(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087437
(43)【公開日】2024-07-01
(54)【発明の名称】人検出装置、照明制御システム、空調制御システム、統合管理システム、熱型人検出装置、および監視システム
(51)【国際特許分類】
H04N 23/60 20230101AFI20240624BHJP
H05B 47/125 20200101ALI20240624BHJP
H04N 23/56 20230101ALI20240624BHJP
G06T 7/20 20170101ALI20240624BHJP
F24F 11/41 20180101ALI20240624BHJP
F24F 11/88 20180101ALI20240624BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20240624BHJP
G03B 15/02 20210101ALI20240624BHJP
F24F 120/12 20180101ALN20240624BHJP
【FI】
H04N23/60 500
H05B47/125
H04N23/56
G06T7/20 300Z
F24F11/41 220
F24F11/41 230
F24F11/41 240
F24F11/88
G03B15/00 Q
G03B15/02
G03B15/00 S
F24F120:12
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022202261
(22)【出願日】2022-12-19
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩坪 幸喜
【テーマコード(参考)】
3K273
3L260
5C122
5L096
【Fターム(参考)】
3K273PA10
3K273QA28
3K273RA15
3K273SA21
3K273SA22
3K273SA37
3K273SA40
3K273SA57
3K273SA58
3K273SA60
3K273TA03
3K273TA15
3K273TA54
3K273TA57
3K273TA62
3K273TA70
3K273TA75
3L260AB02
3L260BA38
3L260CA02
5C122DA09
5C122DA11
5C122EA59
5C122FH09
5C122FH11
5C122FH14
5C122GA34
5C122GC14
5C122GG21
5C122HA86
5C122HA88
5L096BA02
5L096CA03
5L096DA02
5L096FA05
5L096FA69
5L096FA76
5L096HA05
(57)【要約】
【課題】本開示は、人検出装置、照明制御システムに関し、人の位置の検出精度を向上させることができる人検出装置、および人の位置の検出精度を向上させ、検出した位置の情報に応じて好適な照明環境を実現することができる照明制御システムを提供することを目的とする。
【解決手段】本開示の人検出装置は、空間を一定の周期ごとに画像として撮像する処理と、画像に映された直線的な特徴を備える構造物を非活動領域として抽出する処理と、画像に映された人を枠として検出する処理と、当該枠から非活動領域の影響を除外する除外処理と、除外処理を施した当該枠から、規定の規則に従い人の位置を決定する処理とを実行するように構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間を一定の周期ごとに画像として撮像する処理と、
前記画像に映された直線的な特徴を備える構造物を非活動領域として抽出する処理と、
前記画像に映された人を枠として検出する処理と、
前記枠から前記非活動領域の影響を除外する除外処理と、
前記除外処理を施した前記枠から、既定の規則に従い人の位置を決定する位置決定処理と、
を実行するように構成される、人検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の人検出装置と、
照明コントローラと、
照明器具と、
を備え、
前記照明コントローラは、
前記人検出装置から通知された人の位置情報に基づき前記照明器具の光源状態を選択する光源状態選択処理と、
前記光源状態が実現するように前記照明器具を制御する処理と、
を実行するように構成される、照明制御システム。
【請求項3】
請求項1に記載の人検出装置と、
室内機と、
室外機と、
空調監視システムと、
を備え、
前記空調監視システムは、
前記人検出装置から通知された人の位置情報に基づき前記室内機および前記室外機の運転状態を選択する空調状態選択処理と、
前記運転状態が実現するように前記室内機および前記室外機を制御する処理と、
を実行するように構成される、空調制御システム。
【請求項4】
請求項2に記載の照明制御システムを管理する統合管理システムであって、
人検出装置が検出した人の位置情報をサーバに受け付ける処理と、
前記位置情報に基づき、前記照明制御システムが備える照明器具の光源状態を学習データから選択する学習済光源状態選択処理と、
前記学習済光源状態選択処理の結果に基づき、前記照明制御システムが備える前記照明器具の光源状態を変更する処理と、
前記位置情報に好適な前記照明器具の光源状態を、前記学習データに学習させる学習処理と、
を実行するように構成される、統合管理システム。
【請求項5】
前記サーバはクラウドサーバである、請求項4に記載の統合管理システム。
【請求項6】
前記統合管理システムは、請求項3に記載の空調制御システムをさらに管理し、
前記位置情報に応じて、前記空調制御システムが備える室内機および室外機の運転状態を前記学習データから選択する学習済運転状態選択処理と、
前記学習済運転状態選択処理の結果に基づき、前記空調制御システムが備える前記室内機および前記室外機の運転状態を変更する処理と、
をさらに実行し、
前記学習処理においては、前記位置情報に好適な室内機および室外機の運転状態を前記学習データに学習させる処理をさらに含む、請求項4に記載の統合管理システム。
【請求項7】
前記人検出装置を複数備え、
所有者の個人情報が格納された携帯端末機をさらに備え、
前記人検出装置に含まれる第一の人検出装置は、検出した人の位置情報と前記第一の人検出装置を示す識別情報とを含む第一無線信号を送信する処理をさらに実行し、
前記第一の人検出装置を除く前記人検出装置に含まれる第二の人検出装置は、
前記第一無線信号を受け付ける処理と、
前記第一無線信号を受け付けた場合に、検出した人の位置情報と前記第二の人検出装置を示す識別情報を含む第二無線信号を送信する処理と、
をさらに実行し、
前記携帯端末機は、
前記第一無線信号および前記第二無線信号を受け付ける処理と、
前記第一無線信号および前記第二無線信号から、前記第一の人検出装置で検出された人の位置を特定する特定処理と、
前記特定処理により特定された人の位置から、該人が前記所有者であるか否かを判定する処理と、
該人が前記所有者であると判断した場合に、前記個人情報を前記サーバに送信する処理と、
を実行し、
前記サーバは、前記学習処理においては、前記位置情報に好適な前記照明器具の光源状態を、前記個人情報に紐づけて前記学習データに学習させる、請求項4に記載の統合管理システム。
【請求項8】
空間の温度分布を検出し前記温度分布を熱画像として表示する熱型人検出装置であって、
前記熱型人検出装置は、
前記熱画像を一定の周期ごとに生成する処理と、
前記熱画像から、30度から40度の温度分布を示す近体温領域を抜き出す処理と、
前記近体温領域が人であるかを判定する処理と、
を実行するように構成され、
前記近体温領域が人であると判定した場合は、
前記近体温領域が示す最大の温度を人の体温として検出する処理と、
前記近体温領域から、既定の規則に従い該人の位置を決定する処理と、
をさらに実行するように構成される、熱型人検出装置。
【請求項9】
前記照明コントローラは、前記光源状態選択処理においては、
請求項8に記載の熱型人検出装置から通知された人の位置情報に基づき前記照明器具の光源状態を選択する処理をさらに含む、請求項2に記載の照明制御システム。
【請求項10】
請求項8に記載の熱型人検出装置が検出した人の位置情報を前記サーバに受け付ける処理をさらに実行し、
前記学習処理においては、前記熱型人検出装置が検出した人の位置情報に好適な前記照明器具の光源状態を前記学習データに学習させる処理をさらに含み、
前記学習済光源状態選択処理においては、前記熱型人検出装置が検出した人の位置情報に基づき、前記照明制御システムが備える前記照明器具の光源状態を前記学習データから選択する処理をさらに含む、
請求項4に記載の統合管理システム。
【請求項11】
