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特開2024-87511自動搬送装置、台車、駆動装置、連結方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087511
(43)【公開日】2024-07-01
(54)【発明の名称】自動搬送装置、台車、駆動装置、連結方法
(51)【国際特許分類】
   A61G 12/00 20060101AFI20240624BHJP
   G05D 1/43 20240101ALI20240624BHJP
   B65G 1/00 20060101ALI20240624BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20240624BHJP
【FI】
A61G12/00 C
G05D1/02 H
B65G1/00 501C
G08G1/00 X
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022202364
(22)【出願日】2022-12-19
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和4年8月20日、北國新聞にて公開
(71)【出願人】
【識別番号】000105693
【氏名又は名称】コマニー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000844
【氏名又は名称】弁理士法人クレイア特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】牧野 哲浩
(72)【発明者】
【氏名】本井 健哉
【テーマコード(参考)】
3F022
4C341
5H181
5H301
【Fターム(参考)】
3F022FF10
3F022LL07
3F022MM11
3F022NN12
4C341LL07
5H181AA27
5H181CC04
5H301AA01
5H301BB14
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301QQ01
(57)【要約】
【課題】駆動装置に対して、台車が取り換え可能で、走行性に優れた、自動搬送装置を提供する。
【解決手段】施設内で備品置場またはナースステーション等の出発地点から入居者または患者の居室等に様々な備品を自動走行により運搬または回収する自動搬送装置10である。自動搬送装置10は、台車100と、駆動装置200とが連結可能に構成された自動搬送装置10であって、台車100は、駆動装置200と連結されることにより自動で走行することができ、台車100は、3以上のキャスターを備え、駆動装置200は、2以上の走行輪を備え、駆動装置200に対して、台車100は上下動可能に連結されている。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
台車と、駆動装置とが連結可能に構成された自動搬送装置であって、
前記台車は、前記駆動装置と連結されることにより自動で走行することができ、
前記台車は、3以上のキャスターを備え、
前記駆動装置は、2以上の走行輪を備え、
前記台車に対して、前記駆動装置が上下動可能に連結できる、自動搬送装置。
【請求項2】
前記駆動装置は、前記台車に動力を伝達可能な動力伝達部を備え、
前記動力伝達部は、左右対称に形成されて、進行方向に対して角度を有する動力伝達面を備えた、請求項1に記載の自動搬送装置。
【請求項3】
前記駆動装置は、前記走行輪の制動機構を有し、
前記制動機構は、前記台車と前記駆動装置とを連結するときに前記走行輪の動きを制動する、請求項1に記載の自動搬送装置。
【請求項4】
前記駆動装置は、前記台車を連結可能な受具を備え、
前記台車は、前記受具に連結可能なロック機構と、前記受具の連結を解除可能な操作部と、を備え、
前記受具および前記ロック機構は、10mm以上50mm以下の範囲で上下動可能に連結することができる、請求項1に記載の自動搬送装置。
【請求項5】
前記駆動装置は、両側面に、前記台車に旋回力を付与可能な旋回力付与部を備える、請求項1に記載の自動搬送装置。
【請求項6】
前記駆動装置は、前記旋回力付与部を進行方向後方の両側面に備える、請求項5に記載の自動搬送装置。
【請求項7】
前記駆動装置は、両側面に、前記台車の連結時に前記台車を誘導可能な案内レールを備え、
前記案内レールは、左右対称に構成されて、先端が内側に傾いた誘導部を有する、請求項1に記載の自動搬送装置。
【請求項8】
請求項1に記載の自動搬送装置であって、前記駆動装置に連結可能な、台車。
【請求項9】
請求項1に記載の自動搬送装置であって、前記台車に連結可能な、駆動装置。
【請求項10】
請求項1に記載の自動搬送装置を連結する方法であって、前記台車と前記駆動装置とを連結する、連結方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、介護施設、病院または療養所などの施設内において、出発地で搭載した荷物を目的地に運搬することができる自動搬送装置、台車および駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工場、倉庫、病院、介護施設等において物品移動を自動化するため、自動搬送車の導入が進みつつある。
例えば、特許文献1(特開2021-49236号公報)には、汚物を速やかに回収して汚物の悪臭を防止し、汚物の運搬作業の負担をなくすことができる汚物回収装置が提案されている。
【0003】
