(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087537
(43)【公開日】2024-07-01
(54)【発明の名称】キャップ及び計量機能付き容器
(51)【国際特許分類】
B65D 41/26 20060101AFI20240624BHJP
【FI】
B65D41/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022202419
(22)【出願日】2022-12-19
(71)【出願人】
【識別番号】313005282
【氏名又は名称】東洋製罐株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100153497
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 信男
(74)【代理人】
【識別番号】100138254
【弁理士】
【氏名又は名称】澤井 容子
(72)【発明者】
【氏名】深堀 穂高
(72)【発明者】
【氏名】池上 裕夫
(72)【発明者】
【氏名】内山 剛志
(72)【発明者】
【氏名】永春 利佳
(72)【発明者】
【氏名】大澤 誉史
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA04
3E084AA12
3E084AB07
3E084BA02
3E084CA01
3E084CB02
3E084DA01
3E084DB12
3E084FA09
3E084FB01
3E084GA01
3E084GB01
3E084JA05
3E084LA17
3E084LB02
3E084LB07
3E084LC01
3E084LD01
3E084LE07
(57)【要約】
【課題】容器内に収容された内容物の一定量の計量及び取り出しを容易に実行可能なキャップ及び計量機能付き容器を提供すること。
【解決手段】キャップ20は、一端に取入口21を有すると共に他端に取出口22を有する直管状の計量筒25を備え、計量筒25は、最大容量の内容物が収容された容器10を倒立状態としたときに取入口21の開口端面が容器10内の内容物上面より上方に突出するように設定された長さを有し、取出口22を閉塞した状態で、倒立状態の容器10に対しスライドさせることで内容物を内部に流入させ、内容物をすりきりで充填することにより内容物の一定量を計量可能となるように構成される。計量機能付き容器10は、上記のキャップ20を備えてなる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器内に収容された内容物の一定量を計量して取り出すことが可能に構成されたキャップであって、
一端に取入口を有すると共に他端に取出口を有する直管状の計量筒を備え、
前記計量筒は、正立状態で上方に開口する開口部を有する容器に対しシール性を確保した状態で軸方向に移動可能に挿入されるように構成され、最大容量の内容物が収容された前記容器を倒立状態としたときに前記取入口の開口端面が前記容器内の内容物上面より上方に突出するように設定された長さを有し、
前記計量筒は、前記取出口を閉塞した状態で、倒立状態とした前記容器に対しスライドさせることで前記内容物を内部に流入させ、前記内容物をすりきりで充填することにより前記内容物を計量可能に構成されていることを特徴とするキャップ。
【請求項2】
前記容器の開口部を開閉可能に閉塞する第1蓋部をさらに備え、
前記第1蓋部は、前記計量筒の取入口が前記容器内の内容物上面より上方に位置される状態で前記計量筒を固定可能となるように、前記容器の開口部に対し着脱可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載のキャップ。
【請求項3】
前記第1蓋部は、前記計量筒と一体に形成されていることを特徴とする請求項2に記載のキャップ。
【請求項4】
前記第1蓋部は、前記計量筒が軸方向に移動可能に挿嵌されるように構成されていることを特徴とする請求項2に記載のキャップ。
【請求項5】
前記計量筒の取出口を開閉可能に閉塞する第2蓋部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のキャップ。
【請求項6】
正立状態で上方に開口する開口部を有する容器本体と、前記容器本体の開口部を開閉可能に閉塞するキャップとを備え、
