(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087477
(43)【公開日】2024-07-01
(54)【発明の名称】給電ケーブルの配線構造及び配線方法
(51)【国際特許分類】
E04H 6/42 20060101AFI20240624BHJP
E04H 6/06 20060101ALI20240624BHJP
【FI】
E04H6/42 Z
E04H6/06 V ZHV
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022202320
(22)【出願日】2022-12-19
(71)【出願人】
【識別番号】712005920
【氏名又は名称】新明和パークテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤川 淳
(57)【要約】
【課題】昇降パレットへの給電ケーブルが周囲設備に干渉することを防止する。
【解決手段】給電ケーブルの配線構造10は、連続した複数の節14からなり、各節14の内部に給電ケーブル50が挿通される給電ダクト12を含み、複数の節14は、ジグザグ状に折れ曲がるように接続され、昇降パレット64がその最下位置にあるときに大略直線状になり、昇降パレット64がその最上位置にあるときに上下に重なって折り畳まれる。このような構成により、複数の節14がリンク機構の如く動作し、給電ダクト12によって案内される給電ケーブル50も、昇降パレット64の昇降移動に合わせて大略直線状及び折り畳み状態へと変形する。従って、昇降パレット64が最上位置にあるときやそこに至るまでの過程において、給電ケーブル50が昇降パレット64から垂れ下がるようなことはなく、給電ケーブル50が周囲設備に干渉することを防止することが可能となる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を収容する複数のパレットを備えた機械式駐車装置において、フレームから複数本の索状体を介して吊り下げられた少なくとも昇降移動を行う昇降パレットに対して、前記フレーム乃至その近傍から、車両用の充電設備のための給電ケーブルを配線する構造であって、
連続した複数の節からなり、各節の内部に前記給電ケーブルが挿通される給電ダクトを含み、
前記複数の節は、ジグザグ状に折れ曲がるように接続され、前記昇降パレットがその最下位置にあるときに大略直線状になり、前記昇降パレットがその最上位置にあるときに上下に重なって折り畳まれることを特徴とする給電ケーブルの配線構造。
【請求項2】
前記複数本の索状体に、前記昇降パレットの、車両の出庫方向を前方とした前後方向における後方側を吊り下げる2本の後吊索状体が含まれ、
前記給電ダクトは、平面視で前記2本の後吊索状体の間に配置され、
前記複数の節は、前記昇降パレットがその最下位置にあるときに、前記2本の後吊索状体の何れか一方の近傍で大略直線状になり、前記昇降パレットがその最上位置にあるときに、平面視で前記前後方向と直交する側方向に各節が延在するように折り畳まれることを特徴とする請求項1記載の給電ケーブルの配線構造。
【請求項3】
前記複数の節のうち、最上部の節の上端側が、前記フレームに回動自在に接続されると共に、最下部の節の下端側が、前記昇降パレットに回動自在に接続されることを特徴とする請求項1記載の給電ケーブルの配線構造。
【請求項4】
前記複数の節の接続部分の各々に隙間が設けられ、該隙間から前記給電ダクトの外側に引き出されている前記給電ケーブルの引き出し部分が、前記接続部分を介して接続された一方の節への進入口から他方の節への進入口までの間で交差してループ状に配線されていることを特徴とする請求項1記載の給電ケーブルの配線構造。
【請求項5】
前記一方の節の内部の前記進入口の近傍と、前記他方の節の内部の前記進入口の近傍とに、前記給電ケーブルを固縛するための固縛手段が設けられていることを特徴とする請求項4記載の給電ケーブルの配線構造。
【請求項6】
前記複数の節は、C字型の断面形状を有するチャンネル材で構成され、折り畳まれたときに前記C字型の開口部が下側を向くように接続されていることを特徴とする請求項1記載の給電ケーブルの配線構造。
【請求項7】
前記複数の節の接続部分の各々に、該接続部分を介して接続された2つの節が直線状になることを防止するストッパ機構が設けられていることを特徴とする請求項1記載の給電ケーブルの配線構造。
【請求項8】
車両を収容する複数のパレットを備えた機械式駐車装置において、フレームから複数本の索状体を介して吊り下げられた少なくとも昇降移動を行う昇降パレットに対して、前記フレーム乃至その近傍から、車両用の充電設備のための給電ケーブルを配線する方法であって、
ジグザグ状に折れ曲がるように接続した、連続した複数の節からなる給電ダクトの各節の内部に、前記給電ケーブルを挿通し、
前記複数の節を、前記昇降パレットがその最下位置にあるときに大略直線状になり、前記昇降パレットがその最上位置にあるときに上下に重なって折り畳まれるように設置することを特徴とする給電ケーブルの配線方法。
【請求項9】
前記複数本の索状体に、前記昇降パレットの、車両の出庫方向を前方とした前後方向における後方側を吊り下げる2本の後吊索状体が含まれ、
前記給電ダクトを、平面視で前記2本の後吊索状体の間に配置し、