特許文献1に記載の汚物回収装置は、施設内を移動して施設内で介護される被介護者の汚物を回収する汚物回収装置である。汚物回収装置は、汚物を密封する汚物密封部と、密封された汚物を収容する汚物収容部と、汚物密封部および汚物収容部を積載して施設内を走行する走行部と、汚物の回収指示信号を受信する受信部と、を備える。走行部は、回収指示信号に基づき、施設内を自動走行して被介護者付近の所定の位置に移動し、汚物を運搬する制御部を有するものである。
【0004】
また、特許文献2(特開平7-285432号公報)には、院内感染を防止し、さらに病院や保健所の負担を軽減する自走車使用の搬送装置が提案されている。
【0005】
特許文献2に記載の自走車使用の搬送装置は、病院内の中央材料部と4室の手術室間に手術器材の経路部を形成するレール装置を敷設し、このレール装置に支持案内されて自走し、手術器材を搬送する複数台の自走車を配設し、これら自走車の手術器材のコンテナを抗菌材入りの材料により整形し、さらに自走車本体の外装面を、抗菌材入りの塗料により被覆されるものである。
【0006】
特許文献3(特開平7-231917号公報)では、病院における配膳作業の大幅な労力軽減を図った配膳方法を提供するとともに上記配膳方法に適した無人自走車と配膳車が提案されている。
【0007】
特許文献3に記載の配膳車および病院における配膳方法は、地下一階にある調理室近傍に設けられた第一コンテナガイドを始点としてA病棟の専用エレベータの2~4階(病室階)出入口近傍のパントリーステーションに設けられた第二コンテナガイドを終点とする通路と、B病棟の専用エレベータの2~5階出入口近傍のパントリーステーションに設けられた第二コンテナガイドを終点とする通路に敷設された軌道に沿って自動運転される無人自走車と、該無人自走車の直上に保持されて牽引される配膳車と、で構成され、配膳時は調理室から前記各パントリーステーションまで配膳車が自動運転された後、各階の配膳担当者が配膳車を前記無人自走車から切り離して配膳車のみを各病室へ運搬して入院患者に適温に維持された食事を配膳するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2021-49236号公報
【特許文献2】特開平7-285432号公報
【特許文献3】特開平7-231917号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
近年では、病院または介護施設等においては多種多様の異種物品を、物品等が保管されている場所またはナースステーション等から入所者または入院患者の部屋まで搬送する必要があり、様々な種類の自動搬送装置が開発されている。
【0010】
上記特許文献1に記載の汚物回収装置においては、汚物回収専用の自動搬送装置のため、汚物以外の物品を搬送したい場合は、汚物回収装置本体と走行部とを分離して使用することができないため、対応ができない。
【0011】
特許文献2に記載の自走車使用の搬送装置においては、手術基材を搬送することを目的とし、中央材料部と手術室間にレール装置が敷設され、このレール装置に支持案内されて自走するため、院内を自在に走行することはできず、用途が限定されている。また、自走車はレール装置上を走行するため、目的地までの最短ルートを走行することができず、作業効率が悪いという問題もある。さらに、自走車本体とコンテナとは分離して利用することができないため、各コンテナに対して自走車本体が必要になり、コストがかかるという欠点がある。
【0012】
特許文献3に記載の配膳車および病院における配膳方法においては、病院内に段差等がある場合、配膳車が無人自走車から外れてしまうおそれがある。さらに、通常200Kg程度ある配膳車を無人自走車が牽引し、病院内の狭い通路または急なカーブ等の細かい動作をする必要がある場合に、配膳車が無人自走車に追随して走行することが困難であり、走行性に問題がある。
【0013】
本発明は、上記のような問題点に着目してなされたもので、その目的は、既存の医療介護等施設に対する導入容易性に優れた自動搬送装置を提供することにある。
本発明の他の目的は、駆動装置に対して、台車が取り換え可能で、走行性に優れた、自動搬送装置を提供することにある。
本発明の他の目的は、操作性が良く、安全性が高い自動搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
(1)
一局面に従う自動搬送装置は、台車と、駆動装置とが連結可能に構成された自動搬送装置であって、台車は、駆動装置と連結されることにより自動で走行することができ、台車は、3以上のキャスターを備え、駆動装置は、2以上の走行輪を備え、台車に対して、駆動装置が上下動可能に連結できるものである。
【0015】
台車に積載された物品の重量はキャスターが支えつつ、台車は駆動装置に牽引されて、予め設定された目的地まで自動搬送される。したがって、リネン、使用済オムツ、食器類など重量のある物品、または、書類、検体、検査機器、医療器具など多数の物品類を運搬する作業と労力が不要となる。
また、自動搬送された台車は、独立してキャスター移動可能な台車として使用することができるので、医療または介護等の現場でそのまま使用し続けることができる。また、使用済オムツ、検体等の回収物がある場合は、廃棄場所、検査室などに一度回収物を自動搬送したうえで、次の病室に台車を自動搬送させることもできるので、作業者が病室と廃棄場所等とを往復する必要がなくなる。
【0016】
さらに、台車と、駆動装置とが別体で設けられることにより、搬送する物品に合わせて、台車を交換することができる。また、台車は、3以上のキャスター、駆動装置は、2以上の走行輪を備えるため、自動搬送装置が目的地へ到着した後は、台車と駆動装置との連結状態を解除し、それぞれを独立して使用することができる。
