(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087466
(43)【公開日】2024-07-01
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/01 20060101AFI20240624BHJP
G03G 9/09 20060101ALI20240624BHJP
G03G 9/08 20060101ALI20240624BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20240624BHJP
G03G 15/36 20060101ALI20240624BHJP
【FI】
G03G15/01 J
G03G9/09
G03G9/08 391
G03G15/01 S
G03G15/00 303
G03G15/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022202303
(22)【出願日】2022-12-19
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174104
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 康一
(72)【発明者】
【氏名】小嶋 剛史
【テーマコード(参考)】
2H270
2H300
2H500
【Fターム(参考)】
2H270KA04
2H270KA32
2H270KA68
2H270LA60
2H270LA87
2H270LA90
2H270LB02
2H270MA06
2H270MB04
2H270MB09
2H270MB43
2H270PA68
2H270PA83
2H270ZC03
2H270ZC04
2H270ZC08
2H300EB05
2H300EB07
2H300EB12
2H300EC05
2H300EF03
2H300EJ01
2H300EJ09
2H300EJ10
2H300EJ47
2H300EJ48
2H300EJ49
2H300EJ50
2H300EJ56
2H300FF14
2H300GG17
2H300KK03
2H300KK06
2H300KK08
2H300KK12
2H300KK14
2H300RR21
2H300RR41
2H300SS12
2H300TT03
2H300TT04
2H500AA06
2H500AA13
2H500AA14
2H500CB06
2H500EA22A
(57)【要約】
【課題】印刷物の金属光沢感を安定化させる。
【解決手段】画像形成装置1は、シルバー現像剤が収容される収容部を含み、シルバー現像剤によりシルバー現像剤像ISを形成可能である第1の画像形成部90と、受信した印刷データに応じて第1の画像形成部90の動作を制御する制御部92とを設け、制御部92は、収容部に収容されたシルバー現像剤が第1残量の際に所定の印刷データに基づいて光輝性画像を用紙P上に形成させるとき、光輝性画像の単位面積当たりに形成される割合を第1面積率としたシルバー現像剤像ISを形成させ、収容部に収容されたシルバー現像剤が第1残量よりも少ない第2残量の際に所定の印刷データに基づいて光輝性画像を用紙P上に形成させるとき、光輝性画像の単位面積当たりに形成される割合を第1面積率よりも大きい第2面積率としたシルバー現像剤像ISを形成させる。
【選択図】
図15
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光輝性現像剤が収容される収容部を含み、前記光輝性現像剤により光輝性現像剤像を形成可能な第1の画像形成部と、
受信した印刷データに応じて前記第1の画像形成部の動作を制御する制御部と
を備え、
前記制御部は、
前記収容部に収容された前記光輝性現像剤が第1残量の際に所定の印刷データに基づいて光輝性画像を媒体上に形成させるとき、前記光輝性画像の単位面積当たりに形成される割合を第1面積率とした前記光輝性現像剤像を形成させ、
前記収容部に収容された前記光輝性現像剤が前記第1残量よりも少ない第2残量の際に前記所定の印刷データに基づいて前記光輝性画像を前記媒体上に形成させるとき、前記光輝性画像の単位面積当たりに形成される割合を前記第1面積率よりも大きい第2面積率とした前記光輝性現像剤像を形成させる
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
黒色現像剤像を形成可能な少なくとも1つ以上の画像形成部を含む第2の画像形成部
をさらに備え、
前記制御部は、
受信した前記印刷データに応じて前記第1の画像形成部及び前記第2の画像形成部の動作を制御し、
前記収容部に収容された前記光輝性現像剤が前記第1残量の際に前記所定の印刷データに基づいて前記光輝性画像を前記媒体上に形成させるとき、前記光輝性画像の単位面積当たりに形成される割合を前記第1面積率とした前記光輝性現像剤像を形成させると共に、前記光輝性画像の単位面積当たりに形成される割合を第3面積率とした前記黒色現像剤像を形成させ、
前記収容部に収容された前記光輝性現像剤が前記第2残量の際に前記所定の印刷データに基づいて前記光輝性画像を前記媒体上に形成させるとき、前記光輝性画像の単位面積当たりに形成される割合を前記第2面積率とした前記光輝性現像剤像を形成させると共に、前記光輝性画像の単位面積当たりに形成される割合を前記第3面積率よりも小さい第4面積率とした前記黒色現像剤像を形成させる
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
黒色現像剤像を形成可能な少なくとも1つ以上の画像形成部を含む第2の画像形成部
をさらに備え、
前記制御部は、
受信した前記印刷データに応じて前記第1の画像形成部及び前記第2の画像形成部の動作を制御し、
前記収容部に収容された前記光輝性現像剤が前記第1残量の際に前記所定の印刷データに基づいて前記光輝性画像を前記媒体上に形成させるとき、前記光輝性画像の単位面積当たりに形成される割合を前記第1面積率とした前記光輝性現像剤像を形成させると共に、前記光輝性画像の単位面積当たりに形成される割合を第3面積率とした前記黒色現像剤像を形成させ、
前記収容部に収容された前記光輝性現像剤が前記第2残量の際に前記所定の印刷データに基づいて前記光輝性画像を前記媒体上に形成させるとき、前記光輝性画像の単位面積当たりに形成される割合を前記第2面積率とした前記光輝性現像剤像を形成させると共に、前記光輝性画像の単位面積当たりに形成される割合を第4面積率とした前記黒色現像剤像を形成させ、
前記第1面積率に対する前記第3面積率の割合よりも、前記第2面積率に対する前記第4面積率の割合を小さくする
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記第1面積率よりも、前記第3面積率の方を小さくする
ことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記光輝性現像剤像と前記媒体との間に前記黒色現像剤像を形成させる
ことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記光輝性現像剤像の形成領域外に前記黒色現像剤像を形成させる
ことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記光輝性現像剤像の領域と前記黒色現像剤像の領域との間に、白色の領域を配置させる
ことを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記光輝性現像剤像の領域と前記黒色現像剤像の領域との間に、現像剤像が形成されない領域を形成させる
ことを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記制御部は、
前記光輝性現像剤像の領域と前記黒色現像剤像の領域との間に、白色の現像剤による現像剤像の領域を形成させる
ことを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記第2の画像形成部は、ブラック現像剤を用いて前記黒色現像剤像を形成する前記画像形成部を含む
ことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記第2の画像形成部は、少なくともイエロー現像剤、マゼンタ現像剤及びシアン現像剤をそれぞれ形成する複数の前記画像形成部を含む
ことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記収容部に収容された前記光輝性現像剤の残量を検出する検出部
をさらに備え、
前記制御部は、
前記検出部により検出された前記第1残量及び前記第2残量に基づいて、前記第1の画像形成部の動作を制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置に関し、例えば電子写真方式のプリンタに適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置(プリンタとも呼ばれる)として、コンピュータ装置等から供給される画像に基づき、現像剤(トナーとも呼ばれる)を用いて画像形成ユニットにより現像剤像(トナー画像とも呼ばれる)を形成して紙等の媒体に転写し、これに熱及び圧力を加えて定着させることにより、印刷処理を行うものが広く普及している。
【0003】
また現像剤の中には、光輝性を持たせる等の目的で、シルバー現像剤等のようにアルミニウム等のような光輝性顔料を含有するものがある。また画像形成装置においては、金属光沢感を得るために、シルバー現像剤の重量平均分子量と、光輝性顔料の大きさと、シルバー現像剤中における光輝性顔料の含有量とを規定することにより、高い光輝性(FI値)を有する印刷物を形成するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながらこのような画像形成装置においては、光輝性現像剤を有する印刷物を印刷した場合、安定した金属光沢感を得ることが困難な場合があった。
【0006】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、印刷物の金属光沢感を安定化させ得る画像形成装置を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決するため本発明の画像形成装置においては、光輝性現像剤が収容される収容部を含み、光輝性現像剤により光輝性現像剤像を形成可能な第1の画像形成部と、受信した印刷データに応じて第1の画像形成部の動作を制御する制御部とを設け、制御部は、収容部に収容された光輝性現像剤が第1残量の際に所定の印刷データに基づいて光輝性画像を媒体上に形成させるとき、光輝性画像の単位面積当たりに形成される割合を第1面積率とした光輝性現像剤像を形成させ、収容部に収容された光輝性現像剤が第1残量よりも少ない第2残量の際に所定の印刷データに基づいて光輝性画像を媒体上に形成させるとき、光輝性画像の単位面積当たりに形成される割合を第1面積率よりも大きい第2面積率とした光輝性現像剤像を形成させるようにした。
【0008】
本発明は、光輝性現像剤の残量が少なくなったとしても金属光沢感の上昇を抑制することができ、第1の画像形成部における光輝性現像剤の使用開始時から光輝性現像剤の終了時までに亘って、安定した金属光沢感を有する印刷物を得ることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、光輝性現像剤の残量が少なくなったとしても金属光沢感の上昇を抑制することができ、第1の画像形成部における光輝性現像剤の使用開始時から光輝性現像剤の終了時までに亘って、安定した金属光沢感を有する印刷物を得ることができ、かくして印刷物の金属光沢感を安定化させ得る画像形成装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】画像形成ユニットの構成を示す左側面図である。
【
図3】画像形成装置の制御構成を示すブロック図である。
【
図13】変角光度計による光の照射及び受光を示す図である。
【
図15】実施例及び比較例におけるドットカウントに応じた印刷パターンを示す表である。
【
図17】画像形成装置の機能構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
【0012】
[1.画像形成装置の構成]
図1に示すように、本実施の形態による画像形成装置1は、電子写真方式のカラープリンタであり、用紙Pにカラーの画像を形成する(すなわち印刷する)。因みに画像形成装置1は、原稿を読み取るイメージスキャナ機能や電話回線を使用した通信機能等を有しておらず、プリンタ機能のみを有する単機能のSFP(Single Function Printer)となっている。
【0013】
