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特開2024-87531侵入者検知装置、侵入者検知方法、及び侵入者検知プログラム
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  • 特開-侵入者検知装置、侵入者検知方法、及び侵入者検知プログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087531
(43)【公開日】2024-07-01
(54)【発明の名称】侵入者検知装置、侵入者検知方法、及び侵入者検知プログラム
(51)【国際特許分類】
   B60R 25/31 20130101AFI20240624BHJP
   G08B 21/00 20060101ALI20240624BHJP
   G08B 25/04 20060101ALI20240624BHJP
   G01S 15/86 20200101ALI20240624BHJP
   G08B 13/00 20060101ALI20240624BHJP
【FI】
B60R25/31
G08B21/00 U
G08B25/04 E
G01S15/86
G08B13/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022202404
(22)【出願日】2022-12-19
(71)【出願人】
【識別番号】391008559
【氏名又は名称】株式会社トランストロン
(74)【代理人】
【識別番号】100170070
【弁理士】
【氏名又は名称】坂田 ゆかり
(72)【発明者】
【氏名】谷野 浩司
【テーマコード(参考)】
5C084
5C086
5C087
5J083
【Fターム(参考)】
5C084AA02
5C084AA07
5C084BB24
5C084CC19
5C084DD02
5C084DD03
5C084EE01
5C084HH02
5C084HH03
5C086AA27
5C086BA22
5C086CA09
5C086CB40
5C086DA40
5C086FA01
5C086FA11
5C086FA17
5C086FA18
5C087AA02
5C087AA09
5C087AA10
5C087AA19
5C087AA23
5C087AA32
5C087AA44
5C087DD05
5C087DD14
5C087EE02
5C087FF02
5C087FF04
5C087GG08
5C087GG66
5C087GG70
5C087GG84
5J083AA02
5J083AB15
5J083AC29
5J083AD01
5J083AF05
5J083AG05
5J083BA02
5J083BB12
5J083CA10
5J083EB05
5J083EB11
5J083EB12
(57)【要約】      (修正有)
【課題】簡易な構成で、侵入者を効果的に検知できる侵入者検知装置、侵入者検知方法、及び侵入者検知プログラムを提供する。
【解決手段】侵入者検知装置1は、監視対象空間に高周波音を発信する発信制御部11と、監視対象空間における音を取得する収音制御部12と、収音制御部により収音された音を解析することにより、監視対象空間への侵入者を検知する音解析部21と、侵入者が検知された旨を報知する報知制御部25と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視対象空間に高周波音を発信する発信制御部と、
前記監視対象空間における音を取得する収音制御部と、
前記収音制御部により収音された音を解析することにより、前記監視対象空間への侵入者を検知する音解析部と、
前記侵入者が検知された旨を報知する報知制御部と、
を備えたことを特徴とする侵入者検知装置。
【請求項2】
前記監視対象空間の画像を取得する撮像制御部と、
前記撮像制御部により取得された画像である撮像画像を解析する画像解析部と、
前記撮像画像の解析結果に基づいて前記侵入者の年齢を推定する年齢推定部と、
をさらに備え、
前記発信制御部は、年齢により可聴可否の異なる周波数の音を発信し、
前記画像解析部は、前記監視対象空間において前記侵入者が音に反応したか否かを判定し、
前記年齢推定部は、前記発信制御部が発信した音の周波数と、前記画像解析部の判定結果とに基づいて前記侵入者の年齢を推定する
