(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087524
(43)【公開日】2024-07-01
(54)【発明の名称】半導体記憶装置
(51)【国際特許分類】
H10B 43/27 20230101AFI20240624BHJP
H10B 43/50 20230101ALI20240624BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20240624BHJP
【FI】
H10B43/27
H10B43/50
H01L29/78 371
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022202388
(22)【出願日】2022-12-19
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(72)【発明者】
【氏名】村田 威史
【テーマコード(参考)】
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
5F083EP18
5F083EP22
5F083EP32
5F083EP76
5F083ER21
5F083GA10
5F083GA27
5F083JA03
5F083JA04
5F083JA19
5F083JA38
5F083JA39
5F083JA40
5F083MA06
5F083MA16
5F083MA19
5F083ZA01
5F101BA46
5F101BA47
5F101BB02
5F101BD16
5F101BD22
5F101BD30
5F101BD34
5F101BE07
5F101BH13
(57)【要約】
【課題】ワード線の電圧制御性を改善可能なメモリを提供する。
【解決手段】メモリは、第1方向に積層され互いに絶縁された第1導電層と第1導電層内に第1方向に延びる第1柱状部とを含み、メモリセルが形成される第1領域を備える。第2領域は第1方向に積層され互いに絶縁された第2導電層と第2導電層内において第1方向に延びる第2柱状部とを含み、メモリセルが形成される。第3領域は第1方向に積層され互いに絶縁された第3導電層を含み、第1導電層と第2導電層との間に設けられる。スイッチは第1~第3領域の第1方向に設けられ、第1~第3領域の配列方向に配列される。第1コンタクトは第3導電層とスイッチとの間に電気的に接続される。第3導電層は、第1領域と第2領域との間の第3領域の中間部においてスイッチに最も近く、かつ、中間部よりも第1または第2領域に近い端部においてスイッチから離れるように階段状に構成される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に積層され互いに絶縁された複数の第1導電層と、前記複数の第1導電層内において前記第1方向に延びる第1柱状部とを含み、前記複数の第1導電層と前記第1柱状部との交差点にメモリセルが形成される第1領域と、
前記第1方向に積層され互いに絶縁された複数の第2導電層と、前記複数の第2導電層内において前記第1方向に延びる第2柱状部とを含み、前記複数の第2導電層と前記第2柱状部との交差点にメモリセルが形成される第2領域と、
前記第1方向に積層され互いに絶縁された複数の第3導電層を含み、前記複数の第1導電層と前記複数の第2導電層との間に設けられた第3領域と、
前記第1~第3領域の前記第1方向に設けられ、前記第1~第3領域の配列方向に配列された複数のスイッチと、
前記複数の第3導電層と前記複数のスイッチとの間に電気的に接続される複数の第1コンタクトとを備え、
前記複数の第3導電層は、前記第1領域と前記第2領域との間の前記第3領域の中間部において前記複数のスイッチに最も近く、かつ、前記中間部よりも前記第1または第2領域に近い端部において前記複数のスイッチから離れるように階段状に構成されている、半導体記憶装置。
【請求項2】
前記複数の第3導電層は、前記複数の第1導電層と前記複数の第2導電層との間を電気的に接続する第4領域と、前記複数の第1コンタクトに接続される第5領域とを含み、
前記第5領域が前記中間部に近い前記第3導電層ほど、前記複数のスイッチのうち前記中間部に近いスイッチに電気的に接続される、請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記第5領域が前記端部に近い前記第3導電層ほど、前記複数のスイッチの配列の端のスイッチに電気的に接続される、請求項2に記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記複数の第1コンタクトと前記複数のスイッチのそれぞれの間に電気的に接続され、前記配列方向へ延伸する複数の第1配線をさらに備え、
前記中間部に近い前記第5領域に電気的に接続された前記第1配線は、前記端部に近い前記第5領域に電気的に接続された前記第1配線よりも短い、請求項2または請求項3に記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
前記第3導電層と前記第1または第2導電層との間の前記第4領域の長さは、前記複数のスイッチに近くよりも前記複数のスイッチから遠い位置において短い、請求項2または請求項3に記載の半導体記憶装置。
【請求項6】
前記複数の第1~第3導電層は、それぞれ前記第1方向に積層された第1積層グループと第2積層グループとに分かれており、
前記第1積層グループの前記複数の第3導電層のうち前記複数のスイッチに最も近い前記第3導電層は、前記第4領域を有さず、
前記第2積層グループの前記複数の第3導電層のうち前記複数のスイッチに最も近い前記第3導電層は、前記第4領域を有さない、請求項2または請求項3に記載の半導体記憶装置。
【請求項7】
前記第1積層グループの前記複数の第3導電層のうち前記複数のスイッチに最も近い前記第3導電層は電気的に浮遊状態であり、
前記第2積層グループの前記複数の第3導電層のうち前記複数のスイッチに最も近い前記第3導電層は電気的に浮遊状態である、請求項6に記載の半導体記憶装置。
【請求項8】
前記第1積層グループの前記複数の第1導電層のうち前記複数のスイッチに最も近い第1最上層と前記第1積層グループの前記複数の第2導電層のうち前記複数のスイッチに最も近い第2最上層との間を電気的に接続する第2配線と、
前記第2積層グループの前記複数の第1導電層のうち前記複数のスイッチに最も近い第3最上層と前記第2積層グループの前記複数の第2導電層のうち前記複数のスイッチに最も近い第4最上層との間を電気的に接続する第3配線と、をさらに備える、請求項6に記載の半導体記憶装置。
【請求項9】
前記第2配線と前記第1最上層との間に設けられた第2コンタクトと、
前記第2配線と前記第2最上層との間に設けられた第3コンタクトと、
前記第3配線と前記第3最上層との間に設けられた第4コンタクトと、
前記第3配線と前記第4最上層との間に設けられた第5コンタクトとをさらに備える、請求項8に記載の半導体記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、半導体記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
