(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087527
(43)【公開日】2024-07-01
(54)【発明の名称】内視鏡用処置具
(51)【国際特許分類】
A61B 1/018 20060101AFI20240624BHJP
A61B 17/29 20060101ALI20240624BHJP
【FI】
A61B1/018 515
A61B17/29
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022202393
(22)【出願日】2022-12-19
(71)【出願人】
【識別番号】000113263
【氏名又は名称】HOYA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】藤井 喜則
【テーマコード(参考)】
4C160
4C161
【Fターム(参考)】
4C160GG24
4C160GG26
4C160GG40
4C161FF43
4C161GG15
(57)【要約】
【課題】互いに異なる材質である、シースと操作部とに容易に分解できる内視鏡用処置具を提供することにある。
【解決手段】処置部と、前記処置部を操作する操作部とを備える内視鏡用処置具であって、一端に前記処置部を有し、着脱可能に他端部が前記操作部に取り付けられたシースを備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処置部と、前記処置部を操作する操作部とを備える内視鏡用処置具であって、
一端に前記処置部を有し、着脱可能に他端部が前記操作部に取り付けられたシースを備える内視鏡用処置具。
【請求項2】
前記シースは、前記処置部を操る線材が内側を通り、外周面に係合凸部を有する第1筒部を有し、
前記操作部は、一端部の内周面に前記係合凸部と係合する係合凹部を有する第2筒部を有する請求項1に記載の内視鏡用処置具。
【請求項3】
前記操作部は、
前記第2筒部が挿入される長孔を有し、前記第2筒部の軸長方向に移動する移動部材と、
前記線材の端部と係合して前記第2筒部の内側を軸長方向に移動し、前記軸長方向に沿って前記第2筒部に形成された切り欠きから張り出した連結部によって前記移動部材と連結された係合部材とを備え、
前記連結部は前記移動部材に設けられた凹部と係合する係合端部を有し、
前記係合端部にはテーパ部が形成されている請求項2に記載の内視鏡用処置具。
【請求項4】
前記係合凸部はネジ山形状であって、前記係合凹部は前記ネジ山形状に対応するネジ谷形状であり、
前記係合凸部及び前記係合凹部は螺合している請求項2に記載の内視鏡用処置具。
【請求項5】
前記第1筒部はコイルである請求項2に記載の内視鏡用処置具。
【請求項6】
前記操作部は生分解性材料からなる請求項1に記載の内視鏡用処置具。
【請求項7】
前記第2筒部の前記一端部は透光性を有する請求項2に記載の内視鏡用処置具。
【請求項8】
前記第2筒部の前記一端部は前記第1筒部の正規位置を表す印を有する請求項2に記載の内視鏡用処置具。
【請求項9】
前記切り欠きは前記第2筒部を径方向に貫通しており、
前記係合部材は前記切り欠きから夫々反対側に張り出した2つの前記連結部を有し、
前記移動部材はボビン形状であって、各連結部の前記係合端部に対応する2つの前記凹部を有しており、
前記第2筒部の他端には、径方向を軸に回転可能な円環部が設けられている請求項3に記載の内視鏡用処置具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡用処置具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、先端に処置部を有し、内視鏡のチャンネルを介して体腔内に挿入されて、前記処置部により病変部位の処置を行う内視鏡用処置部が広く普及している。
【0003】
例えば、特許文献1には、固着材等を用いることなく、シースを操作部側の被連結部材に固定できる内視鏡用処置具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
生検鉗子などの内視鏡用処置具は、一般にシースの可塑性と製造コストの削減が求められている。そのため、シースは金属材料から製造され、操作部は樹脂材料から製造される。
【0006】
一方、使用済みの内視鏡用処置具は廃棄が必要であるが、上述の如く、内視鏡用処置具には異なる材質の部品が混在することから、同質材料の部品ごとに分類して各材質に適した廃棄処理を施すことが望ましい。また、これを実現するためには、例えば、金属製のシースと、樹脂製の操作部とに容易に分解できるようにする必要がある。
【0007】
しかし、特許文献1の内視鏡用処置具は、このような分解の容易性については検討しておらず、実現できない。
