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特開2024-87547半導体装置および半導体装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087547
(43)【公開日】2024-07-01
(54)【発明の名称】半導体装置および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/29 20060101AFI20240624BHJP
   H01L 25/07 20060101ALI20240624BHJP
   H01L 23/00 20060101ALI20240624BHJP
【FI】
H01L23/30 B
H01L25/08 C
H01L25/08 E
H01L23/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022202431
(22)【出願日】2022-12-19
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001092
【氏名又は名称】弁理士法人サクラ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】太駄 俊彦
(72)【発明者】
【氏名】高野 勇佑
【テーマコード(参考)】
4M109
【Fターム(参考)】
4M109AA02
4M109BA04
4M109CA05
4M109CA12
4M109CA21
4M109CA22
4M109DB16
4M109DB17
4M109EE07
(57)【要約】      (修正有)
【課題】高い信頼性を有する半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置100は、表面1aと、表面1aに露出するグランド電極(導電層111)と、を有する配線基板1と、表面1aの上方に設けられ、チップ構造体20と、チップ構造体20を封止する樹脂層21と、を有する積層体2と、積層体2を封止する樹脂層4と、配線基板1と積層体2との間に設けられた樹脂層3と、樹脂層21と表面1aとの間及び樹脂層21と樹脂層4との間に設けられ、グランド電極(導電層111)に接する導電性シールド層5と、を具備する。導電性シールド層5は、樹脂層21の側面に接する。グランド電極(導電層111)を表面1aに垂直な方向から見たとき、グランド電極(導電層111)は、樹脂層21の外側に配置される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の表面と、前記第1の表面に露出するグランド電極と、を有する配線基板と、
前記第1の表面の上方に設けられ、チップ構造体と、前記チップ構造体を封止する第1の樹脂層と、を有する積層体と、
前記積層体を封止する第2の樹脂層と、
前記配線基板と前記積層体との間に設けられた第3の樹脂層と、
前記第1の樹脂層と前記第1の表面との間、および、前記第1の樹脂層と前記第2の樹脂層との間に設けられ、前記グランド電極に接する第1の導電性シールド層と、
を具備し、
前記第1の導電性シールド層は、前記第1の樹脂層の側面に接し、
前記グランド電極を前記第1の表面に垂直な方向から見たとき、前記グランド電極は、前記第1の樹脂層の外側に配置される、
半導体装置。
【請求項2】
前記第1の導電性シールド層は、銅、銀、金、クロム、鉄、ニッケル、チタン、およびアルミニウムからなる群より選ばれる少なくとも一つの元素を含有する、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1の導電性シールド層と前記第2の樹脂層との間に設けられるとともに前記第1の導電性シールド層に接する保護膜をさらに具備し、
前記保護膜は、酸化銅、酸化クロム、酸化鉄、酸化ニッケル、および窒化チタンアルミニウムからなる群より選ばれる少なくとも一つの化合物を有する、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第3の樹脂層を前記第1の表面に垂直な方向から見たとき、前記第3の樹脂層の外縁は、前記グランド電極と前記積層体との間に配置される、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第3の樹脂層は、前記配線基板と前記積層体との間から前記第1の樹脂層の前記側面まで延在する、請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記チップ構造体は、複数の半導体チップを有し、
前記複数の半導体チップは、互いに積層される、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記積層体は、前記チップ構造体と前記第1の導電性シールド層との間に前記第1の導電性シールド層に接する層を有し、
