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特開2024-87533カラオケ装置、カラオケ用プログラム、及び、カラオケ装置用パラメータ設定方法
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  • 特開-カラオケ装置、カラオケ用プログラム、及び、カラオケ装置用パラメータ設定方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087533
(43)【公開日】2024-07-01
(54)【発明の名称】カラオケ装置、カラオケ用プログラム、及び、カラオケ装置用パラメータ設定方法
(51)【国際特許分類】
   G10K 15/04 20060101AFI20240624BHJP
【FI】
G10K15/04 302D
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022202409
(22)【出願日】2022-12-19
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100157118
【弁理士】
【氏名又は名称】南 義明
(72)【発明者】
【氏名】水谷 哲也
(72)【発明者】
【氏名】亀井 雅弘
【テーマコード(参考)】
5D208
【Fターム(参考)】
5D208CA10
5D208CC05
(57)【要約】
【課題】接続されたデバイスが異なる場合であっても、良好な音質で音出力を可能とすることを目的とする。
【解決手段】本発明に係るカラオケ装置は、設定されたパラメータに基づき音に関する処理を実行し、処理された音の出力を行う音処理部と、前記音処理部以外のデバイスの接続状況を判断する判断部と、前記判断部で判断された前記デバイスの接続状況に基づき、前記音処理部のパラメータを設定するパラメータ設定部を備えたことを特徴とする。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
設定されたパラメータに基づき音に関する処理を実行し、処理された音の出力を行う音処理部と、
前記音処理部以外のデバイスの接続状況を判断する判断部と、
前記判断部で判断された前記デバイスの接続状況に基づき、前記音処理部のパラメータを設定するパラメータ設定部を備えた
カラオケ装置。
【請求項2】
前記判断部で判断される前記デバイスの接続状況は、前記デバイスの有無、前記デバイスの有効/無効設定、もしくは、前記デバイスの種類の少なくとも1つである
請求項1に記載のカラオケ装置。
【請求項3】
前記判断部は、前記カラオケ装置の起動時に前記デバイスの接続状況を判断する
請求項1に記載のカラオケ装置。
【請求項4】
前記デバイスは、ハードディスク、メモリ、ビデオカード、通信部、表示部、USB機器、電源の少なくとも1つである
請求項1に記載のカラオケ装置。
【請求項5】
複数の前記デバイスを接続可能であって、
前記音処理部に設定されるパラメータは、複数の前記デバイスの接続状況の組み合わせに応じたものである
請求項1に記載のカラオケ装置。
【請求項6】
前記音処理部に設定されるパラメータは、処理対象となる音の音質に関するパラメータである
請求項1に記載のカラオケ装置。
【請求項7】
デバイスの接続状況に対応したパラメータを記憶する記憶部を備えた
請求項1に記載のカラオケ装置。
【請求項8】
記憶部は、デバイスの接続状況に対応したパラメータを追加あるいは変更可能である
請求項7に記載のカラオケ装置。
【請求項9】
情報処理装置で実行可能なカラオケ用プログラムであって、
設定されたパラメータに基づき音に関する処理を実行し、処理された音の出力を行う音処理と、
前記音処理以外の処理を実行するデバイスの接続状況を判断する判断処理と、
前記判断処理で判断された前記デバイスの接続状況に基づき、前記音処理のパラメータを設定するパラメータ設定処理と、を実行する
カラオケ用プログラム。
【請求項10】
カラオケ装置のパラメータを設定するカラオケ装置用パラメータ設定方法であって、
設定されたパラメータに基づき音に関する処理を実行し、処理された音の出力を行う音処理と、
前記音処理以外の処理を実行するデバイスの接続状況を判断する判断処理と、
前記判断処理で判断された前記デバイスの接続状況に基づき、前記音処理のパラメータを設定するパラメータ設定処理と、を実行する
カラオケ装置用パラメータ設定方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伴奏に合わせて歌唱を楽しむことのできるカラオケ装置、並びに、カラオケ用プログラム、カラオケ装置用パラメータ設定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、伴奏の再生を行い、伴奏に併せて歌唱を楽しむカラオケ装置が知られている。このようなカラオケ装置は、情報処理装置で構成され、各種パラメータに基づいて処理を実行することが知られている。
