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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087445
(43)【公開日】2024-07-01
(54)【発明の名称】建物及び空調システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 3/044 20060101AFI20240624BHJP
   F24F 7/08 20060101ALI20240624BHJP
   E04B 1/70 20060101ALI20240624BHJP
   E04B 1/76 20060101ALI20240624BHJP
【FI】
F24F3/044
F24F7/08 A
E04B1/70 B
E04B1/76 200A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022202270
(22)【出願日】2022-12-19
(71)【出願人】
【識別番号】000004673
【氏名又は名称】パナソニックホームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104134
【弁理士】
【氏名又は名称】住友 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100156225
【弁理士】
【氏名又は名称】浦 重剛
(74)【代理人】
【識別番号】100168549
【弁理士】
【氏名又は名称】苗村 潤
(74)【代理人】
【識別番号】100200403
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 幸信
(72)【発明者】
【氏名】梅本 大輔
(72)【発明者】
【氏名】高田 雅紀
【テーマコード(参考)】
2E001
3L053
【Fターム(参考)】
2E001DB01
2E001DB02
2E001FA15
2E001FA17
2E001FA24
2E001NA03
2E001NA04
2E001ND01
2E001ND05
2E001ND11
3L053BA10
3L053BB02
3L053BB04
(57)【要約】
【課題】 階間での結露の発生を防ぐことが可能な建物を提供する。
【解決手段】 上階2の床部分6と下階3の天井部分13との間に区画された空間である階間4を有する建物1である。この建物1は、上階2及び下階3の少なくとも一方の空間に、除湿された空調空気A3を供給するための空気調和機21と、空調空気A3の一部を、直接的又は間接的に、階間に供給するための第1ファンF1とを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上階の床部分と下階の天井部分との間に区画された空間である階間を有する建物であって、
前記上階及び前記下階の少なくとも一方の空間に、除湿された空調空気を供給するための空気調和機と、
前記空調空気の一部を、直接的又は間接的に、前記階間に供給するための第1ファンとを含む、
建物。
【請求項2】
前記空調空気を、前記上階及び前記下階の双方の空間に供給するための第2ファン及び空気流路を含む、請求項1に記載の建物。
【請求項3】
前記第1ファンは、前記空調空気が、前記上階及び前記下階の少なくとも一方の前記空間を経由した後の空気であるリターン空気を、前記階間に供給するように構成されている、請求項2に記載の建物。
【請求項4】
前記上階及び前記下階の少なくとも一方の空間は、複数の居室、及び、前記複数の居室と隣接しかつ前記複数の居室との空気の行き来が可能とされたホールを含み、
前記空気流路は、前記空気調和機と前記複数の居室との間を延びており、
前記リターン空気は、前記複数の居室を経由して前記ホールに供給されたものである、請求項3に記載の建物。
【請求項5】
前記空気調和機は、前記上階の空間に、前記空調空気を供給するように構成されており、
前記上階の前記床部分には、前記階間に連通する開口が形成されており、
前記第1ファンは、前記上階の前記リターン空気を、前記開口を介して、前記階間に供給する、請求項3又は4に記載の建物。
【請求項6】
