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特開2024-87546部品実装機およびバックアップピン配置支援方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087546
(43)【公開日】2024-07-01
(54)【発明の名称】部品実装機およびバックアップピン配置支援方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20240624BHJP
【FI】
H05K13/04 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022202428
(22)【出願日】2022-12-19
(71)【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105935
【弁理士】
【氏名又は名称】振角 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100136836
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 一正
(72)【発明者】
【氏名】稲田 貴彦
【テーマコード(参考)】
5E353
【Fターム(参考)】
5E353CC21
5E353EE01
5E353GG34
5E353GG35
5E353GG50
5E353JJ13
5E353LL03
5E353LL04
5E353LL06
5E353QQ11
5E353QQ23
(57)【要約】
【課題】基板への部品の実装によって生じる基板の振動を抑制しつつ基板への部品の実装を速やかに実行可能とする。
【解決手段】部品供給部44によって供給された部品Pを基板搬入位置Lb(実装作業位置)に位置するテスト基板Bに実装ヘッド431が実装することでテスト基板Bに生じる振動が距離センサSd(振動検出部)により検出される(ステップS104)。そして、距離センサSdによって検出した振動に基づき、プッシュアッププレート711(ピン配置プレート)のうちバックアップピン77を配置すべき位置を示すピン配置データDpが生成される(ステップS112)。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の実装作業位置に基板を搬入する搬送部と、
前記実装作業位置に位置する前記基板に下側から当接することで前記基板を支持するバックアップピンが配置されるピン配置プレートと、
部品を供給する部品供給部と、
前記部品供給部によって供給された部品を前記実装作業位置に位置する前記基板に実装する実装ヘッドと、
前記実装ヘッドが前記基板に部品を実装することで前記基板に生じる振動を検出する振動検出部と、
前記振動検出部によって検出した振動に基づき、前記ピン配置プレートのうち前記バックアップピンを配置すべき位置を示すピン配置データを生成する制御部と
を備える部品実装機。
【請求項2】
ユーザに画像を表示する画像表示部をさらに備え、
前記制御部は、前記バックアップピンを配置すべき位置を示す画像を前記ピン配置データに基づき生成して前記画像表示部に表示させる請求項1に記載の部品実装機。
【請求項3】
前記ピン配置プレートに前記バックアップピンを配置するピン配置ヘッドをさらに備え、
前記制御部は、前記ピン配置データが示す位置に前記バックアップピンを配置する動作を前記ピン配置ヘッドに実行させる請求項1に記載の部品実装機。
【請求項4】
前記制御部は、前記基板に設けられた複数の実装対象位置に所定順序で部品を前記実装ヘッドにより実装する基板実装を実行しつつ、前記実装ヘッドが部品を実装する際に前記振動検出部により前記振動を検出して前記複数の実装対象位置に対応する複数の振動検出位置それぞれでの前記基板の振動を測定する基板振動測定を実行し、前記基板振動測定の結果に基づき前記ピン配置データを生成する請求項1に記載の部品実装機。
【請求項5】
ユーザに報知を行うユーザ報知部をさらに備え、
前記制御部は、前記基板振動測定の結果に基づき生成された前記ピン配置データに応じて前記バックアップピンが配置された後に実行した前記基板振動測定において検出された前記振動の振幅が閾値以上である前記振動検出位置が存在する場合には、前記バックアップピンの配置以外の作業の実行を前記ユーザ報知部に報知させる請求項4に記載の部品実装機。
【請求項6】
前記搬送部は、テスト基板を前記基板として前記実装作業位置に搬入してから、生産基板を前記基板として前記実装作業位置に搬入し、
前記制御部は、
前記テスト基板に対して前記基板実装を実行してから、前記生産基板に対して前記基板実装を実行し、
前記テスト基板に対する前記基板実装の実行に応じて前記基板振動測定および前記ピン配置データの生成を実行する一方、前記生産基板に対する前記基板実装の実行に応じては前記基板振動測定および前記ピン配置データの生成を実行せず、
連続して部品が実装される一の実装対象位置および次の実装対象位置に関して、前記テスト基板に対する前記基板実装では、一の実装対象位置に部品を実装してから次の実装対象位置に部品を実装するまで所定の時間間隔を空けつつ、前記複数の実装対象位置に所定順序で部品を実装する一方、前記生産基板に対する前記基板実装では、一の実装対象位置に部品を実装してから次の実装対象位置に部品を実装するまで、前記所定の時間間隔を空けずに、前記複数の実装対象位置に所定順序で部品を実装する請求項4に記載の部品実装機。
【請求項7】
前記振動検出部は、前記実装ヘッドに取り付けられた距離センサを有し、前記距離センサによって前記基板までの距離の変動を測定した結果に基づき前記振動を検出する請求項1に記載の部品実装機。
【請求項8】
前記振動検出部は、部品を前記基板に実装する際に前記実装ヘッドに加わる荷重を測定する荷重センサを有し、前記荷重センサによって前記実装ヘッドに加わる荷重の変動を測定した結果に基づき前記振動を検出する請求項1に記載の部品実装機。
【請求項9】
所定の実装作業位置に基板を搬入する工程と、
ピン配置プレートに配置されたバックアップピンを、前記実装作業位置に位置する前記基板に下側から当接させることで、前記基板を支持する工程と、
部品供給部により部品を供給する工程と、
