IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コベルコ建機株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-作業機械 図1
  • 特開-作業機械 図2
  • 特開-作業機械 図3
  • 特開-作業機械 図4
  • 特開-作業機械 図5
  • 特開-作業機械 図6
  • 特開-作業機械 図7
  • 特開-作業機械 図8
  • 特開-作業機械 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087448
(43)【公開日】2024-07-01
(54)【発明の名称】作業機械
(51)【国際特許分類】
   B66C 15/00 20060101AFI20240624BHJP
   B66C 23/82 20060101ALI20240624BHJP
【FI】
B66C15/00 L
B66C23/82 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022202274
(22)【出願日】2022-12-19
(71)【出願人】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】長澤 昌也
(72)【発明者】
【氏名】吉本 貴▲裕▼
【テーマコード(参考)】
3F204
3F205
【Fターム(参考)】
3F204AA04
3F205AA05
3F205CA01
3F205DA01
(57)【要約】
【課題】前側起伏部材が起こされた状態のときに前側起伏部材に関する作業を作業者が行うための足場を、前側起伏部材に設ける必要をなくす。
【解決手段】前側起伏部材(20)は、機械本体10に起伏可能に取り付けられる。後側起伏部材(37a)は、機械本体10に起伏可能に取り付けられ、前側起伏部材(20)が起こされた状態のときに前側起伏部材(20)の真後ろに配置される。足場装置50は、前側起伏部材(20)が起こされた状態、かつ、後側起伏部材(37a)が起こされた状態のときに、後側起伏部材(37a)から前側起伏部材(20)に向かって延びるように配置可能に構成される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械本体と、
前記機械本体に起伏可能に取り付けられる前側起伏部材と、
前記機械本体に起伏可能に取り付けられ、前記前側起伏部材が起こされた状態のときに前記前側起伏部材の真後ろに配置される後側起伏部材と、
前記後側起伏部材に設けられる足場装置と、
を備え、
前記足場装置は、前記前側起伏部材が起こされた状態、かつ、前記後側起伏部材が起こされた状態のときに、前記後側起伏部材から前記前側起伏部材に向かって延びるように配置可能に構成される、
作業機械。
【請求項2】
請求項1に記載の作業機械であって、
前記足場装置は、格納可能足場を備え、
前記格納可能足場は、前記後側起伏部材に格納された格納状態と前記後側起伏部材から展開された展開状態とに、前記後側起伏部材に取り付けられた状態で変化可能に構成される、
作業機械。
【請求項3】
請求項2に記載の作業機械であって、
前記格納可能足場は、前記後側起伏部材に回転可能に取り付けられ、前記後側起伏部材に対して回転することで前記展開状態と前記格納状態とに変化するように構成される、
作業機械。
【請求項4】
請求項3に記載の作業機械であって、
前記格納可能足場は、
上側および後側に回転することで前記展開状態から前記格納状態に変化するように前記後側起伏部材に回転可能に取り付けられる上格納足場本体と、
前記展開状態の前記上格納足場本体を下側から支持することで、前記後側起伏部材に対する前記上格納足場本体の回転を制限するように構成される上格納足場回転支持部と、
を備える、
作業機械。
【請求項5】
請求項3に記載の作業機械であって、
前記格納可能足場は、下側に回転させることで前記展開状態から前記格納状態に変化するように前記後側起伏部材に回転可能に取り付けられる下格納足場本体を備え、
前記格納状態の前記下格納足場本体は、前記後側起伏部材が延びる方向に延びるように配置される、
作業機械。
【請求項6】
請求項3に記載の作業機械であって、
前記格納可能足場は、
上側および後側に回転することで前記展開状態から前記格納状態に変化するように前記後側起伏部材に回転可能に取り付けられる上格納足場本体と、
下側に回転することで前記展開状態から前記格納状態に変化するように前記後側起伏部材に回転可能に取り付けられる下格納足場本体と、
を備え、
前記下格納足場本体は、前記後側起伏部材が起こされた状態のときに前記上格納足場本体よりも下側の位置に配置される、
作業機械。
【請求項7】
請求項1に記載の作業機械であって、
前記機械本体の上面と前記足場装置との間での通路となり、前記足場装置に着脱可能である足場装置アクセス部材を備える、
作業機械。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の作業機械であって、
前記前側起伏部材はブームであり、
前記後側起伏部材は、前記機械本体に対して前記ブームを起伏させるためのガントリのコンプレッションメンバである、
作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、起伏部材を備える作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に記載の発明では、前側起伏部材(同文献ではブーム)が起こされた状態のときに、前側起伏部材に関する作業(同文献における「点検対象装置」に対する作業)を作業者が行うための足場が、前側起伏部材に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-155149号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前側起伏部材が起こされた状態のときに前側起伏部材に関する作業を作業者が行うための足場を設けるスペースが、前側起伏部材にない場合がある。
【0005】
そこで、本発明は、前側起伏部材が起こされた状態のときに前側起伏部材に関する作業を作業者が行うための足場を、前側起伏部材に設ける必要をなくすことができる作業機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
作業機械は、機械本体と、前側起伏部材と、後側起伏部材と、足場装置と、を備える。前記前側起伏部材は、前記機械本体に起伏可能に取り付けられる。前記後側起伏部材は、前記機械本体に起伏可能に取り付けられ、前記前側起伏部材が起こされた状態のときに前記前側起伏部材の真後ろに配置される。前記足場装置は、後側起伏部材に設けられる。前記足場装置は、前記前側起伏部材が起こされた状態、かつ、前記後側起伏部材が起こされた状態のときに、前記後側起伏部材から前記前側起伏部材に向かって延びるように配置可能に構成される。
【発明の効果】
【0007】
上記の作業機械により、前側起伏部材が起こされた状態のときに前側起伏部材に関する作業を作業者が行うための足場を、前側起伏部材に設ける必要をなくすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】作業機械1を横方向Yから見た図である。
図2図1に示すコンプレッションメンバ37aなどを横方向Yから見た図である。
図3図2に示す展開状態の足場装置50を横方向Yから見た図である。
図4図3に示す足場装置50が格納状態のときの図3相当図である。
図5図2に示すコンプレッションメンバ37aが伏せられた状態を示す斜視図である。
図6図5に示すコンプレッションメンバ37aが起こされた状態を示す斜視図である。
図7図6に示す足場装置50に足場装置アクセス部材43などが取り付けられた状態を示す斜視図である。
図8図7に示す格納可能足場60が展開された状態を示す斜視図である。
図9図8に示す足場装置50に手摺70が取り付けられた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1図9を参照して、作業機械1について説明する。
【0010】
作業機械1は、図1に示すように、作業を行う機械である。作業機械1は、例えば建設作業を行う建設機械であり、例えばブーム20(前側起伏部材)などを用いて作業を行うクレーンである。作業機械1は、機械本体10と、ブーム20と、ブームバックストップ26と、ブーム起伏装置30と、図2に示すガード上面アクセス部材41と、足場装置アクセス部材43と、足場装置50と、手摺70と、を備える。
【0011】
機械本体10は、図1に示すように、作業機械1の本体部分である。機械本体10は、下部本体11と、上部旋回体12と、を備える。
【0012】
下部本体11は、上部旋回体12を支持する。下部本体11は、地面に対して固定された構造物でもよく、走行面(地面など)を走行可能な下部走行体でもよい。例えば、作業機械1は、固定式クレーンでもよく、移動式クレーンでもよい。下部本体11が走行可能である場合(下部走行体である場合)、下部本体11は、クローラを備えてもよく、ホイールを備えてもよい。例えば、作業機械1は、クローラクレーンでもよく、ホイールクレーンでもよい。
【0013】
