(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087471
(43)【公開日】2024-07-01
(54)【発明の名称】ひよこ豆粉含有麺類、およびひよこ豆粉含有麺類の作製方法
(51)【国際特許分類】
A23L 7/109 20160101AFI20240624BHJP
A23L 11/00 20210101ALI20240624BHJP
【FI】
A23L7/109 B
A23L11/00 F
A23L7/109 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022202311
(22)【出願日】2022-12-19
(71)【出願人】
【識別番号】506009453
【氏名又は名称】オルガノフードテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】梅根 伸悟
【テーマコード(参考)】
4B020
4B046
【Fターム(参考)】
4B020LB24
4B020LB27
4B020LC02
4B020LC04
4B020LG09
4B020LP03
4B020LP05
4B020LP08
4B020LP13
4B046LA05
4B046LB04
4B046LC01
4B046LC08
4B046LC17
4B046LC20
4B046LE03
4B046LG02
4B046LG04
4B046LG16
4B046LG20
4B046LG29
4B046LG36
4B046LP03
4B046LP10
4B046LP15
4B046LP41
4B046LP51
4B046LP80
4B046LQ04
4B046LQ10
(57)【要約】
【課題】製麺適性、外観、食感、および風味に優れる、ひよこ豆粉含有麺類、およびひよこ豆粉含有麺類の作製方法を提供する。
【解決手段】ひよこ豆粉と、小麦粉と、を含有する、ひよこ豆粉含有麺類、および、ひよこ豆粉と、小麦粉と、水と、を用いてひよこ豆粉含有麺類を作製する製麺工程を含む、ひよこ豆粉含有麺類の作製方法である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ひよこ豆粉と、小麦粉と、を含有することを特徴とするひよこ豆粉含有麺類。
【請求項2】
請求項1に記載のひよこ豆粉含有麺類であって、
前記ひよこ豆粉の体積平均粒子径は、41.3μmを超えることを特徴とするひよこ豆粉含有麺類。
【請求項3】
請求項1または2に記載のひよこ豆粉含有麺類であって、
前記ひよこ豆粉と前記小麦粉の含有比率は、50:50~80:20の範囲であることを特徴とするひよこ豆粉含有麺類。
【請求項4】
ひよこ豆粉と、小麦粉と、水と、を用いてひよこ豆粉含有麺類を作製する製麺工程を含むことを特徴とするひよこ豆粉含有麺類の作製方法。
【請求項5】
請求項4に記載のひよこ豆粉含有麺類の作製方法であって、
前記ひよこ豆粉の体積平均粒子径は、41.3μmを超えることを特徴とするひよこ豆粉含有麺類の作製方法。
【請求項6】
請求項4または5に記載のひよこ豆粉含有麺類の作製方法であって、
前記ひよこ豆粉と前記小麦粉の含有比率は、50:50~80:20の範囲であることを特徴とするひよこ豆粉含有麺類の作製方法。
【請求項7】
請求項4または5に記載のひよこ豆粉含有麺類の作製方法であって、
前記ひよこ豆粉は、加熱処理された加熱ひよこ豆粉であることを特徴とするひよこ豆粉含有麺類の作製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ひよこ豆粉含有麺類、そのひよこ豆粉含有麺類の作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
麺類は主食の一つであり、種類の豊富さや嗜好性の高さが常々求められている。麺類としては、小麦粉を使用した中華麺やうどん等がある。また、小麦粉以外の穀粉を使用した麺類としては、米粉を使用したフォーや、緑豆、馬鈴薯、甘藷等の澱粉を使用した春雨等が古くから知られている。フォーや春雨等の小麦粉以外の穀粉を使用した麺類は、製法が中華麺やうどんとは異なるため、別途、専用の設備を必要とするケースが一般的である。また、主食である麺自体は、従来、風味の薄いものが主流であったが、近年、麺自体に味の特徴があるもの等が増えてきている。