画像形成装置1は、略箱型に形成された筐体2の内部に種々の部品が配置されている。因みに以下では、
図1における右端部分を画像形成装置1の正面とし、この正面と対峙して見た場合の上下方向、左右方向及び前後方向をそれぞれ定義した上で説明する。
【0014】
画像形成装置1は、印刷制御部3により全体を統括制御する。この印刷制御部3は、CPU(Central Processing Unit)23(
図3)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等を有しており、所定のプログラムを読み出して実行することにより、様々な処理を実行する。また印刷制御部3は、コンピュータ装置等の上位装置20(
図3)と無線又は有線により接続されており、この上位装置20から印刷対象の画像を表す画像データが与えられると共に該画像データの印刷が指示されると、用紙Pの表面に印刷画像を形成する印刷処理を実行する。
【0015】
筐体2の内部における上側には、前側から後側へ向かって、5個の画像形成ユニット10K、10C、10M、10Y及び10Sが順に配置されている。画像形成ユニット10K、10C、10M、10Y及び10Sは、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)及び特色(S)の各色にそれぞれ対応しているものの、色のみが相違しており、何れも同様に構成されている。また、筐体2の内部における上側には、LED(Light Emitting Diode)ヘッド14(
図2)が画像形成ユニット10K、10C、10M、10Y及び10Sに対向するように構成されている。
【0016】
ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)及びイエロー(Y)は、何れも一般的なカラープリンタにおいて用いられる色(以下、これを通常色と呼ぶ)である。一方、特色(S)は、例えばホワイト(白色)、クリア(透明色又は無色)やシルバー(銀色)のような特殊な色である。説明の都合上、以下では画像形成ユニット10K、10C、10M、10Y及び10Sをまとめて画像形成ユニット10とも呼ぶ。
【0017】
図2に示すように、画像形成ユニット10は、大きく分けて画像形成本体部11、現像剤収容器12及び現像剤供給部13により構成されている。因みに画像形成ユニット10及びこれを構成する各部品は、用紙Pにおける左右方向の長さに応じて、左右方向に十分な長さを有している。このため多くの部品は、前後方向や上下方向の長さに対して左右方向の長さが比較的長くなっており、左右方向に沿って細長い形状に形成されている。
【0018】
現像剤収容器12は、内部に現像剤を収容しており、画像形成ユニット10に対して着脱可能に構成されている。この現像剤収容器12は、画像形成ユニット10に装着される場合、現像剤供給部13を介して画像形成本体部11に取り付けられる。因みに現像剤収容器12は、トナーカートリッジと呼ばれる場合もある。
【0019】
因みに、銀色の現像剤は、光輝性顔料を含有する現像剤が使用される。説明の都合上、以下では銀色の現像剤をシルバー現像剤とも呼ぶ。またイエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの現像剤は、有機系の顔料、例えばピグメントイエロー、ピグメントブルー、ピグメントレッド及びカーボンブラック等を含有する現像剤が使用される。説明の都合上、以下ではイエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの現像剤をまとめてカラー現像剤とも呼ぶ。さらに以下では、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの各カラー現像剤を、イエロー現像剤、マゼンタ現像剤、シアン現像剤及びブラック現像剤とも呼ぶ。
【0020】
画像形成本体部11(
図2)には、画像形成筐体30、現像剤収容空間31、第1供給ローラ32、第2供給ローラ33、現像ローラ34、現像ブレード35、感光体ドラム36、帯電ローラ37及びクリーニングブレード38が組み込まれている。このうち第1供給ローラ32、第2供給ローラ33、現像ローラ34、感光体ドラム36及び帯電ローラ37は、それぞれ中心軸を左右方向に沿わせた円柱状に構成されており、それぞれ画像形成筐体30により回転可能に支持されている。
【0021】
因みに特色(S)の画像形成ユニット10Sでは、予めユーザに選択された色(クリア色、金色(ゴールド)や銀色(シルバー)等)の現像剤が収容された現像剤収容器12が、現像剤供給部13を介して画像形成本体部11に装着される。
【0022】
現像剤収容空間31は、現像剤収容器12から現像剤供給部13を介して供給される現像剤を収容する。第1供給ローラ32、第2供給ローラ33は、それぞれ周側面に導電性ウレタンゴム発泡体等でなる弾性層が形成されている。現像ローラ34は、周側面に弾性を有する弾性層や導電性を有する表面層等が形成されている。現像ブレード35は、例えば所定厚さのステンレス鋼板でなり、僅かに弾性変形させた状態で、その一部を現像ローラ34の周側面に当接させている。
【0023】
感光体ドラム36は、周側面に薄膜状の電荷発生層及び電荷輸送層が順次形成され、帯電し得るようになっている。帯電ローラ37は、周側面に導電性の弾性体が被覆されており、この周側面を感光体ドラム36の周側面に当接させている。クリーニングブレード38は、例えば薄板状の樹脂でなり、僅かに弾性変形させた状態で、その一部を感光体ドラム36の周側面に当接させている。
【0024】
LEDヘッド14は、画像形成本体部11における感光体ドラム36の上側に位置している。このLEDヘッド14は、複数の発光素子チップが左右方向に沿って直線状に配置されており、印刷制御部3(
図1)から供給される画像データ信号に基づいた発光パターンで各発光素子を発光させる。
【0025】
画像形成本体部11は、図示しないモータから駆動力が供給されることにより、第2供給ローラ33、現像ローラ34及び帯電ローラ37を矢印R1方向(図中の時計回り)へ回転させると共に、第1供給ローラ32及び感光体ドラム36を矢印R2方向(図中の反時計回り)へ回転させる。さらに画像形成本体部11は、印刷制御部3の制御に基づき、第1供給ローラ32、第2供給ローラ33、現像ローラ34、現像ブレード35及び帯電ローラ37にそれぞれ所定のバイアス電圧を印加することにより、それぞれ帯電させる。
【0026】
第1供給ローラ32及び第2供給ローラ33は、帯電により、現像剤収容空間31内の現像剤を周側面に付着させ、回転によりこの現像剤を現像ローラ34の周側面に付着させる。現像ローラ34は、現像ブレード35によって周側面から余分な現像剤が除去され、該現像剤が薄膜状に付着した状態として、この周側面を感光体ドラム36の周側面に当接させる。
【0027】
一方、帯電ローラ37は、帯電した状態で感光体ドラム36と当接することにより、該感光体ドラム36の周側面を一様に帯電させる。LEDヘッド14は、印刷制御部3(
図1)から供給される画像データ信号に基づいた発光パターンで、所定の時間間隔毎に発光することにより、感光体ドラム36を順次露光する。これにより感光体ドラム36は、その上端近傍において周側面に静電潜像が順次形成されていく。
【0028】
続いて感光体ドラム36は、矢印R2方向へ回転することにより、この静電潜像が形成された箇所を現像ローラ34と当接させる。これにより感光体ドラム36の周側面には、静電潜像を基に現像剤が付着し、画像データに基づいた現像剤像が現像される。感光体ドラム36は、さらに矢印R2方向へ回転することにより、現像剤像を該感光体ドラム36の下端近傍に到達させる。
【0029】
筐体2(
図1)内における各画像形成ユニット10の下側には、中間転写部40が配置されている。中間転写部40には、駆動ローラ41、従動ローラ42、バックアップローラ43、中間転写ベルト44、1次転写ローラ45(5個)、2次転写ローラ46及び逆屈曲ローラ47が設けられている。このうち駆動ローラ41、従動ローラ42、バックアップローラ43、各1次転写ローラ45、2次転写ローラ46及び逆屈曲ローラ47は、何れも中心軸を左右方向に沿わせた円柱状に形成され、筐体2により回転可能に支持されている。
【0030】
駆動ローラ41は、画像形成ユニット10Sの後下側に配置されており、図示しないベルトモータから駆動力が供給されると、矢印R1方向に回転する。従動ローラ42は、画像形成ユニット10Kの前下側に配置されている。駆動ローラ41及び従動ローラ42は、それぞれの上端が、各画像形成ユニット10における感光体ドラム36(
図2)の下端と同等若しくは僅かに下側に位置している。バックアップローラ43は、駆動ローラ41の前下側且つ従動ローラ42の後下側に配置されている。
【0031】
中間転写ベルト44は、高抵抗のプラスチックフィルムにより、無端ベルトとして構成されており、駆動ローラ41、従動ローラ42及びバックアップローラ43の周囲を周回するように張架されている。さらに中間転写部40には、中間転写ベルト44のうち駆動ローラ41及び従動ローラ42の間に張架された部分の下側、すなわち5個の画像形成ユニット10それぞれの真下となる位置であり、中間転写ベルト44を挟んで各感光体ドラム36とそれぞれ対向する位置に、5個の1次転写ローラ45がそれぞれ配置されている。この転写部としての1次転写ローラ45は、印刷制御部3の制御に基づき、所定のバイアス電圧が印加される。
【0032】
転写部としての2次転写ローラ46は、バックアップローラ43の真下に位置しており、該バックアップローラ43に向けて付勢されている。すなわち中間転写部40は、2次転写ローラ46及びバックアップローラ43の間に中間転写ベルト44を挟持している。また2次転写ローラ46は、所定のバイアス電圧が印加される。以下では、2次転写ローラ46及びバックアップローラ43を合わせて2次転写部49と呼ぶ。
【0033】
逆屈曲ローラ47は、駆動ローラ41の前側下寄り且つバックアップローラ43の上側後寄りとなる箇所に位置しており、中間転写ベルト44を前上方向に付勢している。これにより中間転写ベルト44は、弛みを生じること無く、各ローラの間でそれぞれ張力が作用する状態となる。また逆屈曲ローラ47の前上側における中間転写ベルト44を挟んだ位置には、逆屈曲バックアップローラ48が設けられている。
【0034】
中間転写部40は、図示しないベルトモータから供給される駆動力により駆動ローラ41を矢印R1方向へ回転させ、これにより中間転写ベルト44を矢印E1に沿った方向に走行させる。また各1次転写ローラ45は、所定のバイアス電圧が印加された状態で、矢印R1方向に回転する。これにより各画像形成ユニット10は、感光体ドラム36(
図2)の周側面における下端近傍に到達させていた現像剤像を、中間転写ベルト44にそれぞれ転写し、且つ各色の現像剤像を順次重ねる。このとき中間転写ベルト44の表面には、上流側のシルバー(S)から順次、各色の現像剤像が重ねられることになる。中間転写部40は、この中間転写ベルト44を走行させることにより、各画像形成ユニット10から転写された現像剤像を、バックアップローラ43の近傍に到達させる。
【0035】
ところで筐体2(
図1)の内部には、用紙Pを搬送するための経路である搬送経路Wが形成されている。この搬送経路Wは、筐体2内における下端前寄りから前上方向へ向かい、約半回転した後、中間転写部40の下側を後方向へ進行する。続いて搬送経路Wは、上方向に向かい、中間転写部40及び画像形成ユニット10Sの後側を上方向へ進行した後、前方向へ向かう。すなわち搬送経路Wは、
図1においてあたかも英大文字の「S」を描くように形成されている。筐体2の内部では、この搬送経路Wに沿って種々の部品が配置されている。
【0036】
筐体2(
図1)の内部における下端近傍には、第1給紙部50が配置されている。第1給紙部50には、用紙カセット51、ピックアップローラ52、フィードローラ53、リタードローラ54、搬送ガイド55並びに搬送ローラ対56、57及び58等が設けられている。因みにピックアップローラ52、フィードローラ53、リタードローラ54、並びに搬送ローラ対56、57及び58は、何れも中心軸を左右方向に沿わせた円柱状に形成されている。
【0037】
用紙カセット51は、中空の直方体状に構成されており、その内部に用紙Pの紙面を上下方向に向けて重ねた状態で、すなわち集積した状態で収納する。また用紙カセット51は、筐体2に対して着脱可能となっている。
【0038】
ピックアップローラ52は、用紙カセット51内に収納された用紙Pの最上面における前端近傍に当接されている。フィードローラ53は、ピックアップローラ52の前方に僅かに離れて配置されている。リタードローラ54は、フィードローラ53の下側に位置しており、該フィードローラ53との間に1枚の用紙Pの厚さに相当する隙間を形成している。
【0039】