NAND型フラッシュメモリのような半導体記憶装置は、複数のメモリセルが三次元的に配置された立体型メモリセルアレイを有する場合がある。このようなメモリセルアレイでは、ワード線の電圧制御性を改善させることが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-048371号公報
【特許文献2】米国特許第10910395号
【特許文献3】米国特許第11302634号
【特許文献4】米国特許第11139237号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ワード線の電圧制御性を改善させることができる半導体記憶装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態による半導体記憶装置は、第1方向に積層され互いに絶縁された複数の第1導電層と、複数の第1導電層内において第1方向に延びる第1柱状部とを含み、複数の第1導電層と第1柱状部との交差点にメモリセルが形成される第1領域を備える。第2領域は、第1方向に積層され互いに絶縁された複数の第2導電層と、複数の第2導電層内において第1方向に延びる第2柱状部とを含み、複数の第2導電層と第2柱状部との交差点にメモリセルが形成される。第3領域は、第1方向に積層され互いに絶縁された複数の第3導電層を含み、複数の第1導電層と複数の第2導電層との間に設けられている。複数のスイッチは、第1~第3領域の第1方向に設けられ、第1~第3領域の配列方向に配列されている。複数の第1コンタクトは、複数の第3導電層と複数のスイッチとの間に電気的に接続される。複数の第3導電層は、第1領域と第2領域との間の第3領域の中間部において複数のスイッチに最も近く、かつ、中間部よりも第1または第2領域に近い端部において複数のスイッチから離れるように階段状に構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1実施形態に係る半導体記憶装置の構成例を示す図。
【
図2】第1実施形態に係る半導体記憶装置の備えるメモリセルアレイの回路構成の一例を示す図。
【
図3】第1実施形態に係る半導体記憶装置の構成例を示す断面図。
【
図4】メモリセルアレイのメモリセルの構成例を示す模式断面図。
【
図5】メモリセルアレイのメモリセルの構成例を示す模式断面図。
【
図6】接続領域およびメモリセルアレイのレイアウトを示す概略平面図。
【
図7】或るブロックの接続領域の概略を示す斜視図。
【
図8】或るブロックの接続領域の概略を示す斜視図。
【
図11】スイッチの配列とワード線の積層グループとの対応関係を示す概略図。
【
図12】スイッチおよびワード線の位置関係を示す概念図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態を説明する。本実施形態は、本発明を限定するものではない。図面は模式的または概念的なものである。明細書と図面において、同一の要素には同一の符号を付す。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る半導体記憶装置1の構成例を示す図である。半導体記憶装置1は、データを不揮発に記憶することが可能なNAND型フラッシュメモリであり、外部のメモリコントローラ2によって制御される。半導体記憶装置1とメモリコントローラ2との間の通信は、例えばNANDインターフェイス規格をサポートしている。
【0009】
図1に示すように、半導体記憶装置1は、例えばメモリセルアレイ10、コマンドレジスタ11、アドレスレジスタ12、シーケンサ13、ドライバモジュール14、ロウデコーダモジュール15、及びセンスアンプモジュール16を備えている。
【0010】
メモリセルアレイ10は、複数のブロックBLK(0)~BLK(n)(nは1以上の整数)を含んでいる。ブロックBLKは、データを不揮発に記憶することが可能な複数のメモリセルの集合であり、例えばデータの消去単位として使用される。また、メモリセルアレイ10には、複数のビット線及び複数のワード線が設けられる。各メモリセルは、例えば1本のビット線と1本のワード線とに関連付けられている。メモリセルアレイ10の詳細な構成については後述する。
【0011】
コマンドレジスタ11は、半導体記憶装置1がメモリコントローラ2から受信したコマンドCMDを保持する。コマンドCMDは、例えばシーケンサ13に読み出し動作、書き込み動作、消去動作等を実行させる命令を含んでいる。
【0012】
アドレスレジスタ12は、半導体記憶装置1がメモリコントローラ2から受信したアドレス情報ADDを保持する。アドレス情報ADDは、例えばブロックアドレスBA、ページアドレスPA、及びカラムアドレスCAを含んでいる。例えば、ブロックアドレスBA、ページアドレスPA、及びカラムアドレスCAは、それぞれブロックBLK、ワード線、及びビット線の選択に使用される。
【0013】
シーケンサ13は、半導体記憶装置1全体の動作を制御する。例えば、シーケンサ13は、コマンドレジスタ11に保持されたコマンドCMDに基づいて、ドライバモジュール14、ロウデコーダモジュール15、及びセンスアンプモジュール16等を制御して、読み出し動作、書き込み動作、消去動作等を実行する。
【0014】
ドライバモジュール14は、読み出し動作、書き込み動作、消去動作等で使用される電圧を生成する。そして、ドライバモジュール14は、例えばアドレスレジスタ12に保持されたページアドレスPAに基づいて、選択されたワード線に対応する信号線に生成した電圧を印加する。
【0015】
ロウデコーダモジュール15は、複数のロウデコーダRDを備える。ロウデコーダは、アドレスレジスタ12に保持されたブロックアドレスBAに基づいて、対応するメモリセルアレイ10内の1つのブロックBLKを選択する。そして、ロウデコーダは、例えば選択されたワード線に対応する信号線に印加された電圧を、選択されたブロックBLK内の選択されたワード線に転送する。
【0016】
センスアンプモジュール16は、書き込み動作において、メモリコントローラ2から受信した書き込みデータDATに応じて、各ビット線に所望の電圧を印加する。また、センスアンプモジュール16は、読み出し動作において、ビット線の電圧に基づいてメモリセルに記憶されたデータを判定し、判定結果を読み出しデータDATとしてメモリコントローラ2に転送する。
【0017】
以上で説明した半導体記憶装置1及びメモリコントローラ2は、それらの組み合わせにより1つの半導体装置を構成しても良い。このような半導体装置としては、例えばSDTMカードのようなメモリカードや、SSD(solid state drive)等が挙げられる。
【0018】
図2は、第1実施形態に係る半導体記憶装置1の備えるメモリセルアレイ10の回路構成の一例を示す図である。メモリセルアレイ10に含まれた複数のブロックBLKのうち1つのブロックBLKが
図2に示されている。
図2に示すように、ブロックBLKは、複数のストリングユニットSU(0)~SU(k)(kは1以上の整数)を含んでいる。