ことを特徴とする請求項1に記載の侵入者検知装置。
【請求項3】
前記発信制御部により発信される音の周波数を設定する周波数設定部をさらに備え、
前記周波数設定部は、前記画像解析部において前記侵入者が音に反応していないと判定された場合に、前記発信制御部により発信される音の周波数を下げる
ことを特徴とする請求項2に記載の侵入者検知装置。
【請求項4】
前記画像解析部は、前記撮像画像に前記侵入者の顔が含まれる場合には、前記撮像画像から前記顔を抽出し、
前記年齢推定部は、前記抽出された顔である顔画像に基づいて前記侵入者の年齢を推定する
ことを特徴とする請求項2に記載の侵入者検知装置。
【請求項5】
監視対象空間への侵入者を検知する方法であって、
前記監視対象空間に高周波音を発信するステップと、
前記監視対象空間における音を取得するステップと、
前記収音された音を解析することにより、前記監視対象空間への前記侵入者を検知するステップと、
前記侵入者が検知された旨を報知するステップと、
を含むことを特徴とする侵入者検知方法。
【請求項6】
コンピュータを、
監視対象空間に高周波音を発信する発信制御部、
前記監視対象空間における音を取得する収音制御部、
前記収音制御部により収音された音を解析することにより、前記監視対象空間への侵入者を検知する音解析部、
前記侵入者が検知された旨を報知する報知制御部、
として機能させることを特徴とする侵入者検知プログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、侵入者検知装置、侵入者検知方法、及び侵入者検知プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車室内への物体侵入検知を連続的に行う車両用侵入検知装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-165299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の発明では、送信された超音波パルスの反射波から物体の移動距離を算出し、侵入を検知する。しかしながら、当該構成では、超音波を送受信する装置が必要であり、煩雑であった。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、簡易な構成で侵入者を検知することができる侵入者検知装置、侵入者検知方法、及び侵入者検知プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る侵入者検知装置は、例えば、監視対象空間に高周波音を発信する発信制御部と、前記監視対象空間における音を取得する収音制御部と、前記収音制御部により収音された音を解析することにより、前記監視対象空間への侵入者を検知する音解析部と、前記侵入者が検知された旨を報知する報知制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
本発明の他態様に係る侵入者検知方法は、例えば、監視対象空間への侵入者を検知する方法であって、前記監視対象空間に高周波音を発信するステップと、前記監視対象空間における音を取得するステップと、前記収音された音を解析することにより、前記監視対象空間への前記侵入者を検知するステップと、前記侵入者が検知された旨を報知するステップと、を含むことを特徴とする。
【0008】
本発明の他態様に係る侵入者検知プログラムは、例えば、コンピュータを、監視対象空間に高周波音を発信する発信制御部、前記監視対象空間における音を取得する収音制御部、前記収音制御部により収音された音を解析することにより、前記監視対象空間への侵入者を検知する音解析部、前記侵入者が検知された旨を報知する報知制御部、として機能させることを特徴とする。
なお、コンピュータプログラムは、インターネット等のネットワークを介したダウンロードによって提供したり、CD-ROMなどのコンピュータ読取可能な各種の記録媒体に記録して提供したりすることができる。
【0009】
本発明の上記いずれかの態様では、音を用いて侵入者を検知するため、既存設備を流用して、監視対象空間内の侵入者を簡易な構成で検知することができる。また、特殊な装置を配置する必要がないので、侵入者に警戒心を与えることなく侵入者の検知を行える。
【0010】