前記複数の節を、前記昇降パレットがその最下位置にあるときに、前記2本の後吊索状体の何れか一方の近傍で大略直線状になり、前記昇降パレットがその最上位置にあるときに、平面視で前記前後方向と直交する側方向に各節が延在するように折り畳まれる如く設置することを特徴とする請求項8記載の給電ケーブルの配線方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械式駐車装置において少なくとも昇降移動を行う昇降パレットに対して、車両用の充電設備のための給電ケーブルを配線する給電ケーブルの配線構造及び配線方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両を収容するための複数のパレットを備えた機械式駐車装置には、電気自動車やプラグインハイブリッド車などの車両へ充電するための充電設備を具備したものも存在する。そのような充電設備は、通常、充電設備が必要なパレット毎に設置され、各充電設備に電力を供給するための給電ケーブルが接続される。ここで、機械式駐車装置には、昇降移動のみを行うパレット、横行移動のみを行うパレット、昇降移動及び横行移動の双方を行うパレットなどが含まれる。何れのパレットに充電設備を設置する場合でも、各パレットの移動に追従するように、各パレットの充電設備へ給電ケーブルを接続する必要がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
機械式駐車装置が具備する上述したようなパレットのうち、少なくとも昇降移動を行う昇降パレットには、その昇降パレットを吊り下げているフレーム(固定されたフレームや横行移動する横行枠)やその近傍から、給電ケーブルが配線されて充電設備へ接続される場合がある。この場合は、昇降パレットの昇降ストロークが大きいと、それに対応する長さを有する給電ケーブルが、昇降パレットが上方に移動されたときに垂れ下がることとなり、周囲設備に干渉する虞があった。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、昇降パレットへの給電ケーブルが周囲設備に干渉することを防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の態様)
以下の発明の態様は、本発明の構成を例示するものであり、本発明の多様な構成の理解を容易にするために、項別けして説明するものである。各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではない。そのため、発明を実施するための最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、又は、更に他の構成要素を付加したものについても、本発明の技術的範囲に含まれ得るものである。
【0006】
(1)車両を収容する複数のパレットを備えた機械式駐車装置において、フレームから複数本の索状体を介して吊り下げられた少なくとも昇降移動を行う昇降パレットに対して、前記フレーム乃至その近傍から、車両用の充電設備のための給電ケーブルを配線する構造であって、連続した複数の節からなり、各節の内部に前記給電ケーブルが挿通される給電ダクトを含み、前記複数の節は、ジグザグ状に折れ曲がるように接続され、前記昇降パレットがその最下位置にあるときに大略直線状になり、前記昇降パレットがその最上位置にあるときに上下に重なって折り畳まれる給電ケーブルの配線構造。
【0007】
本項に記載の給電ケーブルの配線構造は、機械式駐車装置においてチェーンやワイヤといった複数本の索状体により吊り下げられ、少なくとも昇降移動を行う昇降パレットに対して、その昇降パレットに収容される車両用の充電設備のための給電ケーブルを配線するものである。ここでの少なくとも昇降移動を行う昇降パレットには、昇降移動のみを行うパレットと、昇降移動及び横行移動の双方を行うパレットとが含まれる。具体的に、本項に記載の給電ケーブルの配線構造は、連続した複数の節からなる給電ダクトを含み、この給電ダクトの各節の内部に給電ケーブルが挿通される。すなわち、給電ダクトを構成する各節によって、その内部に挿通された給電ケーブルが案内されるものである。
【0008】
また、複数の節は、ジグザグ状に折れ曲がるように接続されており、ここでのジグザグ状とは、直線が大略Z字状に複数箇所で折り曲げられ、それらの折り曲げ方向が交互に逆方向になっている状態を示している。更に、複数の節は、昇降パレットがその最下位置にあるときに大略直線状になり、昇降パレットがその最上位置にあるときに上下に重なって折り畳まれるように設置される。すなわち、昇降パレットがその最下位置にあるときには、昇降パレットと、この昇降パレットが吊り下げられているフレーム(固定されたフレーム又は横行移動する横行枠)との間の距離が最も大きくなるため、それに対応するように複数の節が大略直線状になる。これに対し、昇降パレットがその最上位置にあるときには、昇降パレットと上記のフレームとの間の距離が最も小さくなるため、それに対応するように複数の節が上下に重なって折り畳まれるものである。
【0009】
このような構成により、複数の節がリンク機構の如く動作し、給電ダクトによって案内される給電ケーブルも、昇降パレットの昇降移動に合わせて大略直線状及び折り畳み状態へと変形する。従って、昇降パレットが最上位置にあるときやそこに至るまでの過程において、給電ケーブルが昇降パレットから垂れ下がるようなことはなく、給電ケーブルが周囲設備に干渉することが防止されるものとなる。しかも、給電ケーブルを案内する給電ダクトの長さは、複数の節の数量や各節の長さによって調整されるものであるため、様々な昇降ストロークを有する様々な昇降パレットに柔軟に対応するものとなる。
【0010】
(2)上記(1)項において、前記複数本の索状体に、前記昇降パレットの、車両の出庫方向を前方とした前後方向における後方側を吊り下げる2本の後吊索状体が含まれ、前記給電ダクトは、平面視で前記2本の後吊索状体の間に配置され、前記複数の節は、前記昇降パレットがその最下位置にあるときに、前記2本の後吊索状体の何れか一方の近傍で大略直線状になり、前記昇降パレットがその最上位置にあるときに、平面視で前記前後方向と直交する側方向に各節が延在するように折り畳まれる給電ケーブルの配線構造。