【0008】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、互いに異なる材質である、シースと、操作部とに容易に分解できる内視鏡用処置具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る内視鏡用処置具は、処置部と、前記処置部を操作する操作部とを備える内視鏡用処置具であって、一端に前記処置部を有し、着脱可能に他端部が前記操作部に取り付けられたシースを備える。
【0010】
本発明にあっては、一端に前記処置部を有するシースが着脱可能に前記操作部に取り付けられているので、内視鏡用処置具を互いに異なる材質である、シースと操作部とに容易に分解できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、互いに異なる材質である、シースと、操作部とに容易に分解できる内視鏡用処置具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施の形態1に係る内視鏡用処置具の外観図である。
【
図2】
図1のII-II線による内視鏡用処置具の縦断面図である。
【
図3】
図2の楕円A部分を拡大して示す拡大図である。
【
図4】
図2の楕円B部分を拡大して示す拡大図である。
【
図5】係合部材と、操作ワイヤの被係合筒との係合を説明する説明図である。
【
図6】実施の形態1に係る内視鏡用処置具の分解方法を説明する説明図である。
【
図7】実施の形態2に係る内視鏡用処置具において、折曲防止チューブと取付部との係合状態を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の実施の形態に係る内視鏡用処置具について、図面に基づいて詳述する。
【0014】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る内視鏡用処置具100の外観図であり、
図2は、
図1のII-II線による内視鏡用処置具100の縦断面図である。
実施の形態1の内視鏡用処置具100は、内視鏡(図示せず)のチャンネルを介して体内に挿入されるシース20と、シース20の後述する処置部21を操作する操作部10とを備えている。
【0015】
シース20は、長細い形状であり、可塑性を有している。シース20は、処置部21と、操作ワイヤ24と、ワイヤ保護チューブ22と、折曲防止チューブ23(第1筒部)とを備えている。シース20の一端には、処置部21が設けられており、シース20の他端は操作部10に着脱可能に取り付けられている。
【0016】
処置部21は、金属製の所謂カップ型鉗子であり、体腔内患部の組織等を把持する。処置部21は、操作ワイヤ24の一端に接続されて、操作ワイヤ24によって開閉する。
【0017】
操作ワイヤ24は、金属製の細径の線材であって、上述の如く、一端が処置部21に連結されており、他端には、後述する係合部材14に係合される、円筒形状の被係合筒25が設けられている(
図2参照)。前記線材の他端部が被係合筒25内に挿入されて、カシメ、半田付け等によって固定されている。被係合筒25と係合部材14との係合又は解除を調整することによって、操作ワイヤ24が係合部材14に着脱可能である。
【0018】
操作ワイヤ24は、他端部を除く全部分がワイヤ保護チューブ22内に挿入されており、ワイヤ保護チューブ22内を軸方向に沿って進退操作することによって、処置部21の開閉を操作する。
【0019】
ワイヤ保護チューブ22は、金属製の細長いパイプ形状であり、平線コイルからなる。ワイヤ保護チューブ22は、操作ワイヤ24よりも大きい内径を有しており、操作部10側の他端部が操作部10の後述するガイド筒11(第2筒部)に内嵌している(
図2参照)。
【0020】
折曲防止チューブ23は、金属製のパイプ形状であり、丸線コイルからなる。折曲防止チューブ23は、ワイヤ保護チューブ22よりも短く、ワイヤ保護チューブ22の外径よりも大きい内径を有している。折曲防止チューブ23の内側にワイヤ保護チューブ22が挿入されている。折曲防止チューブ23は、一部が操作部10に取り付けられ、他の部分が外側に露出されている。操作部10のガイド筒11と同一軸心上に配置されている。以下、折曲防止チューブ23の前記一部を他端部と称する。
【0021】
操作部10は樹脂製である。詳しくは、操作部10は、例えば、PLA(ポリ乳酸)、酢酸セルロース、バイオポリプロピレン(BPP)、バイオPET(ポリエチレンテレフタレート)、バイオPA(ポリアミド)等の生分解性材料からなる。操作部10は、ガイド筒11と、移動部材12と、リング部13と、係合部材14とを備える。
【0022】
図3は、
図2の楕円A部分を拡大して示す拡大図であり、
図4は、
図2の楕円B部分を拡大して示す拡大図である。以下、
図2~
図4に基づいて、操作部10の構成を詳述する。