【0019】
各ストリングユニットSUは、ビット線BL(0)~BL(m)(mは1以上の整数)にそれぞれ関連付けられた複数のNANDストリングNSを含んでいる。各NANDストリングNSは、例えばメモリセルトランジスタMT(0)~MT(15)、並びに選択トランジスタST(1)及びST(2)を含んでいる。メモリセルトランジスタMTは、制御ゲート及び電荷蓄積層を含み、データを不揮発に保持する。選択トランジスタST(1)及びST(2)のそれぞれは、各種動作時におけるストリングユニットSUの選択に使用される。
【0020】
各NANDストリングNSにおいて、メモリセルトランジスタMT(0)~MT(15)は、直列接続される。選択トランジスタST(1)のドレインは、関連付けられたビット線BLに接続され、選択トランジスタST(1)のソースは、直列接続されたメモリセルトランジスタMT(0)~MT(15)の一端に接続される。選択トランジスタST(2)のドレインは、直列接続されたメモリセルトランジスタMT(0)~MT(15)の他端に接続される。選択トランジスタST(2)のソースは、ソース線SLに接続される。
【0021】
同一のブロックBLKにおいて、メモリセルトランジスタMT(0)~MT(15)の制御ゲートは、それぞれワード線WL(0)~WL(15)に共通接続される。ストリングユニットSU(0)~SU(k)内のそれぞれの選択トランジスタST(1)のゲートは、それぞれ選択ゲート線SGD(0)~SGD(k)に共通接続される。選択トランジスタST(2)のゲートは、選択ゲート線SGSに共通接続される。
【0022】
以上で説明したメモリセルアレイ10の回路構成において、ビット線BLは、各ストリングユニットSUで同一のカラムアドレスが割り当てられたNANDストリングNSによって共有される。ソース線SLは、例えば複数のブロックBLK間で共有される。
【0023】
1つのストリングユニットSU内で共通のワード線WLに接続された複数のメモリセルトランジスタMTの集合は、例えばセルユニットCUと称される。例えば、それぞれが1ビットデータを記憶するメモリセルトランジスタMTを含むセルユニットCUの記憶容量が、「1ページデータ」として定義される。セルユニットCUは、メモリセルトランジスタMTが記憶するデータのビット数に応じて、2ページデータ以上の記憶容量を有し得る。
【0024】
尚、第1実施形態に係る半導体記憶装置1が備えるメモリセルアレイ10は、以上で説明した回路構成に限定されない。例えば、各NANDストリングNSが含むメモリセルトランジスタMT並びに選択トランジスタST(1)及びST(2)の個数は、それぞれ任意の個数に設計され得る。各ブロックBLKが含むストリングユニットSUの個数は、任意の個数に設計され得る。
【0025】
図3は、第1実施形態に係る半導体記憶装置1の構成例を示す断面図である。半導体記憶装置1は、メモリチップC1とCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)チップC2とを互いに貼合して構成されている。メモリチップC1は、メモリセルアレイ10m_1、10m_2および接続領域10sを含む半導体チップである。CMOSチップC2は、周辺回路(例えば、
図1の11~16)を含む半導体チップである。メモリチップC1とCMOSチップC2とは貼合面FBにおいて貼合されている。
【0026】
メモリチップC1は、メモリセルアレイ10m_1、10m_2と、接続領域10sと、を備える。
【0027】
メモリセルアレイ10m_1は、Z方向に積層され互いに絶縁された複数のワード線WL1と、複数のワード線WL1内においてZ方向に延伸する複数の柱状部CL1とを含む。柱状部CL1は、ビアコンタクトVY1を介していずれかのビット線BL1に電気的に接続されている。ビット線BL1は、図示しない配線を介してCMOSチップC2側のセンスアンプモジュール16(
図1参照)に電気的に接続されている。
【0028】
メモリセルアレイ10m_2は、Z方向に積層され互いに絶縁された複数のワード線WL2と、複数のワード線WL2内においてZ方向に延伸する複数の柱状部CL2とを含む。ワード線WL2の各層は、ワード線WL1の各層に対応している。柱状部CL2は、ビアコンタクトVY2を介していずれかのビット線BL2に電気的に接続されている。ビット線BL2は、図示しない配線を介してCMOSチップC2側のセンスアンプモジュール16(
図1参照)に電気的に接続されている。メモリセルアレイ10m_1、10m_2の構成は、同じでよい。
【0029】
柱状部CL1、CL2の径は、後述する積層グループT1~T3のそれぞれにおいて、CMOSチップC2のスイッチSW3c、SW3p_1、SW3p_2に近づくほど広くなっている。逆に、柱状部CL1、CL2の径は、積層グループT1~T3のそれぞれにおいて、+Z方向に行くほど狭くなっている。
【0030】
接続領域10sは、メモリセルアレイ10m_1とメモリセルアレイ10m_2との間に設けられている。接続領域10sは、Z方向に積層された複数のワード線WL3を含む。複数のワード線WL3は、接続領域10sの中間部においてCMOSチップC2に最も近く、かつ、接続領域10sの中間部よりもその両側のメモリセルアレイ10m_1、10m_2に近い端部においてCMOSチップC2から離れるように階段状に構成されている。即ち、複数のワード線WL3は、接続領域10sの中間部からメモリセルアレイ10m_1、10m_2に接近するに従って、CMOSチップC2から離間するように階段状に構成されている。尚、複数のワード線WL3は、局所的にみると、逆に、中間部からメモリセルアレイ10m_1、10m_2に接近するに従って、CMOSチップC2に接近するように構成されている箇所もある。しかし、複数のワード線WL3の全体的な傾向は、
図3に示すように、接続領域10sの中間部からメモリセルアレイ10m_1、10m_2に接近するに従って、CMOSチップC2から離間している。
【0031】
ワード線WL3の各層は、それぞれワード線WL1の各層とワード線WL2の各層に対応している。ワード線WL1~WL3は、それぞれ対応する層においてほぼ同一の高さにある。ワード線WL1~WL3の各層は、連続した同一材料層を加工して形成されている。ワード線WL1~WL3には、例えば、銅、タングステン等の導電性金属が用いられている。以下、互いに対応するワード線WL1~WL3の各層をワード線層ともいう。
【0032】
ワード線層において、ワード線WL3は、ブリッジ部WLBを介してワード線WL1、WL2に電気的に接続される。ブリッジ部WLBは、ワード線WL1~WL3と同一材料層を加工して形成される。ブリッジ部WLBは、ワード線WL3を階段状に加工したときにY方向に残置される層であり、ワード線WL1~WL3において連続的に設けられている。ワード線WL1~WL3の各ワード線層は、ブリッジ部WLBによって電気的に接続されている。
【0033】