【0003】
特許文献1には、カラオケ装置の再起動が行われた際に、パラメータを初期化すること、並びに、再起動により初期化される設定事項以外の設定事項が変更されたことを、適切なタイミングで管理者に報知できるようにすることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-48391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
カラオケ装置では、製品種別及び製造時期が同じであっても、製品ごとに構成するデバイスが異なることがある。また、同じ製品種別であっても異なる製造時期により、構成するデバイスの種類が異なることもある。このような状況において、出願人は、ハードディスクの様な本体内蔵デバイス、あるいは、外付けデバイス等、カラオケ装置に対して何等かの電気的接続を行うデバイスの接続状況により音出力の特性が微妙に変化することを新たに見出した。
【0006】
一方、カラオケ装置において、カラオケを楽しむには良好な音質であることが必要とされる。しかしながら、デバイスの接続状況によって音出力の特性が変化することは、良好な音質が必要とされるカラオケ装置において好ましいものとはいえない。また、製品毎に音出力の特性が変化することも好ましいものではない。
【0007】
本発明は、このような状況を鑑みたものであって、カラオケを行う際、良好な音質、もしくは、均一な音出力特性での音出力を提供することを1つの目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そのため、本発明に係るカラオケ装置は以下の構成を採用するものである。
設定されたパラメータに基づき音に関する処理を実行し、処理された音の出力を行う音処理部と、
前記音処理部以外のデバイスの接続状況を判断する判断部と、
前記判断部で判断された前記デバイスの接続状況に基づき、前記音処理部のパラメータを設定するパラメータ設定部を備えた。
【0009】
さらに本発明に係るカラオケ装置において、
前記判断部で判断される前記デバイスの接続状況は、前記デバイスの有無、前記デバイスの有効/無効設定、もしくは、前記デバイスの種類の少なくとも1つである。
【0010】
さらに本発明に係るカラオケ装置において、
前記判断部は、前記カラオケ装置の起動時に前記デバイスの接続状況を判断する。
【0011】
さらに本発明に係るカラオケ装置において、
前記デバイスは、ハードディスク、メモリ、ビデオカード、通信部、表示部、USB機器、電源の少なくとも1つである。
【0012】
さらに本発明に係るカラオケ装置は、
複数の前記デバイスを接続可能であって、
前記音処理部に設定されるパラメータは、複数の前記デバイスの接続状況の組み合わせに応じたものである。
【0013】
さらに本発明に係るカラオケ装置において、
前記音処理部に設定されるパラメータは、処理対象となる音の音質に関するパラメータである。
【0014】
さらに本発明に係るカラオケ装置は、
デバイスの接続状況に対応したパラメータを記憶する記憶部を備えた。
【0015】
さらに本発明に係るカラオケ装置において、
記憶部は、デバイスの接続状況に対応したパラメータを追加あるいは変更可能である。
【0016】
また本発明に係るカラオケ用プログラムは、
情報処理装置で実行可能なカラオケ用プログラムであって、
設定されたパラメータに基づき音に関する処理を実行し、処理された音の出力を行う音処理と、
前記音処理以外の処理を実行するデバイスの接続状況を判断する判断処理と、
前記判断処理で判断された前記デバイスの接続状況に基づき、前記音処理のパラメータを設定するパラメータ設定処理と、を実行する。
【0017】
また本発明に係るカラオケ装置用パラメータ設定方法は、
カラオケ装置のパラメータを設定するカラオケ装置用パラメータ設定方法であって、
設定されたパラメータに基づき音に関する処理を実行し、処理された音の出力を行う音処理と、
前記音処理以外の処理を実行するデバイスの接続状況を判断する判断処理と、
前記判断処理で判断された前記デバイスの接続状況に基づき、前記音処理のパラメータを設定するパラメータ設定処理と、を実行する。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係るカラオケ装置、カラオケ用プログラム、あるいは、カラオケ装置用パラメータ設定方法によれば、デバイスの接続状況が異なる場合であっても良好な音質、もしくは、均一な音出力特性で音出力を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本実施形態のカラオケシステムの構成を示す図