請求項1に記載の人検出装置を複数備え、
前記人検出装置に含まれる、設置位置の絶対座標が既知の特定済人検出装置から、前記設置位置の前記絶対座標の情報を受け付ける処理と、
前記特定済人検出装置により検出された人の第一位置情報を受け付ける処理と、
設置位置の絶対座標が未知の前記人検出装置のうち、前記第一位置情報の示す位置に存在する人を検出した装置を、未特定人検出装置として特定する処理と、
該人が前記第一位置情報の示す位置に存在した際に、前記未特定人検出装置が検出した該人の第二位置情報を受け付ける処理と、
前記第一位置情報と前記第二位置情報から、前記未特定人検出装置の設置位置の絶対座標を特定し、当該未特定人検出装置を特定済人検出装置とする処理と、
を実行するように構成され、
前記特定済人検出装置の位置を示すアイコンを監視画面上に配置する、監視システム。
【請求項12】
前記位置決定処理においては、前記既定の規則は、
前記除外処理を施した前記枠において、前記人検出装置の設置位置を示す前記画像上の点に最も近い点を人の位置とする規則である、請求項1に記載の人検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、人検出装置、照明制御システム、空調制御システム、統合管理システム、熱型人検出装置、および監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像センサ等を備えた人検出装置を天井に配置し、対象空間を撮像して得た画像データの撮像範囲から非対象領域の影響を除外し、対象領域に限定した画像処理から、人の歩行/滞留、在/不在、人数、活動量、および空間の照度等をセンシングする技術がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
画像センサ等の人検出装置においては、天井に設置され直下を中心に広範囲を撮像するためCMOSカメラに広角レンズを装着することが多い。広角レンズは端部において像がゆがむため、人が広範囲を占め、さらに画像処理の対象範囲を対称領域として限定してしまうと、人の位置の検出精度が低下するという課題がある。
【0005】
また、人の位置の検出精度が低下した場合においては、人検出装置により検出された位置情報に基づく照明制御、空調制御を行ったとしても、検出された人に対して好適な照明環境または空調環境を実現できない場合がある。
【0006】
本開示は上述の問題を解決するため、人の位置の検出精度を向上させることができる人検出装置を提供することを第一の目的とする。
【0007】
また、本開示は、人の位置の検出精度を向上させ、検出した位置の情報に応じて好適な照明環境を実現することができる照明制御システムを提供することを第二の目的とする。
【0008】
また、本開示は、人の位置の検出精度を向上させ、検出した位置の情報に応じて好適な空調環境を実現することができる空調制御システムを提供することを第三の目的とする。
【0009】
また、本開示は、人の位置の検出精度を向上させ、検出した位置の情報に応じて好適な照明環境を実現することができる統合管理システムを提供することを第四の目的とする。
【0010】
また、本開示は、人の位置の検出精度を向上させることができる熱型人検出装置を提供することを第五の目的とする。
【0011】
また、本開示は、人の位置の検出精度を向上させることができる人検出装置を備えた監視システムを提供することを第六の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本開示の第一の態様は、空間を一定の周期ごとに画像として撮像する処理と、
前記画像に映された直線的な特徴を備える構造物を非活動領域として抽出する処理と、
前記画像に映された人を枠として検出する処理と、
前記枠から前記非活動領域の影響を除外する除外処理と、
前記除外処理を施した前記枠から、既定の規則に従い人の位置を決定する位置決定処理と、
を実行するように構成される、人検出装置であることが好ましい。
【0013】
また、本開示の第二の態様は、請求項1に記載の人検出装置と、
照明コントローラと、
照明器具と、
を備え、
前記照明コントローラは、
前記人検出装置から通知された人の位置情報に基づき前記照明器具の光源状態を選択する光源状態選択処理と、
前記光源状態が実現するように前記照明器具を制御する処理と、
を実行するように構成される、照明制御システムであることが好ましい。
【0014】
また、本開示の第三の態様は、請求項1に記載の人検出装置と、
室内機と、
室外機と、
空調監視システムと、
を備え、
前記空調監視システムは、
前記人検出装置から通知された人の位置情報に基づき前記室内機および前記室外機の運転状態を選択する空調状態選択処理と、
前記運転状態が実現するように前記室内機および前記室外機を制御する処理と、
を実行するように構成される、空調制御システムであることが好ましい。
【0015】
また、本開示の第四の態様は、請求項2に記載の照明制御システムを管理する統合管理システムであって、
人検出装置が検出した人の位置情報をサーバに受け付ける処理と、
前記位置情報に基づき、前記照明制御システムが備える照明器具の光源状態を学習データから選択する学習済光源状態選択処理と、
前記学習済光源状態選択処理の結果に基づき、前記照明制御システムが備える前記照明器具の光源状態を変更する処理と、
前記位置情報に好適な前記照明器具の光源状態を、前記学習データに学習させる学習処理と、
を実行するように構成されることが好ましい。
【0016】
本開示の第五の態様は、空間の温度分布を検出し前記温度分布を熱画像として表示する熱型人検出装置であって、
前記熱型人検出装置は、
前記熱画像を一定の周期ごとに生成する処理と、
前記熱画像から、30度から40度の温度分布を示す近体温領域を抜き出す処理と、
前記近体温領域が人であるかを判定する処理と、
を実行するように構成され、
前記近体温領域が人であると判定した場合は、
前記近体温領域が示す最大の温度を人の体温として検出する処理と、
前記近体温領域から、既定の規則に従い該人の位置を決定する処理と、
をさらに実行するように構成されることが好ましい。
【0017】
本開示の第六の態様は、請求項1に記載の人検出装置を複数備え、
前記人検出装置に含まれる、設置位置の絶対座標が既知の特定済人検出装置から、前記設置位置の前記絶対座標の情報を受け付ける処理と、
前記特定済人検出装置により検出された人の第一位置情報を受け付ける処理と、
設置位置の絶対座標が未知の前記人検出装置のうち、前記第一位置情報の示す位置に存在する人を検出した装置を、未特定人検出装置として特定する処理と、
該人が前記第一位置情報の示す位置に存在した際に、前記未特定人検出装置が検出した該人の第二位置情報を受け付ける処理と、
前記第一位置情報と前記第二位置情報から、前記未特定人検出装置の設置位置の絶対座標を特定し、当該未特定人検出装置を特定済人検出装置とする処理と、
を実行するように構成され、
前記特定済人検出装置の位置を示すアイコンを監視画面上に配置する、監視システムであることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本開示の第一の態様によれば、人の位置の検出精度を向上させることができる人検出装置を提供可能である。
【0019】
また、本開示の第二の態様によれば、人の位置の検出精度を向上させ、検出した位置の情報に応じて好適な照明環境を実現することができる照明制御システムを提供可能である。
【0020】
また、本開示の第三の態様によれば、人の位置の検出精度を向上させ、検出した位置の情報に応じて好適な空調環境を実現することができる空調制御システムを提供可能である。
【0021】
また、本開示の第四の態様によれば、人の位置の検出精度を向上させ、検出した位置の情報に応じて好適な照明環境を実現することができる統合管理システムを提供可能である。
【0022】
また、本開示の第五の態様によれば、人の位置の検出精度を向上させることができる熱型人検出装置を提供可能である。
【0023】
また、本開示の第六の態様によれば、人の位置の検出精度を向上させることができる人検出装置を備えた監視システムを提供可能である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本開示の実施の形態1に係る人検出装置の機能例を示すブロック図である。
【
図2】人検出装置で撮像された画像に対して画像処理部の位置判定部が抽出した非活動領域を示す図である。
【
図3】人検出装置で撮像された撮像画像に対して画像処理部の位置判定部が人の位置を決定した結果の一例を示す図である。
【
図4】人検出装置で撮像された撮像画像に基づき画像処理部の位置判定部が人の位置の特定を行う様子を示す図である。
