(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024008750
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】養殖魚用水槽
(51)【国際特許分類】
A01K 63/04 20060101AFI20240112BHJP
【FI】
A01K63/04 A
A01K63/04 C
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022119092
(22)【出願日】2022-07-07
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-10-24
(71)【出願人】
【識別番号】000122117
【氏名又は名称】横川 多喜雄
(72)【発明者】
【氏名】横川 多喜雄
【テーマコード(参考)】
2B104
【Fターム(参考)】
2B104CA01
2B104CB02
2B104EA01
2B104EB04
2B104EB21
2B104ED19
2B104EE05
(57)【要約】
【課題】 屋内外を問わず高密度で魚を養殖することは、多量の糞などによる水質の汚れによる飼育環境の悪化で限界があった。本発明によって従来の屋外養殖プールよりも10倍以上の高密度養殖の実現を課題とした。
【解決手段】 魚の養殖水槽のほぼ全水面をカバーする浮体型浄水フィルターと、その開口部に設置する曝気上昇水流装置を設置した養魚用水槽。
【選択図】
図1~
図8。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
養殖水槽の水面全体をカバーする広い面積のフィルターとその裏に接する多数の穴を加工した浮体板からなる浮体型浄水フィルターを設け、外筒とスライド可能な内筒からなり、内筒下部に曝気用エアーストーンを設け、外部からの空気供給で曝気泡の上昇とともに、上昇水流を発生させて、内筒下部のスリットから糞などの浮遊物を外筒上部に流動させ、浮体フィルターで濾過し清浄な水を水槽に戻す養殖魚用水槽。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は 屋内外に設置できる高密度養魚装置に関する。
【背景技術】
【0002】
養殖漁業は鯛やハマチなどの海水魚、鮎や虹鱒などの淡水魚が広く知られているが、いずれも広い平面積を持つ大規模な生簀や池で養殖されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
屋内外を問わず多量に魚を養殖することは装置の大面積化、大型化をともない飼育環境の悪化や病気などを引き起こすほか、毎日の餌やりや鳥獣からの防御対策、捕獲作業の煩雑さや、異なるサイズや種の異なる混合養殖が困難であるなど数多くの問題が残る。とりわけ過密養殖では魚の糞が多量になり水を浄化するための種々の装置があるが、高価で効率が悪く在来の養殖効率の10倍以上の高密度の養殖は不可能とされてきた.
【0004】
本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、水中ばっ気に伴う上昇水流で水中の糞などを水面上に移動させ、水面全体に浮かべる広面積のフィルターと無数の穴を持つ浮板を通してろ過し水槽内に浮遊する汚れを自動的に除去できる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【問題を解決し発明を実施するための形態】
【0006】
図1は水槽Eに浮体フィルターA+B及び曝気装置C+Dを一体的に表示している。水槽Eは透明な樹脂製で空気の供給管4、水の供給管5、排出管6から構成されている。Aは数ミリ厚の透水性のフィルター、Bは軽いスチレンボードで10ミリ前後の厚みがあり、外周部の上面は少しく厚くして、フィルターの外周部を少し持ち上げている。AとBは重なった状態で水面に浮かぶ。Bには無数の穴があり、上部フィルターで濾過された水が水槽内に戻ってくる。A、B共に中心部に空気供給管4用の穴1を有する。この穴は魚に餌を与えるときにも使う。細長い穴2は曝気装置C+Dを装着する穴である。ばっ気装置は外筒Cとスライド可能な内筒Dからなり、Dの下部にばっ気用のエアーストーン7が装着されている。外部のエアーポンプから供給管4で送られてきた空気は無数の気泡となって上昇するが、同時に上昇する水流と混流8となって、フィルターAの表面よりわずかに高く(1~2cm)盛り上がって、フィルターAの全表面に数ミリの厚さで拡散する。内筒Dはスライドするので水位の変動に関係なく、常に水槽底面に接しているが、底部の切り込み加工で水槽底面との間に数ミリのスリットを形成している。このため水槽底部に浮遊する糞などを内筒底部のスリットから吸い込んで上昇してフィルター上面に自然拡散する。エアーを止めるとフィルター上には糞などの異物のみが残るので、容易にかき集め回収できる。フィルターAも浮体板Bも取り外したり洗浄したりする必要はない。またAもBも水面全体を覆うが、外形は少し小さいので、浮いた状態のまま容易に回転させられる。この作用で曝気装置C+Dも回転でき、糞などの汚れ物質が局所的に集まった位置で効果的に除去回収もできる。通常はたすうの魚が回遊する状況で糞なども浮遊移動するので、曝気装置C+Dを移動しなくても自動でフィルター上面に回収される。
【0007】
図6は本発明の浮体浄水装置を6基配置した大型の平面養殖装置である。これらの大型水槽はコンクリートや鉄板、FRPなどが多く、側面は透明でないので浮体浄水装置の間に空いた水面を確保する。
図7は円形大型水槽で構造は[0006]で説明した浮体浄水装置と同様である。曝気装置C+Dは2基配置しているが、より多くしてさらなる大型水槽にもできる。
図8は標準サイズ(直径1.2m)の水槽を4段重ねた多段水槽で、一台のエアーポンプで全装置を動かす状態をしめす。
【発明の効果】
【0008】
本発明は水槽の全水面をカバーする浮体型浄水システムを実現して、自動で効率よく魚の糞などを浮上回収でき、常時透明清浄な水質を保って高密度の魚養殖を可能とした。ちなみに、1.2メートル径の水槽で約150~200匹のニジマス養殖が可能で、5段重ねた装置一基で750~1000匹の養殖ができる。専有面積は約二分の一坪であり、在来の屋内外の平面水槽と比較すると、面積当たり20~50倍の高密度養殖が可能となった。