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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087536
(43)【公開日】2024-07-01
(54)【発明の名称】制御装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 1/00 20060101AFI20240624BHJP
【FI】
H02J1/00 307
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022202418
(22)【出願日】2022-12-19
(71)【出願人】
【識別番号】390000594
【氏名又は名称】株式会社レクザム
(74)【代理人】
【識別番号】100115749
【弁理士】
【氏名又は名称】谷川 英和
(74)【代理人】
【識別番号】100121223
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 悟道
(72)【発明者】
【氏名】谷本 卓也
(72)【発明者】
【氏名】山地 佑介
(72)【発明者】
【氏名】石川 聡祐
(72)【発明者】
【氏名】川上 健瑠
【テーマコード(参考)】
5G165
【Fターム(参考)】
5G165AA01
5G165CA01
5G165EA06
5G165GA06
5G165GA07
5G165HA04
5G165NA01
5G165NA04
5G165NA07
5G165NA10
(57)【要約】
【課題】待機電力を削減可能な制御装置を提供する。
【解決手段】制御装置2は、交流電圧を整流する整流回路21、整流された直流電圧を平滑化する平滑コンデンサを有し、定電圧を生成する定電圧回路22、生成された定電圧で動作する制御回路26、整流回路21と直列接続され、平滑コンデンサを充電させるためのコンデンサを有する充電回路27、充電回路27をバイパスするように並列接続されたバイパススイッチ28、待機状態から通常動作状態に移行する際に平滑コンデンサで充電されたエネルギーを制御回路26に供給するために閉じられる起動スイッチ29、起動スイッチをバイパスするように並列接続されたバイパススイッチ30を備える。制御回路26は、通常動作状態の開始時に、平滑コンデンサからの電力によってバイパススイッチ28,30を閉じ、待機状態の開始時に、バイパススイッチ28,30を開放する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電圧を整流する整流回路と、
前記整流回路に接続されており、前記整流回路によって整流された直流電圧を平滑化するための平滑コンデンサを有し、定電圧を生成する定電圧回路と、
前記定電圧回路によって生成された定電圧によって動作する制御回路と、
前記整流回路と直列接続され、前記平滑コンデンサを充電させるためのコンデンサを有する充電回路と、
前記充電回路と並列接続され、当該充電回路をバイパスするための第1のバイパススイッチと、を備え、
前記制御回路は、通常動作状態の開始時に、前記第1のバイパススイッチを閉じ、待機状態の開始時に、前記第1のバイパススイッチを開放する、制御装置。
【請求項2】
待機状態から通常動作状態に移行する際に前記平滑コンデンサで充電されたエネルギーを前記制御回路に供給するために閉じられる起動スイッチと、
前記起動スイッチと並列接続され、当該起動スイッチをバイパスするための第2のバイパススイッチと、をさらに備え、
前記制御回路は、通常動作状態の開始時に、前記平滑コンデンサに充電されたエネルギーによって動作して前記第1及び第2のバイパススイッチを閉じ、待機状態の開始時に、前記第2のバイパススイッチをも開放する、請求項1記載の制御装置。
【請求項3】
前記充電回路に並列に接続され、待機状態における回路の漏れ電流による前記平滑コンデンサの降圧を補償するための抵抗をさらに備えた、請求項2記載の制御装置。
【請求項4】
前記充電回路に並列に接続された抵抗をさらに備え、
前記制御回路は、待機状態では、通常動作状態より動作させる機能を少なくし、かつ、動作クロックの周波数を通常動作状態より低くする、請求項1記載の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、待機電力を削減することができる制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
マイコン(マイクロコンピュータ)などの制御回路を有する一般的な電子機器は、負荷を駆動していない待機状態においても、ユーザからの操作を検知したり、タイマを駆動したりするため、微小な電力を消費している。そのような電子機器において、廉価な家電製品に主に実装されるドロッパ方式の電源回路を用いている場合には、一定電流を定電圧回路と制御回路とに分流するシャント型であるため、制御回路の消費電力は通常動作状態であるのか、待機状態であるのかに関わらず一定となる。そのため、待機状態における電力の消費を小さくできない。
【0003】
図6は、従来の電子機器101の構成の一例を示すブロック図である。図6において、従来の電子機器101は、商用電源3に接続されており、負荷11と、商用電源3からの交流電圧を整流する整流回路21と、整流回路21に接続され、定電圧を生成する定電圧回路122と、負荷11への交流電力の供給を開閉するリレー接点23と、リレー接点を駆動するためのリレー駆動回路24と、ユーザからの操作を受け付ける受付部25と、定電圧回路122によって生成された定電圧によって動作する制御回路126とを備える。なお、整流回路21は、例えば、半波整流回路であってもよい。また、制御回路126は、例えば、受付部25によって受け付けられた操作に応じてリレー駆動回路24を制御することによって、負荷11への電力の供給などを制御してもよい。