【
図5】本開示の実施の形態1に係る、人検出装置が備えるカメラ情報の一例である。
【
図6】本開示の実施の形態2に係る熱型人検出装置の機能例を示すブロック図である。
【
図7】本開示の実施の形態1および2に係る、人検出装置、人感センサ、および熱型人検出装置で検出される情報をまとめた図である。
【
図8】本開示の実施の形態3に係る照明制御システムの構成例を示す図である。
【
図9】本開示の実施の形態4に係る統合管理システムの構成図である。
【
図10】本開示の統合管理システムにおいて、人検出装置で検出した人検出装置検出情報をクラウドに連携する通信仕様を示すフローチャートである。
【
図11】本開示の統合管理システムにおいて、照明制御システムおよび空調制御システムをサーバに連携させる通信仕様を示す図である。
【
図12】本開示の実施の形態5に係る照明制御システムの構成例を示す図である。
【
図13】本本開示の実施の形態5に係る照明制御システムにおいて、照明監視システムが人検出装置の位置を特定する様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
実施の形態1
図1は、本開示の実施の形態1に係る人検出装置3の機能例を示すブロック図である。人検出装置3のカメラ部31は、撮像素子であるCMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)および広角レンズを備える。カメラ部31で撮像された画像データは、画像処理部52に一定の周期で入力される。周期間隔は、例えば200msである。これはフレームレートが5fpsの場合に相当する。
【0026】
画像処理部52は、画像データから人検出を行う部分である。画像入力部32は、カメラ部31から入力された画像データを受信する。画像入力部32は、受信した画像データを画像生成部33に伝送する。画像生成部33は、伝送された画像データの解像度を変換し、カラー画像からモノクロ画像に変換する。これにより、以降の画像処理部52の処理において、モノクロ画像に基づく画像処理を行うことができる。なお、画像生成部33における解像度の変換は、たとえばSVGA(商標登録)からVGA(商標登録)への変換を含む。
【0027】
画像生成部33は、加工した最新画像データ36を、メモリに保存する。また、1周期前に受信した画像データ(以下、旧画像データと称する)35も、メモリに保存する。
【0028】
外乱判定部34は、画像生成部33から出力された画像データに基づき、外乱判定を行う。外乱判定部34は、画像データにおいて、輝度変化が明るくなる方向または暗くなる方向の一方向に発生し、それが規定値を超えた場合に、外乱ありと判断する。外乱ありと判定された場合、画像処理部52は、当該画像データに対して次の処理を実行しない。このように、照明状態の変化により輝度変化が生じた画像データを処理対象から外すことで、後の人検出における誤検出の発生を抑制することができる。
【0029】
一方、外乱判定部34において外乱なしと判断された場合は、同一画像判定部37が続く処理を行う。同一画像判定部37は、最新画像データ36と旧画像データ35の2つの画像から変化の有無を判定する。変化なしと判定された場合、画像処理部52は当該画像データに対して次の処理を実行しない。一方、変化ありと判定された場合は、照度推定部38および動き検知部41が続く処理を行う。
【0030】
照度推定部38は、照度推定を行う部分である。照度推定では、予めユーザにより設定された、7.2m×7.2mの位置判定範囲97を8×8の64ブロックに分割する。さらに、分割されたブロックをユーザから指定された数のエリアにまとめ、エリア毎に照度を推定する。なお、位置判定範囲97の大きさは7.2m×7.2mに限らなくともよい。また、ユーザにより指定されるエリア数は、たとえば1から4であるが、これに限らなくともよい。
【0031】
照度推定部38は、予め記憶された基準画像と照度の関係情報とを用い、各エリアの平均輝度をもとに、エリアごとに照度を推定する。ただし、そこでは、規程値以上に明るいピクセルと規定値以下に暗いピクセルを除外したうえで照度推定を実施する。
【0032】
また、照度推定においては、8×8の64ブロックの一部をマスクし、照度推定を行わない領域を設けることができる。マスクの設定は、後述の赤外線設定器9または携帯端末機10により設定することができる。携帯端末機10を使用する場合は、スマホアプリなどのインターフェースを介して操作を行う。このように、マスクを設定することにより、ノイズとなりうるブロックを除外して照度推定を行うことができる。
【0033】
動き検知部41は、人検出を行う部分である。動き検知部41は、微動検出部39と静止領域判定部40を備える。微動検出部39は、最新画像データ36と旧画像データ35から、輝度およびヒストグラムの変化を検出し、最新画像データ36において人物が動いたと認められる領域を微動領域として特定する。静止領域判定部40は、最新画像データ36において人物が動いたとは認められない部分を、静止領域として特定する。
【0034】
動き検知部41においても、上述の照度推定部38と同様に、8×8の64ブロックの一部をマスクし、人検出を行わない領域を設けることができる。
【0035】
動き検知部41で微動領域と静止領域が特定された最新画像データ36は、位置判定部42に通知される。位置判定部42は、最新画像データ36から非活動領域91を抽出し、その影響を除外したうえで人の位置を決定する処理(以下、位置決定処理と称する)を実行する。
【0036】
位置決定処理においては、カメラ情報43に保存されている人検出装置3の設置位置、カメラ設置高さ、位置判定範囲97、設置位置補正値等の情報に基づき、微動領域と静止領域から人の位置が特定される。
【0037】
位置判定部42においては、人の位置は、人検出装置3の設置位置を座標原点(0.0)とするXY座標上のポイントで表現される。表記は、例えばメートル表記である。例えば、(0.7、-1.2)mのポイントは、人検出装置3の設置位置に対してX方向に0.7m、Y方向に1.2mの位置を示す。以降では、位置判定部42により特定されたポイントを人物特定位置96と称する。人数検知部44は人物特定位置96を示すポイントの数をカウントし、各エリアに存在する人の数を検出する。
【0038】
トラッキング判定部45は、最新画像データ36における微動領域および静止領域の状態を旧画像データ35の状態と比較し、在/不在、移動、静止等、人の動きをトラッキング判定する。トラッキング判定においては、例えば、微動領域が移動した場合、静止領域が移動した場合、微動領域であった部分が静止領域となった場合、および静止領域であった部分が微動領域となった場合に、人の動きがあったと判定する。
【0039】
このように、画像処理部52では照度推定部38が照度を検出し、位置判定部42が人の位置を検出し、人数検知部44が人数を検出し、トラッキング判定部45が在/不在、移動を含めた人の動きを検出する。なお、以降では照度推定部38が検出した照度情報、位置判定部42が検出した人の位置情報、人数検知部44が検出した人数情報、トラッキング判定部45が検出した人の動きの情報をあわせて人検出装置検出情報と称する。
【0040】
人検出装置検出情報は、通信処理部47に通知される。また、人検出装置検出情報はビーコン処理部48にも通知される。
【0041】
ビーコン処理部48は、無線モジュール49を介して、人検出装置検出情報を含む後述のビーコン信号を送信する。ビーコン信号は、人検出装置3により検出された人の個人情報を携帯端末機10から収集するために用いられる。
【0042】
通信処理部47は画像処理部52から通知された人検出装置検出情報を通信回路/電源回路30に通知する。通信回路/電源回路30は、通信処理部47から人検出装置検出情報が入力された場合は、当該人検出装置検出情報を後述する照明コントローラ1等、他の装置に通知する。一方、他の装置から信号が入力された場合は、当該信号を通信処理部47へと送信する。
【0043】
また、通信回路/電源回路30は、回路の動作電源となる24V、5V、2.8V、1.8Vの電圧を生成する電源生成部でもある。ただし、電圧の値はこれに限らなくともよい。
【0044】
不揮発メモリ46は、画像処理部52で使用した情報を記憶するROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等の不揮発性のメモリである。不揮発性のメモリを使用することで、停電したとしてもデータが消える恐れがなく、停電復帰時には、画像処理部52における処理を再開することができる。
【0045】
