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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087560
(43)【公開日】2024-07-01
(54)【発明の名称】建築用材料
(51)【国際特許分類】
   C04B 28/02 20060101AFI20240624BHJP
   C04B 16/06 20060101ALI20240624BHJP
   C04B 18/16 20230101ALI20240624BHJP
   B28B 1/30 20060101ALI20240624BHJP
   B33Y 70/00 20200101ALI20240624BHJP
【FI】
C04B28/02
C04B16/06 Z
C04B18/16
B28B1/30
B33Y70/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022202449
(22)【出願日】2022-12-19
(71)【出願人】
【識別番号】522392070
【氏名又は名称】Deep Tech Japan株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134072
【弁理士】
【氏名又は名称】白浜 秀二
(72)【発明者】
【氏名】山田 慎司
【テーマコード(参考)】
4G052
4G112
【Fターム(参考)】
4G052DA01
4G052DB12
4G052DC06
4G112PA02
4G112PA24
4G112PA30
4G112PC03
4G112PE02
(57)【要約】
【課題】3Dプリンタ用の建築材料の粘度等の適正化を得る。
【解決手段】セメントに骨材と水及び合成繊維を含み、前記建築材料は建築物の積層する部分に使用され、前記骨材は砂、砂利、再生屋根タイル、及び高性能減水剤を含む3Dプリンタ用の建築材料である。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セメントに骨材と水及び合成繊維を含むことを特徴とする3Dプリンタ用の建築用材料。
【請求項2】
前記建築材料は建築物の積層する部分に使用されることを特徴とする請求項1記載の3Dプリンタ用の建築用材料。
【請求項3】
前記骨材は砂、砂利、再生屋根タイル、及び高性能減水剤を含むことを特徴とする請求項1記載の3Dプリンタ用の建築用材料。
【請求項4】
前記建築材料は、10分~15分掛けて表面硬化させ、2時間~3時間掛けて完全硬化させることを特徴とする請求項3に記載の3Dプリンタ用の建築用材料。
【請求項5】
前記合成繊維は、前記高性能減水剤の半分の量であることを特徴とする請求項3記載の3Dプリンタ用の建築用材料。
【請求項6】
前記合成繊維は、セメントに骨材と水の総量の0.1%の量であることを特徴とする請求項3記載の3Dプリンタ用の建築用材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築材料に関する。
【背景技術】
【0002】
近年は、3Dプリンタで建物等を構築することが可能となっている。このような3Dプリンタは、CAD等で作成した3次元の造形用のデジタルデータに基いて、液状の材料を、一層ずつ、硬化させて、積層体である造形物を製造する。
【0003】
積層造形物を製造するための技術としては操作を繰り返して、積層造形物を製造する粉末固着式積層法や、熱可塑性樹脂を高温で溶解させて、液状の層を形成させた後、該層を冷却して硬化させるという操作を繰り返して、積層造形物を製造する。
【0004】
コンクリートやモルタルなどのセメント組成物に、鋼繊維や、ビニロン、ポリプロピレンなどの有機質繊維などの繊維を均一に分散して混入することによって、得られるコンクリートやモルタルなどのセメント組成物の硬化物の引張強度、曲げ強度、せん断強度を向上させるとともに、耐衝撃性や靭性の向上、ひび割れの抑制、剥落の防止などが可能になる。
【0005】
このため、セメント組成物からなる積層造形材料として、繊維を含むセメント組成物が 検討されている。
【0006】
例えば、特許文献1に開示されているのは水和性セメント質材料の制御された強度の発現のための組成物および方法に関し、そしてより詳細には重合性モノマー成分の使用であり、これはセメント質材料の凝結が始まる前に可塑的水和性セメント質材料のマトリックス内の非水和強度を強化するために、制御された様式で混合されるレドックス対により開始され、そして活性化される。例となる応用には高流体レディミックス適用用の型枠にかかる圧の最少化、一体型コンクリートスラブ作業および他の順次適用のための支持および結合特性の強化、または他の独自の可能性の中でもとりわけ迅速な3D印刷適用の促進を含むことが開示されている。