第1給紙部50は、図示しない給紙モータから駆動力が供給されると、ピックアップローラ52、フィードローラ53及びリタードローラ54を適宜回転させ、又は停止させる。これによりピックアップローラ52は、用紙カセット51内に収納された用紙Pのうち、最上面の1枚又は複数枚を前方へ繰り出す。またフィードローラ53及びリタードローラ54は、用紙Pのうち最上面の1枚をさらに前方へ繰り出す一方、2枚目以下をせき止める。かくして第1給紙部50は、用紙Pを1枚ずつに分離しながら前方へ繰り出していく。
【0040】
搬送ガイド55は、搬送経路Wにおける前下側部分に配置されており、この搬送経路Wに沿って用紙Pを前上方向へ進行させ、さらに後上方向に進行させる。搬送ローラ対56及び57は、搬送ガイド55の中央付近及び上端近傍にそれぞれ配置されており、図示しない給紙モータから駆動力が供給されて所定方向に回転する。これにより搬送ローラ対56及び57は、用紙Pを搬送経路Wに沿って進行させる。
【0041】
また筐体2における搬送ローラ対57の前側には、第2給紙部60が設けられている。第2給紙部60には、用紙トレイ61、ピックアップローラ62、フィードローラ63及びリタードローラ64等が設けられている。用紙トレイ61は、上下方向に薄い板状に形成されており、その上側に用紙P2を載置させる。因みに用紙トレイ61には、例えば用紙カセット51に収納されている用紙Pと大きさや紙質が異なる用紙P2が載置される。
【0042】
ピックアップローラ62、フィードローラ63及びリタードローラ64は、第1給紙部50のピックアップローラ52、フィードローラ53及びリタードローラ54とそれぞれ同様に構成されている。第2給紙部60は、図示しない給紙モータから駆動力が供給されると、ピックアップローラ62、フィードローラ63及びリタードローラ64を適宜回転させ、又は停止させることにより、用紙トレイ61上の用紙P2のうち最上面の1枚を後方へ繰り出す一方、2枚目以下をせき止める。かくして第2給紙部60は、用紙P2を1枚ずつに分離しながら後方へ繰り出す。このとき繰り出された用紙P2は、搬送ローラ対57により搬送経路Wに沿って用紙Pと同様に搬送される。説明の都合上、以下では用紙P2を用紙Pと区別すること無く、単に用紙Pと呼ぶ。
【0043】
因みに搬送ローラ対57は、回転が適宜抑制されており、用紙Pに摩擦力を作用させることにより、進行方向に対して該用紙Pの側辺が傾斜する、いわゆる斜行を修正し、先頭及び末尾の端辺を左右に沿わせた状態としてから、後方へ送り出す。搬送ローラ対58は、搬送ローラ対57から後方へ所定間隔だけ離れた箇所に位置しており、搬送ローラ対56等と同様に回転することにより、搬送経路Wに沿って搬送される用紙Pに駆動力を供給し、該用紙Pを該搬送経路Wに沿ってさらに後方へ進行させる。
【0044】
搬送ローラ対58の後側には、上述した中間転写部40の2次転写部49、すなわちバックアップローラ43及び2次転写ローラ46が配置されている。この2次転写部49では、画像形成ユニット10において形成され中間転写ベルト44に転写された状態の現像剤像が、該中間転写ベルト44の走行に伴って近接しており、且つ2次転写ローラ46に所定のバイアス電圧が印加されている。このため2次転写部49は、中間転写ベルト44から、搬送経路Wに沿って搬送されてきた用紙Pに対し、現像剤像を転写して、さらに後方へ進行させる。
【0045】
また画像形成装置1には、従動ローラ42の後下側に、濃度センサDSが設けられている。濃度センサDSは、中間転写ベルト44の表面に転写された現像剤像における現像剤の濃度を検出し、得られた検出結果を印刷制御部3に通知する。これに応じて印刷制御部3は、各画像形成ユニット10において形成する各色の現像剤像における現像剤の濃度をそれぞれ補正する濃度補正を行い、該現像剤の濃度が所望の値となるように、各部のバイアス電圧等をフィードバック制御する。
【0046】
2次転写部49の後側には、定着部65が配置されている。定着部65は、搬送経路Wを挟んで対向するように配置された加熱部66及び加圧部67により構成されている。加熱部66は、中空の無端ベルトでなる加熱ベルトの内側に、発熱するヒータや複数のローラ等が配置されている。加圧部67は、中心軸を左右方向に沿わせた円柱状の加圧ローラとして形成されており、上側の表面を加熱部66における下側の表面に押し付け、ニップ部を形成している。
【0047】
この定着部65は、印刷制御部3の制御に基づき、加熱部66のヒータを所定の温度に加熱すると共にローラを適宜回転させて加熱ベルトを矢印R1方向へ回転するように走行させ、また加圧部67を矢印R2方向へ回転させる。そのうえで定着部65は、2次転写部49により現像剤像が転写された用紙Pを受け取ると、これを加熱部66及び加圧部67により挟持し(すなわちニップし)、熱及び圧力を加えることにより該現像剤像を該用紙Pに定着させて、後方へ送り出す。
【0048】
定着部65の後側には、搬送ローラ対68が配置され、その後側に切替部69が配置されている。切替部69は、印刷制御部3の制御に従って用紙Pの進行方向を上側又は下側に切り替える。切替部69の上側には、排紙部70が設けられている。排紙部70は、用紙Pを搬送経路Wに沿って上方へ案内する搬送ガイド71、並びに搬送経路Wを挟んで互いに対向する搬送ローラ対72、73、74及び75等により構成されている。
【0049】
また切替部69、定着部65及び2次転写部49等の下側には、再搬送部77が配置されている。再搬送部77は、再搬送経路Uを構成する搬送ガイドや搬送ローラ対(図示せず)等を有している。再搬送経路Uは、切替部69の下側から下方へ向かい、やがて前方へ進行した後、搬送ローラ対57の下流側において搬送経路Wに合流する。
【0050】
印刷制御部3は、用紙Pを排出する場合、切替部69により用紙Pの進行方向を上側の排紙部70側に切り替える。排紙部70は、切替部69から受け取った用紙Pを上方へ搬送し、排出口76から排紙トレイ2Tへ排出する。また印刷制御部3は、用紙Pを戻す場合、切替部69により用紙Pの進行方向を下側の再搬送部77側に切り替える。再搬送部77は、切替部69から受け取った用紙Pを再搬送経路Uに搬送し、やがて搬送ローラ対57の下流側に到達させて該用紙Pを搬送経路Wに沿って再び搬送させる。これにより画像形成装置1では、用紙Pの紙面を反転させた状態で該用紙Pを搬送経路Wに戻すため、いわゆる両面印刷を行うことができる。
【0051】
このように画像形成装置1では、画像形成ユニット10において現像剤を用いた現像剤像を形成して中間転写ベルト44に転写し、2次転写部49において該現像剤像を該中間転写ベルト44から用紙Pに転写させ、さらに定着部65において定着させることにより、該用紙Pに画像を印刷する(すなわち画像を形成する)。説明の都合上、以下では、シルバー現像剤(光輝性現像剤)により形成された現像剤像をシルバー現像剤像(光輝性現像剤像)とも呼び、カラー現像剤により形成された現像剤像をカラー現像剤像とも呼ぶ。
【0052】
例えば画像形成装置1は、画像形成ユニット10においてシルバー現像剤によるシルバー現像剤像とカラー現像剤とによるカラー現像剤像とを中間転写ベルト44に順次転写した場合、2次転写部49においてこれらの現像剤像が用紙Pに転写される。これにより用紙Pは、該用紙Pの表面にカラー現像剤像が付着し、該カラー現像剤像の表面にさらにシルバー現像剤像が重畳された状態となる。これを換言すれば、用紙Pとシルバー現像剤像との間に、シルバー現像剤像と重畳するようにカラー現像剤像が配置された状態となる。
【0053】
以下では、黒色現像剤としてのブラック現像剤により形成されたカラー現像剤像をブラック現像剤像とも呼び、イエロー現像剤により形成されたカラー現像剤像をイエロー現像剤像とも呼び、マゼンタ現像剤により形成されたカラー現像剤像をマゼンタ現像剤像とも呼び、シアン現像剤により形成されたカラー現像剤像をシアン現像剤像とも呼ぶ。
【0054】
ここで、本実施の形態においては、分光測色計(SE7700:日本電色工業株式会社製)によりC光源、角度は2[°]の設定で測定された際に、彩度5以下かつ明度20未満の現像剤が使用されて形成される現像剤像を、ブラック現像剤像と定義する。また本実施の形態においては、彩度5以下かつ明度20以上70未満の現像剤が使用されて形成される現像剤像を、灰色現像剤像と定義する。
【0055】
さらに以下では、ブラック現像剤像にシルバー現像剤像を重畳させる印刷処理を光輝重畳印刷処理と呼び、光輝重畳印刷処理により得られた印刷物をシルバーブラック重畳印刷物とも呼ぶ。さらに以下では、ブラック現像剤像にシルバー現像剤像を重畳させることなくブラック現像剤像とシルバー現像剤像とを形成する印刷処理を光輝非重畳印刷処理と呼び、光輝非重畳印刷処理により得られた印刷物をシルバーブラック非重畳印刷物とも呼ぶ。またさらに以下では、シルバー現像剤像単体での印刷処理をシルバー現像剤印刷処理と呼び、シルバー現像剤印刷処理により得られた印刷物をシルバー印刷物とも呼ぶ。
【0056】
因みに画像形成装置1では、印刷制御部3の制御によって各部に印加するバイアス電圧の絶対値を増加させることにより、用紙Pに転写される現像剤像における現像剤の形成量(すなわち付着量)(以下これを媒体上形成量と呼ぶ)を増加させる一方、該バイアス電圧の絶対値を減少させることにより、媒体上形成量を減少させることができる。また画像形成装置1では、印刷制御部3の制御によって現像剤の印刷画像密度(詳しくは後述する)を増加させることにより、用紙Pに転写される現像剤像における媒体上形成量を増加させる一方、該印刷画像密度を減少させることにより、媒体上形成量を減少させることができる。さらに画像形成装置1では、印刷制御部3の制御によって2次転写部49における転写効率を増加させることにより、用紙Pに転写される現像剤像における媒体上形成量を増加させる一方、該転写効率を減少させることにより、媒体上形成量を減少させることができる。
【0057】
[2.画像形成装置の制御構成]
図3に示すように、画像形成装置1は、CPU23、メモリ19及びセンサ22を有している。CPU23は、印刷制御部3、インターフェイス部17、表示制御部18、プロセス制御部80、現像電圧制御部81、供給電圧制御部82、露光制御部83、転写電圧制御部84、モータ制御部85及びデータ有無判断部86を有している。
【0058】
印刷制御部3は、画像形成装置1全体の動作を制御する。インターフェイス部17は、例えばコンピュータ装置等の上位装置20から送信された印刷データを受信し、印刷データを印刷制御部3に提供する。表示制御部18は、印刷制御部3からの指示信号に基づいて、表示部21の表示状態を制御する。
【0059】
プロセス制御部80は、画像形成ユニット10等の各部の電圧を制御する。現像電圧制御部81は、現像ローラ34のバイアス電圧を制御する。供給電圧制御部82は、第1供給ローラ32、第2供給ローラ33及び現像ブレード35のバイアス電圧を制御する。露光制御部83は、LEDヘッド14のLEDの点灯及び消灯を制御する。転写電圧制御部84は、1次転写ローラ45のバイアス電圧を制御する。モータ制御部85は、感光体ドラム36等を所定方向に回転させる。
【0060】
データ有無判断部86は、上位装置20から送信されインターフェイス部17によって受信された印刷データを分析し、画像形成ユニット10によって印刷すべき画像データが存在するか否かを判断する。
【0061】
このデータ有無判断部86は、データ変換テーブル87を有している。データ変換テーブル87は、受信した印刷データを画像形成ユニット10K、10C、10M、10Y及び10Sの印刷パターンに変換するものである。データ有無判断部86は、例えば、市販の画像作成ソフトウェアからRGB出力でレッド100[%]という色の印刷データを受信した場合に、データ変換テーブル87に内包されている変換式に従ってマゼンタ(M)100[%]とイエロー(Y)100[%]とで印刷すべき画像データであるというように判断する。
【0062】
さらにデータ有無判断部86は、特色銀専用データ変換テーブル88を有している。記憶部としての特色銀専用データ変換テーブル88は、銀色の印刷データを印刷する際に使用され、受信した印刷データを画像形成ユニット10K及び10Sの印刷パターンに変換するものである。また特色銀専用データ変換テーブル88は、画像形成ユニット10Sのドットカウントと、互いにシルバー現像剤像面積占有率及びブラック現像剤像面積占有率(後述する)が異なる印刷パターンとを対応付けた情報を有している。データ有無判断部86は、例えば、シルバー100[%]という色の印刷データを受信した場合に、特色銀専用データ変換テーブル88に内包されている変換式に従って、画像形成ユニット10Sのドットカウントに応じて、ブラック(K)とシルバー(S)とを用いた、
図6に示す印刷パターンPT2、
図7に示す印刷パターンPT3、
図8に示す印刷パターンPT4、
図9に示す印刷パターンPT5、
図10に示す印刷パターンPT6、
図11に示す印刷パターンPT7又は