【0023】
ガイド筒11は、略円筒形状を成しており、一端部にはシース20の他端部との取付部111が設けられ、他端部にはリング部13を保持する保持部113が設けられている。
【0024】
取付部111は、操作部10の軸心を貫通する細径の長孔115を有している。長孔115は、ガイド筒11の一端側にて拡径している。以下では、長孔115において大径の部分を大長孔115Aとし、小径の部分を小長孔115Bとする。
【0025】
小長孔115Bは、大長孔115Aと、後述する切り欠き112との間に形成されている。即ち、小長孔115Bは、一端が大長孔115Aと連通しており、他端が切り欠き112と連通している。
【0026】
大長孔115Aは、シース20の折曲防止チューブ23の他端部と螺合している。
上述の如く、折曲防止チューブ23は、金属製の丸線コイルからなり、他端部が操作部10に取り付けられている。折曲防止チューブ23が丸線コイルであるので、
図3のように、折曲防止チューブ23の外周面には一定間隔にてネジ山形状の凸部23A(係合凸部)が形成されている。
【0027】
これに対応して、大長孔115Aは、折曲防止チューブ23の外周面(凸部23A)に対応する形状を有している。即ち、大長孔115Aに対応する取付部111の内周面には、折曲防止チューブ23の凸部23Aに対応するネジ谷形状の凹部114(係合凹部)が一定間隔にて形成されている。これによって、折曲防止チューブ23(他端部)の外周面の凸部23Aが雄ネジとして作用し、大長孔115Aに対応する取付部111の内周面の凹部114が雌ネジとして作用して、大長孔115A(取付部111)と折曲防止チューブ23(他端部)とが螺合を行う。
【0028】
取付部111において、少なくとも大長孔115Aに対応する部分は、透光性を有する。例えば、斯かる部分は、透明であっても良く、半透明であっても良く、取付部111の内側の折曲防止チューブ23の位置が視認できればよい。
【0029】
更に、取付部111の外周面には、大長孔115Aと小長孔115Bとの境界位置に相当する位置に目印116が形成されている。上述の如く、大長孔115Aと折曲防止チューブ23との係合の際、折曲防止チューブ23の他端が目印116の位置にある場合、折曲防止チューブ23が正規位置であることを表す。
【0030】
作業者は、例えば、折曲防止チューブ23を正方向(時計回り)に回転させて取付部111(ガイド筒11)に取り付けでき、折曲防止チューブ23を逆方向(反時計回り)に回転させて取付部111(ガイド筒11)から取り外しできる。
【0031】
小長孔115Bは、径がワイヤ保護チューブ22の外径と略等しく、ワイヤ保護チューブ22の他端部が小長孔115B内まで挿入されている。ワイヤ保護チューブ22の他端部は小長孔115Bに内嵌している。小長孔115Bは、切り欠き112側の他端にて縮径している。よって、ワイヤ保護チューブ22は小長孔115Bの他端から切り欠き112側への移動が制限され、操作ワイヤ24のみが、小長孔115Bの他端を通して切り欠き112に抜け出ている(
図2参照)。
【0032】
ガイド筒11には、軸方向の中央部から他端部の近傍まで、ガイド筒11の軸方向に沿って切り欠き112が形成されている。切り欠き112は、ガイド筒11の径方向視で細長い長方形であり(
図1参照)、ガイド筒11を径方向に貫通している(
図2参照)。換言すれば、切り欠き112は、ガイド筒11の軸心を通って径方向に貫通する貫通孔であり、ガイド筒11において対向する外周面に夫々開口している。
【0033】
ガイド筒11には移動部材12が外嵌している。移動部材12は、略ボビン形状を成しており、内側の長孔124にガイド筒11が挿入されている。移動部材12とガイド筒11とは遊嵌しており、移動部材12は、ガイド筒11の軸方向に移動可能である。この際、移動部材12の移動範囲は、後述の如く、切り欠き112の長さによって制限される。
【0034】
移動部材12は、ガイド筒11の軸方向に所定間隔を隔てて、一対の円板鍔部121が対向配設されている。一対の円板鍔部121のうち、ガイド筒11の一端部寄りの一方の円板鍔部121の外側面には、円筒形状のフランジ部123が設けられている。即ち、フランジ部123は長孔124の縁に沿って周設されており、前記一方の円板鍔部121の外側面から、ガイド筒11の軸方向に外側へ突出している(
図2及び
図4参照)。
【0035】
フランジ部123には、フランジ部123を径方向に貫通する貫通孔122(凹部)が2つ形成されている。各貫通孔122は、フランジ部123の径方向視で矩形であり、フランジ部123の径方向にて対向する位置に夫々形成されている。
【0036】
上述の如く、ガイド筒11の他端部にはリング部13を保持する保持部113が設けられている(