前記キャップが請求項1に記載のキャップよりなることを特徴とする計量機能付き容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器内に収容された内容物の一定量を計量して取り出すためのキャップ及び計量機能付き容器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば米や麦、豆などの穀物類の保存方法として、品質劣化防止や防虫のため、このような穀物類を密閉容器に入れて冷蔵庫内で冷蔵保存する方法が知られており、例えば、少量を小分けに保存できる点や、空気に触れにくくすることができる点などの理由から、使用済みペットボトルが密閉容器として好適に利用される。このような保存方法では、穀物類を必要時に必要量だけを取り出して使用することが可能である。
【0003】
而して、例えば米を保存する場合には、密閉容器内の米を計量カップなどで正確に計量して取り出すことが必要となるが、取り出し時に米をこぼしやすい、といった問題があった。
このような問題に対して、取り出し時に所望の量を計れる計量カップ兼用とした漏斗や、必要量だけを計量して取り出せるようにした器具なども提案されているが(例えば特許文献1参照。)、計量方法が煩雑であると共に保存に際して器具をペットボトルに装着したままの状態にする必要があるといった問題がある。
【0004】
一方、粉体、粒体、液体などの流動性をもつ内容物の一定量を計量して取り出す計量容器として種々の構成のものが提案されている(例えば特許文献2参照。)。
例えば特許文献2には、容器本体に外側計量管を立設し、キャップ本体に内側計量管を垂設して外側計量管に挿入し、下端近傍に設けたスリットから内容物の粉体または粒体をスリットの高さに応じた一定量だけ内側計量管に取込み、内側計量管の頂部の開口から取り込まれた一定量の内容物を振り出せるとした粉体または粒体用の振り出し容器が開示されている。
【0005】
しかしながら、特許文献2に開示された計量容器は、容器本体とキャップの両方に特殊な構造が必要とされるため、それぞれ専用に設計された計量容器となり、手間もコストもかかるという問題がある。
また、内容物を外側計量管のスリットと内側計量管のスリットの重なり部分から内側計量管内に流入させることで計量する構造上の理由から、十分に高い計量精度が得られないという問題点がある。
【0006】
このように、特許文献2に開示された構造を、ペットボトルなどの密閉容器に保存された内容物の計量に適用することは困難であるのが実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3494364号公報
【特許文献2】特開2007-84107号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述の問題点を解決するものであり、容器内に収容された内容物の一定量の計量及び取り出しを容易に実行可能なキャップ及び計量機能付き容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のキャップは、容器内に収容された内容物の一定量を計量して取り出すことが可能に構成されたキャップであって、一端に取入口を有すると共に他端に取出口を有する直管状の計量筒を備え、前記計量筒は、正立状態で上方に開口する開口部を有する容器に対しシール性を確保した状態で軸方向に移動可能に挿入されるように構成され、最大容量の内容物が収容された前記容器を倒立状態としたときに前記取入口の開口端面が前記容器内の内容物上面より上方に突出するように設定された長さを有し、前記計量筒を、前記取出口を閉塞した状態で、倒立状態とした前記容器に対しスライドさせることで前記内容物を内部に流入させ、前記内容物をすりきりで充填することにより前記内容物を計量可能となるように構成することにより、上記課題を解決するものである。
【0010】
また、本発明の計量機能付き容器は、正立状態で上方に開口する開口部を有する容器本体と、前記容器本体の開口部を開閉可能に閉塞するキャップとを備え、キャップとして上記のキャップを備えた構成とすることにより、上記課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0011】
本請求項1に係る発明及び本請求項6に係る発明によれば、容器内の内容物の取り出しに際して、計量筒の内容積の大きさで決まる一定量が計量されることとなるので、内容物の計量を精度よく行うことが可能である。また、容器を倒立状態として計量筒をスライド移動させるという簡単な操作を行えばよいので、内容物の一定量の計量及び取り出しを繰り返し容易に行うことが可能である。
【0012】
本請求項2に係る発明によれば、計量筒の取入口の開口端面が容器内の内容物上面より突出した状態を確実に得ることができるので、内容物の取り出し時に、容器内の内容物が計量筒内に追加的に流入することがなく、内容物の取り出し量にバラツキが生ずることを確実に回避することが可能である。
【0013】