前記部品供給部によって供給された部品を前記実装作業位置に位置する前記基板に実装ヘッドが実装する工程と、
前記実装ヘッドが前記基板に部品を実装することで前記基板に生じる振動を振動検出部により検出する工程と、
前記振動検出部によって検出した振動に基づき、前記ピン配置プレートのうち前記バックアップピンを配置すべき位置を示すピン配置データを生成する工程と
を備えたバックアップピン配置支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、バックアップピンにより基板を支持することで、部品が基板に実装される際に基板に生じる振動を抑制する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、部品を吸着する吸着ノズルによって部品を基板に実装する際に基板に生じる振動を検出する技術が開示されている。特に特許文献1では、吸着ノズルが基板に対して下降する速度あるいは上昇する速度を、振動を検出した結果に基づき調整することで、基板に生じる振動が閾値以下に抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】WO2019/123546
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ただし、特許文献1の方法によれば、基板の振動を抑制するために、吸着ノズルの下降速度あるいは上昇速度を低下させる必要がある。そのため、基板への部品の実装に時間を要する場合があった。
【0005】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、基板への部品の実装によって生じる基板の振動を抑制しつつ基板への部品の実装を速やかに実行可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る部品実装機は、所定の実装作業位置に基板を搬入する搬送部と、実装作業位置に位置する基板に下側から当接することで基板を支持するバックアップピンが配置されるピン配置プレートと、部品を供給する部品供給部と、部品供給部によって供給された部品を実装作業位置に位置する基板に実装する実装ヘッドと、実装ヘッドが基板に部品を実装することで基板に生じる振動を検出する振動検出部と、振動検出部によって検出した振動に基づき、ピン配置プレートのうちバックアップピンを配置すべき位置を示すピン配置データを生成する制御部とを備える。
【0007】
本発明に係るバックアップピン配置支援方法は、所定の実装作業位置に基板を搬入する工程と、ピン配置プレートに配置されたバックアップピンを、実装作業位置に位置する基板に下側から当接させることで、基板を支持する工程と、部品供給部により部品を供給する工程と、部品供給部によって供給された部品を実装作業位置に位置する基板に実装ヘッドが実装する工程と、実装ヘッドが基板に部品を実装することで基板に生じる振動を振動検出部により検出する工程と、振動検出部によって検出した振動に基づき、ピン配置プレートのうちバックアップピンを配置すべき位置を示すピン配置データを生成する工程とを備える。
【0008】
このように構成された本発明(部品実装機およびバックアップピン配置支援方法)では、部品供給部によって供給された部品を実装作業位置に位置する基板に実装ヘッドが実装することで基板に生じる振動が振動検出部により検出される。そして、振動検出部によって検出した振動に基づき、ピン配置プレートのうちバックアップピンを配置すべき位置を示すピン配置データが生成される。したがって、ピン配置データが示す位置にバックアップピンを配置することで、実装ヘッドが部品を実装する際の速度を調整せずとも、部品の実装によって生じる振動を抑制することができる。その結果、基板への部品の実装によって生じる基板の振動を抑制しつつ基板への部品の実装を速やかに実行することが可能となっている。
【0009】
また、ユーザに画像を表示する画像表示部をさらに備え、制御部は、バックアップピンを配置すべき位置を示す画像をピン配置データに基づき生成して画像表示部に表示させるように、部品実装機を構成してもよい。かかる構成では、ユーザは、画像表示部に表示された画像を確認することで、ピン配置データが示す位置にバックアップピンを配置することができる。その結果、基板への部品の実装によって生じる基板の振動を抑制しつつ基板への部品の実装を速やかに実行することが可能となっている。
【0010】
また、ピン配置プレートにバックアップピンを配置するピン配置ヘッドをさらに備え、制御部は、ピン配置データが示す位置にバックアップピンを配置する動作をピン配置ヘッドに実行させるように、部品実装機を構成してもよい。かかる構成では、ピン配置データが示す位置にピン配置ヘッドがバックアップピンを配置する。その結果、基板への部品の実装によって生じる基板の振動を抑制しつつ基板への部品の実装を速やかに実行することが可能となっている。
【0011】
また、制御部は、基板に設けられた複数の実装対象位置に所定順序で部品を実装ヘッドにより実装する基板実装を実行しつつ、実装ヘッドが部品を実装する際に振動検出部により振動を検出して複数の実装対象位置に対応する複数の振動検出位置それぞれでの基板の振動を測定する基板振動測定を実行し、基板振動測定の結果に基づきピン配置データを生成するように、部品実装機を構成してもよい。かかる構成では、基板に設けられた複数の実装対象位置に所定順序で部品を実装ヘッドにより実装する際に生じる基板の振動に基づき、ピン配置データが生成される。したがって、このピン配置データが示す位置にバックアップピンを配置することで、当該所定順序で以後に実行される複数の実装対象位置に対する部品の実装を、基板の振動を抑制しつつ実行することができる。
【0012】
また、ユーザに報知を行うユーザ報知部をさらに備え、制御部は、基板振動測定の結果に基づき生成されたピン配置データに応じてバックアップピンが配置された後に実行した基板振動測定において検出された振動の振幅が閾値以上である振動検出位置が存在する場合には、バックアップピンの配置以外の作業の実行をユーザ報知部に報知させるように、部品実装機を構成してもよい。かかる構成では、バックアップピンの配置では対応しきれない基板の振動が発生する場合であっても、他の作業をユーザに促すことで基板の振動に対応することが可能となる。
【0013】