図12に示す印刷パターンPT8の何れかで印刷すべき画像データであるというように判断する。
【0063】
メモリ19は、上述したROM及びRAMであり、印刷動作の手順を示す情報と各種補正を行う計算式等の各種情報(例えば、ソフトウェアプログラム)を格納する。またメモリ19は、画像形成ユニット10毎に、現像剤収容器12が装着されてから該画像形成ユニット10において印刷したドットの合計をカウントするドットカウンタが内包されている。このドットカウンタは、印刷制御部3が各画像形成ユニット10において印刷させたドットの数の合計を記憶しているものである。印刷制御部3が画像形成ユニット10Sに例えばA4紙全面に印刷画像密度(詳しくは後述する)が100[%]の画像パターン(いわゆるベタ画像)を送付した場合、該画像形成ユニット10Sにおけるドットカウントは16384カウントだけ増加する。センサ22は、用紙Pの位置の検出や温度湿度の検出等を行う。
【0064】
[3.現像剤の製造]
次に、画像形成ユニット10(
図2)の現像剤収容器12に収容される現像剤の製造について説明する。ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの現像剤は、画像形成装置1(C941dn:沖電気工業株式会社製)用の市販の現像剤を使用した。本実施の形態では、特色の現像剤は、シルバー現像剤を使用した。以下では、シルバー(銀色)の現像剤の製造について説明する。
【0065】
一般に、現像剤は、所望の色を発色させるための顔料の他に、この顔料を用紙P等の媒体に結着させるための結着樹脂や、帯電性を向上させるための外添剤等が含まれている。説明の都合上、以下では、顔料及び結着樹脂を含む粒子やこの粒子が集合した粉状物をトナー又はトナー粒子と呼び、このトナーの他に外添剤等を含む粉状物を現像剤と呼ぶ。なお、本実施の形態においては一成分現像方式で説明しているため光輝性顔料及び結着樹脂を含む粒子やこの粒子が集合した粉状物を光輝性トナー又は光輝性トナー粒子と呼び、この光輝性トナーの他に外添剤等を含む粉状物を光輝性現像剤と定義している。しかしながら、二成分現像方式で説明する場合、光輝性顔料及び結着樹脂を含む粒子やこの粒子が集合した粉状物を光輝性トナー又は光輝性トナー粒子と呼び、この光輝性トナーの他に外添剤を含む粉状物を光輝性現像剤と定義する。
【0066】
本実施の形態では、まず無機分散剤を分散させた水性媒体を生成する。具体的には、純水18400重量部に工業用リン酸三ナトリウム十二水和物600重量部を混合し、液温60[℃]で溶解させた後、pH(水素イオン指数)調整用の希硝酸を添加する。この水溶液に、純水2600重量部に工業用塩化カルシウム無水物300重量部を溶解させた塩化カルシウム水溶液を投入し、液温を60[℃]に維持しながら、ラインミル(プライミクス株式会社製)により回転速度を3566[rpm]で50分間高速撹拌させる。これにより、懸濁安定剤(無機分散剤)を分散させた水性媒体である水相を調整する。
【0067】
また本実施の形態では、材料分散油性媒体を生成する。具体的には、酢酸エチル7000重量部に対し、光輝性顔料(体積平均粒径5.4[μm])を470重量部、帯電制御剤(BONTRON E-84:オリエント化学工業株式会社製)を23重量部混合し、顔料分散液を作成する。このうち光輝性顔料は、アルミニウム(Al)の微小な薄片、すなわち平板状、扁平状若しくは鱗片状に形成された、平面状の部分を有する小片を含有している。以下では、この光輝性顔料をアルミニウム顔料又は金属顔料とも呼ぶ。なお、体積平均粒径は、体積粒位径、体積中位径又は平均中位径とも言う。なお、本実施の形態においては体積平均粒径が5.4[μm]の光輝性顔料を用いたが、光輝性顔料の体積平均粒径は5.3~5.7[μm]の範囲内であれば良い。
【0068】
その後、顔料分散液を、液温を60[℃]に維持しながら撹拌して、離型剤としてエステルワックス(WE-4:日油株式会社製)を175重量部、バインダ樹脂としてポリエステル樹脂を1670重量部投入し、固形物がなくなるまで撹拌させる。これにより、顔料分散油性媒体である油相を調製する。
【0069】
次に、液温を55[℃]に下げた水相に油相を投入し、造粒条件として回転速度を1000[rpm]で5分間撹拌することにより懸濁させ、懸濁液中に粒子を形成する。次に、懸濁液を減圧蒸留することにより酢酸エチルを除去し、現像剤を含むスラリーを形成する。次に、このスラリーに硝酸を加えてpH(水素イオン指数)を1.6以下にして撹拌し、懸濁安定剤であるリン酸三カルシウムを溶解させ、脱水することにより、現像剤を形成する。続いて、脱水した現像剤を純水に再分散させて撹拌し、水洗浄を行う。その後、脱水工程、乾燥工程及び分級工程を行うことにより、トナー母粒子を生成する。
【0070】
このようにして生成したトナー母粒子に、外添工程として小シリカ(RY200:日本アエロジル株式会社製)を1.5[重量%]、コロイダルシリカ(X24-9163A:信越化学工業株式会社製)を2.29[重量%]、メラミン粒子(エポスターS:株式会社日本触媒製)を0.37[重量%]入れて混合し、体積平均粒径が15.01[μm]のシルバー現像剤を得る。なお、本実施の形態においては体積平均粒径が15.01[μm]のシルバー現像剤を用いたが、シルバー現像剤の体積平均粒径は15.01±3.00[μm]の範囲内であれば良い。
【0071】
本実施の形態においては、精密粒度分布測定装置Multisizer3(ベックマン・コールター株式会社製)を使用して、現像剤の体積平均粒径を測定した。測定条件は、以下の通りである。
・アパチャー径:100[μm]
・電解液:アイソトンII(ベックマン・コールター株式会社製)
・分散液:ネオゲンS-20F(第一工業製薬株式会社製)を前述の電解液に溶解し、濃度5[%]に調整
本実施の形態においては、前述の分散液5[mL]に測定試料10~20[mg]を添加して超音波分散機にて1分間分散させ、その後に電解液25[mL]を添加して超音波分散機にて5分間分散させて、目開き75[μm]のメッシュを通して凝集物を取り除き、試料分散液を調整した。
さらに本実施の形態においては、この試料分散液を前述の電解液100[mL]に加え、前述の精密粒度分布測定装置により、3万個の粒子を測定して分布(すなわち体積粒度分布)を求め、この体積粒度分布を基に体積平均粒径(Dv50)を求めた。
なお体積平均粒径(Dv50)とは、粉体の粒径分布において、ある粒子径より大きい個数又は質量が、全粉体の個数又は質量の50[%]を占めるときの粒子径を言う。前述の精密粒度分布測定装置は、コールター原理により粒度分布を測定する。このコールター原理とは、細孔電気抵抗法と呼ばれ、電解質溶液中の細孔(アパチャー)に一定の電流を流し、その細孔を粒子が通過するときの細孔の電気抵抗の変化を計測することにより、粒子の体積を測定する方法である。
【0072】
[4.印刷パターンについて]
次に、印刷パターンについて記載する。
【0073】
[4-1.印刷パターンPT1について]
印刷パターンPT1は、A4用紙P全域に特色(シルバー)の印刷画像密度を100[%]とした画像パターン(いわゆるベタ画像)が指定された印刷データが上位装置20から画像形成装置1へ送信され、画像形成装置1が特色銀専用データ変換テーブル88を使用せずにシルバー現像剤印刷処理を行い、
図4に示すように用紙P上に作成したものである。印刷パターンPT1の場合、
図5に拡大図を示した印刷パターンPT1が、
図4に示すようにA4用紙P全域に敷き詰められて作成された印刷物であるシルバー印刷物が得られる。
【0074】
印刷パターンPT1は、シルバー現像剤により形成されたシルバー現像剤像ISのみにより構成されている。また印刷パターンPT1は、例えば16×16ドットの範囲(以下では単位面積とも呼ぶ)で見た際に、16×16ドットの全ての領域の分のドットである256ドット分だけシルバー現像剤像ISが形成されている。ここで、1ドット(1画素単位とも呼ぶ)とは、印刷パターンPT1を印刷命令の最小単位まで拡大した状態である。印刷パターンPT1は、600[dpi]のドットで形成されており、
図5中の最も小さい四角形が1ドットにあたる。印刷パターンPT1は、600[dpi]であるため、1ドットの幅及び高さは0.042[mm]である。
【0075】
印刷パターンPT1は、256ドットのうち256ドット分だけシルバー現像剤像ISが形成されているためシルバー現像剤像ISの面積占有割合(シルバー現像剤像面積占有率とも呼ぶ)が100[%]の印刷パターンであるとも言える。また印刷パターンPT1は、256ドットのうち0ドット分だけブラック現像剤により形成されたブラック現像剤像IBが形成されているためブラック現像剤像IBの面積占有割合(ブラック現像剤像面積占有率とも呼ぶ)が0[%]の印刷パターンであるとも言える。このように、印刷パターンPT1は、シルバー現像剤像面積占有率が100[%]、ブラック現像剤像面積占有率が0[%]の印刷パターンである。
【0076】
[4-2.印刷パターンPT2について]
印刷パターンPT2は、A4用紙P全域に特色(シルバー)のベタ画像が指定された印刷データが上位装置20から画像形成装置1へ送信され、画像形成装置1が特色銀専用データ変換テーブル88を使用して光輝非重畳印刷処理を行い、
図4に示すように用紙P上に作成したものである。
【0077】
このとき画像形成装置1は、予め保存された特色銀専用データ変換テーブル88を参照し、特色(シルバー)の100[%]という印刷データを、
図4の印刷パターンPT2の一部分である16×16ドットの範囲を
図6に示すように、黒色と特色とで用紙P上に印刷する命令に変換する。このように、印刷パターンPT2の場合、
図6に拡大図を示した印刷パターンPT2が、
図4に示すようにA4用紙P全域に敷き詰められて作成された印刷物であるシルバーブラック非重畳印刷物が得られる。
【0078】
印刷パターンPT2は、シルバー現像剤像ISとブラック現像剤像IBとにより構成されている。以下では、紙面上におけるシルバー現像剤像ISの領域をシルバー現像剤像領域ARISとし、ブラック現像剤像IBの領域をブラック現像剤像領域ARIBとする。
【0079】
シルバー現像剤像ISは、8×8ドットの正方形状であるシルバー現像剤像正方形ISSが互いに縦及び横に8ドットの間隔を空けて格子状に配置されている。ブラック現像剤像IBは、4×4ドットの正方形状であるブラック現像剤像正方形IBSが、シルバー現像剤像正方形ISS同士の間に配置されている。ブラック現像剤像正方形IBSとシルバー現像剤像正方形ISSとの間には、ブラック現像剤像正方形IBSの周囲を2ドットずつ1周分囲うように、現像剤像が形成されていない領域である白色領域WHが形成されている。すなわちブラック現像剤像正方形IBSは、用紙Pの紙面に沿う面方向においてシルバー現像剤像正方形ISSとの間に空白部である白色領域WHを空けて配置されている。
【0080】
このように印刷パターンPT2は、シルバー現像剤像領域ARIS以外の領域に、シルバー現像剤像領域ARISとの間に白色領域WHが形成された状態で、ブラック現像剤像領域ARIBが配置されている。また印刷パターンPT2は、例えば16×16ドットの範囲で見た際に、16×16ドットの全ての領域のうちの半分の領域の分のドットである128ドット分だけシルバー現像剤像ISが形成されていると共に、残りの領域にはブラック現像剤像IB及び白色領域WHが形成されている。さらに印刷パターンPT2は、例えば16×16ドットの範囲で見た際に、シルバー現像剤像ISが128ドット分だけ形成されていると共に、ブラック現像剤像IBが32ドット分だけ形成されている。このため印刷パターンPT2は、シルバー現像剤像領域ARISの方がブラック現像剤像領域ARIBよりも広く形成されている。すなわち印刷パターンPT2は、16×16ドットの範囲内において、シルバー現像剤像領域ARISの方がブラック現像剤像領域ARIBよりも占める面積の比率が大きくなっている。
【0081】
印刷パターンPT2は、256ドットのうち128ドット分だけシルバー現像剤像ISが形成されているためシルバー現像剤像面積占有率が50[%]の印刷パターンであるとも言える。また印刷パターンPT2は、256ドットのうち32ドット分だけブラック現像剤像IBが形成されているためブラック現像剤像面積占有率が12.5[%]の印刷パターンであるとも言える。このように、印刷パターンPT2は、シルバー現像剤像面積占有率が50[%]、ブラック現像剤像面積占有率が12.5[%]の印刷パターンである。
【0082】
[4-3.印刷パターンPT3について]
印刷パターンPT3は、A4用紙P全域に特色(シルバー)のベタ画像が指定された印刷データが上位装置20から画像形成装置1へ送信され、画像形成装置1が特色銀専用データ変換テーブル88を使用して光輝非重畳印刷処理を行い、
図4に示すように用紙P上に作成したものである。印刷パターンPT3の場合、