具体的には、駆動装置は、台車が連結されていなくても走行可能なため、ある目的地まで物品を搬送した後は、他の台車を回収したり、出発地等に戻り、別の物品を搬送したりすることができる。これにより、駆動装置の数に対して台車の数を多くすることができるので、コストを抑えつつ効率良く物品を運搬および回収することができる。
特に、台車に対して駆動装置が上下動可能に連結することができるので、台車と駆動装置との連結部分に遊びが存在し、台車と駆動装置との接続および解除が容易となる。
【0017】
また、台車に対して、駆動装置が上下動可能に連結されることにより、走行中の台車と駆動装置とがそれぞれ自由に上下動可能となり、台車の重みを支えるキャスターと駆動力を与える走行輪とのそれぞれが路面に追従することができる。よって、介護施設等において段差または勾配(坂道)があった場合でも、台車と駆動装置との位置のばらつきを調整することができるため走行性が良くなる。
したがって、自動搬送装置が走行することを前提として作られた床面ではない場合、バリアフリーに対応していない古い施設の場合、または施設のエントランス等にある上がり框の段差等がある場合でも、確実に物品を搬送することができる。したがって、既存の施設を改修することなく、そのまま自動搬送装置を導入することができ、導入容易性に優れる。
さらに、台車が駆動装置に追随して走行するため、狭い通路または急なカーブ等の細かい動作ができる。
【0018】
(2)
第2の発明にかかる自動搬送装置は、一局面に従う自動搬送装置において、台車に動力を伝達可能な動力伝達部を備え、動力伝達部は、左右対称に形成されて、進行方向に対して角度を有する動力伝達面を備えても良い。
【0019】
これにより、駆動装置から台車に動力が伝達され、重量物を搬送する場合も駆動装置と台車との走行性を良くすることができる。また、動力伝達部が左右対称に形成されることによって、自動搬送装置が右折または左折する場合、駆動装置に台車が追随するため、小回りが利く。
したがって、様々な設備が設置された病室などでも円滑に台車を搬送することができ、また、歩行が困難な人等とすれ違う場合も衝突を回避しやすく、安全な自動搬送装置とすることができる。
【0020】
(3)
第3の発明にかかる自動搬送装置は、一局面または第2の発明にかかる自動搬送装置において、走行輪の制動機構を有し、制動機構は、台車と駆動装置とを連結するときに走行輪の動きを制動してもよい。
【0021】
これにより、駆動装置は台車との連結時に制動状態のため、停止している駆動装置に台車を連結することができる。したがって、ユーザが台車を押して駆動装置に連結しようとする時に、台車が移動する(逃げる)のを防止するので、駆動装置と台車との連結が容易となる。
また、ユーザが手動で連結するので、重量ある台車と駆動装置との位置関係が正確でないまま接続される場合がある。このような場合も、駆動装置は制動されて同じ場所に留まるので、接続時にユーザが位置を調整しやすくなり、駆動装置に対して台車を正確な位置に連結することが可能である。
【0022】
(4)
第4の発明にかかる自動搬送装置は、一局面から第3のいずれかの発明にかかる自動搬送装置において、台車を連結可能な受具を備え、台車は、受具に連結可能なロック機構と、受具の連結を解除可能な操作部と、を備え、受具およびロック機構は、10mm以上50mm以下の範囲で上下動可能に連結されてもよい。
【0023】
これにより、台車が駆動装置に連結または連結解除が可能なため、台車を運搬物に応じて変更することができる。さらに、目的地に到着した後は、使用者が台車のみを手動で動かし使用することができる。
また、受具およびロック機構は10mm以上50mm以下の範囲で上下動可能に連結されているため、重量物の運搬時に、施設内等に段差または坂があった場合も台車が駆動装置から外れることがなく安全に走行できる。
また、台車に対して駆動装置が上下動可能に連結することができるので、台車と駆動装置との連結部分に遊びが存在し、台車と駆動装置との接続および解除が容易となる。
【0024】
(5)
第5の発明にかかる自動搬送装置は、一局面から第4のいずれかの発明にかかる自動搬送装置において、駆動装置は、両側面に、台車に旋回力を付与可能な旋回力付与部を備えてもよい。
【0025】
例えば、施設内において、狭い通路または急なカーブ等があった場合に、駆動装置に設けられた旋回力付与部が、台車に旋回力を付与することにより、細かい動作をすることができる。
【0026】
(6)
第6の発明にかかる自動搬送装置は、一局面から第5のいずれかの発明にかかる自動搬送装置において、駆動装置は、旋回力付与部を進行方向後方の両側面に備えてもよい。
【0027】
この場合、施設内において、狭い通路を走行する場合または方向転換する場合等に、台車の旋回する方向の後側面に旋回力を付与することにより、重量物を運搬する場合も細かい動作をすることができる。
特にこの場合、台車のキャスターが回転可能な自在キャスターであることによって、自動搬送装置は走行しながら進行方向を変えるだけではなく、その場で回転動作をすることができる。
【0028】
(7)
第7の発明にかかる自動搬送装置は、一局面から第6の発明にかかる自動搬送装置において、駆動装置は両側面に、台車の連結時に台車を誘導可能な案内レールを備え、案内レールは、左右対称に構成されて、先端が内側に傾いた誘導部を有してもよい。
【0029】
これにより、台車を駆動装置に連結する場合に、台車を正確な位置に設置することができる。
特に、重量ある台車をユーザが手動で連結する場合、駆動装置との位置関係にずれがあっても、台車と駆動装置とを容易かつ正確に連結することができる。
【0030】
(8)
他の局面に従う台車は、一局面から第7の発明に係る自動搬送装置であって、駆動装置に連結可能なものである。
【0031】
これにより、用途に合わせて台車を取り換えることができる。また、台車が駆動装置に連結されていない場合は、台車のみを使用者が手動で移動することができる。
