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特開2024-87539集塵システム、集塵方法、有価物の回収システム及び有価物の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087539
(43)【公開日】2024-07-01
(54)【発明の名称】集塵システム、集塵方法、有価物の回収システム及び有価物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B09B 3/40 20220101AFI20240624BHJP
   B09B 3/50 20220101ALI20240624BHJP
   F27D 17/00 20060101ALI20240624BHJP
【FI】
B09B3/40
B09B3/50
F27D17/00 105A
F27D17/00 104G
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022202421
(22)【出願日】2022-12-19
(71)【出願人】
【識別番号】000229047
【氏名又は名称】日本スピンドル製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002826
【氏名又は名称】弁理士法人雄渾
(72)【発明者】
【氏名】木嶋 敬昌
(72)【発明者】
【氏名】近藤 千夏
【テーマコード(参考)】
4D004
4K056
【Fターム(参考)】
4D004AA37
4D004CA22
4D004CA43
4D004CB33
4K056AA02
4K056AA05
4K056AA19
4K056CA02
4K056CA20
4K056DB02
4K056DB03
4K056DB04
4K056DB07
4K056DB13
(57)【要約】
【課題】本発明の課題は、排ガス(被処理気体)に含まれる有価物を効率よく回収できる集塵システム、集塵方法、有価物の回収システム及び有価物の製造方法を提供することである。
【解決手段】上記課題を解決するために、集塵部と、集塵部を加熱する加熱部と、を備えることを特徴とする、集塵システムを提供する。
この発明によれば、集塵部内の排ガス(被処理気体)の温度を回収する有価物に適した温度に維持及び調整して、粒子物質を生成することで、回収する有価物よりも沸点の低い不純物を気体状態(処理気体)として排出できる。よって、回収物(粒子物質)内に不純物が含有することを抑制しつつ、有価物が気体として排出されることを抑制できることから、効率よく有価物を回収することができる効果がある。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
集塵部と、前記集塵部を加熱する加熱部と、を備えることを特徴とする、集塵システム。
【請求項2】
加熱部は、誘導加熱又は誘電加熱により加熱することを特徴とする、請求項1に記載の集塵システム。
【請求項3】
有害物質を分解する浄化部を備え、前記浄化部は、触媒反応部又はプラズマ処理部であることを特徴とする、請求項1に記載の集塵システム。
【請求項4】
粒子を含有する被処理気体を加熱する加熱ステップと、
前記被処理気体中に含有する粒子を分離する集塵ステップと、を備えることを特徴とする、集塵方法。
【請求項5】
炉と、請求項1~3のいずれか一項に記載の集塵システムを備えることを特徴とする、有価物の回収システム。
【請求項6】
粒子を含有する被処理気体を加熱する加熱ステップと、
前記被処理気体中に含有する粒子を分離する集塵ステップと、を備えることを特徴とする、有価物の製造方法。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集塵システム、集塵方法、有価物の回収システム及び有価物の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
製鋼電炉・廃棄物炉などの高温排ガスは、集塵機にて高温排ガスに含まれる飛灰を回収し、冷却廃棄処理後に大気開放されている。回収される飛灰には、鉄や亜鉛などの多くの有価物が含まれている。
このような製鋼電炉・廃棄物炉などの高温排ガスが排出される現場では、有価物の精製は行われておらず、飛灰を回収して精錬業者にて精錬処理して有価物として再利用されている。
