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特開2024-87476通信システムの省電力化を実現する基地局装置、端末装置、制御方法、及びプログラム
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  • 特開-通信システムの省電力化を実現する基地局装置、端末装置、制御方法、及びプログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087476
(43)【公開日】2024-07-01
(54)【発明の名称】通信システムの省電力化を実現する基地局装置、端末装置、制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 48/10 20090101AFI20240624BHJP
   H04W 52/02 20090101ALI20240624BHJP
【FI】
H04W48/10
H04W52/02 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】26
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022202317
(22)【出願日】2022-12-19
(71)【出願人】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】李 ヤンウェイ
(72)【発明者】
【氏名】武田 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 泰樹
(72)【発明者】
【氏名】梅原 雅人
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA44
5K067EE02
5K067EE10
5K067GG02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】SSBやSIB1の送信停止による省電力化機能を効率的に運用する基地局装置、端末装置、制御方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】端末装置に対して複数のセルの少なくともいずれかを用いて通信サービスが提供される無線通信ネットワークにおいて、第1の基地局装置は、複数のセルのうちの第1のセル(省電力セル)においてシステム情報の送信が停止されている場合、第1のセル(省電力セル)において送信が停止されているシステム情報が送信される第2のセル(アンカーセル)に関する情報を第1の基地局装置が提供するセルに在圏する端末装置へ通知する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末装置に対して複数のセルの少なくともいずれかを用いて通信サービスが提供される無線通信ネットワークにおける、基地局装置であって、
前記複数のセルのうちの第1のセルにおいてシステム情報の送信が停止されている場合、前記第1のセルにおいて送信が停止されているシステム情報が送信される第2のセルに関する情報を前記基地局装置が提供するセルに在圏する端末装置へ通知する通知手段を有する、
ことを特徴とする基地局装置。
【請求項2】
前記第2のセルに関する情報は、前記第2のセルが提供される周波数の情報を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の基地局装置。
【請求項3】
前記通知手段は、前記複数のセルの少なくとも一部について、システム情報の送信の停止を行う機能を有するセルであるか否かを示す情報を、前記基地局装置が提供するセルに在圏する端末装置へ通知し、
前記第1のセルは前記機能を有するセルである、ことを特徴とする請求項1に記載の基地局装置。
【請求項4】
前記通知手段は、前記機能を有するセルについて、さらに、当該機能を有効化しているか否かを示す情報を、前記基地局装置が提供するセルに在圏する端末装置へ通知する、ことを特徴とする請求項3に記載の基地局装置。
【請求項5】
前記基地局装置が前記第2のセルを提供しており、前記端末装置が前記第2のセルに在圏している場合、前記第1のセルにおいて送信が停止されているシステム情報を前記第2のセルにおいて前記端末装置へ提供する提供手段をさらに有する、ことを特徴とする請求項1に記載の基地局装置。
【請求項6】
前記提供手段は、前記第1のセルにおいて送信が停止されているシステム情報を、前記第2のセルにおいてブロードキャストで定期的に送信する、ことを特徴とする請求項5に記載の基地局装置。
【請求項7】
前記提供手段は、前記第1のセルにおいて送信が停止されているシステム情報を要求する信号を前記端末装置から受信した場合に、当該端末装置へ前記第1のセルにおいて送信が停止されているシステム情報を前記第2のセルにおいて送信する、ことを特徴とする請求項5に記載の基地局装置。
【請求項8】
前記通知手段は、前記第2のセルに関する情報を、前記基地局装置が提供するセルにおける、System Information Block Type2、System Information Block Type3、又は、System Information Block Type4のいずれかにおいて通知する、ことを特徴とする請求項1に記載の基地局装置。
【請求項9】
端末装置に対して複数のセルの少なくともいずれかを用いて通信サービスが提供される無線通信ネットワークにおける、前記端末装置であって、
前記複数のセルのうちの第1のセルにおいてシステム情報の送信が停止されている場合、前記第1のセルにおいて送信が停止されているシステム情報が送信される第2のセルに関する情報を、前記端末装置が在圏するセルを提供する第1の基地局装置から受信する受信手段と、
前記第2のセルを提供する第2の基地局装置から、前記第1のセルにおいて送信が停止されているシステム情報を取得する取得手段と、
を有することを特徴とする端末装置。
【請求項10】
前記第2のセルに関する情報は、前記第2のセルが提供される周波数の情報を含む、ことを特徴とする請求項9に記載の端末装置。
【請求項11】
前記第2の基地局装置が前記第1の基地局装置と異なる場合、前記取得手段は、前記第2のセルに関する情報として、前記第1のセルにおいて送信が停止されているシステム情報が前記第2のセルにおいて送信されるタイミングの情報を取得し、当該タイミングにおいて、前記第1の基地局装置からの信号の受信を停止して、前記第1のセルにおいて送信が停止されているシステム情報を前記第2のセルにおいて受信する、
ことを特徴とする請求項9に記載の端末装置。
【請求項12】
前記取得手段は、前記第1のセルに関して測定された無線品質が所定の条件を満たした場合に、前記第1のセルにおいて送信が停止されているシステム情報を前記第2のセルにおいて受信する、ことを特徴とする請求項9に記載の端末装置。
【請求項13】
前記取得手段は、前記第2のセルに関して測定された無線品質が所定の条件を満たした場合に、前記第1のセルにおいて送信が停止されているシステム情報を前記第2のセルにおいて受信する、ことを特徴とする請求項9に記載の端末装置。
【請求項14】
前記取得手段は、前記第1のセルに関して測定された第1の無線品質と前記第2のセルに関して測定された第2の無線品質が所定の条件を満たした場合に、前記第1のセルにおいて送信が停止されているシステム情報を前記第2のセルにおいて受信する、ことを特徴とする請求項9に記載の端末装置。