前記層は、シリコンまたは酸化シリコンを含む、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第1の導電性シールド層の端部は、前記第2の樹脂層から露出する、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第2の樹脂層を覆う第2の導電性シールド層をさらに具備し、
前記第2の導電性シールド層は、前記第2の樹脂層から露出する前記第1の導電性シールド層の端部に接する、請求項8に記載の半導体装置。
【請求項10】
チップ構造体と、前記チップ構造体を封止する第1の樹脂層と、を有する積層体を配線基板の第1の表面の上方に形成し、
前記配線基板と前記積層体との間に第3の樹脂層を形成し、
前記配線基板に設けられるとともに前記第1の表面に露出するグランド電極に接する第1の導電性シールド層を前記積層体を覆うように形成し、
前記第1の導電性シールド層の上に前記積層体を封止する第2の樹脂層を形成し、
前記第1の導電性シールド層は、前記第1の樹脂層の側面に接し、
前記グランド電極を前記第1の表面に垂直な方向から見たとき、前記グランド電極は、前記第1の樹脂層の外側に配置される、
半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記第1の導電性シールド層は、銅、銀、金、クロム、鉄、ニッケル、チタン、およびアルミニウムからなる群より選ばれる少なくとも一つの元素を含有する、請求項10に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記第1の導電性シールド層と前記第2の樹脂層との間に設けられるとともに前記第1の導電性シールド層に接する保護膜を形成し、
前記保護膜は、酸化銅、酸化クロム、酸化鉄、酸化ニッケル、および窒化チタンアルミニウムからなる群より選ばれる少なくとも一つの化合物を有する、請求項10に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記第3の樹脂層を前記第1の表面に垂直な方向から見たとき、前記第3の樹脂層の外縁は、前記グランド電極と前記積層体との間に配置される、請求項10に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記第3の樹脂層は、前記配線基板と前記積層体との間から前記第1の樹脂層の前記側面まで延在する、請求項13に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項15】
前記チップ構造体は、複数の半導体チップを有し、
前記複数の半導体チップは、互いに積層される、請求項10に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項16】
前記積層体は、前記チップ構造体と前記第1の導電性シールド層との間に前記第1の導電性シールド層に接する層を有し、
前記層は、シリコンまたは酸化シリコンを含む、請求項10に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項17】
前記第1の導電性シールド層の端部は、前記第2の樹脂層から露出する、請求項10に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項18】
前記第2の樹脂層を覆う第2の導電性シールド層をさらに具備し、
前記第2の導電性シールド層は、前記第2の樹脂層から露出する前記第1の導電性シールド層の端部に接する、請求項17に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
NAND型フラッシュメモリ等の半導体装置は、配線基板上に積層されるとともに半導体チップを有する積層体を具備する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-109274号公報
【特許文献2】特開2006-310629号公報
【特許文献3】特開2006-156798号公報
【特許文献4】特開2011-142229号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実施形態において解決しようとする課題の一つは、高い信頼性を有する半導体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の半導体装置は、第1の表面と、第1の表面に露出するグランド電極と、を有する配線基板と、第1の表面の上方に設けられ、チップ構造体と、チップ構造体を封止する第1の樹脂層と、を有する積層体と、積層体を封止する第2の樹脂層と、配線基板と積層体との間に設けられた第3の樹脂層と、第1の樹脂層と第1の表面との間、および、第1の樹脂層と第2の樹脂層との間に設けられ、グランド電極に接する第1の導電性シールド層と、を具備する。第1の導電性シールド層は、第1の樹脂層の側面に接する。グランド電極を第1の表面に垂直な方向から見たとき、グランド電極は、第1の樹脂層の外側に配置される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】半導体装置の構造例を示す断面模式図である。