複数のワード線層には、ブリッジ部WLBが設けられていないワード線層もある。ブリッジ部WLBの無いワード線層では、ワード線WL1とワード線WL2との間に、メタルブリッジMBが設けられている。メタルブリッジMBは、ワード線WL1~WL3のワード線層とは別に設けられた配線層であり、ワード線WL1とワード線WL2との間を電気的に接続する。メタルブリッジMBに接続されるコンタクトプラグCC1、CC2は、接続領域10sの両端にあるワード線WL1、WL2にそれぞれ接続されている。メタルブリッジMBは、接続領域10sの一端のワード線WL1に接続されたコンタクトプラグCC1と接続領域10sの他端のワード線WL2に接続されたコンタクトプラグCC2との間に接続されている。コンタクトプラグCC1は、メタルブリッジMBとワード線WL1との間に接続される。コンタクトプラグCC2は、メタルブリッジMBとワード線WL2との間に接続される。
【0034】
ワード線WL3に接続されているコンタクトプラグCC3c、CC3p_1、CC3p_2は、配線WG1を介して配線WG11に電気的に接続されている。配線WG11は、メモリチップC1とCMOSチップC2との貼合面FBに露出された配線であり、CMOSチップC2側の配線WG21と貼合面FBにおいて接合されている。
【0035】
CMOSチップC2は、スイッチSW1、SW2、SW3c、SW3p_1、SW3p_2と、配線WG2、WG21とを備える。スイッチSW1、SW2、SW3c、SW3p_1、SW3p_2は、
図1のロウデコーダモジュール15の一部であり、例えば、MOSFET(Field Effect Transistor)で構成されている。スイッチSW1、SW2、SW3c、SW3p_1、SW3p_2は、配線WG2を介して配線WG21に接続されている。各スイッチSW1、SW2、SW3c、SW3p_1、SW3p_2は、それに接続するワード線層(ワード線WL1~WL3)にワード線電圧を印加する。例えば、複数のスイッチSW1、SW2、SW3c、SW3p_1、SW3p_2から選択されたスイッチは、読出し動作、書き込み動作、消去動作において導通状態になり、選択されたワード線WL1~WL3にワード線電圧を印加することができる。
【0036】
複数のスイッチSW1、SW2、SW3c、SW3p_1、SW3p_2は、複数のワード線層のそれぞれに対応して設けられている。スイッチSW1は、ワード線WL1に接続されたコンタクトプラグCC1に電気的に接続されている。ワード線WL1は、接続領域10sの一端部(メモリセルアレイ10m_1側の端部)において階段状に構成されている。コンタクトプラグCC1は、階段状のワード線WL1に設けられたステップ面(テラス領域)にZ方向から接触している。
【0037】
スイッチSW2は、ワード線WL2に接続されたコンタクトプラグCC2に電気的に接続されている。ワード線WL2は、接続領域10sの他端部(メモリセルアレイ10m_2側の端部)において階段状に構成されている。コンタクトプラグCC2は、階段状のワード線WL2に設けられたステップ面(テラス領域)にZ方向から接触している。
【0038】
複数のスイッチSW3c、SW3p_1、SW3p_2は、それぞれワード線WL3に接続されたコンタクトプラグCC3に電気的に接続されている。貼合面FBに対して垂直方向(Z方向)から見たときに、スイッチSW3cは、接続領域10sの中間部に対応する位置に設けられている。スイッチSW3p_1は、Z方向から見たときに、接続領域10sのワード線WL1側の一端部に対応する位置に設けられている。スイッチSW3p_2は、Z方向から見たときに、ワード線WL2側の接続領域10sの他端部に対応する位置に設けられている。ワード線WL3は、接続領域10sの中間部においてスイッチSW3cに最も近く、かつ、メモリセルアレイ10m_1、10m_2に近い接続領域10sの端部に行くにしたがって、スイッチSW3p_1、SW3p_2からZ方向に離れるように階段状に構成されている。コンタクトプラグCC3c、CC3p_1、CC3p_2は、階段状のワード線WL3に設けられたステップ面(テラス領域)にZ方向から接触している。コンタクトプラグCC3cは接続領域10sの中間部にあるワード線WL3のステップ面に接触し、コンタクトプラグCC3p_1は接続領域10sのワード線WL1側の一端部にあるワード線WL3のステップ面に接触し、コンタクトプラグCC3p_2は接続領域10sのワード線WL2側の他端部にあるワード線WL3のステップ面に接触する。スイッチSW3c、SW3p_1、SW3p_2は、それぞれコンタクトプラグCC3c、CC3p_1、CC3p_2に対応しており、コンタクトプラグCC3c、CC3p_1、CC3p_2を介して、それぞれに対応するワード線WL3に電気的に接続される。
【0039】
スイッチSW1、SW2、SW3c、SW3p_1、SW3p_2(以下、スイッチSW1等ともいう)は、CMOSチップC2の半導体基板上にX方向(メモリセルアレイ10m_1、接続領域10sおよびメモリセルアレイ10m_2の配列方向)に配列されている。スイッチSW1等の配列のX方向の長さは、接続領域10sのX方向の長さよりも長い。スイッチSW1等の配列は、Z方向から見たときに、接続領域10sから±X方向にはみ出ている。スイッチSW1等の配列のX方向の中心は、接続領域10sのX方向の中心と略一致している。これにより、スイッチSW1等は、ワード線WL3までの配線距離が可及的に短くなるように配置されている。
【0040】
スイッチSW3cは、接続領域10sの中間部にあるコンタクトプラグCC3cに電気的に接続される。テラス領域が接続領域10sの中間部に近いワード線WL3cほど、該中間部に近いスイッチSW3cに電気的に接続される。よって、スイッチSW3cは、コンタクトプラグCC3cに接続する中間部のワード線WL3のテラス領域に対して、X方向における位置ずれが小さい。従って、スイッチSW3cとそれに接続されるワード線WL3との間のフックアップ配線HU3cのX方向の長さLhu3cは比較的短い。
【0041】
スイッチSW3p_1、SW3p_2は、接続領域10sの両端部にあるコンタクトプラグCC3p_1、CC3p_2のそれぞれに電気的に接続される。テラス領域が接続領域10sの端部に近いワード線WL3p_1、WL3p_2ほど、スイッチSW1等の配列の端部に近いスイッチSW3p_1、SW3p_2に電気的に接続される。よって、スイッチSW3p_1、SW3p_2は、コンタクトプラグCC3p_1、CC3p_2に接続するワード線WL3のテラス領域に対して、X方向における位置ずれが大きい。従って、スイッチSW3p_1、SW3p_2とそれに接続されるワード線WL3との間のフックアップ配線HU3p_1、HU3p_2のX方向の長さLhu3p_1、Lhu3p_2は長さLhu3cに比べて長い。
【0042】
フックアップ配線HU3c、HU3p_1、HU3p_2は、配線WG2の一部として構成されており、多層配線構造の配線層である。フックアップ配線HU3c、HU3p_1、HU3p_2は、それぞれ複数の金属配線層(例えば、銅、タングステン等)で構成されている。フックアップ配線HU3c、HU3p_1、HU3p_2のX方向の長さは、それぞれを構成する複数の配線層のX方向の合計の長さである。
【0043】