【請求項15】
前記第1のセルにおいて送信が停止されているシステム情報の前記第2のセルにおける受信処理を開始してから所定期間が経過しても当該受信処理を完了しなかった場合に、前記第1のセルを、セル選択およびセル再選択の対象から除く、ことを特徴とする請求項9に記載の端末装置。
【請求項16】
前記第2のセルのセル選択の優先度によらず、前記第2のセルに関する無線信号の測定を行う測定手段をさらに有する、ことを特徴とする請求項9に記載の端末装置。
【請求項17】
前記第1のセルにおいて送信が停止されているシステム情報の前記第2のセルにおける受信処理が開始された後であって当該受信処理が完了する前に、前記第1のセルの状態が変化した場合に、当該受信処理を停止する、ことを特徴とする請求項9に記載の端末装置。
【請求項18】
前記受信手段は、前記複数のセルの少なくとも一部について、システム情報の送信の停止を行う機能を有するセルであるか否かを示す情報を受信し、
前記第1のセルは前記機能を有するセルである、ことを特徴とする請求項9に記載の端末装置。
【請求項19】
前記受信手段は、前記機能を有するセルについて、さらに、当該機能を有効化しているか否かを示す情報を受信する、ことを特徴とする請求項18に記載の端末装置。
【請求項20】
前記受信手段は、前記第2のセルに関する情報を、前記端末装置の位置を含んだセルにおける、System Information Block Type2、System Information Block Type3、又は、System Information Block Type4のいずれかにおいて受信する、ことを特徴とする請求項9に記載の端末装置。
【請求項21】
前記取得手段は、前記第2の基地局装置によって前記第2のセルにおいてブロードキャストで定期的に送信された、前記第1のセルにおいて送信が停止されているシステム情報を取得する、ことを特徴とする請求項9に記載の端末装置。
【請求項22】
前記取得手段は、前記第1のセルにおいて送信が停止されているシステム情報を要求する信号を前記第2の基地局装置へ送信し、当該要求に応じて当該第2の基地局装置から、前記第1のセルにおいて送信が停止されているシステム情報を前記第2のセルにおいて取得する、ことを特徴とする請求項9に記載の端末装置。
【請求項23】
端末装置に対して複数のセルの少なくともいずれかを用いて通信サービスが提供される無線通信ネットワークにおける、基地局装置によって実行される制御方法であって、
前記複数のセルのうちの第1のセルにおいてシステム情報の送信が停止されている場合、前記第1のセルにおいて送信が停止されているシステム情報が送信される第2のセルに関する情報を前記基地局装置が提供するセルに在圏する端末装置へ通知することを含む、ことを特徴とする制御方法。
【請求項24】
端末装置に対して複数のセルの少なくともいずれかを用いて通信サービスが提供される無線通信ネットワークにおける、前記端末装置によって実行される制御方法であって、
前記複数のセルのうちの第1のセルにおいてシステム情報の送信が停止されている場合、前記第1のセルにおいて送信が停止されているシステム情報が送信される第2のセルに関する情報を、前記端末装置が在圏するセルを提供する第1の基地局装置から受信することと、
前記第2のセルを提供する第2の基地局装置から、前記第1のセルにおいて送信が停止されているシステム情報を取得することと、
を含むことを特徴とする制御方法。
【請求項25】
端末装置に対して複数のセルの少なくともいずれかを用いて通信サービスが提供される無線通信ネットワークにおける、基地局装置に備えられたコンピュータに、
前記複数のセルのうちの第1のセルにおいてシステム情報の送信が停止されている場合、前記第1のセルにおいて送信が停止されているシステム情報が送信される第2のセルに関する情報を前記基地局装置が提供するセルに在圏する端末装置へ通知させる、ためのプログラム。
【請求項26】
端末装置に対して複数のセルの少なくともいずれかを用いて通信サービスが提供される無線通信ネットワークにおける、前記端末装置に備えられたコンピュータに、
前記複数のセルのうちの第1のセルにおいてシステム情報の送信が停止されている場合、前記第1のセルにおいて送信が停止されているシステム情報が送信される第2のセルに関する情報を、前記端末装置が在圏するセルを提供する第1の基地局装置から受信させ、
前記第2のセルを提供する第2の基地局装置から、前記第1のセルにおいて送信が停止されているシステム情報を取得させる、
ためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低消費電力での無線通信を実現するための制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP(登録商標))において、ネットワークの消費電力の抑制が重要な課題として議論されている。非特許文献1では、従来、コンポーネントキャリア(CC)ごとに常に送信されることとなっているSynchronization Signal/Physical Broadcast Channel block(SSB)及びSystem Information Block Type1(SIB1)の少なくとも一部の送信を、一部のCCにおいて停止して省電力化を図ることが提案されている。非特許文献1では、SSB及びSIB1の少なくとも一部の送信が停止されているCCへの接続のための情報が、他のCCにおいて送信されることが提案されている。なお、本実施形態を通して、「CC」は「セル」と読み替えられてもよい。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】3GPP寄書、R1-2203173
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のような省電力化機能の運用方法は現時点において明らかでなく、これを効率的に運用する技術が要求される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、一部のセルにおけるSSBやSIB1の送信停止による省電力化機能を効率的に運用する技術を提供する。
【0006】
本発明の一態様による基地局装置は、端末装置に対して複数のセルの少なくともいずれかを用いて通信サービスが提供される無線通信ネットワークにおける、基地局装置であって、前記複数のセルのうちの第1のセルにおいてシステム情報の送信が停止されている場合、前記第1のセルにおいて送信が停止されているシステム情報が送信される第2のセルに関する情報を前記基地局装置が提供するセルに在圏する端末装置へ通知する通知手段を有する。
【0007】
本発明の一態様による端末装置は、端末装置に対して複数のセルの少なくともいずれかを用いて通信サービスが提供される無線通信ネットワークにおける、前記端末装置であって、前記複数のセルのうちの第1のセルにおいてシステム情報の送信が停止されている場合、前記第1のセルにおいて送信が停止されているシステム情報が送信される第2のセルに関する情報を、前記端末装置の位置を含んだセルを提供する第1の基地局装置から受信する受信手段と、前記第2のセルを提供する第2の基地局装置から、前記第1のセルにおいて送信が停止されているシステム情報を取得する取得手段と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、SSBやSIB1の送信停止による省電力化機能を効率的に運用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】無線通信ネットワークの構成例を示す図である。