発光/受光素子51は、後述する赤外線設定器9から赤外線信号を受信する受信機である。発光/受光素子51は、受信した赤外線信号を0V/5Vの電気信号に変換し、赤外線通信部50へと伝送する。赤外線通信部50は、電気信号に含まれるデータの解析を行う。
【0046】
例えば、赤外線信号に、人検出装置3のカメラ設置高さが3.0mに設定されたという設定情報が含まれていた場合、赤外線通信部50は、当該カメラ設置高さの情報を不揮発メモリ46に保存する。
【0047】
また、赤外線信号に、人数情報を要求する通知が含まれていた場合、赤外線通信部50は、人数検知部44でカウントされた人数情報を0V/5Vの電気信号として発光/受光素子51に出力する。発光/受光素子51は、当該電気信号を赤外線信号に変換し、赤外線設定器9に送信する。これにより、赤外線設定器9において、人検出装置3で検出された人数情報を確認することが可能となる。
【0048】
以上説明したように、本開示の人検出装置3はカメラ部31で撮像した画像データをもとに画像処理部52において照度、人の位置、人数、および人の動きを検出する。ここで、本開示の人検出装置3においては、位置判定部42が行う位置決定処理の結果、人物特定位置96として、座標平面上にピンポイントで人の位置が特定される。
【0049】
また、画像処理部52において検出された人検出装置検出情報は、通信回路/電源回路30から他の装置へと通知される。これにより、後述する照明制御システム100、空調制御システム200などにおいてピンポイントに示された人の位置情報を活用することができる。
【0050】
〈変形例〉
なお、発光/受光素子51は無くても良い。クラウドを活用し後述する携帯端末機10のアプリから設定、操作することで同じ効果が得られる。この点は、以下のすべての実施の形態においても同様である。
【0051】
なお、
図1では、画像処理部52が行う人検出において画像差分方法を用いた場合を説明したが、機械学習法を用いても同様の効果が得られる。
【0052】
なお、
図1においては、人検出装置検出情報が、携帯端末機10に通知されることを説明した。しかしながら、人検出装置検出情報に含まれる一部の情報のみを通知してもよい。この点は、以下の実施の形態においても同様である。
【0053】
同様に、
図1においては、人検出装置検出情報が、他の装置に通知されることを説明したが、人検出装置検出情報に含まれる一部の情報のみを通知してもよい。
【0054】
図2は、人検出装置3で撮像された画像に対して画像処理部52の位置判定部42が抽出した非活動領域91を示す図である。画像処理部52の位置判定部42は、撮像画像90に映された机および棚等の、直線的な特徴を備える構造物を非活動領域91として抽出する処理を行う。また撮像画像90の端部においては、壁、窓等の直線的な特徴を判断し、非活動領域91とする。このように直線的な特徴量に基づき非活動領域91を判断することで、広角レンズの使用により像がゆがむ画像データの端部においても、非活動領域91を正確に区別することができる。このことにより、従来技術で課題となっていた検出精度の低下を防ぐことができる。
【0055】
なお、非活動領域91の更新は少なくとも年に一回以上の自動更新、または部屋のレイアウト変更時に作業者が更新することが望ましい。
【0056】
図3は、人検出装置3で撮像された撮像画像90に対して画像処理部52の位置判定部42が人の位置を決定した結果の一例を示す図である。人物特定位置96は、人検出装置3の設置位置を原点とするXY座標(±X、±Y)で表される。なお、ここでの単位はcmとする。
【0057】
X軸において、符号が正の場合は、
図3中央の人検出装置3の設置位置に対して紙面右側の方向を示し、符号が負の場合は紙面左側の方向を示す。一方、Y軸において、符号が正の場合は人検出装置3の設置位置に対して紙面上側の方向を示し、符号が負の場合は紙面下側の方向を示す。
【0058】
例えば、A点は人検出装置3の設置位置より紙面右方向に100cm、紙面上方向に100cmの位置を示す。B点は人検出装置3の設置位置より紙面左方向に300cm、紙面上方向に200cmの位置を示す。C点は人検出装置3の設置位置より紙面左方向に200cm、紙面下方向に400cmの位置を示す。
【0059】
図4は、人検出装置3で撮像された撮像画像90に基づき画像処理部52の位置判定部42が人の位置の特定を行う様子を示す図である。
図4では、説明を簡単にするため、撮像画像90中央部の机については非活動領域91として符号を記しているが、周辺部の壁および窓については、非活動領域91の符号を省略している。
【0060】
ここで、位置判定部42が、撮像画像90に映された机または棚等の、直線的な特徴を備える構造物を非活動領域91として抽出する処理を行うことは
図2で説明した通りである。位置判定部42は、最新画像データ36に映された人を人物検知枠92として検出する処理をさらに行う。たとえば、
図4においては、位置判定部42は、人物98(1)を人と判定し、当該人の領域を人物検知枠92(1)として認識する。位置判定部42は、人物検知枠92(1)から、頭部93(1)と足元部94(1)の位置を特定する処理をさらに行う。
【0061】
ここで、人物検知枠92(1)は非活動領域91(1)と一部重複しており、このような状態で、人物検知枠92(1)から、頭部93(1)と足元部94(1)の位置を特定しても、これらの位置は誤差を含んだものとなる。例えば、人物検知枠92(1)と非活動領域91(1)等が一部重複している場合において、頭部93(1)の位置は(-20、350)、足元部94(1)の位置は(-20、110)と判定され、実際の人物より大きく判定されてしまう。
【0062】
そこで、位置判定部42は、人物検知枠92(1)から非活動領域91(1)の影響を除外する除外処理を行う。さらに、除外処理を施した人物検知枠92(1)から、規定の規則に従い人の位置を決定する位置決定処理を行う。既定の規則とは、例えば、人検出装置3の設置位置を示す撮像画像90の座標原点に最も近い点を人の位置とする、といった規則である。
図4においても、人物検知枠92(1)において人検出装置3の設置位置、すなわち上述のXY座標原点に一番近い点が人物特定位置96(1)に決定されている。結果として、人物特定位置96(1)は人物98(1)の足元部94(1)と同じ(-20、110)となっている。
【0063】
同様に、位置判定部42は、人物98(2)についても人と判定し、人物検知枠92(2)を抽出する。また、人物検知枠92(2)において、頭部93(2)の位置は(200、-170)、足元部94(2)の位置は(60、-80)と判定される。
【0064】
位置判定部42は、ここでも、重複する非活動領域91(2)の影響を除外した上で人検出装置3の設置位置に一番近い点を人物特定位置96(2)に決定する。結果として、人物特定位置96(2)は足元部94(2)と同じ(60、-80)となる。
【0065】
なお、人物98(3)についても同様である。すなわち、人物検知枠92(3)から重複する非活動領域91(3)の影響を除外し、位置決定処理を施した結果、人物特定位置96(3)は(0、20)となる。
【0066】
このように、本開示では、検出した人物検知枠92が机または壁などの非活動領域91に重なった場合でも、非活動領域91の影響を除外したうえで人の位置を特定する。非活動領域91の影響を除外したうえで、人の位置を決定することで位置検出精度を向上させることができる。
【0067】
以上説明したように、本実施の形態によれば、人の位置の検出精度を向上させることができる人検出装置3を提供可能である。
【0068】
図5は、本開示の実施の形態1に係る、人検出装置3が備えるカメラ情報43の一例である。
図5において、カメラ設置高さ(
図5のナンバーno1)は、カメラ部31が設置された高さを表したものである。カメラ設置高さを指定することで、カメラ部31で撮像された画像と位置判定範囲97(ナンバーno2)とを対応させることでき、規定の位置判定範囲97を確保することができる。
【0069】
設置位置補正値(ナンバーno3)は、人検出装置3の撮像範囲と、ユーザ所望の位置判定範囲97のずれを補正する補正値である。たとえば、ユーザにより、部屋の中央部を中心とする7.2m×7.2mの範囲が位置判定範囲97に設定されたとする。この場合、人検出装置3は部屋の中央部の天井に設置されることが望ましい。しかしながら、グリッド方式の天井の場合、中央部には、空調設備、スプリンクラー、防災センサ等が設置され、人検出装置3の設置部分が部屋の中央部とならない場合も多い。すると、人検出装置3は、中央部から近傍の場所に設置されることになる。
【0070】