前記階間は、前記階間の空気を建物外部に排気するための排気手段を備えない、請求項1又は2に記載の建物。
【請求項7】
建物内部に外気を供給するための第3ファンと、
前記建物内部の空気を屋外に排気するための第4ファンとを含み、
前記第3ファンの風量は、前記第1ファン及び前記第4ファンの合計風量よりも大きい、請求項1又は2に記載の建物。
【請求項8】
上階の床部分と下階の天井部分との間に区画された空間である階間を有する建物の空調システムであって、
前記上階及び前記下階の少なくとも一方の空間に、除湿された空調空気を供給するための空気調和機と、
前記空調空気の一部を、直接的又は間接的に、前記階間に供給するための第1ファンとを含む、
空調システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物及び空調システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、住宅などの建物には、1階の天井と2階の床との間に区画された階間が設けられている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-004682号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、1階又は2階の少なくとも一方に、例えば、空気調和機で空調された冷たい空気が供給されると、これらに隣接する階間の温度も低下する。このような階間に湿度の高い空気が進入すると、階間で結露が発生するという問題があった。
【0005】
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、階間での結露の発生を防ぐことが可能な建物を提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上階の床部分と下階の天井部分との間に区画された空間である階間を有する建物であって、前記上階及び前記下階の少なくとも一方の空間に、除湿された空調空気を供給するための空気調和機と、前記空調空気の一部を、直接的又は間接的に、前記階間に供給するための第1ファンとを含む、建物である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の建物は、上記の構成を採用することにより、階間での結露の発生を防ぐことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態の建物を示す概念図である。
図2】上階の部分拡大図である。
図3】本実施形態の制御装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態が図面に基づき説明される。図面は、発明の内容の理解を助けるために、誇張表現や、実際の構造の寸法比とは異なる表現が含まれることが理解されなければならない。また、各実施形態を通して、同一又は共通する要素については同一の符号が付されており、重複する説明が省略される。さらに、実施形態及び図面に表された具体的な構成は、本発明の内容理解のためのものであって、本発明は、図示されている具体的な構成に限定されるものではない。
【0010】
[建物]
図1は、本実施形態の建物1を示す概念図である。図2は、上階2の部分拡大図である。図1に示されるように、建物1は、住宅1Aである場合が例示されるが、ビル等であってもよい。本実施形態では、二階建ての建物1が例示されるが、三階建て以上の建物1であってもよい。本実施形態の建物1は、上階2と下階3との間に区画された空間である階間4を有している。
【0011】
[上階及び下階]
上階2及び下階3は、建物1の床上空間5に設けられている。本実施形態のように、建物1が二階建ての場合には、上階2が二階であり、かつ、下階3が一階である。なお、建物1が三階建て以上の場合には、例えば、上階2が三階であり、かつ、下階3が二階であってもよいし、上階2が四階であり、かつ、下階3が三階であってもよい。
【0012】
本実施形態の上階2は、床部分6、天井部分7及び外壁部分8で区画されている。上階2には、複数の居室2aと、ホール2bとが設けられている。本実施形態のホール2bは、複数の居室2aと隣接しており、複数の居室2aとの空気の行き来が可能とされている。空気の行き来は、例えば、例えば、居室2aとホール2bとを区画する建具9に形成されたアンダーカット10等を介して行われる。