図2】端末装置へ通知される情報の例を示す図である。
図3】装置のハードウェア構成例を示す図である。
図4】基地局装置の機能構成例を示す図である。
図5】端末装置の機能構成例を示す図である。
図6】無線通信ネットワークにおいて実行される処理の流れの例を示す図である。
図7】無線通信ネットワークにおいて実行される処理の流れの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴は任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0011】
(ネットワーク構成)
図1に、本実施形態に係る無線通信ネットワークの構成例を示す。この無線通信ネットワークは、例えば、第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP(登録商標))のセルラ通信規格に準拠したセルラ通信システムである。無線通信ネットワークは、例えば、基地局装置101~基地局装置103と端末装置121とを含んで構成され、複数の基地局装置のいずれかが、端末装置121と接続を確立して無線通信サービスを提供する。ここで、例えば、基地局装置101は第1のセル111を提供し、基地局装置102は第2のセル112を提供し、基地局装置103は第3のセル113を提供しているものとする。なお、ここでの「セル」は、コンポーネントキャリア(CC)と読み替えられてもよい。ここで、第1のセル111~第3のセル113は、それぞれ異なる周波数(CC)を用いて提供されてもよいし、同じCCを用いて提供されてもよい。なお、図1では、説明を簡単にするために、3つの基地局装置及び1つの端末装置のみを示しているが、基地局装置及び端末装置は当然に多数存在しうる。また、1つの基地局装置が、複数のセル(複数のCC)を提供しうる。また、1つの基地局装置が、それぞれ異なる位置に配置された無線送受信器を用いて複数のセル(CC)を提供してもよい。なお、複数の基地局装置は、例えばXnインタフェースやS1インタフェースなどを介して相互に制御情報の交換のための通信を行うように構成されてもよい。
【0012】
従来、基地局装置101~基地局装置103は、複数のセル(CC)のそれぞれにおいて、Synchronization Signal/Physical Broadcast Channel block(SSB)及びSystem Information Block Type1(SIB1)を送信するように構成されている。すなわち、各セルでは、周期的に必ずSSB及びSIB1が送信される。このため、基地局装置101~基地局装置103は、そのSSB及びSIB1の送信のために電力を消費することとなる。
【0013】
これに対して、非特許文献1に記載のように、第2のセル(CC)においてSSBやSIB1の送信を行わずに、第2のセルと異なる第1のセルにおいて、第2のセルのための接続情報(例えばMaster Information Block(MIB)やSIB1)を送信することにより、第2のセルにおける消費電力を削減することができる。一方で、この場合、端末装置121は、第2のセルにおいて接続先を探索する場合、第2のセルではMIBやSIB1等が送信されないため、この第2のセルの無線信号のみを観測した場合、第2のセルでの待ち受けや接続の確立を行うことができない。すなわち、端末装置121は、第2のセルのMIBやSIB1が送信されている第1のセルにおいて観測処理を行わなければ、第2のセルの情報を取得することができず、第2のセルでの待ち受けや接続の確立を行うことができない。
【0014】
ここで、例えば、基地局装置102が、第2のセル112において、MIBやSIB1などのシステム情報の送信を停止しているものとする。この場合、端末装置121は、第2のセル112のためのMIBやSIB1を送信している他のセルを特定するために、多数のセルにおいて送信されている無線信号を観測することとなりうる。このため、端末装置121の周囲において提供されているセルの数が多い場合、端末装置121が第2のセル112の情報を取得するまでに長時間を要してしまいうる。例えば、図1において、端末装置121は、第1のセル111と第3のセル113のいずれにおいて、第2のセル112において送信が停止されているシステム情報が送信されているかが分からない場合、それぞれのセルにおいて基地局装置から送出されている無線信号を観測する必要がある。
【0015】
本実施形態では、このような事情に鑑み、端末装置121に対して、その端末装置121が在圏(Camp on)するセルにおいて、第2のセル112において送信が停止されているシステム情報が送信されているセルに関する情報が通知されるようにする。例えば、端末装置121は、第1のセル111に在圏しているものとし、第3のセル113において、第2のセル112のためのシステム情報(MIBやSIB1)が送信されているものとする。このとき、第1のセル111において、第3のセル113において第2のセルのためのシステム情報が送信されることを端末装置121が特定可能とするための情報が提供される。この情報は、例えば、システム情報の送信を停止する省電力機能を有するセルを示す情報を含みうる。この情報は、例えば、Physical Cell identityやCell identityなどセルを識別するための情報と、省電力機能の有無を示す情報とが関連付けられた情報として提供されうる。図1の例では、第2のセル112の識別子と省電力機能を有することを示す情報とが関連付けられて、第1のセル111において端末装置121へ通知される。また、この情報は、例えば、そのような省電力機能を有するセルにおいて、その機能が有効化されているかを示す情報を含んでもよい。例えば、第1のセル111は、一例において、省電力機能を有するが、その省電力機能を有効化していないことが想定されうる。この場合、第1のセル111の識別情報、省電力機能を有すること、及び、省電力機能を無効化していることを関連付けた情報が、第1のセル111から端末装置121へ通知されうる。
【0016】
また、この情報は、省電力機能によって送信が停止された場合のシステム情報を提供するセルを示す情報を含む。この情報は、例えば、周波数の情報であってもよい。一例において、特定の周波数の全てのセルにおいて、省電力機能が有効化されたセルのシステム情報が提供されるようにしてもよく、この場合、その特定の周波数を示す情報が、省電力機能によって送信が停止された場合のシステム情報を提供するセルを示す情報として提供されうる。この場合、特定のセルの識別情報は含まれなくてもよい。例えば、第3のセル113が提供される周波数の情報が、第2のセル112において送信が停止されるシステム情報を提供する第3のセル113を示す情報として、通知されうる。なお、周波数を示す情報は、ARFCN(Absolute Radio Frequency Channel Number)でありうる。また、周波数の情報に加えて、又はこれに代えて、個別のセルを特定する識別情報が、送信が停止されたシステム情報を提供するセルを示す情報として提供されてもよい。なお、送信が停止されたシステム情報を提供するセルは複数存在してもよく、一部において周波数の情報のみが通知され、他の一部においてセルの識別情報が通知されてもよい。なお、第3のセル113においても、上述のように第1のセル111によって通知される情報を提供してもよい。すなわち、第2のセル112が省電力機能を有し、第2のセル112においてその機能が有効化されており、かつ、その第2のセル112において送信が停止されているシステム情報が第3のセル113において提供されることが、その第3のセル113においても通知される。