図2】半導体装置の構造例を示す平面模式図である。
図3】半導体装置の製造方法例を説明するためのフローチャートである。
図4】積層体搭載ステップS1を説明するための断面模式図である。
図5】封止層形成ステップS2を説明するための断面模式図である。
図6】自然酸化膜除去ステップS3を説明するための断面模式図である。
図7】導電性シールド層形成ステップS4を説明するための断面模式図である。
図8】封止層形成ステップS5を説明するための断面模式図である。
図9】マーキング・外部接続端子形成ステップS6を説明するための断面模式図である。
図10】個片化ステップS7を説明するための断面模式図である。
図11】チップ構造体20の第1の構造例を示す断面模式図である。
図12】チップ構造体20の第2の構造例を示す断面模式図である。
図13】半導体装置の第1の変形例を示す断面模式図である。
図14】半導体装置の第2の変形例を示す断面模式図である。
図15】半導体装置の第3の変形例を示す断面模式図である。
図16】半導体装置の第4の変形例を示す断面模式図である。
図17】半導体装置の第5の変形例を示す断面模式図である。
図18】半導体装置の第6の変形例を示す平面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態について、図面を参照して説明する。図面に記載された各構成要素の厚さと平面寸法との関係、各構成要素の厚さの比率等は現物と異なる場合がある。また、実施形態において、実質的に同一の構成要素には同一の符号を付し適宜説明を省略する。
【0008】
本明細書において「接続する」とは、特に指定する場合を除き、物理的に接続することだけでなく、電気的に接続する場合もある。
【0009】
図1は、半導体装置の構造例を示す断面模式図である。図2は、半導体装置の構造例を示す平面模式図である。図1および図2は、X軸と、X軸に垂直なY軸と、X軸およびY軸に垂直なZ軸と、を示す。なお、X軸は、例えば配線基板1の表面1aに平行な方向であり、Y軸は表面1aに平行であって且つX軸に垂直な方向であり、Z軸は、表面1aに垂直な方向である。図1は、X-Z断面の一例を示す。図2は、X-Y平面の一例を示す。図2は、便宜のため、一部の構成要素を図示しないまたは点線や鎖線で図示する。
【0010】
半導体装置100は、配線基板1と、積層体2と、樹脂層3と、樹脂層4と、導電性シールド層5と、を具備する。なお、図2は、導電性シールド層5を一点鎖線で示す。
【0011】
配線基板1の例は、プリント配線板(PWB)を含む。配線基板1は、例えば複数の絶縁層と所定のパターンを有する複数の導電層とを交互に積層することにより形成可能である。絶縁層としては、樹脂、セラミックス、ガラス等の絶縁体を用いることができる。
【0012】
配線基板1は、表面1aと、表面1aの反対側の表面1bと、多層配線11と、絶縁体12と、外部接続端子13と、を有する。
【0013】
多層配線11は、導電層111と、導電層112と、導電層113と、導電層114と、を有する。
【0014】
導電層111は、グランド電極としての機能を有する。導電層111は、配線基板1の内部に設けられ、表面1aに露出する。導電層111は、導電層114、外部接続端子13を介して、他のプリント基板に実装されたときに接地電位源に電気的に接続可能である。
【0015】
導電層112は、電源電圧または信号を供給するための配線層または電極としての機能を有する。導電層112は、例えば配線基板1の内部に設けられる。
【0016】
導電層113は、導電性パッドとしての機能を有する。導電層113は、配線基板1の表面1aに露出する。導電層113は、多層配線11の導電層112等の配線層を介して導電層114に電気的に接続される。導電層113は、図示しないビアを介して導電層114に接続されてもよい。
【0017】
導電層114は、導電性パッドとしての機能を有する。導電層114は、配線基板1の表面1bに露出する。
【0018】
導電層111、導電層112、導電層113、導電層114は、例えば銅を用いて形成される。多層配線11は、図示しない信号線、電源線、グランド線等の配線としての機能を有する他の導電層を含んでいてもよい。また、多層配線11の配線の積層数は、図1に示す数に限定されない。絶縁体12は、積層された複数の上記絶縁層により形成され、多層配線11に設けられた複数の配線間に設けられる。