【0013】
図2に示されるように、上階2の床部分6には、階間4に連通する開口11が形成されている。本実施形態の開口11には、第1開口11a及び第2開口11bが含まれているが、特に限定されない。第1開口11a及び第2開口11bは、後述のチャンバー22の下方に設けられている。
【0014】
図1に示されるように、本実施形態の下階3は、床部分12、天井部分13及び外壁部分8で区画されている。下階3には、複数の居室3aと、ホール(図示省略)とが設けられている。本実施形態のホールは、複数の居室3aと隣接しており、複数の居室3aとの空気の行き来が可能とされている。空気の行き来は、例えば、居室3aとホールとを区画する建具(図示省略)に形成されたアンダーカット(図示省略)等を介して行われる。下階3(一階)の床部分12の下方には、床下空間15が設けられている。
【0015】
[階間]
階間4は、上階2の床部分6と、下階3の天井部分13との間に区画された空間として構成される。このような階間4には、例えば、後述の空気流路27(第2空気流路27B)や、ケーブル等が配置されうる。
【0016】
[床下空間]
本実施形態の床下空間15は、基礎16と土間17と下階3の床部分12とで囲まれた空間として構成される。基礎16には、開口部18が設けられている。この開口部18は、例えば、外気A1の取り入れや、床下空間15の換気等に用いられる。開口部18から取り入れられた外気A1は、1年を通じて温度変化の少ない地熱と、土間17を介して熱交換される。これにより、床下空間15には、外気A1に比べて、夏季は涼しく、冬季は暖かい空気(以下、単に「床下空気」ということがある。)A2が蓄えられる。
【0017】
[空調システム]
本実施形態の建物1には、空調システム20が設けられている。本実施形態の空調システム20は、空気調和機21を含んで構成されている。
【0018】
[空気調和機]
空気調和機21は、上階2及び下階3の少なくとも一方の空間に、除湿された空調空気A3を供給するためのものである。本実施形態において、除湿された空調空気A3は、空気調和機21の冷房運転時、及び、除湿運転時に生成されうる。本実施形態の空気調和機21では、除湿運転及び冷房運転に加えて、暖房運転等が可能とされているが、除湿された空調空気A3を供給可能であれば、特に限定されない。
【0019】
本実施形態の空気調和機21は、例えば、一般的な家庭用のセパレート型エアコンで構成されている。このため、空気調和機21は、室内機21a(図2に示す)と、建物1の外部に配置された室外機(図示省略)とをセットとして含んでいる。
【0020】
本実施形態の室内機21a(図2に示す)は、上階2に配置されている。これにより、室内機21aは、上階2の空間(本例では、後述のチャンバー22の内部)に、空調空気A3を供給するように構成される。
【0021】
図2に示されるように、本実施形態の室内機21aは、上階2に配置されたチャンバー22内に配置されている。チャンバー22は、その内部に空間(スペース)を有する箱状に形成されている。このようなチャンバー22の内部には、室内機21aから空調空気A3が供給される。
【0022】
本実施形態のチャンバー22は、上階2のホール2bに隣接して設けられた収納空間23内に配置されている。収納空間23とホール2bとは、間仕切り壁24で区画されている。この間仕切り壁24には、ホール2bと収納空間23との間で空気の行き来が可能とされた隙間25が設けられている。さらに、チャンバー22には、収納空間23とチャンバー22との間で空気の行き来が可能とされた隙間26が設けられている。これらの隙間25、26は、例えば、ルーバーとして構成されてもよいし、アンダーカット等で構成されてもよい。
【0023】
図1に示されるように、空調空気A3は、第2ファンF2及び空気流路27によって、上階2及び下階3の双方の空間に供給されるのが好ましい。これにより、空調システム20は、1台の空気調和機21で、建物1の全体を空調可能な全館空調システムとして構成されうる。本明細書において、「ファン」は、空気を圧送するための機械である。したがって、ファンは、空気を圧送可能なものであれば、特に限定されるものではない。
【0024】
[第2ファン]