【0003】
特許文献1では、鉄と亜鉛を含む製鋼中の溶融電気炉から発生するダストを燃焼炉で燃焼させ、高温状態の飛灰を含む排ガスを集塵機(高温集塵機)に送ることで、融点の低い亜鉛を多く含む煤塵を回収し、燃焼炉に残った金属が鉄等になるように、分離回収可能なシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-331172号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のシステムでは、燃焼炉から高温の排ガスを集塵機に送るライン中や集塵機内において、排ガスの熱が周囲に放出されることから、集塵機で飛灰を分離回収する段階において、排ガスの温度が低くなりすぎるおそれがある。この場合、回収する有価物の純度が低下する状態となる。また、排ガスの温度が低くなりすぎないように、排ガスの温度を高くしすぎた場合、有価物が気体のまま集塵機で回収されずに排ガスとして排出され、回収効率が悪くなるおそれがある。
【0006】
そこで、本発明の課題は、排ガス(被処理気体)に含まれる有価物を効率よく回収できる集塵システム、集塵方法、有価物の回収システム及び有価物の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記の課題について鋭意検討した結果、集塵部と、集塵部を加熱する加熱部とを備えることで、集塵部に導入された排ガスの温度を調整し、有価物を効率のよく回収することが可能となることを見いだして本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の集塵システム、集塵方法、有価物の回収システム及び有価物の製造方法である。
【0008】
上記課題を解決するための本発明の集塵システムは、集塵部と、前記集塵部を加熱する加熱部と、を備えることを特徴とする。
この特徴によれば、集塵部内の排ガス(被処理気体)の温度を回収する有価物に適した温度に維持及び調整して、粒子状物質を生成することで、回収する有価物よりも沸点の低い不純物を気体状態(処理気体)として排出できる。よって、回収物(粒子状物質)内に不純物が含有することを抑制しつつ、有価物が気体として排出されることを抑制できることから、効率よく有価物を回収することができる効果がある。
【0009】
また、本発明の集塵システムの一実施態様としては、加熱部は、誘導加熱又は誘電加熱により加熱することを特徴とする。
この特徴によれば、誘導加熱又は誘電加熱により集塵部を外部から加熱することができ、加熱部の設置が容易である効果がある。
【0010】
また、本発明の集塵システムの一実施態様としては、有害物質を分解する浄化部を備え、前記浄化部は、触媒反応部又はプラズマ処理部であることを特徴とする。
この特徴によれば、被処理気体から回収物が回収処理された処理気体に含まれる有害物質を分解除去でき、大気に放出する状態とすることができる効果がある。
【0011】
また、上記課題を解決するための本発明の集塵方法は、粒子を含有する被処理気体を加熱する加熱ステップと、被処理気体中に含有する粒子を分離する集塵ステップと、を備えることを特徴とする。
この特徴によれば、集塵部内の排ガス(被処理気体)の温度を回収する有価物の温度を維持及び調整して、粒子状物質を生成することで、回収する有価物よりも沸点の低い不純物を気体状態(処理気体)として排出できる。よって、回収物(粒子状物質)内に不純物が含有することを抑制しつつ、有価物が気体として排出されることを抑制できることから、効率よく有価物を回収することができる集塵方法とすることができる。
【0012】
また、上記課題を解決するための本発明の有価物の回収システムは、炉と、集塵システムを備えることを特徴とする。
この特徴によれば、炉から排出されて送られてきた集塵部内の排ガス(被処理気体)の温度を回収する有価物の温度を維持及び調整して、粒子状物質を生成することで、回収する有価物よりも沸点の低い不純物を気体状態(処理気体)として排出できる。よって、回収物(粒子状物質)内に不純物が含有することを抑制しつつ、有価物が気体として排出されることを抑制できることから、効率よく有価物を回収することができる有価物の回収システムとすることができる。
【0013】