【0007】
特許文献2に、繊維入りコンクリートを付加製造装置のノズルから所定の位置に押し出すことによって繊維の配向を容易に制御可能な繊維補強コンクリート部材の製造方法が、記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特表2021-536419号公報
【特許文献2】特開2020-002744号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、3Dプリンタによる建築材料は、積層してドロドロにならず、かつ、固まりすぎないような適当な粘度が必要である。
ところが、特許文献1及び特許文献2は、適正な粘度を有するものではないので、3Dプリンタのセメント組成物としては依然として不適切である。
本発明は、3Dプリンタでも、適当な粘度を有する建築材料を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は以上の問題に鑑みてなされたもので、請求項1に係る発明は、セメントに骨材と水及び合成繊維を含む3Dプリンタ用の建築材料である。
【0011】
請求項2に係る発明は、前記建築材料は建築物の積層する部分に使用される3Dプリンタ用の建築材料である。
【0012】
請求項3に係る発明は、前記骨材は砂、砂利、再生屋根タイル、及び高性能減水剤を含む3Dプリンタ用の建築材料である。
【0013】
請求項4に係る発明は、前記建築材料は、10分~15分掛けて表面硬化させ、2時間~3時間掛けて完全硬化させることを特徴とする3Dプリンタ用の建築材料である。
【0014】
請求項5に係る発明は、前記合成繊維は、前記高性能減水剤の半分の量である3Dプリンタ用の建築材料である。
【0015】
請求項6に係る発明は、前記合成繊維は、セメントに骨材と水の総量の0.1%の量である3Dプリンタ用の建築材料である。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明によれば、3Dプリンタでも、適正な粘度を有する建築材料を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】3Dプリンタの建築材料の成分の説明図である。
図2】合成繊維の試験の結果を説明する説明図である。
図3】骨材ふるい分け試験結果を説明する説明図である。
図4】砕砂試験のデータを説明する説明図である。
図5】砕砂の密度、吸水率試験の説明図である。
図6】骨材ふるい分け試験結果を説明する説明図である。
図7】建築材料の具体的購入先を説明する説明図である。
図8】コンクリート用化学混和剤試験結果を説明する説明図である。
図9】セメント試験成績を説明する説明図である。
図10】建築用3Dプリンタシステムの概略構成図である。
図11】(a)~(c)3Dプリンタの建築材料の乾燥時間による効果の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に示す実施の形態は、発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示したものであって、本発明の技術的思想は、下記のものに特定されるものではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された事項の範囲内において、種々の変更を加えることができる。特に、図面は模式的なものであり、現実のものとは異なることに留意すべきである。既に公知の技術である部分は説明を省略している。
【0019】
図1を参照する。本実施の形態は、セメント、砂(0-2mm)、砂利(0-8mm)、再生屋根タイル(例えば、コロニアル(登録商標):0-8mm)、水、高性能減水剤(例えば、グレニウムsky631)、合成繊維(例えば、バルリンク:ポリプロピレン)、を含む3Dプリンタの建築材料として説明する。本発明において、骨材は、1~25mmの大きさのものを意味する。
【0020】
この3Dプリンタの建築材料は、好ましくは、セメントの量は、総重量に対して31.8%である。
【0021】
また、砂及び砂利は総重量に対して18.2%である。再生屋根タイルは総重量に対して23.9%である。
【0022】
さらに、水は総重量に対して8.6%であり、高性能減水剤は総重量に対して0.2%程度の配合率であり、これらを混合して形成している。合成繊維の含有量は0.1%程度が好ましい。
【0023】