本請求項3に係る発明によれば、容器の開口部と計量筒の取入出口との位置関係が固定されるので、第1蓋部を容器の開口部に装着することで、計量筒の取入口の開口端面が容器内の内容物上面より突出した状態を確実に得ることが可能となると共に、内容物が期せずして注出されることを回避することが可能となる。
【0014】
本請求項4に係る発明によれば、第1蓋部をアダプタとして機能させることができるので、種々のサイズのものを用意することで容器選択の自由度が高くなり、汎用性を向上させることが可能となる。
【0015】
本請求項5に係る発明によれば、内容物の計量時に、内容物が期せずして注出されることを回避することができるので、内容物の計量及び取り出しを円滑に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施例1に係る計量機能付き容器の一構成例を示す、軸方向に沿った断面図である。
【
図2】キャップの構成の一部を拡大して示す断面図である。
【
図3】容器を倒立状態としたときの、計量筒の取入口の開口端面と容器内の内容物上面との位置関係を概略的に示す図である。
【
図4A】計量機能付き容器を倒立させた状態を示す図である。
【
図4B】計量筒を下方へスライドさせ取入口の開口端面を内容物上面より下方に位置させた状態を示す図である。
【
図4C】計量筒を再度上方へスライドさせ取入口の開口端面を内容物上面より上方に位置させた状態を示す図である。
【
図4D】計量筒の取出口を開放して一定量の内容物を取り出し可能とした状態を示す図である。
【
図5】本発明の実施例2に係る計量機能付き容器の一構成例を示す、軸方向に沿った断面図である。
【
図6】キャップの構成の一部を概略的に示す断面図である。
【
図7A】本発明の実施例2に係る計量機能付き容器の他の例における要部の構成を概略的に示す断面図である。
【
図7B】本発明の実施例2に係る計量機能付き容器のさらに他の例における要部の構成を概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の計量機能付き容器は、正立状態で上方に開口する開口部を有する容器本体と、容器本体の開口部を開閉可能に閉塞するキャップとを備える。キャップは、一端に取入口を有すると共に他端に取出口を有する直管状の計量筒を備え、内容物の一定量を計量して取り出し可能に構成される。
【0018】
容器本体の材質や形状などは特に限定されるものではなく、キャップにより内部を密閉可能に構成されていれば、如何なるものであってもよい。容器内部が密閉可能であることで内容物の保存に適したものとなる。
内容物は、流動性を有するものであって、粉体、粒体、液体などいずれのものであってもよい。
【0019】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0020】
[実施例1]
図1及び
図2に示すように、本実施例1に係る計量機能付き容器10(以下、単に「容器」という。)は、例えば、角形ボトルと称されるボトル形状を有する容器本体11を備える。具体的には、容器本体11は、底部12と、底部12の上端に連続する胴部13と、胴部13の上端に連続し上方に向かって縮径する肩部14と、肩部14の上端に連続し上方に開口する開口部を有する口部15とを備えている。
容器本体11は、角形ボトルに限定されるものではなく、丸形ボトルと称されるボトル形状を有するものであってもよく、その他のボトル形状を有するものであってもよい。
【0021】
口部15は、軸方向において内径寸法が略均一な円筒状に構成され、キャップ20が着脱可能に構成されたキャップ装着部16を有する。
本実施例におけるキャップ装着部16は、周方向に延びるネジ山部を外周面に設けることでキャップ20が螺合装着されるように構成されている。
【0022】
キャップ20は、第1蓋部30を有する計量筒25と、第2蓋部40とを備える。
【0023】
計量筒25は、一端に取入口21を有すると共に他端に取出口22を有する直管状であって、容器本体11に対しシール性を確保した状態で軸方向に移動可能に挿入される計量部26を備える。
【0024】
計量部26は、内径が軸方向において均一な大きさとされた円筒状に形成され、内容積の大きさによって内容物の取り出し量が設定可能となっている。
計量部26は、内容物が例えば粉粒体である場合には、容器本体11の口部15に対しシール性が確保される状態で挿入可能に構成されていれば、口部15の内周面との間に微小な間隙が形成されるように構成されていてもよい。この場合には、間隙の大きさは、粉粒体の粒子径の1/2未満の大きさとすれば、容器10を倒立状態とした場合であっても、内容物の漏れを防止することができる。
【0025】
第1蓋部30は、容器本体11の開口部を開閉可能に閉塞する閉塞部材として機能するものである。