図2】本実施形態のカラオケ装置の起動処理を示すフロー図
図3】本実施形態で使用する各種リストを示す図
図4】本実施形態で使用するパラメータ(1バンド分)を説明するための図
図5】本実施形態の再生処理処理を示すフロー図
図6】他の実施形態の再生処理を示すフロー図
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、本実施形態のカラオケシステムの構成を示す図である。本実施形態におけるカラオケシステムは、カラオケ装置2(コマンダと呼ぶこともある)と、リモコン装置1とを含んで構成されている。本実施形態では、カラオケ装置2、リモコン装置1は、有線あるいは無線にてLAN100に通信接続され、ネットワークを形成している。
【0021】
カラオケボックス等の店舗に設置されるカラオケ装置2は、楽曲(伴奏)を再生する音処理部25を備えている。本実施形態の音処理部25は、各マイクロホン43a、43bから入力される音声信号にエコー等の効果を付与する音質調整部25a、25bと、楽曲を再生する再生部25c、効果が付与された音声信号と、楽曲の再生信号を加算する加算部25dを備えて構成されている。加算部25dで加算された信号は、スピーカー42に出力される。なお、図1では、スピーカー42は、便宜上、1個で記載しているが、複数のスピーカー42とし、ステレオ出力あるいはサラウンド出力とする等、各種形態を採用することが可能である。
【0022】
本実施形態のカラオケ装置2は、インターフェイス22a~22dを介して各種デバイスを接続することで構成されている。なお、図1では、4つのインターフェイス22a~22dを使用しているが、インターフェイス22a~22dの形態は、例えば、1つにする、デバイス毎に設ける等、各種形態を採用することが可能である。
【0023】
カラオケ装置2は、ユーザからの各種入力を受け付ける操作部21を備える。また、カラオケ装置2は、各種情報を記憶する記憶部としてのハードディスク32を備える。カラオケ装置2は、LAN100に接続してネットワークに加入する通信手段としてのLAN通信部24aを備えている。また、本実施形態のカラオケ装置2は、無線LAN通信部24bも備えており、LAN通信部24aを使用した有線によるネットワーク接続に代え、無線LAN通信部24bを使用した無線によるネットワーク接続を行うことも可能である。
【0024】
また、カラオケ装置2は、モニタ41に対して歌詞映像、及び背景映像等を表示させる映像再生部を備える。映像再生部は、映像データに基づいて映像を再生する映像形成部29と、再生される映像を一時的に蓄積するビデオRAM28と、再生された映像に対する歌詞映像の重畳、及び映像効果の付与等を行う映像制御部31を備えて構成される。これら映像再生部は、1つのデバイスとして構成されたビデオカードとして提供されるものであってもよい。
【0025】
さらに、このカラオケ装置2では、外部に接続されるモニタ41以外に、タッチパネルモニタ33に対して各種情報を表示することを可能としている。タッチパネルモニタ33は、映像制御部31から入力された映像を表示する表示部35と、タッチ入力された位置をインターフェイス22bに出力するタッチパネル34とで構成されている。本実施形態のタッチパネルモニタ33は、カラオケ装置2の筐体前面等に配置され、ユーザからの各種操作を受け付ける入力部として機能する。ユーザは、タッチパネルモニタ33にて楽曲を選択することで、直接カラオケ装置2に楽曲を予約する等、カラオケ装置2に対する各種操作を行うことが可能である。
【0026】
さらに、カラオケ装置2は、各構成を統括して制御するためのCPU30と、各種プログラムを実行するにあたって必要となる情報を一時記憶するためのメモリ27とを含んだ制御部を備えて構成されている。
【0027】
本実施形態のカラオケ装置2は、USB機器44を接続可能なUSB端子36を有して構成されている。USB機器44としては、例えばカラオケ装置2の機能を追加する拡張ユニット等がある。また、カラオケ装置2は、各構成に対して電源を供給する電源37が設けられている。なお、本実施形態では、電源37もカラオケ装置2を構成するデバイスの1つであり、カラオケ装置2の生産時期等によって、異なるメーカーあるいは異なる種類が使用されることがある。
【0028】