【0011】
本項に記載の給電ケーブルの配線構造は、フレームから昇降パレットを吊り下げている複数本の索状体に、機械式駐車装置における車両の出庫方向を前方とした前後方向を基準として、昇降パレットの後方側を吊り下げる2本の後吊索状体が含まれた機械式駐車装置に対応するものである。具体的に、給電ダクトは、平面視で、上述した2本の後吊索状体の間に配置される。そして、給電ダクトを構成する複数の節は、昇降パレットがその最下位置にあるときに、2本の後吊索状体の何れか一方の近傍で大略直線状になるように設置されている。すなわち、複数の節は、平面視で2本の後吊索状体の間の、何れか一方の後吊索状体に近接した位置に設置されている。
【0012】
更に、複数の節は、昇降パレットがその最上位置にあるときには、平面視で上述した前後方向と直交する側方向に各節が延在するように折り畳まれるものである。すなわち、複数の節は、2本の後吊索状体のうちの一方の後吊索状体に近接して設置されているとすると、折り畳まれた状態では、一方の後吊索状体側から他方の後吊索状体側へ延在する節と、他方の後吊索状体側から一方の後吊索状体側へ延在する節とが、交互に重なる態様となる。これにより、2本の後吊索状体の間で大略直線状及び折り畳み状態になる複数の節は、特に側方向について昇降パレットの昇降路外に逸脱しないように、2本の後吊索状体がストッパとなって可動範囲が抑制されるため、周囲設備への干渉がより確実に防止されるものである。
【0013】
(3)上記(1)項において、前記複数の節のうち、最上部の節の上端側が、前記フレームに回動自在に接続されると共に、最下部の節の下端側が、前記昇降パレットに回動自在に接続される給電ケーブルの配線構造。
本項に記載の給電ケーブルの配線構造は、給電ダクトを構成する複数の節のうち、最上部に位置する節の上端側が、昇降パレットが吊り下げられているフレームに回動自在に接続されたものである。すなわち、最上部の節は、昇降パレットの昇降移動に応じて、通常は水平方向に延在するフレームに対して略直交する状態と、フレームに対して略平行になる状態との間で回動する。
【0014】
また、給電ダクトを構成する複数の節のうち、最下部に位置する節の下端側が、昇降パレットに回動自在に接続されており、その最下部の節は、昇降パレットの昇降移動に応じて、通常は水平方向に延在する昇降パレットに対して略直交する状態と、昇降パレットに対して略平行になる状態との間で回動する。これにより、最上部及び最下部の節とそれらの間の節とを含む複数の節に対して、昇降パレットの下降時に大略直線状に延びるための力と、昇降パレットの上昇時に上下に重なって折り畳まれるような力とが、より確実に伝達されるため、それらの変形が円滑に行われるものである。更に、最上部及び最下部の節が、フレーム及び昇降パレットに対して上記のように回動するように接続されていることで、それらの回動の回転軸が延在する方向への、複数の節の揺れが抑制されるため、これによっても周囲設備への干渉が防止されるものである。
【0015】
(4)上記(1)項において、前記複数の節の接続部分の各々に隙間が設けられ、該隙間から前記給電ダクトの外側に引き出されている前記給電ケーブルの引き出し部分が、前記接続部分を介して接続された一方の節への進入口から他方の節への進入口までの間で交差してループ状に配線されている給電ケーブルの配線構造。
本項に記載の給電ケーブルの配線構造は、連続して接続された複数の節の接続部分の各々に、各節の内部に挿通された給電ケーブルが外側に引き出されるような大きさの隙間が設けられている。そして、これらの各隙間から給電ダクトの外側に引き出された給電ケーブルの引き出し部分が、各隙間が設けられた接続部分を介して接続された一方の節への進入口から他方の節への進入口までの間で、交差してループ状に配線されているものである。このため、複数の節が大略直線状と折り畳み状態との間で変形し、各接続部分で接続された2つの節同士が成す角度が繰り返し変化しても、上記のようにループ状に配線された給電ケーブルの引き出し部分によって、複数の節の角度変化に柔軟に対応するものとなる。これにより、給電ケーブルにかかる負荷が抑制されるものである。
【0016】
(5)上記(4)項において、前記一方の節の内部の前記進入口の近傍と、前記他方の節の内部の前記進入口の近傍とに、前記給電ケーブルを固縛するための固縛手段が設けられている給電ケーブルの配線構造。
本項に記載の給電ケーブルの配線構造は、上記(4)項に記載したように給電ダクトの外側に引き出された給電ケーブルの引き出し部分が、2つの節の内部へ進入する進入口の近傍に、給電ケーブルを固縛するための固縛手段が設けられたものである。すなわち、固縛手段は、各節の内部の、給電ケーブルの引き出し部分が各節の外側から内側へ進入する進入口の近傍に設けられる。これにより、給電ケーブルの各引き出し部分の両端が、固縛手段によって固縛されることとなるため、引き出し部分のループ状の配線が容易に行われ、更にループ状に配線された状態が安定して維持されるものである。
【0017】
(6)上記(1)項において、前記複数の節は、C字型の断面形状を有するチャンネル材で構成され、折り畳まれたときに前記C字型の開口部が下側を向くように接続されている給電ケーブルの配線構造。
本項に記載の給電ケーブルの配線構造は、複数の節の各々が、C字型の断面形状を有するチャンネル材で構成されたものである。そして、複数の節は、昇降パレットの上昇に伴って上下に重なって折り畳まれるときに、チャンネル材のC字型の開口部が下側を向くように接続されている。すなわち、複数の節は、ジグザグ状に逆方向に折り曲げられる接続部分の度に、チャンネル材がその長尺方向と平行な方向を回転軸として180°回転された状態で接続される。このような構成により、給電ダクトを構成する複数の節が折り畳まれた状態のときに、雨水などの水分が各節のチャンネル材の開口部から下方へ排出されるため、節の内部での水たまりの形成が防止されるものである。