フックアップ配線HU3cは、スイッチSW3cとコンタクトプラグCC3cとの間に電気的に接続されている。Z方向から見たときに、スイッチSW3cとコンタクトプラグCC3cとの間のX方向のずれは小さいので、フックアップ配線HU3cのX方向の長さは短い。フックアップ配線HU3p_1は、スイッチSW3p_1とコンタクトプラグCC3p_1との間に電気的に接続されている。フックアップ配線HU3p_2は、スイッチSW3p_2とコンタクトプラグCC3p_2との間に電気的に接続されている。Z方向から見たときに、スイッチSW3p_1とコンタクトプラグCC3p_1との間のX方向のずれ、並びに、スイッチSW3p_2とコンタクトプラグCC3p_2との間のX方向のずれは、スイッチSW3cとコンタクトプラグCC3cとの間のX方向のずれよりも大きい。よって、フックアップ配線HU3p_1、HU3p_2のX方向の長さは、フックアップ配線HU3cのX方向の長さよりも長い。即ち、フックアップ配線HU3cはフックアップ配線HU3p_1、HU3p_2よりもX方向の長さにおいて短い。
【0044】
コンタクトプラグCP3cは、フックアップ配線HU3cを含む複数の配線層間に設けられ、該複数の配線層を電気的に接続する。コンタクトプラグCP3p_1は、フックアップ配線HU3p_1を含む複数の配線層間に設けられ、該複数の配線層を電気的に接続する。コンタクトプラグCP3p_2は、フックアップ配線HU3p_2を含む複数の配線層間に設けられ、該複数の配線層を電気的に接続する。コンタクトプラグCP3c、CP3p_1、CP3p_2には、例えば、銅、タングステン等の導電性金属材料が用いられる。
【0045】
配線WG2は、複数のフックアップ配線HU1、HU2、HU3p_1、HU3p_2と、複数のコンタクトプラグCP1、CP2、CP3c、CP3p_1、CP3p_2とを含む。
【0046】
フックアップ配線HU1、HU2は、それぞれメタルブリッジMBとスイッチSW1、SW2との間に電気的に接続されている。スイッチSW1、SW2は、スイッチSW1、SW2、SW3c、SW3p_1、SW3p_2の配列の端部に配置されてもよいし、中間に近い位置に配置されていてもよい。
【0047】
コンタクトプラグCP1は、フックアップ配線HU1を構成する複数の配線層間に設けられ、該複数の配線層を電気的に接続する。コンタクトプラグCP2は、フックアップ配線HU2を含む複数の配線層間に設けられ、該複数の配線層を電気的に接続する。
【0048】
図4および
図5は、メモリセルアレイ10m_1、10m_2のメモリセルMCの構成例を示す模式断面図である。尚、柱状部CL1、CL2は同様の構成を有するので、
図4および
図5では、柱状部CL1を説明し、柱状部CL2の説明は省略する。
【0049】
図4に示すように、柱状部CL1は、メモリセルアレイ10m_1内において積層されたワード線WL1内に設けられたメモリホールMH内に設けられている。柱状部CL1は、ワード線WL1の積層体の上端から下端に渡ってZ方向に貫通している。柱状部CL1は、半導体ボディ110、メモリ膜120、および、コア層130を含む。柱状部CL1は、その中心部に設けられたコア層130、該コア層130の周囲に設けられた半導体ボディ(半導体部材)110、および、該半導体ボディ110の周囲に設けられたメモリ膜(電荷蓄積部材)120を含む。半導体ボディ110は、ワード線WL1の積層体内において、積層方向(Z方向)に延在している。半導体ボディ110の一端は、図示しないソース層に電気的に接続されている。半導体ボディ110の他端は、ビット線BL1に電気的に接続される。メモリ膜120は、半導体ボディ110とワード線WL1との間に設けられ、電荷捕獲部を有する。
【0050】
図5に示すように、X-Y平面におけるメモリホールMHの形状は、例えば、円または楕円である。ワード線WL1と絶縁膜112との間には、メモリ膜120の一部を構成するブロック絶縁膜11aが設けられていてもよい。ブロック絶縁膜11aは、例えば、シリコン酸化物膜または金属酸化物膜である。金属酸化物の1つの例は、アルミニウム酸化物である。ワード線WL1と絶縁膜112との間、および、ワード線WL1とメモリ膜120との間には、バリア膜11bが設けられていてもよい。バリア膜11bは、例えば、ワード線WL1がタングステンである場合、例えば、窒化チタン(TiN)とチタン(Ti)との積層構造膜が選ばれる。ブロック絶縁膜11aは、ワード線WL1からメモリ膜120側への電荷のバックトンネリングを抑制する。バリア膜11bは、ワード線WL1とブロック絶縁膜11aとの密着性を向上させる。
【0051】
半導体ボディ110の形状は、例えば、底を有した筒状である。半導体ボディ110には、例えば、ポリシリコン等の半導体材料が用いられる。半導体ボディ110は、例えば、アンドープドシリコンである。また、半導体ボディ110は、p型シリコンであってもよい。半導体ボディ110は、メモリセルMCのそれぞれのチャネルとして機能する。
【0052】
メモリ膜120においては、ブロック絶縁膜11a以外の部分が、メモリホールMHの内壁と半導体ボディ110との間に設けられている。メモリ膜120の形状は、例えば、筒状である。複数のメモリセルMCは、半導体ボディ110と、ワード線WL1との間に記憶領域を有し、Z方向に積層されている。メモリ膜120は、例えば、カバー絶縁膜121、電荷捕獲膜122、および、トンネル絶縁膜123を含む。半導体ボディ110、電荷捕獲膜122、および、トンネル絶縁膜123のそれぞれはZ方向に延伸している。
【0053】
カバー絶縁膜121は、絶縁膜112と電荷捕獲膜122との間に設けられている。カバー絶縁膜121は、例えば、シリコン酸化物を含む。カバー絶縁膜121は、犠牲膜(図示せず)をワード線WL1にリプレースするとき(リプレース工程)、電荷捕獲膜122がエッチングされないように保護する。カバー絶縁膜121は、リプレース工程において、ワード線WL1とメモリ膜120との間から除去されてもよい。この場合、ワード線WL1と電荷捕獲膜122との間には、例えば、ブロック絶縁膜11aが設けられなくなる。また、ワード線WL1の形成に、リプレース工程を利用しない場合には、カバー絶縁膜121は、設けられなくてもよい。
【0054】
電荷捕獲膜122は、ブロック絶縁膜11aおよびカバー絶縁膜121とトンネル絶縁膜123との間に設けられている。電荷捕獲膜122は、例えば、シリコン窒化物(SiN)を含み、膜中に電荷をトラップするトラップサイトを有する。電荷捕獲膜122のうち、ワード線WL1と半導体ボディ110との間に挟まれた部分は、電荷捕獲部としてメモリセルMCの記憶領域を構成する。メモリセルMCの閾値電圧は、電荷捕獲部中の電荷の有無、または、電荷捕獲部中に捕獲された電荷の量によって変化する。これにより、メモリセルMCは、情報を保持する。
【0055】
トンネル絶縁膜123は、半導体ボディ110と電荷捕獲膜122との間に設けられている。トンネル絶縁膜123は、例えば、シリコン酸化物、または、シリコン酸化物とシリコン窒化物とを含む。トンネル絶縁膜123は、半導体ボディ110と電荷捕獲膜122との間の電位障壁である。例えば、半導体ボディ110から電荷捕獲部へ電子を注入するとき(書き込み動作)、および、半導体ボディ110から電荷捕獲部へ正孔を注入するとき(消去動作)、電子および正孔が、それぞれトンネル絶縁膜123の電位障壁を通過(トンネリング)する。
