が使用寿命に達したため廃棄処分するにあたり、RFIDタグ60はまだ使用可能であるにもかかわらず埋設位置が不明の場合であっても、RFIDタグ60の埋設位置を把握してタイヤ1からRFIDタグ60を取り出し、RFIDタグ60を再使用することが容易となる。
【0036】
(2)実施形態に係るRFIDタグ検出システム70においては、タグ位置情報は、タイヤ1のタイヤ外表面に沿った方向の位置情報に基づいて求められる。タイヤ外表面に沿った方向とは、上述したようにタイヤ1の外表面のあらゆる方向に沿って延びる方向をいうが、実施形態では、特に、タイヤ周方向、タイヤ幅方向、タイヤ径方向およびタイヤ外表面に沿った長さ方向のうちの少なくともいずれか1つの位置情報に基づいて求められる。これにより、タイヤ1内でのRFIDタグ60の位置を高精度で求めることができる。なお、上述したように、タイヤ1の厚み方向におけるRFIDタグ60の位置情報を加味してタグ位置情報を求めるようにすると、より高精度でRFIDタグ60の位置を求めることができる。
【0037】
(3)実施形態に係るRFIDタグ検出システム70においては、タイヤ1のタイヤ外表面に沿った長さ方向の位置情報に基づいて求められるタグ位置情報は、タイヤ1のスペックに基づいて設定される。これにより、タイヤ外表面に沿った長さ方向の位置情報および厚み方向の位置情報は測定する必要がないため、システムの運用を簡潔かつ迅速に行うことができる。
【0038】
(4)実施形態に係るRFIDタグ検出システム70においては、タイヤ1の周方向の位置情報に基づいて求められるタグ位置情報は、タイヤ1の製造過程の途中で取得される。これにより、周方向におけるRFIDタグ60の位置を高精度で求めることができる。
【0039】
(5)実施形態に係るRFIDタグ検出システム70においては、出力部74は、タイヤ1内でのRFIDタグ60の位置を示す拡張現実画像(AR画像)を出力することもできる。これにより、タイヤ1内でのRFIDタグ60の位置を、目視により感覚的に把握することができ、より簡便にRFIDタグ60の位置を把握することができる。
【0040】
以上、実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の目的を達成できる範囲で変形、改良などを行っても、本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0041】
1 タイヤ
60 RFIDタグ
70 RFIDタグ検出システム
72 データベース
73 タグ位置情報取得部
74 出力部
75 RFIDリーダー
81 スマートフォンのディスプレイ(出力部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7