【0004】
このような構成の従来の電子機器101では、待機状態においても、図6の矢印で示されるように電流が流れることになり、それに応じて電力が消費されることになる。例えば、1300Wのヒータを有する温調ケトルを1日に5回使用し、1回の使用時間が5分であるとすると、ヒータに関する1日の電力量は約541.7Whとなる。また、待機電力を1.2Wとし、1日中電源につないでいた場合には、待機電力の1日の電力量は28.8Whとなる。したがって、総電力量(約570.5Wh)に占める待機電力の割合は5%程度になり、ユーザが想定している省電力のイメージに反している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013-058916号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
待機電力の削減については、従来から種々の工夫が行われている(例えば、特許文献1参照)。なお、電子機器において、より高効率なスイッチング方式の絶縁型または非絶縁型のAC-DCコンバータを用いることも考えられるが、待機電力を完全にゼロにすることはできない。また、スイッチング方式のAC-DCコンバータを用いた場合には、高コストになるという問題もある。また、待機状態における電流を完全に遮断するために、ACラインにメカ式のACスイッチを挿入することも考えられるが、開閉時の電流によっては高コストになるという問題や、ユーザがスイッチを切り忘れる恐れがあるという問題もあり、さらにタイマ機能などを有する機器には使用できないという問題もある。
【0007】
本発明は、上記課題の少なくとも1つを解決するためになされたものであり、スイッチング方式のAC-DCコンバータやACメカスイッチを使用することなく、待機電力を削減することができる装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の一態様による制御装置は、交流電圧を整流する整流回路と、整流回路に接続されており、整流回路によって整流された直流電圧を平滑化するための平滑コンデンサを有し、定電圧を生成する定電圧回路と、定電圧回路によって生成された定電圧によって動作する制御回路と、整流回路と直列接続され、平滑コンデンサを充電させるためのコンデンサを有する充電回路と、充電回路と並列接続され、充電回路をバイパスするための第1のバイパススイッチと、を備え、制御回路は、通常動作状態の開始時に、第1のバイパススイッチを閉じ、待機状態の開始時に、第1のバイパススイッチを開放する、ものである。
このような構成により、例えば、待機状態において、充電回路が有するコンデンサによって、直流電流が流れないようにすることによって、待機電力を低減することができる。
【0009】
また、本発明の一態様による制御装置では、待機状態から通常動作状態に移行する際に平滑コンデンサで充電されたエネルギーを制御回路に供給するために閉じられる起動スイッチと、起動スイッチと並列接続され、起動スイッチをバイパスするための第2のバイパススイッチと、をさらに備え、制御回路は、通常動作状態の開始時に、平滑コンデンサに充電されたエネルギーによって動作して第1及び第2のバイパススイッチを閉じ、待機状態の開始時に、第2のバイパススイッチをも開放してもよい。
このような構成により、待機状態から通常動作状態に切り替わる際に、平滑コンデンサに充電されたエネルギーによって、制御回路を動作させることができる。また、例えば、待機状態における制御回路の消費電力を実質的にゼロにすることができ、待機電力を大幅に削減することができるようになる。また、ACスイッチなどのような高価な部品を使用することなく、待機電力の削減を実現することができる。
【0010】
また、本発明の一態様による制御装置では、充電回路に並列に接続され、待機状態における回路の漏れ電流による平滑コンデンサの降圧を補償するための抵抗をさらに備えてもよい。
このような構成により、待機状態が長期間になっても、制御回路の起動に必要な電荷が平滑コンデンサに蓄えられている状態を継続させることができる。
【0011】
また、本発明の一態様による制御装置では、充電回路に並列に接続された抵抗をさらに備え、制御回路は、待機状態では、通常動作状態より動作させる機能を少なくし、かつ、動作クロックの周波数を通常動作状態より低くしてもよい。
このような構成により、待機状態における制御回路の消費電力を低減することができ、その結果として、待機電力を低減することができる。また、待機状態においても制御回路の少なくとも一部は動作しているため、例えば、タイマ機能などを使用することもできるようになる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一態様による制御装置によれば、待機電力を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施の形態1による電子機器の構成を示すブロック図
図2】同実施の形態による制御装置の構成の一例を示す回路図
図3】同実施の形態による電子機器の他の構成を示すブロック図
図4】本発明の実施の形態2による電子機器の構成を示すブロック図
図5】同実施の形態による制御装置の構成の一例を示す回路図
図6】従来の電子機器の構成を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明による制御装置について、実施の形態を用いて説明する。なお、以下の実施の形態において、同じ符号を付した構成要素は同一または相当するものであり、再度の説明を省略することがある。