【0032】
(9)
他の局面に従う駆動装置は、一局面から第8の発明に係る自動搬送装置であって、台車に連結可能なものである。
【0033】
これにより、駆動装置は様々な台車と連結することができるため、多種多様の物品を運搬することができる。
【0034】
(10)
他の局面に従う連結方法は、一局面から第9の発明に係る自動搬送装置を連結する方法であって、台車と駆動装置とを連結するものである。
【0035】
台車と駆動装置とが連結時および連結解除時において、独立してそれぞれを使用することができるため、様々な環境または用途に使用することができる。また、駆動装置と台車との連結はワンタッチで容易にできるため、重量物を搭載した台車の場合も簡単に駆動装置に連結することができ、操作性が良い。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】本実施形態の自動搬送装置の一例を示す斜視図である。
図2】本実施形態の台車の底面図である。
図3図2で示した台車のロック機構を拡大した底面図である。
図4】本実施形態の駆動装置の模式的上面図である。
図5図4で示した駆動装置の受具を拡大した模式的説明図である。
図6】本実施形態において使用者が駆動装置に台車を連結する動作を示す模式図である。
図7】他の実施形態の例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。
以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付す。また、同符号の場合には、それらの名称および機能も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さないものとする。
【0038】
[本実施の形態]
(自動搬送装置10)
図1は、本実施形態の自動搬送装置10を示す模式的斜視図である。本実施形態の自動搬送装置10は、台車100と、台車100を走行させる駆動装置200と、が連結可能に構成されたものである。また、台車100と駆動装置200とは上下動可能に連結されている。これにより、自動搬送装置が走行することを前提として作られた床面ではない場合、バリアフリーに対応していない古い施設の場合、または施設のエントランス等にある上がり框の段差等がある場合も問題なく物品を搬送することができる。したがって、既存の施設に対する導入容易性に優れる。
【0039】
(台車100)
図1および図2に示すように台車100は、収容部110、収容部110の底面である台車連結部120およびキャスター取付部130から構成される。本実施形態では、収容部110は略直方体であり、収容部110の底面の左右両側に板状のキャスター取付部130が固定されている。さらに、キャスター取付部130の底端部に間隔をあけて双輪キャスター131を1つずつ配置している。したがって、台車100には総数4つの双輪キャスター131が設置され、台車100のみで通常の台車のように使用することができる。
これにより、複数人の患者または入所者が過ごす部屋に自動搬送装置10が到着した後、居室内で使用者が台車100のみを手動で移動させたい場合に操作性が良い。
【0040】
本実施形態の収容部110は、内部が進行方向と平行方向に仕切られ、両側に扉111が設けられているため、物品を分けて収容することができる。また、収容部110内には書類または薬等の収納用の引き出しを複数設置できるため、患者または入居者毎に物品を分けて収納することもできる。
【0041】
収容部110は扉111を有するため、物品搬送時に物品をなくすことなく搬送することができる。また、扉111にはカード認証等の施錠手段112を設置しても良い。これにより、看護師または介護士等の関係者のみ開錠することができる。病院内または介護施設は関係者以外が廊下を往来する機会が多いため、盗難防止としても使用可能である。
【0042】
(台車レール125)
図2に示すように台車連結部120には、進行方向と平行方向に間隔をあけて左右両側に台車レール125が設けられている。台車レール125の、進行方向後方部には先端が外側に傾いた被誘導部125aを有し、被誘導部125a間の距離は進行方向後方に向けて広くなるように設けられている。これにより、台車100を駆動装置200に連結する場合に、台車100と駆動装置200との位置関係が正確でないまま接続されそうな場合でも、被誘導部125aが正確な位置に台車100を誘導することができる。具体的には、後述する駆動装置200の案内レール225の両外側を、台車レール125が案内されることにより、台車100が適切な位置にセットされ、駆動装置200と台車100とが連結可能となる。
【0043】
(双輪キャスター131)
図1に示すように、本実施の形態では台車100の両側に設置されたキャスター取付部130の下端に2つずつ双輪キャスター131が設けられている。台車100が独立して走行可能であれば、キャスターの数は3つでもよいし、4つ以上であってもよい。
台車100の双輪キャスター131は、4つ全て自在キャスターとしてもよいし、用途または使用環境等に応じて、自在キャスターまたは固定キャスターを組み合わせてもよい。さらに、自在固定切換キャスターを使用してもよい。
本実施形態の双輪キャスター131は、全て自在キャスターであり、台車100が駆動装置200に追随し易く小回りが利くため、人が往来する施設または、狭い通路、カーブ等がある施設等において好ましい。
【0044】
双輪キャスター131は、単輪仕様としてもよいが、双輪仕様または三輪仕様の方が好ましい。本実施形態では、双輪仕様にすることにより、自在キャスター自体の旋回時に、1つの双輪キャスターにおける2つのキャスターが互いに逆方向へ回転することで床面との摩擦を低減することができ、単輪仕様よりも旋回性に優れる。これにより、方向転換をする場合または狭い通路を走行する場合等に台車100を制御し易くなり、壁等にぶつからず、細かい動作ができる。