【0018】
(7)上記(1)項において、前記複数の節の接続部分の各々に、該接続部分を介して接続された2つの節が直線状になることを防止するストッパ機構が設けられている給電ケーブルの配線構造。
本項に記載の給電ケーブルの配線構造は、給電ダクトを構成する複数の節の接続部分の各々に、その接続部分を介して接続された2つの節が直線状になることを防止するストッパ機構が設けられたものである。すなわち、昇降パレットがその最下位置にあるときに、複数の節が真直ぐ(完全な直線状)になってしまうと、リンク機構が死点に至る状態となり、そこから複数の節が折り畳まれるためには回転力が必要になってしまう。そこで、上記のようなストッパ機構が設けられることで、複数の節が完全な直線状になることはなく、複数の節によるリンク機構が死点に至ることが防止されるため、折り畳み状態への変形が円滑に行われるものとなる。
【0019】
(8)車両を収容する複数のパレットを備えた機械式駐車装置において、フレームから複数本の索状体を介して吊り下げられた少なくとも昇降移動を行う昇降パレットに対して、前記フレーム乃至その近傍から、車両用の充電設備のための給電ケーブルを配線する方法であって、ジグザグ状に折れ曲がるように接続した、連続した複数の節からなる給電ダクトの各節の内部に、前記給電ケーブルを挿通し、前記複数の節を、前記昇降パレットがその最下位置にあるときに大略直線状になり、前記昇降パレットがその最上位置にあるときに上下に重なって折り畳まれるように設置する給電ケーブルの配線方法。
【0020】
(9)上記(8)項において、前記複数本の索状体に、前記昇降パレットの、車両の出庫方向を前方とした前後方向における後方側を吊り下げる2本の後吊索状体が含まれ、
前記給電ダクトを、平面視で前記2本の後吊索状体の間に配置し、前記複数の節を、前記昇降パレットがその最下位置にあるときに、前記2本の後吊索状体の何れか一方の近傍で大略直線状になり、前記昇降パレットがその最上位置にあるときに、平面視で前記前後方向と直交する側方向に各節が延在するように折り畳まれる如く設置する給電ケーブルの配線方法。
そして、(8)及び(9)項に記載の給電ケーブルの配線方法は、各々、上記(1)及び(2)項の給電ケーブルの配線構造を利用して実行されることで、上記(1)及び(2)項の給電ケーブルの配線構造と同様の作用を奏するものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明はこのように構成したので、昇降パレットへの給電ケーブルが周囲設備に干渉することを防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の実施の形態に係る給電ケーブルの配線構造が変形する様子を示す背面図であり、(a)は給電ダクトが大略直線状の状態、(b)は給電ダクトが変形している途中の状態、(c)は給電ダクトが折り畳まれた状態を示している。
【
図2】(a)は
図1(c)に対応する状態の平面図、(b)は
図1(a)及び(c)に対応する状態の側面図である。
【
図3】給電ダクトを構成する複数の節の接続部分の拡大図であり、(a)は複数の節が折り畳まれた状態の拡大背面図、(b)は(a)における右側からの拡大側面図、(c)は複数の節が大略直線状の状態の拡大背面図である。
【
図4】複数の節の各々を構成するチャンネル材を例示する斜視図である。
【
図5】複数の節が折り畳まれた状態における、各節の延在方向と直交する断面イメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。ここで、図面の全体にわたって、同一部分又は対応する部分は、同一符号で示している。また、従来技術と同一部分、若しくは相当する部分については、詳しい説明を省略するものとする。
図1及び
図2は、本発明の実施の形態に係る給電ケーブルの配線構造10の構成の一例を示している。この給電ケーブルの配線構造10は、機械式駐車装置の昇降パレット64に設置された、電気自動車やプラグインハイブリッド車といった車両V用の充電設備(図示省略)に対して、電力を供給するための給電ケーブル50を配線するものである。ここでの昇降パレット64は、機械式駐車装置で昇降移動のみを行うパレットであってもよく、昇降移動及び横行移動の双方を行うパレットであってもよい。なお、
図1及び
図2において符号84で示されているものは、機械式駐車装置の枠体を構成する支柱である。
【0024】
昇降移動及び横行移動の双方を行う昇降パレット64は、
図1及び
図2に示すように、機械式駐車装置において横行移動される横行枠60から、複数本の索状体80を介して吊り下げられている。すなわち、このような昇降パレット64は、横行枠60の横行移動によって横行移動が実現され、複数本の索状体80の繰り出し及び巻き取りによって昇降移動が実現される。また、昇降移動のみを行う昇降パレット64は、機械式駐車装置において固定されたフレーム(60)から、複数本の索状体80を介して吊り下げられ、これら複数本の索状体80の繰り出し及び巻き取りによって昇降移動が実現される。
【0025】
そして、それらの昇降パレット64には、横行枠60又はフレーム60(以下、単に「フレーム60」とも言う。)乃至その近傍から、それらの下方に位置する昇降パレット64に向けて給電ケーブル50が配線される。なお、索状体80とは、チェーンやワイヤなどであり、本実施形態では、