より詳細には、3Dプリンタの建築材料の成分の図1の分量が好ましい。セメントの量は6.12ton(総量の31.8%)であり、0-2mmの砂が3.50ton(総量の18.2%)であり、0~4mm(0~8mm:好ましくは0~4mm)の砂利が3.50ton(総量の18.2%)であり、0~4mmの再生屋根タイル(例えば、コロニアル(登録商標))が4.38ton(総量の23.9%)であり、水が1.66ton(総量の8.6%)である。
【0024】
また、高性能減水剤(例えば、グレニウムsky631)が0.04ton(総量の0.2%)であり、合成繊維(合成樹脂)が0.02ton(総量の0.1%)である。
【0025】
上記の配分で品質を検査した例を以下に示す。
【0026】
図2に示すように、検査項目は、繊度と、合成短繊維径と、引張強度と、引張弾性率と、合成短繊維長と、付着水分率との検査を行った。
【0027】
この結果、繊度は、13.6dtex(規格値は10~16dtex)であり、合成短繊維径は0.044mm(規格値は0.037~0.047mm)であり、引張強度は455.0N/mm(規格値は390N/mm以上)であり、引張弾性率は5.5kN/mm(規格値は5.0kN/mm以上)であり、合成短繊維長は11.9mm(規格値は11.5~12.50mm)であり、付着水分率は、0.0%(規格値は0.0%)であった。すなわち、いずれもがJIS A 6208の規格値を満たしている。
【0028】
図3は骨材のふるい分け試験のデータを説明する説明図である。骨材のふるい分け試験とは、一般の構造物などで使用するコンクリート用骨材として適当であるかを判定し、コンクリートの調合設計で必要な骨材の粗粒率と粗骨材の最大寸法を求める試験で、骨材の単位容積質量及び実積率試験は、コンクリートの調合設計で必要な単位容積質量と実積率を求める試験である。
【0029】
ふるいの寸法2.36mmに対し、連続する各ふるいの間にとどまる試料の質量a1は222.8gであり、連続する各ふるいの間にとどまる試料の百分率b1=a1/A×100=19.6%である。各ふるいにとどまる試料の百分率はc1=b1=19.6%である。各ふるいを通過する試料の百分率はd1=100-c1=80.4%である。
【0030】
ふるいの寸法1.18[1.18~2.36]mmに対し、連続する各ふるいの間にとどまる試料の質量a2は396.5gであり、連続する各ふるいの間にとどまる試料の百分率b2=a2/A×100=34.9%である。各ふるいにとどまる試料の百分率はc2=c1+b2=54.5%である。各ふるいを通過する試料の百分率はd2=100-c2=45.5%である。
【0031】
ふるいの寸法0.6[0.6~1.18]mmに対し、連続する各ふるいの間にとどまる試料の質量a3は170.3gであり、連続する各ふるいの間にとどまる試料の百分率b3=a3/A×100=15.0%である。各ふるいにとどまる試料の百分率はc3=c2+b3=69.5%である。各ふるいを通過する試料の百分率はd3=100-c3=30.5%である。
【0032】
ふるいの寸法0.3[0.3~0.6]mmに対し、連続する各ふるいの間にとどまる試料の質量a4は93.6gであり、連続する各ふるいの間にとどまる試料の百分率b4=a4/A×100=8.2%である。各ふるいにとどまる試料の百分率はc4=c3+b4=77.7%である。各ふるいを通過する試料の百分率はd4=100-c4=22.3%である。
【0033】
ふるいの寸法0.15[0.15~0.3]mmに対し、連続する各ふるいの間にとどまる試料の質量a5は66.5gであり、連続する各ふるいの間にとどまる試料の百分率b5=a5/A×100=5.9%である。各ふるいにとどまる試料の百分率はc5=c4+b5=83.6%である。各ふるいを通過する試料の百分率はd5=100-c5=16.4%である。
【0034】
ふるいの寸法0.075[0.075~0.15]mmに対し、連続する各ふるいの間にとどまる試料の質量a6は63.5gであり、連続する各ふるいの間にとどまる試料の百分率b6=a6/A×100=5.6%である。各ふるいにとどまる試料の百分率はc6=c5+b6=89.2%である。各ふるいを通過する試料の百分率はd6=100-c6=10.8%である。
【0035】
ふるいの寸法[0.075以下]mmに対し、連続する各ふるいの間にとどまる試料の質量a7は122.8gであり、連続する各ふるいの間にとどまる試料の百分率b7=a7/A×100=10.8%である。
【0036】
合計に対し、連続する各ふるいの間にとどまる試料の質量Aは1136.0gであり、連続する各ふるいの間にとどまる試料の百分率=100%である。各ふるいにとどまる試料の百分率は304.9%である。