【0017】
図2に、提供される情報の例を示す。なお、以下では、送信が停止されたシステム情報を提供するセルのことを、「アンカーセル」と呼ぶ場合がある。図2の例において、第1のセル111は、省電力機能を有するが、その省電力機能を有効化していないことが示されている。また、第1のセル111は、省電力機能が有効化され、システム情報の送信が停止される場合、そのシステム情報は、ARFCN0のセルにおいて提供される。ここで、ARFCN0のセル(不図示)は、この情報が提供されるエリアに含まれる全てのセルにおいて、送信が停止された場合のシステム情報が提供される。第1のアンカーセルとして、周波数の情報のみが通知されうる。このため、特定のセルを識別する情報は含まれなくてもよい。また、そのシステム情報は、第2のアンカーセルとして、例えば、ARFCN1の第3のセル113の識別情報が通知されうる。一例において、ARFCN1のセルは、第3のセル113以外のセルにおいて、送信が停止されたシステム情報の提供が行われないことが想定されうる。この場合には、アンカーセルの情報として、セルの識別情報が通知されうる。なお、セルの識別情報のみが通知され、周波数の情報が通知されなくてもよい。なお、第1のセル111のシステム情報は、省電力機能が有効化されていないため、第1のセル111において送信され、通常、アンカーセルにおいては送信されない。ただし、これは一例であり、省電力機能の有効化がされていなくても、アンカーセルにおいてシステム情報が提供されてもよい。また、図2の例において、第2のセル112は、省電力機能を有し、その省電力機能を有効化していることが示されている。そして、第2のセル112のアンカーセルは第1のセル111のアンカーセルと同じであることが示されている。第2のセル112は、省電力機能を有効化しているため、アンカーセルにおいてシステム情報が提供される。図2の例において、第3のセル113は、省電力機能を有さないことが示されている。このため、第3のセル113では、省電力機能が有効化されることはなく、また、アンカーセルの設定もない。
【0018】
なお、例えば、第1のセル111においては、第1のセル111に関する情報を除いた情報が、端末装置121へ通知されてもよい。同様に、第3のセル113においては、第3のセル113に関する情報を除いた情報が、周囲の端末装置へ通知されてもよい。当然ながら、第1のセル111において第1のセル111に関する情報を含んだ情報が通知され、第3のセル113において第3のセル113に関する情報を含んだ情報が通知されてもよい。なお、図2は、3つのセルに関する情報のみを示しているが、これに限られない。すなわち、各セルにおいて端末装置へ通知される情報はそのセルの周囲のセルの情報(及び必要に応じてそのセルの情報)を含むため、多数のセルが周囲に存在する場合には、その多数のセルに関する情報が通知されるようになる。なお、周囲のセルは、隣接セルのみであってもよいし、一定の距離範囲内の隣接セル以外のセルを含んでもよい。
【0019】
端末装置は、この情報を受信すると、第2のセル112について、送信が停止されているシステム情報を取得する際には、アンカーセルにおいて、情報を取得する。一例において、端末装置は、自装置が在圏しているセルがアンカーセルである場合、そのセルにおいて情報を受信する。一方で、端末装置は、自装置が在圏していないセルがアンカーセルである場合、アンカーセルへ移動して、そのアンカーセルにおいて、情報を受信しうる。
【0020】
ここで、端末装置が在圏しているセルがアンカーセルである場合に、省電力機能を有すると共にその省電力機能が有効化されている他のセル(以下では「省電力セル」と呼ぶ。)において送信が停止されているシステム情報を、端末装置が取得する方法について説明する。アンカーセルは、例えば、送信が停止されているシステム情報を、ブロードキャストで定期的に送信しうる。この場合、アンカーセルは、省電力セルのセル識別子と、省電力セルのMIBやSIB1などの送信が停止されているシステム情報とを関連付けて送信しうる。なお、アンカーセルは、MIB及びSIB1に加えて、SIB1以外のSIBx(x≧2)の一部又は全部を送信してもよい。また、アンカーセルは、省電力セルのSIBのスケジューリング情報(SI-SchedulingInfo)を送信してもよい。端末装置は、省電力セルの識別情報と共に提供されるSI-SchedulingInfoに含まれるschedulingInfoListを用いて、省電力セルのMIB、SIB1、SIBx(x≧2)のいずれがブロードキャスト送信されるかを認識することができる。そして、端末装置は、それぞれの情報が送信されるトランスポートブロックを受信して、MIB又はSIBを必要に応じて受信することができる。なお、アンカーセルの基地局装置は、schedulingInfoListにおいて「Broadcasting」と設定した省電力セルのMIBやSIBをブロードキャスト送信する。一方で、アンカーセルの基地局装置は、schedulingInfoListにおいて「notBroadcasting」と設定した省電力セルのMIBやSIBについてはブロードキャスト送信しない。
【0021】
なお、アンカーセルの基地局装置は、schedulingInfoListにおいて「notBroadcasting」と設定した省電力セルのMIBやSIBについて、端末装置から要求信号を受信した場合に、それらの情報をその端末装置へ提供しうる。要求信号は、例えば、無線リソース制御(RRC)レイヤのメッセージであるRRCSystemInfoRequestメッセージでありうる。端末装置は、schedulingInfoListにおいて「notBroadcasting」と設定されているシステム情報の取得を、RRCSystemInfoRequestメッセージを用いて基地局装置へ要求しうる。なお、アンカーセルの基地局装置は、省電力セルのMIBやSIBの全てをブロードキャスト送信しないでもよい。この場合、端末装置は、省電力セルの識別情報と、MIBやSIBの全てについて「notBroadcasting」と設定されたschedulingInfoListを取得すると、受信を要求すべきシステム情報を指定した要求信号を送信することにより、MIBやSIBを受信することができる。
【0022】