また、上記課題を解決するための本発明の有価物の製造方法は、粒子を含有する被処理気体を加熱する加熱ステップと、被処理気体中に含有する粒子を分離する集塵ステップと、を備えることを特徴とする。
この特徴によれば、集塵部内の排ガス(被処理気体)の温度を回収する有価物の温度を維持及び調整して、粒子状物質を生成することで、回収する有価物よりも沸点の低い不純物を気体状態(処理気体)として排出できる。よって、回収物(粒子状物質)内に不純物が含有することを抑制しつつ、有価物が気体として排出されることを抑制できることから、効率のよい製造方法とすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、排ガス(被処理気体)に含まれる有価物を効率よく回収できる集塵システム、集塵方法、有価物の回収システム及び有価物の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】A図は、本発明の第1の実施態様に係る集塵システムの上側から見た概略説明図である。B図は、本発明の実施態様に係る集塵システムの側面から見た概略説明図である。
図2】本発明の第2の実施態様に係る集塵システムを示す概略説明図である。
図3】本発明の第3の実施態様に係る集塵システムを示す概略説明図である。
図4】本発明の第4の実施態様に係る集塵システムを示す概略説明図である。
図5】本発明の第5の実施態様に係る集塵システムを示す概略説明図である。
図6】本発明に係る集塵システムを多段階で組み合わせた状態を示す概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ本発明に係る集塵システム、集塵方法、有価物の回収システム及び有価物の製造方法の実施態様を詳細に説明する。なお、本発明における集塵方法は、本発明における分散システムの作動の説明に置き換えるものとする。
なお、実施態様に記載する集塵システム、集塵方法、有価物の回収システム及び有価物の製造方法については、本発明に係る集塵システム、集塵方法、有価物の回収システム及び有価物の製造方法を説明するために例示したに過ぎず、これに限定されるものではない。
【0017】
〔第1の実施態様〕
図1を参照し、本発明の第1の実施態様について説明する。本実施の態様の集塵システム1Aは、集塵部10と加熱部20とを備える。
ラインL1から供給された有価物(粒子物質)を含む被処理気体G1が、加熱部20で加熱された集塵部10で分離処理され、ラインL2から処理気体G2が大気に排出される。被処理気体G1の気体に含まれる粒子状の有価物は分離回収される。
【0018】
[被処理気体]
被処理気体G1は、図示しない炉等で燃焼処理された粒子状の有価物を含む気体である。被処理気体G1は、有価物を含む気体であれば特に限定されないが、回収目的となる有価物を含む気体であることが好ましく、具体的には、製鋼電炉や廃棄物炉などの高温排ガスが例示できる。
【0019】
<有価物(粒子物質)>
有価物は、回収し再利用できるものであれば、特に限定されないが、具体的には、銅、亜鉛、鉛、鉄、マンガン等の物質が該当する。
有価物は、粒子状の状態(粒子物質)で被処理気体G1から分離される。
例えば、酸化亜鉛と塩化亜鉛の有価物を含有する被処理気体G1から、塩化亜鉛を気化させて酸化亜鉛を固体として分離する場合を説明する。後述する加熱部20で加熱された集塵部10から被処理気体G1が熱を受け取る。ここで、塩化亜鉛が気体となる温度をA℃(A℃は、不純物の沸点以上の温度を意味し、例えば600℃~800℃)とすると、塩化亜鉛が気体となるように加熱部20が集塵部10の温度制御を行う。これによって、塩化亜鉛は気体の状態で集塵部10を通過する。一方、酸化亜鉛は融点がB℃(B℃は、回収目的物の融点未満の温度を意味する。煙道の環境によって融点は異なるが、例えば酸化亜鉛の場合は、1900℃~2100℃とする)のため、集塵部10で固体のまま分離される。
以上のように、被処理気体G1が高温を維持できることから、沸点の低い不純物(塩化亜鉛)が粒子物質として残ることなく気体として分離できる。また、回収目的物の酸化亜鉛も気体として排出されることなく回収できることから効率のよい分離が行うことができる。
【0020】
[集塵部]