【0003】
一方で、小麦粉以外の穀粉(例えば、豆粉等)を小麦粉と置き換えて製麺する場合、麺の加工適性に悪影響を及ぼす場合が多いため、様々な方法が検討されているが、小麦粉に対して小麦粉以外の穀粉を一定以上の配合比率にすることが難しく、課題となっている。
【0004】
特許文献1には、大豆粉を主体とした大豆麺の製造方法が記載されている。特許文献2には、豆類を原料とする麺類等を製造するための加熱調理用でんぷん含有組成物を製造する方法が記載されている。特許文献1の方法では、小麦粉に対して豆粉を一定以上の配合比率にすることができ、特許文献2の方法では、小麦粉を含まない豆類の麺類を製造することができるが、特殊な製麺設備や製麺工程が必要となり、制約が大きい。
【0005】
特許文献3には、小麦粉、大豆粉に対して活性グルテンやこんにゃく粉を配合する麺の製造方法が記載されている。特許文献4には、小麦粉、大豆粉に対して活性グルテンや水溶性食物繊維として増粘多糖類を配合する麺の製造方法が記載されている。しかし、特許文献3,4の方法では、製麺設備や製麺工程における制約は比較的少ないが、小麦グルテン、こんにゃく粉、増粘多糖類を含むことを必要とする等、配合において制約が多い。
【0006】
また、大豆粉を使用した麺類は色が悪く、特許文献5には、それを色素で補った技術が記載されている。
【0007】
このように、小麦粉に豆粉を配合した麺類の麺自体の嗜好性と製造適性との両立は難しく、どちらかに対して妥協せざるを得ない状況が一般的であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010-094030号公報
【特許文献2】特許第7089817号公報
【特許文献3】特許第4666993号公報
【特許文献4】特開2007-215415号公報
【特許文献5】特許第42807963号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、製麺適性、外観、食感、および風味に優れる、ひよこ豆粉含有麺類、およびそのひよこ豆粉含有麺類の作製方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、ひよこ豆粉と、小麦粉と、を含有する、ひよこ豆粉含有麺類である。
【0011】
前記ひよこ豆粉含有麺類において、前記ひよこ豆粉の体積平均粒子径は、41.3μmを超えることが好ましい。
【0012】
前記ひよこ豆粉含有麺類において、前記ひよこ豆粉と前記小麦粉の含有比率は、50:50~80:20の範囲であることが好ましい。
【0013】
本発明は、ひよこ豆粉と、小麦粉と、水と、を用いてひよこ豆粉含有麺類を作製する製麺工程を含む、ひよこ豆粉含有麺類の作製方法である。
【0014】
前記ひよこ豆粉含有麺類の作製方法において、前記ひよこ豆粉の体積平均粒子径は、41.3μmを超えることが好ましい。
【0015】
前記ひよこ豆粉含有麺類の作製方法において、前記ひよこ豆粉と前記小麦粉の含有比率は、50:50~80:20の範囲であることが好ましい。
【0016】
前記ひよこ豆粉含有麺類の作製方法において、前記ひよこ豆粉は、加熱処理された加熱ひよこ豆粉であることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、製麺適性、外観、食感、および風味に優れる、ひよこ豆粉含有麺類、およびひよこ豆粉含有麺類の作製方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施の形態について以下説明する。本実施形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
【0019】
<ひよこ豆粉含有麺類>
本発明の実施の形態に係るひよこ豆粉含有麺類は、ひよこ豆粉と、小麦粉と、を含有する麺類である。
【0020】