また、搬送部は、テスト基板を基板として実装作業位置に搬入してから、生産基板を基板として実装作業位置に搬入し、制御部は、テスト基板に対して基板実装を実行してから、生産基板に対して基板実装を実行し、テスト基板に対する基板実装の実行に応じて基板振動測定およびピン配置データの生成を実行する一方、生産基板に対する基板実装の実行に応じては基板振動測定およびピン配置データの生成を実行せず、連続して部品が実装される一の実装対象位置および次の実装対象位置に関して、テスト基板に対する基板実装では、一の実装対象位置に部品を実装してから次の実装対象位置に部品を実装するまで所定の時間間隔を空けつつ、複数の実装対象位置に所定順序で部品を実装する一方、生産基板に対する基板実装では、一の実装対象位置に部品を実装してから次の実装対象位置に部品を実装するまで、所定の時間間隔を空けずに、複数の実装対象位置に所定順序で部品を実装するように、部品実装機を構成してもよい。
【0014】
かかる構成では、テスト基板に設けられた複数の実装対象位置に所定順序で部品を実装ヘッドにより実装する際に生じる基板の振動に基づき、ピン配置データが生成される。したがって、このピン配置データが示す位置にバックアップピンを配置することで、当該所定順序で以後に実行される生産基板の複数の実装対象位置に対する部品の実装を、生産基板の振動を抑制しつつ実行することができる。
【0015】
しかも、テスト基板に対する基板実装では、一の実装対象位置に部品を実装してから次の実装対象位置に部品を実装するまで所定の時間間隔を空けつつ、複数の実装対象位置に所定順序で部品を実装する。そのため、一の実装対象位置への部品の実装に伴うテスト基板の振動が減衰してから、次の実装対象位置への部品の実装を実行しつつ、テスト基板の振動が検出される。したがって、実装対象位置への部品の実装に伴うテスト基板の振動を、複数の実装対象位置のそれぞれについて独立して検出できる。よって、基板の振動を効果的に抑制できるピン配置データを生成することができる。また、生産基板に対する基板実装では、一の実装対象位置に部品を実装してから次の実装対象位置に部品を実装するまで、所定の時間間隔を空けずに、複数の実装対象位置に所定順序で部品を実装する。したがって、生産基板の複数の実装対象位置への部品の実装を速やかに実行できる。
【0016】
ちなみに、基板の振動を検出する具体的な構成は種々考えられる。例えば、振動検出部は、実装ヘッドに取り付けられた距離センサを有し、距離センサによって基板までの距離の変動を測定した結果に基づき振動を検出するように、部品実装機を構成してもよい。あるいは、振動検出部は、部品を基板に実装する際に実装ヘッドに加わる荷重を測定する荷重センサを有し、荷重センサによって実装ヘッドに加わる荷重の変動を測定した結果に基づき振動を検出するように、部品実装機を構成してもよい。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明によれば、基板への部品の実装によって生じる基板の振動を抑制しつつ基板への部品の実装を速やかに実行することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】部品実装機を模式的に示す平面図。
図2図1の部品実装機が備える電気的構成を示すブロック図。
図3】部品実装機が備えるバックアップ機構の構成および動作を模式的に示す図。
図4】ヘッドユニットおよび距離センサの動作を模式的に示す図。
図5図1の部品実装機で実行されるバックアップピン配置支援の第1例を示すフローチャート。
図6】基板振動分布データの一例をテーブル形式で示す図。
図7】基板生産の一例を示すフローチャート。
図8図1の部品実装機で実行されるバックアップピン配置支援の第2例を示すフローチャート。
図9】テスト基板あるいは生産基板に部品を実装する時間間隔の一例を模式的に示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は部品実装機を模式的に示す平面図であり、図2図1の部品実装機が備える電気的構成を示すブロック図である。図1および以下の図では、水平方向であるX方向、X方向に直交する水平方向であるY方向および鉛直方向であるZ方向を適宜示す。
【0020】
図2に示すように、部品実装機4は、演算部91および記憶部92を備える。演算部91は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサであり、記憶部92はSSD(Solid State Drive)等の記憶装置である。演算部91は、主制御部910、UI制御部911、ヘッド駆動制御部912、昇降制御部913および距離取得部914を有する。
【0021】
主制御部910は、部品実装機4の全体を統括的に制御する。UI制御部911は、部品実装機4が備えるUI(User Interface)93を制御する。UI93は、例えばディスプレイ等の出力機器と、マウスやキーボード等の入力機器とを有する。ただし、UI93の出力機器および入力機器を別体で構成する必要はなく、タッチパネルディスプレイによってこれらを一体的に構成してもよい。
【0022】
また、記憶部92には基板データDbが保存されている。基板データDbは、基板Bに設けられた複数の実装対象位置Lm(図4)のそれぞれに部品Pを実装する順序を示し、部品実装機4は、基板データDbに従って基板Bの各実装対象位置Lmに部品Pを実装する。具体的には、実装対象位置Lmは例えばランドである。また、記憶部92には、後述するピン配置データDpが保存されている。
【0023】
図1に示すように、部品実装機4では、基板B(図3)を所定の基板搬入位置Lbに搬入する一対の搬送コンベア41が具備されている。これら搬送コンベア41は、Y方向に平行にそれぞれ延設されるとともに、X方向において基板Bの幅に応じた間隔を空けて配置されており、X方向における基板Bの両端を下側から支持しつつ、基板BをY方向(搬送方向)に搬送する。これら搬送コンベア41は、基板搬入位置Lbに搬入した基板Bを水平に保持する。
【0024】