【0015】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1による制御装置について、図面を参照しながら説明する。本実施の形態による制御装置は、待機状態から通常動作状態に移行する際に、平滑コンデンサに充電されたエネルギーによって制御回路を起動して、通常動作状態の電力の供給が行われるようにするものである。
【0016】
図1は、本実施の形態による電子機器1の構成を示すブロック図であり、図2は、本実施の形態による制御装置2の構成の一例を示す回路図である。なお、図2では、制御装置2の一部の構成を省略している。電子機器1は、負荷11と、負荷11への電力の供給に関する制御を行う制御装置2とを備える。負荷11は、電力によって駆動されるものであり、例えば、ヒータやモータ、照明などであってもよい。負荷11は、例えば、交流電力によって駆動されてもよい。本実施の形態では、負荷11が温調ケトルやジャーポットなどの調理用ヒータである場合について主に説明する。より具体的には、電子機器1が、温調ケトルである場合について主に説明する。なお、電子機器1の電源コードの先端のプラグがコンセントに差し込まれることによって、電子機器1が商用電源3に接続され、商用電源3からの交流電力が電子機器1に供給されてもよい。
【0017】
図1を参照して、制御装置2は、整流回路21と、定電圧回路22と、リレー接点23と、リレー駆動回路24と、受付部25と、制御回路26と、充電回路27と、第1のバイパススイッチ28と、起動スイッチ29と、第2のバイパススイッチ30とを備える。制御装置2は、整流回路21、及び定電圧回路22を有するドロッパ方式の電源によって制御回路26を駆動する。また、制御装置2には、通常動作状態と待機状態とがある。通常動作状態とは、制御回路26のすべての機能が動作可能できる状態のことであり、例えば、負荷11への電力の供給のオン・オフに関する制御などを行うことができる状態のことである。一方、待機状態とは、制御回路26の動作可能な機能が、通常動作状態よりも制限されている状態のことである。なお、待機状態においては、通常、負荷11への電力の供給は行われない。本実施の形態では、待機状態において、制御回路26のすべての機能が制限される場合、すなわち制御回路26への電力の供給が停止される場合について説明し、実施の形態2では、待機状態において、制御回路の一部の機能が制限される場合、すなわち制御回路に通常動作状態より少ない電力が供給される場合について説明する。
【0018】
整流回路21は、商用電源3からの交流電圧を整流する。整流回路21は、半波整流回路であってもよく、一例として、図2で示されるように、ダイオード211と、抵抗212とを有していてもよい。抵抗212には、商用電源3からの100Vの電圧のうち、ツェナーダイオード223,224に応じた電圧以外の電圧が実質的に掛かることになる。したがって、抵抗212の抵抗値によって、電流が決まることになる。なお、整流回路21は、例えば、全波整流回路であってもよい。
【0019】
定電圧回路22は、整流回路21に接続されており、定電圧を生成する。なお、その接続は通常、直列である。本実施の形態では、定電圧回路22が、24Vの定電圧と、9Vの定電圧とを生成し、その9Vの定電圧から、制御回路26に供給するための5Vの定電圧を生成する場合について主に説明する。定電圧回路22は、一例として、図2で示されるように、整流回路21によって整流された直流電圧を平滑化するための平滑コンデンサ221,222と、平滑コンデンサ221と並列接続された、24Vの電圧を生成するためのツェナーダイオード223と、平滑コンデンサ222と並列接続された、9Vの電圧を生成するためのツェナーダイオード224と、9Vの電圧から5Vの電圧を生成するためのツェナーダイオード225、抵抗226、バイポーラトランジスタ227と、生成された5Vの電力を安定させるためのコンデンサ228とを有していてもよい。
【0020】
定電圧回路22は、図2で示されるように、平滑コンデンサ222に対応した電圧である中間電圧を生成し、その中間電圧を降圧することによって目的とする定電圧(例えば、制御回路26に供給される5Vなど)を生成することが好適である。このようにすることで、中間電圧においてより多くの電荷を蓄えることができ、後述するように、待機状態から通常動作状態への移行時に、平滑コンデンサ222に充電されたエネルギーを制御回路26に供給する際に、より多くの電力を供給することができるようになる。また、中間電圧を生成し、その中間電圧を降圧して目的とする定電圧を生成することによって、整流回路21からの直流出力に存在するリップルを低減することもできる。また、平滑コンデンサ222は、初期充電時や待機状態から通常動作状態への移行時に制御回路26を起動できるだけの電荷を蓄えることができる静電容量を有していることが好適である。
【0021】
例えば、平滑コンデンサ221,222の静電容量をそれぞれ220μFとし、充電回路27が有するコンデンサ271の静電容量を22μFとすると、直列接続された平滑コンデンサ221,222、コンデンサ271の合成静電容量は、55/3μF(=1/(1/220μF+1/220μF+1/22μF))となる。そのため、各コンデンサの電荷量は、2585μC(=141V×(55/3)μF)となる。したがって、電子機器1が商用電源3に接続された後の初期充電後の平滑コンデンサ221,222の電圧は、コンデンサの分圧のみを考慮すると、11.75V(=2585μC/220μF)となる。一方、平滑コンデンサ222に並列接続されているツェナーダイオード224のシャント機能により、初期充電後の平滑コンデンサ222の電圧は9Vに制限されるため、初期充電後に平滑コンデンサ222で蓄えられる電荷は、1980μC(=9V×220μF)となる。また、制御回路26の起動時の消費電流を1mAと仮定すると、平滑コンデンサ222で蓄えられる電荷によって、1.98秒(=1980μC/1000μA)だけ制御回路26を動作できることになる。なお、所定の閾値電圧未満になると制御回路26が動作しなくなることを考慮すると、厳密には、1.98秒より少し短い時間だけ、制御回路26が動作することになる。このように、平滑コンデンサ222の静電容量から、平滑コンデンサ222で蓄えられる電荷によって制御回路26を動作できる時間を計算することができる。この時間が、後述するように、制御回路26が第1及び第2のバイパススイッチ28,30を閉じる制御を行うために必要な時間より長くなるように、平滑コンデンサ222の静電容量が選択されることが好適である。