特に、台車100に重量物を載せた状態で、ユーザが駆動装置200に連結させようとする時にも、微妙な位置調整を容易にすることができる。
【0045】
また、双輪キャスター131には図示しないストッパーを設けてもよい。これにより、台車100のみで運搬する場合には使用者がストッパーをかけて台車100を固定することができる。さらに、台車100には、図示しない台車操作用ハンドルが設けられていてもよい。また、台車操作用ハンドルがストッパー機能を兼ね備えていてもよく、台車操作用ハンドルからキャスターのストッパーの操作をすることができる。この場合、台車100を駆動装置200に連結したときは自動的にストッパーが解除される。また、台車100は駆動装置200に連結されていないときはストッパーがかかっている状態とすることにより、台車100が誤って駆動装置200から連結が解除された場合には台車100のストッパーが自動的に作動し台車100を停止させることができる。これにより、自動搬送装置10の走行中に安全性を確保することができる。さらに、使用者が立った状態でキャスターのストッパーを手で操作できるため、台車100を手動で使用する場合に操作性が良くなる。
【0046】
(被動力伝達部122)
図2および図3に示すように、台車100の底面である台車連結部120の進行方向前方側に設けられた被動力伝達部122は、被動力伝達面122aを有する。また、被動力伝達面122aに、後述の駆動装置200に設けられた動力伝達部222から動力が伝達される。これにより自動搬送装置10において、駆動装置200に台車100が追随し、走行することができる。
本実施形態における被動力伝達部122は、別部材として左右対称に設置しているが、一部材として設けられていてもよい。
【0047】
被動力伝達面122aは、進行方向に対して閉じるように角度θを有し、左右対称に形成されている。被動力伝達面122aが形成する角度θは、後述する駆動装置200の装置連結部220に形成された動力伝達面222aと同じ角度とすることが好ましい。これにより、被動力伝達面122aと動力伝達面222aとが密着し、動力を伝達し易くなる。また駆動装置200と台車100とを連結する場合に、駆動装置200に対して台車100を位置決めすることもできる。
また、被動力伝達面122aには樹脂シート等を取り付けてもよい。これにより、被動力伝達面122aおよび後述する動力伝達面222aが密着する場合に、被動力伝達面122aを保護する緩衝材として使用することができる。さらに樹脂シートは、被動力伝達面122aと動力伝達面222aとの間に摩擦を発生させ、駆動装置200に対して台車100を追随し易くする。したがって、樹脂シートはエラストマー等の摩擦係数が大きく弾性のあるものが好ましい。
【0048】
(ロック機構121)
台車100の底面である台車連結部120の進行方向前方には、ロック機構121が設けられている。図3に示すようにロック機構121は、係合部121a、解除操作部121bおよび解除ボタン121cを備える。
台車100を駆動装置200に連結する場合は、係合部121aが後述する受具221に係合することにより連結状態となる。また、台車100と駆動装置200との連結状態を解除する場合は、解除操作部121bを片手で把持しながら解除ボタン121cを押し、自動搬送装置10の進行方向に引くことにより連結状態が解除される。具体的には、解除ボタン121cを押すことにより、係合部121aが内側に入り込み、受具221から外れる。使用者が解除ボタン121cを押して台車100を進行方向に引かない限り台車100は駆動装置200から外れないため、誤操作を防止できる。
【0049】
(駆動装置200)
図1図4および図6に示すように本実施形態の駆動装置200は、装置操作部210、装置連結部220および走行部230を有する。装置連結部220は、自動搬送装置10が走行する床面と平行に設けられ、装置操作部210は装置連結部220と垂直に設けられている。装置連結部220と装置操作部210とは、進行方向後方側で繋がっており、L字状の一体部材である。装置連結部220の底面には走行部230が固定されており、駆動装置200が走行可能となっている。
【0050】
(装置操作部210)
図1に示すように、本実施形態の装置操作部210は、操作パネル211、搬送開始スイッチ212、手動操作ボタン213、電源部214、取手215および報知部216を備える。
駆動装置200を使用するときは、まず電源部214の図示しない電源ボタンにより電源を入れる。次に操作パネル211で、駆動装置200の目的地を設定し、目的地設定後は、搬送開始スイッチ212を押すことにより駆動を開始する。
【0051】
また、駆動装置200に台車100が連結されておらず待機状態の場合、目的地に到着した場合等に駆動装置200は自動的に制動状態となる。これにより、駆動装置200が誤作動を起こし勝手に走行してしまうことを防止できる。しかし、自動搬送装置10が入居者の居室等に到着した後は、介護士等が手動で居室内を移動させられた方が利便性が高い。したがって、手動操作ボタン213が設けられている。手動操作ボタン213が押されている間のみ通電し、押されていないときは通電状態が解除されているため制動する。これにより、駆動装置200を手動で移動させることができる。
特に、歩行に困難があり手すりが必要な人と通路ですれ違う場合、移動式ベッドなど他の大型装置とすれ違う場合などに、自動搬送装置10の走行経路と干渉する場合がある。このような場合も、必要に応じてユーザが手動操作ボタン213を操作することにより、自動搬送装置10の位置を一時的に横にずらすことができるので、既存の施設でも導入容易性に優れる。