上部旋回体12は、下部本体11に旋回可能に搭載される。上部旋回体12は、カウンタウエイト13と、ガード14と、ガード下部足場17(図2参照)と、を備える。カウンタウエイト13は、作業機械1の前後方向Xのバランスをとるための、おもりである。
【0014】
(方向)
作業機械1に関する方向を次のように定義する。下部本体11に対する上部旋回体12の旋回の回転軸が延びる方向を上下方向Zとする。上下方向Zにおいて、下部本体11から上部旋回体12に向かう側(向き)を上側Z1とし、上側Z1とは反対側を下側Z2とする。機械本体10に対するブーム20の回転軸が延びる方向を横方向Yとする。横方向Yの一方側(例えば前側X1を向いたときの右)を右側Yrとし、右側Yrとは反対側を左側Ylとする。なお、「右側Yr」と「左側Yl」とは互いに逆でもよい。上下方向Zおよび横方向Yのそれぞれに交差(例えば直交)する方向を前後方向Xとする。前後方向Xにおいて、ブーム20およびコンプレッションメンバ37a(後側起伏部材)(後述)が上部旋回体12に対して起こされた状態のときに、コンプレッションメンバ37aからブーム20に向かう側を前側X1とする。前後方向Xにおいて、前側X1とは反対側を後側X2とする。前側X1は、カウンタウエイト13から、上部旋回体12に対するブーム20の回転軸に向かう側である。
【0015】
ガード14は、上部旋回体12に搭載される機器を覆う。上記「上部旋回体12に搭載される機器」は、例えば、図示しないエンジンおよび油圧機器(例えばポンプ)などである。図5に示すように、ガード14は、右ガード14rと、左ガード14lと、を備える。また、ガード14(右ガード14rおよび左ガード14lのそれぞれ)は、ガード上面15を備える。右ガード14rは、ガントリ37よりも右側Yrに配置される。左ガード14lは、ガントリ37よりも左側Ylに配置される。左ガード14lのガード上面15は、右ガード14rの上段部15a1(後述)よりも下側Z2(低い位置)に配置される。
【0016】
ガード上面15は、ガード14の上面(上側Z1を向いた面)である。ガード上面15は、機械本体10の上面である。ガード上面15は、作業者が乗ることが可能に構成される。ガード上面15は、傾斜および段差などを含んでもよい。例えば、ガード上面15は、ガード上面平面状部15aと、ガード上面傾斜部15cと、ガード上面ステップ15eと、を備える。
【0017】
ガード上面平面状部15aは、平面状または略平面状である。ガード上面平面状部15aは、前後方向Xおよび横方向Yに延びるように設けられる。例えば、ガード上面平面状部15aは、上段部15a1と、上段部15a1よりも下側Z2に配置される下段部15a2と、を備えてもよい。図5に示す例では、上段部15a1は、下段部15a2よりも後側X2に配置される。
【0018】
ガード上面傾斜部15cは、ガード上面平面状部15aに対して傾斜する。図5に示す例では、ガード上面傾斜部15cは、後側X2ほど上側Z1に配置されるように前後方向Xに対して傾斜する方向に延びるように配置される。
【0019】
ガード上面ステップ15eは、ガード上面15の段差を(ガード上面傾斜部15cを)作業者が昇降するための部分である。ガード上面ステップ15eは、例えば階段状である。
【0020】
ガード下部足場17は、作業者が乗ることが可能な足場(プラットフォーム)である。ガード下部足場17は、ガード14の下側Z2部分の近傍に配置される。ガード下部足場17は、ガード14の下側Z2部分に取り付けられる。ガード下部足場17は、ガード14の側面(横方向Y外側の面)よりも横方向Y外側に配置される。例えば、ガード下部足場17は、板状部分を備え、前後方向Xおよび横方向Yに延びるように配置される。
【0021】
ブーム20(前側起伏部材)は、図1に示すように、上部旋回体12に(機械本体10に)起伏可能に取り付けられる。ブーム20は、ブーム本体部21と、ブーム設置機器23と、を備える。
【0022】
ブーム本体部21は、ブーム20の本体部分である。ブーム本体部21は、例えばラチス構造を有するラチスブームである(図2参照)。ブーム本体部21は、箱型構造(中空構造)を有してもよく、伸縮可能な伸縮ブームでもよい。ブーム本体部21が箱型構造を有する場合、ブーム本体部21の長手方向から見たブーム本体部21の断面形状は、多角形(さらに詳しくは内部が空洞の多角形)または略多角形でもよく、その他の形状でもよい。具体的には例えば、ブーム本体部21の断面形状は、四角形(例えば長方形など)でもよく、六角形(例えば四角形の下部の2つの角が面取りされたような形状)でもよく、これらに近い形状でもよい。例えば、ブーム本体部21の断面形状は、ラウンド型または略ラウンド型でもよい。ラウンド型とは、U字状と、U字状の左右の上端どうしを接続する左右に延びる直線と、で構成された形状である。ブーム本体部21は(ブーム20は)、ブーム20の長手方向が鉛直方向または略鉛直方向となるように起こされた姿勢(起立姿勢)になることが可能である。ブーム本体部21は、ブーム背面21bを備える。ブーム背面21bは、ブーム本体部21が(ブーム20が)起立姿勢のときに、ブーム本体部21の後側X2部分となる面である。ブーム本体部21は、ブーム本体部21の長手方向に分解可能である。ブーム本体部21は、下部ブーム21lと、中間ブーム21mと、上部ブーム21nと、を備える。下部ブーム21lは、ブーム本体部21の基端部(上部旋回体12側の端部)に配置される。中間ブーム21mは、下部ブーム21lの先端部(上部旋回体12側とは反対側の端部)に連結される。上部ブーム21nは、中間ブーム21mの先端部に連結され、ブーム本体部21の先端部に配置される。上部ブーム21nは、略六面体状の部材(ブームヘッド、タワーキャップ)でもよく、ブーム本体部21の軸方向に長い部材でもよい。以下では、特に断らない限り、ブーム本体部21が(ブーム20が)起こされた状態(起立姿勢)について説明する。
【0023】
ブーム設置機器23(前側起伏部材設置機器)は、図2に示すように、足場装置50に乗った作業者により作業される機器である。ブーム設置機器23に対して行われる作業は、例えばメンテナンスである。メンテナンスには、例えば、点検、修理、および、整備などが含まれる。ブーム設置機器23に対して行われる作業がメンテナンスの場合、ブーム設置機器23の位置は「メンテナンス箇所」であり、ブーム設置機器23は「メンテナンス対象物」である。ブーム設置機器23は、ブーム本体部21に設置され(ブーム20に設けられ)、例えば下部ブーム21lに設置される。ブーム設置機器23は、ブーム背面21bに配置されてもよく、ブーム背面21bよりも後側X2に配置されてもよい。ブーム設置機器23は、例えば、ブーム設置ウインチ23aを備えてもよい。
【0024】
ブーム設置ウインチ23aは、ロープ(図示なし)の巻き取り、および、繰り出しを行う装置である。例えば、ブーム設置ウインチ23aは、巻上フック(図示なし)を巻き上げる巻上ウインチでもよい。上記「巻上フック」は、吊荷が取り付けられるものであり、ブーム20の先端部(図1参照)からロープを介して吊り上げられるものでもよく、上部ブーム21nに取り付けられたジブ(図示なし)の先端部からロープを介して吊り上げられるものでもよい。なお、ブーム設置ウインチ23aは、巻上フックの巻き上げ用でなくてもよい。ブーム設置ウインチ23aは、1つのみ設けられてもよく、複数設けられてもよく、図2に示す例では2つ設けられる。ブーム設置ウインチ23aは、ドラム23a1と、モータ23a2と、を備える。ドラム23a1は、ロープが巻かれる部分である。モータ23a2は、ブーム本体部21に対してドラム23a1を回転駆動させる。モータ23a2は、例えば油圧モータである。ブーム設置機器23は、モータ23a2を駆動させるための油圧機器(図示なし)を含んでもよい。上記「油圧機器」は、例えば、配管、コネクタ、バルブなどを含んでもよい。ブーム設置機器23は、例えば、ブーム設置シーブ23cなどを含んでもよい。ブーム設置シーブ23cは、ブーム設置ウインチ23aから繰り出されるロープの延びる方向を変えるシーブ(滑車)である。
【0025】
ブームバックストップ26は、上部旋回体12に対するブーム20の後側X2への回転を制限する部材である。ブームバックストップ26は、ブーム本体部21(さらに詳しくは、下部ブーム21l)と上部旋回体12との間に配置される。ブームバックストップ26は、後側X2ほど下側Z2に配置されるように上下方向Zに対して傾斜する方向に延びるように配置される。
【0026】
ブーム起伏装置30(前側起伏部材起伏装置)は、図1に示すように、上部旋回体12に対してブーム20を起伏させる装置である。ブーム起伏装置30は、下部スプレッダ31と、上部スプレッダ32と、ブームガイライン33と、ブーム起伏ロープ34と、ブーム起伏ウインチ35と、ガントリ37と、を備える。下部スプレッダ31は、複数のシーブを有する装置であり、後述するコンプレッションメンバ37aの先端部(上部旋回体12に取り付けられる側の端部とは反対側の端部)に設けられる。上部スプレッダ32は、複数のシーブを有する装置であり、ガントリ37の先端部とブーム20の先端部との間に配置される。ブームガイライン33は、上部スプレッダ32とブーム20の先端部とに接続される。ブーム起伏ロープ34は、下部スプレッダ31のシーブと上部スプレッダ32のシーブとに掛けられるロープである。ブーム起伏ウインチ35は、上部旋回体12に対してブーム20を起伏させるためのウインチである。ブーム起伏ウインチ35は、コンプレッションメンバ37aに搭載されても(取り付けられても)よく、上部旋回体12に搭載されてもよい。ブーム起伏ウインチ35が、ブーム起伏ロープ34を、巻き取りおよび繰り出しする。すると、下部スプレッダ31と上部スプレッダ32との間隔が変わる。上部スプレッダ32とブーム20の先端部とがブームガイライン33で接続されているので、下部スプレッダ31と上部スプレッダ32との間隔が変わると、上部旋回体12に対してブーム20が起伏する。