このような構成にてカラオケ装置2は、各種処理を実行することとなるが、カラオケ装置2の主な機能として、楽曲予約処理、及び再生処理等を実行可能としている。楽曲予約処理は、ユーザからの指定に基づいて楽曲を指定して予約するための処理であって、リモコン装置1と連携して実行される。リモコン装置1の選曲処理で形成された予約情報は、カラオケ装置2に送信される。カラオケ装置2は、受信した予約情報をメモリ27中の予約テーブルに登録する。再生処理は、予約された楽曲を再生させる処理であって、演奏処理、歌詞表示処理、及び動画再生処理が同期して実行される処理である。
【0029】
演奏処理は、楽曲データに含まれる演奏データに基づき、再生部25cに演奏を実行させる処理である。再生部25cで演奏された楽曲は、加算部25dにおいて、マイクロホン43a、43bから入力される音声信号とミキシングされスピーカー42から放音される。歌詞表示処理は、楽曲データに含まれる歌詞データに基づく歌詞映像をモニタ41に表示させることで歌唱補助を行う処理である。この歌詞表示処理で表示される歌詞映像に、背景映像を重畳させて表示させる背景映像表示処理を実行することとしてもよい。
【0030】
一方、リモコン装置1は、ユーザからの指示に基づいて楽曲を検索し、再生指示のあった楽曲について予約情報をカラオケ装置2に送信する選曲処理を実行可能としている。また、リモコン装置1は、カラオケ装置2あるいはインターネット上に接続されたサーバー装置5から各種情報を受信し、各種処理を実行することが可能である。本実施形態では、ユーザから各種指示を受け付けるユーザインターフェイスとして、操作部17と、タッチパネルモニタ11とを備えている。タッチパネルモニタ11は、表示部11aとタッチパネル11bとを有して構成され、表示部11aに各種情報を表示するとともに、ユーザからのタッチ入力を受付可能としている。
【0031】
さらにリモコン装置1は、選曲処理に必要とされるデータベース、各種プログラム、並びに、プログラム実行に伴って発生する各種情報を記憶する記憶部として、メモリ14、そして、これら構成を統括して制御するためのリモコン側制御部を備えて構成される。リモコン側制御部には、CPU15、タッチパネルモニタ11に対して表示する映像を形成する映像制御部13、表示する映像の映像データを一時的に蓄えるビデオRAM12、及びタッチパネルモニタ11あるいは操作部17からの入力を解釈してCPU15に伝える操作処理部18が含まれている。
【0032】
リモコン装置1は、無線LAN通信部16によって、アクセスポイント130と無線接続されることで、LAN100によって構成されるネットワークに接続される。なお、各リモコン装置1は、特定のカラオケ装置2に対して事前に対応付けされている。リモコン装置1から出力される各種命令は、対応付けされたカラオケ装置2にて受信されることとなる。
【0033】
このようなリモコン装置1の構成により、ユーザからの各種入力をタッチパネルモニタ11、あるいは、操作部17から受付けるとともに、タッチパネルモニタ11の表示により各種情報を提供することで、カラオケ装置2に対して出力する予約情報を送信する選曲処理等、各種処理を行うことが可能となっている。
【0034】
上述したようにカラオケ装置2は、インターフェイス22a~22dに接続された各種デバイスを有して構成されている。このような状況の中、カラオケ装置2は、製品種別及び製造時期が同じであっても、製品ごとに構成するデバイスが異なることがある。また、同じ製品種別であっても異なる製造時期により、構成するデバイスの種類が異なることもある。このような状況において、出願人は、カラオケ装置2に対して何等かの電気的接続を行うデバイスの接続状況により、スピーカー42から出力される音出力の特性が微妙に変化することを新たに見出した。
【0035】
一方、カラオケ装置において、カラオケを楽しむには良好な音質であることが必要とされる。しかしながら、デバイスの接続状況によって音出力の特性が変化することは、良好な音質が必要とされるカラオケ装置において好ましいものとはいえない。また、製品毎に音出力の特性が変化することも好ましいものではない。
【0036】
そのため、本実施形態では、カラオケ装置2におけるデバイスの接続状況を判断し、判断されたデバイスの接続状況に基づき、音処理部25で使用するパラメータを設定することで、製品毎の音出力の変化を抑制する等、良好な音を提供することとしている。
【0037】
なお、本実施形態において対象となるデバイスとは、ハードディスク32、メモリ27、ビデオカード、表示部35、各種通信部(赤外線通信部23、LAN通信部24a、無線LAN通信部24b等)、電源37の様な本体内蔵デバイス、あるいは、USB機器44のような外付けデバイス等、マイクロホン43a、43bから入力される音声信号、あるいは、再生部25cから出力される再生信号等に対する音処理に直接関与しないデバイスであって、音処理部25以外のデバイスのことをいう。
【0038】