また、アンカーセルの基地局装置は、端末装置と接続を確立した際に、送信されていない省電力セルについてのシステム情報を、その端末装置へ提供するようにしてもよい。例えば、端末装置が、アンカーセルにおいてRRC_Idle状態からRRC_Connected状態へ遷移した場合に、アンカーセルの基地局装置は、例えば個別のRRCメッセージによって、端末装置へ、省電力セルの送信されていないシステム情報を提供しうる。端末装置は、アンカーセルに対して、UEInformationRequestを送信することで、SI-SchedulingInfoにおいてブロードキャスト送信されないことが示されている(「notBroadcasting」に設定された)システム情報の提供を要求しうる。アンカーセルの基地局装置は、UEInformationResponseに含まれるdedicatedSIB1-Delivery、dedicatedSystemInformationDeliveryを用いて、ブロードキャスト送信されない、省電力セルのシステム情報を提供しうる。なお、アンカーセルは、複数の省電力セルに対するアンカーセルとして機能してよく、この場合、端末装置は、複数の省電力セルにおいて送信されていないシステム情報を、アンカーセルの基地局装置から取得しうる。例えば、端末装置は、アンカーセルに対して、複数の省電力セルのそれぞれに関して、UEInformationRequestなどの個別のRRCメッセージによって要求しうる。端末装置は、例えば、省電力セルの識別情報と、要求するシステム情報の種類を関連付けた要求信号を、アンカーセルの基地局装置へ送信して、必要な情報を取得しうる。
【0023】
端末装置は、上述のように、自装置が在圏していないセルがアンカーセルである場合、アンカーセルへ移動して、そのアンカーセルにおいて、情報を受信しうる。ここで、端末装置は、例えば、省電力セルへのセル再選択を行うと判定する前に、アンカーセルへ移動して情報を取得してもよいし、省電力セルへのセル再選択を行うと判定した後に、アンカーセルへ移動して情報を取得してもよい。
【0024】
例えば、端末装置121が、在圏しているセル第1の111において受信した信号に基づいて、第2のセル112が省電力機能を有すると共にその機能を有効化しており、その第2のセル112のアンカーセルが第3のセル113であることを認識したものとする。この場合、端末装置は、省電力セルである第2のセル112の無線信号の測定結果がセル選択やセル再選択の対象とする条件などの所定の条件を満たしていなくても、アンカーセルである第3のセル113のSSBやSIBの無線品質を測定しうる。そして、端末装置は、第3のセル113のSSBやSIBの測定結果が所定の条件を満たす場合(例えば無線品質が十分に良好な場合)に、その第3のセル113のSSB及びSIBを復号し、第2のセル112のシステム情報を取得しうる。また、端末装置は、複数のアンカーセルが指定されている場合には、それらのアンカーセルのうち、一定の条件を満たす1つのアンカーセルを特定し、そのセルで送信されたSSB及びSIBを復号してもよい。ここで、第1のセル111は、アンカーセルである第3のセル113が送信する情報の受信タイミングを、端末装置へ通知してもよい。端末装置は、第1のセル111に在圏したまま、第3のセル113において送信される信号を受信することになる。なお、端末装置は、第1のセル111において通知された受信タイミングにおいて、第1のセル111における信号の受信を停止して、第3のセル113が送信する情報の受信処理を実行する。このため、第1のセル111は、自装置がページング信号を送信するタイミング以外でアンカーセルから情報を受信するように、受信タイミングを指示しうる。また、端末装置が、自装置がページング信号を送信するタイミングでアンカーセルから情報を受信するように指示を受けた場合は、ページング信号受信とアンカーセルからの情報受信のどちらを実行するかを判定してもよい。
【0025】
なお、端末装置121は、従来通り、在圏中の第1のセル111から、セル選択の優先度を示す値を受信するように構成される。端末装置121は、在圏中の第1のセル111における無線品質が所定の基準レベルより劣化した場合に、その在圏中の第1のセル111よりも優先度の低い隣接セルの無線品質を測定する。ここで、例えば、省電力状態にある第2のセル112の優先度とアンカーセルである第3のセル113の優先度との関係によっては、省電力状態にある第2のセル112の無線信号のみが測定され、アンカーセルである第3のセル113の無線信号が測定されない、という状況が生じうる。例えば、第2のセル112の優先度が第1のセル111の優先度以上であり、第3のセル113の優先度が第1のセル111の優先度より低く、かつ、第1のセル111の無線品質が所定値以下ではない場合、第2のセル112の測定が行われるが、第3のセル113の測定が行われない。この場合、端末装置121は、第2のセル112から送信された一部の信号を測定することができるが、第3のセル113を測定しないため、第2のセル112において送信が停止されているシステム情報を入手することができないことが想定されうる。このため、本実施形態では、例えば、端末装置が、アンカーセルの優先度に関わらず、省電力セルの測定を開始する際にはアンカーセルをも測定するように構成されてもよい。また、端末装置が、基地局装置から指示されるアンカーセルの優先度を、省電力セルの優先度へ変更してもよい。これにより、省電力セルの測定が行われる際に、その省電力セルについてのシステム情報を端末装置が確実に取得することができるようにすることができる。なお、優先度の情報は、SIB2、SIB3、SIB4、又は、RRC Releaseメッセージにおいて指定されるcellReselectionPriorityによって端末装置へ通知される。
【0026】
なお、端末装置は、アンカーセルの同期信号やSSBの無線品質に関わらず、アンカーセルのSSBやSIBの復号を行うようにしてもよい。一例において、端末装置は、省電力セルの無線品質がセル再選択の基準を満たした場合に、アンカーセルのSSBやSIBの復号処理を開始しうる。端末装置は、アンカーセルの無線品質によらずにSSBやSIBの復号を試行した結果、それらの情報の復号に失敗した場合、一定期間の経過後にそれらの情報の取得及び復号を再実行しうる。また、端末装置は、アンカーセルにおける省電力セルのシステム情報の受信処理に所定回数連続して又は所定期間にわたって失敗し続けて完了しなかった場合、そのアンカーセルに関連付けられた省電力セルを、セル選択及びセル再選択の対象から除いてもよい。なお、所定回数又は所定期間は、端末装置が在圏中の第1のセル111から端末装置へ通知されうる。アンカーセルが複数存在する場合、端末装置は、情報の復号に失敗したアンカーセルと異なる別のアンカーセルを、省電力セルのためのアンカーセルとして使用してもよい。
【0027】
また、端末装置は、省電力セルである第2のセル112の無線信号の測定結果が、セル選択やセル再選択の対象とする条件などの所定の条件を満たした場合に、アンカーセルである第3のセル113のSSB及びSIBの復号を試行するようにしてもよい。すなわち、端末装置は、第2のセル112をセル選択又はセル再選択による移動先のセルとして決定した場合に、第3のセル113におけるSSBやSIBの復号を試行してもよい。なお、端末装置は、第2のセル112の無線信号の測定結果が所定の条件を満たすが、セル選択又はセル再選択による移動先のセルとして決定する前に、第3のセル113におけるSSBやSIBの復号を試行してもよい。また、端末装置は、省電力セルである第2のセル112の無線信号の測定結果と、アンカーセルである第3のセル113の無線信号の測定結果の両方が、所定の条件を満たす場合に、第3のセル113のSSB及びSIBを復号するようにしてもよい。例えば、端末装置は、第2のセル112がセル選択やセル再選択の対象とする条件を満たすと共に、第3のセルのSSBやSIBの復号が可能な程度に無線品質が十分に良好な場合に、第3のセル113のSSB及びSIBを復号するようにしうる。