第2ファンF2は、空気調和機21で生成された空調空気A3を、上階2及び下階3の双方の空間に供給(圧送)するためのものである。本実施形態の第2ファンF2は、チャンバー22内に配置されている。
【0025】
本実施形態の第2ファンF2は、一方の第2ファンF2aと、他方の第2ファンF2bとが含まれている。一方の第2ファンF2aは、空調空気A3を、上階2に送る(供給する)ためのものである。他方の第2ファンF2bは、空調空気A3を、下階3に送る(供給する)ためのものである。なお、第2ファンF2は、1台のみで構成されてもよいし、3台以上で構成されてもよい。
【0026】
[空気流路]
空気流路27は、空気調和機21で生成された空調空気A3を、上階2及び下階3の双方の空間に供給するためのものである。この空気流路27は、空気調和機21と複数の居室2a、3aとの間を延びている。
【0027】
本実施形態の空気流路27は、第1空気流路27Aと、第2空気流路27Bとを含んで構成される。これらの第1空気流路27A及び第2空気流路27Bは、ダクトによって構成されているが、特に限定されるわけではなく、例えば、間仕切り壁等で囲まれた空間(図示省略)によって構成されてもよい。
【0028】
本実施形態の第1空気流路27Aは、空気調和機21と、上階2の居室2aとの間を延びている。第1空気流路27Aの一端は、空気調和機21が配置されたチャンバー22内に設けられている。この一端には、一方の第2ファンF2aが接続されている。また、第1空気流路27Aの他端は、上階2の複数の居室2a、2aにそれぞれ接続されている。第1空気流路27Aの一端と他端との間には、分岐部28が設けられている。このような第1空気流路27Aにより、一方の第2ファンF2aによって圧送された空調空気A3が、分岐部28を介して、上階2の各居室2a、2aに供給されうる。
【0029】
本実施形態の第1空気流路27Aの一部は、小屋裏29の内部に配されている。これにより、上階2において、第1空気流路27Aの露出が抑制される。
【0030】
本実施形態の第2空気流路27Bは、空気調和機21と、下階3の居室3aとの間を延びている。第2空気流路27Bの一端は、空気調和機21が配置されたチャンバー22内に設けられている。この一端には、他方の第2ファンF2bが接続されている。また、第2空気流路27Bの他端は、下階3の複数の居室3a、3aに接続されている。第2空気流路27Bの一端と他端との間には、分岐部30が設けられている。このような第2空気流路27Bにより、他方の第2ファンF2bによって圧送された空調空気A3が、分岐部30を介して、下階3の各居室3a、3aに供給されうる。
【0031】
本実施形態の第2空気流路27Bは、チャンバー22の内部、及び、階間4の内部に配されている。これにより、上階2及び下階3の双方において、第2空気流路27Bの露出が抑制されうる。図2に示されるように、本実施形態の第2空気流路27Bは、チャンバー22の下方に設けられた第1開口11a及び第2開口11bのうち、第1開口11aを介して、階間4の内部に配されている。これにより、第2空気流路27Bの露出を抑制しつつ、施工性を高めることが可能となる。
【0032】
[第3ファン]
図1に示されるように、本実施形態の空調システム20には、建物内部に外気A1を供給(圧送)するための第3ファンF3が含まれる。本実施形態の第3ファンF3は、外気供給ダクト31に接続されている。外気供給ダクト31の一端は、床下空間15に接続されている。外気供給ダクト31の他端は、チャンバー22に接続されている。このような外気供給ダクト31により、床下空間15とチャンバー22とを連通させることが可能となる。
【0033】
本実施形態では、第3ファンF3の運転により、床下空間15が負圧となり、開口部18から床下空間15に外気A1が供給される。さらに、床下空間15内の外気A1(床下空気A2)が、第3ファンF3及び外気供給ダクト31を介して、チャンバー22に圧送されうる。このように、第3ファンF3は、建物内部に、外気A1を供給することができる。第3ファンF3の風量は、例えば、建物1に必要な換気回数に基づいて適宜設定されるのが好ましい。
【0034】
本実施形態では、外気供給ダクト31の一端が床下空間15に接続されているが、このような態様に限定されるわけではない。外気供給ダクト31の一端は、例えば、屋外に接続されていてもよい。