本実施形態では、接続状況の判断対象となるデバイスとして、ハードディスク32、そして、無線LAN通信部24bとしており、接続状況としては、ハードディスク32の種類、無線LANの設定状況(有効設定あるいは無効設定)としている。対象となるデバイス、また、その接続状況としては、この例に限られるものではなく、カラオケ装置2で使用される音処理部25以外の各種デバイス、そして、その接続状況を対象とすることが可能である。接続状況としては、デバイスの接続の有無、接続されたデバイスの種類、接続されたデバイスの有効/無効設定等、各種形態を使用することが考えられる。
【0039】
また、デバイスの接続状況によって設定される音処理部25のパラメータとしては、音質調整部25a、25bの音質調整に使用するパラメータを使用している。音処理部25におけるパラメータとしては、この例に限られるものではなく、音質調整部25a、25bにおける音量、あるいは、再生部25cで使用さる音質あるいは音量に関するパラメータ、あるいは、加算部25dにおける音量等、音処理部25で使用され、スピーカー42から放音される音質あるいは音量に関する各種パラメータを、1つ乃至複数対象とすることが可能である。
【0040】
図2は、本実施形態のカラオケ装置2の起動処理を示すフロー図である。本実施形態では、カラオケ装置2に電源を入れた起動処理時に、デバイスの接続状況の判断、及び、音処理部25に対するパラメータの設定を行うこととしている。また、前述したように接続状況の判断対象となるデバイスとして、ハードディスク32、及び、無線LAN通信部24bを使用している。
【0041】
カラオケ装置2に電源が投入されると、図2に示される起動処理が実行される。起動処理では、カラオケ装置2を構成する各種構成の起動が行われる(S101)。本実施形態では、メモリ27等の記憶部に、使用環境を示す設定情報が記憶されており、設定情報に基づき、各種構成が起動される。設定情報には、無線LAN通信部24bを使用するか否か(オン/オフ)の設定が含まれており、この設定に基づき無線LAN通信部24bがオンあるいはオフに設定される(S102)。なお、設定情報は、カラオケ装置2の使用時(起動時)において、操作部21に対する操作、あるいはサーバー装置5からの遠隔操作によって設定することが可能である。
【0042】
次に、カラオケ装置2は、ハードディスク32からSMART情報(Self-Monitoring,Analysis and Reporting Technology)を取得する(S103)。SMART情報は、個々のハードディスク32に関する各種情報であって、本実施形態では、SMART情報中、ハードディスクの種類についての情報が使用される。
【0043】
S102における無線LAN通信部24bの接続状況(デバイスのオン/オフ設定)の判断、及び、S103でのハードディスクの接続状況(デバイスの種類)の判断に基づき、音処理部25で使用するパラメータが決定される。
【0044】
図3は、本実施形態で使用する各種リストを示す図である。図3(A)は、ハードディスクタイプ判別リストであり、図3(B)は、パラメータ判別リストである。これらリストは、カラオケ装置2のメモリ27、あるいは、ハードディスク32に記憶されている。また、これらリストは、管理者によるメンテナンス、あるいは、サーバー装置5からの配信によって更新、追加することが可能であり、カラオケ装置2のデバイスの仕様変更等に対応することが可能である。
【0045】
図3(A)に示されるハードディスクタイプ判別リストに基づき、ハードディスク32から読み取られたSMART情報中、ハードディスクの種別に関する情報に基づき、ハードディスクタイプが判別される。本実施形態では、図3(A)に示されるように2種類のタイプのハードディスク32が使用されることが前提とされている。また、パラメータについては、図3(B)に示されるように、無線LAN設定のオン/オフ別、そして、2種類のハードディスク32のタイプ別に応じた4種類のパラメータA~Dが設定されている。これらパラメータA~Dは、メーカー側にてデバイスの接続状況毎に調整された値となっており、各デバイスの接続状況毎に、音処理部25で良好な音質を担保することが可能な値となっている。
【0046】
図4は、本実施形態で使用するパラメータ(1バンド分)を説明するための図である。本実施形態のパラメータは、音処理部25中、音質調整部25a、25bについて、その周波数特性を変更する値となっている。これらパラメータは、パラメトリックイコライザとして機能する音質調整部25a、25bについて、その周波数特性を制御する値であって、1バンドについて、中心周波数f、利得G、調整幅Qを調整することが可能である。各音質調整部25a、25bに対して、3バンド分のパラメータを適用することで、マイクロホン43a、43bに入力される音声信号に対する音質調整を行うことが可能である。また、デバイスの接続状況によって使用するパラメータを異ならせることで、デバイスの接続状況が異なる場合であっても、良好な音質とする、あるいは、音質を一定にすることが可能となっている。