図7に拡大図を示した印刷パターンPT3が、
図4に示すようにA4用紙P全域に敷き詰められて作成された印刷物であるシルバーブラック非重畳印刷物が得られる。
【0083】
印刷パターンPT3は、印刷パターンPT2(
図6)と比較して、シルバー現像剤像領域ARISに4×4ドットの正方形状であるシルバー現像剤像小正方形ISSsが2つ追加されることによりシルバー現像剤像領域ARISが32ドット増加していると共に、それぞれのブラック現像剤像正方形IBS(
図6)が2ビットずつ欠けてブラック現像剤像多角形IBPとなることによりブラック現像剤像領域ARIBが4ドット減少している。
【0084】
このように印刷パターンPT3は、例えば16×16ドットの範囲で見た際に、シルバー現像剤像ISが160ドット分だけ形成されていると共に、ブラック現像剤像IBが28ドット分だけ形成されている。このため印刷パターンPT3は、シルバー現像剤像領域ARISの方がブラック現像剤像領域ARIBよりも広く形成されている。すなわち印刷パターンPT3は、16×16ドットの範囲内において、シルバー現像剤像領域ARISの方がブラック現像剤像領域ARIBよりも占める面積の比率が大きくなっている。
【0085】
印刷パターンPT3は、256ドットのうち、160ドット分だけシルバー現像剤像ISが、28ドット分だけブラック現像剤像IBが、それぞれ形成されているため、シルバー現像剤像面積占有率が62.5[%]、ブラック現像剤像面積占有率が10.9[%]の印刷パターンである。
【0086】
[4-4.印刷パターンPT4について]
印刷パターンPT4は、A4用紙P全域に特色(シルバー)のベタ画像が指定された印刷データが上位装置20から画像形成装置1へ送信され、画像形成装置1が特色銀専用データ変換テーブル88を使用して光輝重畳印刷処理を行い、
図4に示すように用紙P上に作成したものである。印刷パターンPT4の場合、
図8に拡大図を示した印刷パターンPT4が、
図4に示すようにA4用紙P全域に敷き詰められて作成された印刷物であるシルバーブラック重畳印刷物が得られる。
【0087】
印刷パターンPT4は、印刷パターンPT2(
図6)と比較して、ブラック現像剤像正方形IBSがシルバー現像剤像正方形ISSの中心部に移動している。このため、ブラック現像剤像正方形IBSの全領域はシルバー現像剤像正方形ISSと重なっている。画像形成装置1は、シルバー現像剤のベタ画像であるシルバー現像剤像ISの下に、ブラック現像剤のベタ画像であるブラック現像剤像IBを印刷する、光輝重畳印刷処理を行うことにより、ブラック現像剤像正方形IBSとシルバー現像剤像正方形ISSとが重なった領域を形成する。
【0088】
このように画像形成装置1は、印刷パターンPT4の場合、印刷パターンPT2と比較して、シルバーのベタ画像が指定された印刷データに対し、特色銀専用データ変換テーブル88を使用して、印刷パターンPT2と同様にシルバー現像剤像IS、ブラック現像剤像IB及び白色領域WHを形成するものの、印刷パターンPT2とは異なるシルバー現像剤像IS、ブラック現像剤像IB及び白色領域WHの配置パターンである印刷パターンPT4を作成する。
【0089】
印刷パターンPT4は、印刷パターンPT2と同様に、256ドットのうち、128ドット分だけシルバー現像剤像ISが、32ドット分だけブラック現像剤像IBが、それぞれ形成されているため、シルバー現像剤像面積占有率が50[%]、ブラック現像剤像面積占有率が12.5[%]の印刷パターンである。
【0090】
[4-5.印刷パターンPT5について]
印刷パターンPT5は、A4用紙P全域に特色(シルバー)のベタ画像が指定された印刷データが上位装置20から画像形成装置1へ送信され、画像形成装置1が特色銀専用データ変換テーブル88を使用して光輝重畳印刷処理を行い、
図4に示すように用紙P上に作成したものである。印刷パターンPT5の場合、
図9に拡大図を示した印刷パターンPT5が、
図4に示すようにA4用紙P全域に敷き詰められて作成された印刷物であるシルバーブラック重畳印刷物が得られる。
【0091】
印刷パターンPT5は、印刷パターンPT3(
図7)と比較して、ブラック現像剤像多角形IBPがシルバー現像剤像正方形ISSの中心部に移動している。このため、ブラック現像剤像多角形IBPの全領域はシルバー現像剤像正方形ISSと重なっている。画像形成装置1は、光輝重畳印刷処理を行うことにより、ブラック現像剤像多角形IBPとシルバー現像剤像正方形ISSとが重なった領域を形成する。
【0092】
このように画像形成装置1は、印刷パターンPT5の場合、印刷パターンPT3と比較して、シルバーのベタ画像が指定された印刷データに対し、特色銀専用データ変換テーブル88を使用して、印刷パターンPT3と同様にシルバー現像剤像IS、ブラック現像剤像IB及び白色領域WHを形成するものの、印刷パターンPT3とは異なるシルバー現像剤像IS、ブラック現像剤像IB及び白色領域WHの配置パターンである印刷パターンPT5を作成する。
【0093】
印刷パターンPT5は、印刷パターンPT3と同様に、256ドットのうち、160ドット分だけシルバー現像剤像ISが、28ドット分だけブラック現像剤像IBが、それぞれ形成されているため、シルバー現像剤像面積占有率が62.5[%]、ブラック現像剤像面積占有率が10.9[%]の印刷パターンである。
【0094】
[4-6.印刷パターンPT6について]
印刷パターンPT6は、A4用紙P全域に特色(シルバー)のベタ画像が指定された印刷データが上位装置20から画像形成装置1へ送信され、画像形成装置1が特色銀専用データ変換テーブル88を使用して光輝非重畳印刷処理を行い、
図4に示すように用紙P上に作成したものである。印刷パターンPT6の場合、
図10に拡大図を示した印刷パターンPT6が、
図4に示すようにA4用紙P全域に敷き詰められて作成された印刷物であるシルバーブラック非重畳印刷物が得られる。
【0095】
印刷パターンPT6は、256ドットのうち、64ドット分だけシルバー現像剤像ISが、40ドット分だけブラック現像剤像IBが、それぞれ形成されているため、シルバー現像剤像面積占有率が25[%]、ブラック現像剤像面積占有率が15.6[%]の印刷パターンである。
【0096】
[4-7.印刷パターンPT7について]
印刷パターンPT7は、A4用紙P全域に特色(シルバー)のベタ画像が指定された印刷データが上位装置20から画像形成装置1へ送信され、画像形成装置1が特色銀専用データ変換テーブル88を使用して光輝非重畳印刷処理を行い、
図4に示すように用紙P上に作成したものである。印刷パターンPT7の場合、
図11に拡大図を示した印刷パターンPT7が、
図4に示すようにA4用紙P全域に敷き詰められて作成された印刷物であるシルバーブラック非重畳印刷物が得られる。
【0097】
印刷パターンPT7は、256ドットのうち、96ドット分だけシルバー現像剤像ISが、36ドット分だけブラック現像剤像IBが、それぞれ形成されているため、シルバー現像剤像面積占有率が37.5[%]、ブラック現像剤像面積占有率が14.1[%]の印刷パターンである。
【0098】
[4-8.印刷パターンPT8について]
印刷パターンPT8は、A4用紙P全域に特色(シルバー)のベタ画像が指定された印刷データが上位装置20から画像形成装置1へ送信され、画像形成装置1が特色銀専用データ変換テーブル88を使用して光輝非重畳印刷処理を行い、
図4に示すように用紙P上に作成したものである。印刷パターンPT8の場合、
図12に拡大図を示した印刷パターンPT8が、
図4に示すようにA4用紙P全域に敷き詰められて作成された印刷物であるシルバーブラック非重畳印刷物が得られる。
【0099】
印刷パターンPT8は、256ドットのうち、192ドット分だけシルバー現像剤像ISが、24ドット分だけブラック現像剤像IBが、それぞれ形成されているため、シルバー現像剤像面積占有率が75[%]、ブラック現像剤像面積占有率が9.4[%]の印刷パターンである。
【0100】
[4-9.印刷画像密度について]
ここで印刷画像密度とは、画像を画素単位で分解した場合に、全画素数のうち用紙Pに現像剤を転写する画素数の割合を表す値である。例えば、所定の領域(感光体ドラム36の1周分や印刷媒体1ページ分等)の印刷可能範囲に全面ベタ印刷を行う場合の面積率100[%]印刷のことを印刷画像密度100[%]といい、この印刷画像密度100[%]に対して1[%]の面積に相当する印刷を印刷画像密度1[%]という。印刷画像密度DPDを、使用ドット数Cm、回転数Cd及び総ドット数COを用いて数式により表すと、次の(1)式のように表すことができる。
【0101】
【0102】
ただし、使用ドット数Cmは、感光体ドラム36がCd回転する間に、実際に画像を形成するために使用されたドットの数であり、該画像を形成する間にLEDヘッド14(
図2)により露光されたドットの総数である。また総ドット数COは、感光体ドラム36(
図2)の1回転あたりの総ドット数、すなわち、露光の有無に限らず、感光体ドラム36が1回転する間に使用し得る、画像を形成する際に潜在的に使用可能なドットの総数である。換言すれば、総ドット数COは、全ての画素に現像剤を転写するベタ画像(ソリッド画像)を形成する場合に用いられるドット数の合計値である。従って、値(Cd×CO)は、感光体ドラム36がCd回転する間に、画像を形成する際に潜在的に使用可能なドット数の合計値を表す。
【0103】
[5.現像剤の測定及び評価]
[5-1.現像剤の測定について]
次に、現像剤の測定及び評価について説明する。この現像剤の測定及び評価に関しては、画像形成装置1(
図1)により該現像剤を用いて所定の画像を用紙Pに印刷し、光沢感について測定及び評価を行った。
【0104】
本評価では、画像形成装置1(C941dn:沖電気工業株式会社製)(
図1)において特色に対応する画像形成ユニット10Sの現像剤収容器12(
図2)にシルバー現像剤を、黒色に対応する画像形成ユニット10Kの現像剤収容器12(
図2)にブラック現像剤をそれぞれ収容した上で、実施例1、実施例2、比較例1、比較例2、比較例3、比較例4、比較例5及び比較例6の印刷処理を行い、光沢感の評価を行った。
【0105】
具体的に本評価では、用紙Pとして、コート紙(OSコート紙W・127[g/m
2]:富士ゼロックス株式会社製)を用いた。また本評価では、印刷パターンPT1(
図5)で
図4のようにA4用紙P全域にシルバーの印刷画像密度を100[%]とした画像パターン(いわゆるベタ画像)が印刷された場合にシルバー現像剤像ISの視感反射率差分ΔY(後述する)が33になるように画像形成ユニット10Sにおけるバイアス電圧を調整して印刷を行った。さらに本評価では、黒色も同様に、A4用紙P全域にブラックの印刷画像密度を100[%]とした画像パターン(いわゆるベタ画像)が印刷された場合にブラック現像剤像IBの光学濃度(O.D.値)が1.4になるように画像形成ユニット10Bにおけるバイアス電圧を調整して印刷を行った。
【0106】
各実施例と比較例とは、A4用紙P全域にシルバーのベタ画像が指定された印刷データを上位装置20から画像形成装置1へ送信し、
図15に示すように、画像形成装置1が各実施例及び比較例毎に異なる印刷パターンを印刷した。
図15に示すように、各実施例及び比較例は、画像形成装置1が、シルバーのベタ画像が指定された印刷データを、画像形成ユニット10Sのドットカウントdの値に応じて、印刷パターンPT1~印刷パターンPT8のうちのどの印刷パターンに変換するかが異なっている。以下では、印刷パターンPT1、PT2、PT3、PT4、PT5、PT6、PT7及びPT8をまとめて、印刷パターンPTとも呼ぶ。
【0107】
印刷パターンPT1~印刷パターンPT8において、各ドットの出力はLEDヘッド14(
図2)によってオン状態とオフ状態とに制御され、オン状態のビットは現像剤が現像される一方、オフ状態のビットは現像剤が現像されない。
【0108】
上述したように、画像形成装置1は、画像作成ソフトウェアにおいてシルバーのベタ画像が指定された印刷データを上位装置20から受信した際に、特色銀専用データ変換テーブル88を用いない場合は印刷パターンPT1(
図5)のようにシルバー現像剤像ISのみの印刷パターンで印刷するのに対し、特色銀専用データ変換テーブル88を用いる場合は、印刷パターンPT2(
図6)、印刷パターンPT3(
図7)、印刷パターンPT4(
図8)、印刷パターンPT5(
図9)、印刷パターンPT6(
図10)、印刷パターンPT7(
図11)又は印刷パターンPT8(
図12)のようにシルバー現像剤像IS及びブラック現像剤像IBを用いた印刷パターンPTで印刷する。
【0109】
例えば、実施例1では、画像形成ユニット10Sのドットカウントdが0以上4096k(キロ)カウント(すなわち4096000カウント)の場合は印刷パターンPT2(
図6)を使用し、4096kカウント以上8602kカウント(すなわち8602000カウント)の場合は印刷パターンPT3(