集塵部10は、粒子状の有価物を含む気体である被処理部材G1から気体を粒子状の有価物を分離できる装置であり、高温状態の被処理気体G1の熱に耐えられる材質のものであれば、特に限定されない。具体的には、サイクロン集塵機やバグフィルター集塵機等が例示できる。
図1では、サイクロン集塵機の場合を例示している。サイクロン集塵機の場合、金属製で製造することができ、後述する加熱部20の加熱に耐えられるものとすることができることから好ましい。分離された粒子物質S1は、有価物として集塵部10の回収部から回収される。
【0021】
[加熱部]
加熱部20は、集塵部10を加熱し、集塵部10自体の温度を上昇させ、内部の被処理気体G1の温度を上昇及び特定の温度に維持する機能を有する加熱手段である。
加熱手段としては、被処理気体G1の温度を上昇させ、温度を維持できる手段であれば特に限定されない。具体的には、高周波を用いた高周波誘電加熱装置(誘導加熱)やマイクロ波加熱装置(誘電加熱)が例示できる。これらの装置であれば、外部から集塵部10を加熱することができることから装置の設置や管理が容易であり、また、集塵部10を金属で製造できる点においても好適である。
【0022】
[ライン]
ラインL1は、被処理気体G1を集塵部10に導入させるための配管である。被処理気体G1の温度に耐えうるものであれば、材質や形状などは特に限定されることはない。
ラインL2は、処理気体G2を集塵部10から大気へ排出させるための配管である。処理気体G2の温度に耐えうるものであれば、材質や形状などは特に限定されることはない。ラインL2の処理気体G2は、大気に排出できるように、図示しない適切な処理が施されてから、排出される。
【0023】
〔集塵システムの動作〕
次に、本発明の集塵システム1Aの動作について説明する。
まず、図1において図示しない炉等で燃焼処理された粒子状の有価物を含む気体(被処理気体G1)が、ラインL1から集塵部10に供給される。この工程を被処理気体供給ステップとする。
なお、図示しない吸引装置により、被処理気体G1がラインL1、集塵部10の内部空間の順に通過して処理気体G2となり、処理気体G2がラインL2を通過して大気に排出される。
【0024】
次に、加熱部20が動作し、集塵部10自体を加熱する。この工程を、粒子を含有する被処理気体を加熱する加熱ステップとする。
加熱された集塵部10の熱が、集塵部10の内部の被処理気体G1の温度を回収目的の有価物の融点未満かつ気体として排出する不純物の沸点以上の温度となるように、図示しない制御部が加熱部20を制御する(B℃>加熱部20の制御温度>=A℃)。加熱部20が集塵部10の温度を上げることで、被処理気体G1の温度を外気の気温状況の影響を受けることなく一定に維持できる。よって、温度が低くなりすぎて不純物が多く混ざることを抑制しつつ、回収目的の有価物が気体となって排出することも抑制できることから効率よく有価物を回収できる。
【0025】
集塵部10の内部の被処理気体G1は、遠心分離されて粒子物質S1と処理気体G2とに分離される。この工程を、被処理気体中に含有する粒子を分離する集塵ステップとする。
粒子物質S1が集塵部10の粒子物質S1を回収する回収部から回収され、処理された処理気体G2は、ラインL2を経由して大気に排出される。
【0026】
以上のステップにより、被処理気体G1が処理され、有価物が回収されかつ処理気体G2となる。
【0027】
〔第2の実施態様〕
図2を参照し、本発明の第2の実施態様について説明する。本実施の態様では、集塵部10にバグフィルター集塵機を用いた場合を例示している。第2の実施態様では、第1の実施態様と同じ構造のものは、同じ符号を付している。第2の実施態様では、集塵部10のバグフィルター集塵機のリテーナー11に熱を与える第二加熱部20Bを備える点が、第1の実施態様と異なる。
【0028】
[集塵機]
<リテーナー>
リテーナー11は、後述するフィルター12を支え、集塵効果を維持する機能を有する。本実施の態様では、リテーナー11は、金属で製造される。リテーナー11が金属で製造されていることから、後述する第二加熱部20Bにより熱が加えられ、粒子物質S1が集積回収されるフィルター12付近の温度を上昇させ、フィルター周辺の被処理気体G1の温度を効率よく制御することができる。
【0029】
<フィルター>
フィルター12は、被処理気体G1に含まれる粒子物質(有価物)を回収する役割を「果たす。粒子物質を回収し気体を通過させることができるものであれば、材質や形状は問わない。