図2参照)。保持部113は、ガイド筒11の他端部に形成された縮径部である。保持部113では、リング部13側の端部が軸心を通る割溝により分離されており、先端にリング部13の抜けを防止するための抜け止め部が形成されている。
【0037】
リング部13は、作業者の親指をかけるための円環部131と、円環部131の外周面から径方向に外側へ突出した軸部132とを備える。軸部132は略円筒形状であり(
図2参照)、ガイド筒11の保持部113に外嵌している。軸部132は、保持部113と遊嵌しており、保持部113を回転軸として回転できる。換言すれば、円環部131は、径方向、即ちガイド筒11の軸方向を軸として回転できる。
【0038】
ガイド筒11の切り欠き112の内側には係合部材14が配置されている。係合部材14は、上述の如く、操作ワイヤ24の被係合筒25と係合する。係合部材14はU字形状を成す扁平部材であり、開放部がガイド筒11の取付部111を向くように配設されている。
【0039】
係合部材14は一対の連結部141を有している。各連結部141はガイド筒11の軸方向に延びる略長方形板形状である。一対の連結部141は、ガイド筒11の径方向に、所定間隔を隔てて対向配置されており、ガイド筒11の軸方向に平行である。各連結部141は、長さ方向の中間部に、内側へ引掛け部142が突設している。各連結部141は、引掛け部142から先端に向かって幅狭となっており、先端には、外側へ、即ち引掛け部142の突出方向と反対方向に係合突起143(係合端部)が突設されている。係合突起143は、切り欠き112からガイド筒11の外側へ張り出している。
【0040】
図4に示すように、係合突起143において、連結部141の基部側の部分にテーパ部144が形成されている。テーパ部144は、先端に近い程、即ちガイド筒11の一端部に近い程、ガイド筒11の径方向に幅広となる。
【0041】
図5は、係合部材14と、操作ワイヤ24の被係合筒25との係合を説明する説明図である。被係合筒25は、一対の連結部141の基部にて、係合部材14と係合している。
【0042】
係合部材14において、連結部141同士間の間隔は、被係合筒25の径と略等しく、各連結部141の根本から引掛け部142までの寸法は、被係合筒25の長さと略等しい。よって、被係合筒25を、一対の連結部141の基部にて、一対の連結部141の間に位置させた場合、被係合筒25の縁が各連結部141の引掛け部142に引っかかり、被係合筒25と係合部材14との係合が行われる。この際、操作ワイヤ24は、引掛け部142同士の間を通る。
【0043】
上述の如く、一対の連結部141は平行であり、一対の連結部141の外側縁間の寸法は、ガイド筒11の径と略等しい(
図4参照)。よって、各連結部141の係合突起143は切り欠き112よりガイド筒11の外側へはみ出ている。外側にはみ出た各係合突起143は、対応する移動部材12の貫通孔122と夫々係合している。これによって、係合部材14と移動部材12とが連結され、移動部材12の動きに連動して係合部材14が切り欠き112内を進退する。
【0044】
即ち、係合部材14は、上述の如く、操作ワイヤ24の他端部(被係合筒25)と係合した状態にて切り欠き112に沿って、ガイド筒11の軸方向に進退する。また、係合部材14は、上述の如く、連結部141を介して移動部材12に連結されており、移動部材12の移動に伴って、切り欠き112の範囲内を移動する。この際、操作ワイヤ24を共に進退させることにより、処置部21の開閉制御が行われる。係合部材14の移動は、切り欠き112内に制限されるので、移動部材12の移動範囲も、切り欠き112の長さに制限される。
【0045】
実施の形態1に係る内視鏡用処置具100は、廃棄の際、金属製部品と、樹脂製部品とに容易に分解できる。以下、詳しく説明する。
【0046】
図6は、実施の形態1に係る内視鏡用処置具100の分解方法を説明する説明図である。便宜上、
図6では、ワイヤ保護チューブ22及び操作ワイヤ24の図示を省略している。また、
図6では、移動部材12の図示を部分的に省略しており、移動部材12を位置に応じて、実線、一点鎖線及び二点鎖線にて示している。
【0047】
まず、作業者は、移動部材12をガイド筒11の一端側(取付部111側)に移動させる。この際、係合部材14も共に切り欠き112内を移動する。しかし、取付部111には切り欠き112が形成されていないので、取付部111と切り欠き112との境界で係合部材14の移動は制限される。これに伴い、移動部材12の移動も制限される(
図6の実線の移動部材12参照)。
【0048】
以上の如く、移動部材12の動きが制限された場合、作業者は一層強い力で移動部材12をガイド筒11の一端側に押す(
図6の黒塗り矢印参照)。この際、移動部材12の各貫通孔122の縁が、係合部材14の係合突起143のテーパ部144に夫々当接し(
図6の一点鎖線の移動部材12参照)、各係合突起143を内側(