本実施例における第1蓋部30は、計量部26の取出口22側の位置において計量部26と一体に形成され、計量部26の外周面の全周にわたって径方向外方に延びるよう形成された円板状の端壁部32と、計量部26の周囲を囲むよう端壁部32の周縁から軸方向下方に向かって延びる周壁部33とを有する。第1蓋部30が計量部26と一体に構成されることで、容器本体11の開口部と計量筒25の取入口21との位置関係が固定されるので、第1蓋部30を容器本体11の口部15に装着することで、計量筒25の取入口21の開口端面が内容物上面より突出した状態を確実に得ることが可能となる。
【0026】
周壁部33の内周面には、容器本体11のキャップ装着部16に係合可能に構成された螺合装着部34が形成されており、これにより、第1蓋部30が容器本体11の口部15に対し着脱可能となっていると共に計量筒25の取入口21が容器10内の内容物Wの上面より上方に位置される状態で計量筒25を固定可能となっている。
【0027】
本実施例においては、計量部26の、第1蓋部30の上面より延出する取出口22側部分は、閉塞部材装着部27として構成されている。
閉塞部材装着部27は、例えば周方向に延びるネジ山部を外周面に設けることで第2蓋部40を構成する第2閉塞部材41が螺合装着されるように構成されている。
【0028】
第2蓋部40は、計量筒25の取出口22を開閉可能に構成された有底円筒状の第2閉塞部材41により構成されている。
本実施例においては、第2閉塞部材41の周壁部の内周面には、計量筒25の閉塞部材装着部27に係合可能に構成された螺合装着部42が形成されており、これにより、第2閉塞部材41が計量筒25に対し着脱可能に構成されている。
なお、第2蓋部40は、例えばインナーリングが設けられた構成としてもよい。
【0029】
而して、上記の容器10における計量筒25は、
図3に示すように、最大容量の内容物Wが収容された容器10を倒立状態としたときに、取入口21の開口端面のレベル位置Lcが容器10内の内容物Wの上面のレベル位置Loより上方に突出するように設定された長さを有する。これにより、内容物Wの取出時には、計量筒25の取入口21の開口端面を確実に内容物上面より上方に突出させることができるようになっている。なお、
図3においては、便宜上、内容物Wの上面を水平面として示してある。
【0030】
また、計量筒25は、取出口22を閉塞した状態で、倒立状態とした容器本体11に対し下方にスライドさせることで内容物Wを計量部26の内部に流入させ、内容物Wをすりきりで充填することにより内容物Wを計量可能に構成されている。これにより、内容物Wの取り出しに際して、計量筒25の内容積の大きさで決まる一定量が計量されることとなるので、内容物Wの計量を精度よく行うことが可能となる。また、容器10を倒立状態として計量筒25を容器本体11に対しスライド移動させるという簡単な操作を行えばよいので、内容物Wの一定量の計量及び取り出しを繰り返し容易に行うことが可能となっている。
【0031】
上記の容器10は、例えば、必要時に内容物Wの一定量を計量して取り出すことのできる保存容器として用いられ、内容物Wを使い切った場合には、キャップ20を取り外して内容物Wを容器本体11に充填すると共にキャップ20を再装着することで保存容器として繰り返し使用できるようになっている。
【0032】
内容物Wを取り出す際には、
図4Aに示すように、内容物Wが収容された容器10を倒立状態とする。このとき、少なくとも計量筒25内の取入口21側は、内容物Wの性状に拘わらず、通常、内容物Wが計量されていない状態となっている。
【0033】
次いで、
図4Bに示すように、第1蓋部30を計量筒25の取出口22を閉塞した状態のまま容器本体11から取り外し、計量筒25を取入口21の開口端面が容器10内の内容物Wの上面より下方に位置されるように鉛直方向下方にスライドさせることで、内容物Wを計量筒25内に流入させる。
【0034】
計量筒25の内部を内容物Wで満たした状態とした後、
図4Cに示すように、容器10の姿勢を倒立状態に維持したまま、計量筒25を取入口21の開口端面が容器10内の内容物Wの上面より上方に位置するように鉛直方向上方にスライドさせ、内容物Wをすりきりで計量筒25内に充填することで、内容物Wの一定量が計量される。このとき、例えば第1蓋部30を容器本体11に装着するようにすることで、計量筒25を取入口21の開口端面が容器10内の内容物Wの上面より上方に位置する状態を確実に得ることが可能である。また、計量筒25が容器本体11に固定されることで、内容物Wが期せずして注出されることを回避することが可能となると共に、第2閉塞部材41の取り外しを円滑に行うことが可能となる。
なお、第1蓋部30は、必ずしも容器本体11に再装着する必要はない。