【0056】
コア層130は、筒状の半導体ボディ110の内部スペースを埋め込む。コア層130の形状は、例えば、柱状である。コア層130は、例えば、シリコン酸化物を含み、絶縁性である。
【0057】
図6は、接続領域10sおよびメモリセルアレイ10m_1、10m_2のレイアウトを示す概略平面図である。メモリセルアレイ10m_1、10m_2は、接続領域10sを間に挟んで互いに隣接する。メモリセルアレイ10m_1、10m_2は、それぞれ複数のブロックBLKを含んでいる。Y方向において、複数のブロックBLKは、X方向に延伸するスリットSTによって、それぞれ電気的に分離されている。
【0058】
2つのスリットSTによって挟まれたメモリセルアレイ10m_1、10m_2の部分は、ブロックBLKと呼ばれている。ブロックBLKは、例えば、データ消去の最小単位を構成する。図示しないが、各ブロックBLKは、さらに、フィンガーと呼ばれるデータの書込みおよび読出し単位に分割されている。
【0059】
メモリセルアレイ10m_1、10m_2は、ともに複数の柱状部CL1、CL2を備えており、3次元配置された複数のメモリセルMCを有する。メモリセルMCは、複数のワード線WL1、WL2と柱状部CL1、CL2との交差点に形成される。
【0060】
便宜上、メモリセルアレイ10m_1に属するブロックBLKを、ブロックBLK_1と表記する。また、メモリセルアレイ10m_2に属するブロックBLKを、ブロックBLK_2と表記する。
【0061】
接続領域10sは、X方向においてメモリセルアレイ10m_1とメモリセルアレイ10m_2との間に設けられており、ブロックBLKごとに、階段領域SSAおよびブリッジ領域BRAを備えている。階段領域SSAおよびブリッジ領域BRAは、以下、階段領域SSA等ともいう。
【0062】
階段領域SSA等は、スリットSTを介してY方向に隣接している。
図6に示すように、階段領域SSA等とは、Y方向に連続して設けられている。
【0063】
階段領域SSAでは、複数のワード線WL3が接続領域10sの中間部から両端部へ行くに従って、+Z方向に掘り下げられるように階段状に形成されている。階段領域SSAにおいて複数のワード線WL3のそれぞれは、他のワード線層と重ならないテラス領域(階段状のステップ面の領域)を有している。各テラス領域上には
図3のコンタクトプラグCC3c、CC3p_1、CC3p_2が接触している。複数のワード線WL3は、コンタクトプラグCC3c、CC3p_1、CC3p_2を介して、それぞれ別々に電圧が印加され得る。このように、階段領域SSAは、ワード線WL3にコンタクトプラグCC3c、CC3p_1、CC3p_2を接触させるためのテラス領域として設けられている。
【0064】
尚、コンタクトプラグCC3c、CC3p_1、CC3p_2は、近傍の配線WG11(
図3)に配線を介して電気的に接続され、WG21を介してCMOSチップC2のロウデコーダモジュール15に電気的に接続される。これにより、ロウデコーダモジュール15は、配線WG11、WG21および階段領域SSAのコンタクトプラグCC3c、CC3p_1、CC3p_2を介して各ワード線WL3の電圧を制御することができる。
【0065】
ブリッジ領域BRAには、複数のワード線WL3のそれぞれに対応する複数のブリッジ部WLBがZ方向に互いに間隔をあけて積層されている。ブリッジ部WLBは、接続領域10sのワード線WL3と、メモリセルアレイ10m_1のワード線WL1と、メモリセルアレイ10m_2のワード線WL2とをワード線層ごとに電気的に接続する。従って、メモリセルアレイ10m_1、10m_2は、接続領域10sを介して1つのメモリセルアレイとして機能することができる。
【0066】
このように、接続領域10sがメモリセルアレイ10m_1とメモリセルアレイ10m_2との中間部に配置されていることによって、コンタクトプラグCC3c、CC3p_1、CC3p_2がワード線WL1~WL3の中間に位置し、コンタクトプラグCC3c、CC3p_1、CC3p_2からワード線WL1~WL3の端部までの距離を短くすることができる。これにより、ワード線WL1~WL3の端部まで素早く給電することができ、ワード線WL1~WL3の電圧制御を容易にする。また、1つの接続領域10sの両側にメモリセルアレイ10m_1、10m_2を配置することができるので、動作速度を維持しつつ、メモリセルアレイの規模(記憶容量)を増大させることができる。
【0067】
図7および
図8は、或るブロックBLKの接続領域10sの概略を示す斜視図である。尚、
図7および
図8は、
図3に対してワード線WL3を上下逆に表示している。
図7に示すように、接続領域10sの階段領域SSAは、ワード線WL3を階段状に形成した領域である。
図8に示すように、階段領域SSAには、複数のワード線WL3のそれぞれに複数のコンタクトプラグCC3c、CC3p_1、CC3p_2を接続するためにテラス領域TRCが設けられている。
【0068】
ブリッジ部WLBは、複数のワード線WL3の一部で構成されており、メモリセルアレイ10m_1のワード線WL1とメモリセルアレイ10m_2のワード線WL2との間をワード線層ごとに電気的に接続している。従って、ブリッジ部WLBのあるワード線層では、ワード線WL1~WL3が電気的に接続される。
【0069】
ブリッジ部WLBは、接続領域10sにおいて、階段領域SSAに対してY方向(スリットSTの延伸方向に対して略垂直方向)に隣接して設けられており、階段状には掘り込まれていない。
【0070】
また、本実施形態において、ワード線WL3は、接続領域10sの中心部において、Z方向に最も高い位置にあり、接続領域10sの両端部において、Z方向に最も低い位置に掘り込まれている。即ち、ワード線WL3は、接続領域10sの中心部において、CMOSチップC2に最も近く、接続領域10sの両端部において、CMOSチップC2から最も遠い。
【0071】
図9は、ワード線WL1~WL3の構成例を示す断面図である。尚、
図9は、
図3に対してワード線WL3を上下逆に表示している。
【0072】
ワード線WL1~WL3は、Z方向に積層された複数のワード線層で構成されている。ワード線WL1~WL3は、Z方向に積層された3つの積層グループT1~T3に分けて構成されている。積層グループT1~T3は、それぞれ個別に形成される。例えば、
図3に示すように、柱状部CL1は、ワード線WL1の積層グループT1~T3において個別に形成されている。柱状部CL2も、ワード線WL2の積層グループT1~T3において個別に形成されている。ワード線WL3の階段状の加工も、積層グループT1~T3において個別に形成されている。
【0073】
積層グループT1~T3のそれぞれの少なくとも最上段のワード線層は、ブリッジ部を有さない。即ち、積層グループT1~T3のそれぞれのワード線層のうち、CMOSチップC2のスイッチSW1等に最も近いワード線層は、ブリッジ部を有さない。従って、ワード線WL1~WL3は、積層グループT1~T3のそれぞれの少なくとも最上段において電気的に分離されている。