図2(a)に示すように、昇降パレット64の後方側(図中右側)を吊り下げる2本の後吊索状体80A及び80Bを含む4本の索状体80によって、昇降パレット64が吊り下げられている。ここでの後方側とは、昇降パレット64からの車両Vの出庫方向を前方としたときの前後方向を基準としたものである。
【0026】
図1及び
図2に示すように、本発明の実施の形態に係る給電ケーブルの配線構造10は、連続した複数の節14で構成される給電ダクト12を含んでおり、本実施形態では、複数の節14として4つの節14が含まれている。そして、それら4つの節14の内部に給電ケーブル50が挿通されており、詳しくは後述するが、節14の各々は、内部に給電ケーブル50の挿通空間を確保し得る形状を有している。また、給電ダクト12は、
図2(a)のような平面視で、2本の後吊索状体80A及び80Bの間に位置するように設置されている。このために、給電ダクト12を構成する4つの節14のうち、
図1において最上部に位置する節14は、横行枠60の、平面視で2本の後吊索状体80A及び80Bの間であってそれらのうちの一方の後吊索状体80Bに近接した位置に固定された、接続部材70に対して接続されている。また、4つの節14のうち、
図1において最下部に位置する節14は、昇降パレット64の、平面視で2本の後吊索状体80A及び80Bの間であってそれらのうちの一方の後吊索状体80Bに近接した位置に固定された、接続部材72に対して接続されている。
【0027】
更に、4つの節14は、特に
図1(b)で確認できるように、ジグザグ状に折れ曲がるように接続されている。より詳しくは、4つの節14は、
図1(a)に示すように、昇降パレット64が最下位置にあるときには、一方の後吊索状体80Bの近傍で大略直線状になるように接続されている。また、4つの節14は、
図1(c)に示すように、昇降パレット64が最上位置にあるときには、各節14が側方向(
図1における左右方向)に延在するようにして、上下に重なって折り畳まれるように接続されている。なお、
図2(b)には、図示の便宜上、昇降パレット64が最下位置にある状態と最上位置にある状態との双方が実線で示されている。これらの態様を実現するために、最上部の節14は、接続部材70に対して、前後方向(
図1における紙面と直交する方向)と平行な回転軸で回動するように接続されている。同様に、最下部の節14は、接続部材72に対して、前後方向と平行な回転軸で回動するように接続されている。また、4つの節14において2つの節14同士が接続される接続部分は、2つの節14が互いに前後方向と平行な回転軸で回動するように接続されている。
【0028】
ここで、
図3には、接続される一方の節14を節14A、他方の節14を節14Bとして、これら2つの節14A及び14Bの接続部分を詳細に示している。図示のように、2つの節14A及び14Bは、ヒンジ機構18を介して接続されている。
図3(a)及び(b)には、2つの節14A及び14B間が最大に折り曲げられた状態(
図1(c)に対応する状態)が示され、
図3(c)には、2つの節14A及び14B間が最大に延ばされた状態(
図1(a)に対応する状態)が示されている。何れの状態においても、節14A及び14Bの接続部分には、節14A及び14Bの内部から外側へと通じる隙間20が形成されるようになっている。このような隙間20は、節14(14A、14B)の形状と、2つの節14A及び14Bが直線状になることを防止するストッパ機構40とによって実現されている。
【0029】
まず、節14の形状から確認すると、
図4には、節14として用いられるC字型の断面形状を有するチャンネル材30の一例を示している。すなわち、本実施形態で用いられる4つの節14は、互いの長さは異なるものの、
図4に示されるようなチャンネル材30で形成されている。図示のように、C字型のチャンネル材30は、C字型の開口部32の両側に位置するリップ部34と、リップ部34から略直角方向に延びる側壁部36と、側壁部36からから略直角方向に延びて側壁部36同士を接続する接続部38とで構成されている。これらの部位が、チャンネル材30の長尺方向へと延在しており、チャンネル材30の長尺方向両端部は、開口部32と連通する開放端部30aを形成している。そして、このように節14を形成するチャンネル材30の開放端部30aが、
図3(a)及び(b)に示すような折り畳み状態において露出することで、節14A及び14Bの内部から外側へと通じる隙間20が形成されている。なお、チャンネル材30は、例えばロール成形材として溶融亜鉛めっき鋼板により形成される。
【0030】
次に、本実施形態のストッパ機構40は、給電ダクト12を構成する複数の節14の長さの調整と、ヒンジ機構18の取り付け位置の調整とによって実現されている。
図1(a)には、昇降パレット64が最下位置にあることによって、フレーム60と昇降パレット64との間の距離が最大になる状態が示されている。この状態において、4つの節14は、大略直線状になっているものの、真直ぐにはなっておらず、節14間で僅かに折れ曲がっていることが分かる。このために、4つの節14の長さの合計は、
図1(a)の状態における接続部材70から接続部材72までの長さよりも、僅かに大きく設定されており、これに対応するように、4つの節14の各々の長さが調整されている。なお、
図1の実施形態では、最上部の節14と最下部の節14とが略同じ長さを有し、それらの間の2つの節14同士が略同じ長さを有していることが分かる。
【0031】
そして、上記のような節14の長さ調整に加えて、ヒンジ機構18の取り付け位置の調整が行われ、具体的に、ヒンジ機構18は、接続する2つの節14のうち、少なくとも一方の節14の端部30aに対して僅かにシフトした位置に取り付けられる。例えば、
図3(a)で確認できるように、ヒンジ機構18は、接続する2つの節14A及び14Bのうち、節14Bの端部30aよりも図中左側へ僅かにシフトした位置に取り付けられる。これにより、2つの節14A及び14Bが直線状に近づく方向にヒンジ機構18を介して回動すると、