【0019】
外部接続端子13は、導電層114に接して設けられる。図1は、複数の外部接続端子13を示すが、外部接続端子13の数は、図1に示す数に限定されない。外部接続端子13は、導電層114を介して多層配線11に接続される。例えば、外部接続端子13の一つは、導電層114を介して多層配線11の導電層111に接続される。また、外部接続端子13の他の一つは、導電層114を介して多層配線11の導電層112に接続される。外部接続端子13は、例えば金、銅、はんだ等を用いて形成される。外部接続端子13は、例えば、錫-銀系、錫-銀-銅系の鉛フリーはんだを用いて形成されてもよい。また、複数の金属材料の積層を用いて外部接続端子13を形成してもよい。なお、図1は、導電性ボールを用いた外部接続端子13を示すが、バンプを用いて外部接続端子13を形成してもよい。
【0020】
積層体2は、表面1aの上方に設けられる。積層体2は、チップ構造体20と、樹脂層21と、接続端子22と、を有する。
【0021】
チップ構造体20は、少なくとも一つの半導体チップを含む。半導体チップの例は、メモリチップを含む。なお、複数の半導体チップを積層してチップ構造体20を形成してもよい。
【0022】
樹脂層21は、チップ構造体20を封止する封止樹脂層である。樹脂層21は、チップ構造体20の一部または全部を覆う。樹脂層21は、上面21tと、側面21sと、を有する。樹脂層21は、酸化シリコン(SiO)等の無機充填材を含有し、例えば無機充填材を有機樹脂等と混合した封止樹脂を用いてトランスファモールド法、コンプレッションモールド法、インジェクションモールド法等のモールド法により形成される。
【0023】
接続端子22は、チップ構造体20の下方に設けられ、チップ構造体20内の半導体チップと導電層113とを接続する。換言すると、チップ構造体20は、フリップチップボンディングを用いて配線基板1に接続される。接続端子22は、例えば金、銅、はんだ等を用いて形成される。接続端子22は、例えば、錫-銀系、錫-銀-銅系の鉛フリーはんだを用いて形成されてもよい。また、複数の金属材料の積層を用いて接続端子22を形成してもよい。なお、図1では、導電性ボールを用いた接続端子22を示すが、バンプを用いて接続端子22を形成してもよい。図1は、複数の接続端子22を示すが、接続端子22の数は、図1に示す数に限定されない。
【0024】
樹脂層3は、チップ構造体20および樹脂層21と配線基板1との間に充填され、接続端子22を封止する封止樹脂層である。樹脂層3は、接続端子22を保護する。樹脂層3は、樹脂層21と表面1aとの間から樹脂層21の側面21sに接するように延在してもよい。換言すると、樹脂層3の側面は、樹脂層21の側面21sと面一でなくてもよい。これにより、導電性シールド層5の段切れを抑制できる。樹脂層3は、例えばアンダーフィル樹脂を用いて形成可能である。
【0025】
樹脂層4は、積層体2を封止する封止樹脂層である。樹脂層4は、樹脂層21を覆う。樹脂層4は、酸化シリコン(SiO)等の無機充填材を含有し、例えば無機充填材を有機樹脂等と混合した封止樹脂を用いてモールド法により形成される。
【0026】
樹脂層4は、表面にマーク4Mを有する。マーク4Mの形状は、特に限定されないが、例えば凹状である。マーク4Mは、例えば半導体装置100の製品番号、製造年月日、製造工場等の製品情報を表す。
【0027】
導電性シールド層5は、電磁波によるElectro Magnetic Interference(EMI)を抑制するために設けられる。導電性シールド層5は、樹脂層21と樹脂層4との間に設けられる。導電性シールド層5は、樹脂層21を覆い、樹脂層21の上面21tおよび側面21sのそれぞれに接する。導電性シールド層5は、樹脂層21と樹脂層4との間から樹脂層4と配線基板1との間まで延在し、表面1aに露出する導電層111に接する。これにより、グランド電極である導電層111に導電性シールド層5を接続できる。導電性シールド層5の端面5sは、半導体装置100の側面に露出していてもよい。
【0028】
導電性シールド層5は、電磁波ノイズを導電層111、導電層114、外部接続端子13を介して接地電位源等に逃がすことができる。これにより、チップ構造体20や配線基板1の導電層111から放射される不要電磁波の漏洩を抑制できる。また、導電性シールド層5は、半導体装置100の外部からの電磁波ノイズが半導体装置100の内部に侵入することを抑制できる。例えば、半導体装置100が携帯端末のような電子通信機器に用いられる場合、導電性シールド層5は、半導体装置100からの電磁波がEMIの原因となることを抑制でき、または、電波によって半導体装置100が誤動作することを抑制できる。
【0029】