図7)を使用し、8602kカウント以上11878kカウント(すなわち11878000カウント)未満の場合は印刷パターンPT3(
図7)を使用することを表している。このように実施例1の場合、画像形成ユニット10Sのドットカウントdが増加すると途中で印刷パターンPTが印刷パターンPT2から印刷パターンPT3に変更される点に特徴がある。
【0110】
実施例2は、実施例1と同様に画像形成ユニット10Sのドットカウントdによって途中から印刷パターンPTを変更するものであるが、印刷パターンPTに違いがあり、シルバー現像剤像ISとブラック現像剤像IBとが重なっている。比較例1は、画像形成ユニット10Sのドットカウントdに関わらずシルバー現像剤像ISのみが形成された印刷パターンPT1のみで印刷するものであり、通常のカラー印刷と同様である。比較例2~比較例6は、画像形成ユニット10Sのドットカウントdに関わらずそれぞれ同じ印刷パターンPTで印刷するものであり、印刷パターンPTに対するシルバー現像剤像IS及びブラック現像剤像IBの割合が比較例毎に異なっている。
【0111】
[5-2.印刷物採取手順]
ここで、後述する評価において使用される印刷物を採取する手順について説明する。
【0112】
手順1.画像形成ユニット10Sのドットカウントdが0カウントの状態の画像形成装置1(C941dn:沖電気工業株式会社製)により、A4用紙P全域にシルバーのベタ画像が指定された印刷データに基づく、各実施例及び各比較例で指定された印刷パターンPTがA4用紙P全域に敷き詰められたベタ画像(
図4)を印刷パターンPT毎に1枚の用紙P上に印刷する。
手順2.採取した印刷物の光沢感を測定する。
手順3.画像形成装置1により、A4用紙P全域にシルバーのベタ画像が指定された印刷データに基づく、各実施例及び各比較例で指定された印刷パターンPTがA4用紙P全域に敷き詰められたベタ画像(
図4)を印刷パターンPT毎に所定枚数の用紙P上に印刷して、画像形成ユニット10Sのドットカウントdを4096kカウントまで到達させる。
具体的に画像形成装置1は、それぞれ以下の枚数の用紙Pを印刷する。
実施例1…500枚、実施例2…500枚、比較例1…250枚、比較例2…1000枚、比較例3…667枚、比較例4…500枚、比較例5…400枚、比較例6…334枚
各実施例及び各比較例において印刷枚数が互いに異なるものがあるのは、実施例及び比較例毎に特色銀専用データ変換テーブル88の内容が異なるために、1枚の用紙Pあたりの画像形成ユニット10Sのドットカウントdが異なるためである。
手順4.画像形成ユニット10Sのドットカウントdが4096kカウントの状態の画像形成装置1により、A4用紙P全域にシルバーのベタ画像が指定された印刷データに基づく、各実施例及び各比較例で指定された印刷パターンPTがA4用紙P全域に敷き詰められたベタ画像(
図4)を印刷パターンPT毎に1枚の用紙P上に印刷する。
手順5.採取した印刷物の光沢感を測定する。
手順6.画像形成装置1により、A4用紙P全域にシルバーのベタ画像が指定された印刷データに基づく、各実施例及び各比較例で指定された印刷パターンPTがA4用紙P全域に敷き詰められたベタ画像(
図4)を印刷パターンPT毎に所定枚数の用紙P上に印刷して、画像形成ユニット10Sのドットカウントdを8602kカウントまで到達させる。
具体的に画像形成装置1は、それぞれ以下の枚数の用紙Pを印刷する。
実施例1…550枚、実施例2…550枚、比較例1…275枚、比較例2…1100枚、比較例3…734枚、比較例4…550枚、比較例5…440枚、比較例6…367枚
手順7.画像形成ユニット10Sのドットカウントdが8602kカウントの状態の画像形成装置1により、A4用紙P全域にシルバーのベタ画像が指定された印刷データに基づく、各実施例及び各比較例で指定された印刷パターンPTがA4用紙P全域に敷き詰められたベタ画像(
図4)を印刷パターンPT毎に1枚の用紙P上に印刷する。
手順8.採取した印刷物の光沢感を測定する。
手順9.画像形成装置1により、A4用紙P全域にシルバーのベタ画像が指定された印刷データに基づく、各実施例及び各比較例で指定された印刷パターンPTがA4用紙P全域に敷き詰められたベタ画像(
図4)を印刷パターンPT毎に所定枚数の用紙P上に印刷して、画像形成ユニット10Sのドットカウントdを11878kカウントまで到達させる。
具体的に画像形成装置1は、それぞれ以下の枚数の用紙Pを印刷する。
実施例1…400枚、実施例2…400枚、比較例1…200枚、比較例2…800枚、比較例3…534枚、比較例4…400枚、比較例5…320枚、比較例6…267枚
手順10.画像形成ユニット10Sのドットカウントdが11878kカウントの状態の画像形成装置1により、A4用紙P全域にシルバーのベタ画像が指定された印刷データに基づく、各実施例及び各比較例で指定された印刷パターンPTがA4用紙P全域に敷き詰められたベタ画像(
図4)を印刷パターンPT毎に1枚の用紙P上に印刷する。
手順11.採取した印刷物の光沢感を測定する。
なお、ドットカウントdが11878kカウントに到達したところで評価を終了しているが、これは、画像形成ユニット10Sの現像剤収容空間31中の現像剤がなくなり画像形成ユニット10S内の現像剤もなくなるカウントに到達したためである。
【0113】
[5-3.色合いの測定]
本測定では、分光測色計(CM-2600d、測定計φ=8[mm]:コニカミノルタ株式会社製)を使用して、紙面上の銀色の色合い(灰色さ)を示す測定値として視感反射率差分ΔYを測定した。視感反射率差分ΔYとは、白紙の状態の視感反射率と印刷画像の視感反射率との差分である。具体的には、印刷後の媒体の視感反射率から印刷前の媒体の視感反射率を差し引くことで視感反射率差分ΔYを測定した。また、測定時における印刷物の下敷きとして、印刷前の媒体であるコート紙(OSコート紙W・127[g/m2]:富士ゼロックス株式会社製)を用いた。光源条件はC、角度は2[°]、正反射光処理方法はSCEを用いた。
【0114】
ここで、シルバー現像剤の特徴として、印刷物において自身の光輝性を示すだけではなく、色味として自身が持つ灰色感を表すことができる。しかしながら、その灰色感は視感反射率差分ΔYが30未満であり小さすぎる場合、つまり元の媒体と色味が似ている場合では灰色味が無くなってしまい、灰色感を表すことができなくなる。一方、視感反射率差分ΔYが36を超えており大きすぎる場合、色が濃くなりすぎて黒色味が強くなってしまい、こちらも同様に灰色感を表すことができなくなる。そのため、本評価では、視感反射率差分ΔYが30以上36以下のとき、シルバー現像剤の印刷後の灰色感を表せたものと考える。よって、A4用紙Pの中央の1箇所の測定箇所の視感反射率差分ΔYを測定し、視感反射率差分ΔYが30以上36以下である、33になるように画像形成ユニット10Sにおけるバイアス電圧を調整した。
【0115】
[5-4.濃度の測定]
本測定では、分光測色計(X-Rite eXact:エックスライト社製)により、D50光源、角度は2[°]、ステータスIの設定で、紙面上の黒色の色合いを示す測定値としてA4用紙Pの中央の1箇所のブラック現像剤像IBの光学濃度(O.D.値)を測定し、光学濃度が1.4になるように画像形成ユニット10Bにおけるバイアス電圧を調整した。
【0116】
[5-5.光沢感の測定及び評価]
次に、本評価では、変角光度計(GC-5000L:日本電色工業株式会社製)を使用して光輝性を測定した。具体的には、
図13に示すように、変角光度計により、用紙Pの表面に対して45[°]の方向から光線Cを放射して用紙Pを照射し、用紙Pへの垂直方向に対して0[°]、30[°]及び-65[°]の方向において反射光をそれぞれ受光し、得られた受光結果を基に明度指数L*0、明度指数L*30及び明度指数L*-65をそれぞれ算出した。次に本評価では、算出した各明度指数を次の(2)式に代入することにより、フロップインデックスFIを算出し、画像の光輝性を測定した。
【0117】
【0118】
このフロップインデックスFI(FI値)は、光沢感を表す指標であり、値が大きいと光輝性が高いことを意味し、値が小さいと光輝性が低いことを意味する。ここで、FI値が11.0以上である場合、目視にて印刷物に金属光沢が生じるように感じられる。そのため、本評価ではFI値が11.0以上のとき、光輝性が十分に得られたものと考える。
【0119】
よって、
図14に示すように、A4用紙P内の全域に設定した、それぞれ5[mm]四方の正方形の15箇所の測定箇所MP1、MP2、MP3、MP4、MP5、MP6、MP7、MP8、MP9、MP10、MP11、MP12、MP13、MP14及びMP15(以下ではまとめて測定箇所MPとも呼ぶ)のFI値を測定して平均値を算出し、FI値の平均値である平均FI値(以下では単にFI値とも呼ぶ)が11.0以上である場合に、光沢感が良好であると判定した。
【0120】
また、各実施例及び各比較例によって得た印刷物において、ドットカウントdが0、4096k、8602k及び11878kカウントそれぞれの平均FI値のうち最も小さい平均FI値が11.0以上である場合に、光沢感最小値が良好であるとした。
【0121】
次に、2枚の印刷物のFI値の差が0.3以内である場合には光沢感の差を感じなかった。よって、各実施例及び各比較例によって得た印刷物において、ドットカウントdが0、4096k、8602k及び11878kカウントそれぞれの平均FI値のうち最大値と最小値との差が0.3以内である場合に、光沢感安定性が良好であるとした。また、光沢感最小値と光沢感安定性との両方が良好であるものを光沢感評価で良好と判定した。
【0122】
[6.測定結果及び評価結果]
以下では、実施例の効果を確認するための評価試験の結果と、そこから分かる効果とについて記載する。
【0123】
図16に示すように、実施例1、実施例2、比較例1、比較例5及び比較例6は、4種類のドットカウントd全てにおいて平均FI値が11.0以上であるため、光沢感最小値が良好であった。
図16に示したように、ドットカウントdが0カウント及び4096kカウントでは、印刷パターンPT2(
図6)(シルバー現像剤像面積占有率が50[%]、ブラック現像剤像面積占有率が12.5[%])の場合が最も高いFI値が得られている。一方、ドットカウントdが8602kカウント及び11878kカウントでは、印刷パターンPT8(
図12)(シルバー現像剤像面積占有率が75[%]、ブラック現像剤像面積占有率が9.4[%])の場合が最も高いFI値が得られている。このように、最も高いFI値となる印刷パターンPTは、ドットカウントdによって異なっている。
【0124】
また、
図16に示したように、実施例1及び実施例2は、4種類のドットカウントd全ての平均FI値うち最大値と最小値との差が0.3以内であるため、光沢感安定性が良好であった。これは、ドットカウントdと共に状態が変化するシルバー現像剤に対して印刷パターンPTを適切に変更したために、光沢感を安定化させることができたと考えられる。
【0125】
以上の結果から、画像形成装置1は、実施例1及び実施例2の方法で印刷することにより、画像形成ユニット10S内のシルバー現像剤の使用開始時(すなわち印刷初期)からシルバー現像剤終了時(すなわち印刷後期)までに亘って、安定した金属光沢感(FI値)及び色味(灰色感、濃度、視感反射率差分ΔY)を有する印刷物が得られることが分かる。
【0126】
[7.画像形成装置の機能構成]
ここで、画像形成装置1における印刷処理に関係する基本的な機能を機能ブロック図により表すと、
図17のようになる。
【0127】
第1の画像形成部90は、画像形成ユニット10S(
図1)と対応しており、光輝性現像剤としてのシルバー現像剤が収容される収容部としての現像剤収容空間31(
図2)を含み、シルバー現像剤により光輝性現像剤像としてのシルバー現像剤像ISを形成可能である。
【0128】
第2の画像形成部91は、画像形成ユニット10K(
図1)と対応しており、黒色現像剤像としてのブラック現像剤像IBを形成可能である。
【0129】
制御部92は、印刷制御部3(
図3)と対応しており、受信した印刷データに応じて第1の画像形成部90の動作を制御し、収容部に収容されたシルバー現像剤が第1残量の際に所定の印刷データに基づいて光輝性画像を媒体としての用紙P上に形成させるとき、光輝性画像の単位面積当たりに形成される割合を第1面積率としたシルバー現像剤像ISを形成させ、収容部に収容されたシルバー現像剤が第1残量よりも少ない第2残量の際に所定の印刷データに基づいて光輝性画像を用紙P上に形成させるとき、光輝性画像の単位面積当たりに形成される割合を第1面積率よりも大きい第2面積率としたシルバー現像剤像ISを形成させる。ここで、光輝性画像とは、用紙P上においてシルバー現像剤が全く存在しない領域のみを含む画像ではなく、用紙P上において少なくとも光輝性現像剤(シルバー現像剤)が存在する領域を含む画像である。
【0130】