【0027】
ガントリ37は、コンプレッションメンバ37aと、テンションメンバ37cと、を備える。
【0028】
コンプレッションメンバ37a(後側起伏部材)は、上部旋回体12に(機械本体10に)起伏可能に取り付けられる。コンプレッションメンバ37aは、上部旋回体12から起こされた状態(ハイガントリ)と、伏せられた状態(ローガントリ)(図5参照)と、に変化可能である。ハイガントリのときのコンプレッションメンバ37aは、後側X2ほど上側Z1に配置されるように、前後方向Xに対して傾斜する方向に延びるように配置される。図5に示すように、ローガントリのときのコンプレッションメンバ37aは、前後方向Xまたは略前後方向Xに延びるように配置される。図1に示すように、コンプレッションメンバ37a(さらに詳しくは起こされた状態のコンプレッションメンバ37a)は、ブーム20(さらに詳しくは起立姿勢のブーム20)の真後ろに配置される。さらに詳しくは、コンプレッションメンバ37aは、ブーム20よりも後側X2、かつ、ブーム20と前後方向Xに対向する位置に配置される。図5に示すように、コンプレッションメンバ37aは、主柱37a1と、主柱間足場37a2と、を備える。
【0029】
主柱37a1は、上部旋回体12に起伏可能に取り付けられる柱状の部材である。主柱37a1は、横方向Yに間隔をあけて2本設けられる。2本の主柱37a1・37a1は、互いに平行または略平行に配置される。
【0030】
主柱間足場37a2は、コンプレッションメンバ37aが伏せられた状態(ローガントリ)のときに、足場として用いることが可能に構成される。主柱間足場37a2は、作業者がコンプレッションメンバ37aの周辺の部材、またはコンプレッションメンバ37aに関する作業(メンテナンスなど)を行うときに、作業者に乗られる。上記「コンプレッションメンバ37a周辺の部材」は、例えば、伏せられたコンプレッションメンバ37aの上面に載せられた上部スプレッダ32(図1参照)、上部スプレッダ32に掛けられたブーム起伏ロープ34(図1参照)などである。主柱間足場37a2は、2本の主柱37a1・37a1の間に配置される。例えば、主柱間足場37a2は、2本の主柱37a1・37a1どうしをつなぐように、2本の主柱37a1・37a1に取り付けられる。
【0031】
テンションメンバ37cは、図1に示すように、コンプレッションメンバ37aの先端部と、上部旋回体12の後側X2端部と、に接続される。以下では、特に断らない限り、上部旋回体12からコンプレッションメンバ37aが起こされた状態(ハイガントリ)について説明する。
【0032】
(ブーム起伏装置30の変形例)
なお、ブーム起伏装置30の構成は、様々に変更可能である。例えば、ガントリ37に代えてマスト(後側起伏部材の一例)が設けられてもよい。この場合、マストは、上部旋回体12に起伏可能に取り付けられ、コンプレッションメンバ37aと同様の位置に配置される。ブームガイライン33は、マストの先端部とブーム20の先端部とに接続される。ブーム起伏ロープ34は、マストの先端部に設けられたシーブ(上部スプレッダ32に対応)と、上部旋回体12の後側X2端部に設けられたシーブ(下部スプレッダ31に対応)と、に掛けられる。そして、ブーム起伏ウインチ35がブーム起伏ロープ34を、巻き取りおよび繰り出しすることで、マストが上部旋回体12に対して起伏する。その結果、ブーム20が上部旋回体12に対して起伏する。また、ブーム起伏装置30は、複数のマストを備えてもよく、ガントリ37とマストとを備えてもよい。
【0033】
(前側起伏部材、および、後側起伏部材について)
上記「前側起伏部材」は、足場装置50に乗った作業者の作業の対象物(具体的にはブーム設置機器23)が設置される起伏部材である。上記「起伏部材」は、構造物(例えば上部旋回体12)に対して上下方向Zに回転可能な部材である。「後側起伏部材」は、足場装置50が設けられる起伏部材である。起こされた状態の後側起伏部材は、起こされた状態の前側起伏部材の真後ろに配置される。さらに詳しくは、起こされた状態の後側起伏部材は、起こされた状態の前側起伏部材よりも後側X2、かつ、起こされた状態の前側起伏部材と前後方向Xに対向する位置に配置される。
【0034】
ガード上面アクセス部材41は、図2に示すように、ガード下部足場17とガード上面15との間での通路となる部材である。ガード上面アクセス部材41は、ガード下部足場17とガード上面15との間で作業者が昇降するための(アクセスするための)部材である。例えば、ガード上面アクセス部材41は、梯子(ガード昇降梯子)を備えてもよく、階段などを備えてもよい。図7に示すように、ガード上面アクセス部材41は、例えば、足場装置アクセス部材43の構成(後述)と同様または略同様の構成を備える。なお、ガード上面アクセス部材41は、足場装置アクセス部材43の梯子上部足場43c(後述)に対応する部材を備える必要はない(備えてもよい)。また、ガード上面アクセス部材41は、足場装置アクセス部材43と同様または略同様の構成を備える必要はなく、足場装置アクセス部材43とは全く異なる構成を備えてもよい。
【0035】
足場装置アクセス部材43は、ガード上面15と足場装置50との間での通路となる部材である。足場装置アクセス部材43は、ガード上面15と足場装置50との間で作業者が昇降するための(アクセスするための)部材である。足場装置アクセス部材43は、足場装置50に着脱可能であることが好ましい(詳細は後述)。以下では主に、足場装置アクセス部材43が足場装置50に取り付けられた状態について説明する。足場装置アクセス部材43は、例えば、梯子(足場装置昇降梯子、ガントリ昇降梯子)を備えてもよく、階段などを備えてもよい。具体的には例えば、足場装置アクセス部材43は、梯子本体43aと、梯子上部足場43cと、梯子上部手摺43eと、を備える。
【0036】
梯子本体43aは、梯子状の部分である。梯子本体43aの配置の具体例は、次の通りである。梯子本体43aは、コンプレッションメンバ37aよりも横方向Y外側(例えば右側Yr)に配置される。梯子本体43aは、ブームバックストップ26(図2参照)よりも横方向Y外側(例えば右側Yr)に配置される(後述)。梯子本体43aは、右ガード14rの近傍に配置されてもよく、左ガード14l(図6参照)の近傍に配置されてもよい(図示なし)。梯子本体43aの上側Z1端部は、固定足場51(後述)の近傍に配置される。梯子本体43aの下側Z2端部は、ガード上面15の近傍に配置される。例えば、梯子本体43aの下側Z2端部は、ガード上面平面状部15aの近傍に配置される。図7に示す例では、梯子本体43aの下側Z2端部は、上段部15a1の近傍に配置される。この例では、梯子本体43aの下側Z2端部は、上段部15a1の前側X1部分(例えば前側X1端部)の近傍に配置され、ガード上面ステップ15eの近傍(ガード上面傾斜部15cの近傍)に配置される。
【0037】
梯子上部足場43cは、梯子本体43aの上側Z1端部の近傍に設けられる足場である。梯子上部足場43cの配置の具体例は、次の通りである。梯子上部足場43cは、コンプレッションメンバ37aよりも横方向Y外側(例えば右側Yr)に配置される。梯子上部足場43cは、板状または略板状である。梯子上部足場43cは、前後方向Xおよび横方向Yに延びるように配置される。例えば、足場装置アクセス部材43は、ブームバックストップ26(図2参照)を避けるように配置される。さらに詳しくは、梯子本体43aとコンプレッションメンバ37aとの横方向Yにおける間、かつ、梯子上部足場43cの真下の位置に、ブームバックストップ26が配置されるスペースS26が設けられる。なお、足場装置アクセス部材43とブームバックストップ26との相対位置は様々に設定可能である(足場装置50とブームバックストップ26との相対位置も同様)。
【0038】
梯子上部手摺43eは、足場装置アクセス部材43の上側Z1部分に設けられる。梯子上部手摺43eは、後述する手摺70(図2参照)に含まれる。例えば、梯子上部手摺43eは、梯子本体43aの上側Z1端部から上側Z1に突出する。例えば、梯子上部手摺43eは、梯子上部足場43cから上側Z1に突出する。
【0039】
足場装置50は、作業者が乗ることが可能な足場を含む装置である。図2に示すように、足場装置50は、ブーム設置機器23の作業を、作業者がコンプレッションメンバ37aから(ガントリ37から)行うことを可能にする装置である。足場装置50は、例えば、ガントリ37に設けられる足場(ガントリ足場)である。
【0040】