【0028】
一例において、端末装置は、省電力状態の第2のセル112の無線品質を測定し、さらに、その無線品質によらずに、第2のセル112のアンカーセルとなっている第3のセル113の無線品質についても測定しうる。そして、端末装置は、第2のセル112がセル移動条件を満たした時点において、第3のセル113の無線品質が所定の閾値以上である場合に、第3のセル113のSSBやSIBの復号を実行する。一方で、端末装置は、第3のセル113の無線信号の無線品質が所定の閾値以下の場合、第3のセル113のSSBやSIBの復号を行わない。その後、端末装置は、第2のセル112がセル移動条件を満たしたまま、第3のセル113の無線信号の無線品質が所定の閾値以上となった場合に、第3のセル113のSSBやSIBの復号を実行しうる。なお、ここでの所定の閾値は、端末装置が在圏している第1のセル111から端末装置へ通知されうる。これにより、第3のセル113の無線品質が良好でなく、第3のセル113のSSBやSIBの復号に失敗する確率が高い状況において不必要に復号処理を行うことによる端末装置の電力を浪費することを防ぐことができる。
【0029】
なお、端末装置は、省電力セルである第2のセル112がセル選択又はセル再選択の基準を満たす前に、アンカーセルである第3のセル113のSSBやSIBの復号を行わないようにしうる。すなわち、端末装置は、第2のセル112の無線品質がセル選択又はセル再選択の基準を満たしたことに応じて、アンカーセルである第3のセル113のSSBの受信を開始して、SIBの復号を行うようにしうる。端末装置は、第2のセル112が在圏セルの移動条件を満たしていることを条件に、第3のセル113のSSB及びSIBの復号を試行する。なお、端末装置は、第3のセル113のSSB及びSIBの復号に成功しないまま所定期間が経過した場合に、第2のセル112をセル選択又はセル再選択による移動先のセルとしないことを決定しうる。また、端末装置は、所定期間の経過前であっても、第3のセル113のSSB及びSIBの復号に成功しないうちに第2のセル112が在圏セルの移動条件を満たさない状態(例えば無線品質が基準を満たさない状態)になった場合も、第2のセル112をセル選択又はセル再選択による移動先のセルとしないことを決定しうる。この場合、端末装置は、第2のセル112のシステム情報の受信処理の開始後に、その第2のセル112の状態が変化したことに応じて、第2のセル112のシステム情報の受信処理を停止する。また、端末装置は、第3のセル113のSSBやSSBの復号の試行回数がその復号に成功しないまま所定回数に達した場合、または、復号の試行回数が所定回数に達する前に第2のセル112が在圏セルの移動条件を満たさない状態へと変化した場合に、第2のセル112をセル選択又はセル再選択による移動先のセルとしないことを決定してもよい。なお、ここでの所定期間又は所定回数は、例えば、第1のセル111の基地局装置から端末装置へ通知されうる。
【0030】
なお、セル選択又はセル再選択による在圏セルの移動条件は、隣接セルの中に、一定期間内に無線品質が一定の値以上であるセルが存在することであり、端末装置は、その条件が満たされるセルを、セル再選択の候補セルとして認識する。端末装置は、隣接セルやサービングセルの測定を契機に、セル移動条件を満たすセルを、セル選択の優先度と参照信号受信電力(RSRP)などの無線品質とに基づいてランク付けする。ここでのランクは、優先度が高いほど、また、無線品質が高いほど、高く設定される。そして、端末装置は、ランクが最上位のセルへのセル再選択を開始する。なお、端末装置は、上述の一定期間はTreselectionとして、上述の一定の値はThreshとして、在圏中のセルから取得する。
【0031】
なお、端末装置は、在圏中のセルがアンカーセルでない場合など、省電力セルが送信を停止している省電力セルの情報を端末装置が保持していない場合は、アンカーセルではなく省電力セルから直接必要な情報を取得するために、省電力セルにおいて省電力機能を停止するように、ネットワークへ要求してもよい。例えば、端末装置は、省電力セルにおいて送信された信号の無線品質が在圏セルの移動条件を満たす場合に、在圏セルの基地局装置に対して、省電力セルにおける省電力機能の停止を要求するためのメッセージを送信する。在圏セルの基地局装置は、そのメッセージを受信すると、省電力セルを提供する基地局装置へ、省電力機能の停止を要求するメッセージを送信する。ここで、端末装置は、一般に、在圏セルにおいて一定の品質劣化が確認された場合に、在圏セルよりもセル選択の優先度の低いセルの無線品質の測定を開始する。このときに、省電力セルのセル選択の優先度が在圏セルよりも低い優先度が指定されている場合、端末装置は、在圏セルの無線品質の劣化が確認されて省電力セルの無線品質の測定を開始する際に、その省電力セルの省電力機能の停止を要求してもよい。なお、端末装置は、省電力セルへの上りリンクの信号の送信のための情報をあらかじめ保持している場合、在圏セルに対してではなく、省電力セルに対して、要求メッセージを送信してもよい。また、端末装置は、複数の省電力セルに対して、1つの上りリンクの信号(例えば、RRCSystemInfoRequestなどの1つのRRCメッセージ)によって、複数の省電力セルの省電力機能の停止を一括で要求してもよい。
【0032】
省電力セルの基地局装置は、省電力機能の停止要求を受信すると、送信を停止していたMIBやSIB1などのシステム情報の送信を再開するか否かを判定する。そして、この基地局装置は、システム情報の送信を再開すると判定した場合、省電力機能を停止したことを、隣接セルの基地局装置に通知する。なお、ここでの隣接セルは、省電力機能の停止要求を送信した端末装置が在圏するセルでありうる。また、ここでの隣接セルは、例えばアンカーセルを含んでもよい。ただし、これらに限られず、省電力セルについて、省電力機能を有効化していることやアンカーセルを示す情報(図2のような情報)を端末装置へ通知している全ての基地局装置に対して、省電力機能を停止したことを通知しうる。在圏セルの基地局装置は、省電力セルから省電力機能の停止通知を受信すると、図2のような情報におけるその省電力セルが省電力機能の有効化状態の情報を変更し、変更後の情報の送信を開始する。端末装置は、この情報を受信することにより、省電力セルが省電力機能を停止して通常のセルとして動作を開始したことを特定することができる。また、端末装置に対して、省電力セルが省電力機能を停止したことを示す通知が別途送信されてもよい。端末装置は、省電力機能を停止したセルから、そのセルのためのシステム情報を受信することができる。一方で、アンカーセルの基地局装置は、省電力セルのためのシステム情報の配信を停止しうる。ただし、これに限られず、アンカーセルの基地局装置は、省電力セルのためのシステム情報の配信を継続してもよい。
【0033】