導電性シールド層5は、電気抵抗率が低い金属層で形成することが好ましく、例えば銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、およびアルミニウム(Al)の少なくとも一つの元素を含有する金属層が適用される。導電性シールド層5の厚さは、その電気抵抗率に基づいて設定することが好ましい。
【0030】
図2に示すように、Z軸方向から見たとき、導電層111は、樹脂層21の外側に配置されることが好ましい。図2において、導電層111は、樹脂層21を囲むように設けられているが、これに限定されない。Z軸方向から見たとき、導樹脂層3の外縁は、導電層111と積層体2との間に配置されることが好ましい。樹脂層3の外縁は、フィレット端を有していてもよい。これらにより、導電性シールド層5の段切れを抑制できる。
【0031】
樹脂層21と樹脂層4とを積層する構造において、仮に、樹脂層4の表面にスパッタリングを用いて導電性シールド層5を形成する場合、引っ掻き傷等の傷によって導電性シールド層5が剥離しやすい。また、マーク4Mを樹脂層4の表面に形成する場合、導電性シールド層5を形成すると、マーク4Mの視認性が低下する。また、配線基板1の側面において導電層111を露出させて導電層111と導電性シールド層5とを接続する必要があるため、接触面積が小さく、シールド効果を高めることが困難である。また、導電性シールド層5の側面において、配線基板1に近づくにつれて導電性シールド層5が薄くなりやすいため、十分な厚さを有する導電性シールド層5を形成するために時間を要し、導電層111の側面に自然酸化膜が形成されても、導電性シールド層5の除去が困難である。これらは、半導体装置の信頼性の低下の原因となる。
【0032】
これに対し、実施形態の半導体装置では、樹脂層21と樹脂層4との間に導電性シールド層5を形成することにより、導電性シールド層5が傷つきにくいため、導電性シールド層5の剥離を抑制できる。また、マーク4Mを樹脂層4の表面に形成しても、マーク4Mの視認性の低下を抑制できる。また、配線基板1の表面1aにおいて導電層111と導電性シールド層5とを接続するため、接触面積を大きくでき、シールド効果を高めることができる。また、導電層111の表面に自然酸化膜が形成される場合であっても、自然酸化膜を容易に除去できる。これらにより、半導体装置の信頼性を向上できる。
【0033】
次に、半導体装置100の製造方法例について説明する。ここでは、複数の半導体装置100を同一工程により製造する例を示す。
【0034】
図3は半導体装置の製造方法例を説明するためのフローチャートである。半導体装置の製造方法例は、積層体搭載ステップS1と、封止層形成ステップS2と、自然酸化膜除去ステップS3と、導電性シールド層形成ステップS4と、封止層形成ステップS5と、マーキング・外部接続端子形成ステップS6と、個片化ステップS7と、を順に有する。なお、これらのステップは、図3に示す順に限定されない。
【0035】
図4は、積層体搭載ステップS1を説明するための断面模式図である。積層体搭載ステップS1により、積層体2を準備し、配線基板1の表面1aの上に積層体2を実装する。配線基板1は、表面1aに導電層111を露出させるための開口Hを有する。配線基板1は、開口Hにおいて導電層111の表面に自然酸化膜14を有する。積層体2は、フリップチップボンディングにより、配線基板1の表面1aに露出する導電層113とチップ構造体20とを積層体2に設けられた接続端子22を介して接続することにより実装される。
【0036】
図5は、封止層形成ステップS2を説明するための断面模式図である。封止層形成ステップS2により、樹脂層3を形成する。樹脂層3は、チップ構造体20および樹脂層21と配線基板1との間にアンダーフィル樹脂を充填して硬化させることにより形成される。
【0037】
図6は、自然酸化膜除去ステップS3を説明するための断面模式図である。自然酸化膜除去ステップS3により、自然酸化膜14を除去する。自然酸化膜14は、例えばアルゴン(Ar)プラズマを用いた表面処理により除去可能である。なお、図示しないが、自然酸化膜が導電層114の表面にも形成される場合には上記表面処理により自然酸化膜が除去される。
【0038】
図7は、導電性シールド層形成ステップS4を説明するための断面模式図である。導電性シールド層形成ステップS4により、樹脂層21の上面21tおよび側面21sの上、および表面1aおよび導電層111の上に導電性シールド層5を積層体2を覆うように形成する。導電性シールド層5は、例えば減圧雰囲気中において、めっき法またはスパッタリングを用いて形成される。
【0039】
図8は、封止層形成ステップS5を説明するための断面模式図である。封止層形成ステップS5により、複数の積層体2を覆う樹脂層4を導電性シールド層5の上に形成する。樹脂層4は、例えば無機充填材を有機樹脂と混合した封止樹脂を用いてトランスファモールド法、コンプレッションモールド法、ポッティング法、印刷法等のモールド法により形成される。
