(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087532
(43)【公開日】2024-07-01
(54)【発明の名称】スライド棚および厨房機器
(51)【国際特許分類】
A47B 46/00 20060101AFI20240624BHJP
A47B 77/10 20060101ALI20240624BHJP
【FI】
A47B46/00 501B
A47B77/10
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022202407
(22)【出願日】2022-12-19
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-05-22
(71)【出願人】
【識別番号】593141344
【氏名又は名称】新日本厨機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉村 二三夫
【テーマコード(参考)】
3B260
【Fターム(参考)】
3B260HA03
(57)【要約】
【課題】 棚に物品を置く作業の効率を向上させる。
【解決手段】 一実施形態に係るスライド棚は、物品を載置可能な第1棚と、物品を載置可能であり、第1方向において前記第1棚よりも小さい幅を有する第2棚と、前記第1棚に重ねられた前記第2棚を前記第1棚に対して前記第1方向にスライド可能となるように支持するスライド部とを備えている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を載置可能な第1棚と、
物品を載置可能であり、第1方向において前記第1棚よりも小さい幅を有する第2棚と、
前記第1棚に重ねられた前記第2棚を前記第1棚に対して前記第1方向にスライド可能となるように支持するスライド部と、
を備えるスライド棚。
【請求項2】
前記第1棚は、前記第1方向に延びるとともに前記第1方向と交差する第2方向に並ぶ複数の第1棒材を含み、
前記第2棚は、前記第2方向に延びるとともに前記第1方向に並ぶ複数の第2棒材を含む、
請求項1に記載のスライド棚。
【請求項3】
前記第2棚は、
前記複数の第2棒材の一端が連結された第1連結部材と、
前記複数の第2棒材の他端が連結された第2連結部材と、
を備え、
前記スライド部は、
前記第1連結部材に設けられた第1滑り材と、
前記第2連結部材に設けられた第2滑り材と、
を備え、
前記第1滑り材および前記第2滑り材は、前記複数の第1棒材のうちの異なる2つの上にそれぞれ配置され、これら前記第1棒材と前記第1方向に摺動可能である、
請求項2に記載のスライド棚。
【請求項4】
前記スライド部は、複数の支持片を含み、
前記複数の支持片の各々は、
前記第2棒材を保持する保持部と、
前記第1棒材と前記第1方向に摺動可能であるとともに、前記第1棒材に対する前記第2方向への前記支持片の移動を規制する摺動部と、
を有する、
請求項2に記載のスライド棚。
【請求項5】
請求項1乃至4のうちいずれか1項に記載のスライド棚を備える厨房機器。
【請求項6】
前記厨房機器は、
壁部によって囲われた収容室と、
前記収容室を開閉する扉と、
を備え、
前記スライド棚は、前記第1方向が前記扉から前記収容室の奥壁に向かう奥行き方向と一致するように前記収容室に配置される、
請求項5に記載の厨房機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スライド棚および当該スライド棚を備えた厨房機器に関する。
【背景技術】
【0002】
学校給食、社員食堂、飲食店などにおける調理場や配膳室では、調理器具や食器類を置くための棚が種々の態様にて配置されている。このような棚は、例えば特許文献1に示された食器消毒保管庫のような厨房機器に設けられることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