前記監視対象空間の画像を取得する撮像制御部と、前記撮像制御部により取得された画像である撮像画像を解析する画像解析部と、前記撮像画像の解析結果に基づいて前記侵入者の年齢を推定する年齢推定部と、をさらに備え、前記発信制御部は、年齢により可聴可否の異なる周波数の音を発信し、前記画像解析部は、前記監視対象空間において前記侵入者が音に反応したか否かを判定し、前記年齢推定部は、前記発信制御部が発信した音の周波数と、前記画像解析部の判定結果とに基づいて前記侵入者の年齢を推定してもよい。人の可聴周波数の上限値は、年齢とともに徐々に低下するため、侵入者が反応した音の周波数に基づいて侵入者の年齢を推定することができる。また、照度不足やカメラの撮影角度の問題、又は侵入者が顔を隠していることにより侵入者の顔が画像から十分認識できない場合であっても、侵入者の年齢を推定することができる。
【0011】
前記発信制御部により発信される音の周波数を設定する周波数設定部をさらに備え、前記周波数設定部は、前記画像解析部において前記侵入者が音に反応していないと判定された場合に、前記発信制御部により発信される音の周波数を下げてもよい。これにより、侵入者の年齢を幅広い年齢層で推定することができる。
【0012】
前記画像解析部は、前記撮像画像から前記侵入者の顔が抽出できる場合には、前記撮像画像から前記顔を抽出し、前記年齢推定部は、前記抽出された顔である顔画像に基づいて前記侵入者の年齢を推定してもよい。これにより、画像から取得できる顔画像によっても侵入者の年齢を推定することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、簡易な構成で侵入者を検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1の実施の形態に係る侵入者検知装置1の電気的な構成の概略を示す機能ブロック図である。
図2】侵入者検知装置1が侵入者を検知する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図3】警戒モードにおける侵入者検知装置1の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図4】音により年齢を推定する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る侵入者検知装置1の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。侵入者検知装置1は、所定の監視対象空間に侵入した侵入者を検知する装置である。監視対象空間は、例えば車両の車室である。
【0016】
図1は、第1の実施の形態に係る侵入者検知装置1、及び当該侵入者検知装置1に接続される報知装置2の電気的な構成の概略を示す機能ブロック図である。侵入者検知装置1は、監視対象空間に配設されている監視装置50と有線又は無線により接続されており、監視装置50を制御することにより監視対象空間の監視を行う。
【0017】
監視装置50は、例えばスピーカ51、マイク52及び撮像部53を含む。なお、スピーカ51は、少なくとも20kHz又はそれ以上の、可聴域以上の高周波音を発信可能であるとよい。また、マイク52は、少なくともスピーカ51から意図的に発信される周波数領域の音を収音可能である。撮像部53は、可視光カメラの他、赤外線カメラであってもよい。
【0018】
監視装置50の一部又は全部は、監視対象空間にあらかじめ備えられている。監視対象空間が車室である場合には、車載の各種装置を監視装置50として使用できる。この構成によれば、侵入者検知にあたって用意する装置が少なくて済み、簡便である。また、一見すると標準的な装置構成であるので、警戒心を抱かせず、侵入者をより確実に検知できる。
【0019】
なお、侵入者検知装置1は、監視装置50を制御できればよく、監視対象空間内又は近傍に設けられていてもよいし、監視対象空間から離れた位置に設けられていてもよい。侵入者検知装置1は、いわゆるサーバであってもよい。また、侵入者検知装置1は、例えば1又は複数のハードウェア構成により実現してもよく、クラウドコンピューティングにより構成されていてもよい。また、侵入者検知装置1と監視装置50により、侵入者検知システムを構成していてもよい。
【0020】