【0047】
起動処理では、無線LAN通信部24bがオンに設定され(S104:Yes)、ハードディスク32がTypeAである場合(S105:TypeA)、パラメータ判別リストに基づき、パラメータAが取得される(S107)。同様に、パラメータ判別リストに基づき、無線LAN通信部24bがオンに設定され(S104:Yes)、ハードディスク32がTypeBである場合(S105:TypeB)である場合は、パラメータBが取得(S107)され、無線LAN通信部24bがオフに設定され(S104:No)、ハードディスク32がTypeAである場合(S108:TypeA)は、パラメータCが取得(S109)され、無線LAN通信部24bがオフに設定され(S104:No)、ハードディスク32がTypeBである場合(S105:TypeB)は、パラメータDが取得(S110)される。
【0048】
デバイスの接続状況に基づき取得されたパラメータは、音処理部25(本実施形態では、音質調整部25a、25b)に設定され、スピーカー42から出力される音質の調整に使用される。このように、本実施形態では、デバイスの接続状況に基づき、音処理部25で使用されるパラメータを変更することで、ハードディスクの種類(メーカー、製造時期、容量等)、あるいは、無線LAN通信部24bのオン/オフ設定が異なる場合であっても、スピーカー42からの音出力特性を良好なものとすることが可能となっている。
【0049】
図5は、本実施形態の再生処理処理を示すフロー図である。起動処理で音処理部25で設定されたパラメータは、カラオケ装置2における再生処理において使用される。再生処理は、楽曲データを再生する処理であり、本実施形態では、予約処理で予約された順で楽曲が再生される。
【0050】
予約処理(図示せず)では、ユーザの操作に基づき、楽曲の識別情報が予約テーブルに登録される。再生処理では、予約テーブルをチェック(S101)し、次に再生する楽曲の有無を確認する(S102)。次に再生する楽曲が有る場合(S102:Yes)、次に再生する楽曲の識別情報に対応する楽曲データを読み出し(S103)、楽曲データの再生が開始される(S104)。その際、マイクロホン43a、43bから入力される音声信号に対しては、音質調整部25a、25bにおいて、起動処理で設定されたパラメータに基づく音質調整が行われ、スピーカーへの音出力が実行される(S105)。楽曲データの再生が終了した場合(S106:Yes)、再生処理の先頭に戻り、予約テーブルのチェックが行われる(S101)。
【0051】
以上、説明したように、この再生処理では、音処理部25(具体的には音質調整部25a、25b)に設定されたパラメータに基づき、音質調整が行われることになる。その際、起動処理において、デバイスの接続状況に応じたパラメータが設定されるため、スピーカー42からの音出力は、デバイスの接続状況に適したものとなる。
【0052】
<第1変形例>
以上、前述の実施形態では、起動処理において、デバイスの接続状況を判断し、デバイスの接続状況に適したパラメータを使用した再生処理を行うことが可能となっている。ところで、接続状況の判断対象となるデバイスには、前述の実施形態のように、ハードディスク32の種類、あるいは、無線LAN通信部24bのオン/オフ設定のように、カラオケ装置2の起動中、変更されない、あるいは、変更される可能性の少ないもの以外に、例えば、USB機器44のように起動中、容易に変更可能なデバイスも存在する。
【0053】
第1変形処理では、デバイスの接続状況の判断を、起動時のみならず、各楽曲の再生処理毎に行う形態としている。図6は、他の実施形態(第1変形例)に係る再生処理を示すフロー図である。図5の再生処理のフロー図とは、S111~S114が追加されている点において異なっている。ここでは、相違点となるS111~S114について説明を行う。
【0054】
図5の再生処理では、カラオケ装置2の起動時にデバイスの接続状況を判断し、それに応じたパラメータを音処理部に設定していた。第1変形例では、再生処理中、楽曲の再生開始前にデバイスの接続状況の変化を監視し、デバイスの接続状況に変更があった場合(S111:Yes)、例えば、USB機器44が新たに接続された(あるいは、取り外された等)、デバイスの接続状況を判断し(S112)、判断された接続状況に対応するパラメータを読み出し(S113)、読み出されたパラメータを音処理部25に設定する(S114)こととしている。
【0055】