【0035】
[第4ファン]
本実施形態の空調システム20には、建物内部の空気A4を屋外に排気するための第4ファンF4が含まれる。本実施形態の第4ファンF4は、建物1の外壁部分8に設けられており、建物内部の空気A4が屋外に排気(圧送)される。
【0036】
[制御装置]
本実施形態の空調システム20には、制御装置32が含まれる。本実施形態の制御装置32は、コンピュータによって構成され、例えば、間仕切り壁等に配置されている。図3は、本実施形態の制御装置32のブロック図である。
【0037】
本実施形態の制御装置32は、CPU(中央演算装置)からなる演算部33と、制御手順が記憶されている記憶部34と、記憶部34から制御手順を読み込む作業用メモリ35とを含んでいる。
【0038】
本実施形態の演算部33には、空気調和機21が接続されている。これにより、空気調和機21の運転(例えば、設定温度や風量等)が制御されうる。さらに、演算部33には、第2ファンF2(本例では、一方の第2ファンF2a及び他方の第2ファンF2b)、第3ファンF3及び第4ファンF4が接続されている。これにより、第2ファンF2、第3ファンF3及び第4ファンF4の運転(例えば、風量等)が制御されうる。
【0039】
記憶部34には、例えば、空気調和機21、第2ファンF2、第3ファンF3及び第4ファンF4等の運転を制御するための手順(プログラム)が記憶されている。この手順は、作業用メモリ35に読み込まれ、演算部33によって実行される。
【0040】
[全館空調システムとしての作用]
次に、全館空調システムとして構成された空調システム20の作用が説明される。図1に示されるように、本実施形態の空調システム20では、第3ファンF3の運転により、開口部18から床下空間15に外気A1が供給される。さらに、床下空間15内の外気A1(床下空気A2)が、第3ファンF3及び外気供給ダクト31を介して、チャンバー22に圧送されうる。
【0041】
チャンバー22には、上階2及び下階3の少なくとも一方の空間(本例では、上階2の空間)を経由した後の空気であるリターン空気A5が、図2に示した間仕切り壁24の隙間25及びチャンバー22の隙間26を介して供給される。
【0042】
床下空気A2(外気A1)とリターン空気A5との混合気は、空気調和機21(室内機21a)の吸込口に供給されて、熱交換される。これにより、混合気が熱交換された空調空気A3が、空気調和機21の吐出口からチャンバー22内に吐出される。本実施形態の空調空気A3は、フィルター37によって濾過される。
【0043】
図1に示されるように、第2ファンF2(一方の第2ファンF2a及び他方の第2ファンF2b)の運転により、空調空気A3は、空気流路27(第1空気流路27A及び第2空気流路27B)を介して、上階2及び下階3の空間(居室2a、3a)に供給される。空調空気A3の一部には、外気A1を空調した空気が含まれている。このため、上階2及び下階3の双方の空間(居室2a、3a)が換気及び空調されうる。
【0044】
上階2及び下階3の空間に供給された空調空気A3の一部は、リターン空気A5として、複数の居室2aを経由してホール2bに供給される。そして、そのリターン空気A5は、図2に示した間仕切り壁24の隙間25を介して、収納空間23内に供給される。さらに、収納空間23内に供給されたリターン空気A5の一部は、図2に示したチャンバー22の隙間26を介して、チャンバー22内に供給され、さらに、空気調和機21(室内機21a)の吸込口に供給される。
【0045】
リターン空気A5は、例えば、空調される前の床下空気A2(外気A1)に比べると、空気調和機21の設定温度に近づいている。このようなリターン空気A5が空気調和機21で熱交換されることで、熱負荷(処理潜熱量)が大きくなるのが抑制されうる。
【0046】
図1に示されるように、上階2及び下階3の空間に供給された空調空気A3の残部は、第4ファンF4を介して、屋外に排気される。これにより、空調システム(建物1)は、空調空気A3を上階2及び下階3に循環させながら、換気及び空調することが可能となる。
【0047】
ところで、空気調和機21による冷房運転時や除湿運転時において、冷たい空調空気A3が上階2又は下階3に供給されると、上階2の床部分6や下階3の天井部分13を介して、階間4の温度も低下する。このような階間4に、湿度の高い空気(例えば、外気)等が進入すると、階間4で結露が発生するという問題がある。