侵入者検知装置1は、報知装置2と有線又は無線により接続されている。侵入者検知装置1は、報知装置2を介して侵入者に関するアラームを報知する。侵入者検知装置1と報知装置2とは、ネットワークを介して接続されていてもよい。報知装置2は、ディスプレイ等の表示装置、スピーカ、鳴動により報知するランプ等、侵入者検知装置1を利用するユーザに侵入者を警告する適宜の装置を備えている。ユーザは、例えば内部に監視対象空間が規定される車両の所有者である。報知装置2は、車外にいるユーザが保有する情報端末、例えばスマートホンやタブレット端末等であってよい。報知装置2は、警備会社や管理者等に確認される装置であってもよい。また、報知装置2は、インターネットに接続され、インターネット回線を介して外部装置に到達するWebメールを送信可能であってよい。
【0021】
侵入者検知装置1は、主として、検知制御部10と、解析制御部20と、記憶部30とを備える。
【0022】
検知制御部10は、監視対象空間の侵入者を検知する機能部である。検知制御部10は、例えば、監視対象空間(例えば、車室)のドアが外側からロックされたのを契機に動作を開始する。この構成によれば、自動的に動作を開始するため、設定し忘れることなく確実に検知を行うことができる。また、ドアのロックが解除されると動作を停止してもよい。この構成によれば、ユーザを誤検知するおそれが少ない。
【0023】
検知制御部10は、主として、発信制御部11と、収音制御部12と、撮像制御部13とを含む。
【0024】
発信制御部11は、スピーカ51を介して、監視対象空間に高周波音を発信する機能部である。例えば、発信制御部11は、スピーカ51を介して高周波音を発信する。高周波音は、例えば、10kHz~32kHz程度の周波数の音であり、いわゆる人が聴くことができる可能性がある周波数帯域(可聴域)のうちの高い周波数帯域の空気伝搬音である。
【0025】
発信制御部11は、スピーカ51を介して、異なる周波数で構成される複数種類の警告音を発信する。例えば、発信制御部11がスピーカ51を介して発信する音は、異なる周波数のモスキート音(例えば、17kHz~20kHz程度)であってもよい。なお、モスキート音は、年齢により可聴可否が異なる。
【0026】
また、発信制御部11は、スピーカ51を介して、侵入者に対するメッセージを含む警告音を発信する。発信制御部11は、例えば、モスキート音より低域の音で構成される警告音も発信できる。
【0027】
収音制御部12は、マイク52を介して収音された監視対象空間の音を取得する機能部である。マイク52は、スピーカ51からの音が車内にある物や人に反射した反射音を収音し、収音制御部12はこれを取得する。この構成によれば、後述する音解析部21により、反射音の変化に基づいて監視対象空間内の人や物の変化を取得できる。侵入者の判定に用いられる音の周波数は、例えば人の可聴周波数領域の上限に近い領域か、可聴周波数領域よりも高い。これにより、侵入者に気づかれずに侵入の検知を行うことができる。収音制御部12は、マイク52を介して収音されたデータを、侵入者検知装置1が有する記憶部30に格納してもよい。
【0028】
なお、発信制御部11及び収音制御部12は、検知制御部10が動作している間、一定時間ごとに動作を行ってもよい。この構成によれば、連続して動作させる構成に比べて消費電力を小さくできる。
【0029】
撮像制御部13は、撮像部53を制御して、監視対象空間の画像を取得する機能部である。撮像制御部13は、少なくとも車内の画像を取得する。撮像制御部13は、撮像部53を介して監視対象空間の画像を取得して、これを記憶部30に格納してもよい。なお、画像とは、静止画及び動画を含む概念である。
【0030】
解析制御部20は、検知制御部10により収集したデータを解析する機能部である。解析制御部20は、情報処理を実行するためのCPU(Central Processing Unit)などの演算装置、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などの記憶装置により、ソフトウェア資源として少なくとも、音解析部21、画像解析部22、年齢推定部23、周波数設定部24及び報知制御部25を有する。
【0031】