また、部品実装機4では、X方向に平行な一対のX軸レール421と、X方向に平行なX軸ボールネジ422と、X軸ボールネジ422を回転駆動するX軸モータMx(サーボモータ)とが設けられ、Y方向に平行なY軸レール424が一対のX軸レール421にX方向に移動可能に支持された状態でX軸ボールネジ422のナットに固定されている。Y軸レール424には、Y方向に平行なY軸ボールネジ425と、Y軸ボールネジ425を回転駆動するY軸モータMy(サーボモータ)とが取り付けられており、ヘッドユニット43がY軸レール424にY方向に移動可能に支持された状態でY軸ボールネジ425のナットに固定されている。これに対して、ヘッド駆動制御部912は、X軸モータMxおよびY軸モータMyを制御する。したがって、ヘッド駆動制御部912は、X軸モータMxによりX軸ボールネジ422を回転させることでヘッドユニット43をX方向に移動させ、Y軸モータMyによりY軸ボールネジ425を回転させることでヘッドユニット43をY方向に移動させることができる。
【0025】
ヘッドユニット43は、Y方向に等間隔で配列された複数の実装ヘッド431を有するいわゆるインライン型である。ヘッドユニット43には、複数の実装ヘッド431にそれぞれ対応する複数のZ軸モータMz(サーボモータ)が取り付けられており、各Z軸モータMzは対応する実装ヘッド431をZ方向に昇降させる。なお、図2では、1個の実装ヘッド431に対応する1個のZ軸モータMzのみが示され、他のZ軸モータMzの記載は省略されている。また、ヘッド駆動制御部912は、複数のZ軸モータMzのそれぞれを制御する。つまり、ヘッド駆動制御部912は、複数の実装ヘッド431のうち、一の実装ヘッド431に対応するZ軸モータMzによって当該一の実装ヘッド431をZ方向に昇降させることができる。なお、ヘッドユニット43はインラインタイプに限られず、複数の実装ヘッド431を円周状に配列したロータリタイプでも構わない。
【0026】
図1に示すように、一対のコンベア41のX方向の両側それぞれでは、2つの部品供給部44がY方向に並んでいる。各部品供給部44に対しては、複数のテープフィーダ441がY方向に並んで着脱可能に装着されている。テープフィーダ441はX方向に延設されており、X方向におけるコンベア41側の先端部に部品供給箇所442を有する。そして、集積回路、トランジスタ、コンデンサ等の小片状の部品Pを所定間隔おきに収納したテープが巻き付けられた部品供給リールが各テープフィーダ441に対して配置され、テープフィーダ441には、部品供給リールから引き出されたテープが装填されている。そして、テープフィーダ441は、テープをコンベア41側へ向けてX方向に間欠的に送り出す。これによって、テープ内の部品PがX方向(フィード方向)に送り出されて、テープフィーダ441の部品供給箇所442に順番に供給される。
【0027】
また、部品実装機4は、基板搬入位置Lbに搬入された基板Bを下側から支持するためのバックアップ機構71を備える(図3)。ここで、図3は部品実装機が備えるバックアップ機構の構成および動作を模式的に示す図である。バックアップ機構71は、水平に保持されたプッシュアッププレート711と、プッシュアッププレート711をZ方向に駆動する昇降駆動部712とを有する。昇降駆動部712は、例えばソレノイドあるいはシリンダといったアクチュエータであり、昇降制御部913からの指令に応じてプッシュアッププレート711を昇降させる。プッシュアッププレート711の上面には、複数のバックアップピン77が立設されている。このバックアップピン77は、種々の態様でプッシュアッププレート711に固定することができる。例えば、プッシュアッププレート711およびバックアップピン77のうち、一方に鉄を設けるとともに他方に磁石を設けて、これらを磁力によって固定してもよい。あるいは、プッシュアッププレート711の上面に設けられた孔あるいは突起等の係合部位にバックアップピン77を係合させることでこれらを固定してもよい。
【0028】
そして、昇降駆動部712は、プッシュアッププレート711をZ方向に駆動することで、下降位置Ldと、当該下降位置Ldより上側の上昇位置Luとの間で、バックアップピン77をZ方向に移動させる。図3の「下降位置Ld」の欄に示すように、下降位置Ldに位置する各バックアップピン77は、搬送コンベア41によって基板搬入位置Lbに支持される基板Bに下側から間隔を空けて対向する。また、昇降駆動部712が各バックアップピン77を下降位置Ldから上昇位置Luに向けて上昇させると、各バックアップピン77の上端が基板Bの下面に当接して、基板Bを搬送コンベア41から持ち上げる(図3の「途中」の欄)。また、一対の搬送コンベア41の上側には、X方向に間隔を空けて配置された一対のクランププレート73が配置されている。各バックアップピン77が上昇位置Luまで上昇して、各バックアップピン77の上端に載置された基板Bの上面が一対のクランププレート73に下側から当接すると、昇降駆動部712による各バックアップピン77の上昇が停止する(図3の「上昇位置Lu」の欄)。
【0029】
また、部品実装機4には、バックアップピン77を保管するピンストッカ78が具備されている。ピンストッカ78は、複数のピンホルダ781を有し、各ピンホルダ781はバックアップピン77を保持することができる。ピンホルダ781は、例えばZ方向に延設されて上側に開口する孔であり、ピンホルダ781にバックアップピン77を上側から挿入することでピンホルダ781にバックアップピン77を保持させることができる。あるいは、ピンホルダ781に保持されたバックアップピン77をピンホルダ781から上側に抜き出して、プッシュアッププレート711の上に配置することができる。
【0030】
さらに、部品実装機4は、ヘッドユニット43に取り付けられた距離センサSdを備える。距離センサSdは、下側を向いて保持され、基板搬入位置Lbの基板Bの上面に上側から対向する。この距離センサSdは、当該距離センサSdから基板Bの上面までの距離を検出して、当該距離を距離取得部914に出力する。かかる距離センサSdとしては、例えばTOF(Time of Flight)センサを用いることができる。
【0031】
