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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087507
(43)【公開日】2024-07-01
(54)【発明の名称】車両用充電設備
(51)【国際特許分類】
   E04H 6/42 20060101AFI20240624BHJP
   E04H 6/06 20060101ALI20240624BHJP
【FI】
E04H6/42 Z
E04H6/06 V
E04H6/42 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022202360
(22)【出願日】2022-12-19
(71)【出願人】
【識別番号】712005920
【氏名又は名称】新明和パークテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤川 淳
(57)【要約】
【課題】充電設備の高さ方向の省スペース化を図ると共に汎用性を高める。
【解決手段】車両用充電設備10は、パレット90の車止め94の後方側に車両載置面92に対して開閉可能に設けられ、内側に充電ケーブル78の収納スペース12aを有するカバー体12と、閉状態のカバー体12によって覆われる位置に設けられ、充電ケーブル78の充電プラグ80が差し込まれるコンセント54と、パレット90に設置され、充電ケーブル78の充電ガン84を保持するためのガンホルダ58とを含む。このように、車止め94の後方スペースを、充電ケーブル78の収納部分78aとコンセント54とを収納するカバー体12によって、主に平面方向に有効活用することで、高さ方向の省スペース化を実現することができる。更に、車止め94を備えた種々のパレット90を有する様々な機種の機械式駐車装置に適用することができるため、汎用性を高めることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のパレットを備えた機械式駐車装置において、前記パレットに収容された車両に接続される充電ケーブルを介して、前記車両を充電するための充電設備であって、
前記パレットに設けられた車止めの、車両の出庫方向を前方とした前後方向における後方側に、前記パレットの車両載置面に対して開閉可能に設けられ、内側に前記充電ケーブルの収納スペースを有するカバー体と、
閉状態の前記カバー体によって覆われる位置に設けられ、前記充電ケーブルの一端に設けられた充電プラグが差し込まれるコンセントと、
前記パレットに設置され、前記充電ケーブルの他端に設けられた充電ガンを保持するためのガンホルダと、を含むことを特徴とする車両用充電設備。
【請求項2】
前記カバー体が、前記車止めに対してヒンジ機構を介して接続されることを特徴とする請求項1記載の車両用充電設備。
【請求項3】
前記カバー体は、上壁部と、該上壁部の周縁に沿って設けられた側壁部とを含み、該側壁部の少なくとも一部分に、閉状態で前記車両載置面に接触する接触部が設けられていることを特徴とする請求項1記載の車両用充電設備。
【請求項4】
前記コンセントは、前記カバー体の内側に固定されており、
前記カバー体に、該カバー体の内側に収納された前記充電ケーブルの収納部分を保持するための保持手段が設けられていることを特徴とする請求項1記載の車両用充電設備。
【請求項5】
前記ガンホルダは、前記パレットの、平面視で前記前後方向と直交する側方向の両側に設けられた立ち上がり部の何れか一方に設置されることを特徴とする請求項1記載の車両用充電設備。
【請求項6】
前記ガンホルダは、前記カバー体が閉状態のときに前記立ち上がり部に密着するように、前記カバー体に取り付けられていることを特徴とする請求項5記載の車両用充電設備。
【請求項7】
前記カバー体は、その閉状態で前記車止め以下の高さを有していることを特徴とする請求項1記載の車両用充電設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械式駐車装置においてパレットに収容された車両を充電するための充電設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両を収容するための複数のパレットを備えた機械式駐車装置には、電気自動車やプラグインハイブリッド車などの車両へ充電するための充電設備を具備したものも存在する。そのような充電設備は、通常、充電設備が必要なパレット毎に設置され、スタンド型のものが多く利用されている(例えば、特許文献1参照)。