人検出装置3は広角レンズにより広域16m×16mの範囲を撮像できるため、設置位置が中央部から近傍であれば、ユーザ所望の位置判定範囲97をカバーすることができる。しかしながら、上述したように、人検出装置3は、自身の設置位置を座標原点(0.0)とするXY座標を用いて人の位置を表示するため、ユーザ所望の位置判定範囲97の中心点に対してずれが生じることになる。設置位置補正値(ナンバーno3)は、このずれ量の補正値を表す。
【0071】
設置位置補正値により補正を加えることで、人検出装置3の撮像範囲と所望の位置判定範囲97が一致しないという問題を解決することができる。これにより、撮像範囲全てを画像処理の対象とすることができる。
【0072】
カメラ画像サイズ(ナンバーno4)は、カメラ部31で撮像した画像データの解像度の規格であり、例えば、SXGA(商標登録)、VGA(商標登録)などである。人検出装置3のカメラ設置高さは2.5mから5mと範囲が広く、人検出装置3が検知すべき人の頭に相当するφ30cmに相当するピクセル数は、2.5mの場所に設置した場合と5mの場所に設置した場合とで大きく変化する。カメラ情報43としてカメラ画像サイズを把握することで、最適な解像度に補正することができる。
【0073】
エリア分割数(ナンバーno5)は、人検出装置3において、64ブロックに分割した位置判定範囲97をまとめる際のエリア数である。エリア分割数は、赤外線設定器9にて任意に1から4の値に設定することができる。このエリア分割数に基づき、画像処理部52の照度推定部38において、エリア毎の照度が推定される。また、トラッキング判定部45においても、エリア毎に人の動きが検出される。
【0074】
人検知マスク(ナンバーno6)は、位置判定範囲97が備える8×8の64ブロックのうち、人検出を行わない範囲である。
【0075】
照度推定マスク(ナンバーno7)は、位置判定範囲97が備える8×8の64ブロックのうち、照度推定を行わない領域である。
【0076】
実施の形態2
図6は、本開示の実施の形態2に係る熱型人検出装置5の機能例を示すブロック図である。熱型人検出装置5のカメラ部61は、熱感素子であるサーモパイル素子を備える。サーモパイル素子は、人が発する、0.78μmから1mmの波長領域の電磁波を受信して、温度情報に変換する。
【0077】
カメラ部61で撮像された画像データは、画像処理部68の画像入力部62に一定周期で入力される。周期間隔は例えば200msである。これはフレームレート5fpsの場合に相当する。
【0078】
画像処理部68は、画像データから人検出および体温検出を行う部分である。画像入力部62は、カメラ部61から入力された画像データを受信する。画像入力部62は、受信した画像データを画像生成部63に伝送する。画像生成部63は、画像入力部62から伝送された画像データを、約0度から約100度の温度分布で示された熱画像に変換する。また、画像生成部63は、基準画像データ65と最新画像データ64を管理する。基準画像データ65は、熱型人検出装置5が設置された部屋のレイアウト変更等、環境が変更された場合に更新される。
【0079】
外乱判定部66は、画像生成部63から出力された画像データに基づき、外乱判定を行う。外乱判定部66は、画像データに映された物体の大きさ、および絶対温度を考慮し、当該物体が外乱であるか否かを判定する。さらに、外乱と判断した物体の位置、大きさ、絶対温度等の特徴の記録とともに、外乱判定が完了した画像データを不揮発メモリ76に保存する。このように外乱と判断した物体の特徴を記録することで、パソコン等、運転時に発熱する物体の情報を事前に把握することができる。これにより、画像処理部68が後に行う人検出において誤検出が発生することを防ぐことができる。
【0080】
温度推定部67は、基準画像データ65と絶対温度とを関係付けるデータ、および外乱判定部66による外乱判定が完了した画像データを不揮発メモリ76から読みだし、当該画像データの温度を補正する。
【0081】
人検知部69は、人検出および体温検出を行う部分である。人検知部69は、人判定部70、位置判定部71、および異常温度判定部72を備える。人判定部70は、画像データから人間の体温に近い30度から40度の温度分布を示す領域(以下、近体温領域と称する)を抜き出し、当該部分の大きさも考慮して、人であるか否かの判定を行う。人であると判定した場合、人判定部70は、近体温領域が示す最大の温度を、体温として検出する。位置判定部71は、近体温領域において、規定の規則に従い人の位置を決定する。既定の規則とは、例えば、熱型人検出装置5の設置位置を示す熱画像上の点に最も近い点を人の位置とする、といった規則である。
【0082】
異常温度判定部72は、火災等により100℃以上の温度分布を示す領域が確認された場合に、これを異常温度として検出する。
【0083】
人数検知部75は、位置判定部71により特定された人の位置を示すポイントをカウントし、各エリアにおける人数情報を演算する。トラッキング判定部74はサンプリング周期ごとに、位置判定部71で特定された人物の位置の変化をトラッキングし、各エリアにおける在/不在移動、静止等の、人の動きを判定する。
【0084】
このように、画像処理部68では人検知部69が人の位置と体温を検出し、異常温度判定部72が異常温度を検出し、人数検知部75が人数を検出し、トラッキング判定部74が在/不在、移動を含めた人の動きを検出する。なお、以降では人検知部69が検出した人の位置情報、体温情報、異常温度判定部72が検出した異常温度情報、人数検知部75が検出した人数情報、およびトラッキング判定部74が検出した人の動きの情報をあわせて熱型人検出装置検出情報と称する。
【0085】
なお、熱型人検出装置5の通信回路/電源回路60、不揮発メモリ76、通信処理部77、ビーコン処理部78、無線モジュール79、赤外線通信部81、発光/受光素子80は
図1の人検出装置3と同じ機能のため、説明を省略する。
【0086】
以上説明したように、本開示の熱型人検出装置5はカメラ部61で撮像した画像データをもとに画像処理部68において人の位置、体温、異常温度、人数、および人の動きの検出を行う。また、画像処理部68が検出した熱型人検出装置検出情報は他の装置へと通知される。れにより、後述する照明制御システム100、空調制御システム200などにおいてピンポイントに示された人の位置情報を活用することができる。
【0087】
以上説明したように、本実施の形態によれば、人の位置の検出精度を向上させることができる熱型人検出装置5を提供することができる。
【0088】
〈使用例〉
以下では、本開示の熱型人検出装置5の好適な使用例を説明する。第一の使用例として、本開示の熱型人検出装置5を病院のベッドの上に設置すれば、体温、寝返りの状態など、患者の健康情報をモニタすることができる。また、これらの健康情報を後述のクラウド24に通知することで、クラウド24は当該患者に好適な照明環境の選択を行い、これを反映させるための照明制御を実施することができる。なお、照明環境の選択においては、健康情報に加えて、時刻、気象情報等を加味してもよい。
【0089】
また、熱型人検出装置5に加えて、24GHz帯IQ復調ドップラーレーダ等のバイタルセンサを設置する事により、患者の呼吸、心拍などの生体情報もモニタできる。上述の健康情報に加えて、患者の生体情報もクラウド24で管理し、病院のカルテの情報などと対応させることで患者の治療に有益なサービスを提供することも可能である。
【0090】
なお、バイタルセンサは、非接触で人の呼吸、心拍といった生体情報と、人の位置を検出できるものが望ましい。さらには、センサから±45度の方位角、またセンサから、4から5m離れた範囲に存在する複数の人の生体情報、位置情報を同時に取得できるものが望ましい。
【0091】
第二の使用例として、本開示の熱型人検出装置5を給湯器室等の火気を扱う場所に設置することで、火災を検出できる。異常温度の情報をクラウド24に通知することで防災設備および誘導設備との連携も可能となり、火災場所の特定、避難状況の把握が可能となる。また、熱型人検出装置5に加えて人検出装置3からの人検出装置検出情報もクラウド24に通知することで、さらに効率的に火災時の状況把握を行うことができる。
【0092】
さらに、第三の使用例として、本開示の熱型人検出装置5を機械室に設置すれば作業員の健康状態と機器の異常発熱とを同時に管理することが可能である。
【0093】
図7は、本開示の実施の形態1および2に係る、人検出装置3、人感センサ4、および熱型人検出装置5で検出される情報をまとめた図である。まず、人検出装置3からは、上述の人検出装置検出情報が得られる。すなわち、人の位置、動き(
図7のナンバーno1)、設定されたエリアごとの人数(ナンバーno2)、およびエリアごとの照度(ナンバーno3)の情報が得られる。
【0094】
次に、熱型人検出装置5からは、上述の熱型人検出装置検出情報が得られる。すなわち、人の位置、動き(ナンバーno4)、設定されたエリアごとの人数(ナンバーno5)、体温(ナンバーno6)、および異常温度(ナンバーno7)の情報が得られる。