図4はヘッドユニットおよび距離センサの動作を模式的に示す図である。図4に示すように、ヘッドユニット43の複数の実装ヘッド431の下端には吸着ノズル432が取り付けられており、実装ヘッド431のノズル432によって部品Pの基板Bへの実装が実行される。具体的には、ヘッド駆動制御部912がX軸モータMxおよびY軸モータMyを制御することで、実装ヘッド431に取り付けられた吸着ノズル432が部品供給箇所442に上側から対向する。続いて、ヘッド駆動制御部912がZ軸モータMzによって吸着ノズル432を部品供給箇所442に向けて下降させることで、テープフィーダ441により部品供給箇所442に供給された部品Pにノズル432が当接する。そして、実装ヘッド431は、所定の負圧を吸着ノズル432に発生させることで、ノズル432により部品Pを吸着(ピックアップ)する。
【0032】
また、ヘッド駆動制御部912がX軸モータMxおよびY軸モータMyを制御することで、部品Pを保持した吸着ノズル432を、基板搬入位置Lbの基板Bの実装対象位置Lmに上側から対向させる。続いて、ヘッド駆動制御部912がZ軸モータMzによって吸着ノズル432を実装対象位置Lmに向けて下降させることで、吸着ノズル432に保持される部品Pを実装対象位置Lmに当接させる。なお、部品実装機4には、実装ヘッド431に加わるZ方向への荷重を測定する荷重センサSlが具備されている。これに対して、ヘッド駆動制御部912は、荷重センサSlによって測定される荷重を監視しつつ、実装ヘッド431を下降させて、当該実装ヘッド431に取り付けられた吸着ノズル432に保持される部品Pを実装対象位置Lmに当接させる。荷重を測定するための具体的構成としては、例えば特開2019-102751号公報で提案されている構成を用いることができる。こうして、部品Pが実装対象位置Lmに当接すると、実装ヘッド431は、吸着ノズル432に大気圧あるいは正圧を発生させて、吸着ノズル432から実装対象位置Lmに部品Pを離脱させる。これによって、実装対象位置Lmに部品Pが実装される。そして、ヘッド駆動制御部912は、Z軸モータMzによって、当該吸着ノズル432が取り付けられた実装ヘッド431を上昇させる。
【0033】
また、距離取得部914は、振動検出位置Lsにおける基板Bの振動を距離センサSdに検出させることで、実装対象位置Lmに部品Pが実装される前後の期間における当該振動を、部品Pが基板Bに実装される際に測定する。ここで、振動検出位置Lsと実装対象位置Lmとは一致せず、実装対象位置Lmに部品Pを実装する実装ヘッド431と距離センサSdとの位置関係に応じて、振動検出位置Lsと実装対象位置Lmとは互いにずれる。
【0034】
図5図1の部品実装機で実行されるバックアップピン配置支援の第1例を示すフローチャートである。図5のフローチャートは、主制御部910の制御によって実行される。このバックアップピン配置支援では、主制御部910は記憶部92から基板データDbを読み込んで(ステップS101)、テスト用の基板B(適宜、「テスト基板B」と称する)の基板搬入位置Lbへの搬入を搬送コンベア41に実行させる(ステップS102)。
【0035】
ここで、テスト基板Bは、部品Pを実装する際に基板Bに発生する振動を後述する基板生産より前に予め測定するために使用される基板Bであり、基板生産で使用される基板B(生産基板B)と同一の構成を具備する。したがって、テスト基板Bおよび生産基板Bは互いに同じ位置に複数の実装対象位置Lmを有する。
【0036】
ステップS103では、昇降制御部913が昇降駆動部712によってプッシュアッププレート711を上昇させることで、バックアップピン77を下降位置Ldから上昇位置Luに上昇させる。こうして、プッシュアッププレート711上のバックアップピン77によって、基板搬入位置Lbのテスト基板Bが支持(バックアップ)されることとなる。
【0037】
ステップS104では、距離取得部914が距離センサSdによるテスト基板Bの振動測定を開始する。具体的には、距離取得部914は、距離センサSdによって検出されたテスト基板Bまでの距離を所定のサンプリング周期で取得することで、基板Bまでの距離の時間変化、すなわち基板Bの振動を測定する。
【0038】
ステップS105では、実装ヘッド431が吸着ノズル432によって部品供給箇所442から吸着した部品Pを、基板データDbが示す実装対象位置Lmの上方へ移動させて、当該実装対象位置Lmに上側から対向させる。ステップS106では、実装ヘッド431が実装対象位置Lmに向かって下降して、実装ヘッド431の下端の吸着ノズル432に吸着された部品Pを実装対象位置Lmに当接させる。こうして、部品Pが実装対象位置Lmに実装させる。つまり、ステップS105~S106では、部品供給箇所442から実装対象位置Lmへの部品Pの実装が、上述した要領で、ヘッド駆動制御部912の制御によって実行される。そして、基板データDbが部品Pを実装する対象として示す、テスト基板Bの全ての実装対象位置Lmに部品Pが実装されるまで(ステップS107で「YES」となるまで)、ステップS105~S106が繰り返されると、距離取得部914は、距離センサSdによるテスト基板Bの振動測定を終了する。
【0039】
ステップS104~S107の実行に伴って、距離取得部914は、基板振動分布データDv(図6)を取得することができる。図6は基板振動分布データの一例をテーブル形式で示す図である。基板振動分布データDvは、部品Pが実装された実装対象位置Lmと、当該実装対象位置Lmに部品Pが実装される際に距離センサSdが振動を検出した振動検出位置Lsと、当該振動検出位置Lsで測定された基板Bの振動の振動量(すなわち、振幅A)とを対応付けて、複数の実装対象位置Lmのそれぞれについて示す。ここで、実装対象位置Lmおよび振動検出位置Lsのそれぞれは、XY座標で示される。また、実装対象位置Lmに部品Pが実装される際に距離センサSdが検出する振動とは、実装対象位置Lmへの部品Pの実装時から所定の監視期間において距離センサSdが検出する振動を示す。監視期間は、例えば実装時に発生した振動が消失する期間よりも短く、ユーザによって予め設定しておくことができる。
【0040】
ステップS109では、主制御部910は、基板振動分布データDvが示す複数の実装対象位置Lmにそれぞれ対応する複数の振幅Aが全て閾値未満であるか否かを判定する。当該複数の振幅Aのうちの少なくとも1つの振幅Aが閾値以上である場合(ステップS109で「NO」の場合)には、ステップS110に進む。ステップS110では、ステップS104~S107の実行によって取得した基板振動分布データDvに基づきプッシュアッププレート711にバックアップピン77を配置する動作(換言すれば、ステップS112~S113)が過去に実行済みであるか否かが、主制御部910によって判定される。ここの例では、当該動作は未実行であるため、ステップS110で「YES」と判定されて、ステップS111~S113が実行される。