【0022】
リレー接点23は、負荷11への交流電力の供給を開閉する接点である。リレー駆動回路24は、リレー接点23を開閉するための回路であり、制御回路26によって制御される。リレー駆動回路24は、一例として、図2で示されるように、抵抗241,242と、バイポーラトランジスタ243と、抵抗244,245,246と、バイポーラトランジスタ247とを有していてもよい。なお、抵抗245は、リレーを駆動するためのコイルの抵抗である。図2で示される回路では、配線L1の電圧が基準電位(0V)になっている。したがって、制御回路26から抵抗241に-5Vの制御信号が出力されると、それに応じてバイポーラトランジスタ243がオンになり、その結果として、バイポーラトランジスタ247もオンになる。すると、抵抗245に電流が流れて、リレー接点23が閉じられる。一方、制御回路26からリレー駆動回路24に出力される制御信号が0Vになると、バイポーラトランジスタ243,247の両方がオフになるため、抵抗245に電流が流れなくなり、リレー接点23は開放される。このようにして、負荷11への電力の供給が制御されることになる。
【0023】
受付部25は、ユーザからの操作を受け付ける。受付部25は、例えば、タイマの設定の操作や、温度の設定の操作などを受け付けてもよい。受付部25は、受け付けた操作に応じた信号を制御回路26に渡す。受付部25は、例えば、ユーザからの操作を受け付けるスイッチや入力用のキーなどの入力デバイスであってもよい。なお、図1では図示していないが、制御回路26には、例えば、サーミスタなどの温度センサ、またはそれ以外のセンサによるセンシング結果が入力されてもよい。
【0024】
制御回路26は、定電圧回路22によって生成された定電圧によって動作する。本実施の形態では、一例として、制御回路26は、定電圧回路22によって生成された5Vの定電圧によって動作するものとする。制御回路26は、例えば、電子機器1の制御を行うプログラムが書き込まれた、電子機器1に特化した組み込みシステム用のマイコンであってもよい。制御回路26は、通常動作状態の開始時に、平滑コンデンサ222に充電されたエネルギーによって動作して、第1及び第2のバイパススイッチ28,30を閉じる。その結果、充電回路27、及び起動スイッチ29を迂回して電流が流れるようになる。なお、制御回路26は、通常動作状態の開始時である起動時に、まず、第1及び第2のバイパススイッチ28,30を閉じるようにプログラムされていることが好適である。また、制御回路26は、待機状態の開始時に、第1及び第2のバイパススイッチ28,30を開放する。
【0025】
充電回路27は、整流回路21と直列接続される。充電回路27は、一例として、図2で示されるように、平滑コンデンサ222を充電させるためのコンデンサ271と、抵抗272とを有していてもよい。なお、充電回路27が有するコンデンサ271の静電容量は、充電対象の平滑コンデンサ221,222を適切に充電できるように設定されることが好適である。電子機器1が商用電源3に接続された際の初期充電時に、この充電回路27を介して平滑コンデンサ221,222を充電することができる。すなわち、コンデンサ271は、平滑コンデンサ221,222の初期充電用のコンデンサであると考えてもよい。また、充電回路27がコンデンサ271を有していることによって、待機状態において、電流が流れることを防止することができ、待機電力をゼロにすることができる。
【0026】
第1のバイパススイッチ28は、充電回路27と並列接続され、充電回路27をバイパスするためのスイッチである。第1のバイパススイッチ28が閉じられることによって、充電回路27がバイパスされることになり、第1のバイパススイッチ28が開放されることによって、充電回路27のバイパスが行われないことになる。第1のバイパススイッチ28の回路の一例については後述する。
【0027】
起動スイッチ29は、待機状態から通常動作状態に移行する際に、平滑コンデンサ222で充電されたエネルギーを制御回路26に供給するために閉じられるスイッチである。したがって、起動スイッチ29は、待機状態から通常動作状態に移行する際に、平滑コンデンサ222で蓄えられた電荷を制御回路26に供給するための電流の経路の一部に設けられていることが好適である。起動スイッチ29は、一例として、図2で示されるように、スイッチ291と、ダイオード292と、抵抗293,294,295とを有していてもよい。スイッチ291は、例えば、常開タイプのモーメンタリスイッチであってもよい。制御装置2が待機状態である場合に、ユーザがスイッチ291を閉じると、図2の矢印A2で示されるように、平滑コンデンサ222で充電されたエネルギーが制御回路26に供給される。なお、通常、スイッチ291が閉じられてから制御回路26が起動するまでの時間は、数m秒から数十m秒であるため、ユーザは、スイッチ291を閉じた状態に保ち続ける必要はない。制御回路26が起動して、その直後に第1及び第2のバイパススイッチ28,30が閉じられるまでの時間だけ、スイッチ291が閉じられればよい。
【0028】