また、通常はバッテリーが少なくなると駆動装置200は自動で充電位置に戻る。万が一駆動装置200が走行中にバッテリー切れとなった場合も、駆動装置200は制動状態となるため重量物等を搭載した自動搬送装置10が坂道等で発進することはなく安全性が確保されいている。
【0052】
図1および図6に示すように手動操作ボタン213は、装置操作部210の側面に設置された取手215付近に1つと、電源部214に1つ設けられている。また、取手215は、装置操作部210の両側面に設けられている。これにより、使用者は進行方向に向いて立ち、両側に設置された取手215に指を掛けて、左手の親指等で手動操作ボタン213を押しながら駆動装置200を移動することができる。
この取手215および装置操作部210は、床面からの高さが80cm以上120cm以下とすることが好ましい。これにより、ユーザの腰付近の高さで自動搬送装置10を手動で移動させることができるので、台車100に重量物が積載される場合も移動操作に力が伝わりやすい。
【0053】
図4に示すように、駆動装置200の操作パネル211が設置されている面とは反対の面に台車センサ217が備えられている。台車センサ217によって、台車100が駆動装置200に連結されているか否かを判断することができる。これにより、駆動装置200と台車100とが走行中に連結状態が解除されてしまった場合には、駆動装置200は直ちに制動することができる。本実施形態では接触式の台車センサ217を備えるが、非接触式のセンサでもよい。
【0054】
図1等に示すように報知部216は、駆動装置200の上側面に設けられており、駆動装置200の稼働状態または警告等を表す。本実施形態では、発光ダイオード等で構成される表示灯であり、表示灯の点灯、点滅または光の色彩等により、駆動装置の稼働状態を使用者に認識可能に報知する。なお、報知部216は、スピーカを備えてもよい。この場合、報知部216は所定の稼働状態を報知する音(通知音)または音声(通知メッセージ)を発することができる。
【0055】
(装置連結部220)
図4および図5に示すように本実施形態の駆動装置200は、装置連結部220を有する。装置連結部220には、台車100を駆動装置200に連結するために使用する受具221、駆動装置200から台車100に動力を伝達する動力伝達部222および台車100を装置連結部220に誘導する案内レール225を有する。
受具221および動力伝達部222は、装置連結部220の進行方向前方に設けられている。動力伝達部222は進行方向前方に設けられることにより、重量物を運搬し、右折または左折する場合の駆動装置200の初動を台車100に伝達しやすくなる。
【0056】
(動力伝達部222)
図4に示すように、装置連結部220には台車100に動力を伝達可能な動力伝達部222が備えられる。さらに、動力伝達部222は、進行方向に対して閉じるように角度θを有する動力伝達面222aを備え、左右対称に形成されている。また、動力伝達部222は、走行部230の走行輪231の位置よりも前方(進行方向側)に設けられている。
本実施形態における動力伝達部222は、左右対称に別体として設けられているが、一体として設けられていてもよく、走行輪231の位置と同じ位置または後方に設けられていてもよい。また、本実施形態における動力伝達面222aは、進行方向に対して閉じるように角度θを有しているが、これと逆に進行方向に対して開くように角度θを有していてもよい。
動力伝達面222aが、進行方向に対して閉じるように左右対称に設けられ、また、動力伝達部222が走行輪231の位置よりも前方に設けられることにより、台車100に重量物が載る場合もより安定して走行し操舵性および旋回性に優れた駆動装置200とすることができる。
動力伝達面222aの角度θは、台車100の被動力伝達面122aの角度θと同じであることが好ましい。また、動力伝達面222aの角度の下限値は、30度以上が好ましく、35度以上がより好ましく、40度以上がさらに好ましい。また、動力伝達面222aの角度の上限値は、60度以下が好ましく、55度以下がより好ましく、50度以下がさらに好ましい。これにより、確実に駆動装置200の動力を台車100に伝えつつ、旋回性に優れた駆動装置200とすることができる。
被動力伝達面122aと同様に、動力伝達面222aにも樹脂シート等を取り付けてもよい。
【0057】
(受具221)
図4および図5に示すように、駆動装置200は、台車100を連結可能な受具221を備える。本実施形態における受具221は、コ字形状の被係合部221aおよび取付台221bを有する。受具221は、取付台221bがネジ等で装置連結部220に固定されることにより設置される。これにより、台車100の係合部121aを被係合部221aに係合することができる。
図5は、駆動装置200に備えられた受具221の高さHと、台車100に備えられた係合部121aの厚みTとの関係を説明するための模式図であり、台車100の側は係合部121aを含む一部品のみを図示している。
図5に示すように、取付台221bからの被係合部221aの高さをHとして図示している。駆動装置200と台車100とが連結状態の場合は、高さHから係合部121aの厚みを引いた距離が、台車100または駆動装置200が上下動可能な距離に相当する。本実施形態では高さHは27mm、係合部121aの厚みTが4mmのため、台車100または駆動装置200が上下動可能な距離を23mmとした。高さHは、20mm以上30mm以下好ましく、25mm以上28mm以下がより好ましい。また、強度を保持するために係合部121aの厚みTは4mm以上10mm以下好ましく、65mm以上8mm以下がより好ましい。
本実施形態では、被係合部221aはコ字状に形成されているが、フック状の部材を係合することができれば、U字状または環状等で形成されていてもよい。