【0037】
試験前の試料質量1143.7gである。粗粒率は3.05の結果を得た。
【0038】
図4は砕砂の微粒分量試験の説明図である(原石の種類は石灰岩)。試験結果の項目として、m1(洗う前の試料の乾燥質量)と、m2(洗った後の試料の乾燥質量)と、洗う前後の差等を示している。
【0039】
この試験は洗い試験と呼ばれている。表面に粘土やシルトなどの細かい土が着いたままの骨材でコンクリートを作ると、 セメントと骨材がしっかりと付着しないため、コンクリートの強さが低くなる。付着している細かい土が少ない骨材がよい製品の条件となる。試験方法は骨材を水で洗って表面に着いている細かい土の量を求める試験である。
【0040】
洗う前の試料の乾燥質量m1は1回目は610.2gであり、2回目は613.0gである。洗った後の試料の乾燥質量m2は1回目は528.6gであり、2回目は530.0gである。
【0041】
網ふるい0.075mmを通過する量の百分率(m1-m2)/m1×100%は、1回目13.4%であり、2回目13.5%である。平均は13.5%である。
【0042】
2個の試験データの平均値からの差は、1回目は0.1%で2回目は0.0%である。
【0043】
図5は砕砂の密度、吸水率試験の説明図である(原石の種類は石灰岩)。試験結果の項目として、m1(密度測定用試料の表乾燥量)と、m2(ピクノメーター+水)の質量等を示している。
【0044】
密度測定用試料の表乾質量m1は、1回目は500.0gであり、2回目は500.0gである。
【0045】
(ピクノメーター+水)の質量m2は、1回目は1209.0gであり、2回目は1204.2gである。
【0046】
試験に使用した水の温度は、1回目が22.0℃であり、2回目が22.0℃である。試験に使用した水の密度ρwは、1回目が0.9978g/cmであり、2回目が0.9978g/cmである。
【0047】
(ピクノメーター+水+試料)の質量m3は1回目が、1524.3gであり、2回目が1520.5gである。
【0048】
表乾密度D=m1/(m1-(m3-m2))×ρwで、1回目が2.71g/cmであり、2回目が2.72g/cmであり、平均は2.72g/cmである。
【0049】
表乾密度の平均値からの差は1回目が0.01g/cmであり、2回目が0.00g/cmである。平均値は合格である。
【0050】
吸水率測定用試料の表乾質量m4は、1回目が500.0gであり、2回目が500.0gである。
【0051】
吸水率測定用試料の絶乾質量m5は、1回目が495.6gであり、2回目が495.8gである。
【0052】
吸水率Q((m4-m5)/m5×100)は、1回目が0.89%であり、2回目が0.85%で、平均は0.87%である。
【0053】
吸水率の平均値からの差は1回目が0.02%で、2回目が0.02%であり合格である。
【0054】
絶乾密度D(表乾密度/(1+吸水率/100))は、1回目が2.69g/cmであり、2回目が2.70g/cmであり平均は2.70g/cmである。
【0055】
絶乾密度の平均値からの差は、1回目が0.01g/cmであり、2回目が0.00g/cmであり合格である。
【0056】
図6は道路用砕石試験の成績であり、骨材のふるい分け試験の結果の説明図である。このような、3Dプリンタのセメント組成材料は、例えば図8に示す建築用3Dプリンタシステムに用いるのが好ましい。
【0057】
ふるいの寸法13[13~20]mmに対し、連続する各ふるいの間にとどまる試料の質量a3は0.0gであり、連続する各ふるいの間にとどまる試料の百分率b3=a3/A×100=0.0%である。各ふるいにとどまる試料の百分率はc3=c2+b3=0.0%である。各ふるいを通過する試料の百分率はd3=100-c3=100.0%である。
【0058】
ふるいの寸法5[5~13]mmに対し、連続する各ふるいの間にとどまる試料の質量a4は23.3gであり、連続する各ふるいの間にとどまる試料の百分率b4=a4/A×100=1.6%である。各ふるいにとどまる試料の百分率はc4=c3+b4=1.6%である。各ふるいを通過する試料の百分率はd4=100-c4=98.4%である。
【0059】
ふるいの寸法2.5[2.5~5]mmに対し、連続する各ふるいの間にとどまる試料の質量a5は1338.1gであり、連続する各ふるいの間にとどまる試料の百分率b5=a5/A×100=89.1%である。各ふるいにとどまる試料の百分率はc5=c4+b5=90.7%である。各ふるいを通過する試料の百分率はd5=100-c5=9.3%である。
【0060】
