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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087488
(43)【公開日】2024-07-01
(54)【発明の名称】管構造構築方法及び点検窓部材
(51)【国際特許分類】
   F16L 1/00 20060101AFI20240624BHJP
   F16L 55/105 20060101ALI20240624BHJP
【FI】
F16L1/00 P
F16L55/105
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022202335
(22)【出願日】2022-12-19
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003340
【氏名又は名称】弁理士法人湧泉特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北山 康
(72)【発明者】
【氏名】垣根 伸次
(72)【発明者】
【氏名】北岡 豊
(72)【発明者】
【氏名】菊池 隆太
【テーマコード(参考)】
3H025
【Fターム(参考)】
3H025DA02
3H025DB12
3H025DC01
3H025DD11
(57)【要約】
【課題】管構造構築における裏込め材の充填状況を的確に確認可能とする。
【解決手段】管路1内に管体3を設置する。管体3の上部に点検窓穴7を形成する。点検窓穴7を透光性の窓キャップ13を含む点検窓部材10で塞ぐ。その後、管路1内における管体3の外側の管外隙間2に裏込め材4を注入する。管体3内から窓キャップ13を通して、窓キャップ13の管外側の空間10aが裏込め材4により閉塞されたかどうかを判別する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管路内に管体を設置し、前記管路内における前記管体外側の管外隙間に裏込め材を注入する管構造構築方法であって、
前記管体の上部に点検窓穴を形成し、
前記点検窓穴を透光性の窓キャップで塞ぎ、
その後、前記裏込め材の注入を行ない、
前記管体内から前記窓キャップを通して、前記窓キャップの管外側の空間の閉塞の有無を判別することを特徴とする管構造構築方法。
【請求項2】
前記窓キャップの管外側に離れて発光材が設けられており、
前記発光材からの光の管体内への漏れの有無によって前記判別を行なう請求項1に記載の管構造構築方法。
【請求項3】
管路内に設置される管体に設けられ、前記管路内における前記管体外側の管外隙間に注入される裏込め材の充填状況を点検するための点検窓部材であって、
前記管体に形成された点検窓穴に嵌められる環状の周壁と、
前記周壁の内部空間を塞ぐ透光性の窓キャップと
を備えたことを特徴とする点検窓部材。
【請求項4】
前記周壁が、前記窓キャップよりも管外側へ突出されており、
更に、前記点検窓部材は、
前記周壁の前記突出された部分に支持されたキャップ対向部材と、
前記キャップ対向部材における少なくとも前記窓キャップとの対向面に設けられた発光材と、
を備え、前記窓キャップと前記キャップ対向部材との間には窓内室が形成され、
前記突出された部分又は前記キャップ対向部材又は前記突出された部分と前記キャップ対向部材との間には、前記窓内室と前記管外隙間とを連ねる連通口が形成されている請求項3に記載の点検窓部材。
【請求項5】