【0095】
なお、人感センサ4は一般的なセンサのため、人検知(ナンバーno8)情報の説明は省略する。
【0096】
実施の形態3
図8は、本開示の実施の形態3に係る照明制御システム100の構成例を示す図である。本開示の照明制御システム100は、ビルなどの各建物、各部屋等に配備されている。照明制御システム100は、人検出装置3を2個備える。さらに、焦電素子により人を検出する人感センサ4、熱型人検出装置5、および照明器具7に対して所望の光源状態を入力するための壁スイッチ8を備える。これら複数の機器からの情報は、通信線2を介して照明コントローラ1に出力される。
【0097】
人検出装置3、人感センサ4、熱型人検出装置5、および壁スイッチ8は、照明コントローラ1に情報を入力することから、以降ではこれらを総称して入力機器と呼ぶことにする。
【0098】
照明コントローラ1は、入力機器からの情報に基づき、照明器具7の光源状態を選択する処理(以下、光源状態選択処理と称する)を実行する。さらには、当該光源状態が実現するように、通信線2を介して、端末機6に対して制御指令を送信する。また、照明コントローラ1は、後述するシステム機器12の情報を照明監視システム11に伝送する処理をさらに行う。なお、制御指令は照明器具7のON/OFF、調光率、色温度などの光源状態を制御する指令である。
【0099】
端末機6は、制御指令に基づき照明器具7の光源状態を変更する。照明器具7は、LED、白色光源などの光源を備える。端末機6と照明器具7は調光信号線またはデジタル通信の何れかで接続されている。
【0100】
ここで、端末機6と照明器具7は、照明コントローラ1から出力された制御指令をもとに光源状態を変更することから、以降ではこれらを出力機器と呼ぶ。さらに、上述の入力機器と、出力機器をあわせた構成をシステム機器12と呼ぶことにする。
【0101】
システム機器12は、赤外線設定器9、および携帯端末機10をさらに備える。赤外線設定器9は例えばリモコンである。携帯端末機10は例えばスマートフォンである。赤外線設定器9および携帯端末機10は人検出装置3、人感センサ4、熱型人検出装置5、およびその他のシステム機器12の運転情報、エラー情報などに基づく状態の監視および操作を行う遠隔操作器である。
【0102】
また、赤外線設定器9および携帯端末機10は、壁スイッチ8を遠隔操作し、壁スイッチ8を介して照明器具7の光源状態を変更する。さらには、壁スイッチ8を遠隔操作することで、壁スイッチ8と通信線2で接続された照明コントローラ1に対しても操作を行ったり、運用情報をモニタしたりすることが可能である。運用情報とは、例えば照明コントローラ1のグループ情報、パターン情報、デマンド情報、連動情報等である。
【0103】
照明監視システム11は、照明コントローラ1からLANを介して入力されたシステム機器12の運用情報を集中管理する。
【0104】
以上説明したように、本開示の照明制御システム100では、人検出装置3を含む入力機器からの情報に基づき、照明コントローラ1が照明器具7の光源状態を選択する。そこでは、人検出装置検出情報に含まれるピンポイントな人の位置の情報を活用し、より好適な光源状態の選択が可能となる。
【0105】
例えば、人の位置情報に基づき、在の場合は当該位置の照明を調光率70%で点灯させ、不在の場合は消灯させ、移動の場合は5%で点灯させるといった、省エネ制御を実施することができる。
【0106】
以上説明したように、本実施の形態によれば、人の位置の検出精度を向上させ、検出した位置の情報に応じて好適な照明環境を実現することができる照明制御システム100を提供可能である。
【0107】
〈変形例〉
図8においては、照明制御システム100が2個の人検出装置3を備える場合を説明した。しかしながら、人検出装置3の個数は、照明制御システム100の使用環境に応じて決定すればよい。なお、他の入力機器についても同様である。
【0108】
実施の形態4
図9は、本開示の実施の形態4に係る統合管理システム300の構成図である。統合管理システム300は、クラウドコンピューティングシステム(以下クラウド)24、サーバ25および群管理システム26を備える。
【0109】
クラウド24は、複数の建物または部屋にそれぞれ配備された照明制御システム100(1)、100(2)、・・・から通知されたデータを記憶するインターネット環境のサーバであり、クラウドサーバとも称する。各々の照明制御システム100におけるデータは、各々の照明監視システム11から、VPN(Virtual Private Network)27を介してクラウド24に通知される。
【0110】
また、上述の照明制御システム100に加えて、空調制御システム200も配備されている場合、クラウド24は、空調制御システム200から通知されたデータも記憶する。例えば、
図9では、同じ建物において、照明制御システム100(1)および空調制御システム200が配備されている。空調制御システム200からのデータは、空調監視システム20から、VPN27を介してクラウド24に入力される。
【0111】
照明制御システム100および空調制御システム200からクラウド24に通知されるデータには、上述の人検出装置検出情報が含まれている。
【0112】
サーバ25は、クラウド24に通知された人検出装置検出情報に基づき、当該人検出装置検出情報の通知を行った照明制御システム100または空調制御システム200に対して、好適な照明条件、または空調条件を選択する。
【0113】
当該人検出装置検出情報の通知を行ったのが照明制御システム100であれば、サーバ25は、照明器具7の好適な光源状態を学習データから選択する処理(以下、学習済光源状態選択処理と称する)を実行する。
【0114】
一方、当該人検出装置検出情報の通知を行ったのが空調制御システム200であれば、サーバ25は、室内機22および室外機21の好適な運転状態を学習データから選択する処理(以下、学習済運転状態選択処理と称する)を実行する。
【0115】
ここで、学習データとは、サーバ25が、データ分析または機械学習を実行し、人検出装置検出情報に好適な照明条件、または空調条件を学習する学習処理により得られるデータである。
【0116】
群管理システム26は、クラウド24に記憶された複数の照明制御システム100の情報、および空調制御システム200の情報を集中管理するシステムである。
【0117】
ここで、空調制御システム200は、人検出装置3および熱型人検出装置5を備える。さらには空調監視システム20、室外機21、室内機22、および室内機22に対して所望の空調運転状態を入力するためのリモコン23を備える。
【0118】
空調監視システム20は、入力機器から通知された情報に基づき、室内機22および室外機21の運転状態を選択する処理(以下、空調状態選択処理と称する)を実行する。さらに、空調状態選択処理の結果に基づき、室内機22および室外機21を制御する。
【0119】
以上説明したように、本開示の統合管理システム300は、複数の照明制御システム100のデータ、および空調制御システム200のデータをクラウド24に記憶する。クラウド24に記憶されたデータは群管理システム26により集中管理され、省エネ、および環境の改善のために使用される。
【0120】
〈変形例〉
なお、
図9においては、各照明制御システム100におけるデータは照明監視システム11および照明コントローラ1を介してクラウド24に通知されることを説明した。しかしながら、照明監視システム11および照明コントローラ1を介さず、システム機器12が備える各機器とクラウド24を直接VPN27で接続しても良い。例えば、人検出装置3の情報をクラウド24へ直接通知してもよい。この点は、以下の実施の形態においても同様である。
【0121】
またVPN27によるクラウド24への接続は有線でも無線でもよい。この点は、以下の実施の形態においても同様である。
【0122】
また、クラウド24およびサーバ25は、上述の照明制御システム100、および空調制御システム200の他に、各建物におけるセキュリティシステム、防災システム、電力監視システムと接続していてもよい。様々なシステムと接続し情報共有する事で、群管理システム26において更なる省エネと環境の改善を図ることができる。
【0123】
また、
図9においては、サーバ25および群管理システム26をクラウド24の外に設置することを説明した。しかしながら、クラウド24内においてサーバ25および群管理システム26の機能を実行してもよい。これにより、さらなる安全性および利便性の向上が図れる。反対に、クラウド24を用いず、照明制御システム100、および空調制御システム200のデータをサーバ25が受け付け、記憶してもよい。