なお、通常動作状態中にスイッチ291が閉じられると、配線L3は、0Vと-9Vとを抵抗294,295で分圧した電圧、例えば、-5Vの電圧となる。そして、その電圧の信号が制御回路26に入力される。制御回路26は、例えば、通常動作状態中にその信号の入力を検知すると、通常動作状態から待機状態に移行すると判断し、第1及び第2のバイパススイッチ28,30を開放する。このようにして、通常動作状態から待機状態に移行することになる。なお、この場合にも、ユーザは、配線L3からの信号が制御回路26に入力されるのに十分な時間、すなわち短時間だけ、スイッチ291を閉じればよい。例えば、制御回路26が配線L3の電圧検知を数十m秒ごとに行っている場合には、ユーザは、スイッチ291を閉じ続ける必要はないことになる。
【0029】
第2のバイパススイッチ30は、起動スイッチ29と並列接続され、起動スイッチ29をバイパスするためのスイッチである。第2のバイパススイッチ30が閉じられることによって、起動スイッチ29がバイパスされることになり、第2のバイパススイッチ30が開放されることによって、起動スイッチ29のバイパスが行われないことになる。
【0030】
第1のバイパススイッチ28は、一例として、図2で示されるように、バイポーラトランジスタ281と、抵抗282,283とを有していてもよい。第2のバイパススイッチ30は、一例として、図2で示されるように、バイポーラトランジスタ301と、ダイオード302と、抵抗303,304とを有していてもよい。また、制御回路26からの制御信号は、図2で示されるように、補助スイッチ回路31を介して第1及び第2のバイパススイッチ28,30に入力されてもよい。補助スイッチ回路31は、バイポーラトランジスタ311と、抵抗312,313とを有していてもよい。この場合には、第1及び第2のバイパススイッチ28,30は、それぞれ補助スイッチ回路31をも有していると考えてもよい。第1及び第2のバイパススイッチ28,30のバイポーラトランジスタ281,301のエミッタ電圧は、制御回路26が出力可能な-5V~0Vよりも低いため、このように補助スイッチ回路31を介して、第1及び第2のバイパススイッチ28,30を制御している。
【0031】
制御回路26から補助スイッチ回路31の抵抗313に-5Vの制御信号が出力されると、バイポーラトランジスタ311がオンになり、第1のバイパススイッチ28の抵抗282、及び第2のバイパススイッチ30のダイオード302に0Vの信号が入力される。その結果、バイポーラトランジスタ281,301はそれぞれオンになる。すなわち、第1及び第2のバイパススイッチ28,30が閉じられたことになる。一方、制御回路26から補助スイッチ回路31に出力される制御信号が0Vになると、バイポーラトランジスタ311がオフになり、それに応じてバイポーラトランジスタ281,301もそれぞれオフになる。すなわち、第1及び第2のバイパススイッチ28,30が開放されたことになる。このようにして、制御回路26は、補助スイッチ回路31に出力する制御信号を切り替えることによって、第1及び第2のバイパススイッチ28,30を開閉することができる。
【0032】
次に、本実施の形態による電子機器1の動作について説明する。まず、電子機器1が商用電源3に接続されると、図2の矢印A1で示されるように電流が流れて、充電回路27のコンデンサ271によって、定電圧回路22の平滑コンデンサ221,222がそれぞれ充電される。この時点では、制御装置2は待機状態である。充電が完了すると、電流は流れなくなるため、待機状態における待機電力をゼロにすることができる。
【0033】
次に、ユーザが起動スイッチ29のスイッチ291を一時的に閉じると、平滑コンデンサ222に蓄えられた電荷が、図2の矢印A2で示されるように電流として流れる。この電流によって制御回路26が起動され、待機状態から通常動作状態に移行する。制御回路26は、起動直後に、補助スイッチ回路31に出力する制御信号を0Vから-5Vに変更する。その制御信号によって補助スイッチ回路31が閉じられて、第1及び第2のバイパススイッチ28,30に0Vの信号が入力される。それに応じて第1及び第2のバイパススイッチ28,30は閉じられて、図2の矢印A3で示されるように電流が流れる。すなわち、充電回路27、及び起動スイッチ29を迂回した経路で電力が制御回路26に供給されることになる。このように通常動作状態になると、充電回路27のコンデンサ271に蓄えられれていた電荷はバイポーラトランジスタ281を介してすべて放電され、充電回路27はリフレッシュされることになる。通常動作状態では、例えば、ユーザからの操作が受付部25によって受け付けられ、それに応じて負荷11への電力供給が開始されることによって、例えば、湯沸かし動作などが行われてもよい。または、制御回路26は、例えば、待機状態から通常動作状態に移行した際に、負荷11への電力供給を開始してもよい。また、制御回路26は、例えば、温度センサからのセンシング結果に応じて湯沸かしの完了を検知した際や、ユーザによって設定された保温時間の経過を検知した際に、負荷11への電力の供給を停止してもよい。
【0034】
負荷11への電力の供給を強制的に終了させる場合、例えば、湯沸かし動作を強制終了させる場合には、ユーザは、起動スイッチ29のスイッチ291を一時的に閉じる。すると、配線L3の電圧が制御回路26に入力され、それに応じて制御回路26は、通常動作状態から待機状態に移行すると判断し、補助スイッチ回路31に出力する制御信号を-5Vから0Vに変更する。その制御信号によって補助スイッチ回路31が開放される。その補助スイッチ回路31の開放に応じて、第1及び第2のバイパススイッチ28,30も開放されて、定電圧回路22の5V用のコンデンサ228に蓄えられた電荷が制御回路26や周辺回路によって消費されることによって、5V用の電源回路の電圧がリセット電圧より低くなり、制御回路26は動作を停止する。