本発明者らは、小麦粉にひよこ豆粉を配合し、水に加えて混合して製麺することによって、製麺適性、外観、食感、および風味に優れる、小麦粉に豆粉を配合した麺類を得ることができることを見出した。ひよこ豆粉末(特に加熱処理を加えたひよこ豆粉末)を使用することにより、豆の風味や色味の特長を保持しつつ、嗜好性の高い麺類を、特に製麺設備を選ぶことなく、作製することができる。
【0021】
ひよこ豆粉は、ひよこ豆を製粉して得られる粉末である。ひよこ豆は、マメ亜科の植物である。用いるひよこ豆粉としては特に制限はないが、加熱処理を加えた加熱ひよこ豆粉であることが好ましい。加熱処理は、例えば、80℃以上の温度で、常圧下で5分間以上行えばよく、95℃以上の温度で、常圧下で15分間以上行うことが好ましい。加熱処理の上限温度は、ひよこ豆粉が変質しない程度の温度であればよく、特に制限はないが、例えば、200℃である。
【0022】
ひよこ豆から澱粉を抽出したひよこ豆澱粉や、ひよこ豆からたん白を抽出したひよこ豆たん白がある。ひよこ豆粉は、澱粉、たん白、食物繊維、脂質、ミメラル類、ビタミン類等を含み、ひよこ豆澱粉やひよこ豆たん白とは食物繊維を含む点で異なるものである。
【0023】
小麦粉としては、小麦を粉にしたものであればよく、特に制限はないが、例えば、普通小麦から得られる薄力粉、中力粉、準強力粉、強力粉、超強力粉等の普通小麦粉、加熱処理等を施した加工小麦粉や、デュラム小麦から得られるデュラム粉、デュラムセモリナ等が挙げられる。小麦粉は、これらのうち1種を用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0024】
本実施形態に係るひよこ豆粉含有麺類において、ひよこ豆粉の体積平均粒子径は、41.3μmを超え、45μm以上3000μm以下の範囲であることが好ましく、150μm以上1000μm以下の範囲であることがより好ましく、200μm以上750μm以下の範囲であることがさらに好ましい。ひよこ豆粉の体積平均粒子径が41.3μm以下であると、製麺適性、外観、食感、および風味のうちの少なくとも1つが劣る場合があり、3000μmを超えると、製麺適性、食感が劣る場合がある。例えば、体積平均粒子径が41.3μm未満のひよこ豆粉を所定の温度、時間で加熱処理することによって、ひよこ豆粉の体積平均粒子径を上記範囲とすることができる。
【0025】
本実施形態に係るひよこ豆粉含有麺類において、ひよこ豆粉と小麦粉の含有比率(質量比率)は、例えば、10:90~90:10の範囲であり、50:50~80:20の範囲であることが好ましく、50:50~60:40の範囲であることがより好ましい。ひよこ豆粉と小麦粉の含有比率が10:90未満であり、小麦粉に対するひよこ豆粉の含有量が少ないと、外観、風味が劣る場合があり、90:10を超え、小麦粉に対するひよこ豆粉の含有量が多いと、製麺適性、食感が劣る場合がある。
【0026】
本実施形態に係るひよこ豆粉含有麺類は、ひよこ豆粉、小麦粉の他に、小麦グルテン、かんすい、食塩を含んでもよい。小麦グルテンを含むことによって、製麺適性や食感が向上する。かんすい、食塩を含むことによって、製麺適性や食感が向上する。
【0027】
小麦グルテンを含む場合の小麦グルテンの含有量は、例えば、ひよこ豆粉の含有量に対して、0.5質量%~20質量%の範囲であり、1質量%~10質量%の範囲であることが好ましい。小麦グルテンの含有量がひよこ豆粉の含有量に対して、0.5質量%未満であると、製麺適性、食感の向上効果が得られない場合があり、20質量%を超えると、食感、風味が劣る場合がある。
【0028】
かんすいを含む場合のかんすいの含有量は、例えば、ひよこ豆粉の含有量に対して、0.05質量%~2質量%の範囲であり、0.1質量%~1質量%の範囲であることが好ましい。かんすいの含有量がひよこ豆粉の含有量に対して、0.05質量%未満であると、製麺適性、食感の向上効果が得られない場合があり、2質量%を超えると、外観、風味が劣る場合がある。
【0029】
食塩を含む場合の食塩の含有量は、例えば、ひよこ豆粉の含有量に対して、0.1質量%~5質量%の範囲であり、0.3質量%~3質量%の範囲であることが好ましい。食塩の含有量がひよこ豆粉の含有量に対して、0.1質量%未満であると、製麺適性、食感の向上効果が得られない場合があり、5質量%を超えると、風味が劣る場合がある。