前記キャップ対向部材が、前記周壁に着脱自在に取り付けられている請求項4に記載の点検窓部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既設管路や地中掘削路などの管路内に管体を設置して裏込めする管構造構築方法及び管体に設けられる点検窓部材に関し、特に老朽化した下水道管などの既設管を更生するのに適した管構造構築方法及び点検窓部材に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、地中に埋設された老朽化した下水道管などの既設管(管路)を、地面を開削することなく更生する方法として、既設管内に更生管(管体)を設置し、既設管の内面と更生管の外面との間の管間隙間すなわち既設管内における更生管外側の管外隙間に裏込め材を充填してなる管構造を構築する方法が知られている(例えば特許文献1、2等参照)。裏込め材の注入工程に際しては、既設管の管端と更生管の管端との間や、更生管の内周から外周へ貫通するよう形成した注入口から裏込め材が注入される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-110687号公報
【特許文献2】特開2014-001785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の管構造構築方法では、裏込め材の注入工程時に、更生管等の管体の内部から裏込め材の注入状況を目視することができない。このため、管体を内部から打音したり、注入量と設計量を比較したりすることで、注入がどこまで進んだかを判断している。しかし、充填途中の裏込め材の液位は、管体の管軸方向に一定ではなく、注入口から管軸方向に遠ざかるにしたがって裏込め材の液位が低くなる。したがって、管体の管軸方向の各位置で頂部まで裏込め材の充填が完了したかどうか、確認が難しい。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、管構造構築における裏込め材の充填状況を的確に確認可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するため、本発明に係る方法は、管路内に管体を設置し、前記管路内における前記管体外側の管外隙間に裏込め材を注入する管構造構築方法であって、
前記管体の上部に点検窓穴を形成し、
前記点検窓穴を透光性の窓キャップで塞ぎ、
その後、前記裏込め材の注入を行ない、
前記管体内から前記窓キャップを通して、前記窓キャップの管外側の空間の閉塞の有無を判別することを特徴とする。
【0006】
当該方法によれば、注入された裏込め材が点検窓穴の高さに達すると、窓キャップの管外側(管構造の管径に沿って外方向側)の空間が裏込め材で埋められて閉塞される。したがって、前記閉塞の有無を判別することにより、裏込め材の充填状況を点検できる。管体を内部から打音したり、注入量と設計量を比較したりする必要が無い。
前記点検窓穴は、管体の頂部付近に形成することが好ましく、詳しくは、管体の頂部を中心にして管周方向の±30°の範囲内に形成することが好ましい。
【0007】
好ましくは、前記窓キャップの管外側に離れて発光材が設けられており、前記発光材からの光の管体内への漏れの有無によって前記判別を行なう。
好ましくは、前記判別に際して前記管体内から前記点検窓穴へ発光用の照明光を照射する。窓キャップの管外側の空間が裏込め材で未だ閉塞されていないときは、照射した照明光が窓キャップを通して発光材に当たって発光材が発光する。発光材からの発光光は、窓キャップを透過して管体内へ漏れる。窓キャップの管外側の空間が裏込め材で閉塞されると、照明光を点検窓穴へ照射しても発光材に当たることが無く、発光材からの発光光が管体内へ漏れることは無い。したがって、点検窓穴から管体内へ漏れる発光光の有無によって、前記閉塞の有無を容易に判別でき、裏込め材の充填状況を容易に点検できる。特に、管体内が暗所である場合、前記点検窓穴から管体内へ漏れる発光光の有無を容易に判別できる。
【0008】
本発明に係る部材は、管路内に設置される管体に設けられ、前記管路内における前記管体外側の管外隙間に注入される裏込め材の充填状況を点検するための点検窓部材であって、
前記管体に形成された点検窓穴に嵌められる環状の周壁と、
前記周壁の内部空間を塞ぐ透光性の窓キャップと
を備えたことを特徴とする。
当該点検窓部材を管体の点検窓穴に設置したうえで裏込め材注入を行なうことによって、管体内から窓キャップを通して裏込め材の注入状況を確認できる。
点検窓穴は窓キャップで塞がれるから、裏込め材が点検窓穴から管体内へ漏れるのを防止できる。