この時点において、定電圧回路22の平滑コンデンサ221,222はすでに24V,9Vでそれぞれ充電済みであるため、充電回路27のコンデンサ271は、ツェナーダイオード223,224を経由して流れる電流によって、108V(=141V-24V-9V)まで充電される。そして、その充電が完了すると電流は流れなくなり、待機状態になる。待機状態になると、制御回路26の動作が停止されるため、制御回路26からリレー駆動回路24に出力される制御信号も0Vになる。そのため、仮に通常動作状態から待機状態に移行する直前に負荷11に電力が供給されていたとしても、その負荷11への電力の供給は停止されることになる。なお、通常動作状態から待機状態に移行する際に負荷11への電力の供給が行われている場合には、制御回路26は、第1及び第2のバイパススイッチ28,30を開放にするための制御信号を出力する前に、負荷11への電力の供給が停止されるようにリレー駆動回路24を制御してもよい。また、湯沸かしの完了を検知した際や、ユーザによって設定された保温時間の経過を検知した際にも、制御回路26は、負荷11への電力の供給を停止すると共に、通常動作状態から待機状態に移行するように制御してもよい。すなわち、制御回路26は、第1及び第2のバイパススイッチ28,30が開放されるように制御してもよい。
【0035】
以上のように、本実施の形態による制御装置2によれば、待機状態に制御回路26に電力が供給されないようにすることができる。そのため、待機電力をゼロにすることができる。また、待機状態から通常動作状態に復帰する際には、平滑コンデンサ222に充電されたエネルギーを用いて制御回路26を起動させることができ、通常動作状態に短時間で復帰することができる。したがって、ACメカスイッチによるAC電源の開閉と比較して、通常動作状態に速やかに移行することができるようになる。また、通常動作状態では、第1及び第2のバイパススイッチ28,30によって、充電回路27、及び起動スイッチ29をバイパスするように電流を流すことができ、制御回路26に電力を供給することができるようになる。また、待機状態から通常動作状態への切り替えをDCのスイッチ291を用いて行うことができるため、ACメカスイッチを用いる場合よりも、コストを低減することができる。また、通常動作状態から待機状態への移行を、制御回路26によって行うことができる。そのため、待機状態への移行に、必ずしもユーザの操作がなくてもよいことになる。例えば、温調ケトルにおいて、湯温が設定温度になった際に、負荷11への電力の供給を停止すると共に、待機状態に自動的に移行するようにすることもできる。また、高周波動作を行わないため、EMIフィルタも不要になる。
【0036】
なお、原理的には、最適な静電容量のコンデンサを選定することによって、待機電力をゼロにすることができる。しかしながら、実際のコンデンサやトランジスタなどの電子部品には漏れ電流があるため、コンデンサが放電されることになり、例えば、平滑コンデンサ221,222の24V,9Vの電圧がそれぞれ降下することになる。平滑コンデンサ221,222の漏れ電流が充電回路27の漏れ電流よりも大きい場合には、その差分だけ充電回路27に電荷を蓄えることになるため、時間が経過すると、9Vの平滑コンデンサ222に蓄えられた電荷量が、制御回路26を起動するのに必要な電荷量に足りなくなり、起動スイッチ29が閉じられても、制御回路26を起動できない恐れがある。そのため、例えば、平滑コンデンサ221,222、及びツェナーダイオード223,224などの漏れ電流よりも多い電流を、待機状態にも流す必要がある。したがって、制御装置2は、図3で示されるように、充電回路27に並列に接続された抵抗41をさらに備えてもよい。この抵抗41は、待機状態における平滑コンデンサ221,222の漏れ電流に起因する降圧を補償するためのバイパス用の抵抗である。
【0037】
この抵抗41が存在する場合には、待機電力はゼロにはならないが、抵抗41には、漏れ電流を補償する程度の電流が流れればよいため、待機電力の増加はそれほど大きくならない。例えば、回路の漏れ電流が10μAであるとすると、余裕をみて抵抗41に流れる電流を20μAに設定する。平滑コンデンサ221,222がそれぞれ24V、9Vに充電されている際には、待機状態でのコンデンサ271の両端電圧は108V(=141V-9V-24V)となる。したがって、抵抗41の抵抗値は、5.4MΩ(=108V/20μA)となる。ここでは、抵抗41として、5.4MΩよりも抵抗値が小さい市販の抵抗である、抵抗値が4.7MΩの抵抗を選択したとする。また、平滑コンデンサ221,222の静電容量をそれぞれ220μFとし、コンデンサ271の静電容量を22μFとすると、上記したように、電子機器1が商用電源3に接続された後の初期の充電後の平滑コンデンサ221の電圧は、11.75Vとなる。一方、平滑コンデンサ222の電圧は9Vに制限されるため、コンデンサ271の両端電圧は、約120V(=141V-9V-11.75V)となり、コンデンサ271の初期充電完了後に流れる最大電流は、約26μA(=120V/4.7MΩ)となる。その最大電流が流れた際の消費電力は、3.7mW(=141V×26μA)となる。例えば、日本電機工業会の自主基準では、小数点第2位で四捨五入することになっているため、3.7mWの消費電力は、0.0Wとなる。このように、抵抗41を設けたとしても、待機電力を、実質的にゼロと考えることができる微小な値に低減することができる。
【0038】
また、本実施の形態では、起動スイッチ29のスイッチ291が閉じられることによって、待機状態に移行することを指示する信号が制御回路26に出力され、通常動作状態から待機状態に移行される場合について説明したが、そうでなくてもよい。制御回路26は、例えば、受付部25で受け付けられた操作に応じて、通常動作状態から待機状態に移行するための制御を行ってもよい。この場合には、起動スイッチ29は、抵抗294,295を有していなくてもよい。