この足場装置50は、コンプレッションメンバ37aからブーム20に向かって(すなわち前側X1に)延びるように配置される。コンプレッションメンバ37aからブーム20に向かって延びるような足場装置50の配置を、「配置α」とする。図8に示すように、足場装置50のうち配置αとなる部分は、足場装置50の本体部分(作業者に乗られる部分)であり、具体的には例えば、後述する固定足場本体51a、上格納足場本体63a、および下格納足場本体65aである。なお、足場装置50のうち、本体部分以外の部分は、配置αとなる必要はない。
【0041】
この足場装置50は、配置αとなることが可能に構成される。図2に示すように、ブーム20およびコンプレッションメンバ37aが起こされた状態でも、図7に示すように、足場装置50の本体部分の全部または一部が、配置αでない場合(具体的には後述する格納状態となる場合)があってもよい。図2に示すように、ブーム20およびコンプレッションメンバ37aが起こされた状態のときに、図8に示す足場装置50の本体部分が、常に配置αでもよい。
【0042】
この足場装置50は、固定足場51と、格納可能足場60と、を備える。
【0043】
固定足場51は、コンプレッションメンバ37aに対して固定される足場である。固定足場51は、後述する展開状態および格納状態に可変ではない。固定足場51は、固定足場本体51aと、アクセス部材取付部51b(図9参照)と、を備える。
【0044】
固定足場本体51aは、固定足場51の本体部分(作業者に乗られる部分)である。固定足場本体51aの配置は、上記の配置αである。さらに詳しくは、固定足場本体51aは、コンプレッションメンバ37aからブーム20(図2参照)に向かって(前側X1に)延びるように配置される。固定足場本体51aは、板状または略板状である(他の本体部分、具体的には後述する上格納足場本体63aおよび下格納足場本体65aも同様)。固定足場本体51aは、前後方向Xおよび横方向Yに延びるように配置される(他の本体部分も同様)。例えば、固定足場本体51aは、多数の穴(図示なし)が形成されたものでもよい(他の本体部分も同様)。この場合、固定足場本体51aに水が溜まりにくくなってもよく、作業者が固定足場本体51aで滑ることが抑制されてもよい。
【0045】
アクセス部材取付部51bは、図9に示すように、足場装置アクセス部材43が取り付けられる部分である。例えば、アクセス部材取付部51bは、固定足場51の横方向Y外側(例えば右側Yr)部分に設けられる。アクセス部材取付部51bは、足場装置アクセス部材43を着脱可能に構成される。例えば、アクセス部材取付部51bは、足場装置アクセス部材43を引っ掛けることが可能に構成される。具体的には例えば、アクセス部材取付部51bに足場装置アクセス部材43を着脱可能にする構造(「着脱構造」という)は、凹部と凸部とを備えてもよく、穴(例えば貫通穴または貫通しない穴)と、穴に差し込まれる差込部材と、を備えてもよい。着脱構造が凹部と凸部とを備える場合、着脱構造は、例えば、棒状部(バー)(凸部の例)と、棒状部を引っ掛けることが可能な溝(凹部の例)と、を備えてもよい。具体的には例えば、足場装置アクセス部材43が棒状部(または溝)を備え、アクセス部材取付部51bが、溝(または棒状部)を備えてもよい。また、例えば、着脱構造が、穴と差込部材とを備える場合、着脱構造は、例えば、筒状部材と、筒状部材に差し込むことが可能な差込部材と、を備えてもよい。具体的には例えば、足場装置アクセス部材43が筒状部材(または差込部材)を備え、アクセス部材取付部51bが差込部材(または筒状部材)を備えてもよい。
【0046】
格納可能足場60(図7および図8参照)は、展開状態と格納状態とに変化可能に構成される足場である。図8に示す格納可能足場60の本体部分(さらに詳しくは、後述する上格納足場本体63aおよび下格納足場本体65a)は、コンプレッションメンバ37aに取り付けられた状態で、展開状態と格納状態とに変化可能に構成されることが好ましい。格納可能足場60の本体部分は、コンプレッションメンバ37aに対して回転することで展開状態と格納状態とに変化可能でもよい。格納可能足場60の本体部分は、コンプレッションメンバ37aに対して回転以外の動き(例えば平行移動(スライド)など)により展開状態と格納状態とに変化可能でもよい。なお、格納可能足場60の本体部分は、コンプレッションメンバ37aに対して着脱されることで、展開状態と格納状態とに変化可能でもよい。以下では、格納可能足場60の本体部分がコンプレッションメンバ37aに対して回転することで展開状態と格納状態とに変化可能である場合について説明する。格納可能足場60の本体部分の数は、1でもよく、複数でもよい。格納可能足場60の本体部分の数は、図8に示す例では2である。例えば、図8に示すように、格納可能足場60は、格納可能足場支持フレーム60aと、上格納足場装置63と、下格納足場装置65と、を備える。
【0047】
格納可能足場支持フレーム60aは、コンプレッションメンバ37aに対して格納可能足場60の本体部分(上格納足場本体63aおよび下格納足場本体65a)を支持する。格納可能足場支持フレーム60aは、コンプレッションメンバ37aに対して格納可能足場60の本体部分を、展開状態および格納状態に可変となるように(この例では回転可能に)支持する。格納可能足場支持フレーム60aは、コンプレッションメンバ37aに固定される。この固定は、溶接による固定でもよく、締結部材(ボルトなど)による固定でもよい。格納可能足場支持フレーム60aは、板状でもよく、例えば、上下方向Zおよび前後方向Xに延びるように設けられてもよい。格納可能足場支持フレーム60aは、ブロック状などでもよい。格納可能足場支持フレーム60aは、上格納足場支持フレーム60a1と、下格納足場支持フレーム60a2と、を備える。
【0048】
上格納足場支持フレーム60a1は、上格納足場本体63aを、コンプレッションメンバ37aに対して支持(例えば回転可能に支持)する。上格納足場支持フレーム60a1は、1つのみ設けられてもよく、複数設けられてもよい(下格納足場支持フレーム60a2も同様)。図6に示す例では、上格納足場支持フレーム60a1は、横方向Yに間隔をあけて2か所に設けられる。なお、図3に示す例では、上格納足場支持フレーム60a1は、横方向Yから見たときに円形の穴を備える。
【0049】
下格納足場支持フレーム60a2は、下格納足場本体65aを、コンプレッションメンバ37aに対して支持(例えば回転可能に支持)する。下格納足場支持フレーム60a2は、上格納足場支持フレーム60a1と別体でもよく、一体でもよい。
【0050】
上格納足場装置63は、上格納足場本体63aと、上格納足場フレーム63cと、上格納足場手摺取付部63eと、上格納足場回転支持部63gと、を備える。
【0051】
上格納足場本体63aは、上格納足場装置63の本体部分(作業者に乗られる部分)である。上格納足場本体63aは、コンプレッションメンバ37aに対して回転可能に取り付けられる。上格納足場本体63aは、上格納足場支持フレーム60a1を介してコンプレッションメンバ37aに回転可能に取り付けられる。上格納足場本体63aは、コンプレッションメンバ37aに対して、上格納足場回転軸63a1を中心に、上下方向Zおよび前後方向Xに回転可能である。上格納足場回転軸63a1が延びる方向は、横方向Yである。上格納足場本体63aは、展開状態と格納状態(図4参照)とに可変である。
【0052】
展開状態の上格納足場本体63aは、コンプレッションメンバ37aから展開された状態である。展開状態の上格納足場本体63aは、上記の配置αである(展開状態の下格納足場本体65aの配置も同様)。さらに詳しくは、展開状態の上格納足場本体63aは、コンプレッションメンバ37aからブーム20に向かって(前側X1に)延びるように配置される。図8に示すように、展開状態の上格納足場本体63aは、固定足場本体51aと並ぶように配置される。例えば、展開状態の上格納足場本体63aは、固定足場本体51aと横方向Yに並ぶように配置される。展開状態の上格納足場本体63aは、固定足場本体51aとの横方向Yの隙間がないように(横方向Yに連続するように)、または略ないように、配置される。図3に示すように、展開状態の上格納足場本体63aの下側Z2への回転は、上格納足場回転支持部63gにより制限される(後述)。展開状態の上格納足場本体63aは、上側Z1(および後側X2)に回転させられることで、図4に示すように、格納状態に変化する。
【0053】
格納状態の上格納足場本体63aは、コンプレッションメンバ37aに格納された状態である。格納状態の上格納足場本体63aは、コンプレッションメンバ37aの長手方向に延びるように配置される(格納状態の下格納足場本体65aも同様)。格納状態の上格納足場本体63aは、コンプレッションメンバ37aの長手方向と一致または略一致する方向に延びるように配置される(格納状態の下格納足場本体65aも同様)。例えば、図5に示すように、コンプレッションメンバ37aが伏せられた状態(ローガントリ)のときに、上格納足場本体63aが格納状態とされる場合がある。この場合に、上格納足場本体63aの全部または大部分が、主柱37a1の上面よりも上側Z1に突出しないことが好ましい。コンプレッションメンバ37aがローガントリのときに主柱37a1の上面よりも上側Z1にできるだけ突出しないことが好ましいことは、図4に示す上格納足場装置63のうち、上格納足場本体63a以外の部分も同様である。具体的には、上格納足場本体63aが格納状態のときの、上格納足場フレーム63cおよび上格納足場手摺取付部63eも同様である。また、下格納足場装置65の各部(例えば、格納状態の下格納足場本体65a、支持部格納状態の下格納足場回転支持部65g(後述)など)も同様である。格納状態の上格納足場本体63aの下側Z2への回転は、制限される(格納状態の下格納足場本体65aも同様)。例えば、格納状態の上格納足場本体63aは、主柱37a1・37a1間をつなぐ部材(具体的には例えば、主柱間足場37a2など)に接触し、下側Z2から支持されてもよい(格納状態の下格納足場本体65aも同様)。図3に示すように、上格納足場本体63aは、上格納足場本体底面63a3を備える。上格納足場本体底面63a3は、展開状態のときの上格納足場本体63aの底面(下側Z2を向く面)である。