【0030】
麺類としては、ひよこ豆粉および小麦粉から得た生地を細長く成形した食品であればよく、特に制限はないが、中華麺、パスタ、うどん、そば、素麺、冷麦、春雨、ビーフン、フォー等が挙げられる。麺類の形態としては、生麺類、乾麺類、即席麺類、冷凍麺類等が挙げられる。
【0031】
本実施形態に係るひよこ豆粉含有麺類は、ひよこ豆粉、小麦粉の他に、他の穀粉を含んでもよい。他の穀粉としては、麦、米、そば、とうもろこし、豆類、芋類、木の実等の穀物を粉にしたものであり、特に制限はないが、例えば、大麦粉、ライ麦粉、米粉、そば粉、とうもろこし粉、片栗粉、葛粉、タピオカ粉等が挙げられる。他の穀粉は、これらのうち1種を用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0032】
本実施形態に係るひよこ豆粉含有麺類は、ひよこ豆粉、小麦粉、小麦グルテン、食塩、かんすいの他に、増粘多糖類、加工デンプン等の他の成分を含んでもよい。
【0033】
本実施形態に係るひよこ豆粉含有麺類において、その他の成分の配合量は、各種麺類の製造の常法に従えばよく、特に制限はない。
【0034】
本実施形態に係るひよこ豆粉含有麺類は、製麺適性、外観、食感、および風味に優れる麺類である。
【0035】
<ひよこ豆粉含有麺類の作製方法>
本発明の実施の形態に係るひよこ豆粉含有麺類の作製方法は、ひよこ豆粉と、小麦粉と、水と、を用いてひよこ豆粉含有麺類を作製する製麺工程を含む方法である。麺類の作製方法は、各種麺類の製造の常法に従えばよく、特に制限はない。
【0036】
水としては、特に制限はないが、水道水、純水、軟水、硬水等が挙げられる。
【0037】
製麺工程において、例えば、ロール式製麺機、押出式製麺機等を用いて製麺を行えばよい。ひよこ豆粉末を使用することにより、製麺方式によらず、麺類を作製することができる。製麺の容易さ等の点から、ロール式製麺機を用いることが好ましい。
【0038】
本実施形態に係るひよこ豆粉含有麺類の作製方法において、製麺工程の前に、ひよこ豆粉を加熱する加熱工程を含むことが好ましい。加熱工程における加熱処理は、例えば、80℃以上の温度で、常圧下で5分間以上行えばよく、95℃以上の温度で、常圧下で15分間以上行うことが好ましい。製麺工程の前にひよこ豆粉を加熱処理することによって、製麺適性、外観、食感、および風味のうちの少なくとも1つが向上する。加熱処理の上限温度は、ひよこ豆粉が変質しない程度の温度であればよく、特に制限はないが、例えば、200℃である。
【0039】
本実施形態に係るひよこ豆粉含有麺類は、例えば、ひよこ豆粉、小麦粉、必要に応じて他の穀粉、小麦グルテン、かんすい、食塩、他の成分を水に添加、混合し、生地を得て製麺することによって得られる。
【0040】
例えば、ひよこ豆粉、小麦粉、必要に応じて他の穀粉、小麦グルテン、かんすい、食塩、他の成分、水等の各原料を混合し、混合した原料を、製麺機等を用いて圧延して製麺した後、切出して得ることができる。切出した麺を茹でた後、急速冷凍を行い、冷凍麺としてもよい。切出した麺を乾燥して乾燥麺としてもよい。
【0041】
このようにして、製麺適性、外観、食感、および風味に優れるひよこ豆粉含有麺類を得ることができる。
【0042】
本明細書は、以下の実施形態を含む。
(1)ひよこ豆粉と、小麦粉と、を含有する、ひよこ豆粉含有麺類。
【0043】
(2)(1)に記載のひよこ豆粉含有麺類であって、
前記ひよこ豆粉の体積平均粒子径は、41.3μmを超える、ひよこ豆粉含有麺類。
【0044】
(3)(1)または(2)に記載のひよこ豆粉含有麺類であって、
前記ひよこ豆粉と前記小麦粉の含有比率は、50:50~80:20の範囲である、ひよこ豆粉含有麺類。
【0045】
(4)ひよこ豆粉と、小麦粉と、水と、を用いてひよこ豆粉含有麺類を作製する製麺工程を含む、ひよこ豆粉含有麺類の作製方法。
【0046】
(5)(4)に記載のひよこ豆粉含有麺類の作製方法であって、
前記ひよこ豆粉の体積平均粒子径は、41.3μmを超える、ひよこ豆粉含有麺類の作製方法。
【0047】
(6)(4)または(5)に記載のひよこ豆粉含有麺類の作製方法であって、