調理場や配膳室の作業効率を考慮すると、従来の棚には改善の余地がある。例えば、棚の奥行きが大きい場合には、棚の奥の方に食器類や調理器具などの物品を置きにくい。特に、物品が重い場合には、棚の奥の方に当該物品を置く作業が重労働となり得る。物品を棚の奥の方に置かないようにすることも考えられるが、この場合には棚のスペースを十分に活用することができない。
【0005】
そこで、本発明は、棚に物品を置く作業の効率を向上させることを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係るスライド棚は、物品を載置可能な第1棚と、物品を載置可能であり、第1方向において前記第1棚よりも小さい幅を有する第2棚と、前記第1棚に重ねられた前記第2棚を前記第1棚に対して前記第1方向にスライド可能となるように支持するスライド部とを備えている。
【0007】
例えば、前記第1棚は、前記第1方向に延びるとともに前記第1方向と交差する第2方向に並ぶ複数の第1棒材を含む。また、前記第2棚は、前記第2方向に延びるとともに前記第1方向に並ぶ複数の第2棒材を含む。前記第2棚は、前記複数の第2棒材の一端が連結された第1連結部材と、前記複数の第2棒材の他端が連結された第2連結部材とを備えてもよい。
【0008】
一実施形態によれば、前記スライド部は、前記第1連結部材に設けられた第1滑り材と、前記第2連結部材に設けられた第2滑り材とを備え、前記第1滑り材および前記第2滑り材は、前記複数の第1棒材のうちの異なる2つの上にそれぞれ配置され、これら前記第1棒材と前記第1方向に摺動可能である。
【0009】
他の実施形態によれば、前記スライド部は、複数の支持片を含む。さらに、前記複数の支持片の各々は、前記第2棒材を保持する保持部と、前記第1棒材と前記第1方向に摺動可能であるとともに、前記第1棒材に対する前記第2方向への前記支持片の移動を規制する摺動部とを有している。
【0010】
一実施形態に係る厨房機器は、前記スライド棚を備えている。
【0011】
前記厨房機器は、壁部によって囲われた収容室と、前記収容室を開閉する扉と、を備えてもよい。この場合において、前記スライド棚は、前記第1方向が前記扉から前記収容室の奥壁に向かう奥行き方向と一致するように前記収容室に配置されてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、棚に物品を置く作業の効率を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る食器消毒保管庫(厨房機器)の外観の一例を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る食器消毒保管庫の内部を示す概略的な断面図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係るスライド棚の概略的な斜視図である。
【
図4】
図4は、
図3中のIV-IV線に沿うスライド棚の概略的な断面図である。
【
図5】
図5は、第2実施形態に係るスライド棚の概略的な斜視図である。
【
図6】
図6は、第2実施形態に係るスライド部を構成する支持片の概略的な斜視図である。
【
図7】
図7は、上記支持片が有する保持部および摺動部の作用を説明するための図である。
【
図8】
図8は、支持片の他の例を示す概略的な斜視図である。
【
図9】
図9は、
図8に示した支持片が有する保持部および摺動部の作用を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
いくつかの実施形態について図面を参照しながら説明する。
各実施形態においては、食器類を熱風により消毒する食器消毒保管庫が備える棚に本発明に係るスライド棚を適用した例を開示する。すなわち、食器消毒保管庫は厨房機器の一例である。
【0015】
この例に限られず、各実施形態にて開示するスライド棚の構成は、食器消毒保管庫以外の他の厨房機器が備える棚に適用されてもよい。また、各実施形態にて開示するスライド棚の構成は、厨房機器以外にも、一般家庭用の家具、オフィスや工場などで用いられる業務用のラック、小売店における商品の陳列棚など、種々の製品に対して適用可能である。