【0054】
上格納足場フレーム63cは、上格納足場本体63aと上格納足場支持フレーム60a1とをつなぐフレームである。上格納足場フレーム63cは、上格納足場本体63aから上格納足場支持フレーム60a1に(上格納足場回転軸63a1に)向かって延びるように設けられる。上格納足場フレーム63cは、例えば、上格納足場本体底面63a3に固定される。上格納足場フレーム63cは、展開状態の上格納足場本体63aの上格納足場本体底面63a3から下側Z2および後側X2に突出するように配置される。上格納足場フレーム63cは、例えば、板状などであり、上下方向Zおよび前後方向Xに延びるように配置される(後述する下格納足場フレーム65cも同様)。上格納足場フレーム63cは、1か所に設けられてもよく、複数か所に設けられてもよい(後述する下格納足場フレーム65cも同様)。上格納足場フレーム63cは、例えば、横方向Yに間隔をあけて複数(例えば2か所)に設けられてもよい(図7参照)(後述する下格納足場フレーム65cも同様)。なお、上格納足場フレーム63cは、設けられなくてもよい。上格納足場本体63aは、上格納足場支持フレーム60a1に直接的に接続されてもよい。
【0055】
上格納足場手摺取付部63eは、手摺70(さらに詳しくは上格納足場取付手摺73(図9参照))が取り付けられる部分である。上格納足場手摺取付部63eは、上格納足場本体63aの外周部分に設けられる。図3に示す例では、上格納足場手摺取付部63eは、展開状態の上格納足場本体63aの後側X2部分に設けられる。上格納足場手摺取付部63eは、上格納足場取付手摺73(図9参照)を着脱可能に構成される。上格納足場手摺取付部63eに上格納足場取付手摺73を着脱可能にする構造(着脱構造)の具体例は、上記の、図9に示すアクセス部材取付部51bに足場装置アクセス部材43を着脱可能にする着脱構造の具体例と同様である。例えば、図3に示す上格納足場手摺取付部63eは、筒状部材を備え、上格納足場取付手摺73(図9参照)は、筒状部材に差し込むことが可能な差込部材を備える。例えば、上格納足場手摺取付部63eに上格納足場取付手摺73が差し込まれた状態で、上格納足場手摺取付部63eと上格納足場取付手摺73とが、ピンなどの締結部材で固定されてもよい。後述する下格納足場手摺取付部65eと下格納足場取付手摺75(図9参照)との着脱構造の具体例も、上格納足場手摺取付部63eと上格納足場取付手摺73との着脱構造の具体例と同様である。
【0056】
上格納足場回転支持部63gは、展開状態の上格納足場本体63aを支持することで、コンプレッションメンバ37aに対する上格納足場本体63aの回転を制限するように構成される。上格納足場回転支持部63gは、コンプレッションメンバ37aに対する上格納足場本体63aの下側Z2への回転を制限する(回転を防ぐ)。上格納足場回転支持部63gは、展開状態の上格納足場本体63aを下側Z2から支持(保持)する。具体的には例えば、上格納足場回転支持部63gは、上格納足場フレーム63cに接触し(面当たりとなり)、上格納足場フレーム63cを介して上格納足場本体63aを支持する。上格納足場回転支持部63gは、コンプレッションメンバ37aに対して固定される。例えば、上格納足場回転支持部63gは、上格納足場支持フレーム60a1と一体的に設けられてもよく、上格納足場支持フレーム60a1とは別体でもよい。上格納足場回転支持部63gは、上格納足場本体63aを支持可能な形状(例えば平面状など)を備える。
【0057】
下格納足場装置65は、上格納足場装置63と概ね同様の構成を備える。下格納足場装置65について、主に、上格納足場装置63との相違点を説明する。下格納足場装置65は、下格納足場本体65aと、下格納足場手摺取付部65eと、下格納足場回転支持部65gと、を備える。
【0058】
下格納足場本体65aは、下格納足場装置65の本体部分(作業者に乗られる部分)である。下格納足場本体65aは、コンプレッションメンバ37aに対して回転可能に取り付けられる。下格納足場本体65aは、下格納足場支持フレーム60a2を介してコンプレッションメンバ37aに回転可能に取り付けられる。下格納足場本体65aは、コンプレッションメンバ37aに対して、下格納足場回転軸65a1を中心に、上下方向Zおよび前後方向Xに回転可能である。下格納足場回転軸65a1が延びる方向は、横方向Yである。下格納足場本体65aは、展開状態と格納状態(図4参照)とに可変である。
【0059】
展開状態の下格納足場本体65aは、コンプレッションメンバ37aから展開された状態である。展開状態の下格納足場本体65aは、展開状態の上格納足場本体63aと前後方向Xに並ぶように配置される(詳細は後述)。展開状態の下格納足場本体65aの下側Z2への回転は、下格納足場回転支持部65gにより制限される(後述)。展開状態の下格納足場本体65aは、下側Z2(および前側X1)に回転させられることで、格納状態(図4参照)に変化する。格納状態の下格納足場本体65aは、コンプレッションメンバ37aに格納された状態である。下格納足場本体65aは、下格納足場本体底面65a3と、下格納足場本体縦面65a5と、を備える。
【0060】
下格納足場本体底面65a3は、展開状態のときの下格納足場本体65aの底面(下側Z2を向く面)である。下格納足場本体縦面65a5は、下格納足場本体65aが展開状態のときに、上下方向Zに延びるように設けられる。例えば、下格納足場本体縦面65a5は、下格納足場本体65aが展開状態のときに、下格納足場本体底面65a3から下側Z2に延びるように設けられる。図3に示す例では、下格納足場本体縦面65a5は、展開状態の下格納足場本体65aの前側X1端部に配置される。
【0061】
下格納足場フレーム65cは、下格納足場本体65aと下格納足場支持フレーム60a2とをつなぐフレームである。下格納足場フレーム65cは、下格納足場本体65aから下格納足場支持フレーム60a2に(下格納足場回転軸65a1に)向かって延びるように設けられる。下格納足場フレーム65cは、例えば、下格納足場本体底面65a3に固定される。下格納足場フレーム65cは、展開状態の下格納足場本体65aの下格納足場本体底面65a3から下側Z2および後側X2に突出するように配置される。なお、下格納足場フレーム65cは、設けられなくてもよい。下格納足場本体65aが、下格納足場支持フレーム60a2に直接的に接続されてもよい。
【0062】
下格納足場手摺取付部65eは、図9に示すように、手摺70(さらに詳しくは、後述する下格納足場取付手摺75)が取り付けられる部分である。下格納足場手摺取付部65eは、下格納足場本体65aの外周部分に設けられる。下格納足場手摺取付部65eは、展開状態の下格納足場本体65aの、前側X1部分、および、横方向Y外側の両側部分に設けられる(図8参照)。下格納足場手摺取付部65eは、下格納足場取付手摺75を着脱可能に構成される。
【0063】
下格納足場回転支持部65gは、図3に示すように、展開状態の下格納足場本体65aを支持することで、コンプレッションメンバ37aに対する下格納足場本体65aの回転を制限可能に構成される。下格納足場回転支持部65gは、支持部使用状態と、支持部格納状態(図4参照)と、に可変に構成される。例えば、下格納足場回転支持部65gは、コンプレッションメンバ37aに対して回転することで、支持部使用状態と、支持部格納状態と、に可変である。具体的には例えば、下格納足場回転支持部65gは、下格納足場支持フレーム60a2に回転可能に取り付けられる。この場合、下格納足場回転支持部65gが取り付けられるフレームは、下格納足場本体65aが取り付けられる下格納足場支持フレーム60a2と兼用される。下格納足場回転支持部65gは、下格納足場回転支持部回転軸65g1を中心に、上下方向Zおよび前後方向Xに回転可能である。下格納足場回転支持部回転軸65g1が延びる方向は、横方向Yである。下格納足場回転支持部65gは、例えば柱状部(ステー)を備える。
【0064】
支持部使用状態の下格納足場回転支持部65gは、コンプレッションメンバ37aに対する下格納足場本体65aの下側Z2への回転を制限する(回転を防ぐ)。支持部使用状態の下格納足場回転支持部65gは、展開状態の下格納足場本体65aを下側Z2および後側X2から支持(保持)する。支持部使用状態の下格納足場回転支持部65gは、展開状態の下格納足場本体65aの下格納足場本体底面65a3に接触する(面当たりとなる)。支持部使用状態の下格納足場回転支持部65gは、展開状態の下格納足場本体65aの下格納足場本体縦面65a5に接触する(面当たりとなる)。支持部使用状態の下格納足場回転支持部65gは、下側Z2に回転することで、図4に示すように、支持部格納状態に変えられる。