音解析部21は、収音制御部12により取得された音を解析する機能部である。音解析部21は、特に発信制御部11により発信された周波数の音の反射音を抽出し、反射音の音量又は周波数特性等を解析する。また、音解析部21は、当該反射音の変化を解析することにより、車内にある物や人の位置変化等を抽出する。例えば、音解析部21は、車内における反射音が所定の変化をした場合に、車内に侵入者があったことを検出する。また、音解析部21は、反射音以外の音が含まれているか否かを解析し、反射音以外の音が含まれているときに車内に侵入者があったことを検出してもよい。
【0032】
画像解析部22は、撮像制御部13により取得された画像(以下、撮像画像という)を解析する機能部である。画像解析部22は、車内の撮像画像を解析し、車内の侵入者の様子を取得する。画像解析部22は、撮像画像に侵入者の顔が含まれるか否か判定し、顔が含まれる場合には、撮像画像から顔を抽出してもよい。画像からの顔の抽出には、適宜の画像処理技術を適用できる。また、画像解析部22は、適宜の技術を採用することにより、侵入者の体格等、顔以外の情報から識別できる各種特徴の情報を解析してもよい。画像解析部22は、外部のデータベースを参照し、侵入者の個人情報を特定してもよい。
【0033】
また、画像解析部22は、車内の侵入者が、スピーカ51から発信される高周波数音に対して反応したか否かを判定する。反応有無の判定は、例えば発信前後での動作の変化、動作の停止により判定してもよいし、左右を見回す等、音に気付いた際に行われる特徴的な動作を、反応を示す動作として抽出してもよい。反応を示す動作は、複数の種類がデータベースにあらかじめ登録されていて、画像解析部22は、このデータベースを参照して反応を示す動作の有無を判定してもよい。
【0034】
年齢推定部23は、画像解析部22における撮像画像の解析結果に基づいて侵入者の年齢を推定する機能部である。
【0035】
年齢推定部23は、発信制御部11により発信された音の周波数、すなわち周波数設定部24(後に詳述)により設定された音の周波数と、音に対する反応の有無に基づいて、侵入者の年齢を推定する。人の可聴周波数の上限は、年齢とともに徐々に低下することが知られている。例えば、9kHz以下の音では全年代の健常者が聞き取れる一方、10kHzの音は60代まで、12kHzの音は50代まで、といったように可聴周波数の上限は徐々に低下していき、モスキート音は20歳以下の人間にのみ聞き取れる。したがって、年齢推定部23は、反応のあった音の周波数に基づいて、侵入者の年齢を推定できる。すなわち、侵入者の検出にモスキート音を用いる構成によれば、モスキート音により侵入者の侵入を検出するとともに、侵入者がモスキート音を聞き取れる年齢か否かを判定できる。
【0036】
年齢推定部23は、画像解析部22により撮像画像から顔が抽出可能な場合には、抽出された顔(以下、顔画像という)に基づいて年齢を推定してもよい。顔画像に基づく年齢推定は、公知の適宜の手法が採用できる。例えば、年齢推定は、顔画像と年齢が対応付けられて記憶されているデータベースを参照し、パターン認識により行われてもよいし、人工知能を用いた推定が行われてもよい。また、年齢推定部23は、顔以外の、体格や姿勢などの情報により年齢を推定してもよい。
【0037】
周波数設定部24は、発信制御部11により発信される音の周波数を設定する機能部である。周波数設定部24は、車内に発信する音を、様々な周波数に設定することができる。音は、例えば、任意の周波数を主成分とし、任意の周波数を中心周波数とする複数の周波数の音を含んでもよい。周波数設定部24が設定した周波数は、発信制御部11及び年齢推定部23に出力される。
【0038】
周波数設定部24は、画像解析部22における解析結果により、侵入者が音に反応していないと判定される場合には、音の設定周波数を下げる。周波数設定部24は、周波数を複数Hzずつ段階的に下げてもよい。
【0039】
報知制御部25は、侵入者に関する報知を行う機能部である。報知制御部25は、音解析部21及び画像解析部22により監視対象空間において侵入者が検知された場合には、侵入者が検知されたことを示す情報をユーザに報知する。また、報知制御部25は、侵入者検知装置1が、侵入者に警告音を発報するとともに侵入者の年齢を推定する「警戒モード」に移行したことを示す情報をユーザに報知する。さらに、報知制御部25は、年齢推定部23により推定された侵入者の年齢をユーザに報知してもよい。また、報知制御部25は、ユーザが保持する報知装置2への報知に代えて又は加えて、警備会社等が管理又は使用する外部システムに、上述の情報を報知してもよい。
【0040】