ここで、機械式駐車装置には、昇降移動のみを行うパレット、横行移動のみを行うパレット、昇降移動及び横行移動の双方を行うパレットなどが含まれるが、必要があればどのようなパレットでも充電設備を具備することが好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-136869号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したようなパレットのうち、特に昇降移動を伴うパレットに対してスタンド型の充電設備を設置することを考えると、パレットが上昇したときに、充電設備が、パレットの吊り下げに用いられているチェーン又はワイヤといった吊索やフレームなどと干渉する虞がある。また、充電設備は、特定機種の機械式駐車装置のみならず、様々な機種の機械式駐車装置への適用に対応することが望まれる。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、充電設備の高さ方向の省スペース化を図ると共に汎用性を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の態様)
以下の発明の態様は、本発明の構成を例示するものであり、本発明の多様な構成の理解を容易にするために、項別けして説明するものである。各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではない。そのため、発明を実施するための最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、又は、更に他の構成要素を付加したものについても、本発明の技術的範囲に含まれ得るものである。
【0006】
(1)複数のパレットを備えた機械式駐車装置において、前記パレットに収容された車両に接続される充電ケーブルを介して、前記車両を充電するための充電設備であって、前記パレットに設けられた車止めの、車両の出庫方向を前方とした前後方向における後方側に、前記パレットの車両載置面に対して開閉可能に設けられ、内側に前記充電ケーブルの収納スペースを有するカバー体と、閉状態の前記カバー体によって覆われる位置に設けられ、前記充電ケーブルの一端に設けられた充電プラグが差し込まれるコンセントと、前記パレットに設置され、前記充電ケーブルの他端に設けられた充電ガンを保持するためのガンホルダと、を含む車両用充電設備。
【0007】
本項に記載の車両用充電設備は、カバー体、コンセント、及びガンホルダを含み、カバー体は、パレットに設けられた車止めの、パレットからの車両の出庫方向を前方とした前後方向における後方側に設置される。また、カバー体は、パレットの車両載置面に対して開閉可能に設置され、その内側に充電ケーブルのための収納スペースを有している。すなわち、カバー体がパレットの車両載置面に対して閉じられた状態では、カバー体の内面とパレットの車両載置面とで囲まれる空間が充電ケーブルの収納スペースとなる。コンセントは、充電ケーブルの一端に設けられた充電プラグが差し込まれることで、充電ケーブルに充電のための電力を供給するものであって、閉状態のカバー体により覆われる位置に設けられる。
【0008】
ガンホルダは、充電時には車両の充電口に差し込まれることになる、充電ケーブルの他端に設けられた充電ガンを保持するものであり、車両の入出庫の妨げにならないような、パレットの任意の位置に設置される。このような構成により、充電ケーブルは、車両への充電が行われない待機状態のときは、その一端の充電プラグがコンセントに差し込まれた状態で、他端の充電ガンがガンホルダにより保持され、それらの間のケーブルの余剰部分がカバー体の内側に収納される。また、車両への充電が行われる充電状態のときは、ガンホルダから充電ガンが取り外され、パレットに収容された車両の充電口に充電ガンが差し込まれる。
【0009】
すなわち、コンセントがカバー体により覆われる位置にあることで、コンセントが雨水などに曝されることが防止されるため、待機状態であっても充電ケーブルの充電プラグがコンセントに差し込まれたままでよく、充電の度にコンセントに対して充電プラグが抜き差しされる必要はない。従って、充電設備の使い勝手が向上するものとなる。しかも、車止めの後方のスペースが、充電ケーブルの余剰部分とコンセントとを収納するカバー体によって、主に平面方向に有効活用されることで、高さ方向の省スペース化が実現されるものである。このため、昇降移動を伴うパレットに適用されても、吊索やフレームなどに対して干渉することが防止されるものとなる。更に、昇降移動を伴うパレットに限らず、車止めを備えた種々のパレットを有する様々な機種の機械式駐車装置に適用されるため、汎用性が高められるものとなる。また、ガンホルダの位置が任意に設定されることで、車両の様々な位置の充電口に対応するものとなり、しかも、カバー体が開かれることで充電ケーブルの交換が容易に行われるため、多様な車両の充電に対応するものである。
【0010】
(2)上記(1)項において、前記カバー体が、前記車止めに対してヒンジ機構を介して接続される車両用充電設備。