【0065】
支持部格納状態の下格納足場回転支持部65gは、コンプレッションメンバ37aに格納される。支持部格納状態の下格納足場回転支持部65gは、コンプレッションメンバ37aの長手方向に延びるように配置される。例えば、支持部格納状態の下格納足場回転支持部65gは、格納状態の下格納足場本体65aと同様または略同様に配置される。例えば、支持部格納状態の下格納足場回転支持部65gは、格納状態の下格納足場本体65aと平行または略平行に配置される。
【0066】
なお、下格納足場回転支持部65gの構成は、様々に変形可能である。図3に示す下格納足場回転支持部65gは、下格納足場本体65aを上側Z1から支持するように構成されてもよい。例えば、下格納足場回転支持部65gは、上格納足場本体63a(下格納足場本体65aの上段の足場)と、下格納足場本体65aと、を接続する部材(リンク)などでもよい。この場合、下格納足場回転支持部65gは、上格納足場本体63aに回転可能に取り付けられてもよい。下格納足場回転支持部65gは、下格納足場本体65aに引っ掛けることが可能に構成されてもよい。
【0067】
(上格納足場本体63aと下格納足場本体65aとの相対位置)
展開状態の下格納足場本体65aは、展開状態の上格納足場本体63aと前後方向Xに並ぶように配置される。展開状態の下格納足場本体65aと展開状態の上格納足場本体63aとの前後方向Xにおける間隔は、できるだけ小さいこと、または、ないことが好ましい。例えば、下格納足場本体65aの後側X2端部の前後方向Xにおける位置は、上格納足場本体63aの前側X1端部の前後方向Xにおける位置と同じ位置、または後側X2であることが好ましい。展開状態の下格納足場本体65aと展開状態の上格納足場本体63aとの前後方向Xにおける間隔が、できるだけ小さい、または、ないことにより、下格納足場本体65aと上格納足場本体63aとを作業者が容易に移動できる。
【0068】
展開状態の下格納足場本体65aは、展開状態の上格納足場本体63aよりも下側Z2に配置されることが好ましい。さらに詳しくは、下側Z2に回転させることで格納する下格納足場本体65aは、上側Z1(および後側X2)に回転させることで格納する上格納足場本体63aよりも下側Z2に配置されることが好ましい。この配置では、図4に示すように、上側Z1から下側Z2に、格納状態の上格納足場本体63a、上格納足場回転軸63a1、下格納足場回転軸65a1、格納状態の下格納足場本体65a、の順に、これらの各部を配置することができる。よって、格納状態の上格納足場本体63aと格納状態の下格納足場本体65aを、コンプレッションメンバ37aの厚さ方向に重なるように配置する必要がない。よって、格納状態の格納可能足場60の配置スペース(格納スペース)を容易に確保しつつ、上格納足場回転軸63a1と下格納足場回転軸65a1とを近い位置に配置することができる。よって、展開状態の下格納足場本体65aと展開状態の上格納足場本体63aとの前後方向Xにおける間隔を小さくすること、または、この間隔をなくすように、下格納足場本体65aと上格納足場本体63aとを配置することができる。上記「コンプレッションメンバ37aの厚さ方向」は、コンプレッションメンバ37aの長手方向および横方向Yのそれぞれに交差(例えば直交)する方向である。
【0069】
(足場装置50の変形例)
なお、下側Z2に回転させることで格納する下格納足場本体65aが、上側Z1(および後側X2)に回転させることで格納する上格納足場本体63aよりも上側Z1に配置されてもよい。また、下側Z2に回転させることで格納する複数の下格納足場本体65aが前後方向Xに並ぶように配置されてもよい。上側Z1(および後側X2)に回転させることで格納する複数の上格納足場本体63aが前後方向Xに並ぶように配置されてもよい。格納状態の下格納足場本体65aと格納状態の上格納足場本体63aとが、コンプレッションメンバ37aの厚さ方向に重なるように配置(格納)されてもよい。
【0070】
図8に示す足場装置50の本体部分の位置、数(枚数)、格納可能か否かなどは、様々に設定可能である。例えば、固定足場本体51aは、図8に示す例では1つであるが、設けられなくてもよく、複数設けられてもよい。格納可能足場60の本体部分は、図8に示す例では、2つ(上格納足場本体63aおよび下格納足場本体65a)であるが、設けられなくてもよく、3以上設けられてもよい。
【0071】
手摺70は、図2に示すように、作業者が移動および作業の少なくともいずれかを行う位置の近傍に設けられる部材(ハンドレール)である。手摺70は、例えば、パイプを備えてもよく、板を備えてもよい。例えば、手摺70は、ガード下部足場17に設けられてもよく、ガード上面アクセス部材41に設けられてもよく、ガード上面15に設けられてもよく、足場装置アクセス部材43(梯子上部手摺43e(図8参照))に設けられてもよい。
【0072】
この手摺70の少なくとも一部は、足場装置50に設けられる。さらに詳しくは、手摺70は、足場装置50の本体部分の真上の空間(作業者が立つ位置)の周囲に配置される。手摺70は、足場装置50に着脱可能である。例えば、図9に示すように、手摺70は、上格納足場取付手摺73と、下格納足場取付手摺75と、を備える。
【0073】
上格納足場取付手摺73は、上格納足場本体63a(さらに詳しくは、上格納足場手摺取付部63e(図8参照))に取り付けられる。図9に示す例では、上格納足場取付手摺73は、上格納足場本体63aの後側X2から上側Z1に延びるように配置される。図9に示す例では、上格納足場取付手摺73は、固定足場本体51aの後側X2部分の真上まで延びるように設けられる。
【0074】
下格納足場取付手摺75は、下格納足場本体65a(さらに詳しくは、下格納足場手摺取付部65e)に取り付けられる。図9に示す例では、下格納足場取付手摺75は、下格納足場本体65aの、前側X1部分、および、横方向Y外側部分のそれぞれから、上側Z1に延びるように配置される。図9に示す例では、下格納足場本体65aの左側Yl部分に取り付けられた下格納足場取付手摺75の一部は、上格納足場本体63aの左側Yl部分の真上まで延びるように設けられる。このように、手摺70を構成する部材が、足場装置50の複数の本体部分の真上の空間にまたがって設けられる場合は、手摺70を構成する部材の数を削減することができる。なお、手摺70の配置、取付位置、兼用の有無などは、様々に設定可能である。例えば、固定足場本体51aに手摺70が取り付けられてもよい。
【0075】
(作動)
作業機械1は、下記のように作動するように構成される。ここでは、図5に示すように、コンプレッションメンバ37aが伏せられた状態(ローガントリ)、かつ、格納可能足場60が格納状態とされた状態から、図2に示すように足場装置50を使用可能な状態に、作業機械1を変化させる作業の手順の一例を説明する。
【0076】
図5に示すコンプレッションメンバ37aが、伏せられた状態(ローガントリ)から起こされ、図6に示すように、ハイガントリに変えられる。例えば、作業機械1が分解された状態から組み立てられ、作業機械1が作業可能な状態(作業姿勢)にされる際に、コンプレッションメンバ37aが起こされる。図1に示すように、ブーム20が、上部旋回体12から起こされた状態(起立姿勢)にされる。例えば、ブーム20が、ブーム起伏装置30によって、起立姿勢にされる。
【0077】
(足場装置アクセス部材43の取り付け)
作業者が、図7に示すガード上面15に乗る。例えば、作業者が、ガード下部足場17から、ガード上面アクセス部材41を昇り、ガード上面15に移動する。ガード上面15上の作業者が、足場装置アクセス部材43を足場装置50に取り付け、さらに詳しくは、アクセス部材取付部51b(図9参照)に取り付ける。なお、足場装置アクセス部材43は、使用されない際には、所定の格納箇所に格納される。足場装置アクセス部材43の格納箇所は、例えば、図6に示す左ガード14lのガード上面15でもよい。図6に示す例では、左ガード14lのガード上面15は、右ガード14rのガード上面15よりも低い。そのため、左ガード14lのガード上面15に、足場装置アクセス部材43の格納スペースを容易に確保することができる。なお、足場装置アクセス部材43の格納箇所は、左ガード14l以外の位置でもよく、例えば、左ガード14l以外の上部旋回体12の所定位置でもよく、作業機械1の外部でもよい。
【0078】
図7に示すように、足場装置アクセス部材43が足場装置50に取り付けられた状態で、作業者が、足場装置アクセス部材43を昇り、固定足場51(固定足場本体51a)に移動する。
【0079】
(格納可能足場60の展開)
作業者が、図8に示すように、格納可能足場60を展開する(張り出す)。なお、格納可能足場60は、コンプレッションメンバ37aがハイガントリの状態で展開されても、コンプレッションメンバ37aがローガントリの状態(図5参照)で展開されてもよい。以下では、コンプレッションメンバ37aがハイガントリの状態で、格納可能足場60が展開される場合について説明する。格納可能足場60の展開の具体例は、次の通りである。
【0080】
(上格納足場本体63aの展開)
