(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024008747
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】装飾品
(51)【国際特許分類】
A44C 17/00 20060101AFI20240112BHJP
【FI】
A44C17/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022110868
(22)【出願日】2022-07-09
(71)【出願人】
【識別番号】522277146
【氏名又は名称】楠本技研株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100197550
【弁理士】
【氏名又は名称】津留 寛樹
(72)【発明者】
【氏名】楠本 俊彦
【テーマコード(参考)】
3B114
【Fターム(参考)】
3B114AA02
3B114AA03
3B114AA14
3B114AA21
3B114JA05
3B114JB01
(57)【要約】
【課題】装飾性の高い装飾品の提供を目的とする。
【解決手段】基材2と、焼結ダイヤモンド3と、からなる装飾品1であって、基材2と、焼結ダイヤモンド3と、が装飾面8に対して横方向に隣接する。基材2又は焼結ダイヤモンド3が、その一端面から他端面に貫通する貫通孔6を有し、貫通孔6の輪郭と略同形状の焼結ダイヤモンド3又は基材2が嵌合されてなる。貫通孔6の内周面と、焼結ダイヤモンド3又は基材2の外周面と、の間にスペースを有するとよい。貫通孔6の内周面と、焼結ダイヤモンド3又は基材2の外周面と、が互いに異なる傾斜を有するとよい。貫通孔6に嵌合された焼結ダイヤモンド3又は基材2は、装飾面8から突出していないとよい。基材2及び焼結ダイヤモンド3を任意の形状にデザインする工程と、基材2又は焼結ダイヤモンド3にその一端面から他端面に貫通する貫通孔6を形成する工程と、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、
焼結ダイヤモンドと、を備える装飾品であって、
上記基材と、上記焼結ダイヤモンドと、が装飾面に対して横方向に隣接する装飾品。
【請求項2】
上記基材又は上記焼結ダイヤモンドが、その一端面から他端面に貫通する貫通孔を有し、上記貫通孔の輪郭と略同形状の焼結ダイヤモンド又は基材が嵌合されてなる請求項1に記載の装飾品。
【請求項3】
上記貫通孔の内周面と、上記焼結ダイヤモンド又は上記基材の外周面と、の間にスペースを有する請求項2に記載の装飾品。
【請求項4】
上記貫通孔の内周面と、上記焼結ダイヤモンド又は上記基材の外周面と、が互いに異なる傾斜を有する請求項2又は請求項3に記載の装飾品。
【請求項5】
上記貫通孔に嵌合された上記焼結ダイヤモンド又は上記基材は、装飾面から突出していない請求項2から請求項4のいずれか一項に記載の装飾品。
【請求項6】
基材及び焼結ダイヤモンドを任意の形状にデザインする工程と、
上記基材又は上記焼結ダイヤモンドにその一端面から他端面に貫通する貫通孔を形成する工程と、
上記貫通孔と略同形状の焼結ダイヤモンド又は基材を形成する工程と、
上記貫通孔に上記焼結ダイヤモンド又は上記基材を嵌合させる工程と、
嵌合された嵌合体を切削する工程と、
切削された切削体を研磨する工程と、
を含む装飾品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材と焼結ダイヤモンドとを含んでなる装飾品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の装飾品において、基材の多くはチタン、シルバー、ステンレス、金、プラチナ等で作られている。装飾品の高度化やデザインの複雑化が求められるようになり、装飾品本体の表面に模様などを彫刻機等で加工することや、異なる基材を組み合わせた装飾品も提案されている(例えば、特開平6-322554号公報参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【0004】
しかしながら、従来の異なる基材を組み合わせた装飾品においては、下地基材の表面部に、焼結ダイヤモンドを接合させるため、基材は高硬度、高強度になるが、装飾品表面の色彩が単調になってしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明はこれらの不都合に鑑みてなされたものであり、装飾性の高い装飾品及び装飾品の製造方法の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためになされた発明は、基材と、焼結ダイヤモンドと、を備える装飾品であって、
上記基材と、上記焼結ダイヤモンドと、が装飾面に対して横方向に隣接することを特徴とする。
【0007】
当該装飾品は、基材と、焼結ダイヤモンドと、が装飾面に対して横方向に隣接することで、高い装飾性を有する。
【0008】
上記基材又は上記焼結ダイヤモンドが、その一端面から他端面に貫通する貫通孔を有し、上記貫通孔の輪郭と略同形状の焼結ダイヤモンド又は基材が嵌合されるとよい。このように、貫通孔の輪郭と略同形状の造形体が嵌合されることで、装飾性の高い装飾品にすることができる。
【0009】
上記貫通孔の内周面と、上記焼結ダイヤモンド又は上記基材の外周面と、の間にスペースを有するとよい。このように、貫通孔の内周面と焼結ダイヤモンド又は基材の外周面との間にスペースを設けることで、微細なデザインでも容易に嵌合することができる。
【0010】
上記貫通孔の内周面と、上記焼結ダイヤモンド又は上記基材の外周面と、が互いに異なる傾斜を有するとよい。このように、貫通孔の内周面と、焼結ダイヤモンド又は基材の外周面とに互いに異なる傾斜を設けることで、上記貫通孔から上記造形体が脱落することを回避することができる。さらに、接合工程や接着剤を使用することなく上記貫通孔に上記造形体を固定することができる。