【0016】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る食器消毒保管庫1の外観の一例を示す斜視図である。図示したように、第1方向D1、第2方向D2および第3方向D3を定義する。これら方向D1,D2,D3は、例えば互いに直交する。第1方向D1は、食器消毒保管庫1の奥行き方向に相当する。第2方向D2は、食器消毒保管庫1の幅方向に相当する。第3方向D3は、食器消毒保管庫1の高さ方向に相当する。
【0017】
食器消毒保管庫1は、前面パネル20と、側面パネル21A,21Bと、背面パネル22と、上面パネル23と、底面パネル24とを備えている。例えば、前面パネル20および背面パネル22は第1方向D1と直交し、側面パネル21A,21Bは第2方向D2と直交し、上面パネル23および底面パネル24は第3方向D3と直交する。前面パネル20には、食器消毒保管庫1の動作に関する各種ボタンや食器消毒保管庫1の内部の温度等を表示するディスプレイを含む操作部25が設けられている。
【0018】
さらに、食器消毒保管庫1は、壁部によって囲われた収容室3と、収容室3を開閉するための扉26A,26Bとを備えている。扉26A,26Bは、前面パネル20の下方に設けられ、それぞれ収容室3の開口部の側辺に対しヒンジによって回動可能に連結されている。
【0019】
収容室3の内部には、複数のスライド棚4が設けられている。詳しくは後述するが、スライド棚4は、第1棚5と、第1棚5に対して第1方向D1にスライド可能な第2棚6とを備えている。
図1の例においては、第3方向D3に並ぶ3つのスライド棚4が収容室3に配置されている。ただし、収容室3に配置されるスライド棚4の数は3つに限定されない。また、収容室3には、スライド棚4に加え、通常の棚(例えば第2棚6を備えず第1棚5のみで構成される棚)が配置されてもよい。
【0020】
図2は、食器消毒保管庫1の内部を示す概略的な断面図である。収容室3は、天井を形成する天板31と、側壁を形成する側板32A,32Bと、奥壁を形成する背板33とで囲われている。例えば、天板31は第3方向D3と直交し、側板32A,32Bは第2方向D2と直交し、背板33は第1方向D1と直交する。
【0021】
天板31は、排気口31aを有している。排気口31aは、例えば円形であり、天板31の第2方向D2における中央に設けられている。天板31の上方には、仕切板34が配置されている。
【0022】
食器消毒保管庫1は、ファン10と、モータ11と、一対のヒータ12A,12Bとをさらに備えている。ファン10は、天板31と仕切板34の間に配置されており、排気口31aを通じて収容室3の内部の空気を吸い込み、天板31と仕切板34の間の空間に吹き出す。このようなファン10としては、例えばシロッコファンを用いることができる。モータ11は、仕切板34と上面パネル23の間に配置されており、ファン10を回転させる。
【0023】
食器消毒保管庫1の内部には、ダクト13A,13Bが形成されている。ダクト13Aは、天板31と仕切板34の間の空間のうちファン10よりも側面パネル21A側の部分、および、側面パネル21Aと側板32Aの間の空間を含む。ダクト13Bは、天板31と仕切板34の間の空間のうちファン10よりも側面パネル21B側の部分、および、側面パネル21Bと側板32Bの間の空間を含む。
【0024】
ヒータ12Aはダクト13Aに配置され、ヒータ12Bはダクト13Bに配置されている。ヒータ12A,12Bとしては、例えばステンレスシーズヒータを用いることができる。
図2の例においては、ヒータ12Aが側板32Aと側面パネル21Aの間に位置し、ヒータ12Bが側板32Bと側面パネル21Bの間に位置している。なお、個別のヒータ12A,12Bに代えて、ファン10を囲う形状の1つのヒータが配置されてもよい。
【0025】