前記窓キャップは、管外側の閉塞の有無が確認可能な程度の透光性を有していればよく、半透明でもよい。
【0009】
好ましくは、前記周壁が、前記窓キャップよりも管外側へ突出されており、更に、前記点検窓部材は、前記周壁の前記突出された部分に支持されたキャップ対向部材と、前記キャップ対向部材における少なくとも前記窓キャップとの対向面に設けられた発光材と、を備え、前記窓キャップと前記キャップ対向部材との間には窓内室が形成され、前記突出された部分又は前記キャップ対向部材又は前記突出された部分と前記キャップ対向部材との間には、前記窓内室と前記管外隙間とを連ねる連通口が形成されている。
裏込め材が点検窓穴及び点検窓部材の高さまで充填されていないときは、発光材からの発光光が、窓キャップを透過して管体内へ漏れる。裏込め材が点検窓穴及び点検窓部材の高さまで充填されると、裏込め材の一部が連通口から窓内室に入り込むことで発光材が裏込め材に埋まる。したがって、発光材から管体内へ漏れる発光光の有無によって、裏込め材の充填状況を容易に点検できる。
前記発光材は、蓄光により長時間光る夜光塗料でもよく、ブラックライトによって発光する蛍光塗料でもよい。充填状況の点検に際して、管体内から窓キャップを通して発光材に発光用の照明光を照射して発光させる。発光材として夜光塗料を用いて、予め蓄光させておいたうえで、該発光材を含む点検窓部材を点検窓穴に取り付けることで、点検の際の発光材への光照射工程を省略してもよい。
【0010】
好ましくは、前記キャップ対向部材が、前記周壁に着脱自在に取り付けられている。これによって、点検窓部材の製造、組み立てを容易化できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、管構造構築における裏込め材の充填状況を的確に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る既設管を更生してなる管構造の構築方法を裏込め材の注入工程で示す、施工中の管構造の側面断面図である。
図2図2は、図1のII-II線に沿う、前記施工中の管構造の正面断面図である。
図3図3は、前記管構造に設けられた点検窓部材を示す、図1のIII-III線に沿う底面図である。
図4図4(a)は、図3のIVa-IVa線に沿う、前記点検窓部材の側面断面図である。図4(b)は、前記点検窓部材の分解断面図である。
図5図5は、前記点検窓部材のキャップ対向部材を、図4(b)のV-V線に沿って示す底面図である。
図6図6は、図1の円部VIの拡大側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態を図面にしたがって説明する。
図1は、老朽化した既設管1(管路)を更生管3(管体)によって更生した管構造Mを構築する様子を示したものである。既設管1は、例えば地中に埋設された下水道管であるが、これに限らず、農業用水管、上水道管、ガス管、水力発電導水管、トンネル等であってもよい。
【0014】
図1及び図2に示すように、既設管1内に更生管3が設置されている。更生管3(管体)は、特に限定が無く、例えば硬質塩化ビニル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ナイロン、ABS樹脂、FRP等の合成樹脂の帯状部材(プロファイル)を螺旋状に巻回してなる螺旋管でもよく、樹脂チューブでもよく、複数のFRPM管や塩ビ管等を管軸方向に連ねたものであってもよく、管軸方向へ延びる複数の長板体を管周方向へ並べたものであってもよく、複数のシールドセグメント等のセグメントを管周方向及び管軸方向に組み立てて構築される管体であってもよい。
【0015】
図2に示すように、既設管1の内面と更生管3の外面との間すなわち既設管1内における更生管3の外側には、環状の管外隙間2が形成されている。管外隙間2には、モルタル等の裏込め材4が充填される。なお、図1及び図2は、管外隙間2が裏込め材4で充填される途中段階を示したものである。図示は省略するが、管外隙間2の管軸方向の両端部は、それぞれ管端シール材で塞がれている。
【0016】