なお、省電力セルの基地局装置は、システム情報の送信を再開しないと判定した場合、例えば要求を拒否すること又は省電力機能が有効状態で維持されることを特定可能な情報を、要求信号を送信した端末装置の在圏セルの基地局装置又は端末装置へ送信しうる。この場合、端末装置は、上述のようにして、アンカーセルから省電力セルのシステム情報を取得しうる。また、端末装置は、省電力セルをセル選択又はセル再選択の対象としないと決定してもよい。この場合、端末装置は、その省電力セルを、所定期間、セル選択又はセル再選択の対象から除いてもよい。また、端末装置は、上述の要求信号を送信してから、所定期間の間、システム情報の送信を再開することの通知を受信しなかった場合に、省電力セルが省電力機能を維持したものと判定し、その省電力セルのシステム情報をアンカーセルから取得するようにしてもよい。すなわち、端末装置は、上述の要求信号を送信してから、所定期間の間、システム情報の送信を再開することの通知を受信しなかった場合に、要求を拒否すること又は省電力機能が有効状態で維持されることを特定可能な情報を受信した場合と同様の処理をしてもよい。
【0034】
なお、省電力セルの基地局装置は、所定期間内に、複数の端末装置から、省電力機能の停止要求を所定回数以上受信した場合に、省電力機能を停止し、システム情報の送信を再開すると判定するようにしてもよい。ただし、これは一例であり、他の基準で省電力機能を停止するか否かを決定してもよい。例えば、省電力セルの基地局装置は、所定期間内において省電力機能が有効化されていた期間の割合が所定値以下である場合には、省電力機能を停止しないと判定してもよい。
【0035】
また、端末装置は、省電力セルから通常状態のセルへと移行したセルへ(そのセルへのセル再選択を行うことにより)移動して、そのセルにおいて必要な報知情報の受信を完了した場合、そのセルの基地局装置に対して、省電力機能の有効化を要求してもよい。この場合、そのセルの基地局装置は、省電力機能の有効化の要求を受信すると、その省電力機能を有効化するか否かを判定する。そして、そのセルの基地局装置は、省電力機能を有効化すると判定した場合に、省電力機能を有効化して、送信していたシステム情報の少なくとも一部についての送信を停止する。また、そのセルの基地局装置は、省電力機能を有効化したことを、端末装置がセル再選択前に在圏していたセルなどの隣接セルの基地局装置へ通知する。隣接セルの基地局装置は、受信した情報に基づいて、端末装置へ通知する図2のような情報を、その情報の送信元のセルにおいて省電力機能が有効化されたことを示すように更新し、更新後の信号を送出するようにする。このようにして、システム全体の省電力化を図りながら、端末装置が効率的に各セルのシステム情報を取得することができるようになる。
【0036】
なお、図2のような情報は、例えば、省電力機能を実行中でない各セルにおいて、System Information Block Type2(SIB2)、System Information Block Type3(SIB3)、又は、System Information Block Type4(SIB4)のいずれかを用いて送信されうる。従来、端末装置は、在圏中のセルにおいて基地局装置から送信されたSIB2~SIB4を受信して、隣接セルの情報を取得する。この隣接セルの情報を流用して、上述のような省電力機能の有無、その機能の有効化状態、アンカーセルの情報などが通知されるようにしてもよい。なお、端末装置は、この隣接セルの情報を取得すると、その情報に基づいて、隣接セルの無線品質を測定する。例えば、隣接セルの情報は、セル選択優先度の情報を含み、端末装置は、在圏中のセルよりもセル選択優先度の高い隣接セルについては周期的に無線品質を測定し、在圏中のセルよりもセル選択優先度の低い隣接セルについては在圏中のセルの無線品質が閾値以下に劣化した場合にのみ無線品質を測定するなどの処理を行いうる。
【0037】
(装置構成)
図3を用いて、基地局装置および端末装置のハードウェア構成例について説明する。基地局装置および端末装置は、一例において、プロセッサ301、ROM302、RAM303、記憶装置304、及び通信回路305を含んで構成される。プロセッサ301は、汎用のCPU(中央演算装置)や、ASIC(特定用途向け集積回路)等の、1つ以上の処理回路を含んで構成されるコンピュータであり、ROM302や記憶装置304に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、装置の全体の処理や、上述の各処理を実行する。ROM302は、基地局装置および端末装置が実行する処理に関するプログラムや各種パラメータ等の情報を記憶する読み出し専用メモリである。RAM303は、プロセッサ301がプログラムを実行する際のワークスペースとして機能し、また、一時的な情報を記憶するランダムアクセスメモリである。記憶装置304は、例えば着脱可能な外部記憶装置等によって構成される。通信回路305は、例えば、LTEや5Gの無線通信用の回路によって構成される。なお、図3では、1つの通信回路305が図示されているが、基地局装置および端末装置は、複数の通信回路を有しうる。例えば、基地局装置および端末装置は、LTE用および5G用の無線通信回路と共通のアンテナを有しうる。なお、基地局装置および端末装置は、LTE用のアンテナと5G用のアンテナとを別個に有してもよい。また、基地局装置は、さらに、他の基地局装置やコアネットワークのノードと通信する際に使用される有線通信回路を有しうる。また、端末装置は、無線LAN等の他の無線通信ネットワークのための通信回路を有してもよい。なお、基地局装置および端末装置は、使用可能な複数の周波数帯域のそれぞれについて別個の通信回路305を有してもよいし、それらの周波数帯域の少なくとも一部に対して共通の通信回路305を有してもよい。
【0038】
図4は、基地局装置の機能構成例を示す図である。基地局装置は、例えば、セル情報取得部401、セル情報通知部402、及びシステム情報提供部403を含んで構成される。なお、図4では、本実施形態に特に関係する機能のみを示しており、基地局装置が有しうる他の各種機能については図示を省略している。例えば、基地局装置は、LTEや5Gの基地局装置が一般的に有する他の機能を当然に有する。また、図4の機能ブロックは概略的に示したものであり、それぞれの機能ブロックが一体化されて実現されてもよいし、さらに細分化されてもよい。また、図4の各機能は、例えば、プロセッサ301がROM302や記憶装置304に記憶されているプログラムを実行することにより実現されてもよいし、例えば通信回路305の内部に存在するプロセッサが所定のソフトウェアを実行することによって実現されてもよい。なお、各機能部が実行する処理の詳細について、上述の詳細についてはここでは説明せず、その大まかな機能のみを概説する。
【0039】
セル情報取得部401は、自装置が省電力機能をサポートしているか否か、省電力機能をサポートしている場合にその機能を有効化しているか否か、及び、省電力機能が有効な場合のアンカーセルの情報を、隣接セルとの間で交換する。例えば、第1のセル111の基地局装置は、第2のセル112の基地局装置から、第2のセル112において省電力機能がサポートされると共に有効化されていること、アンカーセルが第3のセル113であることなどの情報を取得する。また、第1のセル111の基地局装置は、第3のセル113の基地局装置から、第3のセル113が省電力機能をサポートしないことの通知を受信しうる。また、第1のセル111の基地局装置は、第2のセル112の基地局装置及び第3のセル113の基地局装置へ、第1のセル111が省電力機能をサポートしているが有効化していないこと、有効化した場合のアンカーセルが第3のセル113であることなどの情報を通知しうる。なお、これらの情報の少なくとも一部は、基地局装置間の情報交換ではなく、例えば通信事業者によって事前設定されることによって各基地局装置において取得されてもよい。一例において、省電力機能をサポートしているか否かを示す情報とアンカーセルの情報とが事前設定され、省電力機能を有効化しているか否かを示す情報のみが、基地局装置間で交換されてもよい。通信事業者による事前設定は、例えば、所定の制御装置(不図示)から、各基地局装置へネットワークを通じて通知されうる。