【0030】
[第二加熱部]
第二加熱部20Bは、リテーナー11を加熱する機能を有する。第二加熱部20Bとしては、リテーナー11を加温することができれば特に限定されない。具体的には、加熱部20と同じものを使用でき、誘導加熱や誘電加熱の方法により加熱する方法が挙げられる。
【0031】
〔集塵システムの動作〕
次に集塵システム1Bの動作について説明すると、第1の実施態様の集塵システム1Aと同様であり、さらに、第二加熱部20Bでリテーナー11を加温する、リテーナー加熱ステップを有する。
リテーナー加熱ステップを有することにより、有価物が集積されるフィルター12の近傍の温度管理が容易になり、効率よく回収を行うことができる。
【0032】
本実施の態様では、第二加熱部20Bでリテーナー11を加温したが、集塵部10を外部から加温する加熱部20と共通とし、一つの装置としてもよい、
また、本実施態様のように、バグフィルター集塵機を用いる場合、フィルターを通過した側に図示しない高圧エアタンクのような装置を備え、フィルター12を逆洗してもよい。
【0033】
〔第3の実施態様〕
図3を参照し、本発明の第3の実施態様について説明する。第3の実施態様の集塵システム1Cでは、第1の実施態様と同じ構造のものは、同じ符号を付している。第3の実施態様では、集塵システムに浄化部3を備える点が、第1の実施態様と異なる。
【0034】
[浄化部]
浄化部3は、被処理気体G1及び処理気体G2に含まれる有害気体を分解処理する機能を有する。
浄化部3は、プラズマ処理部31と触媒反応部32が該当する。浄化部3を有することにより、処理気体G2中に含まれる有害気体を分解し、大気への排出を行いやすくする効果がある。
【0035】
プラズマ処理部31は、プラズマを処理気体G2中で発生させることにより、有害気体を分解するものである。被処理気体G1及び処理気体G2に含まれる有害気体を分解することができるプラズマ発生装置であれば特に種類は限定されない。
また、図3では、プラズマ処理部31は、ラインL2の内部に配置された場合を例示したが、被処理気体G1及び処理気体G2と接触する場所であればよく、集塵部10の内部に設けられてもよい。
【0036】
触媒反応部32は、有害気体と接触した際に、第二加熱部20Cからのエネルギーを受けて分解するものである。被処理気体G1及び処理気体G2に含まれる有害気体を分解することができる触媒であれば特に種類は限定されない。具体的には酸化チタンが例示できる。
図3では、触媒反応部32は、集塵部10の内壁に触媒反応部32が配置された場合を例示したが、被処理気体G1及び処理気体G2と接触する場所であればよく、ラインL1やラインL2に設けられてもよい。
また、第二加熱部20Cは、触媒反応部32にエネルギーを与えて有害物質の分解を促すものであればよく、具体的には、加熱部20又は第二加熱部20Bと同様のものが使用できる。さらに、加熱部20と第二加熱部20Cを一つの装置としてもよい。
【0037】
〔集塵システムの動作〕
次に集塵システム1Cの動作について説明すると、第1の実施態様の集塵システム1Aと同様である。本実施の態様では、さらに、第二加熱部20Cを動作し、触媒反応部32で有害気体を分解する。この工程を触媒反応部分解工程とする。また、プラズマ発生装置を動作させ、プラズマ処理部31にて、有害部材を分解除去する。この工程をプラズマ処理分解工程とする。分解部3の有害物質分解処理により、気体が浄化され、大気への排出を行いやすくする。
【0038】
なお、本実施の態様では、浄化部3は、プラズマ処理部31と触媒反応部32の両方を備える場合を例示したが、集塵システム1Cにプラズマ処理部31又は触媒反応部32のどちらか一方を有していればよい。
【0039】
〔第4の実施態様〕
図4を参照し、本発明の第4の実施態様について説明する。第4の実施態様の集塵システム1Dでは、第1の実施態様から第3の実施態様と同じ構造のものは、同じ符号を付している。第4の実施態様では、集塵システム1Dに蓄熱部40と第二集塵部50と貯留槽60を備える点が異なる。
【0040】
[蓄熱部]
蓄熱部40は、処理気体G2の保有する熱を回収し、必要な時に熱を放出するものである。蓄熱部40は、熱を回収し蓄えることができるものであれば、種類は問わない。具体的には化学蓄熱装置と呼ばれる装置の使用が例示できる。