図1に示すように、更生管3の上部には、1又は複数の注入口5と、複数の点検窓穴7が形成されている。注入口5は、更生管3の頂部の内周面から外周面へ貫通している。図1においては、更生管3の管軸方向の中間部に1の注入口5が配置されているが、これに限らず、更生管3の管軸方向に離れて複数の注入口5が設けられていてもよい。図示は省略するが、管外隙間2の管軸方向の端部に注入口5が設けられていてもよい。注入口5には、裏込め材4の注入ホース6の先端部が挿し込まれている。
【0017】
図1に示すように、更生管3における1の注入口5を挟んで管軸方向の両側には、それぞれ管軸方向へ間隔を置いて複数の点検窓穴7が設けられている。図示は省略するが、管外隙間2の管軸方向の端部に注入口5が設けられている場合、該注入口の片側(更生管3が在る側)の管軸方向に間隔を置いて複数の点検窓穴7が設けられている。図2に示すように、点検窓穴7は、更生管3の上部、好ましくは頂部(天井部)に配置されている。なお、点検窓穴7の管周方向の位置は、更生管3の頂部付近であれば、ちょうど頂部に限らず、頂部を中心にして管周方向の例えば±30°の範囲内であってもよい。
また複数の点検窓穴7が設けられる位置は周方向に関してそれぞれ異なっていてもよく、隣り合う点検窓穴7間の管軸方向の距離は一定であっても、一定でなくてもよい。
【0018】
図1に示すように、各点検窓穴7に点検窓部材10が設けられている。図3及び図4に示すように、点検窓部材10は、本体部材11と、キャップ対向部材20を備えている。本体部材11は、環状の周壁12と、底板を構成する窓キャップ13を一体に含み、円形の有底容器状に形成されている。本体部材11の材質は、アクリル等の透明樹脂その他の透明材によって構成されている。このため、本体部材11は透光性を有している。
【0019】
図6に示すように、周壁12が点検窓穴7に嵌められている。周壁12の外周面には、点検窓穴7の内周面との係止用の凹凸部14が形成されている。凹凸部14は、螺旋突条14a及び螺旋溝14bを含むネジ状であるが、これに限らず、環状突起と環状溝とが周壁12の高さ方向に交互に並べられた構造であってもよい。周壁12の外周面が上方へ向かって緩やかに縮径するテーパー状であってもよく、凹凸部14がテーパーネジ状であってもよい。
【0020】
図3及び図4(a)に示すように、周壁12の底部に窓キャップ13が設けられている。周壁12の内部空間の底部が窓キャップ13によって塞がれている。窓キャップ13は、透明材からなる本体部材11の一部であり、透光性を有している。窓キャップ13の中央部には上面から突出する工具係止部15が形成されている。工具係止部15は、窓キャップ13の下面から凹む六角形の工具嵌合凹部15aを有している。
【0021】
図4(b)に示すように、周壁12の上端部12aは、窓キャップ13よりも管外側(図4(b)において上側)へ突出されている。ここで、「管外側」とは、管構造Mにおける管径に沿って外方向側(図6において上側)を言う。上端部12aの内周面には、雌ネジ12bが形成されている。
【0022】
図4に示すように、本体部材11にキャップ対向部材20が着脱自在に取り付けられている。キャップ対向部材20の材質は、所要の剛性があれば特に限定が無く、金属でもよく、樹脂でもよい。図5に示すように、キャップ対向部材20は、リング部21と、ビーム部22を含む。図4(b)に示すように、リング部21の外周面に雄ネジ21bが形成されている。
【0023】
図4(a)に示すように、雄ネジ21bが雌ネジ12bに螺合されながら、リング部21が周壁12の上端部12a内に嵌め込まれている。これによって、キャップ対向部材20が、周壁12における上端部12aすなわち窓キャップ13よりも管外側へ突出された部分に支持されている。キャップ対向部材20は、窓キャップ13の管外側(図4(a)において上側)に離れて、窓キャップ13と対向している。点検窓部材10内におけるキャップ対向部材20と窓キャップ13と間には、窓内室10aが画成されている。窓内室10aは、窓キャップ13の管外側の空間を構成する。
【0024】