図3(c)に示されるように、2つの節14A及び14Bが直線状になる前に、節14Bの端部30aの図中左側が節14Aの端部30aに接触する。このため、2つの節14A及び14Bは、
図1(a)のように昇降パレット64が最下位置まで移動しても、真直ぐな位置関係にならず、上記のように構成されたストッパ機構40によって、僅かに折れ曲がった状態で停止する。
【0032】
また、4つの節14は、
図1(c)や
図3(a)、(b)に示されるような折り畳み状態において、全ての節14の開口部32が下側を向くように接続されている。
図3(b)を確認すると、一方の節14Aの開口部32が下側を向くと共に、他方の節14Bの開口部32も下側を向いていることが分かる。このような接続関係は、一方の節14Aに対して、他方の節14Bがその長尺方向と平行な方向を回転軸として180°回転された状態で接続されること、換言すれば、一方の節14Aの開口部32側と他方の節14Bの接続部38側とがヒンジ機構18を介して接続されることで実現される。このような接続関係が、4つの節14の接続部分に適用されている。
【0033】
そして、4つの節14は、
図3(c)のような状態における隙間20が以下のように形成されている。すなわち、接続された2つの節14A及び14Bが、ストッパ機構40によって僅かに折れ曲がった状態になっていることで、節14Aの開放端部30a及び節14Bの開放端部30aが、図中左側から右側へ向かって徐々に広がるように傾いた状態で露出している。更に、節14Bの、開放端部30aの露出が大きくなる図中右側には、開放端部30aから続いてチャンネル材30の開口部32が配置されているため、これによって隙間20が広がることになる。
【0034】
上述したように、
図3(a)及び(b)のような2つの節14A及び14B間が最大に折り曲げられた状態と、
図3(c)のような2つの節14A及び14B間が最大に延ばされた状態との双方で隙間20が形成され、それら2つの状態の間であっても隙間20が形成される。そして、このような隙間20から、節14内に挿通された給電ケーブル50が引き出されている。図示のように、給電ケーブル50の引き出し部分50aは、一方の節14Aへの進入口14i(開放端部30a)と、他方の節14Bへの進入口14i(開放端部30a)との間で、交差してループ状に配線されている。
【0035】
より詳しくは、給電ケーブル50の引き出し部分50aは、隙間20を構成する節14Aの開放端部30a(進入口14i)から、節14Aの外側へ向けて図中右下方向へ引き出される。更に、そのまま反時計回り方向にループ状の軌跡を描いて、ループ状の手前部分と交差した後、隙間20を構成する節14Bの開放端部30a(進入口14i)から節14Bの内部へ進入している。このような給電ケーブル50の引き出し部分50aが、
図1に示されるように、4つの節14の接続部分毎に形成されている。更に、
図1の実施形態では、フレーム60又はその近傍から配線される給電ケーブル50が、最上部の節14の内部へ進入する際に、節14間の接続部分と同じようにしてループ状に配線されている。
【0036】
図3に戻り、各節14の内部の、開放端部30a(進入口14i)の近傍には、固縛手段24が取り付けられている。この固縛手段24は、給電ケーブル50を固縛するものであって、各節14の内部での給電ケーブル50の配線や、給電ケーブル50の引き出し部分50aの配線を補助する役割を果たしている。本実施形態での固縛手段24は、
図3(b)で確認できるように、節14の開口部32を跨いでリップ部34に固定されている。一方、ヒンジ機構18は、上述したように、一方の節14Aの開口部32側と他方の節14Bの接続部38側とを接続している。そして、ヒンジ機構18の節14Aへの取り付けは、節14Aの開口部32を跨いで固定された固縛手段24に対して、ネジやナットなどにより固定されることによって実現されている。また、ヒンジ機構18の節14Bへの取り付けは、節14Bの接続部38に対してネジやナットなどにより固定されることで実現されている。
【0037】
ここで、
図1を参照すると、フレーム60或いはその近傍から延びる給電ケーブル50が、ループ状に配線された後、最上部の節14の接続部材70に対する接続部分の近傍から、最上部の節14の内部へ挿通されている。そして、最上部の節14と上から2番目の節14との間の隙間20(
図3参照)から引き出された、給電ケーブル50の引き出し部分50aが、ループ状に配線された後、上から2番目の節14の内部へ挿通されている。以降は、これを繰り返して、最下部の節14の内部へ挿通された給電ケーブル50が、最下部の節14の接続部材72に対する接続部分の近傍から外側へと引き出されて、昇降パレット64に設置された図示しない充電設備へと接続される。
【0038】
続いて、
図5には、
図1(c)の如く上下に重なって折り畳まれた4つの節14の、節14の延在方向(側方向)と直交する断面のイメージ図を示している。図示のように、折り畳まれた状態の4つの節14は、昇降パレット64の後方側に取り付けられた受け部材44上に載置されるようになっている。この受け部材44は、
図1にも図示されている。また、4つの節14の内部に挿通された給電ケーブル50は、挿通先の節14が切り替わる度に、節14内での図中左右方向の位置が交互に変化している。すなわち、給電ケーブル50は、最上部の節14の内部では、主に図中右側のリップ部34上に載置されるように配線され、上から2番目の節14の内部では、主に図中左側のリップ部34上に載置されるように配線されている。続けて、給電ケーブル50は、下から2番目の節14の内部では、主に図中右側のリップ部34上に載置されるように配線され、最下部の節14の内部では、主に図中左側のリップ部34上に載置されるように配線されている。