【0039】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2による電子機器について、図面を参照しながら説明する。本実施の形態による電子機器は、待機状態に制御回路に供給される電力が低減されると共に、待機状態においても、制御回路の一部の機能が動作可能になっているものである。
【0040】
図4は、本実施の形態による電子機器1aの構成を示すブロック図であり、図5は、本実施の形態による制御装置2aの構成の一例を示す回路図である。なお、図5では、制御装置2aの一部の構成を省略している。電子機器1aは、制御装置2に代えて制御装置2aを備える以外は、実施の形態1の電子機器1と同様のものであり、重複した説明を省略する。
【0041】
制御装置2aは、起動スイッチ29、及び第2のバイパススイッチ30を備えておらず、定電圧回路22、及び制御回路26に代えて定電圧回路22a、及び制御回路26aを備えており、抵抗42をさらに備える以外は、実施の形態1の制御装置2と同様のものであり、重複した説明を省略する。
【0042】
定電圧回路22aは、整流回路21に接続されており、定電圧を生成する。本実施の形態でも、一例として、定電圧回路22aが、24Vの定電圧と、9Vの定電圧とを生成し、その9Vの定電圧から、制御回路26aに供給するための5Vの定電圧を生成する場合について主に説明する。定電圧回路22aは、一例として、図5で示されるように、平滑コンデンサ221,222と、24Vの電圧を生成するためのツェナーダイオード223と、9Vの電圧を生成するためのツェナーダイオード224と、9Vの電圧から5Vの電圧を生成するための5V定電圧回路229とを有していてもよい。5V定電圧回路229以外の構成は実施の形態1の定電圧回路22と同様のものであり、その説明を省略する。
【0043】
5V定電圧回路229は、低消費電力型の定電圧回路であることが好適である。例えば、実施の形態1において5Vの電圧を生成する構成、すなわちツェナーダイオード225、抵抗226、及びバイポーラトランジスタ227を安定して動作させるためには、ツェナー電圧が一定となる電流が必要となる。一方、5Vの電圧を生成する低消費電力型の定電圧回路として、約100μAで動作可能なものも知られている。5V定電圧回路229として、例えば、そのような低消費電力型の定電圧回路を用いてもよい。
【0044】
制御回路26aは、待機状態では、通常動作状態より動作させる機能を少なくし、かつ、動作クロックの周波数を通常動作状態より低くし、また、起動スイッチ29、及び第2のバイパススイッチ30に関する制御を行わない以外は、実施の形態1の制御回路26と同様のものであり、その説明を省略する。制御回路26aの動作クロックの周波数は、一例として、通常動作状態では8MHzであり、待機状態では32kHzであってもよい。また、待機状態では、例えば、タイマ機能のみを動作させてもよく、受付部25からの制御信号の受け付け機能のみを動作させてもよい。いずれにしても、動作可能な機能は、通常動作状態よりも待機状態の方が少なくなるものとする。
【0045】
抵抗42は、充電回路27に並列に接続された抵抗であり、待機状態に制御回路26aに電力を供給するための抵抗である。抵抗42の抵抗値は、待機状態において、必要最低限の電力を制御回路26aに供給できる範囲内において、大きい値となることが好適である。待機電力を低減するためである。
【0046】
次に、本実施の形態による電子機器1aの動作について説明する。まず、電子機器1aが商用電源3に接続されると、充電回路27のコンデンサ271によって、定電圧回路22の平滑コンデンサ221,222がそれぞれ充電され、図5の矢印A4で示されるように電流が流れる。そのようにして供給された電力によって制御回路26aは起動される。なお、充電回路27のコンデンサ271によって、平滑コンデンサ221,222は、より短時間で充電されることになる。そのため、制御回路26aが起動するまでの時間を短縮することができる。制御回路26aは、起動後に、補助スイッチ回路31に出力する制御信号を0Vから-5Vに変更する。その制御信号によって補助スイッチ回路31が閉じられ、それに応じて第1のバイパススイッチ28も閉じられて、図5の矢印A5で示されるように電流が流れることになる。すなわち、充電回路27を迂回した経路で電力が制御回路26aに供給されることになる。したがって、制御回路26aには、十分な電力が供給されることになる。この通常動作状態では、制御回路26aは、通常消費電力モードでの動作を行う。すなわち、制御回路26aは、待機状態よりも高い周波数の動作クロックで動作し、すべての機能を動作させることができるものとする。
【0047】
ここで、受付部25が、通常動作状態から待機状態に移行するための指示を受け付ける第1のメカスイッチと、待機状態から通常動作状態に移行するための指示を受け付ける第2のメカスイッチとを有しているとする。そして、ユーザが、待機状態に移行するための第1のメカスイッチを押下すると、制御回路26aは、その押下に応じた信号を受け取る。その信号に応じて、制御回路26aは、補助スイッチ回路31に出力する制御信号を0Vにすることによって、補助スイッチ回路31、及び第1のバイパススイッチ28をそれぞれ開放する。第1のバイパススイッチ28が開放されると、それに応じて充電回路27のコンデンサ271の充電が開始され、その充電が完了した後に、図5の矢印A4で示されるように電流が流れることになり、待機状態となる。なお、制御回路26aは、第1のバイパススイッチ28を開放すると同時に、低消費電力モードに移行する。その低消費電力モードでは、制御回路26aは、動作クロックの周波数を下げると共に、動作させる機能を制限する。例えば、待機状態にタイマ機能のみを動作させる場合には、制御回路26aは、タイマ機能のためのカウントアップのみを行い、そのカウント値が設定値になった際に、通常動作状態に移行するように制御してもよい。