蓄熱部40は、熱供給ラインを経由して蓄えた熱を集塵部10に供給できるように、連結されている。
また、蓄熱部40から延びるラインL3は、処理気体G2から熱が回収された処理気体G2となり、大気に排出されるラインとなっている。
【0041】
[貯留槽]
貯留槽60は、被処理液70を貯留する役割を果たす。なお、被処理液70は、集塵部10で回収された粒子物質S1が貯留槽60に貯留され、薬剤投入部41から粒子物質S1の純度を向上させるための薬液などが投入されることで、粒子物質S1を含む被処理液70となる。、貯留槽60は、被処理液70を貯留することができれば、大きさや材質は特に限定されない。
貯留槽60にはラインL4が連結され、ラインL4からも図示しない吸引装置により気体が吸引され大気に放出される。
【0042】
[第二集塵部]
第二集塵部50は、集塵部10の回収された有価物の純度を上げる機能を有する。第二集塵部50は、貯留槽60に貯留された被処理液70を処理する集塵装置である。
第二集塵部50は液体と粒子物質S1を分離することができれば特に限定されることはなく、例えば、サイクロン集塵機やバグフィルター集塵機を使用することができる。
被処理液70を第二集塵部50で処理し、回収された粒子物質S2は、粒子物質S1よりも純度が高い状態である。このように、集塵部10及び第二集塵部50で分離を繰り返すことで、回収した有価物の純度を高くできる効果がある。また、処理液80はラインL6を経由して適切な廃液処理がされ処分される。
【0043】
〔集塵システムの動作〕
次に集塵システム1Dの動作について説明すると、第1の実施態様の集塵システム1Aと同様である。本実施の態様では、さらに、処理気体G2の熱を回収する蓄熱ステップを有する。
【0044】
バルブV1が閉じられた状態で処理気体G2の熱が回収され、熱を回収された処理気体G2はラインL3を経由して大気に排出される。また、蓄熱された熱は、集塵システム1Dの処理が停止され、集塵部10自体の熱が失われた状態から処理を始める際に集塵部10の温度を上昇させるためにバルブV1を開き、熱供給ラインを経由して熱を供給することで、熱を効率よく使用できる。
【0045】
集塵部10で回収された粒子物質S1は貯留槽60に貯留され、薬剤投入部41から投入され被処理液70となる。この工程を薬剤投入ステップとする。
次に、ラインL5のバルブV2が開かれ、被処理液70が第二集塵部50に投入される。この工程を被処理液投入ステップとする。
【0046】
投入された被処理液70は第二集塵部50で処理され、粒子物質S2と処理液80に分離される。この工程を第二集塵ステップとする。粒子物質S2は有価物として回収され、処理液80はラインL6を経由して処理されて一連の処理が完了する。
【0047】
なお、本実施の形態では、図4に示すように、ラインL1に薬剤投入部42を設け、被処理気体G1の処理を補助する薬剤を投入するようにしてもよい。
また、ラインL4及びラインL6に浄化部3(プラズマ処理部31)を設けてもよい。
【0048】
〔第5の実施態様〕
図5を参照し、本発明の第5の実施態様について説明する。第5の実施態様の集塵システム1Eでは、第1の実施態様から第4の実施態様と同じ構造のものは、同じ符号を付している。第5の実施態様では、第4の実施態様の集塵システム1Dにさらに熱を回収された処理気体G2に含まれる有価物を分離する後段集塵部90を備える点が異なる。
【0049】
[後段集塵部]
後段集塵部90は、集塵部10で処理された処理気体G2から熱を回収し、温度が下がった状態の処理気体G2に含まれる有価物質(粒子物質S3)をさらに分離回収する。気体と粒子物質S3を分離できる装置であればよく、サイクロン集塵機やバグフィルター集塵機等が使用できる。
【0050】
〔集塵システムの動作〕
次に集塵システム1Eの動作について説明すると、第4の実施態様の集塵システム1Dと同様である。本実施の態様では、さらに、熱の回収された処理気体G2に含まれる有価物をさらに後段集塵部90において分離回収する。この工程を後段集塵工程ステップとする。後段集塵工程ステップにおいて、分離された有価物は回収され有価物となり、後段集塵部90で処理された気体は、ラインL7を経由して大気に排出される。
【0051】
次に、第5実施形態の複数段の集塵システムである集塵部10と後段集塵部90の処理の流れ、動作について、より具体的に説明する。