【0011】
上記貫通孔に嵌合された上記焼結ダイヤモンド又は上記基材は、装飾面から突出していないとよい。このように、装飾面から突出していないことで、使用感に優れた装飾品にすることができる。
【0012】
また、上記課題を解決するためになされた別の発明は、基材及び焼結ダイヤモンドを任意の形状にデザインする工程と、上記基材又は上記焼結ダイヤモンドにその一端面から他端面に貫通する貫通孔を形成する工程と、上記貫通孔と略同形状の焼結ダイヤモンド又は基材を形成する工程と、上記貫通孔に上記焼結ダイヤモンド又は上記基材を嵌合させる工程と、嵌合された嵌合体を切削する工程と、切削された切削体を研磨する工程と、を含む装飾品の製造方法である。当該装飾品の製造方法は、装飾性の高い装飾品を製造することができる。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、本発明の実施形態に係る装飾品及び装飾品の製造方法によれば、装飾性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る装飾品の断面図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係る装飾品の斜視図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態に係る装飾品の製造工程を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、適宜図面を参照しつつ本発明の実施の形態を説明する。本実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであって、本発明を限定するものではない。以下の説明では、必要に応じて特定の方向や位置を示す用語(例えば、「上」、「下」を含む用語)を用いるが、その用語の使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本発明の技術的範囲は限定されない。
【0016】
図1は本発明の実施形態に係る装飾品の断面図であり、
図2はその斜視図である。
【0017】
図1の装飾品1は、導電性基材2と、焼結ダイヤモンド3と、を含んでなり、導電性基材2と、焼結ダイヤモンド3と、が装飾面8に対して横方向に隣接している。
【0018】
図2に示すように、焼結ダイヤモンド3の母材から、貫通孔6を任意の形状に形成し、上記貫通孔6の輪郭と略同形状の造形体7を導電性基材2から形成し、嵌合されるとよい。嵌合することで、装飾性の高い装飾品にすることができる。
【0019】
貫通孔6と、造形体7と、当接する周縁部4に遊びを有しているとよい。このように、当接する周縁部4に遊びを有していることで、微細なデザインでも容易に嵌合することができる。
【0020】
貫通孔6と、造形体7と、双方の嵌合面5に傾斜を設けるとよい。このように、双方の嵌合面5に傾斜を設けることで、貫通孔6から造形体7が脱落することを回避することができる。さらに接合工程や接着剤を使用することなく貫通孔6に造形体7を固定することができる。
【0021】
貫通孔6と、造形体7とが装飾面8から突出していないとよい。装飾面8から突出していないことで、使用感に優れた装飾品にすることができる。
【0022】
貫通孔6の形状は、特に限定されるものではなく、例えば、楕円、星形、円形、多角形等、ほかの形状となるよう装飾性等によって任意の形状に形成することができる。
【0023】
造形体7の形状は、特に限定されるものではなく、例えば、貫通孔6とほぼ等しい輪郭であれば、楕円、星形、円形、多角形、空洞を有する形状等、ほかの形状となるよう装飾性等によって任意の形状に形成することができる。
【0024】
また
図2の装飾品1は、焼結ダイヤモンド3から貫通孔6が形成され、導電性基材2から造形体7が形成されているが、この構成に限定されることはなく、例えば、焼結ダイヤモンド3から造形体7が形成され、導電性基材2から貫通孔6が形成されても良い。
【0025】
また、焼結ダイヤモンドに代えて、超硬合金、単結晶ダイヤモンド、立方晶窒化ホウ素、アルミナ(コランダム)、窒化ケイ素、鋼、サーメットを使用してもよい。
【0026】
導電性基材2を構成する材料としては、導電性があれば特に限定されるものではなく、例えば金属、合金、貴金属、セラミックスなどを用いることができる。導電性基材2を構成する金属、合金、貴金属としては、例えば、鉄、鋼、ステンレス鋼、銅、銅合金、アルミニウム合金、チタン、シルバー、ステンレス、金、プラチナなどが挙げられる。
【0027】
傾斜角αの角度は、特に限定されず、上述のように貫通孔6に造形体7を固定することができる限り任意に設定することができる。傾斜角αの下限としては、0.1°が好ましく、0.5°がより好ましく、1°がさらに好ましい。一方、傾斜角αの上限としては、10°が好ましく、7°がより好ましく、4°がさらに好ましい。傾斜角αを上記範囲とすることで貫通孔6に造形体7を固定することができる。
【0028】
次に、本発明の装飾品の製造方法について説明する。
図3は製造工程を示すフロー図である。
図3に示すように、導電性基材2及び焼結ダイヤモンド3の母材を任意の形状にデザインする(S1)。次に、画像処理機能でプログラムする(S2)。次の工程の下穴を放電加工により、細穴加工する(S3)。さらにワイヤー加工で、プログラムしたデザインに切り抜き、貫通孔6と造形体7を形成する(S4)。次に貫通孔6と造形体7を嵌合させて(S5)、切削(S6)、次に研磨する(S7)。当該製造方法によれば、装飾性の高い装飾品を製造することができる。
【符号の説明】
【0029】
1 装飾品
2 基材
3 焼結ダイヤモンド
4 周縁部
5 嵌合面
6 貫通孔
7 造形体
8 装飾面