作業者が、固定足場本体51a上で上格納足場本体63aを展開する。このとき、図4に示す上格納足場本体63aが、格納状態から、上格納足場回転軸63a1を中心に、前側X1および下側Z2に回転させられる。図3に示すように、上格納足場フレーム63cが上格納足場回転支持部63gに接触することで、上格納足場本体63aが、上格納足場回転支持部63gに下側Z2から支持される。よって、上格納足場本体63aの下側Z2への回転が、上格納足場回転支持部63gにより制限される。これにより、上格納足場本体63aが、展開状態になる。
【0081】
(下格納足場本体65aの展開)
図8に示すように、上格納足場本体63aが展開された状態で、作業者が、固定足場本体51aから上格納足場本体63aに移動する。作業者が、上格納足場本体63a上で、下格納足場本体65aを展開する。このとき、図4に示すように、下格納足場本体65aが、格納状態から、下格納足場回転軸65a1を中心に上側Z1に回転させられる。例えば、このとき、下格納足場本体65aが、格納位置のときの下格納足場本体65aの位置よりも上側Z1の位置まで回転させられる。また、図3に示すように、下格納足場回転支持部65gが、支持部格納状態から、下格納足場回転支持部回転軸65g1を中心に上側Z1に回転させられる。そして、下格納足場回転支持部65gの例えば先端部が、下格納足場本体65aに接触させられる(引っ掛けられる)。さらに詳しくは、下格納足場回転支持部65gの例えば先端部が、下格納足場本体底面65a3および下格納足場本体縦面65a5に接触させられる。よって、下格納足場本体65aの下側Z2への回転が、下格納足場回転支持部65gにより制限される。これにより、下格納足場本体65aが、展開状態になり、また、下格納足場回転支持部65gが支持部使用状態になる。下格納足場回転支持部65gの下側Z2への回転は、下格納足場本体65aの自重により制限されてもよい。下格納足場回転支持部65gの下側Z2への回転は、ピンなどの締結部材(図示なし)により制限されてもよい。
【0082】
ここで、下格納足場本体65aおよび下格納足場回転支持部65gは、展開状態の上格納足場本体63aの近傍に配置され、上格納足場本体63aに乗った作業者の手が届くと想定される位置に配置される。よって、作業者は、手作業で、下格納足場本体65aを格納状態(図4参照)から展開状態に変え、下格納足場回転支持部65gを支持部格納状態から支持部使用状態に変えることができる。なお、作業者は、手で持った棒などを使って下格納足場本体65aを展開する作業を行ってもよい(この場合も上記「手作業」に含まれる)。
【0083】
(手摺70の取り付け)
作業者が、展開された格納可能足場60に、図9に示す手摺70を取り付ける。
【0084】
(足場装置50などの使用方法)
作業者は、図8に示すように、ガード下部足場17と足場装置50との間をアクセス可能である。具体的には例えば、作業者は、ガード下部足場17、ガード上面アクセス部材41、ガード上面15、足場装置アクセス部材43、固定足場本体51a、上格納足場本体63a、下格納足場本体65a、の順に移動することができる。足場装置50(例えば下格納足場本体65a)に乗った作業者は、図2に示すように起立姿勢のブーム20に関する作業(具体的には、ブーム設置機器23に対する作業)を行う。足場装置50(例えば下格納足場本体65a)は、足場装置50に乗った作業者からブーム設置機器23に手が届くと想定される位置に配置される。
【0085】
ここで、ブーム20が伏せられた状態では、作業者は、ブーム背面21bに乗ってブーム設置機器23に対して作業を行える。一方で、作業機械1が作業を行う作業現場に、ブーム20を伏せるためのスペースがない場合がある。そこで、ブーム20が起立姿勢とされた状態で、ブーム設置機器23に対する作業が行われる。なお、ブーム20を伏せるためのスペースがある際に、ブーム20が起立姿勢とされた状態で、ブーム設置機器23に対する作業が行われてもよい。
【0086】
(格納可能足場60の格納など)
格納可能足場60(図3参照)の展開の手順とは逆の手順で、格納可能足場60が格納される。図5に示すように、格納可能足場60が格納状態とされることで、作業機械1の輸送の問題を抑制することができる。この詳細は次の通りである。コンプレッションメンバ37aがローガントリとされた状態で、上部旋回体12とコンプレッションメンバ37aとが一体的に輸送される場合がある。この場合、コンプレッションメンバ37aから上側Z1に足場(格納可能足場60など)が突出すると、輸送制限高さ(公道輸送時の輸送物の高さの制限)を超える位置に、足場が配置されるおそれがある。例えば、格納可能足場60が使用状態のままでは格納可能足場60が輸送制限高さを超える場合がある。この場合でも、格納可能足場60が格納状態とされることで、格納可能足場60が輸送制限高さを超えないように、格納状態の格納可能足場60の配置が設定される。なお、本実施形態では、固定足場本体51aは、コンプレッションメンバ37aがローガントリの状態で、コンプレッションメンバ37aから上側Z1に突出する。しかし、固定足場本体51aは、コンプレッションメンバ37aがローガントリの状態のときに輸送制限高さを超えず、輸送上問題がない。そのため、固定足場本体51aは、コンプレッションメンバ37aに対して展開した状態で固定されている。なお、固定足場本体51aと同様の位置に、展開状態および格納状態に変化可能な足場(格納可能足場60)が設けられてもよい。
【0087】
コンプレッションメンバ37aがローガントリとされた状態で、コンプレッションメンバ37a上で作業が行われる場合がある。この場合に、格納可能足場60が格納状態であれば、格納可能足場60が(足場装置50が)作業の邪魔になることが抑制される。また、格納状態の格納可能足場60は、コンプレッションメンバ37aがローガントリとされた状態でのコンプレッションメンバ37a上での足場として使うことが可能でもよい。この場合、足場装置50以外のコンプレッションメンバ37aの足場(主柱間足場37a2)を減らすことができる。
【0088】
(格納可能足場60の着脱が不要であることについて)
図8に示す格納可能足場60は、コンプレッションメンバ37aに取り付けられた状態で、格納状態(図7参照)から展開状態に変化可能である。よって、格納可能足場60は、コンプレッションメンバ37aに対して着脱される必要はない。よって、格納可能足場60が、コンプレッションメンバ37aへの格納可能足場60の取付位置(以下、単に「取付位置」という)に搬入される必要はない。さらに詳しくは、格納可能足場60を取付位置に搬入する必要がある場合は、例えば、作業者は、格納可能足場60を持って足場装置アクセス部材43を昇ることが考えられる。また、作業機械1とは別の機械(補助クレーンなど)により、格納可能足場60を取り付け位置に搬入することが考えられる。これらの場合は、格納可能足場60を取付位置に搬入する作業に手間がかかる。また、搬入する作業に手間がかかるのと同様に、格納可能足場60をコンプレッションメンバ37aから取り外した後、格納可能足場60を搬出する作業にも手間がかかる。一方、本実施形態では、格納可能足場60は、コンプレッションメンバ37aに取り付けられた状態で、格納状態から展開状態に変化可能である。よって、格納可能足場60の搬入および搬出の作業が不要である。
【0089】
(検討)
図2に示すコンプレッションメンバ37aに足場装置50が設けられず、ブーム20が起立姿勢の状態でブーム設置機器23に対する作業を行うための足場(以下、単に「足場」ともいう)を、ブーム20に設置しようとする場合について検討する。ブーム20に足場を設置しようとすると、次の問題がある。足場を設置する空間的な余裕がブーム20に存在しない場合は、ブーム20に足場を設置することができない。例えば作業機械1が小型または中型である場合などには、ブーム20に足場を設置することができない場合がある。また、ブーム20に足場が設置されると、ブーム20の質量(自重)および受風(受圧)面積が増加する。すると、ブーム20の作業能力(例えば吊り上げ能力)が低下する。また、ブーム20のあおり(たわみ、ねじれなど)に対する余裕度が低下する。一方、本実施形態では、コンプレッションメンバ37aに足場装置50が設けられる。よって、ブーム20が起立姿勢の状態で、ブーム設置機器23に対する作業を作業者が行うため足場を、ブーム20に設置する必要がない。よって、ブーム20に足場を設置することによる問題を回避することができる。
【0090】
(第1の発明の効果)
図1に示す作業機械1による効果は、次の通りである。作業機械1は、機械本体10と、ブーム20(前側起伏部材)と、コンプレッションメンバ37a(後側起伏部材)と、足場装置50と、を備える。ブーム20は、機械本体10に起伏可能に取り付けられる。コンプレッションメンバ37aは、機械本体10に起伏可能に取り付けられる。コンプレッションメンバ37aは、ブーム20が起こされた状態のときにブーム20の真後ろに配置される。
【0091】
[構成1]図2に示すように、足場装置50は、コンプレッションメンバ37aに設けられる。足場装置50は、ブーム20が起こされた状態、かつ、コンプレッションメンバ37aが起こされた状態のときに、コンプレッションメンバ37aからブーム20に向かって延びるように配置可能に構成される。
【0092】