記憶部30は、収音制御部12等により収集されたデータを記憶する機能部である。また、記憶部30は、侵入者が反応した場合に発信していた音の周波数と、当該周波数を可聴域とする年齢と、を対応付けたテーブルを記憶している。このテーブルは、年齢推定部23により参照され、侵入者が反応した警告音の周波数に応じた侵入者の年齢推定に用いられる。
【0041】
図2は、侵入者検知装置1が侵入者を検知する処理の流れの一例を示すフローチャートである。図2の処理は、監視対象空間(例えば、車室)のドアが外側からロックされたのを契機に開始される。
【0042】
まず、発信制御部11は、スピーカ51を介して高周波音を発信する(ステップSP11)。ステップSP11では、高周波音のうち、モスキート音を発信することが望ましい。次いで、収音制御部12は、マイク52を介して監視対象空間内の音を取得する(ステップSP12)。次いで、音解析部21は、収音制御部12により取得された音を解析し(ステップSP13)、解析結果を初期状態として記憶部30に保存する(ステップSP14)。
【0043】
次いで、音解析部21は、前回の判定(ステップSP13又はステップSP18(後に詳述))から一定時間(例えば、1分)が経過しているか否かを判定する(ステップSP15)。前回の判定から一定時間がしていない場合(ステップSP15でNo)には、再度ステップSP15の処理を行う。
【0044】
前回の判定から一定時間経過している場合(ステップSP15でYes)には、発信制御部11は、スピーカ51を介して高周波音を発信する(ステップSP16)。次いで、収音制御部12は、マイク52を介して監視対象空間内の音を取得する(ステップSP17)。次いで、音解析部21は、収音制御部12により取得された音を解析する(ステップSP18)。ステップSP16~ステップSP17の処理は、ステップSP11~ステップSP12の処理と同様である。
【0045】
次いで、音解析部21は、ステップSP18における解析結果が、ステップSP14で記憶部30に保存された初期状態と異なるか否かを判定する(ステップSP19)。例えば、音解析部21は、ステップSP18において発信された高周波数音の反射音や、反射音以外の音を解析し、ステップSP19においてステップSP18における解析結果とステップSP13における解析結果(ステップSP14で記憶部30に保存されている)が一致するか否かを判定する。
【0046】
解析結果が初期状態と異ならない場合(ステップSP19でNo)には、処理はステップSP15に戻る。解析結果が初期状態と異なる場合(ステップSP19でYes)には、侵入者検知装置1は警戒モードに移行する(ステップSP20)。
【0047】
なお、図2に示す処理において、侵入者検知装置1は、ステップSP19において解析結果が初期状態と異なる場合に警戒モードに移行したが、警戒モードに移行する形態はこれに限られない。例えば、ステップSP19において、解析結果が初期状態と異なる場合が所定回数以上連続した場合にステップSP20に移行するものとしてもよい。
【0048】
図3は、警戒モード(ステップSP20)における侵入者検知装置1の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
まず、報知制御部25は、警戒モードに移行した旨をユーザに報知する(ステップSP21)。次いで、撮像制御部13は、撮像部53を制御して、撮像対象空間内の撮影を開始する(ステップSP22)。
【0049】
画像解析部22は、撮像画像から侵入者の顔が抽出可能か判定する(ステップSP23)。撮像画像から侵入者の顔が抽出可能である場合(ステップSP23でYes)には、年齢推定部23は、撮像画像から顔(顔画像)を抽出し、当該顔画像に基づいて年齢を推定する(ステップSP24)。そして、報知制御部25は、侵入者の推定年齢をユーザ等に報知する(ステップSP25)。
【0050】
撮像画像から侵入者の顔が判定できない場合(ステップSP23でNo)には、解析制御部20は、音により年齢を推定する処理(ステップSP30)を行う。そして、報知制御部25は、侵入者の推定年齢をユーザ等に報知する(ステップSP25)。
【0051】