【0041】
ステップS111では、基板Bが基板搬入位置Lbから部品実装機4の外部に搬出される。具体的には、昇降制御部913が昇降駆動部712によってプッシュアッププレート711を下降させることで、バックアップピン77を上昇位置Luから下降位置Ldに下降させる。続いて、主制御部910が搬送コンベア41によって基板Bを基板搬入位置Lbから部品実装機4の外部に搬送させる。
【0042】
ステップS112では、主制御部910は、バックアップピン77を配置する位置(ピン配置位置)を示すピン配置データDpを生成する。具体的には、主制御部910は、基板振動分布データDvが示す複数の振幅Aのうち閾値以上の過大振幅Aを特定して、当該過大振幅Aに対応する実装対象位置Lmを特定する。そして、主制御部910は、当該実装対象位置Lm、すなわち過大振幅Aの計測時に部品Pが実装された実装対象位置Lmに下側から対向する位置(直下位置)を、バックアップ機構71を配置すべきピン配置位置に決定する。なお、他の制約条件によって、実装対象位置Lmの直下位置へのバックアップピン77が禁止される場合には、当該制約条件によってバックアップピン77の配置が許容されている範囲のうちで当該実装対象位置Lmに最近接の位置がピン配置位置に決定される。かかる制約条件としては、例えば他のバックアップピン77との干渉を防止するための条件等が挙げられる。こうして、バックアップピン77を配置するピン配置位置を示すピン配置データDpが生成されて、記憶部92に保存される。
【0043】
ステップS113では、主制御部910は、ピン配置データDpが示すピン配置位置へのバックアップピン77の配置を、ヘッドユニット43に実行させる。具体的には、ピンストッカ78に保管されるバックアップピン77を吸着ノズル432によって吸着してプッシュアッププレート711上に移載する動作や、バックアップピン77を吸着ノズル432に吸着してプッシュアッププレート711上でバックアップピン77を移動させる動作が実行される。かかる動作は、上記の部品Pの実装と同じ要領で実行される。
【0044】
こうして、ピン配置データDpに基づくプッシュアッププレート711の配置(ステップS113)が終了すると、ステップS102~S109が繰り返される。そして、ステップS109では、主制御部910は、基板振動分布データDvが示す複数の実装対象位置Lmにそれぞれ対応する複数の振幅Aが全て閾値未満であるか否かを判定する。当該複数の振幅Aのうちの少なくとも1つの振幅Aが閾値以上である場合(ステップS109で「NO」の場合)には、ステップS110に進む。ステップS110では、ステップS104~S107の実行によって取得した基板振動分布データDvに基づきプッシュアッププレート711にバックアップピン77を配置する動作(換言すれば、ステップS112~S113)が過去に実行済みであるか否かが、主制御部910によって判定される。ここの例では、当該動作は実行済みであるため、ステップS110で「NO」と判定されて、ステップS114が実行される。
【0045】
ステップS114では、UI制御部911がUI93を制御することで、プッシュアッププレート711へのバックアップピン77の配置とは異なる作業の実施の実行を促す内容をUI93のディスプレイに表示させる。バックアップピン77の配置とは異なる作業としては、
・実装対象位置Lmに部品Pを実装する際の部品Pの下降速度
・基板Bに当接した部品Pを下側に押し込む量
・部品Pを実装する吸着ノズル432の種類
・部品Pを基板Bに実装する際の衝撃をバネによって緩和する吸着ノズル432のバフィング機構のメンテナンス
等が挙げられる。
【0046】
一方、ステップS109において、基板振動分布データDvが示す全ての振幅Aが閾値未満であれば(YES)、図5のバックアップピン配置支援が終了する。そして、図7の基板生産は、バックアップピン配置支援の終了後の適宜のタイミングで実行される。
【0047】
図7は基板生産の一例を示すフローチャートである。図7のフローチャートは、主制御部910の制御によって実行される。ステップS201では、主制御部910が記憶部92から基板データDbを読み込む。ただし、図7の基板生産で使用する基板データDbは図5のバックアップピン配置支援で使用する基板データDbと同一であるため、当該バックアップピン配置支援のステップS101で読み込んだ基板データDbを、主制御部910が継続して保持する場合には、ステップS201は省略できる。
【0048】
ステップS202では、主制御部910が生産用の基板B(適宜、「生産基板B」と称する)の基板搬入位置Lbへの搬入を搬送コンベア41に実行させる(ステップS202)。ステップS203では、昇降制御部913が昇降駆動部712によってプッシュアッププレート711を上昇させることで、バックアップピン77を下降位置Ldから上昇位置Luに上昇させる。こうして、プッシュアッププレート711上のバックアップピン77によって、基板搬入位置Lbの生産基板Bが支持(バックアップ)されることとなる。
【0049】
ステップS204では、実装ヘッド431が吸着ノズル432によって部品供給箇所442から吸着した部品Pを、基板データDbが示す実装対象位置Lmの上方へ移動させて、当該実装対象位置Lmに上側から対向させる。ステップS205では、実装ヘッド431が実装対象位置Lmに向かって下降して、実装ヘッド431の下端の吸着ノズル432に吸着された部品Pを実装対象位置Lmに当接させる。こうして、部品Pが実装対象位置Lmに実装させる。つまり、ステップS204~S205では、部品供給箇所442から実装対象位置Lmへの部品Pの実装が、上述した要領で、ヘッド駆動制御部912等の制御によって実行される。そして、基板データDbが部品Pを実装する対象として示す、生産基板Bの全ての実装対象位置Lmに部品Pが実装されるまで(ステップS206で「YES」となるまで)、ステップS204~S205が繰り返されると、部品Pが実装された生産基板Bである部品実装済み基板が生産されて、基板生産が終了する。なお、複数の部品実装済み基板を生産する場合には、図7の基板生産が複数回実行される。
【0050】