【0040】
図9は、マーキング・外部接続端子形成ステップS6を説明するための断面模式図である。マーキング・外部接続端子形成ステップS6により、マーク4Mを形成する。マーク4Mは、例えばYAGレーザー等のレーザービームを用いたレーザーマーキングにより製品情報を刻印することにより形成可能である。刻印の深さは、良好な視認性、品質および作業性を得る観点から、20μm以上40μm以下が好ましい。その後、導電層114に接する外部接続端子13を形成する。
【0041】
図10は、個片化ステップS7を説明するための断面模式図である。個片化ステップS7により、配線基板1、導電性シールド層5、および樹脂層4をダイシングブレードを用いたダイシングにより積層体2毎に半導体装置100を個片化する。
【0042】
以上の工程により半導体装置100を製造できる。以上が半導体装置の製造方法例の説明である。
【0043】
(チップ構造体20の第1の構造例)
図11は、チップ構造体20の第1の構造例を示す断面模式図である。図11に示すチップ構造体20は、半導体チップ201と、接着層202と、を有する。その他の部分については、図1に示す半導体装置100の説明を適宜援用できる。
【0044】
半導体チップ201は、例えばメモリチップである。図11は、複数の半導体チップ201を示す。複数の半導体チップ201は、互いに積層される。複数の半導体チップ201は、樹脂層21により封止される。複数の半導体チップ201の一つと他の一つは、ダイアタッチフィルム(DAF)等の接着層202により互いに接着される。複数の半導体チップ201は、半導体チップ201に設けられたTSV(Through Silicon Via)等の貫通電極203と、複数の半導体チップ201の一つと他の一つの間に設けられたバンプ204を介して互いに接続されるとともに、接続端子22を介して配線基板1に接続される。
【0045】
(チップ構造体20の第2の構造例)
図12は、チップ構造体20の第2の構造例を示す断面模式図である。図12に示すチップ構造体20は、基板200と、半導体チップ201と、接着層202と、を有する。その他の部分については、図1に示す半導体装置100の説明を適宜援用できる。
【0046】
基板200は、例えば配線基板である。半導体チップ201は、例えばメモリチップである。図12は、複数の半導体チップ201を示す。複数の半導体チップ201は、互いに積層される。複数の半導体チップ201は、樹脂層21により封止される。複数の半導体チップ201の一つと他の一つは、これらの半導体チップ201の間に設けられたDAF等の接着層202により互いに接着される。複数の半導体チップ201は、基板200の上方に段々に積層される。段々に積層された複数の半導体チップ201は、換言すると、互いに部分的に重畳する。複数の半導体チップ201は、複数のボンディングワイヤ205を介して互いに接続され、さらに基板200に接続される。基板200は、接続端子22を介して配線基板1に接続される。チップ構造体20は、図12に示すように、複数の半導体チップ201が段々に積層された第1のチップ積層体と、第1のチップ積層体上に設けられ、複数の半導体チップ201が段々に積層された第2のチップ積層体とを有していてもよい。なお、半導体チップ201の数および積層構造は、図12に示す数および積層構造に限定されない。
【0047】
第1の構造例および第2の構造例に示すように、複数の半導体チップ201を用いてチップ構造体20を形成できる。これにより、例えばNAND型フラッシュメモリ等の半導体装置を実現できる。
【0048】
(半導体装置100の第1の変形例)
図13は、半導体装置の第1の変形例を示す断面模式図である。図13に示す半導体装置100は、図1および図2に示す半導体装置100と比較して樹脂層3が樹脂層21の側面21sの全部を覆う構成が異なる。その他の部分については、図1に示す半導体装置100の説明を適宜援用できる。
【0049】
樹脂層3が樹脂層21の側面21sの全部を覆うことにより、例えば導電性シールド層5の段切れを抑制できる。このとき、導電性シールド層5は、樹脂層21の側面21sを覆う。樹脂層3の側面は、表面1aに対して傾斜していてもよい。
【0050】
(半導体装置100の第2の変形例)
図14は、半導体装置の第2の変形例を示す断面模式図である。図14に示す半導体装置100は、図1および図2に示す半導体装置100と比較してチップ構造体20の上面が樹脂層21から露出する構成が異なる。その他の部分については、図1に示す半導体装置100の説明を適宜援用できる。
【0051】