【0048】
[第1ファン]
図1及び図2に示されるように、本実施形態の空調システム20には、第1ファンF1がさらに含まれる。第1ファンF1は、除湿された空調空気A3の一部を、直接的又は間接的に、階間4に供給(圧送)するためのものである。図3に示されるように、本実施形態の第1ファンF1は、演算部33に接続されている。これにより、第1ファンF1の運転(例えば、風量等)が制御されうる。
【0049】
図2に示されるように、本実施形態の第1ファンF1は、ダクト38に接続されている。本実施形態のダクト38の一端は、収納空間23とチャンバー22とを貫通する孔部(図示省略)に接続されている。この一端には、第1ファンF1が接続されている。また、ダクト38の他端は、第1開口11a及び第2開口11bのうち、第2開口11bに接続されている。これにより、ダクト38は、収納空間23と階間4とを連通させることができる。
【0050】
本実施形態では、第1ファンF1の運転により、収納空間23に供給されたリターン空気A5が、ダクト38を介して階間4に供給される。このリターン空気A5は、図1に示した上階2及び下階3の少なくとも一方の空間を経由した後の空調空気A3である。これにより、階間4には、除湿された空調空気A3の一部が、間接的に(本例では、上階2及び下階3の少なくとも一方の空間を経由して)供給されうる。
【0051】
また、ダクト38の一端及び第1ファンF1は、例えば、チャンバー22内において、空調空気A3の下流側に接続されてもよい。この場合、除湿された空調空気A3の一部が、上階2及び下階3を経由することなく、直接的に階間4に供給される。なお、ダクト38を省略して、第1ファンF1が第2開口11bに接続された場合にも、空調空気A3の一部が直接的に(本例では、上階2及び下階3の空間を経由せずに)階間4に供給されうる。
【0052】
このように、本実施形態の空調システム20(建物1)では、第1ファンF1の運転により、空気調和機21で除湿された空調空気A3の一部が、直接的又は間接的に、階間4に供給されうる。これにより、温度低下した階間4に、例えば、湿度の高い空気等が進入したとしても、除湿された空調空気A3の供給により、階間4の湿度を低下しうる。したがって、階間4での結露が抑制されうる。
【0053】
本実施形態の階間4には、除湿された空調空気A3の一部が間接的に供給(すなわち、リターン空気A5が供給)されるため、例えば、空調空気A3の一部が直接的に供給される場合に比べて、階間4の温度が必要以上に低下するのが抑制される。これにより、階間4での結露が、より確実に抑制されうる。
【0054】
本実施形態では、空調システム20が、建物1の全体を継続して空調可能な全館空調システムとして構成されるため、例えば、各居室2a、3aに空気調和機(図示省略)をそれぞれ設けて個別空調する場合に比べて、除湿された空調空気A3が安定供給されうる。これにより、階間4には、除湿された空調空気A3(本例では、リターン空気A5)が連続供給されるため、階間4での結露が、より確実に抑制されうる。
【0055】
階間4には、階間4の空気を建物外部に排気するための排気手段を備えないのが好ましい。これにより、階間4は、除湿された空調空気A3(本例では、リターン空気A5)で正圧に維持されるため、湿度の高い空気(図示省略)の進入が防止される。これにより、階間4での結露が、より確実に抑制されうる。なお、階間4に供給された空調空気A3は、例えば、階間4を区画している上階2の床部分6や、下階3の天井部分13等に形成された隙間(図示省略)等を介して、階間4の外部に排出されうる。
【0056】
図1に示した第3ファンF3の風量は、第1ファンF1及び第4ファンF4の合計風量よりも大きいのが好ましい。これにより、建物内部からの排気の量に比べて、建物内部への給気の量が大きくなり、建物内部が正圧に維持される。したがって、建物1の隙間(図示省略)等から湿度の高い外気が進入するのを防ぐことができ、階間4での結露が、より確実に抑制されうる。
【0057】