ファン10が回転すると、破線矢印で示す空気の流れが生じる。すなわち、収容室3の内部の空気が排気口31aを通じてファン10に吸い込まれ、ダクト13A,13Bに吹き出される。
【0026】
ダクト13Aに入った空気は、ヒータ12Aによって消毒(殺菌)に適した温度に温められる。この温められた空気は、側板32Aの下端と底面パネル24の間を通り、収容室3の下方から収容室3の内側に送られる。
【0027】
同様に、ダクト13Bに入った空気は、ヒータ12Bによって消毒(殺菌)に適した温度に温められる。この温められた空気は、側板32Bの下端と底面パネル24の間を通り、収容室3の下方から収容室3の内側に送られる。
【0028】
図3は、本実施形態に係るスライド棚4の概略的な斜視図である。
図4は、
図3中のIV-IV線に沿うスライド棚4の概略的な断面図である。上述のとおり、スライド棚4は、第1棚5と、第2棚6とを備えている。第2棚6は、第1棚5の上に配置されている。
【0029】
第1棚5は、複数の第1棒材50と、第1連結部材51Aと、第2連結部材51Bとを備えている。各第1棒材50は、例えばステンレス鋼などの金属材料によって円筒状または円柱状に形成されており、第1方向D1に延びるとともに第2方向D2に一定の間隔を空けて並んでいる。以下の説明においては、複数の第1棒材50のうち、第2方向D2における両端に位置する2本をそれぞれ第1棒材50p,50qと呼ぶことがある。
【0030】
第1連結部材51Aおよび第2連結部材51Bは、例えばステンレス鋼などの金属材料によって四角柱状または四角筒状に形成されており、第2方向D2と平行に延びている。各第1棒材50の一端は第1連結部材51Aに連結され、他端は第2連結部材51Bに連結されている。
【0031】
第1連結部材51Aは
図1に示した扉26A,26Bの近傍に位置し、第2連結部材51Bは背板33の近傍に位置している。例えば、第1連結部材51Aおよび第2連結部材51Bの一端は
図2に示した側板32Aに固定され、他端は側板32Bに固定されている。
【0032】
第2棚6は、複数の第2棒材60と、第1連結部材61Aと、第2連結部材61Bとを備えている。各第2棒材60は、例えばステンレス鋼などの金属材料によって円筒状または円柱状に形成されており、第2方向D2に延びるとともに第1方向D1に一定の間隔を空けて並んでいる。
【0033】
第1連結部材61Aおよび第2連結部材61Bは、例えばステンレス鋼などの金属材料によって四角柱状または四角筒状に形成されており、第1方向D1と平行に延びている。各第2棒材60の一端は第1連結部材61Aに連結され、他端は第2連結部材61Bに連結されている。第1連結部材61Aは
図2に示した側板32Aの近傍に位置し、第2連結部材61Bは側板32Bの近傍に位置している。
【0034】
図3の例においては、第1棚5が9本の第1棒材50を備え、第2棚6が4本の第2棒材60を備えている。すなわち、第2棒材60が第1棒材50よりも少ない。また、第1棒材50が第2方向D2に並ぶ間隔よりも第2棒材60が第1方向D1に並ぶ間隔の方が大きい。ただし、第1棒材50および第2棒材60の数や配置間隔は、この例に限られない。
【0035】
本実施形態においては、第2棚6の第1方向D1における幅W2が第1棚5の第1方向D1における幅W1よりも小さい(W1>W2)。一例では、幅W2は幅W1の1/2以下である。ここで、幅W1は、第1連結部材51Aと第2連結部材51Bの間隔、あるいは第1棒材50の長さに相当する。また、幅W2は、複数の第2棒材60のうち、第1方向D1における両端に位置する2本の間の距離に相当する。
【0036】
第1棚5および第2棚6が
図3のように構成されている場合、第1棚5は第1棒材50および連結部材51A,51Bで囲われた複数の隙間を有し、第2棚6は第2棒材60および連結部材61A,61Bで囲われた複数の隙間を有する。さらに、第1棚5と第2棚6が重なる領域には、第1棒材50、第2棒材60および連結部材51A,51B,61A,61Bで囲われた矩形状の多数の隙間が形成される。このような隙間により、収容室3の下方から供給される空気(熱風)がスライド棚4によって阻害されにくい。