ふるいの寸法1.2[1.2~5]mmに対し、連続する各ふるいの間にとどまる試料の質量a6は111.5gであり、連続する各ふるいの間にとどまる試料の百分率b6=a6/A×100=7.4%である。各ふるいにとどまる試料の百分率はc6=c5+b6=98.1%である。各ふるいを通過する試料の百分率はd6=100-c6=1.9%である。
【0061】
ふるいの寸法[1.2以下]mmに対し、連続する各ふるいの間にとどまる試料の質量a7は28.0gであり、連続する各ふるいの間にとどまる試料の百分率b7=a7/A×100=1.9%である。
【0062】
合計に対し、連続する各ふるいの間にとどまる試料の質量Aは1500.9gであり、連続する各ふるいの間にとどまる試料の百分率=100%である。試験前の試料質量1501.4gである。粗粒率は4.90の結果を得た。
【0063】
図7を参照する。本試験で使用した材料を説明する。セメントは太平洋セメント社製、普通ポルトランドセメントである。砂(0~2mm)は吉澤石灰工業社製、石灰砕砂 スクリーニングスである。砂利(0~8mm)は吉澤石灰工業社製、石灰砕石S-5(7号)。再生屋根タイル(コロニアル(登録商標):0-8mm)、水は自社で用意、高性能減水剤は、ポゾリスソリューション株式会社製、マスターグレニウムSP8SV、合成繊維は、バルチップ株式会社製、バルリンク13DT-12mmである。
【0064】
図8を参照する。コンクリート用化学混和剤(JIS A 6204)試験結果である。減水率は、JIS A 6204による規定値で18%以上である。形式評価試験値は18%であり、性能確認試験値は18%である。
【0065】
ブリーディング量の比はJIS A 6204では60%以下であり、形式評価試験値は16%である。
【0066】
凝結時間の差は、JIS A 6204では始発で-60~+90であり、形式評価試験値+35であり、性能確認試験値では+10である。
【0067】
JIS A 6204では終結で-60~+90であり、形式評価試験値+25であり、性能確認試験値では+20である。
【0068】
経時変化量は、スランプでJIS A 6204の規定値では6.0cm以下であり、形式評価試験値は4.0cmであり、性能確認試験値では3.5cmである。
【0069】
経時変化量は、空気量でJIS A 6204の規定値では±1.5%以内であり、形式評価試験値は-0.7%であり、性能確認試験値では-0.7%である。
【0070】
圧縮強度比は、材齢7日で、JIS A 6204の規定値では125%以上であり、形式評価試験値は155%であり、性能確認試験値では127%である。
【0071】
圧縮強度比は、材齢28日で、JIS A 6204の規定値では115%以上であり、形式評価試験値は139%であり、性能確認試験値では122%である。
【0072】
長さ変化比は、JIS A 6204の規定値では110%以下であり、形式評価試験値96%である。
【0073】
凍結融解に対する抵抗性は、JIS A 6204の規定値では60%以下であり、形式評価試験値は97%である。
【0074】
塩化物イオン量では、塩化物イオン量がJIS A 6204の規定値では0.02kg/m以下であり、形式評価試験値は0.00kg/mで、性能確認試験値では0.01%(化学混和剤中の含有量)、3.15kg/m(1m当たりの化学混和剤の使用量)、0.00kg/m(試験値)である。
【0075】
全アルカリ量では、塩化物イオン量がJIS A 6204の規定値では0.30kg/m以下であり、形式評価試験値は0.03kg/mで性能確認試験値では0.8%(化学混和剤中の含有量)、3.15kg/m(1m当たりの化学混和剤の使用量)、0.03kg/m(試験値)である。
【0076】
その他の項目として、密度(g/cm、20℃)で規格値は1.03~1.12g/cmであり、試験値は1.05g/cmである。
【0077】
図9を参照する。セメント試験成績である。
【0078】
密度は、普通ポルトランドセメント(JIS R 5210)で平均値3.16g/cmであり、早強ポルトランドセメント(JIS R 5210)で平均値3.14g/cmであり、高炉セメントB種(JIS R 5211)で平均値3.04g/cmである。
【0079】
比表面積は、普通ポルトランドセメント(JIS R 5210)でJIS規格で2500cm/g以上で、平均値3210cm/gであり、標準偏差が76cm/gであり、早強ポルトランドセメント(JIS R 5210)でJIS規格で3300cm/g以上で、平均値が4550cm/gであり、標準偏差が70cm/gであり、高炉セメントB種(JIS R 5211)で、JIS規格で3000cm/g以上で、平均値3950cm/gであり標準偏差が74cm/gである。