本項に記載の車両用充電設備は、カバー体が、パレットに設けられた車止めに対して、ヒンジ機構を介して接続されることで、カバー体と車止めとが一体化され、平面方向での省スペース化が図られるものである。また、パレットそのものに改造が施されることなく、車止めの交換などで容易に設置されるため、既設の機械式駐車装置のパレットにも容易に適用されるものとなる。
【0011】
(3)上記(1)項において、前記カバー体は、上壁部と、該上壁部の周縁に沿って設けられた側壁部とを含み、該側壁部の少なくとも一部分に、閉状態で前記車両載置面に接触する接触部が設けられている車両用充電設備。
本項に記載の車両用充電設備は、カバー体が上壁部と側壁部とを含み、側壁部が上壁部の周縁に沿って設けられていることで、カバー体が大略的に無底の箱状を成している。また、側壁部の少なくとも一部分には、カバー体が閉状態のときにパレットの車両載置面に接触する接触部が設けられている。これにより、閉状態のカバー体に対してかかる荷重が、側壁部に設けられた接触部により受けられるものとなる。このため、パレットに進入した車両が車止めを乗り越えてカバー体の上に乗り上げてしまう場合など、不本意な荷重がカバー体に加えられても、カバー体が破損するようなことはなく、カバー体の内側に配置されるコンセントや充電ケーブルが強固に防護されるものである。
【0012】
(4)上記(1)項において、前記コンセントは、前記カバー体の内側に固定されており、前記カバー体に、該カバー体の内側に収納された前記充電ケーブルの収納部分を保持するための保持手段が設けられている車両用充電設備。
本項に記載の車両用充電設備は、コンセントがカバー体の内側に固定されていることで、カバー体が閉じられるとコンセントがカバー体に覆われる状態となり、カバー体が開かれるとコンセントがカバー体に追従して移動するものである。また、カバー体には、その内側に収納された充電ケーブルの収納部分(余剰部分)を保持するための保持手段が設けられており、これによって、カバー体が開かれると充電ケーブルの収納部分がカバー体に追従して移動するものである。すなわち、閉状態のカバー体により覆われていたコンセント及びケーブルの収納部分の双方が、カバー体が開かれるとカバー体と共に移動して露出するものである。これにより、必要に応じてカバー体が開かれることで、コンセントに対する充電プラグの抜き差しや充電ケーブルの交換作業が、容易に行われるものとなる。
【0013】
(5)上記(1)項において、前記ガンホルダは、前記パレットの、平面視で前記前後方向と直交する側方向の両側に設けられた立ち上がり部の何れか一方に設置される車両用充電設備。
本項に記載の車両用充電設備は、ガンホルダがパレットの立ち上がり部に設置されるものである。すなわち、パレットには、通常、平面視で前後方向と直交する側方向の両側に、車両載置面から上方或いは斜め上方に立ち上がった立ち上がり部が設けられており、その両側の何れか一方の立ち上がり部にガンホルダが設置される。これにより、ガンホルダ及びガンホルダにより保持される充電ガンが、車両の入出庫やパレットに立ち入った利用者の妨げにならない位置に配置されるものとなる。更に、パレットの立ち上がり部は車両載置面よりも高い位置にあるため、高さ方向の省スペース化が図られながらも、利用者により比較的取り易い位置に充電ガンが保持されるものとなる。
【0014】
(6)上記(5)項において、前記ガンホルダは、前記カバー体が閉状態のときに前記立ち上がり部に密着するように、前記カバー体に取り付けられている車両用充電設備。
本項に記載の車両用充電設備は、ガンホルダがカバー体に取り付けられていることで、ガンホルダとカバー体とが一体的に開閉されるものとなる。また、これと同時に、ガンホルダとカバー体とが一体的に取り扱われるものとなり、ガンホルダがカバー体から独立している場合と比較して、パレットに対する車両用充電設備の設置などが容易になるものである。更に、ガンホルダは、カバー体が閉状態のときにはパレットの立ち上がり部に密着するように、カバー体に取り付けられる。このため、上記(5)項で言及したように、ガンホルダやそれに保持される充電ガンが、車両や利用者の妨げになることはなく、また、ガンホルダに対する充電ガンの着脱が容易に行われるものとなる。
【0015】
(7)上記(1)項において、前記カバー体は、その閉状態で前記車止め以下の高さを有している車両用充電設備。
本項に記載の車両用充電設備は、カバー体が、その閉状態で車止め以下の高さを有していることで、パレットに収容された車両の、車止めよりも後方の部分に対する、カバー体及びその内側に収納されるコンセントや充電ケーブルの干渉が、確実に防止されるものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明はこのように構成したので、充電設備の高さ方向の省スペース化を図ることができ、汎用性を高めることも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施の形態に係る車両用充電設備の構成の一例を示しており、(a)は平面図、(b)はガンホルダ近傍の背面図である。