【0039】
更に、給電ケーブル50は、電源線54と信号線56とが被覆材58によって覆われた構造を有しており、
図5に示されるように、径が比較的小さい信号線56が常に節14の左右方向の中心側に位置するように配線されている。上記のような給電ケーブル50の配線は、
図3に示したように、各節14の進入口14i近傍における固縛手段24による給電ケーブル50の固縛や、ループ状に配線される引き出し部分50aでの給電ケーブル50のねじり方向の調整などによって実現される。なお、
図5では、図示の便宜上、上下に重なる節14同士が接触しているが、上下に重なる節14間には、それらを接続するヒンジ機構18の制約などに応じて、僅かな隙間が形成されてもよい。
【0040】
なお、本発明の実施の形態に係る給電ケーブルの配線構造10は、
図1から
図5に示したような構成に限定されるものではなく、状況などに応じて様々な形態を取り得るものである。例えば、給電ダクト12を構成する複数の節14は、適用先の昇降パレット64の昇降ストロークなどに応じて、数量や各々の長さが任意に設定されてよい。また、
図3に示した隙間20やストッパ機構40は、
図3を参照して説明した方法と別の方法で実現されてもよい。例えば、ストッパ機構40は、接続される双方の節14の端部30aに対してヒンジ機構18がシフトした位置に取り付けられることで実現されてもよく、これとは全く別の構成で実現されてもよい。また、節14の各々を形成する部材は、
図4に示したようなC字型のチャンネル材30に限定されるものではなく、内部に給電ケーブル50が挿通可能な形状のものであれば任意の部材であってよい。更に、節14の内部での給電ケーブル50の配線位置も、
図5に示した位置に限定されることはなく、節14を形成する部材の形状などに応じて任意に設定されてよい。
【0041】
さて、上記構成をなす本発明の実施の形態によれば、次のような作用効果を得ることが可能である。すなわち、本発明の実施の形態に係る給電ケーブルの配線構造10は、
図1及び
図2に示すように、機械式駐車装置においてチェーンやワイヤといった複数本の索状体80により吊り下げられ、少なくとも昇降移動を行う昇降パレット64に対して、その昇降パレット64に収容される車両V用の充電設備のための給電ケーブル50を配線するものである。具体的に、給電ケーブルの配線構造10は、連続した複数の節14からなる給電ダクト12を含み、この給電ダクト12の各節14の内部に給電ケーブル50が挿通される。すなわち、給電ダクト12を構成する各節14によって、その内部に挿通した給電ケーブル50を案内するものである。
【0042】
また、複数の節14は、ジグザグ状に折れ曲がるように接続されており、
図1(a)のように、昇降パレット64がその最下位置にあるときに大略直線状になり、
図1(c)のように、昇降パレット64がその最上位置にあるときに上下に重なって折り畳まれるように設置される。すなわち、昇降パレット64がその最下位置にあるときには、昇降パレット64と、この昇降パレット64が吊り下げられているフレーム60との間の距離が最も大きくなるため、それに対応するように複数の節14が大略直線状になる。これに対し、昇降パレット64がその最上位置にあるときには、昇降パレット64とフレーム60との間の距離が最も小さくなるため、それに対応するように複数の節14が上下に重なって折り畳まれるものである。
【0043】
このような構成により、複数の節14がリンク機構の如く動作し、給電ダクト12によって案内される給電ケーブル50も、昇降パレット64の昇降移動に合わせて大略直線状及び折り畳み状態へと変形する。従って、昇降パレット64が最上位置にあるときやそこに至るまでの過程において、給電ケーブル50が昇降パレット64から垂れ下がるようなことはなく、給電ケーブル50が周囲設備に干渉することを防止することが可能となる。しかも、給電ケーブル50を案内する給電ダクト12の長さは、複数の節14の数量や各節14の長さによって調整することができるため、様々な昇降ストロークを有する様々な昇降パレット64に柔軟に対応することができる。
【0044】
また、本発明の実施の形態に係る給電ケーブルの配線構造10は、フレーム60から昇降パレット64を吊り下げている複数本の索状体80に、機械式駐車装置における車両Vの出庫方向を前方とした前後方向(
図2における左右方向)を基準として、昇降パレット64の後方側を吊り下げる2本の後吊索状体80A、80Bが含まれた機械式駐車装置に対応するものである。具体的に、給電ダクト12は、
図2(a)のような平面視で、上述した2本の後吊索状体80A、80Bの間に配置される。そして、給電ダクト12を構成する複数の節14は、
図1(a)に示すように、昇降パレット64がその最下位置にあるときに、一方の後吊索状体80Bの近傍で大略直線状になるように設置されている。すなわち、複数の節14は、平面視で2本の後吊索状体80A、80Bの間の、一方の後吊索状体80Bに近接した位置に設置されている。
【0045】
更に、複数の節14は、
図1(c)に示すように、昇降パレット64がその最上位置にあるときには、平面視で上述した前後方向と直交する側方向(
図1における左右方向)に各節14が延在するように折り畳まれるものである。すなわち、複数の節14は、折り畳まれた状態では、一方の後吊索状体80B側から他方の後吊索状体80A側へ延在する節14と、他方の後吊索状体80A側から一方の後吊索状体80B側へ延在する節14とが、交互に重なる態様となる。これにより、2本の後吊索状体80A、80Bの間で大略直線状及び折り畳み状態になる複数の節14が、特に側方向について昇降パレット64の昇降路外に逸脱しないように、2本の後吊索状体80A、80Bをストッパとして可動範囲を抑制することができるため、周囲設備への干渉をより確実に防止することができる。