図6の破線の矢印参照)に押し下げる力が作用する。よって、樹脂からなる各連結部141の先端部(係合突起143)が、
図6にて破線で示すように、内側に曲がって変形する。作業者が移動部材12を押し続けることによって、移動部材12の貫通孔122と、係合部材14の係合突起143との係合は解除され(
図6の二点鎖線の移動部材12参照)、移動部材12をガイド筒11から取り外すことができる。
【0049】
次いで、切り欠き112から係合部材14を押し出す。この際、係合部材14と操作ワイヤ24の被係合筒25とが係合しているので、連結部141同士の間隔を広げ、又は、係合部材14の厚み方向に被係合筒25を押すことによって、係合を解除する。そして、作業者は、折曲防止チューブ23を反時計回りに回転させて取付部111(ガイド筒11)から取り外する。
【0050】
以上の簡単な作業によって、実施の形態1に係る内視鏡用処置具100を、金属製部品と、樹脂製部品とに分離できる。以降、金属製部品及び樹脂製部品の夫々に適した廃棄処分が施される。
【0051】
実施の形態1に係る内視鏡用処置具100では、上述の如く、操作部10が生分解性の樹脂からなるので、微生物による分解が可能であり、焼却が不要であるので、焼却による二酸化炭素の排出を抑制できる。
【0052】
また、実施の形態1に係る内視鏡用処置具100では、上述の如く、少なくとも大長孔115Aに対応する部分は、透光性を有するので、取付部111(大長孔115A)と折曲防止チューブ23との係合具合が確認できる。
【0053】
更に、実施の形態1に係る内視鏡用処置具100では、上述の如く、大長孔115Aと小長孔115Bとの境界位置に目印116が形成されているので、大長孔115Aと折曲防止チューブ23との係合の際、折曲防止チューブ23が正規位置にあるか否かが確認できる。
【0054】
そして、実施の形態1に係る内視鏡用処置具100では、上述の如く、リング部13(円環部131)が、径方向、即ちガイド筒11の軸方向を軸として自由に回転できる。従って、操作部10の操作性を高めることが出来る。
【0055】
(実施の形態2)
実施の形態1では、シース20の折曲防止チューブ23と、ガイド筒11の取付部111とが螺合することによって、折曲防止チューブ23が取付部111に取り付けられた場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。
【0056】
図7は、実施の形態2に係る内視鏡用処置具100において、折曲防止チューブ23と取付部111との係合状態を説明する説明図である。
【0057】
実施の形態2に係る内視鏡用処置具100において、折曲防止チューブ23は、金属製の平線コイルからなり、他端部が操作部10に取り付けられている。折曲防止チューブ23が平線コイルであるので、折曲防止チューブ23の外周面は平らであり、折曲防止チューブ23の他端に係る外周面に突起23B(係合凸部)が設けられている。
【0058】
これに対応して、大長孔115Aに対応する取付部111の内周面には、折曲防止チューブ23の突起23Bを通すための係合溝114A(係合凹部)が形成されている。係合溝114Aは略L字形状を有している。即ち、係合溝114Aは、取付部111の先端から軸方向に他端へ延びており、前記他端側端にて周方向に屈曲している。
【0059】
折曲防止チューブ23を取付部111に取り付ける際、作業者は、突起23Bが係合溝114A内に位置するようにして、折曲防止チューブ23の他端部を取付部111の大長孔115Aに挿入し、突起23Bが目印116まで届いたら、取付部111の周方向に反時計回りへ折曲防止チューブ23を回転させる(
図7の実線の矢印参照)。これによって、突起23Bが係合溝114Aと係合し、折曲防止チューブ23が取付部111に取り付けられる。
なお、折曲防止チューブ23を取付部111から取り外す場合は、上述した順序と反対順に操作を行うことで、突起23Bと係合溝114Aとの係合を解除する。
【0060】
実施の形態1~2で記載されている技術的特徴(構成要件)はお互いに組み合わせ可能であり、組み合わせすることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【0061】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0062】
10 操作部
11 ガイド筒
12 移動部材
13 リング部
14 係合部材
20 シース
21 処置部
23 折曲防止チューブ
23A 凸部
23B 突起
24 操作ワイヤ
100 内視鏡用処置具
111 取付部
112 切り欠き
114 凹部
114A 係合溝
115 長孔
115A 大長孔
115B 小長孔
116 目印
122 貫通孔
124 長孔
131 円環部
141 連結部
143 係合突起
144 テーパ部