【0080】
凝結の水量は、普通ポルトランドセメント(JIS R 5210)で平均値27.2%であり、早強ポルトランドセメント(JIS R 5210)で平均値が30.6%であり、高炉セメントB種(JIS R 5211)で平均値28.8%である。
【0081】
凝結の始発は、普通ポルトランドセメント(JIS R 5210)で、JIS規格で60min以上で平均値2-21%であり、早強ポルトランドセメント(JIS R 5210)でJIS規格で15min以上で平均値が2-01%であり、高炉セメントB種(JIS R 5211)でJIS規格が60min以下で、平均値2-59%である。
【0082】
凝結の終結は、普通ポルトランドセメント(JIS R 5210)で、JIS規格で10h以上で平均値3-39%であり、最大値で4-00であり、早強ポルトランドセメント(JIS R 5210)でJIS規格で10h以上で平均値が2-57%であり、最大値が3-20であり、高炉セメントB種(JIS R 5211)でJIS規格が10h以下で、平均値4-22%であり最大値が5-15である。
【0083】
安定性はパット法で、普通ポルトランドセメント(JIS R 5210)で、良であり、早強ポルトランドセメント(JIS R 5210)で良であり、高炉セメントB種(JIS R 5211)で良である。
【0084】
圧縮強さ(N/mm)は、1dで、早強ポルトランドセメント(JIS R 5210)でJIS規格で10.0以上で平均値が25.0であり、標準偏差が1.67である。
【0085】
圧縮強さ(N/mm)は、3dで、普通ポルトランドセメント(JIS R 5210)で、JIS規格で、12.5以上で、平均値が28.8で、標準偏差が1.58である。早強ポルトランドセメント(JIS R 5210)でJIS規格で20.0以上で平均値が47.7であり、標準偏差が1.79である。高炉セメントB種(JIS R 5211)でJIS規格が10.0以上で、平均値22.1であり標準偏差が1.23である。
【0086】
圧縮強さ(N/mm)は、7dで、普通ポルトランドセメント(JIS R 5210)で、JIS規格で、22.5以上で、平均値が45.5で、標準偏差が1.64である。早強ポルトランドセメント(JIS R 5210)でJIS規格で42.5以上で平均値が59.8であり、標準偏差が1.81である。高炉セメントB種(JIS R 5211)でJIS規格が17.5以上で、平均値37.6であり標準偏差が1.71である。
【0087】
圧縮強さ(N/mm)は、28dで、普通ポルトランドセメント(JIS R 5210)で、JIS規格で、12.5以上で、平均値が65.2で、標準偏差が1.85である。早強ポルトランドセメント(JIS R 5210)でJIS規格で17.5以上で平均値が71.7であり、標準偏差が1.89である。高炉セメントB種(JIS R 5211)でJIS規格が12.5以上で、平均値64.1であり標準偏差が1.96である。
【0088】
水和熱(J/g)では、7dの普通ポルトランドセメント(JIS R 5210)で、平均値が328である。水和熱(J/g)では、28dの普通ポルトランドセメント(JIS R 5210)で、平均値が388である。
【0089】
化学成分(%)は、酸化マグネシウムで、普通ポルトランドセメント(JIS R 5210)で、JIS規格で、5.0以下で、平均値が1.06で、最大値が2.40である。早強ポルトランドセメント(JIS R 5210)でJIS規格で5.0以下で平均値が1.09であり、最大値が2.38である。高炉セメントB種(JIS R 5211)でJIS規格が6.0以下で、平均値3.46であり最大値が4.25である。
【0090】
化学成分(%)は、三酸化硫黄で、普通ポルトランドセメント(JIS R 5210)で、JIS規格で、3.5以下で、平均値が2.02で、最大値が2.19である。早強ポルトランドセメント(JIS R 5210)でJIS規格で4.5以下で平均値が2.97であり、最大値が3.20である。高炉セメントB種(JIS R 5211)でJIS規格が4.0以下で、平均値2.15であり最大値が2.61である。
【0091】
化学成分(%)は、強熱減量で、普通ポルトランドセメント(JIS R 5210)で、JIS規格で、5.0以下で、平均値が2.31で、最大値が2.51である。早強ポルトランドセメント(JIS R 5210)でJIS規格で5.0以下で平均値が0.84であり、最大値が1.03である。高炉セメントB種(JIS R 5211)でJIS規格が5.0以下で、平均値1.62であり最大値が2.27である。
【0092】