【0040】
セル情報通知部402は、セル情報取得部401によって取得された情報を集約して、端末装置へ通知する。ここで通知される情報は、例えば図2のような情報である。また、セル情報通知部402は、従来と同様に、各隣接セルについて、端末装置がセル選択/セル再選択を行うための優先度を示す情報をさらに通知しうる。
【0041】
システム情報提供部403は、自装置において提供するセルのMIBやSIBなどの情報を提供するのに加え、自装置が提供するセルが他のセルためのアンカーセルとなる場合に、省電力セルにおいて送信が停止されているMIBやSIBなどのシステム情報を提供する。なお、システム情報提供部403は、省電力セルのアンカーセルとして機能していない場合には、自装置において提供するセルのシステム情報のみを送出しうる。また、システム情報提供部403は、自装置において省電力機能を使用する場合、一部のシステム情報の送信を停止し、例えば同期信号などの一部の信号のみを送信するようにしてもよい。
【0042】
図5は、端末装置の機能構成例を示す図である。端末装置は、例えば、情報取得部501、及び、セル選択処理部502を含んで構成される。なお、図5では、本実施形態に特に関係する機能のみを示しており、端末装置が有しうる他の各種機能については図示を省略している。例えば、端末装置は、LTEや5Gの端末装置が一般的に有する他の機能を当然に有する。また、図5の機能ブロックは概略的に示したものであり、それぞれの機能ブロックが一体化されて実現されてもよいし、さらに細分化されてもよい。また、図5の各機能は、例えば、プロセッサ301がROM302や記憶装置304に記憶されているプログラムを実行することにより実現されてもよいし、例えば通信回路305の内部に存在するプロセッサが所定のソフトウェアを実行することによって実現されてもよい。なお、各機能部が実行する処理の詳細について、上述の詳細についてはここでは説明せず、その大まかな機能のみを概説する。
【0043】
情報取得部501は、周囲の基地局装置からシステム情報などの各種情報を取得する。情報取得部501は、例えば、在圏するセルの基地局装置から送信されたシステム情報を取得する。また、情報取得部501は、在圏するセルに隣接するセルのシステム情報をも取得する。ここで、情報取得部501は、例えば、在圏するセルの基地局装置から、1つ以上の隣接セルが、省電力機能を有するか否か、省電力機能を有する場合にその機能を有効化しているか否か、及び、省電力機能が有効化されている場合にシステム情報が送信されるアンカーセルを特定可能な情報を取得する。そして、情報取得部501は、省電力機能を有すると共にその省電力機能を有効化している省電力セルについて、その省電力セルで送信が停止されているシステム情報を取得する際には、アンカーセルからそのシステム情報を取得する。セル選択処理部502は、周囲の基地局装置からの無線信号の測定結果に基づいて、セル選択又はセル再選択を実行する。なお、セル選択処理部502は、例えば、省電力セルについて、送信が停止されているシステム情報をアンカーセルから取得することができたか否かに基づいて、セル選択/セル再選択の対象とするか否かを決定しうる。また、セル選択処理部502は、省電力セルのシステム情報を取得するために、アンカーセルのセル選択の優先度によらずに測定の対象とする処理を行ってもよい。また、セル選択処理部502は、アンカーセルのセル選択の第1の優先度が省電力セルのセル選択の第2の優先度より低い場合に、第1の優先度を、第2の優先度と同じものとして測定の対象としてもよい。また、セル選択処理部502は、省電力セルにおいて省電力機能の停止要求に応じてその機能が停止されたか否かに応じて、セル選択/セル再選択の対象とするか否かを決定してもよい。
【0044】
(処理の流れ)
続いて、本実施形態の無線通信システムにおいて実行される処理の流れの例について、図6を用いて説明する。なお、ここでは、端末装置が在圏するセルと、省電力セルのアンカーセルとが異なり、端末装置が、省電力セルにおいて送信が停止されているシステム情報をアンカーセルから受信する場合の例について説明する。まず、端末装置は、在圏中のセルの基地局装置から、隣接セルの情報を取得する(S601)。ここでの情報は、上述のように、隣接セルのそれぞれについて、セル識別子と、そのセルが省電力機能をサポートしているか否か、省電力機能をサポートしている場合にその機能が有効化されているか否か、及び、省電力機能が有効化されている場合に送信が停止されているシステム情報の送信が行われるアンカーセルの情報を含む。端末装置は、省電力セルの基地局装置から送出された無線信号を測定し、例えば、送信が停止されていない一部のシステム情報のみを取得しうる(S602)。なお、省電力セルの基地局装置は、システム情報を全て送信しなくてもよく、端末装置は、省電力セルについて無線品質を測定するのみであってもよい。その後、端末装置は、S601で取得した情報に基づいて、省電力セルにおいて送信が停止されたシステム情報を、アンカーセルの基地局装置から取得する(S603)。
【0045】
図7は、端末装置が、省電力セルの基地局装置に対して、省電力機能の停止を要求するメッセージを送信する場合の処理の流れの例を示している。端末装置は、S601と同様に、在圏中のセルから、隣接セルの情報を取得する(S701)。そして、端末装置は、省電力セルのシステム情報を取得すべき場合に、省電力セルに対して、省電力機能の停止を要求するメッセージを送信する(S702)。なお、図7では、メッセージが直接省電力セルへ送信される場合の処理例を示しているが、メッセージは、端末装置から在圏セルの基地局装置へ送信され、在圏セルの基地局装置から省電力セルの基地局装置へ転送されてもよい。省電力セルの基地局装置は、そのメッセージを受信すると、省電力機能を停止するか否かを判定する。そして、端末装置は、省電力セルの基地局装置が省電力機能を停止しない場合、図6のような処理により、アンカーセルから省電力セルの情報を取得しうる。一方で、省電力セルの基地局装置が、省電力機能を停止した場合(S703)、端末装置は、その基地局装置からそのセルのためのシステム情報を取得することができる(S704)。
【0046】
端末装置は、このようなシステム情報を取得することにより、セル再選択を実行して、省電力セルに在圏することが可能となる。
【0047】
以上のようにして、一部のセルのシステム情報の送信を停止することにより省電力化を図りながら、そのセルへの端末装置の在圏も可能とし、システムを効率的に運用することが可能となる。よって、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「レジリエントなインフラを整備し、持続可能な産業化を推進するとともに、イノベーションの拡大を図る」に貢献することが可能となる。
【0048】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7