【0035】
この状態において、
図4Dに示すように、第2閉塞部材41を計量筒25から取り外して取出口22を開放させることで、一定量に計量された内容物Wを取り出すことができる。このとき、計量筒25の取入口21の開口端面が容器10内の内容物Wの上面より上方に位置されているため、内容物Wの取り出し時に、容器10内の内容物Wが計量筒25内に追加的に流入することがなく、内容物Wの取り出し量にバラツキが生ずることを確実に回避することが可能である。
【0036】
上記の操作を必要に応じて繰り返し行うことにより必要量の内容物Wを取り出した後には、計量筒25を容器本体11に装着することで容器10の内部が密閉状態となるので、計量筒25を装着した状態のまま保管可能となる。
【0037】
以上のように、上記のキャップ20によれば、容器10には特別な構造が要求されないので、第1蓋部30を例えばペットボトルの口部に適合可能に構成することで、使用済みのペットボトルを保存容器として再利用することも可能となる。
また、内容物Wが例えばお米である場合には、計量筒の内容積を例えば1合分の大きさとすることで、高い利便性を有するものとして構成することができる。
【0038】
[実施例2]
実施例2に係る計量機能付き容器10は、
図5に示すように、キャップ20の構成が異なることの他は、実施例1に係る容器と同一の構成を有するものであり、実施例1に係る容器と同一の構成部材については同一の符号を付してあり、説明を省略することとする。
本実施例2に係るキャップ20は、
図6にも示すように、一端に取入口21を有すると共に他端に取出口22を有する直管状の計量筒25と、容器本体11の開口部を開閉可能に閉塞する第1蓋部30と、計量筒25の取出口22を開閉可能に閉塞する第2蓋部40とを備える。
【0039】
第1蓋部30は、容器本体11の口部15に着脱可能に構成された第1閉塞部材31により構成されている。
第1閉塞部材31は、容器本体11の口部15に内嵌されると共に計量筒25が軸方向に移動可能に挿入されるように構成された円筒部35と、円筒部35の上端部において円筒部35の外周面の全周にわたって径方向外方に延びるよう形成された円板状の端壁部32と、円筒部35の周囲を囲むよう端壁部32の周縁から軸方向下方に向かって延びる周壁部33とを有する。
本実施形態においては、円筒部35は軸方向下方に向かって延びるよう形成されているが、円筒部は軸方向上方に向かって延びるよう形成されていてもよい。
【0040】
周壁部33の内周面には、容器本体11のキャップ装着部16に係合可能に構成された螺合装着部34が形成されており、これにより、第1閉塞部材31が容器本体11の口部15に対し着脱可能に構成されている。円筒部35は、第1閉塞部材31が容器本体11に装着された状態において、下端が口部15の下端より下方に突出しないように構成され、計量筒25のスライド移動をガイドするようになっている。
【0041】
第2蓋部40は、計量筒25の取出口22を開閉可能に構成された有底円筒状の第2閉塞部材41により構成されている。
本実施例においては、第2閉塞部材41の周壁部の内周面には、計量筒25の閉塞部材装着部27に係合可能に構成された螺合装着部42が形成されており、これにより、第2閉塞部材41が計量筒25に対し着脱可能に構成されている。
なお、第2蓋部40は、例えばインナーリングが設けられた構成としてもよい。
【0042】
上記の容器10の使用方法は、内容物Wの計量時において、第1閉塞部材31を容器本体11から取り外すことなしに計量筒25のみを容器本体11に対して軸方向にスライドさせることの他は、実施例1に係る容器と同様である。
【0043】
而して、上記構成の容器10によれば、容器10内の内容物Wの取り出しに際して、計量筒25の内容積の大きさで決まる一定量が計量されることとなるので、内容物Wの計量を精度よく行うことが可能である。また、容器10を倒立状態として計量筒25をスライド移動させるという簡単な操作を行えばよいので、内容物Wの一定量の計量及び取り出しを繰り返し容易に行うことが可能である。
【0044】
さらに、第1閉塞部材31をアダプタとして機能させることができるので、種々のサイズのものを用意し適宜付け替えることで容器選択の自由度が高くなり、汎用性を向上させることが可能となる。
すなわち、
図7Aに示すように、容器本体11がいわゆる広口形状のものである場合、具体的には、容器本体11の口部15が計量筒25の外周面との間に空間が形成される大きさの開口径を有する場合には、計量筒25の外径を口部15のサイズに合わせて変更すると、製造コストが増大すると共に計量で不利になる。然るに、第1蓋部30を構成する第1閉塞部材31として、周壁部33の内径寸法が口部15に適合する大きさを有するものを用いることで、計量筒25の外径を口部に合わせて変更することなく、内容物の一定量の計量及び取り出しを行うことが可能である。