上記[構成1]により、次の効果が得られる。ブーム20が起こされた状態、かつ、コンプレッションメンバ37aが起こされた状態のときに、ブーム20に関する作業を作業者が行うための足場として、コンプレッションメンバ37aに設けられた足場装置50を用いることができる。よって、ブーム20が起こされた状態のときにブーム20に関する作業を作業者が行うための足場を、ブーム20に設ける必要をなくすことができる。このような足場をブーム20に設けない場合は、ブーム20の質量(自重)を低減させることができ、また、ブーム20の受風(受圧)面積を低減させることができる。その結果、ブーム20の作業能力(例えば吊上能力)を向上させることができ、また、ブーム20のあおり(たわみ、ねじれなど)に対する余裕度を向上させることができる。
【0093】
(第2の発明の効果)
[構成2]図8に示すように、足場装置50は、格納可能足場60を備える。格納可能足場60は、コンプレッションメンバ37aに格納された格納状態(図7参照)とコンプレッションメンバ37aから展開された展開状態とに、コンプレッションメンバ37aに取り付けられた状態で変化可能に構成される。
【0094】
上記[構成2]により、次の効果が得られる。格納可能足場60は、コンプレッションメンバ37aに取り付けられた状態で、格納状態と展開状態とに変化可能である。よって、格納可能足場60の状態を格納状態と展開状態とに変化させる際に、コンプレッションメンバ37aに対して格納可能足場60を着脱する必要がない。よって、コンプレッションメンバ37aに対して格納可能足場60を着脱する作業の手間を省くことができる。例えば、作業者が、格納可能足場60のコンプレッションメンバ37aへの取付位置に、格納可能足場60を持って上がる作業などを不要にすることができる。
【0095】
また、上記[構成2]では、格納可能足場60で作業者が作業を行わないときにも、格納可能足場60は、コンプレッションメンバ37aに取り付けられている。よって、コンプレッションメンバ37aに足場が取り付けられず、ブーム20(図2参照)に足場が取り付けられている場合などに比べ、作業機械1の重心が、より後側X2の位置になる。よって、作業機械1の後方安定度が有利になるので、作業機械1の作業能力(例えば吊上能力)を向上させることができる。
【0096】
(第3の発明の効果)
[構成3]図4に示すように、格納可能足場60は、コンプレッションメンバ37aに回転可能に取り付けられる。格納可能足場60は、コンプレッションメンバ37aに対して回転することで展開状態(図3参照)と格納状態とに変化するように構成される。
【0097】
上記[構成3]により、次の効果が得られる。格納可能足場60が展開状態と格納状態とに変化させるための格納可能足場60の動きが、コンプレッションメンバ37aに対する回転とは異なる動きである場合に比べ、格納可能足場60を展開状態と格納状態とに変化させるための構成を簡素にすることができる。なお、上記「コンプレッションメンバ37aに対する回転とは異なる動き」は、例えば平行移動(スライド)などである。
【0098】
(第4の発明の効果)
[構成4]格納可能足場60は、上格納足場本体63aと、上格納足場回転支持部63gと、を備える。上格納足場本体63aは、上側Z1および後側X2に回転することで展開状態から格納状態に変化するようにコンプレッションメンバ37aに回転可能に取り付けられる。図3に示すように、上格納足場回転支持部63gは、展開状態の上格納足場本体63aを下側Z2から支持することで、コンプレッションメンバ37aに対する上格納足場本体63aの回転を制限するように構成される。
【0099】
上記[構成4]では、格納状態から展開状態に変化するときの上格納足場本体63aの回転の軌跡と重ならない位置に、上格納足場回転支持部63gを配置することができる。よって、コンプレッションメンバ37aに対する上格納足場本体63aの回転を制限するための構成を簡素にすることができる。具体的には例えば、コンプレッションメンバ37aに対して可動の支持部材(例えば、下格納足場回転支持部65gを参照)を用いる必要がない。
【0100】
(第5の発明の効果)
[構成5]図4に示すように、格納可能足場60は、下格納足場本体65aを備える。下格納足場本体65aは、下側Z2に回転することで展開状態から格納状態に変化するようにコンプレッションメンバ37aに回転可能に取り付けられる。格納状態の下格納足場本体65aは、コンプレッションメンバ37aが延びる方向に延びるように配置される。
【0101】
上記[構成5]では、下格納足場本体65aは、コンプレッションメンバ37aが延びる方向に延びるように配置された格納状態から、上側Z1に回転することで、格納状態から展開状態に変化する。よって、例えば、前側X1および下側Z2に回転することで格納状態から展開状態に変化する場合(上格納足場本体63aを参照)に比べ、格納状態から展開状態に変化させるための下格納足場本体65aの回転角度を小さくすることができる。よって、下格納足場本体65aの状態を格納状態と展開状態とに変化させるために、下格納足場本体65aに対して行われる作業を簡素にすることができる。
【0102】
(第6の発明の効果)
[構成5]格納可能足場60は、上格納足場本体63aと、下格納足場本体65aと、を備える。上格納足場本体63aは、上側Z1および後側X2に回転することで展開状態から格納状態に変化するようにコンプレッションメンバ37aに回転可能に取り付けられる。下格納足場本体65aは、下側Z2に回転することで展開状態から格納状態に変化するようにコンプレッションメンバ37aに回転可能に取り付けられる。下格納足場本体65aは、コンプレッションメンバ37aが起こされた状態のときに上格納足場本体63aよりも下側Z2の位置に配置される。
【0103】
上記[構成5]により、上格納足場本体63aよりも上側Z1に下格納足場本体65aが配置される場合に比べ、上格納足場本体63aおよび下格納足場本体65aの格納スペースを容易に確保することができる(詳細は上述)。また、コンプレッションメンバ37aに対する上格納足場本体63aの回転軸(上格納足場回転軸63a1)と、コンプレッションメンバ37aに対する下格納足場本体65aの回転軸(下格納足場回転軸65a1)とを近い位置に配置することができる。その結果、図3に示すように展開状態の下格納足場本体65aと展開状態の上格納足場本体63aとの前後方向Xにおける間隔を小さくすること、または、なくすように、下格納足場本体65aと上格納足場本体63aとを容易に配置することができる。
【0104】
(第7の発明の効果)
[構成7]図2に示すように、作業機械1は、足場装置アクセス部材43を備える。足場装置アクセス部材43は、ガード上面15(機械本体10の上面)と足場装置50との間での通路となり、足場装置50に着脱可能である。
【0105】
上記[構成7]の足場装置アクセス部材43により、ガード上面15と足場装置50との間で、作業者が、容易に移動できる。この足場装置アクセス部材43は、足場装置50に着脱可能であるため、足場装置アクセス部材43が使用されないときに足場装置50から取り外すことができる。例えば、足場装置50に足場装置アクセス部材43が取り付けられた状態で、コンプレッションメンバ37aが機械本体10に対して伏せられるとする。すると、足場装置アクセス部材43が、足場装置アクセス部材43の周囲の部材(機械本体10など)と干渉するおそれがある。一方、足場装置アクセス部材43が足場装置50から取り外された状態では、コンプレッションメンバ37aが機械本体10に対して伏せられるときに、この干渉の問題が生じない。
【0106】
(第8の発明の効果)
[構成8]上記「前側起伏部材」は、図1に示すブーム20である。上記「後側起伏部材」は、機械本体10に対してブーム20を起伏させるためのガントリ37のコンプレッションメンバ37aである。
【0107】
上記[構成8]により、作業者は、コンプレッションメンバ37aに設けられた足場装置50から、起こされた状態のブーム20に関する作業(ブーム設置機器23に対する作業)を行うことができる。
【0108】
(変形例)
上記実施形態は様々に変形されてもよい。例えば、上記実施形態の構成要素(変形例を含む)の数が変更されてもよく、構成要素の一部が設けられなくてもよい。例えば、上記実施形態の変形例どうしが様々に組み合わされてもよい。例えば、構成要素どうしの固定や連結などは、直接的でも間接的でもよい。例えば、構成要素の配置は、様々に変更されてもよい。例えば、構成要素の包含関係は、様々に変更されてもよい。例えば、ある上位の構成要素に含まれる下位の構成要素として説明したものが、この上位の構成要素に含まれなくてもよく、他の構成要素に含まれてもよい。例えば、互いに異なる複数の部材や部分として説明したものが、一つの部材や部分とされてもよい。例えば、一つの部材や部分として説明したものが、互いに異なる複数の部材や部分に分けて設けられてもよい。例えば、各構成要素は、各特徴(作用機能、配置、形状、作動など)の一部のみを有してもよい。
【符号の説明】
【0109】
1 作業機械
10 機械本体
20 ブーム(前側起伏部材)
37a コンプレッションメンバ(後側起伏部材)
43 足場装置アクセス部材
50 足場装置
60 格納可能足場
63a 上格納足場本体
63g 上格納足場回転支持部
65a 下格納足場本体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9