化学成分(%)は、全アルカリで、普通ポルトランドセメント(JIS R 5210)で、JIS規格で、0.75以下で、平均値が0.52で、最大値が0.62である。早強ポルトランドセメント(JIS R 5210)でJIS規格で0.75以下で平均値が0.47であり、最大値が0.53である。
【0093】
化学成分(%)は、塩化物イオンで、普通ポルトランドセメント(JIS R 5210)で、JIS規格で、0.035以下で、平均値が0.023で、最大値が0.026である。早強ポルトランドセメント(JIS R 5210)でJIS規格で0.02以下で平均値が0.008であり、最大値が0.012である。高炉セメントB種(JIS R 5211)で、平均値0.016である。
【0094】
図10を参照する。この建築用3Dプリンタシステムは、事務所又は会社の管理装置20と、現場側の操作端末50と、3D駆動立体枠装置100等で構成されている。管理装置20と、操作端末50とを総称して本実施の形態では制御装置と称する。
【0095】
構造物160を構築するために、セメント6.12ton(総量の31.8%)、砂、3.50ton(総量の18.2%)と、砂利、3.50ton(総量の18.2%)と、再生屋根タイル(4.38ton)が総量の23.9%と、水が1.66ton(総量の8.6%)と、高性能減水剤が0.04ton(総量の0.2%)と、合成繊維(ポリプロピレン等)が0.02ton(総量の0.1%)とをミキサー40でミキシングして生成した建築材料45を生成してこれをタンク150に蓄積する。
【0096】
3D駆動立体枠装置100側には、主制御装置(不図示)が設けられている。この主制御装置は、操作端末50からのCADデータに基づくモルタル噴出装置120に対する制御データを生成して出力する。
【0097】
前述の3D駆動立体枠装置100は、図10に示すように、構造物160を構築するエリアに構築されている。
【0098】
すなわち、本システムの概要は、構造物160を構築するエリアに構築され、モルタル噴出装置120を三次元的に移動させながら前記構造物160を構築するレール付きの3D駆動立体枠装置100と、構造物160の設計図を生成すると共に、この設計図に基づく制御データを3D駆動立体枠装置100に送信する制御装置とを備えた建築用3Dプリンタシステムである。
【0099】
本実施の形態の建築用3Dプリンタシステムは、図10に示すように、管理装置20で設計図のCADデータを生成し、構築スケジュールを生成して記憶部に記憶する。そして、構造物160を構築するための、所定のミキサー40でミキシングして生成した建築材料45を生成してこれをタンク150に蓄積しておく。
【0100】
そして、構築スケジュールに従って、そのCADデータを操作端末50に送信し、この操作端末50が構築スケジュールのCADデータを受信する毎に、順次、記憶部に記憶し、作業員の操作に従って、CADデータを主制御装置に送信する。主制御装置は、3D駆動立体枠装置100に制御データを順次送信する。このとき、管理装置20のCADデータに、コーナ部分であることを示すコードが付加されていない場合は、そのCADデータに基づくモルタル噴出装置120がレール上を直線的に搬送させる制御データを順次、3D駆動立体枠装置100の主制御装置に送信する。
【0101】
また、コーナ部分であることを示すコードが付加されている場合は、そのCADデータに基づくモルタル噴出装置120がそのコーナの曲線Rでレールを搬送させる制御データを送信する。適当な粘度を有する構造物160が生成されることになる。
【0102】
図11を参照する。この配分で混合された3Dプリンタの建築材料である。この3Dプリンタのセメント組成材料は、適切な温度管理がなされていないといけない。乾燥時間が早すぎると、3Dプリンタ(図示せず)で建物等を構築した場合は生成材10が潰れてしまう(沈下を起こす)。図11(a)参照。
【0103】
また、遅すぎた場合は、生成材10は、乾燥すぎて強度不足となる(図11(b)参照)。これに対して、最適な乾燥時間の場合は適正な状態を保つ。乾燥時間は、10~15分で表面が硬化し、完全硬化にh2~3時間が理想である(図11(c)参照)。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明の建築用3Dプリンタシステムは、建築物に適用できる。
【符号の説明】
【0105】
20 管理装置
40 ミキサー
45 建築材料
50 現場側の操作端末
100 3D駆動立体枠装置
120 モルタル噴出装置
150 タンク
160 構造物

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11