[8.効果等]
ここで、用紙P上のシルバー現像剤の媒体上形成量であるシルバー現像剤媒体上形成量が少ない場合、FI値は高くなるが視感反射率差分ΔYが低くなる。一方、用紙P上のシルバー現像剤媒体上形成量が多い場合、視感反射率差分ΔYは高くなるがFI値は低くなる。このように、視感反射率差分ΔYを向上させるためには用紙Pのシルバー現像剤媒体上形成量を増加させれば良いが、シルバー現像剤媒体上形成量の増加に伴い、FI値は減少してしまう。すなわち、FI値と視感反射率差分ΔYとはトレードオフの関係になっており、高い光輝性(FI値)と高い視感反射率差分ΔYとの両立が困難であった。
【0131】
これに対し画像形成装置1は、シルバー現像剤単色の印刷データを受信したとき、シルバー現像剤からなるシルバー現像剤像ISのみを用紙P上に形成するのではなく、印刷パターンPT2(
図6)、印刷パターンPT3(
図7)、印刷パターンPT4(
図8)又は印刷パターンPT5(
図9)のように、シルバー現像剤からなるシルバー現像剤像ISとブラック現像剤からなるブラック現像剤像IBとを形成するようにした。
【0132】
このため画像形成装置1は、シルバー現像剤媒体上形成量を抑止してFI値の低下を抑えつつ、ブラック現像剤像IBにより視感反射率差分ΔYを補うことができる。これにより画像形成装置1は、シルバー現像剤媒体上形成量が少ない状態であっても、高い光輝性(FI値)と高い色味(視感反射率差分ΔY)とを両立させた銀色の印刷物を得ることができる。かくして画像形成装置1は、金属光沢感(FI値)と画像の色味(視感反射率差分ΔY)とを両立させることができる。
【0133】
ここで、画像形成装置1が光輝性現像剤であるシルバー現像剤を用いた印刷を行う場合、光輝性の高い印刷物を得ることはできるものの、印刷を繰り返すことでシルバー現像剤の光輝性が増していく傾向がある。このため、シルバー印刷物は、印刷が繰り返される毎に少しずつ光輝性が高くなっていく傾向があった。
【0134】
この現象は、シルバー現像剤の中に光輝性顔料(シルバー顔料)を多く含むものと少なく含むものとが製造ばらつきで混在しているために起きると考えられる。シルバー現像剤は、扁平状の光輝性顔料を含有しているため、一般的なカラー現像剤と比較して粒径が大きくばらつく。また、シルバー現像剤は、粒径が小さいほど、導電性を有する光輝性顔料の含有量が少ないため、帯電量が高くなり現像されやすい。すなわち、光輝性現像剤は粒度分布のばらつきが大きい(粒度分布が広い)ため、シルバー現像剤の使用開始時である印刷初期に現像される光輝性現像剤は、光輝性顔料の包含が少なく導電性が低い小粒径のシルバー現像剤が優先的となる。一方、ドットカウントdが多くなるほどに画像形成ユニット10S内には光輝性顔料の包含が多く導電性が高いシルバー現像剤の割合が増えてゆき、シルバー現像剤終了時前である印刷後期に現像される光輝性現像剤は、光輝性顔料の包含が多い大粒径のシルバー現像剤となると考えられる。換言すれば、印刷初期では粒径が小さいシルバー現像剤から現像されやすく、印刷後期では粒径が大きいシルバー現像剤が現像されやすい。このため、印刷が繰り返されるとシルバー現像剤の消費に伴って画像形成ユニット10S内には粒径が大きいシルバー現像剤の割合が増えてゆく。粒径が大きいシルバー現像剤は光輝性顔料量が多いため光輝性が高くなる。このように、印刷初期と印刷経時とで光輝性(FI値)が変化するのは、光輝性現像剤の粒度分布が広いことが原因だと考えられる。
【0135】
このため、電子写真方式である画像形成装置1の場合、例えばインクジェットプリンタ等のように電子写真方式でない画像形成装置と比較して、光輝性現像剤に圧力をかけて定着させることにより印刷物の光輝性を高め印刷品位を向上させることができるものの、それが故に、使用経過に応じた光輝性現像剤の粒径の変化の影響を受けやすくなってしまう。
【0136】
比較例4のように全てのドットカウントdにおいてシルバー現像剤像面積占有率が50[%]の印刷パターンPT2(
図6)の印刷をした場合、印刷初期に対し印刷後期では光輝性現像剤に含まれる光輝性顔料量が多いものの印刷初期に対し印刷後期の方が光輝性現像剤の粒径が大きくなるため、定着時に光輝性顔料の配向性が悪化しFI値が低下していく思われる。すなわち、FI値に対する寄与率として、光輝性現像剤の粒径が大きいことによるFI値の低下の方が、光輝性現像剤に含まれる光輝性顔料が多いことによるFI値の良化を上回るため、ドットカウントdが増加するとFI値が低下すると考えられる。
【0137】
一方、比較例1のように全てのドットカウントdにおいてシルバー現像剤像面積占有率が100[%]の印刷パターンPT1(
図5)の印刷をした場合、定着時に光輝性現像剤同士が紙面上でぶつかって光輝性顔料の配向性が悪化したとしても、印刷後期では光輝性現像剤に含まれる光輝性顔料量が多いためFI値が良化していると思われる。すなわち、FI値に対する寄与率として、光輝性現像剤に含まれる光輝性顔料が多いことによるFI値の良化の方が、光輝性現像剤の粒径が大きいことによるFI値の低下を上回るため、ドットカウントdが増加するとFI値が良化すると考えられる。
【0138】
これに対し画像形成装置1は、画像形成ユニット10Sのドットカウントdが0以上4096k未満の場合(すなわち画像形成ユニット10Sの現像剤収容空間31内のシルバー現像剤の残量が第1残量の場合)、シルバー現像剤像面積占有率が第1面積率としての50[%]の印刷パターンPT2又はPT4を印刷するようにした。また画像形成装置1は、画像形成ユニット10Sのドットカウントdが4096kカウントに到達した場合(すなわち画像形成ユニット10Sの現像剤収容空間31内のシルバー現像剤の残量が第1残量よりも少ない第2残量の場合)、シルバー現像剤像面積占有率が第1面積率よりも大きい第2面積率としての62.5[%]とした印刷パターンPT3又はPT5を印刷し、それ以降はドットカウントdが増加してもシルバー現像剤像面積占有率が第2面積率の印刷パターンPT3又はPT5を印刷するようにした。すなわち画像形成装置1は、画像形成ユニット10Sの現像剤収容空間31内のシルバー現像剤の残量が少なくなると(すなわちシルバー現像剤の累計使用量が増えてくると)、印刷パターンPTのシルバー現像剤像面積占有率を大きくするようにした。
【0139】
このため画像形成装置1は、シルバー現像剤の残量が少なくなったとしても金属光沢感の上昇を抑制することができる。これにより画像形成装置1は、画像形成ユニット10S内のシルバー現像剤の使用開始時(すなわち印刷初期)からシルバー現像剤がなくなるシルバー現像剤終了時(すなわち印刷後期)までに亘って、安定した金属光沢感(FI値)を有する印刷物を得ることができる。
【0140】
これに加えて画像形成装置1は、画像形成ユニット10Sのドットカウントdが0以上4096k未満の場合(すなわち画像形成ユニット10Sの現像剤収容空間31内のシルバー現像剤の残量が第1残量の場合)、ブラック現像剤像面積占有率が第3面積率としての12.5[%]の印刷パターンPT2又はPT4を印刷するようにした。また画像形成装置1は、画像形成ユニット10Sのドットカウントdが4096kカウントに到達した場合(すなわち画像形成ユニット10Sの現像剤収容空間31内のシルバー現像剤の残量が第1残量よりも少ない第2残量の場合)、ブラック現像剤像面積占有率が第3面積率よりも小さい第4面積率としての10.9[%]とした印刷パターンPT3又はPT5を印刷し、それ以降はドットカウントdが増加してもブラック現像剤像面積占有率が第4面積率の印刷パターンPT3又はPT5を印刷するようにした。すなわち画像形成装置1は、画像形成ユニット10Sの現像剤収容空間31内のシルバー現像剤の残量が少なくなると、印刷パターンPTのブラック現像剤像面積占有率を小さくするようにした。
【0141】
このため画像形成装置1は、シルバー現像剤の残量が少なくなった際に印刷パターンPTのシルバー現像剤像面積占有率を大きくしたことに伴う視感反射率差分ΔY(濃度)の上昇を抑え、視感反射率差分ΔYを30以上36以下に収めることができる。このため画像形成装置1は、シルバー現像剤の残量が少なくなったとしても金属光沢感の上昇を抑制することに加えて、色味の上昇を抑制することができる。これにより画像形成装置1は、画像形成ユニット10S内のシルバー現像剤の使用開始時(すなわち印刷初期)からシルバー現像剤終了時(すなわち印刷後期)までに亘って、安定した金属光沢感(FI値)及び色味(灰色感、濃度、視感反射率差分ΔY)を有する印刷物を得ることができる。
【0142】
さらに画像形成装置1は、シルバー現像剤像面積占有率の第1面積率(50[%])に対するブラック現像剤像面積占有率の第3面積率(12.5[%])の割合(12.5[%]/50[%])である0.25よりも、シルバー現像剤像面積占有率の第2面積率(62.5[%])に対するブラック現像剤像面積占有率の第4面積率(10.9[%])の割合(10.9[%]/62.5[%])である0.1744を小さくするようにした。このため画像形成装置1は、シルバー現像剤の残量が少なくなったとしても金属光沢感の上昇を抑制すると共に、灰色感(濃度)の上昇を抑制することができる。
【0143】
さらに画像形成装置1は、シルバー現像剤像面積占有率の第1面積率(50[%])よりも、ブラック現像剤像面積占有率の第3面積率(12.5[%])を小さくすると共に、シルバー現像剤像面積占有率の第2面積率(62.5[%])よりもブラック現像剤像面積占有率の第4面積率(10.9[%])を小さくするようにした。
【0144】
すなわち画像形成装置1は、シルバー現像剤像領域ARISをブラック現像剤像領域ARIBよりも大きく(広く)形成するようにした。このため画像形成装置1は、例えばシルバー現像剤像領域ARISとブラック現像剤像領域ARIBとが同じ大きさの領域を占める場合と比較して、光沢感(FI値)を向上させることができる。
【0145】
以上の構成によれば画像形成装置1は、シルバー現像剤が収容される収容部を含み、シルバー現像剤によりシルバー現像剤像ISを形成可能である第1の画像形成部90と、受信した印刷データに応じて第1の画像形成部90の動作を制御する制御部92とを設け、制御部92は、収容部に収容されたシルバー現像剤が第1残量の際に所定の印刷データに基づいて光輝性画像を用紙P上に形成させるとき、光輝性画像の単位面積当たりに形成される割合を第1面積率としたシルバー現像剤像ISを形成させ、収容部に収容されたシルバー現像剤が第1残量よりも少ない第2残量の際に所定の印刷データに基づいて光輝性画像を用紙P上に形成させるとき、光輝性画像の単位面積当たりに形成される割合を第1面積率よりも大きい第2面積率としたシルバー現像剤像ISを形成させるようにした。
【0146】
これにより画像形成装置1は、シルバー現像剤の残量が少なくなったとしても金属光沢感の上昇を抑制することができ、画像形成ユニット10S内のシルバー現像剤の使用開始時からシルバー現像剤終了時までに亘って、安定した金属光沢感(FI値)を有する印刷物を得ることができる。
【0147】
[9.他の実施の形態]
なお上述した実施の形態において画像形成装置1は、シルバー現像剤像ISとブラック現像剤像IBとが組み合わされた印刷パターンPTを印刷する場合について述べた。本発明はこれに限らず画像形成装置1は、ブラック現像剤像IBを省略してシルバー現像剤像ISのみが存在する印刷パターンPTを印刷し、シルバー現像剤の残量が少なくなるとシルバー現像剤像面積占有率が大きい印刷パターンPTを印刷しても良い。この場合、ブラック現像剤像IBの有無はFI値にほとんど関与しないため、印刷パターンPTにブラック現像剤像IBが存在しない場合でも、画像形成装置1は、シルバー現像剤の残量が少なくなったとしても金属光沢感の上昇を抑制することができ、画像形成ユニット10S内のシルバー現像剤の使用開始時(すなわち印刷初期)からシルバー現像剤終了時(すなわち印刷後期)までに亘って、安定した金属光沢感(FI値)を有する印刷物を得ることができる。
【0148】
また上述した実施の形態において画像形成装置1は、それぞれ、シルバー現像剤像面積占有率50[%]及びブラック現像剤像面積占有率12.5[%]の場合は印刷パターンPT2(
図6)又は印刷パターンPT4(
図8)で、シルバー現像剤像面積占有率62.5[%]及びブラック現像剤像面積占有率10.9[%]の場合は印刷パターンPT3(
図7)又は印刷パターンPT5(
図9)で、シルバー現像剤像面積占有率25[%]及びブラック現像剤像面積占有率15.6[%]の場合は印刷パターンPT6(
図10)で、シルバー現像剤像面積占有率37.5[%]及びブラック現像剤像面積占有率14.1[%]の場合は印刷パターンPT7(
図11)で、シルバー現像剤像面積占有率75[%]及びブラック現像剤像面積占有率9.4[%]の場合は印刷パターンPT8(