チップ構造体20の露出面は、導電性シールド層5に接する。チップ構造体20の露出面は、例えばシリコン基板等のシリコンを含む層であってもよい。チップ構造体20の上面が樹脂層3から露出することにより、例えば半導体装置100の放熱性を高めることができる。
【0052】
(半導体装置100の第3の変形例)
図15は、半導体装置の第3の変形例を示す断面模式図である。図15に示す半導体装置100は、図1および図2に示す半導体装置100と比較してチップ構造体20の上面にシリコン酸化膜等の絶縁層23を有する構成が異なる。その他の部分については、図1に示す半導体装置100の説明を適宜援用できる。
【0053】
絶縁層23は、導電性シールド層5に接する。絶縁層23は、例えばSiO、SiO、Si(OC等の材料を用いて形成されたシリコン酸化膜である。チップ構造体20の上面に絶縁層23を有することにより、例えばチップ構造体20内の半導体チップを保護できる。
【0054】
(半導体装置100の第4の変形例)
図16は、半導体装置の第4の変形例を示す断面模式図である。図16に示す半導体装置100は、図1および図2に示す半導体装置100と比較して樹脂層4の表面に導電性シールド層6を有する構成が異なる。その他の部分については、図1に示す半導体装置100の説明を適宜援用できる。
【0055】
導電性シールド層6は、導電性シールド層5と同様に、EMI等を抑制するために設けられる。導電性シールド層6は、電気抵抗率が低い金属層で形成することが好ましく、例えば銅、クロム、鉄、ニッケル、チタン、およびアルミニウムの少なくとも一つの元素を含有する金属層が適用される。導電性シールド層6の厚さは、その電気抵抗率に基づいて設定することが好ましい。導電性シールド層6は、例えば減圧雰囲気中において、めっき法やスパッタリングを用いて形成される。導電性シールド層6は、導電性シールド層5に適用可能な材料を用いて形成でき、導電性シールド層5と同じ材料または異なる材料を用いて形成される。
【0056】
導電性シールド層6は、導電性シールド層5の樹脂層4の側面から露出する端部(端面)に接触することにより導電性シールド層5に接続される。樹脂層4の表面に導電性シールド層6を有することにより、シールド効果をさらに向上できる。
【0057】
(半導体装置100の第5の変形例)
図17は、半導体装置の第5の変形例を示す断面模式図である。図17に示す半導体装置100は、図1および図2に示す半導体装置100と比較して導電性シールド層5と樹脂層4との間に導電性シールド層5に接する保護膜7を有する構成が異なる。その他の部分については、図1に示す半導体装置100の説明を適宜援用できる。
【0058】
保護膜7は、酸化銅、酸化クロム、酸化鉄、酸化ニッケル、および窒化チタンアルミニウムの少なくとも一つの化合物を有する。保護膜7は、導電性シールド層5の形成後であって樹脂層4の形成前に形成される。例えば、酸素を含む雰囲気中において、金属材料を導電性シールド層5の上面に堆積することにより、保護膜7として金属酸化膜を形成できる。また、窒素を含む雰囲気中において、金属材料を導電性シールド層5の上面に堆積することにより、保護膜7として金属窒化膜を形成できる。導電性シールド層5と樹脂層4との間に保護膜7を有することにより、例えば導電性シールド層5の酸化を抑制できる。
【0059】
(半導体装置100の第6の変形例)
図18は、半導体装置の第6の変形例を示す平面模式図である。図18に示す半導体装置100は、図1および図2に示す半導体装置100と比較して導電層111のレイアウトが異なる。その他の部分については、図1および図2に示す半導体装置100の説明を適宜援用できる。
【0060】
複数の導電層111は、樹脂層3の周りに間を空けて配置される。これにより、例えば複数の導電層111のパターン形状を異ならせて複雑なパターンを形成することができる。
【0061】
第1の変形例ないし第6の変形例は、適宜組み合わせることができる。さらに、第1の変形例ないし第6の変形例は、チップ構造体20の第1の構造例または第2の構造例を適宜適用できる。
【0062】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0063】
1…配線基板、1a…表面、1b…表面、2…積層体、3…樹脂層、4…樹脂層、4M…マーク、5…導電性シールド層、6…導電性シールド層、7…保護膜、11…多層配線、12…絶縁体、13…外部接続端子、14…自然酸化膜、20…チップ構造体、21…樹脂層、21s…側面、21t…上面、22…接続端子、23…絶縁層、100…半導体装置、111…導電層、112…導電層、113…導電層、114…導電層、200…配線基板、201…半導体チップ、202…接着層、203…貫通電極、204…バンプ、205…ボンディングワイヤ。
図1
図2
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