また、第1ファンF1の風量は、第3ファンF3の風量と第4ファンF4の風量との差分よりも小さく設定されることで、空調対象ではない階間4への空調空気A3(本例では、リターン空気A5)の供給量が大きくなるのが抑制される。これにより、空調エネルギーの増大が抑制されうる。本実施形態では、第1ファンF1、第3ファンF3及び第4ファンF4の風量は、制御装置32による制御によって、上記の関係が維持されているが、居住者等によって制御されてもよい。
【0058】
空気調和機21の冷房運転時や除湿運転時において、除湿された冷たい空調空気A3(リターン空気A5)には、内外圧力差によって、上階2の床部分6に向かう下降気流が生じる傾向がある。本実施形態の開口11(第2開口11b)は、上階2の床部分6に形成されるため、上階2の床部分6に向かう除湿された空調空気A3(リターン空気A5)を、階間4へと円滑に案内することができる。これにより、階間4での結露がより確実に抑制されうる。
【0059】
除湿された空調空気A3が供給されない暖房運転時や、空気調和機21の運転停止時において、第1ファンF1の運転が停止されてもよい。これにより、除湿されていない空気が階間4に供給されるのを防ぐことができ、階間4での結露(冬型結露)が抑制されうる。第1ファンF1の停止は、例えば、制御装置32のカレンダー機能や、温度センサーからのデータ等に基づいて、制御装置32が行ってもよいし、居住者等が行ってもよい。
【0060】
空気調和機21の暖房運転時において、除湿されていない暖かい空調空気A3(リターン空気A5)には、内外圧力差によって、上階2の天井部分7へと向かう上昇気流が生じる傾向がある。本実施形態の開口11(第2開口11b)は、上階2の床部分6に形成されるため、除湿されていない空調空気A3(リターン空気A5)が、階間4に案内されるのを防ぐことができる。これにより、階間4での結露(冬型結露)がより確実に抑制されうる。
【0061】
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
【0062】
[付記]
本発明は以下の態様を含む。
【0063】
[本発明1]
上階の床部分と下階の天井部分との間に区画された空間である階間を有する建物であって、
前記上階及び前記下階の少なくとも一方の空間に、除湿された空調空気を供給するための空気調和機と、
前記空調空気の一部を、直接的又は間接的に、前記階間に供給するための第1ファンとを含む、
建物。
[本発明2]
前記空調空気を、前記上階及び前記下階の双方の空間に供給するための第2ファン及び空気流路を含む、本発明1に記載の建物。
[本発明3]
前記第1ファンは、前記空調空気が、前記上階及び前記下階の少なくとも一方の前記空間を経由した後の空気であるリターン空気を、前記階間に供給するように構成されている、本発明2に記載の建物。
[本発明4]
前記上階及び前記下階の少なくとも一方の空間は、複数の居室、及び、前記複数の居室と隣接しかつ前記複数の居室との空気の行き来が可能とされたホールを含み、
前記空気流路は、前記空気調和機と前記複数の居室との間を延びており、
前記リターン空気は、前記複数の居室を経由して前記ホールに供給されたものである、本発明3に記載の建物。
[本発明5]
前記空気調和機は、前記上階の空間に、前記空調空気を供給するように構成されており、
前記上階の前記床部分には、前記階間に連通する開口が形成されており、
前記第1ファンは、前記上階の前記リターン空気を、前記開口を介して、前記階間に供給する、本発明3又は4に記載の建物。
[本発明6]
前記階間は、前記階間の空気を建物外部に排気するための排気手段を備えない、本発明1ないし5のいずれかに記載の建物。
[本発明7]
建物内部に外気を供給するための第3ファンと、
前記建物内部の空気を屋外に排気するための第4ファンとを含み、
前記第3ファンの風量は、前記第1ファン及び前記第4ファンの合計風量よりも大きい、本発明1ないし6のいずれかに記載の建物。
[本発明8]
上階の床部分と下階の天井部分との間に区画された空間である階間を有する建物の空調システムであって、
前記上階及び前記下階の少なくとも一方の空間に、除湿された空調空気を供給するための空気調和機と、
前記空調空気の一部を、直接的又は間接的に、前記階間に供給するための第1ファンとを含む、
空調システム。
【符号の説明】
【0064】
1 建物
2 上階
3 下階
4 階間
21 空気調和機
F1 第1ファン
図1
図2
図3