【0124】
なお、上述では、人検出装置3からの人検出装置検出情報に基づき、サーバ25が学習処理、学習済光源状態選択処理、および空調状態選択処理を行うことを説明した。しかしながら、熱型人検出装置5が検出した熱型人検出装置検出情報を用いても同様の効果が得られる。なお、この点は以下のすべての実施の形態においても同様である。
【0125】
図10は、本開示の統合管理システム300において、人検出装置3で検出した人検出装置検出情報をクラウドに連携する通信仕様を示すフローチャートである。ここでは、人検出装置3を複数備えるものとする。第一の人検出装置である人検出装置3(1)は、人を検出すると、人検出装置検出情報を含む人検知通知を照明コントローラ1に送信する(ステップS01)。なお、ステップS01において、人検知通知の信号には、人検出装置3(1)の識別情報としてMACアドレスが付加されている。また、ここでの人検出装置検出情報は、人が存在することを示す情報と、人の位置、人数、および照度の情報である。
【0126】
次に、照明コントローラ1が、受信した人検知通知を照明監視システム11に送信する(ステップS02)。次に、照明監視システム11が、受信した人検知通知をクラウド24に接続されたサーバ25に送信する(ステップS03)。サーバ25が受信した人物検知通知に含まれる人検出装置検出情報は、クラウド24が保有するデータベース95に保存される。
【0127】
一方、ステップS01で人検知通知を受信した照明コントローラ1は、人検出装置3(1)で検出された人の位置情報に基づき、該当エリアを受け持つ端末機6に対して制御指令を送信する(ステップS04)。ここでの制御指令は、照明器具7の光源状態をONにし、調光率と色温度を指定するものである。このように、照明コントローラ1は、人検知通知による人の位置情報に基づき、照明器具7をONの状態に変更する制御を実施することができる。
【0128】
さらに、照明コントローラ1は、照明監視システム11に対して変化通知を送信し、照明器具7の光源状態が変更されることを通知する(ステップS05)。次に、照明監視システム11が、受信した変化通知をサーバ25に送信する(ステップS06)。サーバ25が受信した変化通知に含まれる情報は、データベース95に保存される。
【0129】
人検出装置3(1)は、撮像範囲に人を検出したとして、自身のMACアドレスと初回通知であることを示す情報を付加した上述のビーコン信号(以下、第一無線信号と称する)を携帯端末機10および第二の人検出装置である人検出装置3(2)に送信する(ステップS07)。第一無線信号を受信した携帯端末機10は、人検出装置3(1)のMACアドレスと人検出装置検出情報、電波の強度を示す受信レベルを記憶する。
【0130】
一方、第一無線信号を受信した人検出装置3(2)は、自身のMACアドレスと、2回目通知であることを示す情報を付加したビーコン信号(以下、第二無線信号と称する)を携帯端末機10に送信する(ステップS08)。このように、本開示では、第一無線信号を送信した人検出装置3を除く装置が第二無線信号を送信する仕組みが取り入れられている。第二無線信号を受信した携帯端末機10は、人検出装置3(2)のMACアドレスと人検出装置検出情報、受信レベルを記憶する。
【0131】
携帯端末機10は、第一無線信号および第二無線信号の受信レベルから3点測位方式により、人検出装置3(1)および人検出装置3(2)が検出した人の位置を特定する処理(以下、特定処理と称する)を実行する。特定処理により特定された人の位置から、該人が携帯端末機10の所有者であると判断された場合、携帯端末機10は、該人に係る個人情報をサーバ25に通知する(ステップS09)。なお、ステップS09の個人情報の通知においては、人検出装置3(1)および人検出装置3(2)のMACアドレスの情報(以下、装置識別情報と称する)も同時に通知される。
【0132】
サーバ25は、携帯端末機10から通知された個人情報、および装置識別情報をクラウド24のデータベース95に保存する。これにより、サーバ25が行う上述の学習処理において、人検出装置検出情報に好適な照明条件を、個人情報と紐づけて学習データに学習させることができる。
【0133】
さらにサーバ25は、携帯端末機10から通知された個人情報、装置識別情報、およびステップS03で取得した人検出装置検出情報を照明監視システム11に通知する(ステップS10)。照明監視システム11は受信した情報を監視画面に表示する。
【0134】
なお、ステップS11からステップS20は、人検出装置3(2)が先に人を検出した場合のフローチャートである。これは上述の人検出装置3(1)が先に人を検出した場合と同様であるため説明は省略する。
【0135】
以上説明したように、本開示の統合管理システム300においては、人検出装置3から送信される第一無線信号および第二無線信号に基づき、携帯端末機10が検出された人の個人情報の送信を行う。個人情報を受信したサーバ25は、人検出装置検出情報とともに個人情報を記憶し、個人情報を活用した学習処理を実施する。
【0136】
〈変形例〉
なお、
図10においては第一無線信号および第二無線信号を用いて携帯端末機10から個人情報を取得する方法を説明した。しかしながら、クラウド24にて人検出装置3のMACアドレス情報と個別情報とをリンクすることで同じ効果が得られる。したがって、無線モジュール49は使用せずともよい。
【0137】
なお、
図10においては、サーバ25が、学習処理を実施することを説明した。学習処理の結果を利用して、ステップS10またはステップS20の後に、学習済光源状態選択処理を行い、照明監視システム11または照明コントローラ1に対して照明状態を変更するように指示を行ってもよい。
【0138】
図11は、本開示の統合管理システム300において、照明制御システム100および空調制御システム200をサーバ25に連携させる通信仕様を示す図である。まず、照明監視システム11に対してセキュリティ解錠通知が送信される(ステップS50)。ここで、セキュリティ解除通知は、例えば、人がセキュリティを解除して建物に入ったことを示す通知であり、セキュリティシステムにより送信されるものである。
【0139】
次に、照明監視システム11は、照明コントローラ1に対してシーン1を実現するための制御信号を送信する(ステップS51)。ここで、シーン1とは、たとえば、照明器具7の調光率が5%の状態である。
【0140】
照明コントローラ1は、シーン1の制御信号に従い、あらかじめ指定された端末機6に対して、調光率5%、色温度6000Kの制御指令を送信する(ステップS52)。さらに、照明監視システム11は、空調監視システム20に対して、あらかじめ設定された運転条件で運転を開始するように制御する(ステップS53)。なお、運転条件とは、たとえば、室温27℃、送風弱、換気弱といった条件である。
【0141】
空調監視システム20は照明監視システム11から通知された運転条件に基づき、室外機21と室内機22を運転制御する(ステップS54)。
【0142】
人検出装置3(1)は、
図10の説明と同様に、人を検出すると、人検出装置検出情報を含む人検知通知を照明コントローラ1に送信する(ステップS55)。なお、人検知通知の信号には、人検出装置3(1)のMACアドレスが付加されている。また、ここでの人検出装置検出情報は、人が存在することを示す情報と、その位置、および人数の情報である。
【0143】
次に、照明コントローラ1が、受信した人検知通知を照明監視システム11に送信する(ステップS56)。次に、照明監視システム11が、受信した人検知通知をクラウド24に接続されたサーバ25に送信する(ステップS57)。サーバ25が受信した人検知通知に含まれる人検出装置検出情報は、クラウド24が保有するデータベース95に保存される。
【0144】
一方、ステップS55で人検知通知を受信した照明コントローラ1は、人検出装置3で検出された人の位置情報に基づき、該当エリアを受け持つ端末機6に対して制御指令を送信する(ステップS58)。ここでの制御指令は、照明器具7の光源状態をON、調光率を100%、色温度を6000Kに指定するものである。このように、人検出装置3が設置された部屋において人が検出されるに伴い、当該部屋の照明器具7の調光率を5%から100%に上昇させるように制御することができる。
【0145】
さらに、照明コントローラ1は、照明監視システム11に対して変化通知を送信し、照明器具7の光源状態が変更されることを通知する(ステップS59)。次に、照明監視システム11が、受信した変化通知をサーバ25に送信する(ステップS60)。サーバ25が受信した変化通知に含まれる情報は、データベース95に保存される。
【0146】