図2図1の車両用充電設備の側面図であり、(a)はカバー体が閉じられた状態、(b)はカバー体が開かれた状態である。
図3】本発明の実施の形態に係る車両用充電設備で用いられるカバー体の構成の一例を示しており、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図、(d)は背面図、(e)は底面図である。
図4】本発明の実施の形態に係る車両用充電設備で用いられるコンセント取付金の構成の一例を示しており、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は背面図である。
図5】本発明の実施の形態に係る車両用充電設備で用いられるケーブル受梁の構成の一例を示しており、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は側面図である。
図6】本発明の実施の形態に係る車両用充電設備で用いられるガンホルダの構成の一例を示しており、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。ここで、図面の全体にわたって、同一部分又は対応する部分は、同一符号で示している。また、従来技術と同一部分、若しくは相当する部分については、詳しい説明を省略するものとする。
図1及び図2は、本発明の実施の形態に係る車両用充電設備10の構成の一例を示しており、この車両用充電設備10は、種々の機械式駐車装置が具備する、車止め94を備えたパレット90に設置されるものであって、その中でも特に昇降移動を伴うパレット90に好適に適用される。また、車両用充電設備10は、電気自動車やプラグインハイブリッド車などの、充電ケーブル78を介して充電可能なバッテリを内蔵するあらゆる種類の車両を充電対象としている。なお、図1及び図2では、図示の便宜上、一部の構成部材が透過して図示されている。
【0019】
図示のように、本発明の実施の形態に係る車両用充電設備10は、カバー体12、保持手段24、コンセント54、及びガンホルダ58を含んでいる。カバー体12は、コンセント54と充電ケーブル78の一部(収納部分78a)とを覆うためのものであって、パレット90に設けられた車止め94の後方側(図1(a)及び図2における右側)に設置されている。なお、図1(a)及び図2における左右方向は、パレット90に収容される車両の出庫方向を前方側(図中左側)とした前後方向に対応している。カバー体12は、本実施形態ではヒンジ機構22を介して車止め94に取り付けられており、これにより、パレット90の車両載置面92に対して上下方向に開閉されるようになっている。すなわち、カバー体12は、機械式駐車装置の利用者などにより必要に応じて、図1及び図2(a)に示されるような閉状態と、図2(b)に示されるような開状態とに移動される。
【0020】
本実施形態のカバー体12は、図3を参照して、板状部材の接合や折り曲げなどにより形成された、平面視矩形の無底の箱状を成している。すなわち、カバー体12は、平面視矩形の上壁部14と、上壁部14の周縁に沿って設けられた側壁部16とを有しており、側壁部16は、上壁部14の矩形の4辺に相当する部位から略直角方向に延びる側壁部16A~16Dで構成されている。これにより、カバー体12の内側には、上壁部14と側壁部16A~16Dとで囲まれる収納スペース12aが形成される。そして、この収納スペース12aに、図1(a)及び図2に示したように、充電ケーブル78の収納部分78aやコンセント54が収納される。
【0021】
図3に戻り、カバー体12の側壁部16A~16Dのうち側壁部16B~16Dには、各々の先端(図3(b)~(d)における下端)からカバー体12の平面視での中心側に向けて略直角方向に折り曲げられた接触部18が設けられている。接触部18は、側壁部16B~16Dの長尺方向の中央を含む一部分に設けられ、3箇所に設けられた接触部18が同一の仮想平面に位置している。そして、これら3箇所に設けられた接触部18は、図1図2(a)に示したようなカバー体12が閉じられた状態において、パレット90の車両載置面92に接触するようになっている。このため、接触部18の各々には、例えば図3(e)にハッチングで図示された位置などに、ゴムシートなどのクッション材20が貼り付けられることが好ましい。
【0022】