【0074】
ワード線WL1のうち、積層グループT1~T3のそれぞれにおいてスイッチSW1等に最も近い最上層のワード線WL1_t1~WL1_t3は、それぞれコンタクトプラグCC1_t1~CC1_t3に接続されている。ワード線WL2のうち、積層グループT1~T3のそれぞれにおいてスイッチSW1等に最も近い最上層のワード線WL2_t1~WL2_t3は、それぞれコンタクトプラグCC2_t1~CC2_t3に接続されている。そして、コンタクトプラグCC1_t1とコンタクトプラグCC2_t1とは、メタルブリッジMBによって電気的に接続されている。コンタクトプラグCC1_t2とコンタクトプラグCC2_t2とは、メタルブリッジMBによって電気的に接続されている。コンタクトプラグCC1_t3とコンタクトプラグCC2_t3とは、メタルブリッジMBによって電気的に接続されている。従って、積層グループT1の最上層のワード線WL1_t1とワード線WL2_t1は、ブリッジ部WLBおよびワード線WL3を介さずに、コンタクトプラグCC1_t1、CC2_t1およびメタルブリッジMBを介して電気的に接続されている。積層グループT2の最上層のワード線WL1_t2とワード線WL2_t2は、ブリッジ部WLBおよびワード線WL3を介さずに、コンタクトプラグCC1_t2、CC2_t2およびメタルブリッジMBを介して電気的に接続されている。積層グループT3の最上層のワード線WL1_t3とワード線WL2_t3は、ブリッジ部WLBおよびワード線WL3を介さずに、コンタクトプラグCC1_t3、CC2_t3およびメタルブリッジMBを介して電気的に接続されている。
【0075】
メタルブリッジMBは、積層グループT1の最上層のワード線WL1_t1とワード線WL2_t1との間を電気的に接続する。他のメタルブリッジMBは、積層グループT2の最上層のワード線WL1_t2とワード線WL2_t2との間を電気的に接続する。さらに他のメタルブリッジMBは、積層グループT3の最上層のワード線WL1_t3とワード線WL2_t3との間を電気的に接続する。メタルブリッジMBは、
図3に示すように、配線WG11、WG21、フックアップ配線HU1、HU2等を介して、CMOSチップC2のスイッチSW1またはSW2に電気的に接続されている。メタルブリッジMBで接続されたワード線に関して、積層グループT1~T3のワード線WL1~WL3は、互いに電気的に分離されている。
【0076】
ワード線WL3のうち、積層グループT1~T3においてスイッチSW1等に最も近い最上層のワード線WL3_t1~WL3_t3は、ブリッジ部WLBに接続されていない。よって、ワード線WL3_t1~WL3_t3は、ワード線WL1,WL2から電気的に分離されており、電気的にフローティング状態となっている。
【0077】
ワード線WL3のうち、積層グループT1~T3の最上層以外のワード線WL3は、コンタクトプラグCC3c、CC3p_1、CC3p_2、配線WG11、WG21、フックアップ配線HU3c、HU3p_1、HU3_2等を介して、
図3に示すCMOSチップC2のスイッチSW3c、SW3p_1、SW3p_2に電気的に接続される。
【0078】
図10は、ワード線WL1~WL3の構成例を示す斜視図である。
図10には、便宜的に、積層グループT1~T3について、それぞれ3層ずつワード線層を表示しているが、ワード線は、4層以上であってもよい。また、本実施形態において、積層グループは、3つに分割されているが、2つ以下であってもよく、4つ以上であってもよい。
【0079】
CMOSチップC2から比較的離間した下層のワード線層では、ワード線WL3とワード線WL1、WL2との間の間隔が比較的狭く、ブリッジ部WLBのX方向の長さが短い。一方、CMOSチップC2に比較的近い上層のワード線層では、ワード線WL3とワード線WL1、WL2との間の間隔が比較的広く、ブリッジ部WLBのX方向の長さが長い。本実施形態では、CMOSチップC2のスイッチSW1等から遠い下層のワード線層ほど、ブリッジ部WLBの長さが短い。スイッチSW1等に近付くに従って、ブリッジ部WLBが長くなる。即ち、ブリッジ部WLBの長さは、スイッチSW1等の近くよりも遠い位置において短い。
【0080】
また、ブリッジ部WLBのY方向の幅は、積層グループT1~T3のそれぞれにおいて、CMOSチップC2から遠い下層ほど広く、CMOSチップC2に近付くに従って狭くなっている。積層グループT1~T3のそれぞれの最上層のワード線層では、上述の通り、ブリッジ部WLBが無くなっている。これは、ワード線WL3を階段状に加工する際に、エッチング工程とフォトレジストのスリミング工程とを繰り返し実行するためである。各積層グループT1~T3において、下層から上層に行くにしたがって、ブリッジ部WLBの幅が狭くなっていき、最上層ではブリッジ部WLBが無くなっている。尚、フォトレジストは、積層グループT1~T3ごとに塗布し直し、積層グループT1~T3ごとにワード線WL3を加工する。従って、積層グループT1~T3のそれぞれの最上層のブリッジ部WLBが除去されている。最上層のワード線層では、ワード線WL3は電気的にフローティング状態となる。また、最上層のワード線WL1、WL2は、ブリッジ部WLBでは接続されていないが、メタルブリッジMBを介して電気的に接続される。
【0081】
本実施形態において、各積層グループT1~T3の最上層のワード線層において、ブリッジ部WLBに代わり、メタルブリッジMBが、ワード線WL1とワード線WL2とを電気的に接続する。しかし、各積層グループT1~T3の最上層から複数のワード線層において、ブリッジ部WLBに代わり、メタルブリッジMBが、ワード線WL1とワード線WL2とを電気的に接続してもよい。
【0082】
本実施形態では、
図9に示すように、ワード線WL3は、接続領域10sの中間部においてCMOSチップC2に近く、端部においてCMOSチップC2から離間するように階段状に形成されている。よって、
図10に示すように、ブリッジ部WLBのX方向の長さは、CMOSチップC2から遠い下層のワード線層ほど短く、CMOSチップC2に近付くに従ってブリッジ部WLBが長くなる。尚且つ、ブリッジ部WLBのY方向の幅は、積層グループT1~T3のそれぞれにおいて、CMOSチップC2から遠い下層ほど広く、CMOSチップC2に近付くに従って狭くなっている。よって、ワード線WL3のブリッジ部WLBの抵抗は、CMOSチップC2から遠い下層のワード線層ほど低く、CMOSチップC2に近付くに従って高くなる。
【0083】
さらに、
図3に示すように、柱状部CL1、CL2の径(XまたはY方向の径)は、各積層グループT1~T3において、+Z方向に行くに従って狭くなるように先細りに形成される。その分、ワード線WL1、WL2の面積が広くなる。従って、ワード線WL1、WL2の抵抗は、各積層グループT1~T3において、+Z方向へ行くに従って低くなる。逆に、ワード線WL1、WL2の抵抗は、各積層グループT1~T3において、-Z方向へ行くに従って高くなる。即ち、ワード線WL1、WL2の抵抗は、各積層グループT1~T3において、CMOSチップC2から遠い下層のワード線層ほど低く、CMOSチップC2に近付くに従って高くなる。