次に、サーバ25は、ステップS57で取得した人検出装置検出情報、および気象情報に基づき室内機22および室外機21の好適な運転状態を学習データから選択する。すなわち、学習済運転状態選択処理を実行する。さらに、選択した運転状態を空調監視システム20に送信する(ステップS61)。なお、選択された運転状態とは、たとえば、室温28℃、送風強、換気強といった条件である。
【0147】
空調監視システム20はサーバ25から通知された運転状態に基づき、室外機21と室内機22を運転制御する(ステップS62)。
【0148】
以上説明したように、本開示の統合管理システム300においては、照明監視システム11と空調監視システム20とがサーバ25に接続されている。これにより、サーバ25において、人検出装置検出情報に好適な運転状態を選択し、空調制御を行うことができる。
【0149】
以上説明したように、本実施の形態によれば、人の位置の検出精度を向上させ、検出した位置の情報に応じて好適な空調環境を実現することができる空調制御システムを提供可能である。
【0150】
また、本実施の形態によれば、人の位置の検出精度を向上させ、検出した位置の情報に応じて好適な照明環境を実現することができる統合管理システムを提供可能である。
【0151】
実施の形態5
図12は、本開示の実施の形態5に係る照明制御システム400の構成例を示す図である。照明制御システム400は、照明制御システム100と同様であるが、人検出装置3と熱型人検出装置5が通信線2ではなく電源供給可能なPOE(Power Over Ethernet、登録商標)-HUB13を介して照明監視システム11に接続されている。これにより、人検出装置3と熱型人検出装置5は、照明監視システム11とLAN通信することが可能となる。
【0152】
人検出装置3と熱型人検出装置5が取得した画像データをLAN通信により照明監視システム11に送信することで、照明監視システム11において、画像データをモニタすることが可能となり、照明監視システム11にセキュリティ機能を付加することができる。
【0153】
なお、人検出装置3が照明監視システム11に通知する人検知通知の通信シーケンスは、
図11の場合と異なるが、機能は同じであるためここでは省略する。熱型人検出装置5についても同様である。
【0154】
図13は、本開示の実施の形態5に係る照明制御システム400において、照明監視システム11が人検出装置3の位置を特定する様子を示す図である。照明監視システム11の監視画面には、
図13のようにフロアのレイアウト図が表示される。そこでは、システム機器12に含まれる各種機器のアイコンなども配置され、それらの運転状態を監視、操作することが可能である。
【0155】
以下では、照明監視システム11が複数の人検出装置3の設置位置を特定し、上述のレイアウト図に人検出装置3のアイコンを配置する方法を説明する。ただしここでは、8個の人検出装置3(1)、人検出装置3(2)、・・・人検出装置3(8)がそれぞれ7.2m×7.2mの位置判定範囲97を撮像するために部屋の天井に設置されているとする。これら8個の人検出装置3は、各々の位置判定範囲97が重複しない様に設置されていることが好ましい。また、各々の人検出装置3の撮像画像90は16m×16mであり、位置判定範囲97は撮像画像90内の7.2m×7.2mの範囲であるとする。
【0156】
まず、照明監視システム11が全ての人検出装置3を配置モードに切り替える。次に、設置位置の絶対座標が既知である人検出装置3(1)(以下、特定済人検出装置と称する)から、設置位置の絶対座標の情報を受け付ける。設置位置の絶対座標は、所定の開始ポイントを原点とする二次元座標で表示される。例えば、部屋の入口の開始ポイントに対して、人検出装置3(1)の絶対座標が(0,380)である場合、人検出装置3(1)は入口の真下380cmの位置に設置されていることを意味する。
【0157】
さらに、入室した人物98が入口から移動し、特定済人検出装置3(1)で検出される。照明監視システム11は、特定済人検出装置3(1)により検出された人の人物特定位置96(1)を収集する。このとき、人物特定位置96(1)が(-680,-80)であったとする。なお、以降では特定済人検出装置3(1)により検出された人の人物特定位置96(1)を第一位置情報と称する。
【0158】
さらに、照明監視システム11は、第一位置情報が示す位置に該人が存在した際に、該人を検出した人検出装置3を、設置位置の絶対座標が未知である人検出装置3(2)、…人検出装置3(8)の中から捜索し、未特定人検出装置として特定する。
図13においては、人物98は、特定済人検出装置3(1)と人検出装置3(3)の間を通っている。したがって、捜索の結果、未特定人検出装置3(3)が特定される。
【0159】
次に、第一位置情報が示す位置に該人が存在した際に、未特定人検出装置3(3)が検出した該人の人物特定位置96(3)を受け付ける。ここでは、人検出装置3(3)における人物特定位置96(3)が(740,-80)であったとする。なお、以降では未特定人検出装置3(3)が検出した該人の人物特定位置96(3)を第二位置情報と称する。
【0160】
さらに、照明監視システム11は、第一位置情報と第二位置情報から、未特定人検出装置3(3)の設置位置の絶対座標を特定する。この結果、未特定人検出装置3(3)の位置は特定済人検出装置3(1)の左横420cmの位置に設置されていると特定される。これに伴い、照明監視システム11は、未特定人検出装置3(3)を特定済人検出装置3(1)へと変更する。
【0161】
他の人検出装置3についても、人物98が移動ルート99を移動した際の人物特定位置96の情報に基づき、設置位置の絶対座標が順に特定される。
【0162】
照明監視システム11は、特定された人検出装置3の設置位置の絶対座標の情報に基づき、レイアウト図に人検出装置3のアイコンを自動配置し、配置モードを終了する。
【0163】
このように本開示の照明監視システム11は、各々の人検出装置3の配置を自動的に特定する機能を備える。これにより、複数の人検出装置3の情報を一括して照明監視システム11で管理し、撮像画像90を確認する事ができる。また、ユーザによる位置判定範囲97の設定時もレイアウト図を確認しながら隙間、重複が無いように設定することが可能となる。
【0164】
〈変形例〉
なお、
図13の説明では、照明監視システム11が各々の人検出装置3の配置を自動的に特定し、監視画面上に人検出装置3のアイコンを配置することを説明した。しかしながら、照明監視システム11に限らず、任意の監視システムにおいて実行してもよい。これにより、任意の監視システムに対してセキュリティ機能を具備させることができる。
【0165】
上述の説明では、位置判定範囲97を7.2m×7.2mとしたが6.4m×6.4mまたは9m×9mなど、照明監視システム11が任意に範囲を切替えられるように運用してもよい。
【0166】
以上説明したように、本実施の形態によれば、人の位置の検出精度を向上させることができる人検出装置を備えた監視システムを提供可能である。
【符号の説明】
【0167】
1 照明コントローラ、2 通信線、3 人検出装置、4 人感センサ、5 熱型人検出装置、6 端末機、7 照明器具、8 壁スイッチ、9 赤外線設定器、10 携帯端末機、11 照明監視システム、12 システム機器、13 POE-HUB、20 空調監視システム、21 室外機、22 室内機、23 リモコン、24 クラウド、25 サーバ、26 群管理システム、27 VPN、30 通信回路/電源回路、31 カメラ部、32 画像入力部、33 画像生成部、34 外乱判定部、35 旧画像データ、36 最新画像データ、37 同一画像判定部、38 照度推定部、39 微動検出部、40 静止領域判定部、41 動き検知部、42 位置判定部、43 カメラ情報、44 人数検知部、45 トラッキング判定部、46 不揮発メモリ、47 通信処理部、48 ビーコン処理部、49 無線モジュール、50 赤外線通信部、51 発光/受光素子、52 画像処理部、60 通信回路/電源回路、61 カメラ部、62 画像入力部、63 画像生成部、64 最新画像データ、65 基準画像データ、66 外乱判定部、67 温度推定部、68 画像処理部、69 人検知部、70 人判定部、71 位置判定部、72 異常温度判定部、73 カメラ情報、74 トラッキング判定部、75 人数検知部、76 不揮発メモリ、77 通信処理部、78 ビーコン処理部、79 無線モジュール、80 発光/受光素子、81 赤外線通信部、90 撮像画像、91 非活動領域、92 人物検知枠、93 頭部、94 足元部、95 データベース、96 人物特定位置、97 位置判定範囲、98 人物、99 移動ルート、100 照明制御システム、200 空調制御システム、300 統合管理システム、400 照明制御システム