このように、第1変形例では、楽曲データの再生毎にデバイスの接続状況に応じたパラメータが使用されるため、カラオケ装置2の起動中、デバイスの接続状況が変化した場合であっても、接続状況に応じたパラメータを使用し、好適な音出力を行うことが可能となっている。また、楽曲データの再生中は、パラメータが変更されないため、楽曲データの再生中にパラメータが変更されないため、再生中、音質が変化することもない。
【0056】
なお、第1変形例では、楽曲データの再生開始前にデバイスの接続状況の判断、並びに、パラメータの設定を行っているが、デバイスの接続状況の判断、並びに、パラメータの設定のタイミングは、楽曲データの再生期間以外の適宜タイミング(楽曲データの再生終了時等)で行うことが可能である。あるいは、楽曲再生中の歌唱区間以外の区間(前奏、間奏、後奏)で行うこととしてもよい。
【0057】
また、デバイスの接続状況の判断、並びに、パラメータの設定は、起動処理、及び、再生処理の両方において行うこととしてもよい。その際、起動処理で接続状況を判断されるデバイスと、再生処理で接続状況で判断されるデバイスを異ならせることとしてもよいし、両者間において共通のデバイスを判断対象としてもよい。
【0058】
<第2変形例>
前述の実施形態では、マイクロホン43a、43bに入力される音声信号の音質(具体的には周波数特性)に関するパラメータを設定対象とするものであった。使用するパラメータとしては、このような形態に限られるものではなく、例えば、再生部25cにおける楽曲データの再生音に関するパラメータとする、あるいは、加算部25dで加算された音信号に対する音質調整に関するパラメータ等、音処理部25で使用されるパラメータであって、スピーカー42から出力される音に対して使用されるパラメータであれば、各種のものを採用することが可能である。
【0059】
<第3変形例>
前述の実施形態で説明したように、デバイスの接続状況に応じたパラメータは、図3(B)のパラメータ判別リストのような形態で、メモリ27、ハードディスク32等の記憶部に記憶されている。カラオケ装置2のリリース後、カラオケ装置2で使用されるデバイスの仕様が変化する、あるいは、カラオケ装置2において利用可能となるUSB機器44が新たに追加されることが考えられる。あるいは、新たなデバイスが利用可能になることで、好適なパラメータが変化することも考えられる。
【0060】
そのため、デバイスの接続状況に応じたパラメータ(パラメータ判別リスト)は、追加あるいは変更可能とすることが好ましい。パラメータ判別リストの追加、変更は、例えば、管理者がメンテナンス時に、USB端子36を使用して外部から行う、あるいは、サーバー装置5からの配信によって行うことが可能である。
【0061】
<第4変形例>
前述の実施形態では、ハードディスク32の種類、無線LAN通信部24bのオン/オフ別(2種類)に応じた4種類のパラメータA~Dを使用することとしていた。このように、前述の実施形態では、音処理部25に設定されるパラメータは、複数のデバイスの接続状況の組み合わせに応じたものとなっている。
【0062】
判断するデバイスの接続状況は、前述の実施形態のように2種類とすることに限られるものではなく、1種類とする、あるいは、3種類以上とすることが考えられる。例えば、3種類の場合、3種類の組み合わせ(9通り)に応じた9種類のパラメータを用意しておくことで、組み合わせに好適な音出力を行うことが可能となる。
【0063】
以上、各種実施形態について説明したが、本発明は、カラオケ装置2に限られるものではなく、各種情報処理装置(パソコン、ゲーム機、スマートフォン等)で実行可能であって、実行されることで本発明に係るカラオケ装置2を実現するカラオケ用プログラム、あるいは、カラオケ装置2にパラメータを設定するカラオケ装置用パラメータ設定方法についてもその範疇に属するものである。
【符号の説明】
【0064】
1:リモコン装置 25a、25b:音質調整部
2:カラオケ装置 25c:再生部
5:サーバー装置 25d:加算部
11:タッチパネルモニタ 27:メモリ
11a:表示部 28:ビデオRAM
11b:タッチパネル 29:映像形成部
12:ビデオRAM 30:CPU
13:映像制御部 31:映像制御部
14:メモリ 32:ハードディスク
15:CPU 33:タッチパネルモニタ
16:無線LAN通信部 34:タッチパネル
17:操作部 35:表示部
18:操作処理部 36:USB端子
21:操作部 37:電源
22a~22d:インターフェイス 41:モニタ
23:赤外線通信部 42:スピーカー
24a:LAN通信部 43a、43b:マイクロホン
24b:無線LAN通信部 44:USB機器
25:音処理部 130:アクセスポイント

図1
図2
図3
図4
図5
図6