【0037】
スライド棚4は、スライド部7をさらに備えている。スライド部7は、
図3に示すように第1棚5に重ねられた第2棚6を、第1棚5に対して第1方向D1にスライド可能となるように支持する。本実施形態において、スライド部7は、第1連結部材61Aに設けられた2つの第1スライド部7Aと、第2連結部材61Bに設けられた2つの第2スライド部7Bとを含む。
【0038】
図4に示すように、第1連結部材61Aは、上壁61aと、上壁61aの一端から下方に延出する側壁61bと、上壁61aの他端から下方に延出する側壁61cと、側壁61bの下端から第2連結部材61Bに向けて延出する鍔部61dとを有している。上壁61a、側壁61b,61cおよび鍔部61dは、例えば金属板の曲げ加工によって一体的に成形することができる。
【0039】
側壁61bは、第2連結部材61Bと対向し、側壁61cよりも短く形成されている。鍔部61dは、第2方向D2と平行である。例えば、第2棒材60は、側壁61bに設けられた開口に差し込まれている。
【0040】
第1スライド部7Aは、滑り材71(第1滑り材)と、複数の規制材72と、スペーサ73と、ボルト74と、ナット75とを備えている。滑り材71および規制材72は、例えば第1棒材50に対して優れた滑性を有するプラスチックなどの材料で板状に形成されている。滑り材71および規制材72は、必ずしも別々の部材である必要はなく、一体的に成形されてもよい。
【0041】
滑り材71は、鍔部61dの下面に接触している。滑り材71の一端は第2方向D2において鍔部61dから突出しており、他端は側壁61cに当接している。複数の規制材72は、いずれも同じ形状を有しており、互いに重ねられた状態で滑り材71の下面側に配置されている。各規制材72は、滑り材71よりも第2方向D2における幅が小さい。さらに、
図4の例においては、一部の規制材72の一端が側壁61cに当接している。滑り材71は、第2方向D2において各規制材72よりも突出している。スペーサ73は、滑り材71と上壁61aの間に配置され、上壁61aの下面および滑り材71の上面に接触している。
【0042】
ボルト74は、上壁61a、スペーサ73、滑り材71および複数の規制材72にそれぞれ設けられた開口に通されている。
図4の例においては、ボルト74の頭部が上壁61aの上面側に位置し、ボルト74の軸部の先端が最も下に位置する規制材72の下面から突出している。この軸部の突出した部分には雄ねじが形成されており、ナット75に捻じ込まれている。このような構成により、滑り材71および各規制材72が第1連結部材61Aに固定されている。
【0043】
第2連結部材61Bおよび第2スライド部7Bの構成は、第1連結部材61Aおよび第1スライド部7Aの構成と同様である。すなわち、第2連結部材61Bは、第1連結部材61Aと同様に上壁61a、側壁61b,61cおよび鍔部61dを有している。さらに、第2スライド部7Bは、第1スライド部7Aと同様に滑り材71(第2滑り材)、複数の規制材72、スペーサ73、ボルト74およびナット75を備えている。
【0044】
図3および
図4に示すように、第1スライド部7Aの滑り材71は、第1棒材50pの上に配置される。また、第2スライド部7Bの滑り材71は、第1棒材50qの上に配置される。すなわち、本実施形態において、第2棚6は、滑り材71を介して第1棒材50p,50qにより支持される。
【0045】
第2棚6を第1方向D1にスライドさせる際には、滑り材71が第1棒材50p,50qの上を摺動する。第1方向D1における第2棚6の可動範囲は、例えば連結部材51A,51Bおよび連結部材61A,61Bによって規定される。すなわち、第2棚6は、連結部材61A,61Bの一端が第1連結部材51Aに当接する位置と、連結部材61A,61Bの他端が第2連結部材51Bに当接する位置との間で動かすことができる。
【0046】