図12)で印刷を行う場合について述べた。本発明はこれに限らず画像形成装置1は、シルバー現像剤像面積占有率及びブラック現像剤像面積占有率を満たしていれば、他の種々の形状のシルバー現像剤像IS及びブラック現像剤像IBからなる印刷パターンで印刷を行っても良い。
【0149】
さらに上述した実施の形態において画像形成装置1は、印刷パターンPT(
図6乃至
図12)における白色領域WHを、現像剤像を形成しない領域とする場合について述べた。本発明はこれに限らず画像形成装置1は、白色領域WHを、白色(ホワイト)の現像剤像を形成する領域としても良い。
【0150】
さらに上述した実施の形態において画像形成装置1は、ブラック現像剤単体によりブラック現像剤像IBを形成する場合について述べた。本発明はこれに限らず画像形成装置1は、非光輝性現像剤としてのイエロー現像剤、マゼンタ現像剤及びシアン現像剤を複数の色の現像剤として組み合わせることにより、プロセスブラックからなるブラック現像剤像(黒色現像剤像)を形成しても良い。その場合、第2の画像形成部91(
図17)は、画像形成ユニット10C、10M及び10Y(
図1)と対応する。また、非光輝性現像剤としてのイエロー現像剤、マゼンタ現像剤、シアン現像剤及びブラック現像剤を組み合わせることにより、プロセスブラックからなるブラック現像剤像を形成しても良い。その場合、第2の画像形成部91(
図17)は、画像形成ユニット10C、10M、10Y及び10K(
図1)と対応する。
【0151】
さらに上述した実施の形態において画像形成装置1は、カーボンブラックが添加されたブラック現像剤を用いる場合について述べた。本発明はこれに限らず画像形成装置1は、カーボンブラックの添加量をブラック現像剤よりも減らした灰色現像剤をブラック現像剤として用いても良く、また、カーボンブラックと白色の酸化チタンとを混合して作成した灰色現像剤をブラック現像剤として用いても良い。
【0152】
さらに上述した実施の形態において画像形成装置1は、現像剤を生成する際に使用する光輝性顔料に含まれるアルミニウム(Al)を、平面状の部分を有する微小な薄片とする場合について述べた。本発明はこれに限らず画像形成装置1は、光輝性顔料に含まれるアルミニウム(Al)を、例えば球状や棒状等、種々の形状の小片としても良い。
【0153】
さらに上述した実施の形態において画像形成装置1は、現像剤を生成する際に使用する光輝性顔料に含まれる金属をアルミニウム(Al)とする場合について述べた。本発明はこれに限らず画像形成装置1は、現像剤を生成する際に使用する光輝性顔料に含まれる金属を例えば真鍮や酸化鉄等、種々の金属としても良い。この場合、用紙Pに定着された際に現像剤が示す色は、この金属に応じた色となる。
【0154】
また上述した実施の形態において画像形成装置1は、光輝性現像剤の例としてシルバー現像剤を用いてメタリックカラー表現性を評価する場合について述べた。本発明はこれに限らず画像形成装置1は、光輝性現像剤の例としてゴールド現像剤(金色の現像剤)を用いても良い。その場合、以下の製造方法でゴールド現像剤を作成すれば良い。上述した実施の形態においては光輝性顔料としてアルミニウムを製造時に添加してシルバー現像剤を作成したが、このときに、イエロー顔料(ここでは有機顔料としてC.I.Pigment Yellow 180)と、マゼンタ顔料(ここでは有機顔料としてC.I.Pigment Red 122)と、赤橙色蛍光色素(FM-34N_Orange:シンロイヒ株式会社製)と、黄色蛍光色素(FM-35N_Yellow:シンロイヒ株式会社製)とも添加してゴールド現像剤を製造する。このようなゴールド現像剤にも光輝性顔料が添加されているため、上述したシルバー現像剤と同様に、印刷が繰り返される毎に少しずつ光輝性が高くなっていく。このため画像形成装置1は、ゴールド現像剤とイエロー現像剤とを組み合わせて上述した制御と同様の制御を行った場合、同様の効果を得ることができる。
【0155】
さらに上述した実施の形態において画像形成装置1は、検出部としてのCPU23により、画像形成ユニット10Sのドットカウントdに基づき画像形成ユニット10S内のシルバー現像剤の残量を検出する場合について述べた。本発明はこれに限らず画像形成装置1は、検出部としてのCPU23により、現像剤収容空間31内に配設された現像剤残量検知バーの検出結果に基づき画像形成ユニット10S内のシルバー現像剤の残量を検出しても良い。
【0156】
さらに上述した実施の形態においては、一成分現像方式に用いられる現像剤を用いて画像を形成する画像形成装置1に本発明を適用する場合について述べた。本発明はこれに限らず、キャリアとトナーとが混合されており、そのキャリアとトナーとの摩擦を利用してトナーに適切な帯電量を付与する方式である二成分現像方式に用いられる現像剤を用いて画像を形成する画像形成装置に本発明を適用しても良い。具体的には、二成分現像方式の場合は、光輝性トナーの他に外添剤を含む光輝性現像剤とキャリアとが、現像剤収容器12及び現像剤収容空間31に収容されている。二成分現像方式においても、光輝性現像剤の粒度分布のばらつきが大きい(粒度分布が広い)場合、印刷初期においては導電性が低い小粒径の光輝性現像剤が優先的に消費されるため、印刷が繰り返されると現像剤収容空間31内には大粒径の光輝性現像剤の割合が増えていく。例えば、現像剤収容器12から現像剤収容空間31へ光輝性現像剤を0回供給したときの現像剤収容空間31内の全ての光輝性現像剤に対する大粒径の光輝性現像剤の比率よりも、10回供給したときの現像剤収容空間31内の全ての光輝性現像剤に対する大粒径の光輝性現像剤の比率の方が大きい。これは、小粒径の光輝性現像剤が優先的に消費されるため、供給回数が多くなるにつれて、現像剤収容空間31内の光輝性現像剤の大粒径の残存数が多くなるためである。そのため、現像剤収容空間31内のキャリアの残量ではなく、二成分現像方式の光輝性現像剤においても現像剤収容空間31内の光輝性現像剤の残量が少なくなるにつれて、本発明を適応することで同様の効果を得ることができる。
【0157】
さらに上述した実施の形態においては、画像形成ユニット10の感光体ドラム36から各色の現像剤像を順次重ねるように中間転写ベルト44に転写し、この中間転写ベルト44から用紙Pに現像剤像を転写する、いわゆる中間転写方式(又は2次転写方式)の画像形成装置1に本発明を適用する場合について述べた。本発明はこれに限らず、画像形成ユニット10の感光体ドラム36から各色の現像剤像を順次重ねるように媒体としての用紙Pに転写する、いわゆる直接転写方式の画像形成装置に本発明を適用しても良い。本実施の形態における中間転写方式の画像形成装置1の場合、感光体ドラム36上の現像剤像を媒体としての中間転写ベルト44へ転写する転写部としての1次転写ローラ45と、中間転写ベルト44上の現像剤像を媒体としての用紙Pへ転写する転写部としての2次転写ローラ46とを有する。一方、直接転写方式の画像形成装置の場合、感光体ドラム上の現像剤を媒体としての用紙へ転写する転写部としての転写ローラのみを有する。
【0158】
さらに上述した実施の形態においては、5個の画像形成ユニット10を有する画像形成装置1に本発明を適用する場合について述べた。本発明はこれに限らず、4個以下又は6個以上の画像形成ユニット10を有する画像形成装置に本発明を適用しても良い。
【0159】
さらに上述した実施の形態においては、現像剤収容器12が画像形成本体部11に対して着脱可能に構成された画像形成ユニット10を有する画像形成装置1に本発明を適用する場合について述べた。本発明はこれに限らず、現像剤収容器12と画像形成本体部11とが一体化された画像形成ユニットを有する画像形成装置に本発明を適用しても良い。
【0160】
さらに上述した実施の形態においては、シルバー100[%]という色の印刷データを上位装置20から受信した場合、画像形成装置1が、特色銀専用データ変換テーブル88に基づき、画像形成ユニット10Sのドットカウントdに応じて、印刷パターンPT2(
図6)、印刷パターンPT3(
図7)、印刷パターンPT4(
図8)又は印刷パターンPT5(
図9)の何れかを選択し印刷する場合について述べた。本発明はこれに限らず、上位装置20が、シルバー100[%]という色の印刷データをプリンタドライバ上においてアプリケーションから取得した場合に、画像形成装置1から画像形成ユニット10Sのドットカウントdのデータ、又は、現像剤収容空間31のシルバー現像剤の残量のデータを取得し、取得したデータに基づき、所定の特色銀専用データ変換テーブルを参照し、印刷パターンPT2(
図6)、印刷パターンPT3(
図7)、印刷パターンPT4(
図8)又は印刷パターンPT5(
図9)の何れかを選択し、選択した印刷パターンPTを画像形成装置1に送信しても良い。その場合、画像形成装置1は、上位装置20から受信した印刷パターンPTをそのまま印刷することとなる。
【0161】
さらに上述した実施の形態においては、単機能のプリンタである画像形成装置1に本発明を適用する場合について述べた。本発明はこれに限らず、例えば複写機やファクシミリ装置の機能を有するMFP(Multi Function Peripheral)等、他の種々の機能を有する画像形成装置に本発明を適用しても良い。
【0162】
さらに上述した実施の形態においては、画像形成装置1に本発明を適用する場合について述べた。本発明はこれに限らず、例えば複写機等、電子写真方式により現像剤を用いて用紙P等の媒体に画像を形成する種々の電子機器に本発明を適用しても良い。
【0163】
さらに本発明は、上述した各実施の形態及び他の実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した各実施の形態と上述した他の実施の形態の一部又は全部を任意に組み合わせた実施の形態にも本発明の適用範囲が及ぶものである。また本発明は、上述した各実施の形態及び他の実施の形態のうち任意の実施の形態に記載された構成の一部を抽出し、上述した各実施の形態及び他の実施の形態のうちの任意の実施の形態の構成の一部と置換・転用した実施の形態や、抽出された構成の一部を任意の実施の形態に追加した実施の形態にも本発明の適用範囲が及ぶものである。
【0164】
さらに上述した実施の形態においては、第1の画像形成部としての第1の画像形成部90と、制御部としての制御部92とによって、画像形成装置としての画像形成装置1を構成する場合について述べた。本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる第1の画像形成部と、制御部とによって、画像形成装置を構成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0165】
本発明は、電子写真方式により金属顔料を含む現像剤を用いて媒体に画像を形成する場合に利用できる。
【符号の説明】
【0166】
1……画像形成装置、2……筐体、2T……排紙トレイ、3……印刷制御部、10……画像形成ユニット、11……画像形成本体部、12……現像剤収容器、13……現像剤供給部、14……LEDヘッド、17……インターフェイス部、18……表示制御部、19……メモリ、20……上位装置、21……表示部、22……センサ、23……CPU、30……画像形成筐体、31……現像剤収容空間、32……第1供給ローラ、33……第2供給ローラ、34……現像ローラ、35……現像ブレード、36……感光体ドラム、37……帯電ローラ、38……クリーニングブレード、40……中間転写部、41……駆動ローラ、42……従動ローラ、43……バックアップローラ、44……中間転写ベルト、45……1次転写ローラ、46……2次転写ローラ、47……逆屈曲ローラ、48……逆屈曲バックアップローラ、49……2次転写部、50……第1給紙部、51……用紙カセット、52……ピックアップローラ、53……フィードローラ、54……リタードローラ、55……搬送ガイド、56、57、58……搬送ローラ対、60……第2給紙部、61……用紙トレイ、62……ピックアップローラ、63……フィードローラ、64……リタードローラ、DS……濃度センサ、65……定着部、66……加熱部、67……加圧部、68……搬送ローラ対、69……切替部、70……排紙部、71……搬送ガイド、72、73、74、75……搬送ローラ対、76……排出口、77……再搬送部、80……プロセス制御部、81……現像電圧制御部、82……供給電圧制御部、83……露光制御部、84……転写電圧制御部、85……モータ制御部、86……データ有無判断部、87……データ変換テーブル、88……特色銀専用データ変換テーブル、90……第1の画像形成部、91……第2の画像形成部、92……制御部、PT1、PT2、PT3、PT4、PT5、PT6、PT7、PT8……印刷パターン、IS……シルバー現像剤像、ARIS……シルバー現像剤像領域、ISS……シルバー現像剤像正方形、IB……ブラック現像剤像、ARIB……ブラック現像剤像領域、IBS……ブラック現像剤像正方形、WH……白色領域、IBP……ブラック現像剤像多角形、ISSs……シルバー現像剤像小正方形、P……用紙。