図5に示すように、リング部21の内部にビーム部22(発光材支持部)が設けられている。ビーム部22は、4つのビーム片22aによって十字状に形成されており、4つのビーム片22aの端部がそれぞれリング部21の内周面と一体に連なっている。90度の角度をなして隣接する2つのビーム片22aと、リング部21におけるこれら2つビーム片22aを結ぶ四半部分とによって、連通口23が形成されている。図6に示すように、連通口23を介して、窓内室10aと管外隙間2とが連ねられている。
【0025】
図4(b)及び図5に示すように、キャップ対向部材20における少なくとも下面すなわち窓キャップ13との対向面には、発光材30が設けられている。図5において網掛け模様にて示すように、発光材30は、ビーム部22だけに設けられているが、リング部21にも設けられていてもよい。図4(b)に示すように、発光材30は、窓キャップ13の管外側(図4において上側)に離れて、窓キャップ13と対向している。
【0026】
発光材30は、蓄光により長時間光る夜光塗料でもよく、ブラックライトによって発光する蛍光塗料でもよい。
【0027】
老朽化した既設管1は、次のようにして更生される。
図1に示すように、既設管1の内面に沿って更生管3を設置する。
図示は省略するが、更生管3内には、支保工及び腹起し等を含む浮上防止装置を設置する。これによって、後述する裏込め材注入工程時の更生管3の浮き上がりを防止できる。
更生管3の上部には注入口5を形成する。注入口5に注入ホース6を挿し込む。
【0028】
更に、更生管3の上部(好ましくは頂部付近)には、管軸方向に間隔を置いて複数の点検窓穴7を形成する。各点検窓穴7に点検窓部材10を嵌め込む。
例えば、工具嵌合凹部15aに図示しない六角レンチなどの工具を嵌めて、点検窓部材10を点検窓穴7にねじ込む。すると、周壁12の凹凸部14が点検窓穴7の内周面に食い込み、点検窓部材10が点検窓穴7に係止される。周壁12の外周面と点検窓穴7の内周面との間には止水材8(図6)を設ける。予め周壁12の外周面又は点検窓穴7の内周面に接着剤を塗布しておくことによって、点検窓部材10を点検窓穴7の内周面に接着してもよい。止水材8が接着剤を兼ねていてもよい。このようにして、点検窓部材10を点検窓穴7に安定的に設置できる。
【0029】
好ましくは、窓キャップ13の底面(下面)と更生管3の内周面とが略面一になるよう、点検窓部材10の嵌め込み深さを調節する(図6)。
点検窓部材10によって点検窓穴7が塞がれる。特に、窓キャップ13によって、点検窓穴7の更生管3内への開口が塞がれる。
【0030】
図1に示すように、その後、裏込め材4を、注入ホース6から吐出して管外隙間2に注入する。図1及び図2に示すように、裏込め材4は、注入口5から更生管3の外周に沿って管周方向の両側へ回り込むとともに管軸方向へ流れながら管外隙間2内に漸次溜まっていく。このため、図1及び図6に示すように、管外隙間2内における充填途中の裏込め材4の液位Lは、注入口5の近傍の管軸方向位置で最も高く、注入口5から管軸方向へ遠ざかるにしたがって低くなる。つまり、管軸方向に注入口5の近くの位置で先行して裏込め材4が充填され、注入口5から管軸方向に遠い位置ほど遅れて裏込め材4が充填される。
【0031】
管軸方向の各位置における裏込め材4の注入状況を確認するために、更生管3内から各点検窓穴7の窓キャップ13を通して、裏込め材4による窓内室10aの閉塞の有無を判別する。窓内室10aが未閉塞であれば、当該点検窓穴7が配置された管軸方向位置においては、裏込め材4が更生管3の頂部まで達していないと判断できる。窓内室10aが裏込め材4で閉塞されていれば、当該点検窓穴7が配置された管軸方向位置においては、裏込め材4が更生管3の頂部まで達したと判断できる。
【0032】
具体的には、判別に際して更生管3内から点検窓穴7へ発光用の照明光を照射する。裏込め材4の液位Lが点検窓穴7及び点検窓部材10の高さまで達していないときは、窓内室10aが未だ閉塞されていない。したがって、照明光が窓キャップ13を通して発光材30に当たって発光材30が発光する。図6において右側の点検窓部材10に示すように、発光材30からの発光光L30は、窓キャップ13を透過して更生管3内へ漏れる。