スライド部7A,7Bの滑り材71がそれぞれ第1棒材50p,50qの上に置かれた状態においては、
図4に示すように、第1スライド部7Aの規制材72の端部と第1棒材50pが第2方向D2に対向する。同様に、第2スライド部7Bの規制材72の端部と第1棒材50qが第2方向D2に対向する。これにより、第2棚6の第2方向D2における移動が規制される。
【0047】
以上の本実施形態に係るスライド棚4によれば、棚上に物品を置く作業の効率が大幅に向上する。例えば、第2棚6が配置されていない第1棚5に対し、
図3における第1連結部材51Aの近傍に作業者が立って第2連結部材51Bの近傍に物品を置く場合、作業者は第1棚5の上方に身を乗り出したり、物品を持つ手を長く伸ばしたりする必要がある。物品が重い場合には、このような姿勢は作業者の負担となる。これに対し、第2棚6が配置されていれば、作業者は先ず第1連結部材51Aの近傍に引き寄せた第2棚6の上に物品を置き、その後に第2棚6を第2連結部材51Bの近傍にスライドさせればよい。これにより、物品が重い場合であっても、物品を置く作業が極めて容易となる。さらに、第2棚6を第2連結部材51Bの近傍にスライドさせた後には、第1棚5のうち第1連結部材51Aの近傍の領域に対して直接物品を置くことができる。
【0048】
スライド棚4が食器消毒保管庫1に適用された場合には、上述の効果は一層顕著となる。すなわち、収容室3のスペースは通常限られており、その奥壁の近傍へのアクセスが困難であることが多い。特に、収容室3内で複数の棚が上下に並べられている場合には、個々の棚の奥の領域に物品を配置する作業が困難を伴い、作業効率を低下させる一因となる。これに対し、本実施形態のように、第2棚6のスライド方向(第1方向D1)が収容室3の扉26A,26Bから収容室3の奥壁(背板33)に向かう奥行き方向と一致するようにスライド棚4が収容室3に配置された場合には、収容室3の奥の方に物品を置く作業が極めて容易となる。
【0049】
また、
図3に示した構成においては、上述の通り収容室3の下方から供給される空気(熱風)がスライド棚4によって阻害されにくい。さらに、第1棚5の第1棒材50が第1方向D1に延びていると、第1棚5の上に置かれた物品を扉26A,26B側から引き出す際に物品の移動が容易となる。
【0050】
また、本実施形態に係るスライド部7の構成であれば、第2棚6は、第1棚5の上に置くだけで使用可能な状態となる。したがって、第2棚6の着脱が極めて容易であり、状況に応じて第2棚6を用いたり、第2棚6を用いずに第1棚5だけで使用したりすることもできる。
【0051】
また、既に納入済みの食器消毒保管庫が備える棚(第1棚5)に対して第2棚6を取り付けることもできる。この場合には、既存の棚に対する特段の加工は不要であるため、工具を用いることなく第2棚6を装着でき、装着作業に伴う異物が収容室3などに混入することもない。
【0052】
なお、スライド棚4の構成が食器消毒保管庫1以外の厨房機器などの他種の製品に適用された場合であっても、ここで述べたものと同種の効果を得ることができる。
【0053】
[第2実施形態]
図5は、第2実施形態に係るスライド棚4の概略的な斜視図である。本実施形態におけるスライド部7は、複数の支持片8により構成されている。スライド部7は、これら支持片8とともに
図3および
図4に示した滑り材71などの構成をさらに備えてもよい。
【0054】
図6は、支持片8の概略的な斜視図である。支持片8は、例えば第1棒材50に対して優れた滑性を有するプラスチックなどの材料で形成されており、第1棒材50および第2棒材60に対して着脱自在である。
【0055】
図6の例において、支持片8は、上面8aと、上面8aの反対側の下面8bと、側面8cと、側面8cの反対側の側面8dと、側面8eと、側面8eの反対側の側面8fとを有している。側面8c,8dは、側面8e,8fよりも大きい幅を有している。
【0056】
さらに、支持片8は、第2棒材60を保持することが可能な保持部81と、第1棒材50と摺動可能な摺動部82とを有している。