図5図7を用いて説明するバックアップピン配置支援の第1例では、部品供給部44によって供給された部品Pを基板搬入位置Lb(実装作業位置)に位置するテスト基板Bに実装ヘッド431が実装することでテスト基板Bに生じる振動が距離センサSd(振動検出部)により検出される(ステップS104)。そして、距離センサSdによって検出した振動に基づき、プッシュアッププレート711(ピン配置プレート)のうちバックアップピン77を配置すべき位置を示すピン配置データDpが生成される(ステップS112)。したがって、ピン配置データDpが示す位置にバックアップピン77を配置することで(ステップS113)、実装ヘッド431が部品Pを実装する際の速度を調整せずとも、部品Pの実装によって生じる振動を抑制することができる。その結果、テスト基板Bや生産基板Bへの部品Pの実装によって生じる当該基板Bの振動を抑制しつつ当該基板Bへの部品Pの実装を速やかに実行することが可能となっている。
【0051】
また、プッシュアッププレート711にバックアップピン77を配置する実装ヘッド431(ピン配置ヘッド)が具備されており、演算部91(制御部)の主制御部910は、ピン配置データDpが示す位置にバックアップピン77を配置する動作を実装ヘッド431に実行させる。かかる構成では、ピン配置データDpが示す位置に実装ヘッド431によって配置されたバックアップピン77によって、基板Bへの部品Pの実装によって生じる基板Bの振動を抑制しつつ基板Bへの部品Pの実装を速やかに実行することが可能となっている。
【0052】
また、演算部91の主制御部910は、テスト基板Bに設けられた複数の実装対象位置Lmに所定順序で部品Pを実装ヘッド431により実装する基板実装を実行しつつ(ステップS105~S107)、実装ヘッド431が部品Pを実装する際に距離センサSdにより振動を検出して複数の実装対象位置Lmに対応する複数の振動検出位置Lsそれぞれでのテスト基板Bの振動を測定する基板振動測定を実行することで、基板振動分布データDvを取得する(ステップS104~S108)。そして、演算部91の主制御部910は、基板振動分布データDvに基づきピン配置データDpを生成する(ステップS112)。かかる構成では、テスト基板Bに設けられた複数の実装対象位置Lmに所定順序で部品Pを実装ヘッド431により実装する際に生じるテスト基板Bの振動に基づき、ピン配置データDpが生成される。したがって、このピン配置データDpが示す位置にバックアップピン77を配置することで(ステップS113)、当該所定順序で以後に実行される複数の実装対象位置Lmに対する部品Pの実装を、テスト基板Bや生産基板Bの振動を抑制しつつ実行することができる。
【0053】
また、ユーザに報知を行うUI93(ユーザ報知部)が具備されている。そして、演算部91のUI制御部911は、基板振動分布データDvに基づき生成されたピン配置データDpに応じてバックアップピン77が配置された後に実行した基板振動測定(ステップS104~S108)において検出された振動の振幅Aが閾値以上である振動検出位置Lsが存在する場合(ステップS109で「YES」)には、バックアップピン77の配置以外の作業の実行をUI93に報知させる(ステップS114)。かかる構成では、バックアップピン77の配置では対応しきれない基板Bの振動が発生する場合であっても、他の作業をユーザに促すことで基板Bの振動に対応することが可能となる。
【0054】
図8図1の部品実装機で実行されるバックアップピン配置支援の第2例を示すフローチャートである。図8のフローチャートは、主制御部910の制御によって実行される。図5の第1例との差異は、ステップS113に代えてステップS115~S116が実行される点であり、その他は図5の第1例と共通する。したがって、ここでは差異点を中心に説明を行うこととし、共通点については相当符号を付して説明を省略する。
【0055】
ステップS115では、演算部91の主制御部910は、ステップS112で生成されたピン配置データDpが示すピン配置位置を表示する配置画像を生成し、UI制御部911がUI93(画像表示部)のディスプレイに当該配置画像を表示させる。したがって、ユーザは、ディスプレイに表示されたピン配置画像を確認しつつ、ピン配置画像に示されるピン配置位置にバックアップピン77を配置するピン配置作業を実行できる。このピン配置作業が完了すると、ユーザは、当該作業の完了を示す配置完了入力をUI93に対して実行する。そして、演算部91の主制御部910は、UI93に対して実行された当該配置完了入力をUI制御部911が確認すると、ユーザによるバックアップピン77の配置が完了したと判定する(ステップS116で「YES」)。
【0056】
図8を用いて説明するバックアップピン配置支援の第2例においても、第1例と同様にして、ピン配置データDpが生成される(ステップS112)。したがって、ピン配置データDpが示す位置にバックアップピン77を配置することで(ステップS115~S116)、実装ヘッド431が部品Pを実装する際の速度を調整せずとも、部品Pの実装によって生じる振動を抑制することができる。その結果、テスト基板Bや生産基板Bへの部品Pの実装によって生じる当該基板Bの振動を抑制しつつ当該基板Bへの部品Pの実装を速やかに実行することが可能となっている。
【0057】
また、ユーザに画像を表示するUI93(ディスプレイ)が具備されている。そして、演算部91の主制御部910は、バックアップピン77を配置すべき位置を示すピン配置画像をピン配置データDpに基づき生成してUI93のディスプレイに表示させる(ステップS115)。かかる構成では、ユーザは、UI93に表示されたピン配置画像を確認することで、ピン配置データDpが示す位置にバックアップピン77を配置することができる(ステップS115~S116)。その結果、基板Bへの部品Pの実装によって生じる基板Bの振動を抑制しつつ基板Bへの部品Pの実装を速やかに実行することが可能となっている。
【0058】
上述の通り、バックアップピン配置支援の第1例および第2例では、基板データDbに従ってテスト基板Bの複数の実装対象位置Lmに部品Pが実装され、基板生産では基板データDbに従って生産基板Bの複数の実装対象位置Lmに部品Pが実装される。次に説明する実施例では、複数の実装対象位置Lmに部品Pを実装する時間間隔が、バックアップピン配置支援と基板生産とで異なっている。