発光材30が夜光塗料からなる場合、蓄光から数時間(例えば4~8時間程度)発光するため、予め発光材30に照明光を当てて蓄光させた点検窓部材10を点検窓穴7に取り付けることで、点検時の発光材30への照明光照射工程を省略してもよい。
発光材30が蛍光塗料からなる場合、照明光として、好ましくはブラックライトを用いる。
【0033】
裏込め材4の液位Lが点検窓穴7及び点検窓部材10の高さに達すると、裏込め材4の一部が連通口23から窓内室10aに入り込むことで、窓内室10aが裏込め材4で閉塞されて、発光材30が裏込め材4に埋まる(図6において左側の点検窓部材10を参照)。したがって、照明光を点検窓穴7へ照射しても発光材30に当たることが無く、発光光L30が更生管3内へ漏れることは無い。
【0034】
よって、点検窓穴7から更生管3内へ漏れる発光光L30の有無によって、窓内室10aの閉塞の有無を容易に判別できる。更生管3内が暗所であるほど、発光光L30を明瞭に視認できる。更に、夜光塗料などの発光継続時間が比較的長い発光材30を用いた場合、一度だけ照明光を当てて発光されるようにすれば、その後、目視点検の都度、照明光を当てる必要が無い。しかも、裏込め材4の注入開始時当初は管軸方向に並んだ複数の点検窓穴7のすべてから漏れていた発光光L30が、充填の進捗に伴って、管軸方向に1つずつ、注入口5に近い順に順次消えていく。これによって、裏込め材4の充填状況を目視で的確に点検することができる。したがって、更生管3を内部から打音したり、裏込め材4の実際の注入量と設計注入量とを比較したりして、充填状況を判断しなくて済む。
【0035】
点検窓穴7は窓キャップ13を含む点検窓部材10で塞がれているから、裏込め材4が点検窓穴7から更生管3内へ漏れることはない。
また、止水材8によって、裏込め材4が、周壁12の外周面と点検窓穴7の内周面との間から更生管3内へ漏れるのを防止できる。
このようにして、既設管1が更生される。点検窓部材10は、そのまま残置することで、点検窓穴7を塞ぐプラグとなる。
【0036】
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の改変をなすことができる。
例えば、更生管3内から窓キャップ13の奥を単に又は照明を当てながら目視するだけで、裏込め材4による窓内室10a(窓キャップ13の管外側空間)の閉塞の有無を判別可能なときは、必ずしも発光材30を光らせる必要は無い。点検窓部材10から発光材30ひいてはキャップ対向部材20を省略してもよい。
連通口23は、周壁12における窓キャップ13よりも管外側へ突出された部分12aに設けられていてもよく、該部分12aとキャップ対向部材20の間に設けられていてもよい。
窓キャップ13が周壁12とは別部材で構成されていてもよく、さらに窓キャップ13が周壁12に着脱可能であってもよい。
【0037】
管構造は、既設管1を更生してなる更生管構造Mに限らず、新設の管構造であってもよい。管路は、既設管1からなる既設管路に限らず、新設管路でもよく地中掘削路であってもよい。シールドマシンで形成した地中掘削路内にシールドセグメント等からなる管体が設置されてもよい。地中掘削路の内面(掘削面)と管体の外面との間の管外隙間に裏込め材が充填されることで、新設の管構造が構築されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、例えば老朽化した下水道管の更生施工に適用できる。
【符号の説明】
【0039】
M 管構造
1 既設管(管路)
2 管外隙間
3 更生管(管体)
4 裏込め材
5 注入口
7 点検窓穴
8 シール材
10 点検窓部材
10a 窓内室(窓キャップの管外側の空間)
11 本体部材
12 周壁
12a 上端部(窓キャップよりも管外側へ突出された部分)
13 窓キャップ
14 係止用凹凸部
20 キャップ対向部材
22 ビーム部(発光材支持部)
23 連通口
30 発光材
図1
図2
図3
図4
図5
図6