【0048】
また、例えば、待機状態にユーザからの通常動作状態への移行指示の受け付け機能のみを動作させる場合には、待機状態において、ユーザが、通常動作状態に移行するための第2のメカスイッチを押下すると、制御回路26aは、その押下に応じた信号を受け取る。そして、その信号に応じて、制御回路26aは、補助スイッチ回路31に出力する制御信号を-5Vにすることによって、補助スイッチ回路31、及び第1のバイパススイッチ28をそれぞれ閉じる。第1のバイパススイッチ28が閉じられると、図5の矢印A5で示されるように電流が流れることになる。また、制御回路26aは、低消費電力モードから通常消費電力モードに移行する。すなわち、制御回路26aは、動作クロックの周波数を上げると共に、すべての機能を動作可能にする。例えば、制御回路26aは、ユーザからの操作に応じて、負荷11への電力の供給を開始してもよい。
【0049】
次に、抵抗42の抵抗値を決定する方法について説明する。まず、待機状態における消費電流を見積もる。例えば、待機状態における5V定電圧回路229の消費電流が100μAであり、制御回路26aの消費電流が20μAであるとすると、それらの合計は120μAとなる。部品等のばらつきを考慮して抵抗42の回路電流を200μAに設定すると、待機状態において、平滑コンデンサ221が24Vまで充電されている場合には、充電回路27のコンデンサ271の両端電圧は108Vとなることから、抵抗42の抵抗値は、540kΩ(=108V/200μA)となる。また、通常は抵抗42の抵抗値≫抵抗272の抵抗値であるため、抵抗42は、待機状態での停電時にコンデンサ271の放電時特性も担うことになる。したがって、コンデンサ271の放電の時定数を、コンデンサ222の放電特性より早く減衰する定数とすることで、停電復帰時の制御回路26aの起動時間を短縮することができる。コンデンサ222の電圧が放電により63.2%低下するまでの時間は、10.428秒(=(0.632×9V×220μF)/(120μA)であるため、抵抗42の抵抗値を474kΩ(=10.428秒/22μF)以下とすることによって、コンデンサ222よりコンデンサ271の放電時間を短くすることができる。したがって、抵抗42として、抵抗値が470kΩである市販の抵抗を採用してもよい。例えば、抵抗42の抵抗値を470kΩとし、平滑コンデンサ221,222の静電容量をそれぞれ220μFとし、コンデンサ271の静電容量を22μFとすると、実施の形態1で説明したように、平滑コンデンサ221,222の初期充電完了時のコンデンサ271の両端電圧は約120Vであるから、最大電流は約255μA(≒120V/470kΩ)となる。その結果、待機電力は約36mW(≒141V×255μA)となる。この場合にも、日本電機工業会の自主基準に応じて小数点第2位で四捨五入すると、36mWの消費電力は0.0Wとなり、待機電力を、実質的にゼロと考えることができる微小な値に低減することができる。
【0050】
以上のように、本実施の形態による制御装置2aによれば、待機状態に供給する制御回路26aへの電力を低減することによって、待機電力を低減することができる。そのような待機電力の低減を、抵抗ドロッパ方式の電源回路に、初期充電のための充電回路27、待機状態において制御回路26aに電力を供給するための抵抗42、及び充電回路27に並列接続された第1のバイパススイッチ28を設けることによって、比較的簡単に実現することができる。また、制御回路26aは、待機状態では、動作させる機能を少なくし、かつ、動作クロックの周波数を低くすることにより、消費電力を抑えることができる。また、初期充電時には、コンデンサ271を有する充電回路27を用いて平滑コンデンサ221,222を充電するため、抵抗42を介して平滑コンデンサ221,222を充電する場合と比較して、充電時間を短縮することもできる。抵抗42は、待機電力を削減するために大きな抵抗値を有するからである。
【0051】
なお、実施の形態1,2では、リレー駆動回路24、第1及び第2のバイパススイッチ28,30、並びに補助スイッチ回路31などにおいて、バイポーラトランジスタによって回路が開閉される例について説明したが、バイポーラトランジスタに代えてMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)を用いて回路が開閉されてもよく、その他のスイッチ素子を用いて回路が開閉されてもよい。
【0052】
また、図2図5の回路図に含まれる抵抗の抵抗値やコンデンサの静電容量などは、上記した処理が実行されるように、適宜、選択されることが好適である。また、図2図5の回路は一例であり、他の回路構成によって実施の形態1による制御装置2や、実施の形態2による制御装置2aと同様の構成や機能を実現してもよいことは言うまでもない。
【0053】
また、以上の実施の形態は、本発明を具体的に実施するための例示であって、本発明の技術的範囲を制限するものではない。本発明の技術的範囲は、実施の形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲の文言上の範囲及び均等の意味の範囲内での変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0054】
1、1a 電子機器
2、2a 制御装置
21 整流回路
22、22a、 定電圧回路
26、26a 制御回路
27 充電回路
28 第1のバイパススイッチ
29 起動スイッチ
30 第2のバイパススイッチ
221、222 平滑コンデンサ
228、271 コンデンサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6