図6の例において、保持部81は、上面8aに設けられた横断面形状が半円状の凹部である。保持部81は、側面8cと側面8dの間にわたって形成されている。
【0057】
また、
図6の例において、摺動部82は、下面8bに設けられた横断面形状が半円状の凹部である。摺動部82は、側面8eと側面8fの間にわたって形成されている。保持部81と摺動部82は、互いに直交する方向に延びている。
【0058】
図7は、保持部81および摺動部82の作用を説明するための図である。
図7中の(a)は保持部81が第2棒材60を保持した状態の支持片8の概略的な側面図を示し、
図7中の(b)は摺動部82に第1棒材50が嵌められた状態の支持片8の概略的な側面図を示している。
【0059】
図7(a)に示すように第2棒材60が保持部81に嵌められた状態においては、保持部81の内面と第2棒材60の外面とが密着する。このとき、第2棒材60および保持部81の中心C1が一致する。第2棒材60の外面は、中心C1の周りの周方向において、180度よりも大きい角度θ1の範囲にわたり保持部81によって覆われている。これにより、第2棒材60と保持部81が強固に連結され、意図せぬ両者の離脱が抑制される。
【0060】
なお、第2棒材60に支持片8を装着するときには、保持部81に第2棒材60を押し当てることで、支持片8の弾性により保持部81の入口が拡幅する。また、第2棒材60から支持片8を取り外すときには、支持片8を引っ張ることにより、第2棒材60に押されて保持部81の入口が拡幅する。これにより、支持片8の着脱が極めて容易である。
【0061】
図7(a)に示すように、支持片8が第2棒材60の上方に突出しないことが好ましい。これにより、第2棒材60の上に置かれる物品が支持片8と干渉しにくくなる。
【0062】
図7(b)に示すように第1棒材50が摺動部82に嵌められた状態においては、摺動部82の内面と第1棒材50の外面とが密着する。このとき、第1棒材50および摺動部82の中心C2が一致する。第1棒材50の外面は、中心C2の周りの周方向において、180度未満の角度θ2の範囲にわたって摺動部82により覆われている。この状態においては、摺動部82が第1棒材50を拘束しない。そのため、摺動部82の内面と第1棒材50の外面の円滑な摺動が可能である。
【0063】
また、支持片8のうち摺動部82と側面8c,8dの間に位置する部分は、支持片8と第1棒材50の第2方向D2への相対的な移動を規制する規制部83として機能する。これにより、第1棚5に対する第2棚6の第2方向D2へのずれを抑制することができる。
【0064】
支持片8は、第2棚6が安定的に支持される位置に適宜に配置すればよい。例えば
図5の例においては、6か所に分散して支持片8が配置されている。これらのうちの2つは第1棒材50pの上に置かれ、他の2つは第1棒材50qの上に置かれている。これにより、第2棚6のがたつきが抑制される。さらに、残りの2つの支持片8が第2方向D2における中央に位置する第1棒材50の上に置かれている。これにより、第2棚6の上に重い物品が置かれた場合であっても、第2棚6の撓みを抑制することが可能である。
以上の他にも、本実施形態からは第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0065】
図8は、支持片8の他の例を示す概略的な斜視図である。
図9は、
図8に示す支持片8の保持部81および摺動部82の作用を説明するための図である。
【0066】
上述の
図6および
図7の例においては、支持片8の第1方向D1における幅が第2方向D2における幅よりも大きい。一方で、
図8および
図9の例においては、支持片8の第1方向D1における幅と第2方向D2における幅が同等である。
【0067】
さらに、
図8および
図9の例における摺動部82は、横断面形状が矩形状の凹部である。
図9(b)に示すように、支持片8が第1棒材50の上に置かれた状態では、第1棒材50の上部が摺動部82の底面に接触する。この場合、