また、接触部18が設けられた側壁部16B~16Dの部分は、接触部18が設けられていない側壁部16の部分よりも、下方(図3(b)~(d)における下方)に大きく延びている。このため、図3(b)~(d)で確認できるように、側壁部16の接触部18が設けられていない部分の下側には隙間が形成され、この隙間は、カバー体12に収納される充電ケーブル78の通線などのために使用される。また、カバー体12の高さは、図3(b)~(d)における上下方向の長さであって、実質的に上壁部14から接触部18までの距離に相当する。このカバー体12の高さは、図2(a)で示されるようなカバー体12の閉状態において、パレット90の車止め94の高さ以下になるように設定されている。
【0023】
側壁部16Aには、図1(a)及び図2に示したヒンジ機構22を、カバー体12の外側に取り付けるための4つのヒンジ取付穴36が設けられており、図3(a)及び(c)には参考のために側壁部16Aに取り付けられるヒンジ機構22の一部を図示している。また、側壁部16B及び16Dの各々には、詳しくは後述するが、保持手段24を構成するケーブル受梁26をカバー体12の内側に取り付けるための3つの受梁取付穴38が設けられている。更に、側壁部16Cには、図1(a)及び図2に示すような取手34をカバー体12の外側に取り付けるための2つの取手取付穴40が設けられており、これらの取手取付穴40は、後述するコンセント取付金42の取り付けのためにも利用される。すなわち、取手34とコンセント取付金42とは、取手取付穴40を介してボルトなどで共締め固定される。
【0024】
図1(a)及び図2を参照して、コンセント54は、充電ケーブル78の充電プラグ80が差し込まれるものであって、充電ケーブル78を経由して行われる車両の充電のための電力を供給する。このために、コンセント54には給電ケーブル86が接続されており、この給電ケーブル86は、詳しい説明や図示は控えるが、例えばパレット90の上方などから配線され、電源から供給される電力をコンセント54まで伝達する。コンセント54は、コンセント取付金42を介してカバー体12の内側に固定されている。すなわち、コンセント取付金42は、上述したようにカバー体12の外側に取り付けられる取手34と共に、カバー体12の内側に取り付けられており、カバー体12の側壁部16C(図3参照)を挟んで取手34と向かい合う位置関係にある。
【0025】
図4には、板状部材の接合や折り曲げなどにより形成される、コンセント取付金42の詳細構造を示している。図示のように、コンセント取付金42は、固定壁44と、固定壁44から略直角方向に延びる底面部45と、固定壁44及び底面部45の延在方向(図4(a)における上下方向、図4(c)における左右方向)の中央近傍に立設された仕切り壁46とで構成されている。固定壁44には2つの取付穴50が形成されており、この取付穴50が利用されて、固定壁44の図4(c)で視認できる面がカバー体12の側壁部16Cの内壁側に密着するようにして、図1(a)及び図2に示したように、コンセント取付金42がカバー体12に取り付けられる。仕切り壁46には、コンセント54を取り付けるための4つのコンセント取付穴52が形成されており、本実施形態では仕切り壁46の図4(a)における上側にコンセント54が取り付けられる。また、仕切り壁46には通線用切欠き48が設けられており、この通線用切欠き48を介してコンセント54に給電ケーブル86が接続される。
【0026】
上記のような構成のコンセント取付金42は、図1(a)及び図2に示したような状態で、コンセント54が取り付けられると共に、カバー体12に対して固定される。すなわち、コンセント54は、カバー体12の内側での省スペース化のために、コンセントカバー56がカバー体12の上壁部14側やそれと反対側に向かって開かれる向きではなく、カバー体12の側壁部16側に向かって開かれるような向きで取り付けられている。また、コンセント取付金42は、図1図2(a)の如くカバー体12が閉じられた状態で、コンセント54とパレット90の車両載置面92との間に底面部45が介在するように取り付けられており、これによって底面部45が車両載置面92からの雨水などの跳ね返りをガードする役割を担っている。なお、図4に示したように、コンセント取付金42は、図4(a)における上下方向や図4(c)における左右方向について、対称形状を有しているため、図1(a)の実施形態とは反対方向(図1(a)における下方)からの、仕切り壁46に対するコンセント54の取り付けなどに対応するものである。
【0027】
次に、保持手段24は、カバー体12の内側に取り付けられたコンセント54に対して接続される充電ケーブル78の、カバー体12の内側に収納される収納部分78aを保持するためのものであって、本実施形態では3つのケーブル受梁26によって構成されている。ケーブル受梁26の各々は、図5に示すように、充電ケーブル78が載置されるケーブル載置部28と、ケーブル載置部28から略直角方向に延び、図5(b)のような平面視でコの字状を成す取付部30とを有し、板状部材の接合や折り曲げなどにより形成される。取付部30のコの字状の両端には取付穴32が穿設されており、これらの取付穴32がカバー体12の側壁部16B及び16Dに設けられた受梁取付穴38(図3参照)と位置合わせされてボルトなどにより固定されて、ケーブル受梁26がカバー体12に対して取り付けられる。