なお、図2に示すフローチャートでは、撮像画像から侵入者の顔が抽出可能である場合(ステップSP23でYes)には、年齢推定部23は、顔画像に基づいて年齢を推定したが(ステップSP24)、撮像画像から侵入者の顔が抽出可能である場合(ステップSP23でYes)の処理はこれに限られない。例えば、撮像画像から侵入者の顔が抽出可能である場合(ステップSP23でYes)に、顔画像に基づく年齢推定(ステップSP24)及び音による年齢推定(ステップSP30)を両方行うようにしてもよい。これにより、年齢推定が正確になる。
【0052】
また、侵入者検知装置1は、警戒モード(ステップSP20)の終了時、例えばステップSP25と同時又は直後に、侵入者に対する警告音を監視対象空間に発信してもよい。例えば、報知制御部25は、侵入者に向けた警告を示す音声や、推定された侵入者の年齢を発信制御部11及びスピーカ51を介してユーザに報知すればよい。
【0053】
図4は、音により年齢を推定する処理(ステップSP30)の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
周波数設定部24は、発生させる音の周波数を、設定可能な範囲のうち最も高いものに設定する(ステップSP31)。ステップSP31では、周波数設定部24は、周波数をモスキート音のうちの最も高い周波数(20kHz程度)に設定する。次いで、発信制御部11は、周波数設定部24で設定された周波数の警告音をスピーカ51から発信する(ステップSP32)。
【0054】
次いで、撮像制御部13は、撮像部53を制御して、撮像対象空間内の撮影を開始する(ステップSP33)。次いで、画像解析部22は、ステップSP33で取得された撮像画像を解析し(ステップSP34)、侵入者が音に対する反応をしたか否か判定する(ステップSP35)。
【0055】
侵入者が音に対して反応したと判定された場合(ステップSP35でYes)には、年齢推定部23は、侵入者が反応した周波数に基づいて侵入者の年齢を推定する(ステップSP36)。なお、年齢推定部23は、推定結果を記憶部30に記憶してもよい。そして処理は、ステップSP25(図2参照)に戻る。
【0056】
侵入者が反応したと判定されなかった場合(ステップSP35でNo)には、周波数設定部24は、警告音の周波数を1段階下げる(ステップSP37)。侵入者が反応しなかったときに警告音の周波数を1段階下げることを繰り返すことで、侵入者が反応した周波数を特定することができる。これにより、解析制御部20は、侵入者の年齢を正確に推定することができる。そして処理は、ステップSP32に戻る。
【0057】
なお、所定の周波数まで警告音の周波数を下げても侵入者の反応がないか、反応が小さい場合には、解析制御部20は侵入者の聴力に問題がある旨判定してもよい。これにより、侵入者の聴力に関する特徴を取得することができる。
【0058】
本実施の形態によれば、音のみで侵入者を検知することができる。そのため、監視対象空間内の侵入者を簡易な構成で検知することができる。特に、音の発信及び収音以外の特別な構成は必要ないため、既存設備を流用して、簡便に侵入者を検知できる。また、一見すると標準的な装置構成であり、特殊な装置を配置する必要がないので、侵入者に警戒心を与えることなく侵入者の検知を行える。
【0059】
また、本実施の形態によれば、年齢により可聴可否の異なる周波数の音を用いて侵入者の検出をするため、音により侵入者の侵入を検出するとともに、侵入者の年齢を推定することができる。特に、周波数を段階的に下げて警戒音を発信することで、侵入者の年齢を推定することができる。
【0060】
また、本実施の形態では、侵入者の顔が十分認識できる場合には、顔画像から年齢推定を行うことができる。また、音による年齢推定及び画像による年齢推定を行うことで、年齢推定が正確になる。
【0061】
以上、この発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。また、本実施形態では監視対象空間は車両の車室内であるものとして説明したが、本発明の技術的範囲はこれに限られず、適宜の空間にも適用可能である。
【符号の説明】
【0062】
1 :侵入者検知装置
2 :報知装置
10 :検知制御部
11 :発信制御部
12 :収音制御部
13 :撮像制御部
20 :解析制御部
21 :音解析部
22 :画像解析部
23 :年齢推定部
24 :周波数設定部
25 :報知制御部
30 :記憶部
50 :監視装置
51 :スピーカ
52 :マイク
53 :撮像部

図1
図2
図3
図4