【0046】
加えて、本発明の実施の形態に係る給電ケーブルの配線構造10は、給電ダクト12を構成する複数の節14のうち、最上部に位置する節14の上端側が、昇降パレット64が吊り下げられているフレーム60に固定された接続部材70に回動自在に接続されたものである。すなわち、最上部の節14は、昇降パレット64の昇降移動に応じて、通常は水平方向に延在するフレーム60に対して略直交する状態と、フレーム60に対して略平行になる状態との間で回動する。また、給電ダクト12を構成する複数の節14のうち、最下部に位置する節14の下端側が、昇降パレット64に固定された接続部材72に回動自在に接続されている。その最下部の節14は、昇降パレット64の昇降移動に応じて、通常は水平方向に延在する昇降パレット64に対して略直交する状態と、昇降パレット64に対して略平行になる状態との間で回動する。
【0047】
これにより、最上部及び最下部の節14とそれらの間の節14とを含む複数の節14に対して、昇降パレット64の下降時に大略直線状に延びるための力と、昇降パレット64の上昇時に上下に重なって折り畳まれるような力とを、より確実に伝達することができるため、それらの変形を円滑に行わせることが可能となる。更に、最上部及び最下部の節14が、フレーム60及び昇降パレット64に対して上記のように回動するように接続されていることで、それらの回動の回転軸が延在する方向への、複数の節14の揺れを抑制することができるため、これによっても周囲設備への干渉を防止することができる。
【0048】
また、本発明の実施の形態に係る給電ケーブルの配線構造10は、
図3に示すように、連続して接続された複数の節14の接続部分の各々に、各節14の内部に挿通された給電ケーブル50が外側に引き出されるような大きさの隙間20が設けられている。そして、これらの各隙間20から給電ダクト12の外側に引き出された給電ケーブル50の引き出し部分50aが、各隙間20が設けられた接続部分を介して接続された一方の節14Aへの進入口14iから他方の節14Bへの進入口14iまでの間で、交差してループ状に配線されているものである。このため、複数の節14が大略直線状と折り畳み状態との間で変形し、各接続部分で接続された2つの節14A、14B同士が成す角度が繰り返し変化しても、上記のようにループ状に配線された給電ケーブル50の引き出し部分50aによって、複数の節14の角度変化に柔軟に対応することができる。これにより、給電ケーブル50にかかる負荷を抑制することが可能となる。
【0049】
また、本発明の実施の形態に係る給電ケーブルの配線構造10は、給電ダクト12の外側に引き出された給電ケーブル50の引き出し部分50aが、2つの節14A、14Bの内部へ進入する進入口14iの近傍に、給電ケーブル50を固縛するための固縛手段24が設けられたものである。すなわち、固縛手段24は、各節14の内部の、給電ケーブル50の引き出し部分50aが各節14の外側から内側へ進入する進入口14iの近傍に設けられる。これにより、給電ケーブル50の各引き出し部分50aの両端を、固縛手段24によって固縛することができるため、引き出し部分50aのループ状の配線を容易に行うことができ、更にループ状に配線した状態を安定して維持することができる。
【0050】
更に、本発明の実施の形態に係る給電ケーブルの配線構造10は、給電ダクト12を構成する複数の節14の接続部分の各々に、その接続部分を介して接続された2つの節14A、14Bが直線状になることを防止するストッパ機構40が設けられたものである。すなわち、昇降パレット64がその最下位置にあるときに、複数の節14が真直ぐ(完全な直線状)になってしまうと、リンク機構が死点に至る状態となり、そこから複数の節14が折り畳まれるためには回転力が必要になってしまう。そこで、上記のようなストッパ機構40が設けられることで、複数の節14が完全な直線状になることはなく、複数の節14によるリンク機構が死点に至ることを防止することができるため、折り畳み状態への変形を円滑に行うことが可能となる。
【0051】
また、本発明の実施の形態に係る給電ケーブルの配線構造10は、複数の節14の各々が、
図4に示すようなC字型の断面形状を有するチャンネル材30で構成されたものである。そして、複数の節14は、昇降パレット64の上昇に伴って上下に重なって折り畳まれるときに、
図3(b)や
図5に示すように、チャンネル材30のC字型の開口部32が下側を向くように接続されている。すなわち、複数の節14は、ジグザグ状に逆方向に折り曲げられる接続部分の度に、チャンネル材30がその長尺方向と平行な方向を回転軸として180°回転された状態で接続される。このような構成により、給電ダクト12を構成する複数の節14が折り畳まれた状態のときに、雨水などの水分を各節14のチャンネル材30の開口部32から下方へ排出することができるため、節14の内部での水たまりの形成を防止することができる。
【0052】
他方、本発明の実施の形態に係る給電ケーブルの配線方法は、本発明の実施の形態に係る給電ケーブルの配線構造10を利用して実行されることで、本発明の実施の形態に係る給電ケーブルの配線構造10と同様の作用効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0053】
10:給電ケーブルの配線構造、12:給電ダクト、14(14A、14B):節、14i:進入口、20:隙間、24:固縛手段、30:チャンネル材、32:開口部、40:ストッパ機構、50:給電ケーブル、50a:引き出し部分、60:フレーム(横行枠)、64:昇降パレット、80:索状体、80A、80B:後吊索状体、V:車両