【0028】
すなわち、図1(a)及び図2に示すように、3つのケーブル受梁26は、カバー体12の内側において、カバー体12の上壁部14から間隔を空けた位置で、カバー体12の側壁部16Bと側壁部16Dとの間に架け渡される。そして、充電ケーブル78の収納部分78aが、ケーブル受梁26のケーブル載置部28上に載置されることで、上壁部14とケーブル受梁26との間の空間(収納スペース12a)に収納される。なお、本実施形態では、充電ケーブル78がMODE2での充電に対応したものであって、コントロールパイロット機能を有するコントロールボックス82を備えており、このコントロールボックス82も充電ケーブル78の収納部分78aに含まれている。
【0029】
続いて、ガンホルダ58は、充電ケーブル78の充電ガン84を保持するためのものであって、本実施形態では、カバー体12に取り付けられると共に、パレット90の側方向(図1(b)における上下方向)の端部に設けられた立ち上がり部96に配置されるようになっている。具体的に、ガンホルダ58は、図6に示すように、板状部材の接合や折り曲げなどにより形成され、固定部60、接続部62、載置部64、保持部66、及びガイド部70で大略構成されている。固定部60は、カバー体12に対するガンホルダ58の取り付けのためにカバー体12に固定される部位であって、そのための取付穴76が2つ設けられている。すなわち、これら2つの取付穴76が、図3(a)に示したようにカバー体12の側壁部16Bに設けられた3つの受梁取付穴38のうちの2つと位置合わせされて、ボルトなどにより固定される。このため、ガンホルダ58と3つのケーブル受梁26とは、図1(a)に示すように、カバー体12の側壁部16Bを挟む位置関係で共締め固定されることになる。
【0030】
図6(c)のような背面視において、固定部60から接続部62及び載置部64を経てガイド部70までは、クランク状に折り曲げられている。載置部64は、ガンホルダ58の取り付け先であるカバー体12が閉じられた状態のときに、パレット90の立ち上がり部96に密着するようにして立ち上がり部96上に載置される。このため、カバー体12に固定される固定部60と、立ち上がり部96に密着する載置部64とを接続する接続部62は、閉状態のカバー体12と立ち上がり部96との位置関係が加味された形状及び大きさを有している。本実施形態では、図1(b)で確認できるように、接続部62の一部から載置部64までが、立ち上がり部96の側方の傾斜面から上面までに倣った形状を有している。
【0031】
ガイド部70は、図6(b)のような側面視で大略六角形状を成し、六角形状の下辺相当部が載置部64に接続され、六角形状の上辺相当部が僅かに内側(図6(c)における左側)に折り曲げられている。また、ガイド部70の、図6(b)における六角形状の左下辺相当部及び右下辺相当部の各々には、略直角方向に折り曲げられるようにして保持部66が接続されており、保持部66の下端が載置部64の前後方向(図6(b)における左右方向)の端部に近接している。保持部66の各々は、その上端側が載置部64と平行に折り曲げられており、その折り曲げ部分の一部を含んで大略円形の保持孔68が形成され、更に保持孔68に接続して切欠き部69が形成されている。また、ガンホルダ58には、軽量化を目的として、ガイド部70に抜き穴72が設けられると共に、固定部60から接続部62にかけて切欠き74が形成されている。
【0032】
上記のような構成のガンホルダ58は、例えば図1及び図2のようにして使用される。すなわち、図6も参照して、一方の保持部66の保持孔68に充電ガン84が差し込まれ、もう一方の保持部66の保持孔68には、充電ケーブル78の充電ガン84から延びるケーブル部分が、切欠き部69を介して挿通されて引っかけられている。また、充電ケーブル78の、カバー体12内に収納された部分(収納部分78a)から充電ガン84までの間は、ガンホルダ58のガイド部70や接続部62、パレット90の立ち上がり部96の傾斜面などによって案内される。なお、ガンホルダ58は、図6(a)、(b)における左右方向について対称形状を有しているため、充電ガン84が差し込まれる保持孔68が、図1及び図2の実施形態とは反対の保持部66のものであってもよい。
【0033】
上述したように、コンセント取付金42、保持手段24(ケーブル受梁26)、及びガンホルダ58は、何れもカバー体12に取り付けられる。このため、図2(b)のように例えば取手34が利用されてカバー体12が開かれると、コンセント取付金42に固定されたコンセント54及びそこに差し込まれた充電プラグ80と、保持手段24により保持される充電ケーブル78の収納部分78aと、ガンホルダ58により保持される充電ガン84とは、カバー体12に追従して移動することになる。