集塵部10の1段目の集塵機(集塵部10)の役割としては、沸点の低い塩化金属類が気体状態となる温度帯で酸化金属類(沸点は塩化金属類よりも高い)を融点以下の個体(粒子物質S1)として集塵機で回収する。
そして、2段目以降の後段集塵機(後段集塵部90)の役割は、1段目の集塵機を気体として通過した金属化合物類において、凝固点付近まで冷やし、有価物(粒子物質S3)を分別回収する。
例えば、被処理気体G1に塩化亜鉛、酸化亜鉛、塩化鉄、酸化鉄、塩化鉛及び酸化鉛を含む場合で説明する。
ここで、塩化亜鉛の沸点は600℃~800℃であり、酸化亜鉛の融点は1900℃~2100℃である。また、塩化鉄の沸点は200~400℃であり、酸化鉄の融点は1200~1400℃である。さらに、塩化鉛の沸点は800~1000℃であり、酸化鉛の融点は700~900℃である。
なお、実際には、カルシウム等を含む複合化合物となるため、融点や沸点に違いは出る(被処理気体の条件によっても異なる)。
【0052】
1段目の集塵機で沸点の低い塩化金属類が気体状態となる温度帯かつ酸化金属類の融点以下の温度域に加熱部20で制御する。具体的には、被処理気体G1の温度を1000℃付近とすることで、塩化亜鉛、塩化鉄及び塩化鉛が気体となり、後段集塵部90に送られる状態となる一方、酸化亜鉛、酸化鉄及び酸化鉛は気体とならず、一段目の集塵部において、固体となり粒子物質S1として回収されることで、精度の高い有価物回収が可能となる。
さらに、2段目以降の後段集塵機では、1段目を気体として通過した金属化合物類(塩化亜鉛、塩化鉄及び塩化鉛)を蓄熱部40等で冷却をし、凝固点付近の温度まで下げることで、塩化金属類を有価物(粒子物質S3)として精度よく分別回収することができる。
【0053】
本実施の形態では、蓄熱部40で気体を冷却する方法を例示したが、これに限定されず、例えば、気体に冷却水を噴霧する等によって冷却を行う方法等、気体の温度を低下させる方法であれば適用可能である。
【0054】
なお、図5に示すように蓄熱部40の熱は、集塵部10に使用してもよく、また、熱を電力に変換して排気装置等の電力に使用するようにしてもよい。
【0055】
なお、本実施態様では、加熱部20を備える集塵部10において被処理気体G1を処理し、蓄熱部40で熱が回収された処理気体G2を後段集塵部90で分離処理する場合を例示した。しかし、図6に示すように、蓄熱部40で熱を回収する前の処理気体G2に対して加熱部20を備える集塵部10で粒子物質S3に対して分離回収処理し、多段階的に高温状態の気体を処理するようにしてもよい。この場合、被処理気体G1を処理する集塵部10(図6における集塵システム1A)の温度と、処理気体G2を処理する集塵部10(図6における集塵システム1B)の温度は、回収目的の有価物に合わせて異なる温度とすることが好ましい。このようにすることで、異なる種類の粒子物質を効率よく回収することができる効果がある。
【0056】
なお、上述した実施態様は、本発明の集塵システム、集塵方法、有価物の回収システム及び有価物の製造方法の一例を示すものである。本発明に係る集塵システム、集塵方法、有価物の回収システム及び有価物の製造方法は、上述した実施態様に限られるものではなく、請求項に記載した要旨を変更しない範囲で、上述した実施態様に係る集塵システム、集塵方法、有価物の回収システム及び有価物の製造方法を変形してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明の集塵システム、集塵方法、有価物の回収システム及び有価物の製造方法は、有価物を含む気体に好適に用いられ、製鋼電炉や廃棄物炉などの有価物を含む高温排ガスに特に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0058】
1A…集塵システム,1B…集塵システム,1C…集塵システム,1D…集塵システム,1E…集塵システム,3…浄化部,3S…粒子物質,10…集塵部,11…リテーナー,12…フィルター,20…加熱部,20B…第二加熱部,20C…第二加熱部,31…プラズマ処理部,32…触媒反応部,40…蓄熱部,41…薬剤投入部,42…薬剤投入部,50…第二集塵部,60…貯留槽,70…被処理液,80…処理液,90…後段集塵部

図1
図2
図3
図4
図5
図6