【0084】
尚、特に限定されないが、コンタクトプラグCC3c、CC3p_1、CC3p_2は、ワード線層ごとに、接続領域10sの一端部と他端部との交互に配置されていてよい。即ち、コンタクトプラグCC3c、CC3p_1、CC3p_2は、奇数番目のワード線層には、接続領域10sの一端部(メモリセルアレイ10m_1側)に配置され、偶数番目のワード線層には、接続領域10sの他端部(メモリセルアレイ10m_2側)に配置される。
【0085】
図11は、スイッチSW1等の配列を示す概略図である。接続領域10sの中間部は、スイッチSW1等の配列の中間部に対応している。接続領域10sの中間部に位置するワード線WL3は、スイッチSW1等の配列の中間部に位置するスイッチSW3cに電気的に接続される。従って、フックアップ配線HU3cのX方向の長さは、比較的短い。
【0086】
接続領域10sの端部は、スイッチSW1等の配列の端部に対応している。接続領域10sの端部に位置するワード線WL3は、スイッチSW1等の配列の端部に位置するスイッチSW3p_1、SW3p_2に電気的に接続される。従って、フックアップ配線HU3p_1、HU3p_2のX方向の長さは、比較的長い。よって、フックアップ配線の抵抗は、接続領域10sの中間部あるいはスイッチSW1等の配列の中間部において低く、それらの両端部に行くに従って高くなる。
【0087】
上記ブリッジ部WLBの抵抗とフックアップ配線の抵抗とは、接続領域10sの中間部またはスイッチSW1等の配列の中間部からのX方向の距離に応じて、互いに逆の傾向となっている。即ち、接続領域10sの中間部またはスイッチSW1等の配列の中間部では、ブリッジ部WLBの抵抗は高いが、フックアップ配線HU3cの抵抗は低い。接続領域10sの端部またはスイッチSW1等の配列の端部では、ブリッジ部WLBの抵抗は低いが、フックアップ配線HU3cの抵抗は高い。また、各積層グループT1~T3において、ワード線WL1,WL2の抵抗は、ブリッジ部WLBと同様に、CMOSチップC2に近いほど高くなる。これにより、ブリッジ部WLBの抵抗、ワード線WL1、WL2の抵抗とフックアップ配線HU3、HU3p_1、HU3p_2の抵抗とが互いに補い合って、スイッチSW3c、SW3p_1、SW3p_2からワード線WL1、WL2までの抵抗を全体としてばらつきを低減することができる。これにより、ワード線WL1、WL2の電圧制御性がほぼ均一化される。
【0088】
また、この形態においては、コンタクトプラグCC3c、CC3p_1、CC3p_2で接続されるWL3からWL2またはWL1へのブリッジ部WLBの長さは、各ワード線においてほぼ同じ長さになっている。すなわちWL3~WL2およびWL3~WL1へのそれぞれのブリッジ部WLBの抵抗はほぼ等しくなり、このこともワード線WL1、WL2の電圧制御性を均一化することに寄与する。
【0089】
もし、デコーダのスイッチからワード線までの抵抗のばらつきが大きく、ワード線の電圧制御性が局所的に悪い場合、半導体記憶装置全体の電圧制御性がこの局所的なワード線の電圧制御性によって制限されてしまう。
【0090】
これに対し、本実施形態では、ブリッジ部WLBの抵抗、ワード線WL1、WL2の抵抗とフックアップ配線HU3c、HU3p_1、HU3p_2の抵抗とがスイッチSW3c、SW3p_1、SW3p_2からワード線WL1、WL2までの抵抗のばらつきを低減することができる。これにより、ワード線WL1、WL2の電圧制御性が局所的に悪くなることを抑制し、全体としてほぼ均一化され得る。その結果、本実施形態による半導体記憶装置は、ワード線の電圧制御性を改善させることができる。
【0091】
スイッチSW1等の配列において、ワード線WL3の積層グループT3に対応するスイッチSW3cは、接続領域10sの中間部またはスイッチSW1等の配列の中間部に配置されている。ワード線WL3の積層グループT2に対応するスイッチSW3cは、積層グループT3に対応するスイッチSW3cの両側に設けられている。ワード線WL3の積層グループT1に対応するスイッチSW3c、SW3p_1、SW3p_2は、積層グループT2、T3に対応するスイッチSW3cの両側に設けられている。このように、ワード線WL3の積層グループT3、T2、T1の順に、対応するスイッチSW3c、SW3p_1、SW3p_2は、接続領域10sの中間部またはスイッチSW1等の配列の中間部からX方向に離間するように配列されている。これにより、上述の通り、ブリッジ部WLBの抵抗とフックアップ配線の抵抗とが、接続領域10sの中間部またはスイッチSW1等の配列の中間部からのX方向の距離に応じて、互いに逆の傾向となっている。
【0092】
図12は、スイッチSW3c、SW3p_1、SW3p_2およびワード線WL1~WL3の位置関係を示す概念図である。ワード線WL1~WL3は、スイッチSW3c、SW3p_1、SW3p_2の上方(+Z方向)に設けられている。
【0093】
ワード線WL3は、接続領域10sの中間部においてCMOSチップC2に近く、端部においてCMOSチップC2から離間するように階段状に形成されている。
【0094】
ワード線WL3の積層グループT3は、接続領域10sの中間部に位置するスイッチSW3cに電気的に接続される。従って、
図3を参照して説明したように、フックアップ配線HU3cの長さが比較的短い。
【0095】
ワード線WL3の積層グループT1は、接続領域10sの端部に位置するスイッチSW3p_1、SW3p_2に電気的に接続される。従って、
図3を参照して説明したように、フックアップ配線HU3p_1、HU3p_2の長さが比較的長い。
【0096】
ワード線WL3の積層グループT2は、接続領域10sの中間部と端部との間に位置するスイッチSW3cに電気的に接続される。従って、
図3を参照して説明したように、積層グループT2に対応するフックアップ配線HU3cの長さは、比較的長い。
【0097】
このように、接続領域10sの中間部からの距離が長くなるに従って、フックアップ配線の長さが長くなる。これにより、スイッチSW3c、SW3p_1、SW3p_2からワード線WL1、WL2までの抵抗のばらつきを低減することができる。よって、ワード線WL1、WL2の電圧制御性が局所的に悪くなることを抑制し、全体としてほぼ均一化され得る。その結果、本実施形態による半導体記憶装置は、ワード線の電圧制御性を改善させることができる。
【0098】
実施形態は例示であり、発明の範囲はそれらに限定されない。
【符号の説明】
【0099】
1 半導体記憶装置
C1 メモリチップ
C2 CMOSチップ
10m_1,10m_2 メモリセルアレイ
10s 接続領域
CL1,CL2 柱状部
SW3c,SW3p_1,SW3p_2 スイッチ
T1~T3 積層グループ
WL1~WL3 ワード線
CC1,CC2,CC3c,CC3p_1,CC3p_2,CP1,CP2,CP3c,CP3p_1,CP3p_2 コンタクトプラグ
WG1,WG11,WG2,WG21 配線
HU1,HU2,HU3c,HU3p_1,HU3p_2 フックアップ配線
MB メタルブリッジ