【0058】
(案内レール225、旋回力付与部223)
図4に示すように案内レール225は、駆動装置200の装置連結部220の両側部に左右対称に設けられている。また案内レール225は、進行方向前方の先端が内側に傾いた(進行方向に対して閉じるように)角度を有する誘導部225aを有する。さらに、案内レール225の外側面には旋回力付与部223が左右対称に設けられている。
誘導部225aは進行方向に対して角度θを有し、θは20度以上45度以下好ましく、25度以上35度以下がより好ましい。
台車100の台車レール125が、駆動装置200の案内レール225に誘導されることにより、台車100を駆動装置200の装置連結部220上まで案内し、駆動装置200と台車100とを正確な位置で連結することができる。
【0059】
なお、本実施形態の案内レール225の幅は、台車100の台車レール125の幅に対して、8mm以上10mm以下小さく設けられており、所定の遊びが設けられている。これによりユーザが台車100を操作して駆動装置200に連結しやすくなる。
一方で、本実施形態の動力伝達面222aおよび受具221の離間距離と被動力伝達面122aおよび係合部121aとの離間距離は、ほぼ同じ距離に設定されており、具体的には進行方向に対して駆動装置200側が5mm、台車100側が5mmの離間距離が設けられている。これにより、走行時に進路変更して、前進、旋回または後進した場合も、安定して走行することができる。
【0060】
本実施形態の旋回力付与部223は、後方旋回力付与部223aおよび前方旋回力付与部223bを有する。後方旋回力付与部223aは、案内レール225の進行方向後方の外側面に設置されている。
後方旋回力付与部223aは、駆動装置200が左折または右折する場合に、台車100の台車レール125に当接し、駆動装置200を曲がる方向と反対方向に後ろから動力を加えることにより、駆動装置200に旋回力を付与することができる。前方旋回力付与部223bは、駆動装置200が左折または右折する場合に、台車100の台車レール125に当接し、駆動装置200を曲がる方向と同じ方向に前から動力を加えることにより、駆動装置200にさらに旋回力を付与することができる。
すなわち、自動搬送装置10が走行しながら進行方向を変える場合、駆動装置200の2つの走行輪231は、左右の内輪と外輪との回転速度を変えることによって、曲がりたい方向に操舵する。このように操舵される角度がθよりも小さい場合は、動力伝達部222と被動力伝達部122との係合関係と摩擦力によって、操舵力が伝達される。
一方で、この操舵される角度がθと同程度またはθよりも大きい場合は、後方旋回力付与部223aと台車レール125との当接により、台車に対して旋回力が付与される。特に、駆動装置200の左右の走行輪231の進行方向を逆転させることで、自動搬送装置10をその場で旋回させることも可能であり、このような場合には、前方旋回力付与部223bおよび後方旋回力付与部223aと台車レール125との当接によって台車に旋回力を付与することができる。
なお、本実施形態の走行輪231は、断面円形のゴムタイヤの場合を例示するが、走行輪231は、例えば無限軌道を用いる場合も含む。すなわち、自動搬送装置10が進行方向を変える場合、左右の無限軌道の速度を変えることによって、曲がりたい方向に操舵することができる。
【0061】
(走行部230)
図6に示すように走行部230は、装置操作部210および装置連結部220を搭載するための基台であり、モータの駆動によって走行する走行輪231と、走行および自立を補助する補助走行輪232と、障害物を検知する障害物センサ233と、物品を運搬する制御部(図示せず)と、モータの駆動を制御し、および障害物センサ233を制御する制御回路(図示せず)とを有している。制御部は、記録部(図示せず)と障害物センサ233とを備えている。記録部は、施設内のマップ情報等を記録する。走行部230はさらにバッテリを備え、バッテリはモータを駆動する他、走行部230の制御回路等に電源を供給する。
【0062】
障害物センサ233は、施設内のマップ情報と照合して自動搬送装置10自身の位置を検出しながら、施設内を走行する。そして、走行部230は、障害物センサ233により障害物を検出して自動搬送装置10と障害物との衝突を防止しながら、備品などを運搬するように構成されている。
【0063】
障害物センサ233は、必要に応じて、障害物を監視するためのカメラ、超音波センサ、人および動物などを監視するための赤外線センサ・人感センサ、障害物または他の自動搬送装置との衝突を防止するための衝突予防センサなどを設けることができる。
【0064】
制御回路は、記録部と算出部とを備えている。制御回路は、走行部230を制御するためのコンピュータ制御装置であり、通信を行うための送受信機能、モータ制御回路部、処理プログラム部が設けられている。
【0065】
施設内の移動経路は記録部からの情報を基に算出部により決定される。記録部は、使用対象となる施設内の部屋、廊下の間取り、廊下の幅、部屋、開口部のサイズまたは形状の他に、障害物と成り得る設備の形状、マップ情報を有する。
【0066】
算出部は、マップ情報から現在位置と移動目的位置を確認し、移動経路候補を抽出する。さらに、算出部は抽出された移動経路候補に従い、走行部230の基本経路をマッチングし必要スペースを確認する。また、過去に選択された移動経路を記録部に記憶し、これらの経路を基に算出部が経路を算出するようにしてもよい。このような走行部230としては、自動走行ロボット、自動運転ロボット、物流倉庫内等の自律走行ロボット、宅配ロボット等、その他任意の自動走行可能な装置を使用してもよい。
【0067】
(自動搬送装置10の連結方法)