この例における第1閉塞部材31は、計量筒25が軸方向に移動可能に挿入されるように構成された小径円筒部36と、小径円筒部36の下端に連続し周方向全周にわたって径方向外方に突出するよう形成された端壁部32と、内周面に螺合装着部34が形成され端壁部32の周縁から軸方向下方に延びる周壁部33とを有する。端壁部32は、径方向外方に向かって軸方向下方に傾斜して延びるよう形成されている。
また、容器本体11が広口形状のものである場合には、
図7Bに示すように、シール性を確保するために、周壁部33の内側に容器本体11の口部15に内嵌される内筒部37を設けた構成としてもよい。
【0045】
以上、本発明の実施形態を詳述したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行なうことが可能である。
【0046】
例えば、上記の実施例1及び実施例2においては、キャップの第1蓋部が容器本体の口部に対し螺合により装着されるように構成されているが、第1蓋部を口部に対し内嵌ないしは外嵌させることで装着されるように構成されていてもよい。また、第1蓋部及び容器本体の口部の一方に例えばL字溝などの係合溝部を設けると共に他方に突起部を設け、突起部を係合溝部に係合させることで、第1蓋部を容器本体に装着されるように構成されていてもよい。
【0047】
第2蓋部についても同様であって、上記の実施例1及び実施例2においては、キャップの第2蓋部が計量筒の取出口側端部に対し螺合により装着されるように構成されているが、第2蓋部を計量筒に対し内嵌ないしは外嵌させることで装着されるように構成されていてもよい。
また、計量筒の閉塞部材装着部は、ヒンジ機構が設けられ、第2閉塞部材を一体に保持するよう構成されていてもよく、さらに、第2閉塞部材を押ボタンで開栓するように構成されたロック機構が設けられた構成とされていてもよい。このような構成とすることで、第2閉塞部材の紛失を回避することが可能となると共に第2閉塞部材の開栓を容易に行うことが可能となる。
なお、計量部は、第1蓋部の上面より延出する部分を有さず、第2閉塞部材をスライドあるいは回転させて開閉させるように構成されていてもよい。
【0048】
さらにまた、上記の実施例1及び実施例2においては、計量筒を人の手によって軸方向に移動させる構成について説明したが、計量筒をボールねじ機構などにより軸方向に移動可能となるように構成してもよい。このような構成のものにおいては、計量筒の取入口の開口端面の位置を容易に調整及び固定することが可能となる。
【0049】
さらにまた、計量筒の内部に内容物を充填した後、計量筒を容器内に戻すときに、計量筒の取入口の開口端面が容器本体の底部に当たる前に計量筒のスライド移動を禁止する付き当て機構を設けた構成とされていてもよい。
さらにまた、容器本体の底部に、計量筒の取入口側端部が嵌合される凹みを設けるなど、計量筒の外部から余剰の内容物が流れ込むことを防止する機構を設けた構成とされていてもよい。
【0050】
さらにまた、本発明の計量機能付き容器においては、O-リング等のシール部材を設けた構成としてもよい。このような構成のものにおいては、内容物が例えば粒径の小さい粉体や液体であっても、内容物の漏れを確実に防止することができる。
さらにまた、上記の実施例1及び実施例2においては、計量筒を口部の形状に合わせて円筒状に構成したものについて説明したが、計量筒は円筒状のものに限定されず、例えば筒軸に垂直な平面による断面形状が、例えば四角形状、六角形状といった多角形状である筒状のものであってもよい。このような構成とした場合には、多角形の頂点(角部)を例えばR面取りすることで、例えばO-リング等のシール部材を装着可能となり、内容物が外部に漏れることを確実に防止することができる。
さらにまた、計量時に計量筒の開口端が容器開口部から外れて内容物がこぼれることがないように開口端に抜け止め防止機構を設けてもよい。
【符号の説明】
【0051】
10 ・・・ 計量機能付き容器
11 ・・・ 容器本体
12 ・・・ 底部
13 ・・・ 胴部
14 ・・・ 肩部
15 ・・・ 口部
16 ・・・ キャップ装着部
20 ・・・ キャップ
21 ・・・ 取入口
22 ・・・ 取出口
25 ・・・ 計量筒
26 ・・・ 計量部
27 ・・・ 閉塞部材装着部
30 ・・・ 第1蓋部
31 ・・・ 第1閉塞部材
32 ・・・ 端壁部
33 ・・・ 周壁部
34 ・・・ 螺合装着部
35 ・・・ 円筒部
36 ・・・ 小径円筒部
37 ・・・ 内筒部
40 ・・・ 第2蓋部
41 ・・・ 第2閉塞部材
42 ・・・ 螺合装着部
W ・・・ 内容物