前記ひよこ豆粉と前記小麦粉の含有比率は、50:50~80:20の範囲である、ひよこ豆粉含有麺類の作製方法。
【0048】
(7)(4)~(6)のいずれか1つに記載のひよこ豆粉含有麺類の作製方法であって、
前記ひよこ豆粉は、加熱処理された加熱ひよこ豆粉である、ひよこ豆粉含有麺類の作製方法。
【実施例0049】
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0050】
<実施例1~12、比較例1~9>
小麦粉として準強力粉とともに、市販のひよこ豆粉(加熱処理あり(ひよこ豆粉A)、加熱処理なし(ひよこ豆粉B)、加熱処理あり(ひよこ豆粉C))、ひよこ豆粉Bを加熱処理したひよこ豆粉(98℃15分加熱(ひよこ豆粉D)、98℃60分加熱(ひよこ豆粉E))、ひよこ豆澱粉、ひよこ豆たん白粉末、ひよこ豆以外の豆粉として大豆粉、緑豆粉、エンドウ豆粉を使用したときの、製麺適性、外観、食感、および風味を比較し、効果の検討を行った。表1、表2、表3に示す配合量(質量部)で、下記手順で豆粉麺を作製した。ひよこ豆粉の加熱処理は、下記手順で行った。また、加熱処理なしのひよこ豆粉、加熱処理したひよこ豆粉の体積平均粒子径を下記手順で測定し、比較した。
【0051】
ひよこ豆澱粉は、ひよこ豆から遠心分離等の方法で抽出した澱粉であり、澱粉の含有量は約100質量%である。ひよこ豆たん白粉末は、ひよこ豆から酸処理等の方法で得た抽出したたん白を粉末化したものであり、たん白の含有量は約60~70質量%である。ひよこ豆粉は、澱粉を約50質量%、たん白を約20質量%、食物繊維を約16質量%、脂質を約5質量%含む。
【0052】
[ひよこ豆粉の加熱処理]
ひよこ豆粉B(市販のひよこ豆粉の加熱処理なし)をスチームコンベクションオーブン(ニチワ電機社)のスチーマーモードで、98℃で15分間加熱して、ひよこ豆粉Dを得た。
ひよこ豆粉B(市販のひよこ豆粉の加熱処理なし)をスチームコンベクションオーブンのスチーマーモードで、98℃で60分間加熱して、ひよこ豆粉Eを得た。
【0053】
[ひよこ豆粉の分析]
ひよこ豆粉A~Eについて、レーザー回析式粒度分布測定装置(マルバーン社製、マスターサイザー)を用いて、粒子の粒度分布を測定し、体積平均粒子径を求めた。結果を表4に示す。
【0054】
[豆粉麺の作製]
豆粉麺の作製は、一般的な中華麺の作製工程に従い行った。まず、表1、表2、表3に示す配合量(質量部)で各原料を、卓上ミキサー(愛工舎製作所製、ケンミックス)を用いて混合した。混合した原料を、ロール式製麺機(丸菊麺機製、小型麺機)を用いて複合、圧延した後、♯22角刃で麺厚約1.6mmに切出し、約30cmにカットして豆粉麺を得た。沸騰した湯の中で2分間茹でた後、氷水で冷却した。
【0055】
得られた冷却後の豆粉麺について、製麺適性、外観、食感、および風味を下記基準で官能評価した。結果を表5、表6、表7に示す。官能評価は、パネラー7名による評価である。
【0056】
[評価基準]
(製麺適性)
5:製麺が非常に良好
4:製麺が良好
3:製麺が可能
2:製麺が不可(混捏OK、複合・圧延・切出時にNG)
1:製麺が不可(混捏時にNG)
(外観(色))
5:良好かつ特長的
4:良好
3:普通
2:不良ではないが普通でもない
1:不良
(風味)
5:良好かつ特長的
4:良好または特長的
3:普通
2:不良ではないが普通でもない
1:不良
(食感)
5:非常に良好
4:良好
3:普通
2:可
1:不良
【0057】
【0058】
【0059】
【0060】
【0061】
【0062】
【0063】
【0064】
このように、ひよこ豆粉を用いた麺類は、ひよこ豆澱粉、ひよこ豆たん白粉末を用いた場合やひよこ豆粉以外の他の豆類を用いた場合に比べて、製麺適性、外観、食感、および風味に優れていた。また、加熱処理を行ったひよこ豆粉を用いた麺類は、加熱処理を行っていないひよこ豆粉を用いた場合に比べて、製麺適性、外観、食感、および風味に優れていた。小麦グルテンを添加することによって、製麺適性、食感が向上した。
【0065】
以上のように、実施例によって、製麺適性、外観、食感、および風味に優れる、ひよこ豆粉含有麺類を得ることができた。