【0059】
図9はテスト基板あるいは生産基板に部品を実装する時間間隔の一例を模式的に示すフローチャートである。図9では、時刻T1において実装対象位置Lm(1)に部品Pが実装され、時刻T2において実装対象位置Lm(2)に部品Pが実装され、…といった動作によって、複数の実装対象位置Lmに順番に部品Pを実装する動作が例示されている。また、連続して部品Pが実装される一の実装対象位置Lm(N)と次の実装対象位置Lm(N+1)に関して、実装対象位置Lm(N)に部品Pが実装される時刻T(N)および実装対象位置Lm(N+1)に部品Pが実装される時刻T(N+1)が示されるとともに、時刻T(N)と時刻T(N+1)との時間間隔ΔT(N)が示される。ここで、Nは、実装対象位置Lmを識別するための識別子であり、1以上の整数である。
【0060】
そして、バックアップピン配置支援の第1例あるいは第2例のステップS105~S107でテスト基板Bに部品Pを実装する時間間隔ΔT(N)は、所定の振動減衰期間Td以上に設定されている。この振動減衰期間Tdは、部品Pの実装によって発生する基板Bの振動が減衰して消失するのに要する期間であり、予め測定されて記憶部92に保存されている。一方、基板生産のステップS204~S206で生産基板Bに部品Pを実装する時間間隔ΔT(N)は、当該振動減衰期間Tdより短く設定されている。
【0061】
つまり、図9の実施例によれば、搬送コンベア41(搬送部)は、テスト基板Bを基板搬入位置Lbに搬入してから(ステップS102)、生産基板Bを基板搬入位置Lbに搬入する(ステップS202)。また、演算部91(制御部)の主制御部910は、テスト基板Bに対して基板実装を実行してから(ステップS105~S107)、生産基板Bに対して基板実装を実行する(ステップS204~S206)。この際、テスト基板Bに対する基板実装の実行に応じて基板振動測定およびピン配置データDpの生成が実行される(ステップS104~S107、S112)。一方、生産基板Bに対する基板実装の実行に応じては基板振動測定およびピン配置データDpの生成は実行されない。
【0062】
かかる構成では、テスト基板Bに設けられた複数の実装対象位置Lm(N)に所定順序で部品Pを実装ヘッド431により実装する際に生じるテスト基板Bの振動に基づき、ピン配置データDpが生成される(ステップS104~S108、S112)。したがって、このピン配置データDpが示す位置にバックアップピン77を配置することで(ステップS113、S115~S116)、当該所定順序で以後に実行される生産基板Bの複数の実装対象位置Lm(N)に対する部品Pの実装を、生産基板Bの振動を抑制しつつ実行することができる。
【0063】
また、連続して部品Pが実装される一の実装対象位置Lm(N)および次の実装対象位置Lm(N+1)に関して、テスト基板Bに対する基板実装(ステップS105~S107)では、一の実装対象位置Lm(N)に部品Pを実装してから次の実装対象位置Lm(N+1)に部品Pを実装するまで振動減衰期間Td(所定の時間間隔)を空けつつ、複数の実装対象位置Lm(N)に所定順序で部品Pを実装する。そのため、一の実装対象位置Lm(N)への部品Pの実装に伴うテスト基板Bの振動が減衰してから、次の実装対象位置Lm(N+1)への部品Pの実装を実行しつつ、テスト基板Bの振動が検出される(ステップS104~S108)。したがって、実装対象位置Lm(N)への部品Pの実装に伴うテスト基板Bの振動を、複数の実装対象位置Lm(N)のそれぞれについて独立して検出できる。よって、基板Bの振動を効果的に抑制できるピン配置データDpを生成することができる。一方、生産基板に対する基板実装(ステップS204~S206)では、一の実装対象位置Lm(N)に部品Pを実装してから次の実装対象位置Lm(N+1)に部品Pを実装するまで、振動減衰期間Tdを空けずに、複数の実装対象位置Lm(N)に所定順序で部品Pを実装する。したがって、生産基板Bの複数の実装対象位置Lm(N)への部品Pの実装を速やかに実行できる。
【0064】
以上に説明したように本実施形態では、部品実装機4が本発明の「部品実装機」の一例に相当し、搬送コンベア41が本発明の「搬送部」の一例に相当し、実装ヘッド431が本発明の「実装ヘッド」の一例に相当し、実装ヘッド431が本発明の「ピン配置ヘッド」の一例に相当し、部品供給部44が本発明の「部品供給部」の一例に相当し、プッシュアッププレート711が本発明の「ピン配置プレート」の一例に相当し、バックアップピン77が本発明の「バックアップピン」の一例に相当し、演算部91が本発明の「制御部」の一例に相当し、UI93が本発明の「画像表示部」の一例に相当し、UI93が本発明の「ユーザ報知部」の一例に相当し、基板Bが本発明の「基板」の一例に相当し、ピン配置データDpが本発明の「ピン配置データ」の一例に相当し、実装対象位置Lmが本発明の「実装作業位置」の一例に相当し、部品Pが本発明の「部品」の一例に相当し、距離センサSdが本発明の「振動検出部」の一例に相当し、距離センサSdが本発明の「距離センサ」の一例に相当する。
【0065】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したものに対して種々の変更を加えることが可能である。例えば、ピン配置データDpが示すピン配置位置は、閾値以上の振幅Aが測定された振動検出位置Lsに対応する実装対象位置Lmである必要はなく、例えば当該振動検出位置Lsであってもよい。
【0066】
また、基板Bの振動を検出する具体的機構は、距離センサSdである必要はない。例えば、部品Pを基板Bに実装する際に実装ヘッド431に加わる荷重を測定する荷重センサSlによって、実装ヘッド431に加わる荷重の変動を測定した結果に基づき、基板Bの振動を検出してもよい。
【符号の説明】
【0067】
4…部品実装機
41…搬送コンベア(搬送部)
431…実装ヘッド(ピン配置ヘッド)
44…部品供給部
711…プッシュアッププレート(ピン配置プレート)
77…バックアップピン
91…演算部(制御部)
93…UI(画像表示部、ユーザ報知部)
B…基板
Dp…ピン配置データ
Lm…実装対象位置
P…部品P
Sd…距離センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9