図7(b)の例と比べて第1棒材50と摺動部82の接触面積が小さくなる。そのため、第2棚6をスライドさせる際に、第1棒材50と摺動部82がより円滑に摺動する。
【0068】
なお、
図9(b)の例においても
図7(b)の例と同じく、第2方向D2における摺動部82の両側方に規制部83が形成されている。そのため、第1棚5に対する第2棚6の第2方向D2へのずれを抑制することができる。
【0069】
以上の第1および第2実施形態にて開示した構成は、種々の態様に変形することが可能である。
例えば、第1実施形態においては、複数の第1棒材50のうち第2方向D2における両端に位置する第1棒材50p,50qに対してスライド部7A,7Bの滑り材71を摺動させる構成を例示した。しかしながら、滑り材71は他の第1棒材50と摺動するように配置されてもよい。
【0070】
また、第2実施形態における支持片8の形状は、
図6乃至
図9に示したものに限られない。すなわち、保持部81は第2棒材60に取り付け可能な構造であればよく、第2棒材60の形状などに応じて種々の構造を採用し得る。また、摺動部82は第1棒材50と摺動可能であればよく、第1棒材50の形状などに応じて種々の構造を採用し得る。
【0071】
また、第1実施形態にて開示したスライド棚4と、第2実施形態にて開示したスライド棚4の双方を食器消毒保管庫1などの厨房機器が備えてもよい。
【符号の説明】
【0072】
1…食器消毒保管庫、3…収容室、4…スライド棚、5…第1棚、50…第1棒材、51A…第1連結部材、51B…第2連結部材、6…第2棚、60…第2棒材、61A…第1連結部材、61B…第2連結部材、7…スライド部、71…滑り材、8…支持片、81…保持部、82…摺動部。
【手続補正書】
【提出日】2024-02-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を載置可能な第1棚と、
物品を載置可能であり、第1方向において前記第1棚よりも小さい幅を有する第2棚と、
前記第1棚に重ねられた前記第2棚を前記第1棚に対して前記第1方向にスライド可能となるように支持するスライド部と、
を備え、
前記第1棚は、前記第1方向に延びるとともに前記第1方向と交差する第2方向に並ぶ複数の第1棒材を含み、
前記第2棚は、前記第2方向に延びるとともに前記第1方向に並ぶ複数の第2棒材を含む、スライド棚。
【請求項2】
前記第2棚は、
前記複数の第2棒材の一端が連結された第1連結部材と、
前記複数の第2棒材の他端が連結された第2連結部材と、
を備え、
前記スライド部は、
前記第1連結部材に設けられた第1滑り材と、
前記第2連結部材に設けられた第2滑り材と、
を備え、
前記第1滑り材および前記第2滑り材は、前記複数の第1棒材のうちの異なる2つの上にそれぞれ配置され、これら前記第1棒材と前記第1方向に摺動可能である、
請求項1に記載のスライド棚。
【請求項3】
前記スライド部は、複数の支持片を含み、
前記複数の支持片の各々は、
前記第2棒材を保持する保持部と、
前記第1棒材と前記第1方向に摺動可能であるとともに、前記第1棒材に対する前記第2方向への前記支持片の移動を規制する摺動部と、
を有する、
請求項1に記載のスライド棚。
【請求項4】
請求項1乃至3のうちいずれか1項に記載のスライド棚を備える厨房機器。
【請求項5】
前記厨房機器は、
壁部によって囲われた収容室と、
前記収容室を開閉する扉と、
を備え、
前記スライド棚は、前記第1方向が前記扉から前記収容室の奥壁に向かう奥行き方向と一致するように前記収容室に配置される、
請求項4に記載の厨房機器。
【請求項6】
収容室と、
前記収容室に配置されたスライド棚と、
を備え、
前記スライド棚は、
物品を載置可能であり、前記収容室に固定された第1棚と、
物品を載置可能であり、前記収容室の奥行き方向において前記第1棚よりも小さい幅を有し、前記第1棚の上に重ねられた第2棚と、
前記第2棚を前記第1棚に対して前記奥行き方向にスライド可能となるように支持するスライド部と、
を備える、厨房機器。