ここで、カバー体12、コンセント取付金42、ケーブル受梁26、ガンホルダ58、及び取手34といった各構成部材は、板状部材の接合や折り曲げなどによって形成されるが、そのような板状部材には、各構成部材に必要な適切な強度を有する任意の鋼板などが使用される。
【0034】
なお、本発明の実施の形態に係る車両用充電設備10は、図1から図6に示したような構成に限定されるものではなく、状況などに合わせて様々な形態を取り得るものである。例えば、カバー体12は、車止め94の後方側で車両載置面92に対して開閉可能に設置されていれば、車止め94以外のものに接続されてもよく、ヒンジ機構22以外の機構を介して接続されてもよい。また、カバー体12は、上壁部14と側壁部16とを備えた箱状のものに限定されず、充電ケーブル78の収納部分78aを収納し、コンセント54を覆うことができれば、任意の形状であってよい。更に、コンセント54は、閉状態のカバー体12により覆われる位置に設置されれば、カバー体12に固定されなくてもよい。同様に、ガンホルダ58も、カバー体12に固定される構成に限定されずに、例えばパレット90の立ち上がり部96に直接設置されてもよく、設置形態などに応じて任意の形状を有してよい。加えて、コンセント取付金42やケーブル受梁26も、図4及び図5に示した形状に限定されずに、任意の形状を取り得るものである。
【0035】
さて、上記構成をなす本発明の実施の形態によれば、次のような作用効果を得ることが可能である。すなわち、本発明の実施の形態に係る車両用充電設備10は、図1及び図2に示すように、カバー体12、コンセント54、及びガンホルダ58を含み、カバー体12は、パレット90に設けられた車止め94の、パレット90からの車両の出庫方向を前方とした前後方向における後方側(図1(a)及び図2における右側)に設置される。また、カバー体12は、パレット90の車両載置面92に対して開閉可能に設置され、その内側に充電ケーブル78のための収納スペース12aを有している。すなわち、図1(a)及び図2(a)のように、カバー体12がパレット90の車両載置面92に対して閉じられた状態では、カバー体12の内面とパレット90の車両載置面92とで囲まれる空間が充電ケーブル78の収納スペース12aとなる。コンセント54は、充電ケーブル78の一端に設けられた充電プラグ80が差し込まれることで、充電ケーブル78に充電のための電力を供給するものであって、閉状態のカバー体12により覆われる位置に設けられる。
【0036】
ガンホルダ58は、充電時には車両の充電口に差し込まれることになる、充電ケーブル78の他端に設けられた充電ガン84を保持するものであり、車両の入出庫の妨げにならないような、パレット90の任意の位置に設置される。このような構成により、充電ケーブル78は、車両への充電が行われない待機状態のときは、その一端の充電プラグ80がコンセント54に差し込まれた状態で、他端の充電ガン84がガンホルダ58により保持され、それらの間のケーブル78の余剰部分(収納部分78a)がカバー体12の内側に収納される。また、車両への充電が行われる充電状態のときは、ガンホルダ58から充電ガン84が取り外され、パレット90に収容された車両の充電口に充電ガン84が差し込まれる。
【0037】
すなわち、コンセント54がカバー体12により覆われる位置にあることで、コンセント54が雨水などに曝されることを防止することができるため、待機状態であっても充電ケーブル78の充電プラグ80をコンセント54に差し込んだままでよく、充電の度にコンセント54に対して充電プラグ80を抜き差しする必要はない。従って、充電設備10の使い勝手を向上させることができる。しかも、車止め94の後方のスペースを、充電ケーブル78の収納部分78aとコンセント54とを収納するカバー体12によって、主に平面方向に有効活用することで、高さ方向の省スペース化を実現することができる。このため、車両用充電設備10は、昇降移動を伴うパレット90に適用されても、吊索やフレームなどに対して干渉することを防止することが可能となる。更に、昇降移動を伴うパレット90に限らず、車止め94を備えた種々のパレット90を有する様々な機種の機械式駐車装置に適用することができるため、汎用性を高めることができる。また、ガンホルダ58の位置を任意に設定することで、車両の様々な位置の充電口に対応することができ、しかも、カバー体12を開くことで充電ケーブル78の交換を容易に行うことができるため、多様な車両の充電に対応することが可能となる。
【0038】