本実施形態では図6に示すように、台車100を駆動装置200に連結する場合、制動状態の駆動装置200に使用者が台車100を手動で連結する。連結の際は、駆動装置200の誘導部225aが台車100の被誘導部125a間に入るように案内する必要がある。誘導部225aは先端に近づくにつれて誘導部225a間の距離が小さくなり、被誘導部125aは先端に近づくにつれて被誘導部125a間の距離が大きくなるため、台車レール125は案内レール225に誘導されやすくなっている。この場合に、台車100を微調整しながら駆動装置200に連結するため、台車100のキャスターは全て双輪式であり、かつ自在キャスターであることが好ましい。台車100が駆動装置200に誘導され、台車センサ217の位置まで到達すると、被係合部221aに係合部121aが係合し台車100と駆動装置200が連結される。
台車の進行方向後方の側面に、走行経路または目的地等の情報をRFID、一次元バーコードまたは二次元コードによって形成して設置し、台車が駆動装置に連結された際に駆動装置側の情報を認識する機能を追加してもよい。これにより、駆動装置200は、複数あるうちのどの台車100と接続されたかを判別することができるので、接続された台車100の種類に応じて走行経路等を自動で選択し、または操作パネル211の表示を適宜変更して操作性を向上させてもよい。また、目的地を使用者が設定しなくても自動搬送装置が運搬を自動で開始することができる。
【0068】
[他の実施形態]
上記の実施形態では、収容部110に収容する備品は様々なものに入れ替えて運搬することができる台車100を例示した。または、そのような台車100を複数使用し、それぞれに異なる物品を収容し、1つの駆動装置200を使用して交互に台車100を運搬すること等ができた。しかし、台車100は様々な形状または用途に最適なのものとすることができる。例えば、以下のように構成されていてもよい。
【0069】
図7(a)に示すように台車100は、配膳および下膳ができるように保温または保冷機能が設けられていてもよい。また、食器等を載せたトレイをそのまま台車100に載せられるように仕切り等の台を設けてもよい。特に、食器類は重量があるため、台車100のキャスター131で重量を支えつつ、走行輪231の走行力を動力伝達部222が円滑に伝えることができる。また、例えば、駆動装置200は、食器格納した複数の台車100を各居室に順次運び、食事が終了した頃に、各台車を回収するようにプログラムされてもよい。
図7(b)に示すように台車100にリネン類等の衛生用品を収容してもよい。この場合、使用済みリネン類と未使用のリネン類を仕切りまたは扉等で分けることができる。または、使用済みリネン類または未使用のリネン類のそれぞれを専用の台車としてもよい。例えば、自動搬送装置10は、リネンを交換する作業者に追従しながら各居室を巡回しつつ、台車100から未使用リネンが無くなる又は使用済リネンの収容量が上限に達すると、補充又は廃棄のため自動的にリネン室に往復するようプログラムされてもよい
図7(c)に示すように、書類または検体等を台車100に収容することもできる。検体によっては保存温度の指定、冷暗所等の環境が必要な場合があり、対応することが可能となる。書類用のトレイを検体の下などに設置することができるため、各入居者または患者の検体情報が記載されている書類等も検体と併せて運搬することができる。
図7(d)に示すように、多種多様なアメニティ類をまとめて台車100に設置し運搬することもできる。スライド式の収納スペースを複数設けたり、可動式の小物入れスペースを設けたりすることができる。可動式の小物入れスペースには、すぐに取り出す必要のある除菌スプレーまたはビニール手袋等を収容することにより利便性が高くなる。他にも紙おむつなどの新品介護用品を複数収容することができる。また、必要に応じて、入浴介助者が手を離せない場合に、介助者に代わって物品を運搬するように動作してもよい。
【0070】
また、自動搬送装置10は荷物を運搬するのみでなく、夜間において廊下等を走行し設備内の警備をすることもできる。この場合自動搬送装置はネットワークカメラ等が設置されていてもよい。また、不審者に対して威嚇しカメラで撮影した映像を保存してもよく、施設内の徘徊者に対して居室に誘導するよう案内してもよい。
【0071】
本発明においては、自動搬送装置10が『自動搬送装置』に相当し、台車100が『台車』に相当し、駆動装置200が『駆動装置』に相当し、双輪キャスター131が『キャスター』に相当し、走行輪231が『走行輪』に相当し、動力伝達部222が『動力伝達部』に相当し、受具221が『受具』に相当し、ロック機構121が『ロック機構』に相当し、旋回力付与部223が『旋回力付与部』に相当し、案内レール225が『案内レール』に相当する。
【0072】
本発明の好ましい一実施の形態は上記の通りであるが、本発明はそれだけに制限されない。本発明の精神と範囲から逸脱することのない様々な実施形態が他になされることは理解されよう。さらに、本実施形態において、本発明の構成による作用および効果を述べているが、これら作用および効果は、一例であり、本発明を限定するものではない。
【符号の説明】
【0073】
10 自動搬送装置
100 台車
110 収容部
120 台車連結部
121 ロック機構
121a 係合部
121b 解除操作部
121c 解除ボタン
122 被動力伝達部
122a 被動力伝達面
130 キャスター取付部
131 キャスター
200 駆動装置
210 装置操作部
220 装置連結部
221 受具
221a 被係合部
221b 取付部
222 動力伝達部
222a 動力伝達面
223 旋回力付与部
225 案内レール
230 走行部
231 走行輪
232 補助走行輪
340 受信部

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7