また、本発明の実施の形態に係る車両用充電設備10は、カバー体12が、パレット90に設けられた車止め94に対して、ヒンジ機構22を介して接続されることで、カバー体12と車止め94とを一体化して、平面方向での省スペース化を図ることができる。また、パレット90そのものに改造を施すことなく、車止め94の交換などで容易に設置することができるため、既設の機械式駐車装置のパレット90にも容易に適用することが可能となる。
【0039】
更に、本発明の実施の形態に係る車両用充電設備10は、図3に示すように、カバー体12が上壁部14と側壁部16(16A~16D)とを含み、側壁部16が上壁部14の周縁に沿って設けられていることで、カバー体12が大略的に無底の箱状を成している。また、側壁部16B~16Dには、カバー体12が閉状態のときにパレット90の車両載置面92に接触する接触部18が設けられている。これにより、閉状態のカバー体12に対してかかる荷重を、側壁部16B~16Dに設けた接触部18により受けることができる。このため、パレット90に進入した車両が車止め94を乗り越えてカバー体12の上に乗り上げてしまう場合など、不本意な荷重がカバー体12に加えられても、カバー体12が破損するようなことはなく、カバー体12の内側に配置されるコンセント54や充電ケーブル78を強固に防護することができる。
【0040】
また、本発明の実施の形態に係る車両用充電設備10は、図1(a)及び図2に示すように、コンセント54がコンセント取付金42を介してカバー体12の内側に固定されていることで、カバー体12が閉じられるとコンセント54がカバー体12に覆われる状態となり、カバー体12が開かれるとコンセント54がカバー体12に追従して移動するものである。また、カバー体12には、その内側に収納された充電ケーブル78の収納部分(余剰部分)78aを保持するための保持手段24(ケーブル受梁26)が設けられており、これによって、カバー体12が開かれると充電ケーブル78の収納部分78aがカバー体12に追従して移動するものである。すなわち、閉状態のカバー体12により覆われていたコンセント54及びケーブル78の収納部分78aの双方が、カバー体12が開かれるとカバー体12と共に移動して露出するものである。これにより、必要に応じてカバー体12を開くことで、コンセント54に対する充電プラグ80の抜き差しや充電ケーブル78の交換作業を、容易に行うことが可能となる。
【0041】
また、本発明の実施の形態に係る車両用充電設備10は、ガンホルダ58がパレット90の立ち上がり部96に設置されるものである。すなわち、パレット90には、通常、平面視で前後方向と直交する側方向(図1(a)における上下方向)の両側に、車両載置面92から上方或いは斜め上方に立ち上がった立ち上がり部96が設けられており、その両側の何れか一方の立ち上がり部96にガンホルダ58が設置される。これにより、ガンホルダ58及びガンホルダ58により保持される充電ガン84を、車両の入出庫やパレット90に立ち入った利用者の妨げにならない位置に配置することができる。更に、パレット90の立ち上がり部96は車両載置面92よりも高い位置にあるため、高さ方向の省スペース化を図りながらも、利用者により比較的取り易い位置に充電ガン84を保持することができる。
【0042】
更に、本発明の実施の形態に係る車両用充電設備10は、ガンホルダ58がカバー体12に取り付けられていることで、ガンホルダ58とカバー体12とを一体的に開閉することができる。また、これと同時に、ガンホルダ58とカバー体12とを一体的に取り扱うことができるため、ガンホルダ58がカバー体12から独立している場合と比較して、パレット90に対する車両用充電設備10の設置などを容易化することができる。更に、ガンホルダ58は、特に図1(b)で確認できるように、カバー体12が閉状態のときにはパレット90の立ち上がり部96に密着するように、カバー体12に取り付けられる。このため、カバー体12に取り付けられる構成でありながらも、ガンホルダ58やそれに保持される充電ガン84が、車両や利用者の妨げになることはなく、また、ガンホルダ58に対する充電ガン84の着脱を容易に行うことができる。
【0043】
加えて、本発明の実施の形態に係る車両用充電設備10は、図2(a)で確認できるように、カバー体12が、その閉状態で車止め94以下の高さを有しているものである。これにより、パレット90に収容された車両の、車止め94よりも後方の部分に対する、カバー体12及びその内側に収納されるコンセント54や充電ケーブル78の干渉を、確実に防止することができる。
【符号の説明】
【0044】
10:車両用充電設備、12:カバー体、12a:収納スペース、14:上壁部、16(16A~16D):側壁部、18:接触部、22:ヒンジ機構、24:保持手段、54:コンセント、58:ガンホルダ、78:充電ケーブル、78a:収納部分、80:充電プラグ、84:充電ガン、90:パレット、92:車両載置面、94:車止め、96:立ち上がり部
図1
図2
図3
図4
図5
図6